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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

F2の分解清掃で小ネタ2つ

 完全な機械式カメラであるF2フォトミックがまともに動き出して,あとはフィルムでの試写を行うのみとなったのですが,その後の小ネタを2つほど。

(1)ファインダーアイピースバラバラ事件

 さすがに50年も経過すると,プラスチックは分解し,柔らかくなったり欠けたりします。ひびが入ってボロボロと崩れていくこともしばしばです。

 プラスチックは安いし,自由な形に成型できるし,強いし美しいし,色も選べるということで,今やこれなくしていかなる工業製品も成り立たないのですが,問題の1つは経年変化に弱いことがあると思います。

 実際,金属で作られた大昔のカメラは修理可能でも,プラスチックを多用した比較的新しいカメラは修理出来ないことがごく普通に起こっています。

 ニコンFもF2も機械式カメラであり,壊れても修理可能だといわれていますが,プラスチック部分については例外で,ここが壊れてしまうと別の方法を使って修理するしか方法がなかったりします。F2の電池ケースの割れは,もはや定番の故障です。

 で,私のF2もようやくにしてボディとファインダーが組み上がって,暫定的に露出計の調整も終わって一息つき,改めて眺めていると,アイピースがねじ込まれる部分のプラスチックにひびが入っているのを見つけました。

 これはまずい。今のうちに手を打たないとえらいことになります。

 急いでアイピースを取り外し,周辺の張り皮を剥がします。2本のネジが出てきますが,これを緩めて,接眼レンズがくっついているこのブロックを取り外します。

 よく見てみると,上と下にそれぞれひびが入っていて,上のひびはもう少しで完全に破断しそうなほど長く伸びています。

 更によく見ると,ビスの穴から横方向にひびが入っていて,もうボロボロと壊れてしまいそうです。

 プラスチックには接着剤なのですが,ここは最強の接着法である「溶着」を使います。アクリル用接着剤を隙間に流し込み,ぐっと押しつけておくと,接着面が溶けてくっつきます。くっついてしまえば元のように一体化するので,割れてしまったことすらなかったように,元の強度が戻ります。接着の強さは,力を加えてねじったら,接着部分ではなく他の部分が壊れてしまうほどです。

 ただし,寸法がちょっと変わってしまいます。溶けるのですから当然です。

 それと,接着剤とはいいつつ,揮発性の有機溶剤ですので,乾いてしまうのはすぐです。しかし,溶けたプラスチックが固着し,元の強度を発揮するには最低一晩放置しなくてはいけません。1時間や2時間程度で力を加えると簡単に剥がれてしまいます。

 ということで,完全で破断すると位置合わせも難しくなるので,割れ筋のうちに修復です。

 裏側の押さえ金具,接眼レンズ,そしてゴム枠の3つを取り外します。順番と向きはメモしておきます。

 そして割れ筋の部分を両側から押さえて,隙間が小さくなることを確認します。そしてその割れ筋に,接着剤を流し込みます。すっと入り込んで行きますが,ここで力を緩めず,出来ればテープやゴムで密着させておきます。これで一晩です。

 あまり強く押すと,溶けた部分がはみ出してしまい,寸法が変わってしまいます。また,力を緩めると隙間が余計に広がってしまい,接着そのものが出来なくなってしまいます。

 事故は個々で起きたのですが,指で挟むようにして押さえつけていたのところ,なんと別の部分がひび割れてしまい,そこが完全に破断してしまいました。大慌てで部品を集めてあわせて,さらに接着剤を流し込みます。

 ようやく元の形に戻りました。翌朝様子を見ると,幸いうまく接着できているようです。

 せっかくですので,接眼レンズも綺麗にクリーニングしておきます。そしてゴム枠,磨いた接眼レンズ,そして押さえ金具を戻し,ファインダーに取り付けてビス留めです。

 しっかり修理が出来ていることが確認出来たら,張り皮を貼って完成です。どうも,視度補正レンズを強くネジコンd事も悪かったような気がします。少しゆるめにしておきましょう。

 この,アクリル用接着剤でプラスチックを溶着する方法は最近私が多用するもので,スチロールはもちろん,接着が難しいとされるABSでも強力に接着できます。ポリプロピレンやPETなんかはやっぱりダメなんですが・・・

 F2の電池ケースもこれで修理をしていますし,結果は上々です。

 ただ,古いプラスチックの修理は,溶着した部分こそ元通りになるかも知れませんが,全体的に脆くなっていますから,他が割れてしまうかも知れません。
 

(2)シャッタースピード簡易テスタ

 メカだけで1秒から1/2000秒を作り出すF2のメカシャッターは,カメラが精密機械といわれていた時代があったことを我々に思い出させてくれますが,電子制御シャッターと違って精度が心配なのも事実です。

 特に,高速側のシャッターは無理をしているのか,最高速が出ていないことが多くのカメラで見られたそうです。(アサヒカメラのニューフェース診断室のバックナンバーを見てみて下さい)

 そういう話になってくると,自分のF2も心配になってくるものです。多少のズレはいいとしても,大幅に狂っていないかだけは確認しておきたいです。

 アナログオシロを使って簡易チェックはやっていますし,結果1/2000秒で問題ないことをある程度確認してありますが,もうちょっとちゃんと,楽に確認出来ないものかと思っていたところ,フォトトランジスタがONになる時間を測定することを思いつきました。

 調べてみると随分と古典的な方法で,オシロスコープを持っているカメラ修理を趣味とする人ならほぼ全員がやっているんじゃないでしょうか。

 フォトトランジスタは手持ちの関係でTPS603Aという東芝の廃品種を使います。フォトトランジスタですので速度は遅く,電流を流しても数msの遅れがあります。

 1/1000秒なら1msですので,あまりに遅いと正確に測定出来ませんが,かといってフォトダイオードは使うのが面倒ですし,スローシャッターを確認出来るだけでも意味がありますので,さっさと作ってしまいます。

 アクリル板を適当にカットし,真ん中に3.2mmの穴を開けます。ここにTPS603Aを押し込み,そばに両面テープで貼り付けた基板に,足をハンダ付けします。

 基板には470Ωの抵抗も取り付け,電源とGNDと出力の3つの端子を出しておきます。

 電源は10Vあたりをかけ,オシロスコープを繋ぎます。

 カメラの裏蓋を外して,フィルムの代わりにアプリル版をテープで固定します。ミラアップし,マウント側からマグライトで光を当て,シャッターを切ります。

 おお,ちゃんとシャッターが開いたときにONになっています。

 さすがに1/1000秒くらいになるとなまってしまいますが,F3でも測定を行って相関を取っておけば,結果を目安くらいには使う事が出来るでしょう。

 また,本当はシャッターは走り始めと走り終わりで速度が違っていて,それが露光ムラの原因になります。だから,シャッターが開いている時間を測定する前に,シャッター幕の走行速度を合わせて置くのが必須なのですが,それはそれでまた別の測定器が必要なので,今回はやめます。

 横走なら,左側と右側のシャッターの開いている時間を比較すれば,幕速が出ているかどうかもわかるでしょうし,今回はこれでいいです。

 さて,結果ですが,X接点よりも低いスローシャッターは完璧でした。高速側も1/100秒まではほぼ完璧,1/2000秒が速いということがわかりました。

 ただ,速いと言っても,立ち上がりと立ち下がりがF3よりもなだらかで,ダラダラと露光している感じです。とはいえ,どんなシャッターの動きがこういう露光に結びつくのか私はちょっとわからず,もしかするとシャッター幕とフォトトランジスタとの距離が開いていたとか,光源との光軸が大きくズレて斜めから光が入ったりしていたのかも知れません。

 完全に開いている部分は500us以下ですが,開き始めるて完全に閉じきるまでの時間は70usを越えているので,ならすと500us程度になるでしょう。ですのでトータルで1/2000秒の露光時間になっているのだと思う事にします。

 本当は,F3だけではなく,F100などの縦走りの電子制御シャッターも測定したかったのですが,F100は裏蓋があいているとシャッターが動かないようになっていますし,SFXnはシャッターは動きますが開いてくれません。

 もう面倒くさくなったので,ここで終了。当初の目的であった,F2のメカシャッターがそれなりに精度で動いていたことがわかっただけで十分です。

 

F2のフォトミックファインダーのメーターにゴミ

 さて,前回フォトミックファインダーのメータが動かない問題を書きましたが,その続きです。

 メーターが動かないという電気のトラブルが,30度傾けると100%発生するというのも首をかしげたくなるのですが,接触不良を疑うも,バネ圧を増やしたり清掃しても改善しません。

 ボディとファインダーの電源端子が悪いのかと思い,ファインダーのおでこの下にあるフックが引っかかるボディ側のピンを少し下にずらそうと,ビスを緩めたりしめたりしているうちに,マイナスネジの頭を飛ばしてしまいました。

 これには参りました・・・ああ,どんどん壊れていく私のF2。

 原因ときちんと調べることもなく,とにかく組んでばらしてを繰り返していても解決するはずもなく,時間ばかりが経過します。

 そうしているうちにネジはなめ,更に深い部分を分解し,組み立てミスを連発するようになってきます。これはまずい。再起不能になる前に手を打たねば。

 そこで,論理的に原因の究明を行うべく,真面目に回路図と検討する事にしました。

 まず,メーターが動かなくなり,その時露出計も動かないのですから,可能性が高いのは電源が来ていないことです。

 傾けてメーターが動かなくなる現象が出ていることを確認した上でフォトミックファインダーを外し,電源端子にテスターを当ててボディを傾けてみます。しかし,電圧が下がってしまうことはありません。どんなに動かしてもちゃんと3Vが出ています。

 ボディに原因はなさそうです。

 そうなるとファインダーです。

 ファインダー単体に電源を繋ぎ,ファインダーを傾けると,やっぱり再現します。

 続けてファインダーを上下に分解し,メーターがある上半分に電源を直接入れて,傾けます。すると現象は再現。上下の間をつなぐ接点の不良ではないことが判明しました。

 上半分の回路を追いかけていきますが,断線箇所はありません。

 ファインダーに電源を入れず,メーターを含めた回路に抵抗レンジにしたアナログテスタを入れて導通を見てみます。すると,当然導通があるわけですが,面白い事にメーターが止まっても全く変わらず導通が維持されています。

 ん?

 とういことは,回路が切れて電流が流れなくなったためにメーターが止まるのではなく,電流は流れているのに,なにか物理的なものがメーターの動きを妨げていることになります。

 それならばと,メーターを軽く叩いてみます。メーターが動かない状態でも叩けば動きますし,何度か叩いていると,そのうち現象が出る角度が変わって来ました。

 さらに叩くと,現象が出なくなりました。

 うーん,ゴミでしょうね。

 ただ,このゴミを取り除くにはメーターを外し,分解しなくてはなりません。そこまでばらしてしまうのも怖いですし,メーターはただでさえ壊れやすい精密部品です。今問題がないなら,わざわざ分解することはやめておきます。

 ということで,この問題の原因はわかりました。

 あとは組み立てです。

 しかし,この組み立てがまたくせ者です。実は,以前からf2kとf1.4の間が1段ではなく0.5段ほどしか変化しないという問題がありました。きっとギアのかみ合わせがズレているせいだと思っているのですが,なにせ正しいかみ合わせ位置をメモしていないので,もう試行錯誤でやるしかありません。

 しかも,これまでの組み立ててでは,f22にするとブラシがコモンから外れてしまうこともわかりました。これはさすがにまずいです。

 ついでに,リング抵抗に接触するアースの接点を清掃していないことに気が付いたので,清掃して正しい位置に曲げておきます。

 そうして組み立てるのですが,やはりなかなかうまくいきません。何度か組み立ててバラシ手を繰り返して,ようやくEV1からEV17まで連動するようになりました。

 しかし,絞りの連動機構の動きが渋くて,f5.6から絞り込むときに,随分と大きな力をかけないといけません。これあはなにかがおかしいです。

 改めて組み立てを確認して。なんとか落ち着いたところを探し出して,やっと完成です。はっきりいって,ボディよりも時間がかかってしまいました。

 基準となるのはF3です。F3の露出計と同じような結果になるよう調整をして,これですべての作業が終了です。

 一通りに動作試験をやって,あとはひたすら,脳内麻薬を出しながら空シャッターを切るだけです。

 近いうちにフィルムを通そうと思います。以前なら100円のカラーネガフィルムをテスト用に撮影し,自家現像してすぐに再修理出来たのですが,今はラボに出さないと現像もできません。

 面倒ですが,カメラは撮影してなんぼ,です。

 数は減りましたが,手元にあるガチャガチャ可能なレンズを取り付けて,撮影を楽しもうと思います。

 しかし,私はつくづくメカのセンスがないなあと思います。メカ屋さんが電気屋さんの手つきを不安そうに眺めていることって,設計の現場では良くある事なのですが,それをまさに地で行っている感じがしました。

 こうして改めてF2を見ていると,やっぱり格好いいです。Fのように角張っておらず,F3ほどややこしくなく,角の取れたほどよい丸みにシンプルな外観と,良く出来ているなあと思います。

 F2本体がデザインされたとき,一緒に考えられたのがフォトミックファインダーのデザインでしょう。後に何種類もファインダーが出ますが,個人的にはDP-1のデザインが一番しっくりきますし,F2らしくて格好いいなあと思います。

 ニコマートELを修理した時,そのシルエットの美しさに,ぜひこの当時のフラッグシップを使ってみたいと思ったものですが,そのF2を実際に手にしてみて,F3とは繋がっている部分もあるけど,繋がっていない部分も多いなあと感じました。

 そして,AEカメラではないことが,こんなにしっくりくるというのも,冷静に考えて分かった事です。思えば,私はPENTAXのSPを長く使っていましたから,AEではない内蔵露出計の指示だけで,シャッター速度も絞り値も露出補正もささっと決めていたのです。

 そのことを体が覚えていて,F2フォトミックでもなにも違和感を感じることなく,操作できているんだろうと思います。そう考えると,F3よりもずっと手に馴染んだ感じがあります。(そうなんです,F3が名機である事は間違いないのですが,長い付き合いにも関わらず,私はまだF3を手足のように使えません)

 さて,フィルムを通して,早く現像に出しましょう。そういえばGR1で1本撮ったものも現像に出さないといけないし,FA43mmも修理が上がってから一度も撮影していません。PEN EESにもフィルムが入ったままです・・・

 

 

F2の分解清掃(ボディ編)

 先日手に入れたニコンF2フォトミックですが,今度はボディのオーバーホールを行いました。

 ボディは特に大きな問題はなく,1/2000秒がやや遅いかなと思うことと,シャッターを切ったあとに「ビーン」という感じの響きが出ていて,あえて分解しなくてもいいんじゃないかと思うようなコンディションでした。

 しかし,50年近く経過している本体ですし,一応分解して中身を確認し,注油くらいはやりたいと考えて,分解することにしました。

 が,いきなり難題です。

 巻き上げレバーの飾りネジが,びくともしません。

 通常,ここはゴムで回して外すのですが,もう全く動かないのです。少し木槌で叩くとよいというので叩いてみましたが,全くダメ。これだけで2時間かけましたが,全く成果が出ません。

 ここで引き返せという神様の指示なのかも知れないなあと思いつつ,最後の手段です。飾りネジの頭にエポキシ接着剤で,ピンセットを接着します。別にピンセットでなくても構わなくて,エポキシ接着剤によくくっつく金属の棒として,目に入ったのがピンセットでした。

 こんな方法,思いつきもしないのですが,やはり幾多の先人達がここで足踏みを強いられたらしく,無理にプライヤーで挟んで傷だらけにしたという苦悶の歴史を私も学び,接着剤という方法にたどり着いたのでした。

 結果は成功。なんと,飾りネジはゴム系の接着剤で固定されていたのでした。ということは,アルコールで柔らかくすれば簡単に外れたかも知れません。

 まあ,結果オーライです。

 F2はトップカバーが左右に分かれていて,別々に外せます。しかも前板やミラーボックスを外すのにトップカバーを外す必要はありません。

 特に,パトローネ側のカバーは,アルミで出来た薄い化粧板を剥がさないとビスが出てこず,この化粧板を無傷で剥がすのは至難の業であると,先人達は語っています。よって必要がなければ外さないのが良いそうです。

 私も先人達の教えに学び,パトローネ側のカバーを外すことはやめました。

 巻き上げレバーを外し,シャッタースピードダイアルも外し,シャッターボタンのリングも外します。スムーズです。

 そして張り皮を剥がしてセルフタイマーを外し,前板を外します。ミラーボックスと分離し,動作の確認と注油と清掃をします。

 ビーンという金属音は,よく言われるようにミラーのダンパーのスプリングが響いている音で,本来はこれを抑えるためにモルトプレーンを張り付けてあります。このモルトプレーンが劣化していると,バネが響き放題になるというわけです。

 ミール-ボックスの劣化したモルトをはりなおすと,バネの響きががうまく押さえられて,精緻な感じになりました。

 他にも注油やグリスアップを行って,軽くミラーが動くようになったところで,前板と組み付けます。

 次にボトムカバーを外し,同じく注油とグリスアップです。あんまりベタベタやると,油が飛び散ってシャッター幕を汚しますので,ほんの少しだけにします。

 そしてスローガバナーを外します。ここも別に悪くなってはいないのですが,ベンジンにどぶ漬けして注油することくらい手間もかからないので,さっとやっておきます。

 あ,電池ケースがご多分に漏れず割れています。F2の持病の1つに電池ケースの割れがあります。そのせいで露出計が動かなくなっている個体も多いのですが,交換出来るような部品もないので,別の部分に金具を取り付けることで解決する方法が,やはり先人達の知恵として広く知られています。

 で,私の場合ですが,ここは1つ,割れた部分の溶着を試してみることにしました。アクリル用の接着剤を使って溶着してみますと,なかなかうまくいっています。他の部分が割れてしまえばもうおしまいなので,金具を別の場所に付け直すのが一番いいとも思ったのですが,これで様子を見ます。

 さて,ここまで組んでみて,いよいよ前板を戻します。

 そっと取り付けてビスをしめ,同じくベンジンで洗浄したセルフタイマーを取り付けて完成です。シャッターも綺麗に切れるので油断していましたが,実は組み上げたあとにセルフタイマーでシャッターが切れないという問題が発覚し,組み立てミスをやっていることに気が付きました。

 この問題を先に書くと,結構深刻な問題でして,前板のシャッター駆動のレバーが無理な組み込みのせいで曲がってしまっていて,セルフタイマーがシャッターレバーを動かせなかったようでした。メカは難しいです。

 次にボトムカバーです。これはまあ簡単ではめ込むだけですから,問題はありません。

 続けてトップカバーですが,これもよくある持病で,フィルムカウンターの窓の透明プラスチックが割れています。交換しようにも同じ物は手に入りませんし,接着しても割れ筋は消えません。

 窓にはめ込むようにプラスチックが成型されているのですが,そんな細かい加工は出来ませんので,0.3mmの透明プラ板を小さく切って張り付けてすませます。以外に違和感もなく,綺麗に仕上がりました。

 こうして出来たトップカバーを取り付けて,レバーなども組み付けて一応完成です。ここまで5時間ほどかかっています。素人丸出しです。

 一通りシャッター速度も確認し,完成したと喜んで張り皮まで張り付けたのですが,前述のようにセルフタイマーが動きません。

 また前板を外す羽目になりましたが,再度組み立てても今度は治らないばかりか,シャッターボタンも利かなくなったりします。これはまずい。こんな信頼性の低い状態では使えません。

 冷静に部品の動作を確認していくと,前述のように前板に付いているミラーを動かし,シャッターの係止を外すレバーが曲がっていることが判明しました。少しずつゆっくりと元に戻して,なんとか動くようにできました。

 そして,シャッタースピードダイアルの近くにあるシャッタースピードの調整ネジを調整して,1/2000秒もきちんと出るようにしました。これでボディは大丈夫でしょう。

 最後に張り皮を貼り,モルトプレーンを交換して,完成です。

 フィルムを通さないとなんとも言えませんが,ダミーのフィルムはちゃんと通っていますし,動きも見た感じでは問題を感じません。シャッタースピードには不安もありますが,これは後日ちゃんと測定システムを作ってから,確認をしたいと思います。(今はアナログオシロスコープによる簡易検査です)

 で,念願のフォトミックファインダーとの合体です。

 しかし,ここでまた問題発生です。

 フォロミックファインダーのメーターが,動かない時があります。バッテリチェックボタンを押しても反応がなかったことで気が付いたのですが,よく調べてみると,30度ほど上に向けると動かない,この時露出計としても動作しない,止まっている状態でボタンを押し直すと動く,止まっている状態でシャッタースピードや絞りを変えると動く,などと,どうも気まぐれな様子です。しかし再現性はほぼ100%です。

 電気的な問題だろうとふんで,フォロミックファインダーを再度分解しますが,おかしな所は見当たりません。ガタが多い部分を組み直しますが,それでも解決しません。

 なら,通電不良だろうとバネ圧を強めたり清掃をしますが,変化無し。

 そのうち,シャッタースピードインジケータの紐は外れるわ,ネジはピンセットから外れて飛んでいくわ,マイナスネジはなめてしまうわで,かなり大幅な分解をしなくてはいけなくなってしまいました。

 もう20回ほども分解と組み立てを繰り返したでしょうか・・・

 それでも原因はわかりません。

 続きは次回。

 

フォトミックファインダーDP-1の分解清掃

 手に入れたニコンF2フォトミックをオーバーホールするにあたって,手始めにフォトミックファインダーDP-1を分解して修理してみました。

 どういう訳だか,ボディ本体の分解手順は本にもなっているのですが,フォトミックファインダーを分解する話はあまり見かけません。

 なんとなく,ですが,F2が純粋なメカであるのに対し,フォトミックファインダーはメカと電気が絡み合っているので,電気アレルギーのあるメカ屋さんが手を出しにくいんじゃないかという気がします。

 しかし,壊れるのもまたフォトミックファインダーだったりします。修理出来ないともったいないです。

 私のフォトミックファインダーは,「露出計不良」として売られていたにもかかわらず,一応動くものでした。ただ,50年近く時間が経過していることもあって,動きは渋いです。

 摺動抵抗の接触不良もあるようで,時々メーターがピクピクと大きく動く事があります。まあ,これくらいはよくあることです。

 ファインダーそのものはカビもありませんし,外側もへこみや傷もありません。この時期のF2としては大変綺麗で,大切に使われていたんじゃないかと思います。

 正直に言うと,このF2フォトミックはちょっと高かったと思います。もう数千円安くても良かったかなあと思う値段でしたが,故障品という割には壊れていませんでしたし,使い込まれた感じもなく,ボディの調子はなかなか良いものでした。

 モルトは交換されているようで,オーバーホールなり点検がされていたのだと思います。ただ,マイナスネジには分解痕がいくつか残っていて,プロがやっていない可能性は十分にあると思います。

 さて,ちょっとまとまった時間を作って,DP-1の分解です。

 海外のサイトなどを参考にし,順番に分解をしていきます。張り皮を剥がし,ペンタカバーを外します。そして裏側のビスを8本外し,2階建てになっている光学系と機械系を2つに分けます。

 今回は光学系には手を出さないので,機械系だけ分解します。

 最初に,シャッタースピードで動くギアと,絞りで動くギアにマーキングをして,組み立て時に困らないようにします。

 摺動抵抗を擦るブラシを取り外し,次にシャッタースピードの表示器のプーリーを外します。

 そしていくつかのビスを外して,2つのギアを外します。

 そして,今回の分解の革新の1つである,開放値をプリセットする機構,別名「ガチャガチャ」を分解します。

 おでこの部分のビスを外し,リンク機構を丸ごと取り外します。取り外した機構をさらに分解してリンクを取り出します。これらをベンジンで洗浄し,注油して組み立てます。注油といっても,指先にオイルを塗り,軸の部分をその指でさっとなぞる程度で十分です。

 組み立てたらテストです。うん,うまく動いています。

 次にギアを清掃して注油していきます。絞りで動くギアの内側に,摺動抵抗が張り付けてありますので,ここをアルコールで慎重に拭いて綺麗にします。

 失敗したのはこの時で,アルコールで洗浄したとき,うっかりマーキングを拭き取ってしまいました。組み立てるときの指標を失ってしなまったわけで,このことで私は何度か分解と組み立てを繰り返すことになります。

 これ以上の分解は必要がないので,ここで組み立てに入ります。ギアの位置を決め,ギアを固定するローラーでギアを組み付けていきます。

 ギアの外周には溝が切ってあり,ローラーが入り込むようになっています。これをうまく合わさないとギアが正しい位置に組み付けられませんし,回転もしません。

 きちんと固定する前にギアのかみ合わせ位置を合わせておき,うまくいったら固定していきます。絞りで動くギアは,左から6番目の山がF5.6の時に前方のリンクのギアとかみ合うようにします。

 シャッタースピードで動くギアは,先程書いたようにマークが消えたので,試行錯誤です。

 組み立てが終わったらボディに取り付けてテストです。

 最初に組み立てたときには,全然絞りとシャッタースピードが連動しておらず,ギアのかみ合わせが全く合っていないことがわかりました。

 そこで,他のカメラの結果を参考に,絞りとシャッタースピードの位置を合わせてから分解して,正しいシャッタースピードになるよう合わせ直しをしました。

 こうして2度目の組み立てが終わったのですが,1段ほどズレてしまっています。

 分解するのも面倒なので,半固定抵抗で調整出来る範囲かどうかを試してみると,見事に適正な露出にあわせ込むことが出来ました。この時すでに深夜3時。

 満足感に浸りながら眠りにつきますが,翌朝起きてから確認をすると,残念な事にEV1が測光範囲から外れていることがわかりました。ISO100,F1.4,1秒で回路がOFFしてしまいます。

 1/2秒だと回路に電源が入るので,やはりギアの位置が1段ほどずれて締まっているようです。

 EV1くらいなら普通に使うよなあと考え直し,再度分解です。今度はISO100,F1.4,1秒の位置で,ブラシが抵抗の端っこに触っているくらいにします。少しくらいズレていても構わないです。

 そして再度の組み立てです。テスを行うと,今度はEV1できちんと電源が入ります。半固定抵抗で露出計を調整し,これでフォトミックファインダーの修理は終了です。

 ・・・といいたいところだったのですが,ここで簡単に終わらないのが私です。

 ファインダーを覗いてみると,メーターの部分に糸くずのようなものがチラチラと見えています。大変目障りですので,これだけは取り除きましょう。

 また分解し,アルコールで拭いて,ブロワーで吹き飛ばして組み立ててです。

 今回はホコリは取れたのですが,別のゴミが入り込んでしまいました。目障りなのでもう一度分解です。

 綺麗になったことを確認し,組み立てです。ファインダーを覗くと綺麗になっているのですが,露出計が動くと,その下にゴミが見つかりました。悔しい。

 もう一度分解,今度こそを意気込みますが,このゴミはなかなか吹き飛びません。苦労してブロワーで吹き飛ばしますが,ちょっと動くだけでなかなか取れてくれません。メーターの「-」の近くに動いてしまったゴミは,もうそこから動いてくれません。

 ここから,メーター部分を分解することも考えましたが,もう私も限界です。実害もないですし,目立たないものなので,もうあきらめることにしました。さすがにメーターを外すのには抵抗があります。

 再度調整をして,張り皮を貼って終わりです。

 動作そのものにはまったく不安はなく,露出計は確実に動いてくれています。

 とはいえ,Aiニッコール50mmF1.4と,Planar50mmF1.4とで比べて見ると,どうもニッコールの方が0.5段ほどズレてしまいます。おかしいなあと思って調べてみると,ニッコールの絞り環には結構な遊びがあり,ガチャガチャの時に余計に回ってしまうことがわかりました。

 そこで,カニ爪を少しだけずらして固定し,遊びがあってもF1.4でプリセットされるようにしておきました。

 すっかり気をよくした私は,F3のJ型ファインダースクリーンが余っていることを思い出し,もともと入っていたA型のファインダースクリーンと交換しました。

 枠だけ流用して交換すると,かなり見やすいです。露出計を再度調整し直して,これで完成です。

 なんか,カメラ1台分丸ごと修理したような疲労感があるのですが,ボディのオーバーホールはこれからです。これだけのものを量産し,サービスしていくカメラメーカーというのは,私が思っている以上に高い技術力を維持しなければならないだろうなあと,そんな風に思いました。

 さて,ボディです。ボディは調子も悪くありませんが,1/2000秒だけが少し遅めです。これは清掃と注油で改善される可能性も高いと思います。

 あと,シャッターを切ったあとに,ミラーボックスのあたりから,バネが「ビーン」と鳴く音がしています。この部分に貼ってあるモルトが劣化しているんでしょう。あまりやりたくありませんが,ミラーボックスを外して確認してみる必要がありそうです。

 

念願のニコンF2

 先日,娘と嫁さんの買い物に付き合って,一緒にデパートにいったときのことです。

 この日はうっかりサイフを忘れて,何を買うにも嫁さんに頭を下げないといけない状態だったのですが,最近欲しいものもないし,多分なんということはないだろうと思っていました。

 ところが,カメラ屋さんのガラスケースに,申し訳なさそうに鎮座しているNikon F2フォトミックと目が合ってしまったから大変です。

 F2はFヒトケタでは最後の機械式です。その高い性能と信頼性から,機械式ニコンの完成形ともいわれます。

 私にとっては,機械式かどうかというより,そのプロの道具らしい質実剛健さと,1970年代らしい流麗さにとても惹かれていて,特に無粋なグリップのない右側の前板が美しいと思います。そう,F2にせよ同じ時期のNikomatELにしても,レンズが左側にオフセットしているので,前板は右側が随分広いのです。このオフセット具合が絶妙だと感じています。

 ここに高剛性の骨格と力強い筋肉がおさまり,幕速10msで1/2000秒を完全メカでたたき出すわけです。高い信頼性と堅牢性とがこの高エネルギーなメカと両立することにはある種の感動を覚えざるを得ません。これを長きにわたって何万台も量産できたことに,私は驚嘆します。

 で,F2は私にとっては最後に欲しいニコンだったのですが,なかなか高価で買うことが出来ませんでした。同じデザインモチーフのNiikomatELをしばらくの間気に入って使っていましたが,伝統の儀式「ガチャガチャ」の仕組みが違っていることもあって,いつかはF2,それもフォトミックが欲しいと思っていました。

 もっとも,実用機としてSPDを搭載しAi化したフォトミックASが一番いいと思いますし,15年くらい前に狙っていたF2はそれだったのですが,今はあえてCdSで非Aiのフォトミックが一番欲しいものでした。

 ここ数年のF2の暴落振りはつとに有名で,私も買うなら今かと思っていたのですが,いかんせんF2が安く売っているような中古カメラ屋さんに行く時間もなく,このままF2を買うことなく死んでしまうのかなあと思っていたときに,そのシルバーのF2フォトミックは私の前に現れたのです。

 お値段は15000円。露出計不良の現状渡しです。使い込んだ形跡はありませんが,さりとて綺麗なものでもありません。ぱっと見て分解痕はなく,少なくとも素人によって無茶苦茶にされた個体ではなさそうです。

 しかし,この時の私は財布を持っていません。嫁さんにばれないようにこそっと買うことは出来ず,嫁さんに知られるにしては高額ですし,かつジャンクに近い銀塩の機械式カメラという,今最も値打ちのないものです。

 もじもじしていると,さすが嫁さん,気にして私に探りを入れてきます。

 拒めず事情を話すと,ニヤニヤしながら「買えば」といいます。

 1時間ほど迷って,買うことにしました。とりあえず見せてもらってから考えようというのは方便で,もう答えは出ていました。ははは。

 ファインダーのくもりがないことやスローシャッターが出ること,圧板やフィルムのガイド,シャッター幕におかしな傷がないことを一通りみて,私はF2フォトミックを連れて帰ることにしたのでした。

 家に帰ってから確認すると,1/1000秒まではちゃんと出ているようです。1/2000はちょっとあやしいです。露出計はとりあえず動いているようなのですが,精度までは見切れていません。

 ただ,全体に動作が渋く,フォトミックファインダーもギシギシいいます。F5.6からF8に動かす時にかなり力を入れないといけないのですが,これは我慢の限度を超えています。

 残念ながらミラーには細かい傷が一杯付いていました。しかしプリズムもフォーカシングスクリーンも綺麗です。ミラーアップしてシャッターを切ると「チン」といういい音がします。ミラーを上げ下げするとバチーンといいますので,内部のモルトが溶けているのでしょう。

 この程度のF2フォトミックなら,1万円くらいで売られているのが普通だそうです。私は随分高い買い物をしたのかも知れませんが,中古だけは一期一会です。同じ物は2つとなく,従って値段も全部バラバラでしかるべきです。

 私のF2は幸いにも,問題となるような故障も破損もなく,現状でもきちんと写真が撮れると思います。しかしそこは完成度の高いメカニカルニコンです。滑らかに動き,もっとシャッターを切りたいと思わせる音と感触亜を復活させたいと思います。

 ということで,ちょっと時間を作ってオーバーホールをしようと思います。

 

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