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2008年12月の記事は以下のとおりです。

師匠との再会

 先日,高校時代からの友人の結婚式に集まったことがきっかけになり,この年末の帰省ではその友人達と改めて晩ご飯を食べようという事になっていました。

 私は当日は昼過ぎに大阪入りすることになっていたので,晩ご飯までの時間をどう過ごすかを話し合ったところ,我々の聖地である日本橋の散策でもするか,ということになりました。友人二人は大阪在住ですから日本橋は別に珍しいものではないはずですが,そこは私にあわせてくれたということでしょう。

 いざ日本橋にいってみると,なかなか混雑していて活気があります。確かに不景気ではありますが,年末の買い物に出てきた人々にとって,少し気が大きくなる楽しい時間だったのではないかと見ていて思いました。

 ちょうど20年前に2度ほどバイトをすることがあり,そしてその後も機会があれば必ず顔を出していたジャンク屋のデジットは相変わらずの盛況で,店員さんも元気でした。特にこれを買おうと決めていた訳ではないのですが,ひとまわりすれば面白いものが見つかるものです。

 そんな風に店内を回っていると,おや,なにやら懐かしい方の姿が・・・

 なんと,私が20年前にお世話になった,当時のデジットの店長その人の姿がありました。

 相変わらず汚いシャツの上にこれまた汚い作業着を着て,無造作に伸びた長い髪はぼさぼさですが,さすがに半分くらいが白髪になっています。当時のままの銀縁の眼鏡の奥には,これも当時のままの「わかりやすい表情」をたたえた瞳が,若者のように輝いています。

 高校生の時にバイトをしたときも,さんざん怒られました。激しい口調で怒鳴られたことも数多いのですが,今の私の「基準」の多くは,彼からの教育によるものでったと,その縁を今でも誇りに思っています。

 バイトの期間はそれほど長いわけではなかったのですが,クソ生意気な高校生だった私は,今の私くらいの年齢の大人が頼もしく,バイトをやめてからもちょくちょく店に顔を出しては,煙たがられながらもまんざらでもなかった説教をされては喜んでいたものです。

 そして大学を卒業するとき,いくつかの会社から最終的に就職先を選ばねばならなくなったとき,唯一相談できたのが彼でした。彼は反体制的な人だったので,てっきり大企業に行くなというはずと思っていたのですが,意外に一番大きな会社にいけといいます。理由を尋ねると,次の会社への就職が楽だから,とすぐさま答えが返ってきます。なるほどと納得した私は,その会社に就職することにしたのです。
 
 以後,生活場所を東京に移した私は,彼と会う機会は少なくなり,最後にはデジットの店頭で見かけることもなくなって,私が彼と会うチャンスは消え失せてしまったのです。

 なにやら取引先のお客さんと商談でも始めるらしく,新製品のHi-Fiアンプのキットを得意げに紹介していたところを,一段落したところで割って入った私は,少し大きめの声で「Kさんですか」と話しかけました。

 「ええそうですよ」と笑顔を崩さず,大きな声で答えてくれたのですが,残念ながら私の顔を見ても表情を変えることはありませんでした。私は「覚えてらっしゃいますか, Aです。」と話をしますが,「ごめん,覚えてないわ」と返ってきます。

 でも,ここで申し訳なさそうな顔をしないのが彼のいいところです。

 私は負けずに「20年ほど前にバイトで使ってもらったものです。就職先を相談して,その会社に今でも行っています。」というと,「少しずつ思い出してきた。」と,うれしい反応を見せていただきました。

 ですが,15年ほど前までは私の顔を見ると「元気してるか」と声をかけてくださったことを考えると,少々残念な気もしましたが,彼の記憶は次々に蘇ってきたようで,取引先のお客さんに「こいつはほんまに生意気でねえ」とニコニコしてお話をしています。しばらくすると商談のために2階の事務所に二人は去ってしまったのですが,「またおいでー」という最後の言葉を真に受けて,私はまた訪ねていこうと思っています。

 私の手は汗でびっしょりでした。なんといっても,振り返って今の私の何割かは,彼の考え方に大きな影響を受けて出来上がっています。彼にとっては数多くのバイトの一人であったとしても,私にとってはかけがえのない師であることに間違いありません。

 おそらく私一人でも日本橋には行っていたでしょうが,友人と待ち合わせて行ったことで,偶然にも出会うことの出来る時間に居合わせることが出来たわけです。友人との縁と,そしてそれがもう1つの縁をたぐり寄せたことのすばらしさに,私は珍しく興奮気味でした。

 ところで,その友人ですが,大阪在住の二人がわざわざ東京から戻ってきた私を連れて行った先は,あろうことか和民でした。理由は2000円のクーポンがあるから,といっていましたが,すでに大阪の人間は自らの食を誇ることすら,出来なくなっていたようです。なお,そのクーポンは来年1月から有効だったというオチまでつき,私はひたすら飲むばかりだったというのはここだけの話です。

G-SHOESの続けて一品

  • 2008/12/26 22:31
  • カテゴリー:料理

 圧力鍋が大活躍です。

 今回は,誰もが一度は通る道,豚の角煮をやってみました。結論から言うと,非常においしく頂きました。市販品に並んだと思います。

 近所の肉屋で豚バラのブロックを買うのですが,ガラスケースには入っていないんですよ。それでじーっとケースを見ていたら,店の奥からオヤジが出てきて「どうぞ」と声をかけてくれました。

 豚バラ肉のブロックを500gください,といきなり頼んでみたところ,驚きもせずはいはいと店の奥に入っていきました。冷蔵庫から子供くらいの大きさもあろうかという大きなバラ肉の塊を抱えて出して,ささっと500gのブロックにして渡してくれました。

 帰り道のうれしかったこと。まるで秋葉原で珍しい真空管でも買って,早速アンプを作ってみようとワクワクして帰るのと同じような感覚です。主婦っていいなあ・・・

 さらに今回は,ゆで卵も投入します。角煮の甘辛いだし汁で煮込んだゆで卵ですから,きっとおいしいはずです。

 とにもかくにも,自分の食べたいものをさっと作るということに,これほど圧力鍋が活躍してくれるとは思っても見ませんでした。


・ゆで卵(かたゆで)
[用意するもの]
 たまご・・・好きなだけ

[作り方]
 1.圧力鍋に付属のスノコを用意する。
 2.水を200cc程入れる。
 3.スノコを入れ,卵を酢のこの上に並べる。
 4.フタをして強火で圧が上がるまで待つ。
 5.「強」になったら1分30秒弱火で圧力を維持。
 6.1分30秒経過したら火を止めて自然冷却。
 7.圧が下がったら取り出し,すぐに卵を冷水で冷やす。
 8.殻をむく。その異次元のむけやすさに涙しつつ食せ。

[注意]
 圧力鍋で蒸してゆでたまごを作ると,信じられないくらいに殻がむける。
 くれぐれも破裂には注意せよ。


・豚の角煮(二人分)
[用意するもの]
 豚バラのブロック肉・・・500g
 ゆでたまご・・・好きなだけ
 しょうゆ・・・大さじ3
 砂糖・・・大さじ3
 酒・・・100cc
 しょうが・・・1かけら

[作り方]
 1.豚バラ肉を少し大きめに切る。たこ糸で縛らなくてもよい。
 2.圧力鍋を熱し,肉を脂身を下側にして入れる。
 3.脂身が溶けたら,6面すべてに焦げ目をつける。ここは重要。
 4.水を500cc投入,フタをして強火で圧が上がるまで待つ。
 5.「強」になったらそこから20分弱火で圧力を維持。
 6.自然冷却。フタをとり,冷えるのを待つ。1時間以上かかる。
 7.冷えたら表面の張った油の層をスプーンで掻き出す。子供の拳くらい油が取れる。
 8.しょうゆ,砂糖,酒を投入し,お好みでゆでたまごを入れる。
 9.フタをして強火で圧が上がるまで加熱。
10.「強」になったら5分間弱火で圧力を維持。
11.自然冷却。冷めたらフタを取り,あらかじめ作っておいたしょうがの絞り汁を入れる。
12.弱火で煮詰める。1時間も煮るとかなり味が染み込むので,しっかり食べる。

[注意]
 最後の煮詰める作業は様子を見ながら行う事。煮すぎるとせっかくの肉が固くなる。

・ふろふき大根(二人分)
[用意するもの]
 大根・・・半分ほど
 米のとぎ汁・・・1000cc
 味の素・・・少々
 市販の田楽味噌・・・1パック

[作り方]
 1.大根はリッチにいきたいので,4〜5cmの厚さに切る。
 2.大根を圧力鍋に入れる。
 3.米のとぎ汁を,大根がひたひたになるくらい入れる。
 4.味の素をほんの一振り入れる。入れすぎは厳禁。
 5.フタをして強火で圧が上がるまで待つ。
 6.「強」になったらそこから6分30秒弱火で圧力を維持。
 7.自然冷却。冷めたらフタを取り,盛りつける。
 8.田楽味噌をつけて,その分厚さを堪能して食せ。

[注意]
 隠し包丁を入れてもいいが,必須ではない。
 米のとぎ汁で煮ると,大根の苦みやえぐみ,辛さが和らぐ。よって,首の部分の青い部分でもおいしく頂ける。
 あと,だし昆布が使えるなら,それがベスト。味の素は緊急時のものと心得よ。


 というわけなのですが,成功の裏には失敗もあり。白いご飯を炊くことと,ビーフカレーを試みましたが,非常に不本意な結果に終わりました。

 白いご飯は,水の量が多すぎました。米の量と水の量は原則的に同じくらいでよいはずなのですが,圧力鍋の場合には水を2割ほど減らす必要がありました。よっておかゆ状態です。

 また,レシピによっては,吸水が必要なしという記述もあったりするので,米を洗ってすぐに炊き始めましたが,やはりコツコツしていて駄目でした。結論から言うと,普通に鍋で炊いた方がおいしいです。

 カレーについては失敗をいっぱいしています。まず,水の量が多かったこと。ルゥを入れる前と入れた後で二回加圧したのですが,最初の加圧が10分と長すぎ,さすがに野菜も崩れてしまっていたことと,肉のうまみが抜けていたこと。

 ルゥを入れてから5分加圧するのに,なかなか圧力が上がらず,強火で無理に上げたら焦げ付いてしまったこと。これは本当に失敗しました。

 そして出来上がったカレーは,やはりしっかり煮込んだ味にはほど遠かったこと。結果として,ルゥを入れるまでの加圧時間は5分,ルゥを入れてからは加圧せずに時間をかけてコトコト煮ること。これを次は試して見たいと思います。

G-SHOESのさっと一品

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 圧力鍋は,先日お伝えしたように,WMFというドイツの名門メーカーの,PerfectPlusを買うことにしました。容量はものすごく悩んだ(悩む人が多いらしい)結果,3.0Lのものを買うことにしました。

 家族がいるわけではなく,せいぜい二人分が出来ればよいですし,あまり大きいと取り回しや洗うのにも億劫になり,使用頻度が下がると考えたからです。むしろ2.5Lでもいいかなと思ったくらいですが,蒸し物などをするときに直径が18cmとやや小振りであることを懸念し,22cmの3Lを買ったというわけです。

 届いてみると,予想通りの作りの良さ,重さです。ドイツらしく機能的で,かつどことなくかわいらしい外観を見ていると,そりゃー嫁入り道具になるわな,と妙に納得です。

 ピカピカ光るステンレスにはキズ一つなく,鍋底の見た目もプロの厨房で見るそれと同じ。安い鍋のペコペコした感じは全くありません。というか,これで殴られたらおそらく死にますね。

 料理中に確認してみたのですが,やはりワンダーシェフのものは不良品だったと考えるのが妥当なようで,今回の圧力鍋では,火を止めてから10分は圧力が維持されています。3分くらいで圧が抜けてしまうようでは,およそ圧力鍋と言ってはいけないでしょう。

 18-10ステンレスとアルミの三層構造はIHと非常に相性が良く,さっと沸騰してくれます。大きさもちょうど扱いやすいサイズで,個人的には圧力鍋に特徴的なあの深さが面倒だったこともあり,この3Lは本当に取り回しも楽です。あまり大きい鍋だと圧力が上がるまで時間がかかるので,短時間調理のメリットが薄れてしまいます。

 つくづく思ったのですが,調理中,鍋の真上に顔を持っていくと,ガスコンロでは熱くてたまらないでしょう。IHでは全然そんなことはなく,ほのかに温度を感じるという程度です。ここにIHの熱効率の良さを感じることが出来るわけですが,圧力鍋との組み合わせは,実に可能性を感じさせてくれます。

 てことで,「G-SHOESのさっと一品」のコーナーです。PerfectPlusを手に入れた週末,土日の二日間で作ってみた「男の料理」を紹介しましょう。思い出しながら書いているので,時間や分量が間違っていたらすみません。


・牛すね肉の赤ワイン煮(二人分)

[用意するもの]
 牛すね肉・・・450g
 タマネギ・・・大なら2個,小なら3個
 赤ワイン・・・400cc
 サラダ油・・・少々
 こしょう・・・少々
 小麦粉・・・少々
 塩・・・少々
 あさつき・・・少々(万能ネギでもよい)

[作り方]
 1.タマネギを適当に刻み,適量の油で飴色になるまで炒める。ここが一番面倒。
 2.すね肉は塩とこしょうを振りかけ,表面に小麦粉を塗りたくる。
 3.フライパンを強火で熱し,肉を投入。出来れば油は引かない。
 4.さっと焦げ目が付いたら,タマネギの入った圧力鍋に投入。
 5.赤ワイン400ccを躊躇なく投入。フタをして強火で圧が上がるまで待つ。
 6.圧力が「強」になったら弱火にして圧力を維持,30分煮込む。
 7.30分経ったら火を止めて自然冷却。約10分で圧が下がる。
 8.鍋から取り出し,盛りつける。塩味は薄めなのでお好みで調整。
 9.あさつき,粗挽きこしょうを振りかけ,しっかり食べる。この際だから余ったワインも一緒に飲んでしまうこと。

[注意]
 要するにワインの味が料理の味を決めるので,ワインは慎重に選ぶこと。


・梅しそおこわ(三人分)
[用意するもの]
 もち米・・・2合
 うるち米・・・0.5合
 梅干し・・・4個
 青じそ・・・10枚
 白ごま・・・少々

[作り方]
 1.もち米とうるち米を混合し,洗う。
 2.水につけるが,30分以上つけてはいけない。(むしろつけないほうがいいかも)
 3.圧力鍋に米,カップ2杯の水,梅干しを投入し,フタをして強火にかける。
 4.圧が「強」になったらそこから3分間弱火で圧力を維持。
 5.3分経ったら自然冷却。
 6.ふたを開け,梅干しを潰して種を取る。
 7.あらかじめみじん切りにした青じそと白ごまを投入し,混ぜる。
 8.おこわは少々冷えてからがおいしい。しっかり食べる。

[注意]
 水の量は実にシビアなので気をつけること。あと混ぜすぎは餅になるのでほどほどに。


・ごぼうの煮物(一人分)
[用意するもの]
 ごぼう・・・1本
 しょうゆ・・・大さじ4
 ほんだし・・・小さじ2
 みりん・・・大さじ3
 白ごま・・・少々

[作り方]
 1.ごぼうは包丁の背で皮を軽くむき,5cm位に切って水にさらす。太いままがよい。
 2.圧力鍋にごぼうと水400ccを投入。
 3.順番など気にせず,ほんだしとしょうゆ,みりんを投入。
 4.フタをして強火にかける。
 5.圧が「強」になったらそこから3分間弱火で圧力を維持。
 6.3分経ったら自然冷却。
 7.ふたを開け,小鉢に盛りつける。
 8.ごまを振ってしっかり食べる。

[注意]
 ごぼうはしっかり煮た方がおいしいと思う。


・ぶり大根(二人分)
[用意するもの]
 ぶりの切り身・・・2きれ(いいものをえらぼう!)
 大根・・・0.5本
 料理酒・・・200cc
 しょうゆ・・・大さじ4
 みりん・・・大さじ3
 しょうが・・・1かけら
 粉山椒・・・少々

[作り方]
 1.大根を3cm位の厚さに切る。圧力鍋なので火は通る。心配するな。
 (もし大きいようなら縦に半分に切り,厚さは死守せよ)
 2.大根とぶりを圧力鍋に投入。
 3.続けて料理酒,しょうゆ,みりんを投入。塩や砂糖は反則なので入れない。
 4.フタをして強火にかける。
 5.圧が「強」になったら,そこから3分間弱火で圧力を維持。
 6.3分経ったら自然冷却。この10分がミソ。
 7.この間に,しょうがをすり下ろし,絞り汁を作る。
 8.フタを開け,しょうがの絞り汁を回し入れる。
 9.強火にかけて煮汁が濃くなるまで煮詰める。
10.鍋から取りだし,盛りつける。大根に粉山椒を少し振りかけ,しっかり食べる。

[注意]
 煮詰める時間で塩味の調整が出来る。はっきりいって激ウマ。


 というわけで,一気に4品です。私はIHが1つしかなく,手際も悪いので時間もかかってしまうのですが,下ごしらえもいりませんし,調味料もほとんど使いませんから,珍しい調味料をわざわざ買うこともありません。材料も少ないですし,それでいて十分おいしいので,まさにさっと一品という感じです。

 圧力鍋でなければ出来ない料理はないわけですが,圧力鍋だからおいしいとか,圧力鍋だから短い時間で済むとか,そういうメリットは大いにあります。特に,お酒で煮込む料理は,フタで密封するからおいしいく出来るし,調理中の匂いもしないわけで,まさに圧力鍋の真骨頂ではないかなあと,勝手に思っています。

 気をつけたいのは,やはり圧力鍋ですので,使い方を誤ると怪我をします。「強」から一気に圧を抜いたのですが,ものすごい蒸気でタオルがびしょびしょになりました。100度以上の蒸気ですので,まともに浴びると命に関わるかも知れません。

 さらにいうと,お酒で煮込む料理はもっと注意ですね。アルコールの沸点は水よりも低い約78度です。これが圧力鍋に充満しているわけですから,当然その蒸気もアルコールのものです。もしこれに引火したら・・・恐ろしいですね。

 私の場合,おこわとぶり大根で結局1時間半ほどかかってしまったのですが,つくづく思ったのは,居酒屋ってのはすごいよなあということです。ぶり大根頼んで,1時間半待たされたら切れますよ。

 開店前の下ごしらえをしっかりしてあるからうまくいくのですが,それにしてもあれだけの種類の料理をさっと持ってくるんですから,本当に大したものです。下手なりに自分でやってみると,その凄さがわかる,という事でしょうか。

 それはそうと,男も歳を重ねると,生活力が強化されてしまいます。料理も自分の食べたいものを自分で作れて,掃除も洗濯もそつなくこなし,アイロンがけも楽しくできるようになってしまうと,これは非常にまずい。とりわけ,ここ最近の便利家電は本当にまずい。

 男女平等とか言いますが,直感的なことだけで話をすれば,もし男が女と同じだけ生活力を持ってしまうと,独身者の比率が今以上に上がってしまうこと,間違いなしです。

 よって,少子化対策には,男から生活力を奪うこと。具体的には,30歳以下の男性が圧力鍋を買う事を禁止すべきです。

 いや,うそです・・・

圧力鍋の入り口

 以前から圧力鍋には興味がありました。

 いや,料理が趣味とか,そんなことは全くありません。

 そもそも男の子はですね,いくつになっても「高温高圧」とか「エネルギー充填」とか「爆発」とか「臨界点突破」とか「チェレンコフ光」とか好きなわけです。そんな中で圧力鍋というのは賢い奥様の強い味方である前に,ワクワクするような実験用具なのです。

 結果として(あくまで結果として)その「高温高圧」が,お肉が柔らかくなるとか,カボチャに5分で火が通るとか,極めて平和的に利用されることに,科学の勝利を確信するのです。

 圧力鍋は,今はなき名著「エピソード科学史」によると,1679年にフックの助手だったフランス人のパパンという人が発明した鍋で,当時はsteam digesterと言われていました。圧力をかけると沸点が上がるという理屈を応用した鍋で,訳あってイギリスで活動していた彼の発明品をチャールズ二世は「科学の鍋」と絶賛したとのことです。

 面白いのは,それまで普通では食べることの出来なかったものをおいしく調理できるようになったこの鍋を,自らの著作でレシピ付きで紹介しているのですが,どんなにおいしく出来るか興味のある人は,王立協会まで食べにきてください,と書いてあるんですね。どれだけの人が行ったか知りませんが,サロン文化華やかな時代でもあり,パパン主催の夕食会には著名な人もたくさん招かれて好評だったということですので,科学と料理が結びついた事がいかに実利の伴うものであったかを,当時の人も知ったことでしょう。

 で,私の場合,電磁調理器が1つしかありません。コトコトと煮物をすると,ご飯すら炊けない(私は炊飯器は故障して以降完全に廃止しました)という有様です。これはさすがに不便なので,どうしても先にご飯を炊き,蒸らしている15分で出来るおかずしか作ることが出来ません。

 てなわけで,料理時間が短縮される圧力鍋は是非欲しかったのですが,2万円以上するという固定観念があり,なかなか機会に恵まれませんでした。ところが最近は安いんですね。アルミ製のものなら1000円からあるとか。それって安全なんか?と思うわけですが,先日の友人の結婚式でもらったカタログギフトに,小型の圧力鍋が載っており,これはよい機会だとお願いすることにしました。

 届いたのはワンダーシェフという会社のロタというシリーズで,2.5Lのものです。普通は付いているとされるスノコなども同梱されていません。この会社のホームページを見ても同じ製品は見つかりませんので,絶版品かカタログギフト用の特別品なんでしょう。

 このカタログギフトの他の製品から想像すると,この圧力鍋の大体の価格もわかろうというものですが,そういう野暮なことはしないのが男です。

 早速,ジャガイモを茹でてみることにします。ジャガイモ4個を半分に切り,水にさらしてさっとアクを抜いて,カップ2杯の水と大さじ3杯の醤油,大さじ2杯のみりんにほんだし(この辺がすごい手抜き)を投入し,フタをしてIHのスイッチを入れます。

 この圧力鍋は,最初に取っ手側の「フロート式安全装置」なる弁から蒸気が出始め,圧力が上がってくると弁が閉じ,圧力が上がり始めます。

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 圧力が上がってくると今度はおもりでふさがれていた穴が開いて蒸気が漏れるようになり,圧力が一定に保たれます。ここで火を止めてもおもりのおかげで鍋は密封されて圧力を保ち,さらに調理が進みます。そして冷めて圧力が下がると,先程のフロート式安全装置がカチャンと落ちて,弁が開きます。

 実はこのフロート式安全装置,弁が閉じている間はフタを開ける事が出来ないようにロックをかけます。だから安全装置というのですね。

 ところが,15分待っても,このフロート式安全装置が閉じてくれません。圧力が上がってないのかも知れませんが,蒸気が漏れているんだから当たり前でしょう。かなりグツグツと煮込んでしまい,これだけ強火で煮れば普通に煮ても食べられるよなあ,と思いつつ,心配になって箸でフロートをツンツンと突いてみると,「かちゃっ」と弁が閉じました。びっくりしました。

 そして圧力が上がると,おもりが浮いてシューシューと蒸気が抜けていきます。圧力は無事に上がったようです。

 ここから5分ほど加熱(実は3分ほどでよかったらしい),そして火を止めます。ここから10分ほど放置すれば,もうほくほくのジャガイモが食べられるといういうわけです。

 安心した私は部屋から出たのですが,やっぱり念のため3分後に様子を見に行くと,すでにフロート式安全装置が下りていて,圧力が抜けていました。

 へ,こんなもんなの,圧力鍋というのは?

 びっくりしてふたを開けてみると,そこにあるはずのジャガイモは,わずか3かけらになっていました。あとは全部崩れて,溶けていました。

 形に残っているジャガイモも,箸で挟むとボロボロと崩れていきます。そりゃそうですね,15分も強火で煮込んだあげく,5分も加圧しているわけですから。

 しかし,結局ジャガイモを茹でるのに20分も使ったわけで,圧力鍋のメリットなど何にもありません。私の頭は?が渦巻いていました。圧力鍋とはこのくらいのことでチャールズ二世に絶賛されたのか?

 そこで実験です。

 この説明書には,細かい文字でいろいろと書かれているのですが,どうも理屈っぽくて途中で読む気がなくなる,不思議な説明書です。人のことは言えませんが。

 1.~は禁止,2.~も禁止,3.~は1.に違反するので禁止,4.~も1.と2.に違反するので禁止,てな具合です。3.と4.の禁止の理由が1.と2.に違反と言われてもこっちはしったことではありませんし,普通に3.も4.も禁止としておけばいいだけのことなのに・・・

 さらに,正常な状態の時の動作と,それぞれの時間についても,わかりやすく書いてありません。結局,不良なのか故障なのか正常なのかを判定する方法が見あたらないのです。

 実際に水を入れて沸騰させ,火を止めてからフロート式安全装置が下がるまでの時間を測ってみました。すると,火を止めてから3分から3分半で,圧力が抜けてしまうことがわかりました。

 確かに,火を止めてからもずっとシューシューと蒸気がどこかから漏れているので,当たり前かなあと思います。

 説明書を見ると,パッキンやOリングの不良,ネジのゆるみなどが書かれていましたが,一度分解して見る事に。すると,圧力調整機構のOリングが正しく取り付けられておらず,ネジに噛み込んで変形していました。初心者並みのミスですね,こりゃ。

 蒸気漏れの原因はこれだと断定し,なんとか正しく取り付けて,確認もせずにいきなりご飯を炊いてみることにします。0.7合のお米と同じ量の水を入れ,フタをします。吸水はしないでいいのが圧力鍋の存在意義ですから,ここは速攻でIHのスイッチを入れます。

 こないだと同じように箸でフロート式安全装置を突っついて弁を閉じ,おもりが浮いて蒸気が出てくるようになったらそこから3分加熱,火を止めてから10分放置のつもりだったのですが,またしてもフロート式安全装置が3分ほどで下がってしまいます。他から蒸気が漏れているみたいです。

 ふたを開けると,そこにはおかゆにもなっていない無残なご飯が・・・ご飯マニアの私には正視できない凄惨な光景でした。

 他の部品の増し締めを試みて,いくら何でも水が不足しているだろうと少しだけ水を入れてもう一度火にかけます。しかしやはりうまくいきません。半分パニックになりながらもう一度点検し火にかけると,今度は焦げ臭い匂いが・・・

 あわてて中を確認すると,しっかり焦げていました。鍋底にこびりついた部分はすでに真っ黒になっています。しかし大半はまだおかゆ状態です。お茶碗に食べられそうな部分だけすくい取ると,量が2/3程になっていました。米という漢字はね,八十八と書くんだよ・・・という今は亡き祖父の声が聞こえてきます。

 ことここに至り,私の怒りゲージは頂点に達しました。いや,ワンダーシェフに連絡して交換なり修理なりしてもらえばいいんですが,なにせ大阪の会社です。傍掲示板によるとサポートの電話は要領を得ず,電話代が無茶苦茶かかりそうですし,メールでは無視されるとのこと。しかも修理に送った鍋がなかなか戻ってこないと,ことサポートについては良い評判は出てきません。

 しかも今からだと確実に年末年始に引っかかります。うむー。

 とにかく,蒸気漏れを防ごう,話はそれからだと,よせばいいのに検討モードSwitch-On!です。

 まず,安全弁です。どうもここからは漏れていないようです。

 次,フロート式安全装置。ここは取っ手の部分と繋がっているので,先に安全装置をねじ込んで,これから取っ手をフタに締め付けないと変形し,蒸気が漏れることが分かりました。適当なトルクで締め付けて,漏れないことを確認。

 もちろんフタのパッキンも確認しましたが,ここは全然大丈夫です。

 となると,やはりおもりですね。

 おもりを用いた圧力調整機構の仕組みは,小さい穴をおもりの載ったニードルでふさいでいるというものです。蒸気圧がおもりの重さに打ち勝つと,ニードルが浮いて蒸気が漏れて圧力が抜けてくれます。

 やはりここが原因のようです。火を止めておもりが落ちても,ニードルが穴をふさぎきれず,ずっと蒸気が漏れています。そうこうしているうちに圧力が下がり,フロート式安全装置が下りてしまうようです。

 そこで,穴とニードルを磨いて,真円度を上げ,かつ密着するようにしてみました。

 すると3分程度だったものが4分半まで改善。でもまだまだです。

 そこで,改めてフロート式安全装置をさらに観察すると・・・これはとんでもないものを見つけてしまいました。

ファイル 246-2.jpg

 フロートは軽く作るために,アルミで出来ています。さらに縦方向と横方向に穴を開けて軽くしているものと思われるのですが,この縦方向の穴開けに失敗して,センターを出せずに穴を開けています。

 写真のように,フロートの外壁を突きっていますね。これって,やっぱり不良品なんじゃないでしょうか。

 安全に関わる高圧部分で,このいい加減な加工は,命を預けるには不足です。しかもこれがリジェクトされず,エンドユーザーに渡るなど,カタログギフトをなめているにも程があります。

 さらにニードルを磨き,フロート式安全装置の弁の部分も研磨して蒸気漏れをふさいで,時計を見ると夜中の2時半・・・こんなことを5時間もやってるんですか,私は。

 睡魔と疲労に魂を吸い取られそうになりながら,研磨が終わって組み立ててみようとすると,シリコンゴムの弁をフロートに固定するスナップリングが見あたりません。

 うわああ,最重要部品をなくしてしまいました。これで万事休す。圧力がかかるとフロートだけすっとんでいってしまうので,こんな危険なものは絶対に使えません。

 しかし,研磨の効果はみてみたい・・・そこで様子を見ながら時間を測定してみました。結果は,3分。全然だめです。

 ここで,私の体力は限界に達し,風呂に入って寝ました。

 冷静に考えてみると,ニードルを削って加工したり,穴にテーパーを付けて磨いたり,フロート式安全装置を研磨したりと,どう考えても「壊した」と判断されるレベルになっています。これをメーカーに「初期不良だ」と送り返しても,到底気持ちのいい対応を期待できないでしょう。

 ま,そもそも年末年始にサポートを期待できないという気分から「壊した」わけですが,今にして思うとフロートの加工ミスがあっただけでも,立派に返品理由になったんじゃないかと思います。

 どうせもらい物ですし,販売店に交換をお願いするという普通の対応が難しいカタログギフトですから,運が悪かったとあきらめたわけですが,本来なら洗米-吸水-炊飯-蒸らしで軽く1時間かかる普通の鍋での炊飯が,わずか20分で済んでしまう強烈体験を味わってみたいですし,しかもそのご飯はとてもおいしいらしいじゃないですか。

 あきらめきれない私は,ちゃんとした圧力鍋を物色,フィスラーとWMFで迷った結果,「ドイツでは嫁入り道具」という噂もあるWMFの3Lのものを注文しました。「ドイツ」と「嫁」のダブルフラグにはあらがえません。

 あまり不良品のことをいうのは気が向きませんが,とりあえずこのワンダーシェフという会社,中国製でも日本で加圧試験をやってるので問題なしと豪語する割には,テストしていればすぐ分かる不良をそのままギフト用に回すということで,私の中では久々に最低最悪のフラグが立ちました。それよりなにより,安全装置の加工がこんなにいい加減(これが良品だという基準ならもっとやばい話です)というのは,もうあきれてものも言えません。

 特に安全に関わる装置です。場合によっては怪我をしたり,最悪の場合命に関わるもので,かつ長く使われる性質のものです。実際に昨年事故も発生しています。コスト優先も大事ですし,圧力鍋を庶民に広めた功績は大きいと思いますが,それでも圧力鍋のようなものは,最低ラインを割ることは許されないことだと,このメーカーには苦言を呈しておきます。

 あ,ところで,なくしたスナップリングですが,昨日掃除機をかけていたら見つかりました。一応圧力鍋として使えるようにはなったのですが,火を止めて急冷し直ちに圧を抜くような調理方法では,使えるかも知れません・・・

レンズキャップが届きました

 昨日,FA77mmのレンズキャップが届きました。ヤマトのメール便で届きましたので,連絡をしてから割とすぐに発送してくれたんだと思います。

 早速中身を確認してみましたが,全く問題なし。かすり傷1つついていません。

 いやはや,感謝です。

 中身にメモ1枚付いていませんので,電話で話をしたように送り返す必要もないのだと思います。

 早速FA77mmの取り付けて見ましたが,これでようやくスタートラインですね。ただ,せっかく綺麗なレンズキャップが届いたので,これを常用するのももったいないような気もします。落としたりしますし,なくしてもつまらないので,安いプラスチック製のレンズキャップを使おうかと,考え中です。

 ところでFA77mmですが,つくづく素晴らしいですね。写りも人間らしさがあり,見た人に「これはいいなあ」と感じさせますし,質感は撮影者に「もう一枚」と思わせ,レリーズボタンを押させます。

 また,これだけコンパクトであることは予想外のことでした。MEsuperに付けて撮影をしてみましたが,全然違和感もありませんし,取り回しも楽です。K10Dに取り付けたときのバランスも良く,これは格好いいなあと思わせますね。

 しかし,究極的に,このレンズはやはりLXに取り付けたときが一番格好がいい。雑誌の表紙でLXにFA77mmというのを見たことがありますが,これははっきりいってしびれました。

 なかなか時間がなく,外に持ち出すことが少ないのですが,年末年始の帰省で使い倒そうと思います。

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