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EL34シングルを三極管接続で味わう

 ある知り合いから,真空管アンプの修理の依頼を受けました。

 私はアマチュアなので,基本的に修理や製作代行などは受けないことにしているのですが,今回は音が小さくなって困っていて,誰か修理出来ないかという話をしていたということから,引き受ける事にしました。

 どうも,エレキットのTU-879Sというキットを改造したものを,譲ってもらったという話です。真空管をオリジナルの6L6GCからEL34に交換してあることは以前聞いていましたが,それ以外の改造があるかどうかは,全く聞いていませんでした。

 夏の暑い中で真空管アンプの修理をするのは,ほぼ罰ゲームなので,ちょっと急いでおくってもらったところ,確かに無茶苦茶小さい音です。

 どうせEL34の寿命だろうと思っていたのですが,手持ちの新品に交換しても状況は変わらないので,やっぱりどこかが壊れているんだろうと思います。

 あいにく回路図や説明書がなく,当然改造箇所も不明なので,5極管シングルアンプという前提条件で確認をしていきます。

 まず,底板を外すと,なにやら手が入った基板が見えてきます。そう,修理というのは経験上,目視で見つかったりヒントになることが実に多く,電圧を見たり波形を見るのは目視で目処を付けた場所にすると,効率よく進むのです。

 で,基板を外して裏返して見ると,真っ黒に焦げた抵抗と基板が・・・

 抵抗はスクリーングリッドに電圧を印加する抵抗で,3.3kΩです。5W品なので酸化金属被膜でしょう。これが真っ黒になっています。外して抵抗値を見ると無限大になっているので,完全に焼き切れています。

 5W品ですし,酸化金属被膜抵抗は熱に強いので,焼き切れるというのはかなりの電流が流れたからなのですが,スクリーングリッドに本当にそれだけの電流が流れると,かなり大変なことになっていたはずです。

 そしてさらに深刻なものを見つけました。左右両チャネルのカソード抵抗が一度焼損して,基板ごと燃やししまっているようなのです。もともとこのカソード抵抗は330Ωが基板の表面に付いているのですが,この個体では270Ωの赤茶色の酸化金属皮膜抵抗が基板の裏面についていました。

 改めて基板の表面を見ると,基板が真っ黒に焦げています。裏面を見返すとパターンも剥がれてしまっていて,ハンダ付けで修復しているようです。

 こりゃーいかん。

 真空管が内部でショートしたというなら,両方同時に燃えることはないでしょう。悪いケースで想像すると,高音質化を狙ってプレート電流を増やそうとして,カソード抵抗を小さくしたところ,副作用で真空管の暴走を押さえられず,プレート電流が増加して抵抗が燃えてしまった,ということでしょうか。

 この時スクリーン電流も増加して抵抗が焼損した可能性もなくないでしょうが,それだったら同時に交換されないといけませんので,スクリーン電圧を印加する抵抗の焼損は別の時に発生したのでしょう。

 調べてみると,あるメーカーがこのキットを改造したカスタムモデルを出していたようで,これがEL34への交換とプレート電流の増加をうたい文句にしていました。とりあえずこれを真似したんじゃないかと思います。

 もちろん,わかってやっているなら構わないんですが,抵抗の取り付け方を見ていると,基板に密着させていたりして,どうも高圧大電力を扱う事になれていないような感じがします。

 少し浮かせておくというのは,大電力を扱う人なら反射的にやることですし,そうでなくても組み立て説明書に書かれていることなので,説明書もちゃんと読まずに作るような,結構自信家だったんじゃないかと想像します。(でなければ,自分で作り,なおかつ改造し,あげく煙が出たものを修理までした真空管アンプを他人にあげるなど怖くてできないと思いますし)

 また,電源スイッチのスパークキラーもどっかのWEBサイトに書かれていた定番改造ですし,入力のカップリングコンデンサを外してしまうことも行われていました。

 その割にボリュームは元のまま交換されず,入力セレクタはLINE1とLINE2が逆に配線されていたりと,ちょっと首をかしげる箇所も多いです。

 さて,とりあえず持ち主に許可を取り,修理を進めます。あいにく酸化金属皮膜抵抗は在庫が多くないので,いくつか注文をします。数日後に届き,早速スクリングリッドの抵抗を新品に交換します。

 まずこの段階で,EL34は正常に動作をするようなったみたいです。音がちゃんと出て,各部の電圧もおそらく正常と思う値を示すようになりました。ここで一度オーディオ特性を見てみると,歪率はそこそこ,しかし低域が300Hzくらいまでしか出ていません。

 うーん,なにかある。

 続けて安全のため,カソード抵抗をオリジナルの330Ωに戻します。基板の表面に取り付け,パターンを修復しながら取り付けます。

 おや?テスターでパターンを追いかけていくと,どうもカソード抵抗に並列に入っているはずのコンデンサが,繋がっていないようです。なるほど,それで低域が出なかったんですね。

 そこで,330Ωに交換する時にちゃんとコンデンサを繋げてやります。

 ここでもう一度通電し測定をしますと,カソード電流は50mAちょっとになりました。EL34にしては少な目ですが,安全なのは事実です。

 さて,オーディオ特性を取ってみると,やはり低域がぐっと伸びて20Hzくらいまで出るようになりました。

 ね,300Hzくらいしか出ない修理になっていることに気が付かないのに,いっちょ前に入力のコンデンサを外してあるんですよ。おかしいですよね。

 さて,一通り電圧と電流を測定し,オーディオ特性も取ったところで,返却前提でヒアリングです。

 ・・・しかし,どうにも音が悪い。長時間聞き続けることが困難なほどです。自作の6V6シングルと交換しても一目瞭然。というか比較しなくても音が悪いとはっきりわかるレベルです。

 気のせいかと思って嫁さんにも聞いてもらいましたが,確かに悪いと。

 原因の1つは,ボリュームでした。音を小さくしたかったので絞って使っていましたが,そのせいで音質の劣化がひどく,加えて左右のギャングエラーも大きいため,これは交換しないといけません。

 それでも,どうも音が良くないのです。なんというか,平面的というか,ボーカルに艶がないというか,ただ音が出ているだけというか・・・ペラペラでどうにも聞いていられません。

 これを真空管アンプの音だといわれてしまうことは,さすがに私にも悲しいものがあります。

 そこで,一念発起です。他人の改造を批判しておいて,自分はさっさと改造するのかという後ろめたさもあるのですが,そこを差し引いてもこの音のアンプをこのまま返してしまうことは,もう罪です。

 改造すると決まったら,それはもう私が良いと思う音質へ向かう道です。私が目指す音になるように,回路の修整を入れていくことになります。

 スピード感よりも滑らかさ,切れ味よりもきめの細やかさ,広帯域より立体感,周波数より位相というのが私の目指すもので,真空管でいえば多極管より三極管です。

 多極管は電力効率はよいけど音質は今ひとつ,一方の三極管は電力効率は悪いのですが,音質は実に豊かで,真空管ならではの音を奏でます。

 多極管というのは,そもそも三極管の電力効率を改善した真空管で,出力が大きく取れる代わりに歪みも多く,音質の劣化があります。ゲインが取れるので大量の負帰還を使って歪率を改善すると,周波数特性などもぐっと改善されて,数字が大幅に良くなるのです。現在の半導体アンプと似たような考え方です。

 三極管は電力効率が悪く,突っ込んだ電力から取り出せる出力が少ないのですが,その代わり音は素直で無理をしていません。歪みも波形の上下が対象に崩れる2次高調波が多く,適度な歪みであればむしろいい音に聞こえるくらいです。

 そして,ゲインが小さいから負帰還をあまりかける事が出来ず,結果として真空管そのものが持つ個性がそのまま出てきます。まさに大吟醸です。

 で,せっかく真空管なんだから,真空管アンプを三極管以外で作るなんてのは愚の骨頂。多極管を大量の負帰還で使うなら,半導体で作るのが一番です。

 てなわけで,改造の方針が出ました。三極管接続です。

 多極管のスクリーングリッドをプレートに直結すると,三極管と同じ特性を示すようになります。もちろん本来の使い方ではないので,その特性は好ましいものではない場合も多いのですが,幸いなことにEL34は昔から三極管接続の音が良いことで知られていますし,メーカーのデータシートにも動作例が出ているくらい,メジャーなものです。

 安全のため,スクリーングリッドを直結せず,100Ωでプレートと繋いでみます。

 結果,プレート電流は65mAに増加しました。かなり増えてしまいましたが,データシートの動作例にも出てくるくらいの値ですし,まあ良いとしましょう。もちろんプレート損失にはまだまだ余裕があります。

 各部の電圧を測定し,オーディオ特性を取ります。

 歪率は悪くなっています。三極管接続にすることでゲインが下がり,負帰還も小さくなったんでしょう。帯域も狭くなっていて,高域は18kHz止まりです。DFも3.5程度とちょっと小さいので,負帰還を増やしてみます。

 帰還率を3.5dBくらいにして再度測定すると,1Wの歪率が0.9%程度になってくれました。高域も20kHzを少し越えるくらいになり,DFも6を越えるようになりました。いい感じです。

 改造前と改造後で2次高調波と3次高調波をそれぞれ比べてみたのですが,改造前は3次高調波が歪みの主成分であったのに対し,改造後は2次高調波が主成分になり,奇数次の高調波がぐっと減りました。

 しかし,3%歪み時の出力にはそれほど変化がなく,4W弱です。これなら実用上三極管接続にしたことのデメリットは表面化しないでしょう。帰還量を変えたので発振していないか気になりましたが,波形を見る限りそれも大丈夫なようです。

 気をよくした私は,小躍りしながらヒアリングに挑みます。

 おー,これはいい,劇的に変わりました。自作の6V6シングルには圧勝,聴き疲れせず,まろやかで,とてもふくよかになりました。立体的で,人の声がとても生々しく聞こえますし,高調波の少ない楽器(オーボエとかフルートとか)も,きちんと奥行きを保って聞こえてきます。

 DFが良くなったことで低域も締まって聞こえますし,他の音を邪魔しません。

 音量を上げてもこの傾向は変わらず,聴き疲れしません。どんどん音量を上げてしまいます。さすがEL34,三極管接続がこれほど良い結果を生むとは。

 ボリュームを交換したおかげでギャングエラーもなくなりましたし,小音量時の音質劣化も減りました。入力のカップリングコンデンサも追加しましたが,これによる音質の劣化はほとんど気が付かないレベルです。

 よし,これでいこう。

 嫁さんにも満を持して聞いてもらいましたが,一発で良くなったことに気が付いてくれました。その後,どういう訳だか睡魔が襲ってきて目が半開きになっていましたが・・・

 これで少しテストを続け,10時間ほど動かして安全性を確認出来たら,返送しようと思います。

 ふと気が付くと,300Bのシングルと同じ傾向の音になっていました。

 やっぱり,製作者の好みに収れんしていくんですね。気に入ってくれるといいんですが。

SPUその後

 SPU#1Eを使うようになってから1ヶ月弱になりますが,当初の「それ程でもない」という消極的な印象から,今はもうこれしかないと言うほどの安心感と安定感を感じて使っています。

 大変素晴らしいです。

 SPUは基本構造と外観はほぼそのままにしながら,時代と共に改良を重ねてきた現役バリバリのカートリッジです。同じ物がただ長く生産されているわけではありません。

 このあたりがDL-103と違うのですが,個人的には素晴らしい音のするDL-103がいつ買っても同じ音を出してくれる安心感に好感を持っていて,このあたりがSPUとは考え方が違うのかなあと思う部分でもあります。

 SPUは1959年の生まれといいますし,1973年頃の雑誌を見ていると,当時の国内での価格は2万円ほど。これってV15やADCのカートリッジと同じ価格帯で,ついでにいうと国産のまともなカートリッジとも似たような価格です。

 今でこそSPUは高級なカートリッジで憧れの的ではありますが,当時はオーディオ用のカートリッジとしては割と普通のクラスのカートリッジだったんだなあと思います。

 そのSPUが世代を経るごとに価格が上がり,現行のモデルでは20万円を越えるものもあります。もっとも,1973年ごろの2万円は今の6万円くらいだそうですので,国産の高級品なら妥当な価格ですし,V15なんかも為替相場を勘案すると納得のいく価格ではあり,SPUが近年高級路線に進んだことがなんとなく見えてきて興味深いです。

 そんなSPUですが,高級なものになってしまったことへのある種の反省からか,6万円弱という価格で販売されたのがSPU#1です。これも現在のSPUの相場から見ると破格の安さに見えますが,もともとのSPUの価格帯を考えると,まあそんなもんかなあというレベルです。

 しかし,10万円を越える価格であることをせっかく定着させたSPUが,こうして安いシリーズで展開するにはいろいろ議論があったはずで,これまでSPUを使った事がない人への「マイファーストSPU」を狙ったSPU#1によって,私などオルトフォンの目論見通り,まんまと憧れだったSPUのオーナーになっています。

 SPU#1のコンセプトは,安価なことから最初のSPUになることでもありましたが,同時に発売当時の音を再現することもあったそうです。

 1959年に良いとされた音が現代の良い音であるはずもなく,それは単なる懐古主義に成り下がるはずだと私などは思ったわけですが,一方でSPUが現在でも高い評価を得ており,基本構造が他社も含めたMCカートリッジの標準になっていることを考えると,すでにこの当時にある程度の完成度と性能を持っていたとも言えるわけで,だからこそコレクターズアイテムとしての復刻版ではなく,最初のSPUとしてSPUを知らない人達に手に取ってもらうことを狙いに出来るのでしょう。

 ということで,私はオリジナルのSPUの音を知りませんが,SPU#1がそれに近いものだとすれば,SPUに定着したその評価を新品で実際に体験する事になるわけで,当時から変わらないGシェルのあの古典的で優美な外観への憧れも後押しして,SPU#1を使いたくて仕方がなくなったというわけです。

 これまでにも書きましたが,SPUは現在の基準で考えると非常に使いにくいカートリッジで,トーンアームも選びますし,針圧も大きくせねばなりません。ハーバーハングも調整出来ないので適合するトーンアームに取り付けないと歪みが増えてしまいますし,針圧をちゃんとかけられないなら,そもそも音を出すことも出来ません。

 オーバーハングについては,私はアルミの放熱器を加工して台座を作りましたが,その後オリジナルの台座も少し削って,15mmよりも少し大きいくらいに調整をすることができました。

 針圧については,セットカラーと呼ばれる安価な工業用の汎用部品からサブウェイトになりそうなものを探し,ステンレス製のものを1200円ほどで調達しました。

 これで技術的な点ではSPUをならす用意が出来たわけですが,最初の印象が「凡庸な音」という印象だったのに対し,聴けば聴くほど楽しくて,以後他のカートリッジに全く交換していません。

 なんといえばいいのでしょうか,のびのびと音が出るようになったと言うか,鋭角ではないのですがリアリティにあふれ,中音域はとても丁寧で艶やか,低音もタイトで密度のある音が前に出てきます。

 特筆すべきは空間の再現性が素晴らしく,ライブ音源などを聴いていると,まるでその場にいるような奥行きを強く感じる事ができます。粒子が細かいというか,情報量が豊富で,同時に線の太さも持っているので,それこそDL-103とV15の良いところを併せ持った感じがします。

 クラシックや少人数のジャズに確かにフィットするとは思いますが,ボーカルものもとても心地よく,ジャンルによる得手不得手ではなく,使う人の好みにマッチするかどうかに尽きるんじゃないかと思うほどです。

 私が買ったカートリッジの中では一番高価なものがこのSPU#1でしたが,それだけの価値は十分にあったと思います。あれこれつまみ食いをするのではなく,最初からこのSPUを手にしておけば,ずっといい音を楽しめたのになあとも思います。

 しかし,他の人に勧められるかといえば,それは全く違います。これほど使いにくいカートリッジはないと思いますし,今どきの音でもなければ,一般にロックやポピュラーに期待される音を再現する力も乏しいと思います。

 やはり,DL-103やV15を使って,その上でSPUを評価しないといけないのかも知れません。

 とまあ,SPU#1があまりに良い結果をもたらしてくれたので,今私がやっていることは,SPU#1を使ってクラシックとジャズのLPを96KHz/24bitで録音して,いつでもその心地よい音を楽しめるようにしておくことです。

 DR-100mk3でせっせと録音をしていますが,その時間が全く苦痛にならず,楽しくて仕方がありません。まさに30年前のカセットにLPレコードをダビングしていた頃の楽しさそのものです。

 アナログオーディオの本質的な楽しさというのは,このあたりにあるんだろうなと再認識しました。
 

イコライザアンプの大改修とMCカートリッジの個性

 先日からアナログレコードの再生に,コツコツを取り組んでいます。

 なにせ,日々の生活に忙しく,またそれが楽しかったりするので,時間を気にせず没入していくオーディオにはなかなか取りかかれないのですが,それでも10分15分お時間を見つけては,アナログらしい音を聴くために作業をします。

 きっかけは先日も書きましたが,V15typeiVの入手です。これに安いtypeIII用の互換針を差し込んで,私もようやく本物のV15を手に入れました。

 案外いい音を出すので,ついつい楽しくなっていろいろなレコードを聴いてみたわけですが,ラックからレコードを出して眺めていく鬱に,どうもCDで手に入れていない音源もいくつか発見され,これをデジタル化しないといけないという,新しい課題が見えてきました。

 気分とレコードに合わせてカートリッジを選んでトーンアームに取り付けて,ゼロバランスを取ってから,やはり気分とジャンルに合わせて針圧を増減,レコードを慎重にターンテーブルに載せてクリーニング,ゆっくり針を落としてリードインのパチパチに胸を膨らませるという演奏が始まるまでの儀式は,人によっては「道」とよべるほど洗練されているかも知れませんが,これを面倒と思ってしまうとアナログの良さがすっ飛んでしまうわけで,積極的に楽しめることもまた,その人の素質やスキルであろうと思います。

 私などは緩い人なので,こういう手続きが楽しいのはいいとして,どうせその時だけという刹那感もありますから,完璧を求めるようなことは最初からしません。だからこそアナログレコードという底なしの金食い虫の淵をのぞき込むことなく生きていられるんだと思いますが,ゆえにノイズやハムといった絶対悪にさえ,大らかであることが出来ます。

 不思議なもので,レコードのゆっくりとした回転や,ほのかに灯る真空管のヒーターなんかが目に映ると,ハムやノイズに寛容になってしまうものです。これを録音しておき,別の機会に再生すると途端にハムやノイズも気になって仕方がないという経験は,多くの方がされているんじゃないかと思います。音は音だけ作られているのではないという証拠です。

 ちょっと脱線しましたが,最終目的が録音である以上,それなりのクオリティでないといけないわけで,どうせその時だけだからと大らかに構えていたイコライザアンプのハムやノイズに,真剣に取り組むことになってしまいました。

 私のイコライザアンプはいくつか自作した後,K&Rというガレージメーカーのキットを使っています。創意工夫が光る回路はCR型とNFB型のいいとこ取りをし,現代的でスピード感のある音を実現している一方で,音質的な部品へのこだわりが解像感のある。しなやかな音を奏でてくれます。

 MCヘッドアンプも同社のものですが,これも半導体とトランス方式のどちらの弱点も克服する完成度の高さを安価に実現しています。

 電源と実装は私が手元でやったわけですが,これがまあなんとも適当で,電源は三端子レギュレータで済ませていますし,ケースは安いアルミの小さいケースに十重に押し込んでいるお粗末さです。

 電源トランスも近いところにあるし,ワイアリングにも制限があるので,ハムも出まくりです。

 これではいかんと,改修を行うことにしました。

 まず,電源トランスを少し小さいものに替えて,基盤との距離を稼ぐことにしました。その上で純鉄のシールド板を立てて,電磁誘導によるハムを軽減させます。

 電源回路は面倒なのでこのままでもいいんですが,負電源の7912のパスコンが不適切だったので仕様書に従って大きめの値の電解コンデンサを追加しました。とうも発信しやすい不安定な状況にあったように思うのですが,この対策でノイズも減りました。

 ワイアリングも見直し,アースの取り方も時間をかけて検討しました。試行錯誤をしましたが,ACの3Pコネクタをノイズフィルタ内蔵のものに交換し,ノイズと共にACからの誘導ハムをシールドでカットしました。

 MMではほぼハムもノイズも気にならない程度に押さえ込みましたし,MCでも少しハムが残っているくらいに出来ました。ここまで格闘するのに4時間かかってしまいました。なんと贅沢なことか。

 これまでは,レコードに針を落としていれば,無音部分でハムが聞こえて興が冷めてしまったのですが,今回の対策では無音部分のスクラッチノイズよりもハムが小さいので,針を落とすともう気になりません。このくらいで手を打つことにします。

 実のところ,V15typeIVを楽しめれば,MCでのハム退治なんて必要はないはずなのですが,幸か不幸か私はMCカートリッジの決定的なすごさに気が付いてしまい,これで録音をしようと思った事で,ムキになってMCでのハムやノイズを押さえ込むことに夢中になったのでした。

 Kenny DrewのEverything I Liveというアルバムを,カートリッジをとっかえひっかえで聴いていたときのことです。確かにV15typeIVはいい音を出すのですが,いまいち見通しが良くなく,ピアノとの距離が近く,ペタッと張り付いて聞こえます。

 そこで,ものは試しとAT-F3/IIにしてみると,くぐもって聞こえたピアノが華やかになったと同時に,目の前にすーっと音が通る道のようなものが通り,ピアノとの距離がリアルに生まれ,コトッという弦の振動以外の音もきちんと出てくるようになりました。

 おお,なんという空気感,これはAT-F3/II独自の音なのか,それともMCの音なのか,あるいはオーディオテクニカの音なのか,気になって仕方がありません。

 そこで,AT-15Eaにしますが,急に音の空間が狭くなりました。ならGRADOのPrestige2ならどうかと交換するも,さらに窮屈になって聴いてられません。音が籠もって狭いところに押し込められて,首をすくめているようです。

 DL-103に交換すると,AF-F3と同じように,頭上の蓋が取れたような開放感と新鮮な空気を感じ,ピアノと私の距離が適度に生まれました。前の前がぱっと開けた感覚は,AT-F3/IIと同じ傾向です。

 ただ,AT-F3/IIが華やかすぎたのに対し,DL-103は実に適度で,焦らず落ち着いた,重心の低い音を出してくれます。いや,これは実に聴きやすくて心地いいです。

 AT-F3/IIはきらびやかで,1970年代初期のジャズピアノのアルバムを現代風に甦られてくれますが,ちょっと冷たい感じがして,これならCDで聴くのが正しいよなあと思うくらいです。さすがDL-103,日本の標準器です。

 ということで,MMかMCかの違いは,なんとなくMCの方が線が細いくらいに考えていたのですがとんでもない,MCの空間表現能力であるとか,音源との距離感の再現能力であるとか,まるで冬の朝に深呼吸するような爽やかさというのは,理由はさっぱりわかりませんが,もう認めなくてはならないほどはっきりしています。

 一方でMMの閉塞感,音源との距離の近さと窮屈さはなんでしょう。まるで,ピアノの弦にマイクを立てて,平面的に拾っている感じです。(というか実際にはそうやって録音されているんだから正しい再生をやってるわけですが)

 この距離感の近さが有利に働くソースもあるんですが,少なくとも今回のEveryting I Loveについては,見通しの良さと音源との距離感がとても重要であると感じました。そう,まるで,私が鍵盤を前に座って,自分で演奏をしているかのような感じです。

 ああ,なんと奥が深いことか。

 と,こんな顛末があって,デジタル化はDL-103で行う事が決まったのでした。それで,なんとかハムとノイズを低減させる必要に迫られたわけです。

 惜しいのは,DL-103が丸針であり,特に内周でのトレース能力が他の針に比べて低いことでしょう。それでも,0.65ミルの丸針とは思えないほどの音を出してくれるのでいつも感心しますし,丸針であることも含めて,DL-103のバランスを作っているのだと思うので,かつて存在した楕円針がラインナップから消えているのも,わかる気がします。

 DL-103が凡庸な音を出すカートリッジに過ぎず,よほどV15typeVxMRの方がいい音をさせるというケースももちろんあります。MCとMMの違いがここまではっきりわからないソースも多いです。

 だから,どのカートリッジで聴けば楽しいかを考えるのが楽しいのだと思います。おそらく,どのカートリッジを選ぶのが正しいかという正解などないのでしょう。楽しいかどうか,それに尽きるのがアナログレコードの再生なんだと思います。

 忘れてはいけないのは,これを楽しいと思えない人が大半であるという事です。また,これを楽しむためには手間だけではなくお金もかかるという現実があります。

 だからCDに置き換わったことは正しいですし,良いことだったと私は思います。

 

やっぱりDE-04も調整してみた

 先日手に入れて,なかなかよい感触を得ているポケットテスターDE-04ですが,うちのテスターがことごとくそうであるように,この手で再調整を行って,測定値が他のテスターのものと大きく違ってこない状態にしないと,どうも落ち着きません。

 とはいえ,これを行うには調整方法を調べないといけないわけで,そう簡単にはいかないものでもあります。

 DE-04も,良く出来ているとはいえ,0.5%近くも値が小さく出ている状況をどうも看過できず,うちで調整ができないものかと調べてみました。

 DE-04はサンワのPM3のOEMと言われているだけあって,類似点が多くあります。そしてその類似点というのは,概ね同じLSIを使っていることに起因していたりするものです。

 調べてみると,FS9711LP3というLSIを使っていることがわかりました。残念ながらデータシートはFS9721しか入手出来なかったのですが,後継品種だということなのでこのまま進めます。

 FS9721のデータシートによると,調整方法は昔ながらの半固定抵抗で行うとあります。リファレンス回路にもこの半固定抵抗は用意されていますが,果たしてDE-04にも同じものがありました。繋がっているLSIの端子も同じです。

 DE-04のVR2というのが,直流電圧の調整用なのですが,これをいじればとりあえず調整出来るようです。レンジごとの調整はどうするのか,という話になると,これはもう分圧抵抗の精度に依存するので,このVRだけでは追い込めません。

 ここまでわかれば簡単です,いつもの基準電圧発生器を34401Aと一緒に繋ぎ,同じ値になるようにVR2を回すだけです。

 レンジ間の相対精度が揃っていることは前回の確認でわかっていますので,半固定抵抗の調整だけである程度追い込めるはずです。

 で,やってみた結果が以下です。

 まず,基準電圧発生器を34401Aで測定した値です。

2.5017V
5.0035V
7.5054V
10.0066V

 うーん,以前とちょっとだけ値がずれています。34401Aがズレたのか,基準電圧発生器がズレたのか・・・でもまあ,立派なもんですけどね。

 そして,DE-04を調整した結果です。

2.502V 0.3mV 0.011991846%
5.00V -3.5mV -0.069951034%
7.51V 4.6mV 0.061289205%
10.01V 3.4mV 0.033977575%

 まず,ぱっと値を見てみます。34401Aの値を4000カウントに丸めた値が,そのまま出てきていることがわかります。誤差何パーセント言う話ではなく,丸めた結果が同じになっていると考えると,DE-04としてはもう誤差ゼロと言ってよいです。

 であらためて誤差を見てみます。0.07%以内に入っており,かなり良い値になっています。これなら胸を張って正確だという事が出来るでしょう。

 で,今回の比較対象が34401Aによる実測ですので,これまでの「製造元による実測値」とは違います。もちろん,すでに基準電圧発生器の電圧がズレている可能性も大きいのですが,仮に両者の値のズレが34401Aだけで起きたと考えて,これまでの結果と比較をやりやすくするため,製造元の実測値からDE-04がどれくらいズレているかを再度計算してみます。

 製造元による実測値は,これまで同様,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 とします。

2.502V 0.013990766%
5.00V -0.060363540%
7.51V 0.072755958%
10.01V 0.046675122%

 とまあいうわけで,34401Aがズレていたとしても,十分過ぎる精度で落ち着いていることがわかります。7.5Vについては7.50Vと表示すべきところなのでしょうが,どのみち最終桁は±1くらいは当てにならないものですし,これでもう十分でしょう。

 DE-04という使い勝手よく,スペックも十分なテスターに,精度まで備わりました。これでもううちの測定環境は盤石で,はっきり言えば調整出来ないものや,2000カウントの古いテスターはすべて処分してしまおうかと思うくらいです。

 ただ,最近のテスターはバッテリチェッカーが付いていないことが多く,DE-04はもとより,うちでもP-10以外には付いていません。

 P-10のバッテリチェッカーは使用頻度も高く,結構便利に使っているので,これがあるから,すでに調整が出来なくなってしまうほど壊れているP-10を捨てられないでいます。

 負荷抵抗が入るだけの機能ですし,負荷が入るということはそれだけ電池に負担をかける(特にボタン電池など小さい電池)ということでもあるので歓迎されない機能でもあるのですが,そのあたりをわかった上で,損電池をさっと「捨てるか捨てないか」判定する事の出来るこの機能は,やっぱり欲しいのです。

 テスターがこうして調整可能になり,自分で精度管理を行えるようになると(もちろん公式な測定結果としては採用されないわけですが),気分がいいというのもありますが,それ以上に長年使い続けることが出来るという安心感が出てきます。

 測定器は,動くようにするだけでは修理もメンテも出来た事にはならず,調整して誤差がどのくらいあるかを明確にして初めて,使えるようになります。周波数の基準はもう手に入れましたし,中国製の安価なものとはいえ基準電圧も手に入れました。

 素人の測定環境としては,もう十分なところにきたと思います。なにを信じていいのやら,と言う子供の頃のその疑問に,ようやく回答を出せたように思います。

 

HP-12C Platinumを買った

 DM15LとDM16の入手,そしてHP-15CLEの再評価と,HPの電卓漬けになっている昨今ですが,特にDM16でlogの計算をさせるプログラムをいろいろ検討する過程で,随分手に馴染んできたような実感が出てきました。

 通常の四則演算は普通の電卓の入力(ALG)に慣れているが現実ですが,関数については国産の関数電卓がどうにも馴染めず,ずっとポケコンで来ていますから,RPNでスイスイ使えるようになってしまうと,もうこれ以外の電卓は使えそうにありません。

 で,実際に使い込んでみると,世の中の主流をしめる縦長の電卓よりは,横長の電卓の方が私は使いやすく,思えばポケコンも横長だから使いやすいと思って使っているのかも知れないと思うくらい,もうそれだけが理由で電卓の置き換えを考えてしまっています。

 その点で言えば,同じHPのRPN電卓であるHP35sも今ひとつな感じですし,HP30bを改造したWP34Sもやっぱり今ひとつです。やっぱりHP-10Cシリーズなんでしょうね。

 で,HP-15CLEは動態保存機。DM15Lは自宅用,DM16は職場で使うという配備を考えたのですが,DM16はカードサイズでキーも押しにくいシートキーです。ちょっとした計算には,手が伸びにくい計算機である事がわかってきてしまい,あらためてオリジナルのサイズ感やキーの押し心地が大事であると再認識しました。

 でも,DM15Lをもう1つ買うのはもったいないです。HP-15CLEを買うことはもはや普通は出来ませんし,どうしたものかと考えていると,そう,HP-12Cが現行機種である事を思い出しました。

 HP-12Cは金融電卓と言われていて,主にアメリカの金融関係者が使う「便利グッズ」です。登場から30年以上経過してなお,このジャンルの標準として重宝されているそうです。きけば,金融関係のテストでも,持ち込みが許可されているとか。

 オリジナルは他のHP-10Cシリーズとハードウェアを共通にするのですが,他のモデルがディスコンになってからは,ちょっとずつ改良が進んでいて,記念モデルも含めると様々なバリエーションが存在します。

 金融電卓ですので,関数は最小限に絞り込まれていて,やっぱりsinやcosはありません。でも,y^xはあるし,expやlog,lnもあるので,随分助かります。

 それに,統計計算があるのはうれしいです。しかもHP-15Cのそれより強力で,加重平均や2パラメータの推定や相関関数を求めると言った機能が追加されています。
加重平均はありがたいです。HP-15Cでもプログラムを組んであるくらいですし。

 一方で,プログラムは申し訳程度といっていいくらい窮屈で,サブルーチンは使えずジャンプはGTOのみ,そもそも複数のプログラムを入れておくことは想定されておらず,あらかじめGTO命令で実行する行を設定しておもむろにRUNするしかありません。

 ジャンプ先はラベルが使えず,行番号による指定です。ですから,プログラムを修正して行が変わると,ジャンプ先もすべて変更する必要があります。

 プログラムの低機能さは編集にも現れていて,行の削除と挿入が出来ません。なんとまあ,プログラムメモリすべてがGTO 000で埋め尽くされていて,ユーザーがプログラムするというのはつまり,その行を別の命令で上書きするということです。

 うーん。

 なんか,ハンドアセンブルをやってた時代を思い出しましたよ。アセンブラでもラベルは使えましたからね,これは厳しい(でも楽しい)。

 初代HP-12Cは,これに加えて最大99行までという制限まで付いて,まさにプログラミングはおまけ機能のようなものだったのですが,後継機種では400行まで拡張されました。されましたが,ほかの制限は改善されておらず,ラベルもサブルーチンも使えず400行もプログラム出来るかよ,と私などは突っ込んでしまいます。

 お値段は一頃安かったそうなのですが,今は若干高めです。正規代理店が日本国内にはないということもあり,ますます入手が難しくなっている中,amazonで並行輸入品を入手出来るのが救いだったりします。

 HP-12Cはいろいろなバリエーションがあり,amazonで買うと値段もまちまちなので混乱しますが,私の場合特にこだわりがあるわけではないので,最も安いものを6900円で買うことにしました。HP-12C Platinumという機種です。写真を見ると,キーの所まで銀色で,hpのロゴも10年ほど前に使われていたものです。

 ん?この機種は随分古くて,今はもう売ってないんじゃ?

 新品ならいいかと,ポチって届いたものを確認すると,やはり2005年に発売された,HP-12C Platinumの2世代目(F2232A)でした。

 もともと,HP-12C PlatinumはHP-12Cのデラックス版として2003年に登場していて,ノーマルのHP-12Cよりも高速で多機能なモデルと位置づけられていたそうですが,そのノーマルのHP-12Cも1990年代半ばにはCR2032で動くようになり,2008年にはARMコアになったことで,Platinumよりも高速なってしまったそうです。

 その後,記念モデルやなんやでややこしいことになりましたが,レジスタの数やキーのアサインなどの機能的な違いはノーマルとPlatinumの2者間だけだと思っていけば良く,逆に言うと買うときにはこの2つの違いについて知っておくと失敗しないということになると思います。
 
 そういえば,2000年頃と言えば,惜しまれながらHP200LXが消え,WindowsCE機であるJornada720なんかが出ていた時期でした。私はJornada720をしばらく使っていたことがあるのですが,そういえばなんとなく質感が似ています。

 HP-15CLEがいろいろと残念なモデルだったことはよく知られていますが,個人的にはキーのグラグラが許せなく,触っているとモチベーションが下がっていくのがわかるわけですが,私が買ったHP-12C Platinumについては心配無用で,心地よいクリックのある,しっかりしたキーを持っています。

 私はHP35sもキーが気に入らないことも理由の1つとして,あまり使おうという気が起きないのですが,このキーの感触なら常用できます。

 CPUはARMではなく6502ベースのもので,なんとCR2032が1つだけ使われているモデルです。電池交換時にはメモリが消えるんじゃないかと思うのですが,素早くやれば大丈夫かも知れません。今度試してみましょう。

 金融計算は,私は幸か不幸か日常的に行う状況にありませんし,そんなに興味のある分野でもないので,まあそんなもんかで済ませるとして,統計計算は便利ですよね,やっぱり。

 それに,DM16であれだけ苦労したy^xも一発で,三乗根がぱっと出てくるところに感激してしまいましました。
 
 さて,ここまでくると,やっぱり常用機にしたいですよね。

 常用機には,dBの計算ができないといけません。そのために常用対数が必要ですが,あいにくHP-12Cにはありません。そこでプログラムです。

 HP-15CLEやDM15Lと同じように,抵抗の並列接続や電力の計算も入れておくとより実用性が高まりますが,HP-12Cでは複数のプログラムを使い分けることが難しくなっているので,実際の操作方法まで同じに出来ないのが厳しいところです。

 というわけで,HP-12Cで電力のdB,電圧のdB,抵抗の並列接続,電力の計算,そして常用対数を求めるプログラムを作ってみました。

 なにせGSBが使えませんので,まずGTOでそれぞれの先頭の行番号を設定してからR/Sキーを押すことになります。起動方法が他と異なるのはすごく面倒なのですが,仕方がありません。

 ただ,機能ごとに開始行の番号を覚えられるはずもないし,修正すれば行番号が変わってしまうことも考えて,プログラムの先頭にジャンプデーブルを設けることにしました。これ,マシン語のプログラムを作るときにはよくやった方法ですね。

 ですので,GTOで001を設定すれば10*log(x)を,002なら20*log(x),003なら電力,004なら抵抗の並列接続,005ならlog(x)にジャンプするようになっています。そして006行目から010行目までは予備としてあけてあり,今後プログラムを追加しても大丈夫なようになっています。これも昔よくやった方法ですね。

 厄介だったのは,20*log(x)のプログラムから,log(x)をコール出来ないことでした。サブルーチンがあればRTNで元のプログラムに戻ることが出来るのですが,GTOしかないので決まった行にしか跳べません。

 そうすると,別のプログラムから呼び出すときに,元のプログラムに戻ってくれなくなります。なので,残念な事にせっかくのlog(x)はそれぞれのプログラムごとに,埋め込む事になってしまいました。

 ああ,なんだか,大昔のコンピュータを使っている気分です。

 プログラムの呼び出しも面倒ですし,常用出来るかどうかも疑問ではありますが,前述のように統計計算は強力ですし,実はパーセントに関係する計算も強力で,普段使いには便利です。

 こうした,金融計算と科学技術計算,コンピュータ科学用の計算を1つに統合したのがWP34Sだったりしますが,これが使いやすいかと言えばそんなこともありませんし,機能ごとに機種が分かれているのも悪くないと思います。

 HP-12Cは職場で使う事にしましょう。現行機種ですから,壊しても大丈夫です。

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