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地デジとBSを安定して受信する作戦

  • 2018/12/10 10:16
  • カテゴリー:make:

 さて,さらに良好な受信状態とシンプルな配線で高い信頼性を得るために,アンテナまわりの改善を進めているのですが,ようやく決着しました。

 前回までは,地デジとBSを外で混合し,引き込んだケーブルに地デジブースタと15Vの電源を挟み込んで暫定運用としました。

 この問題点は,地デジブースタがBSを減衰させるので高周波帯でレベルが大きく低下して映らなくなる,電源が別の地デジブースタの付属品なので供給能力が低く,BSコンバータを安定して駆動出来ない,の2つです。

 そこで,地デジブースタを広帯域増幅器に置き換えて,地デジもBSもまとめてブーストする作戦を考えました。

 以前1000円くらいで買ってあったDC~2GHzの広帯域アンプ基板を引っ張り出し,地デジブースタの代わりに入れます。すると,地デジもBSもレベルは上がるのですが,ノイズも多いらしくC/Nが絶望的に稼げません。

 そこでこの案はボツ。基板上のMMICをかつて秋月で買ってあった高性能なSGA-4586に載せ替えてみます。SGA-4586は4GHzまでの動作を謳うMMICで,ゲインも高く,NFも優れています。

 すると,まずまずのレベルとC/Nです。これならいいんじゃないかと手応えを感じ,以前作ったFMブースタと中身を入れ換えました。ついでに15Vの電源を貫通するような仕組みもいれて,BSコンバータはテレビから給電されて動くようにします。

 完成して設置をしたのですが,全然映りません。

 15VのショートやMMICの破壊など,いろいろなミスが重なって動かなかったのですが,どういうわけだか期待された信号レベルとC/Nを出す事が出来ず,このアイデアはボツになりました。悔しい。

 元に戻してつくづく考えたのですが,挟み込んでいる地デジブースタがBSの信号を減衰させ,15Vの電源を通さないことに問題があるんだからとシンプルに考えた結果,地デジブースタを地デジアンテナの直下に置く事にしました。

 電源が付属していたという地デジブースタは屋外設置用のもので,ゲインは小さめですがNFが小さく,C/Nは稼げそうです。しかし直下に置くものなので,高所での無理な姿勢による作業という大きなリスクがあります。

 しかし,もう家の中に閉じこもっていてはいけません。私は外に飛び出し,ブースタを取り付けて家の中に戻ってきました。

 しかし,地デジが映りません。混合器の電流通過スイッチをOFFにしていたせいで動かなくなっていました。スイッチをONにして電源を通します。

 すると無事に地デジもBSもまずまずのレベルで映るようになりました。電源供給能力の高いテレビからの15Vに切り替えて,これでシステム完成,と喜んでいました。

 しかし,どうも時々別の部屋に設置してある地デジPCが録画に失敗するようになりました。そうです,どうもテレビの15Vは,自分の電源がOFFになると15Vも止めてしまう仕様になっていたのでした。

 説明書を読んで常時給電にできないか調べてみましたが,出来そうにありません。暫定的に地デジブースタ付属の電源を挟み込みましたが,これは給電能力が低くて,危険です。

地デジPCからも電源を供給すればよいのですが。PT3からの供給にも不安があるし,それにテレビもPCも止まれば動かなくなるというのでは根本解決にはなっていません。

 それに,15Vの供給が2箇所から同時に行われるケースは,本当に大丈夫かわかりません。逆流防止用のダイオードがはいっていないなら,電圧印加を検出して自分の電圧を止める仕組みが必要ですが,そんな仕組みが貼っているとはどこにも書かれていません。

 そこで,電源供給のための電源器を探してみます。安いものは2000円ほどでありますが,ちょっと信頼性に不安があります。15Vで500mAほど供給出来ると安心なのですが,そうしたものはやはり5000円を超えます。

 実は強力な地デジブースタとセットの方がちょっと安いくらいとわかりましたが,さらに調べると,BSも地デジもまとめて強力にブーストするブースタが9000円で出ている事を発見しました。

 BSももともとレベルが高くなく,BSの受信機を増やせば厳しくなることは目に見えていたので,この機会に地デジもBSもしっかり増幅して,受信機の増設にも耐えられるようにしておくことに方針変更です。

 話が大げさになってきましたが,このブースタ「GCU433D1S」は,混合器に43dBという強力なブースタを内蔵した屋外設置対応品で,これを今の混合器に置き換えてやればすべての問題が解決しそうです。

 作業は屋外なので日中しかできず,土日にやるしかないのですが,先日ようやく作業がおわりました。

 結果ですが,信号レベルを上げるとC/Nが思った以上に悪化しますし,BSでは低い主波数より高い周波数の方がゲインが高いようで,低い方で上限ギリギリに合わせると高い方でオーバーしますから,何度かゲイン調整のために外と中を行ったり来たりする羽目にはりました。

 この際だからと地デジアンテナの向きも再調整し,気になる事は全部片付けてゲインの調整を行ったのですが,結果としてはレベルはしっかり稼げてもC/Nはそんなに改善されず,悪くないと言う程度におさまりました。

 分配器を1つ追加してもしっかりとレベルは稼げていますし,C/Nも安定していることをみると,ブースタの設置は概ね期待通りであったと思います。

 この系に,FMアンテナからのVHFもFMブースタで増幅してから混合器で混ぜてやり,分離せずそのままFMチューナーに突っ込んでいますが,分配器を増やしたせいか少しレベルが低下しています。しかし,チューナーのRFプリアンプをONにすれば問題なし。ノイズも小さく,良好です。

 振り返ってみれば,新築時に地デジだけ見れればいいやと,壁面アンテナを付けてもらって,最小限度の部屋に分岐しただけの最安のシステムだったものが,BSアンテナ設置にブースタによる送り出しとLNB電源の常時給電と,フルシステムになったのでした。

 BSアンテナも,もしかすると屋根裏に置く事になるかもと,少しでも高感度を期待出来る50cmを選びましたが,こうやって屋外に出し,しかもブースタを付けるなら安い45cmでも全然大丈夫だったはずで,これは失敗だったかも知れません。

 ブースタも,43dBのゲインを持つ,UHFとBS/CSに対応したものは本来3万円位するものですし,ゲインを調整出来る仕組みも本格的なものです。これが9000円だったのですからそこは満足で,それは結果にも現れています。

 これでしばらく大丈夫でしょう。そのうち,電波をアンテナでつかまえてテレビを見るなんて話がなくなると思いますし,作業そのものはなかなか楽しかったですし。

 これで年末年始は,テレビ漬けです。

 

 

もしかすると4K放送は流行るかもしれない

 さる12月1日,4K/8Kの本放送がスタートしました。放送技術史に残る大きな出来事だと思います。

 ほんの10年ほど前までアナログ放送を日常的に見ていたことを考えると,とても感慨深いものがあります。

 私が記憶に残っている放送技術の進化は,まず音声多重/ステレオ放送からでした。これはその必然性がさっぱりわからず,テレビも対応しないことから,長く体験することなく過ごしていました。

 中学生の時,生まれて初めてプリント基板をエッチングで作ったのが,音声多重アダプターだったことを思い出します。

 そこからしばらく間が開き,衛星放送がスタート,特にBモードステレオがCD以上のデジタル音声である事に驚愕しました。

 その後アナログハイビジョンがなんとか離陸,クリアビジョンはその恩恵をほとんど受ける事なく過ぎ去っていき,CS放送による多チャンネル時代がやってきます。

 やがて衛星放送は効率の良いデジタル放送に移行し,デジタルハイビジョン放送が始まります。そして日本独自のアナログの頂点であったアナログハイビジョン放送は終了しました。

 この流れが地上波放送にも押し寄せ,地上アナログテレビ放送は地上デジタル放送に,かなり無理矢理に移行していきます。かくして,VHF帯からテレビ放送が消え失せたのでした。

 そしていよいよ2018年12月に,ハイビジョンを遙かに超える解像度の4K/8K放送が衛星放送でスタートしました。

 こうしてみると,近年の進歩の速度が速いと言うことと,技術的な飛躍が大きくなっていることに気が付きます。放送は手元の機器を入れ換えれば済むと言うものではなく,インフラが入れ替わる必要があり,台数も費用も全く異なる送信側と受信側が歩調を合わせる必要があるところに難しさがあります。

 それだけにシステムの更新には大きなエネルギーが必要になり,そうそう気軽に変更したり修正したい出来ませんから,システムには高い完成度と将来性が求められます。

 こんなことをいう人は少ないかも知れませんが,アナログ放送の仕組みとして長く君臨したNTSCは実に50年も使われ続け,我々の日々の生活に根を下ろしていました。

 白黒テレビとの高い互換性と必要にして十分な性能を両立し,アナログ故の「無駄」な部分を適当に残していたことで機能拡張も可能になるなど,長生きするシステムの条件を満たしていました。

 当時としては最先端の技術で組み立てられ,電子工学を学ぶ人間が一度は完全理解に苦労するNTSCは,成功したシステムの最たる例であったと思います。

 まあ,それを言い出すとAMラジオ放送は100年の歴史があり,戦前のラジオは今でも立派に放送を受信出来るわけですから,それには全然かないません。ただ,AMラジオがまだまだ個人発明家や勘と経験に頼った技術開発が色濃い時代に完成したものであるのに対し,NTSCは数学的なアプローチで情報を以下に効率よく伝送するかを解決した技術であって,その緻密さと完成度は雲泥の差です。

 ゆえに,AMラジオは手巻きのコイルとコンデンサ,ダイオードとイヤホンで作れるのに対し,NTSCはとても手作り出来るようなものではありませんでした。統一された規格によって大量生産が行われ,コストダウンが進んで行くことが普及の条件となるという,企業による研究開発と大量生産が前提となったまさに戦後型のシステムだと言えると思います。

 前置きが長くなりました。

 4K/8K放送の特徴はあちこちで書かれているので,わざわざここで書こうとは思いませんが,初めてインターレースによる400ライン表示を見たときの感動や初めてハイビジョンを見た時の感激を思い出すと,やはりテレビは解像度であって,チャンネルが増えるとかサラウンド音声になるとか,そうしたものよりもずっと直感的で派手な変化ゆえ強く訴えてくるものがあるんじゃないかと,密かに期待していました。

 この手の官製祭りには冷ややかで,のらないか,あるいは様子を見てようやく重い腰を上げるのが常な私ではありますが,夏に4Kチューナーを内蔵したテレビに偶然買い換えたことをきっかけにして,今回の4K祭りには最初からのってみたのです。

 東芝のレグザ55BM620Xに買い換えたのは,気に入って使っていた日立の43型プラズマの画面に致命的な傷を付けてしまったことがきっかけでしたが,予算内でできるだけ大きな画面のレグザを買おうという方針で選んだに過ぎません。

 下手をすると58型の型落ちを選んでいたかもしれず,これがすんでのところで売り切れてしまったことも,この機種になった理由の1つです。

 そもそもBSも見ていない私が,4Kチューナー内臓を理由に選ぶ事もないわけで,その意味では全く偶然だったといっていいかも知れません。

 もっといえば,テレビにはなにも期待しておらず,毎日とりあえずニュースと天気予報が見られればそれでよいと思っていたので,わざわざ手間をお金をかけて他の番組を見る気も最初からありませんでした。

 しかし,55型にしたことで,ちょっとテレビを見るのが楽しくなってきました。4Kパネルにdot by dotで表示される画像は綺麗だろうなあと言う期待もふくらみ,BSアンテナさえ付ければ4Kを見る事ができるなら,この際BSも見られるようにしたらどうかなあと思うようになったのです。

 実際,NHKのBSは面白い番組も多く,見たいなと思ったことも何度かあります。これはよいきっかけかも知れません。

 しかし,うちはもともとテレビを重視しない家です。BSはアンテナも配線もありません。

 ということで,11月の頭からBSを見るための設備を揃えることを始めたのです。

 電気屋さんに頼む,というのは一番楽で確実でしょうが,お金もかかるし立ち会いの時間も確保しないといけません。お金はともかく時間がとにかく厳しい現状では最善策ではありません。

 加えて,他人が家に上がり込んでくるという心理的負担も大きいです。

 そこで,この手の話は自前でなんとかすることにしています。

 そうなると,解決すべき難問は,BSアンテナの設置と,ケーブルの引込です。

 まず考えたのは,bSアンテナを屋根裏に置く事です。こうすれば危険な屋外の高所での作業がなくなり,ケーブルの引込も必要はなくなります。

 50センチとやや大きめのアンテナを購入し,屋根裏で受信を試したところ,受信は出来てもほとんど映らないくらいに微弱で,使い物になりません。

 屋根裏はさっさとあきらめ,今度はベランダに出します。ベランダの手すりに取り付ける方法は景観上もうれしくないので,エアコンの室外機の上に置きます。BSは横と言うより上から電波がやってきますので,アンテナを上に向ければ受信出来ますから,案外室外機に置くというのは良い方法なのです。

 これだとバッチリ受信レベルを確保出来ます。設置はこれで解決です。

 次にケーブルの引込です。

 まずBSのケーブルを地デジアンテナの引込口から引っ張り込む作戦を立てて実行しましたが,そんなに簡単にいくはずもなく断念しました。

 そこで,地デジとBSを混合する方法を考えます。混合器を設置する場所がないとか,地デジアンテナは片手を延ばしてやっと届く場所なので,高いところで怖い思いをするとか,心配な事はありつつもどうにか混合ができました。

 テレビに分波器を用意してBSと地デジを分離し,BSコンバータに15Vを給電する設定を行うと,無事にBSと4K試験放送が見れるようになりました。レベルも十分です。

 しかし,地デジのレベルが低いです。少ないとは言え金堂と分離の際に損失があり,これが顕在化するくらい,もともとのレベルがギリギリだったようです。

 そこで,手元にあった地デジブースタをBSと地デジが混合したケーブルに挟み込みます。すると地デジは満足なレベルになりますが,BSがまったく映りません。

 冷静に考えると,15Vの電源がこのブースタで通過せず,BSコンバータが動作しなくなっている判明しました。そこで,別の地デジブースタに付属していた電源部をさらに挟み込み,BSも映るようになりました。

 しかし,BSのレベルが下がっています。地デジブースタと電源を通るときに減衰するのでしょう。特にBSの20ch以降という高い周波数で顕著で,釣りチャンネルなどはブロックノイズが出まくっています。(別に見ないからいいんですが)

 幸い4Kではレベルが稼げているのでこのままで一度作業を終えて,12月1日の放送開始を迎えました。

 まず4K。番組そのものが今ひとつだったりするので大した感想もないのですが,それでも4Kの解像度は想像以上です。画面に映っているという感じではなく,目の前にあるという感覚に囚われる時が,時々でてくるほどです。

 クラシックのコンサートなどは演奏者の顔と楽器がちゃんと見えるようになり,以前の放送のようにカメラの切り替えが必要なくなり,自分が注目するパートと楽器をずっと追い続けることが出来るようになりました。これはすごい進化です。

 あと,暗部が潰れない,色がはっきり出ることも素晴らしく,55型の大画面でも破綻が少ないので,画面に近づいて見ることができます。

 そうすると,視野のほとんどが画面という映画のような体験が出来るようになるので,その没入感に驚きを隠せません。

 なるほど,それまでの24bitカラーでははく,実に30bitカラーの情報量は確かにすごい。H.265というコーデックも優秀なのか,画像の破綻も少ないです。

 考えてみると,日本のデジタル放送は2世代前のMPEG-2が使われています。コーデックの世代は,圧縮率という「効率」で語られることが多いですが,圧縮率以外にもより自然に見えるような工夫が成されているので,コーデックは世代が新しいほど美しく自然に見えるものです。

 その点で,4K/8KのH,265はMEPG-2から2世代も進んでいます。私はこの点だけでも,4K/8K放送の進化は一足飛びだと言って良いと思っています。


 BSも見てみると,画像も美しいし,奇をてらわない楽しいコンテンツが一杯でした。4K//8K放送のために,BSは事前に前に再編が行われていますが,この時1920ピクセルの解像度が1440ピクセルに画素数が大幅に減らされていて,地デジ並みとなっています。

 伝統的に画質の優位性を謳っていたBS放送が地上波と同じではダメだろうと思っていましたが,唯一NHKのBSプレミアムだけは1920ピクセルを維持していて,さすがに一目でわかる違いがありました。

 今年は,年末年始向けのテレビガイド雑誌の売れ行きが好調なのだそうです。

 テレビ離れが叫ばれて久しく,今やテレビを見るのは年寄りばかりと揶揄されていますが,先日の受信料値下げの根拠が受信料収入の増加が見込めることだったりして,実はテレビに人が戻ってきているんじゃないかと思います。

 4K放送は価格も手ごろですし,出費以上の価値が得られたと感じるだけの感激があります。3Dテレビは店頭でパッと試せない事もあって体験もせずに終わった人も多いと思いますが,4Kは違います。店頭でちらっと見ればもうその違いは歴然です。

 次にテレビを買い換えればもれなく4K放送が見られるようになっていることを考えても,4K放送は想像以上にヒットし,普及が進むかも知れません。

 さて,話を私に戻すと,地デジのレベルが低く,BSの高周波帯の減衰が大きい現状は,すでにちゃんと映らないチャンネルも出ているし,アンテナを接続する機器を増やすと直ちに影響が出るくらい,ギリギリのレベルです。

 このまま放置すると,忘れた頃に問題を引き起こす可能性が高いです。現状は暫定として,より完璧な対策をやっていくことになるのですが,この話は後日。

 

DR-100mk2のLCDも交換出来た

  • 2018/11/29 14:17
  • カテゴリー:make:

 さて,先日DR-100m3を買って満足という話をしましたが,DR-100mk2のLCDを修理して使う選択肢も捨ててはいません。

 LCDに横線が入ってしまってもPCMレコーダとして機能するわけですし,捨てるのはちょっと考えられません。ですがこのままでも実質使えないわけですから,なんとかしないと思うのもこれまた自然な流れです。

 ただ,mk3を買って満足の私には緊急度は低く,いつまでにないと困るという時間的制約もなければ,最悪壊れてもいいやと思うくらいの緩さが,アマチュアの流離らしいなと思います。こういうのは楽しいものです。

 ドライバICがガラスから浮いていたりしないかなあと考えてぐいぐい押してみたり,熱をかけて溶着を試みたり,透明電極の切れ目を補修できないかと擦ってみたりと悪あがきをしますが,当然のことながら事態を悪化させただけで終わってしまい,完全に表示が出なくなってしまいました。

 うーん,全く表示がでないと,もうどうにも使い物にならん。

 ここに至って,私から我慢して使うという選択肢が消えてなくなり,LCDを交換するという事でしか,DR-100mk2を復活させられないことになりました。

 とはいえ,前途は多難。前回も書きましたがLCDは特注がほとんどで同じ物が普通のお店で買えたりはしません。

 互換性のあるものを探そうにも,LCDの動作電圧,接続インターフェース,ドライバICの種類の違い,ソフトの互換性,パネルごとに違う設定の最適値の違い,透過率,サイズ,コネクタの形状と,同じ物は1つとしてないといっていいくらいです。

 例えば,同じドライバICだったとしても,そのドライバから出ている信号がすべて外部に出ているとは限らず,せっかくドライバICがI2C,SPI,4bitパラレルに対応しているのに,コネクタに来ているのはI2Cだけとか,そういうことがあります。

 信号も同じなのに,LCD駆動電圧の昇圧方法のオプションの違いで,最適なパラメータが違ってきて,そのままでは真っ黒とか,そういうこともあります。

 実際,同じような品種だろうとソフトを流用してうまくいかなかったという例はいくらでもあり,まさに死屍累々。パラメータを少し修正すれば済む場合も多いのですが,今回のようにファームウェアをいじれない場合はもうお手上げです。

 とまあ,取りかかる前からお手上げなんですが,先の見えない遙かな地平にこぎ出して,私がようやく見つけたのがaitendoのLCDでした。

 まず。mk2のLCDの品種からLCD単体の仕様を探します。全く同じ品名ではないのですが,形状や大きさ,ピン配置からこれだろうと思うものが見つかりました。案外,完全なカスタム品種ではないのかも知れません。

 そしてこのLCDに搭載されているドライバISを探ります。するとサムスンのものと判明。これに互換性のあるドライバICは幸いにも多いです。

 今度はこうしたカスタムLCDが何故か流れてくるお店を片っ端から探します。これまた幸いなことに,aitendoで,一回り小さいが同じピクセル数,同じドライバ,同じインターフェース,同じ電源電圧のものが見つかりました。

 とはいえ,ピンの数や配置は全然違います。あくまで4線式SPIというだけで,昇圧回路の構成も異なる可能性が高いです。

 ドライバICのコマンドを見比べて見るとこれは大丈夫。

 1つ400円ほどの安いLCD(実は何度か特価されてもっと安いときもあったらしい)ですので,壊す気でためしてみましょう。

 このLCDの仕様書を見て,電源周りのコンデンサを直接フレキに付けていきます。これで電源関係は配線完了です。オリジナルのLCDはV1からV5まで電圧が外に出てきていて,それぞれにコンデンサがぶら下がっていました。

 次はSPI関連の配線,そして3.3VとGNDを細いポリウレタン線で引っ張り出し,DR-100mk2の基板に仮にハンダ付けします。

 ワクワクして電源を入れますが,全く表示が出ません。

 やっぱりダメか・・・と思ったのですが,とりあえず配線ミスを調べたところ,SPIの配線が入れ替わっているのが発覚。これを修正すると,なんとまあ綺麗に表示が出たじゃありませんか。

 20181129141833.jpg

 あとはもう勢いです。古いLCDとバックライト部を分離し,LCDを交換します。やや小さいので光が漏れないようにテープで遮光し,フレキをうまくたたんで基板に取り付けます。よし,問題なし。

 今度は筐体です。これが一番大変でした。

 LCDが小さくなったので,そのままでは表示エリアから外が見えてしまいます。ですから一回り小さい枠を目隠しとして用意する必要があります。

 いろいろ手を考えましたが,結局マスキングテープで範囲を区切り,上ケースの窓の枠を黒の塗料で塗りつぶすことにしました。ガンダムカラーエアブラシシステムが今回も大活躍です。

 マスキングが少なかったり,せっかく塗った塗装が剥がれたりと何度か失敗しましたがなんとか決着をつけ,無事に組み立て完了。

 まさか,ここまでうまくいくとは思いませんでした。というか,こんなチャレンジをしようなどと,普通はバカらしくて思わないでしょう。

 しかし,期せずしてDR-100mk2も使える状態になってしまいました。案外安く修理が出来たのもうれしいですが,それ以上に自分の工夫が功を奏して,ここまでうまくいったことがうれしく,その意味での愛着が加算されたような感じです。

 この手のLCDは,自分でソフトを書く人にしか縁がないと思っていましたが,案外こうした用途にも使える事を知って,私も勉強になりました。

 

DR-100mk3を買った

  • 2018/11/28 15:31
  • カテゴリー:散財

 先日,なにげなくDR-100mk2(TASCAMのPCMレコーダ)の電源を入れてみたら,なんとLCDの真ん中に線が入っています。4ドット程度の太さの線がスパーっと消えてしまっているのですが,おかげで肝心なレベルメータが見えなくなっていたりと,実用上問題大ありという感じです。

 ちょっと叩いたりゆすったり,電池を入れ替えたりしてもやっぱりだめで,これはもうLCDが死んだという判断をするしかありません。

 うーん,DR-100mk2って一応プロ用じゃなかったですかね。こんな低い信頼性だとは思いませんでしたから,がっかりです。

 ここで私には2つの選択肢があります。

 1つは修理をすることです。メーカーに修理を出すのも手ですが,お金も時間もかかるので面倒です。

 もう1つは後継機種を買うことです。DR-100mk3はかなり良い機種に仕上がっていて,私も新発売時に買い換えを検討した事がありますが,使用頻度を考えると当時の価格で5万円もする物を簡単に買うというわけにはいきませんでした。

 まずは修理を考えてみましょうか・・・

 一番確実なのは,同じLCDに交換することです。しかし,LCDはカスタム品がほとんどで,全く同じLCDはまず入手できないでしょう。

 そうすると別のDR-100から外して取り付けるという方法が考えられますが,実はDR-100系は中古もそれなりの値段が付くので,これも簡単に実行出来ません。

 修理については融通が利くことで知られるTEACですから,部品だけ分けて下さいと相談が出来る可能性も高いのですが,それにしても1000円や2000円で済むとも思えず,これも簡単な方法ではありません。

 なら,多少のサイズ違いには目を瞑り,互換性のありそうなLCDを手に入れて無理矢理取り付ける事になるのですが,もともとのLCDの詳細が不明なので,互換性もクソもありません。

 ということで,自力で修理するという作戦はなかなか難しそうです。

 とりあえずaitendoで,似たようなサイズ,互換性のあるLCDドライバを搭載したLCDを見つけたのでこれを手配しましたが,これについては後日。

 今回は,DR-100mk3への買い換えについての話です。

 私がDR-100mk2を買った時の金額は36000円くらいで,一時期27000円くらいまで下がっていたことを考えると,随分高いと思ったものですが,それでもこの機能と性能で36000円なら許せると,当時一番安い値段を出していた店で買いました。

 DR-100mk3は登場時こそ5万円でしたが,今は4万円を割る価格が出ていて,これなら購入可能だと,買うことにしました。

 ヨドバシが最安値だったのでポチりました。翌日には届いたのですが,ここでまさかに初期不良。

 録音をする時に,入力レベルを調整するツマミを回しても,録音レベルが思ったように変化しないのです。

 +方向に回してやると,ふいにレベルが0.5ほど上がりますが,回し続けると0.5ほど下がっていて,ちっとも値が増えません。

 -方向も同様で,これはロータリエンコーダの不良っぽい挙動です。

 翌日ヨドバシに電話をして交換してもらう事にしたのですが,なかなか電話も繋がらないし,大変でした。レンズの時にはすぐに交換に応じてくれたのに,今回は明らかな不良なのに一々メーカーに確認してからとか,手続きもあれこれと指示があったりして,やや面倒でした。

 果たして交換してもらった新しいDR-100mk3は問題なく動き,やはり初期不良だったのだなと思った次第です。でも,入力レベルのロータリエンコーダは壊れやすいのかもしれませんから,気を付けないといけません。

 ということで,軽くインプレションです。


・大きさ,重さ,質感,見た目

 大きさは旧来のDR-100系とほぼ同じで,手に馴染みますし違和感もありません,これは狙ってやったことでしょうから当たり前として,軽くなったなあという印象と,底面の質感が変わったり,デコボコがついたりしたことで,軽快な感じを受けました。

 画面が大きくなったことがとにかく目を引きますが,それでもたくさんの情報がちりばめられていて視認性は良くありません。もう少し整理出来なかったのかなあという気もします。

 バックライトの色はアンバーから白に変わりました。個人的にはアンバーは見やすく格好いいので白にする必要性を感じませんでしたが,これはこれで悪くはありません。

 ボタン類はより華奢になった感じがします。特にジョグダイアルは奥に引っ込みグラグラするようになりましたし,ダイアル中央のボタンもふにゃふにゃでよくありません。

 これも質感を悪くしている要因だとは思いますが,だからといって全然ダメというものでもないので,耐久性だけしっかり考えられていれば,私は構わないと思います。


・使い勝手

 使い勝手は大きく改善しました。すでにDR-100mk2を使う気になりません。

(1)入力レベルの調整

 mk2ではアナログのボリュームによって左右のレベルを別々に調整することが出来たのですが,これは便利なようで案外面倒でした。1つは,左右のレベルが外側と内側の同軸上に割り当てられているため,左右が同じレベルになっているかどうかはボリュームという部品の精度に依存してしまうことです。

 いやいや大した差ではない,というのが大半の意見だとは思いますが,これ,フェイドアウトを行うと,左右で音が消えるまでに時間差が出ます。フェイドアウト時の時間差を気にするか,それとも定常時の左右のレベル差を気にするかという問題になるのですが,私はどっちも許せません。

 もう1つはどちらか一方を固定し,もう片側だけ調整したいときに,固定したい方も一緒に動いてしまうことです。これも結構いやなもので,結局の所左右別々にレベルの調整をすることなど,最初から想定していないんじゃないかと思ったくらいです。

 まだあります。ツマミには数字が刻まれてはいますが,アッテネート量が書かれているわけではありません。あくまで目安です。それに再現性も乏しく,5と6の間,では正確な調整は出来ません。

 mk3ではここが改善され,本物のアナログボリュームではなく,ロータリエンコーダに変わりました。そして実際のアッテネートはデジタル制御で行われます。数字はどうもアッテネート量で表示されているようで,左右独立か同時かはメカ的なスイッチによって機能を切り替えることが出来ます。(このメカスイッチが実にいいです)

 さすがにデジタル制御のアッテネータだけに左右のばらつきは小さく,リニアリティも問題がありません。フェイドアウトも綺麗に決まりますし,左右のレベル差も全域でほぼないと言っていいでしょう。

 で,前述のように私はこの部分の不良を掴まされたわけです。良品が届いてからは快適で,私はここが一番うれしい改良でした。


(2)高速レスポンス

 システムが新規になり,CPUも高速化したおかげで,何をするにもキビキビ動くようになりました。DR-100mk2もレスポンスはよかったのですが,さらにレスポンスは上がっていて快適です。

 高速と言えば,起動から操作可能になるまでの時間も短くなり,かつ安定するようになりました。特に大容量カード使用時の待ち時間が大幅に減って,かつ容量に依存しなくなりました。

 mk2ではカード容量が大きくなると操作可能までの時間が倍々に増えてしまい,容量と使い勝手のバランスを探る面倒がありましたが,mk3では32GBでも同じ速度で立ち上がります。

 しかもmk2では同じ容量でもカードによって起動時間が違いました。mk3ではこれもなくなっており,どんなカードでも安心して使う事が出来ます。

(3)ストップボタンがへこんでいること

 これもよい改良です。やはりSTOPとRECは特別なボタンです。

(4)底面にスイッチがなくなったこと

 地味ですがこれも改善された点です。裏側にあったスイッチの操作性の悪さは言うまでもなく,今どうなっているかがわからず,気が付かないままに予期しない設定になっていることもmk2ではありました。そもそも底面に操作系を置くのが間違いだと思っていた私には,当然の改善です。

(5)Li-ion電池が内蔵に,単三が横から入れる仕組みに変わったこと

 Li-ion電池は充電器が必要な場合くらいしか取り外し出来る必要がなく,はめ殺しにして大容量化したことは正解です。加えて単三電池を底面から入れるのではなく,横から入れることが出来るようになったことも大きく操作性を改善しています。

 電源に関して言えば,mk2がDCジャックだったものがmicroUSBに変わったので,どこでもAC駆動が出来るようになりました。単三はコンビニで買えて,USBはそこら辺にいくらでもあります。

(6)XLR端子が6.5ミリTRSに対応したこと

 最近は普通になってきた6.5ミリのTRSによるバランス入力に対応してくれました。XLRへの対応は必須だとは思いますが,電子楽器の出力にもTRSが使われる世の中ですし,ここに普通のTSのプラグを差し込めばアンバランスのライン入力になってくれたりする(未確認)ので,非常に便利なのです。

(7)SDカードを横から入れる仕組みにしたこと

 これもmk2からの大きな改善です。mk2では左右のマイクの間,ちょうど頭の部分にSDカードのスロットがありました。これ,カードの交換をするのにいちいちウインドスクリーンを外さないといけないんですよ。

 こう考えてみると,mk2まではかなり無理して詰め込んだことで,操作性が犠牲になっていたんだなあと思います。mk3ではうまく整理されているので,使い勝手が全然違ってきます。

(8)頭部のジャックにはマイク録音に関係しないものが配置されたこと

 頭部の配置に関連しますが,ウインドスクリーンを付けたり外したりというのは面倒な話で,mk3ではマイク録音に関係ない端子を頭部に配置してあります。ライン入力とデジタル入力です。なるほどこれならウインドスクリーンは使いません。

(9)LEDのレベルメータが付いたこと

 これは大きいですよ。LCDにレベルメータがでているじゃないというなかれ。LCDはバックライトが消えているので,良く見えないのです。暗い所ではバックライトを点灯させられない状況も発生しますし,そもそもバックライトは電池を食います。

 ならOVERだけでもいいんじゃないのと言う声もあるでしょうが,それでも不足です。録音中はちゃんと入力が来ているかどうか気になるもので,しかもそれが適正であるかどうかをいつも知りたいものです。

 OVERのLEDが点灯すれば,確かに入力は来ているとわかりますが,その時にはすでにレベルオーバーで録音失敗です。失敗したことを知る事よりも,今うまくいっていることを知りたいという欲求には応えてくれません。

 mk3では,OVER以下に2レベルのLEDが付いています。なんらかの入力が来ていれば一番低いLEDが点灯しますし,真ん中が点灯すれば適正,OVERが点灯すればNGという具合に,少ないLEDで的確に状況を捉えることができます。

 LEDで言えば,録音LEDが底面から見える場所に来たこともうれしいですね。

(10)ワイアードリモコンに対応していること

 WiFiやBluetoothで繋ぐ方法もあるのでしょうが,信頼性の観点からワイアードが一番です。mk2では赤外線にも対応していましたが,結局使い物にならない赤外線を外し,ワイアードに絞ったのは偉いと思います。

 ついでいうと,mk2に付属のリモコンRC-10は赤外線のリモコンですが,受光部がついた枠をはめ込むと,ここから伸びたケーブルによってワイアードリモコンになります。mk3はこの状態のRC-10に対応しているので,わざわざ買い足す必要がありません。

(11)フォーマットが早い

 これも大きいです。SDカードのフォーマットにかかる時間が激減しました。クイックフォーマットではmk2とそんなに変わりませんが,フルフォーマットでの差は顕著で,mk2は電池が切れてしまってSDカードが死んだこともあったくらいです。

 mk3では早く終わるので,本当ににフルフォーマットなのかと心配になるほどです。


・音質

 音質は,まだレビューできるほど使い込んでいないのでなんとも言えませんが,DR-100mk2に比べて生々しさが増したように思います。これは私の好みです。

 また,192kHz/24bitに対応したことで,48kHz/16bitでも余裕が感じられ,DR-100mk2のような48kHzがベースとなったモデルとは一線を画しています。

 音のあたりも自然で柔らかく,しかし全帯域でのスピード感も揃っていて,このあたりはDR-100mk2と比較しないとわからないかもしれません。ただ,DR-100mk2が長時間の録音ではちょっと疲れてしまったことを考えると,これがmk3でどれくらい楽になるかが,今から楽しみではあります。


・まとめ

 DR-100mk2からの買い換えは予定しておらず,LCDの故障がなければmk3を使う事もなかったと思いますが,さすがに現行の最新機種,生まれながらにハイレゾの録音機の余裕は想像以上で,DR-100mk2のような無理をしていない感じがとても馴染みます。

 買い換えて良かったと思います。

1700円のデジタルテスタも較正してみよう

  • 2018/11/21 10:30
  • カテゴリー:make:

 較正失敗による大ピンチをなんとか乗り越えたDL2050,Errで使い物にならなかったFLUKE 101の復活,そして新しいFLUKE 101やアナログテスタも含めた,測定結果の統一と,なかなか今回の測定器祭りは良い結果に繋がっているのですが,最後の仕上げとして先日中国から届いたばかりの新鋭機,ZT109も較正を試みます。

 実はこれもFLUKE 101と同様,較正の方法がよく分かっていません。海外の掲示板でそれらしい記事を見たと思ったら質問だけで回答がなかったりと,較正を行うことにたどり着けないので,較正データをバックアップした上で試行錯誤を試みました。

 これもおそらくですが,世界で最初にZT109の較正に成功したアマチュアではないかと思います。

 では早速その方法を,といきたいところですが,その前に見つけた改造記事があって,これがとても参考になったので私も改造を行います。

 やっている改造は,ZT109の電源の強化と,基準電圧の品質向上です。書いてしまうと全然違うことをやっているようですが,実は同じ事を対策しています。

 まず電源の強化ですが,このままだとノイズが多いのだそうです。そこで電源ラインに0.1uFと1uF,そして10uFのセラミックを追加します。

 次に基準電圧ですがの品質向上ですが,電圧リファレンスIC(ICL8069)の出力に入るコンデンサが,このICのデータシートの推奨値に全然足りないらしく,これをデータシート通りにするため,0.1uFから4.7uFのセラミックに交換します。,

 本当は電源ラインの電解コンデンサを低ESR品に交換することも書いてあるのですが,私の手元にあいにく100uFの小型で低ESR品などなく,これはあきらめました。

 やった人は,これで34401Aなみになったよと書いていましたが,電源のノイズを取って精度が向上するというのもちょっと考えにくく,私の場合は案の定結果になにも変化はありませんでした。ただ,小さい電圧の測定ではその精度や安定度に差があると思いますし,理にかなった改造なので,これはぜひやっておきたい改造です。

 さて,ここまでやってから,較正を行います。

(1)まず裏蓋をあける。基板をむき出しにしたまま電源を入れることが出来る構造なので,FLUKE 101のように外部電源を用意しなくて良い。

(2)基板の右上にあるJP1をハンダでショート。これでCALモードに入る準備が出来た。

(3)おもむろにロータリスイッチを回して電源を入れる。

(4)セルフチェックが走ったあと,画面になにやら数字が出るがADCの読み取り値らしく,無視してよい。その後ほっとくとErrが出るが,これも気にしなくて良いが,Errが出てしまうと先に進めないので,右側のSELボタンをErrが出る前に押して,CALモードに入る。

(5)較正したいファンクションを選ぶ。ここではDC電圧を較正する。

(6)左側のRANGEボタンでレンジを選ぶ。FLUKE 101と違って,各レンジで較正を行う必要がある。

(7)さて,ここからが肝心。ZT109に入ってるチップのDTM0660は,各レンジでの較正値を選べるようになっていて,基準となる電圧にあわせて調整が出来る。データシートにあるリファレンス回路では,その較正値をボタンで選べるようになっているが,ZT109はボタンが足りない。

(8)SELボタンを押すと,較正値が下がっていく。例えば,10Vレンジだと,9,8,7,6・・・と言う具合に,較正値が1Vずつ減っていく。

(9)そしてこれがミソなんだが,SELボタンを「長押し」すると,今度は1Vずつ増える。

(10)例えば5.000Vを用意し,10Vレンジを調整する場合,SELボタンを使って5.000Vを選んでやる。こうすると自動的に入力された電圧を5.000Vとしてプリセットしてくれる。

(11)同様に他のレンジでもやる。100Vレンジでも30Vくらいで較正すれば,とりあえず使いものになる結果が得られる。

(12)他のファンクションでも同じだと思うが,私はDC電圧以外に較正する必要性を感じなかったので,ここで較正を終了。電源を切ってJP1を切り離し,電源を再投入する。

 これで,較正は終わりです。

 うまく言葉に出来ない部分もあるのですが,EEPROMのバックアップをきちんと取ってから試行錯誤をやってください。しばらく触っているとわかると思います。

 さて,こうして較正を行った結果です。

2.501V -0.65mV -0.002598285%
5.003V -0.02mV -0.000039976%
7.506V 1.46mV 0.019454890%
10.00V -5.33mV -0.053271606%
 
 おお,さすが5Vでの値はこれ以上ないくらいの一致を見ています。また,10Vまでが同一のレンジだということで,7.500Vでも高い精度を誇っています。10Vについては,まあこんなものだと思います。

 このテスタは10000カウントですし,10Vは小数点以下2桁しか出ませんので,10mV単位です。ですからこのテスタでは10.005Vの電圧を測定すると,10.00Vと10.01Vのどちらかになるのが正常ですから,誤差の割合を見ることにあまり意味はないのかも知れません。

 ちなみに,較正前の値が以下なのですが,全体的にばちっとあっているのがわかります。

2.500V -1.65mV -0.065956469%
4.999V -4.02mV -0.080351468%
7.500V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 抵抗や電流も一応スペックに入っているので,変に較正を自分でやらない方がいいと考えておいたわけですが,DC電圧だけはこの結果を得たいがために,頑張って見ました。

 この数字を見ると,やって良かったなあと思います。これで,34401A,DL2050,2台のFLUKE 101,そしてZT109,アナログテスタが揃いました。気分がいいです。

 残念なのは,他のテスタについては,今のところあきらめるしかないということです。

 3.5桁のテスタはそもそも較正なんかしなくてもきちんと値を出してくれます。これがズレてしまうようなテスタはすでに較正など不可能なほどおかしくなっています。

 P-10も調整したいですが,これは内部の犯行低抵抗を回してもうまく調整が出来ません。なにかうまい方法があるんでしょうが,もう探す気も起きません。

 そもそも,家の中にテスタがゴロゴロしている状態というのも妙なストレスが溜まります。なんとかせねば。

 

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