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2010年12月の記事は以下のとおりです。

実はSFXnを買いました

 先日,クリスマス前の休日に,近所のデパートのカメラ屋さんを見ていたら,PENTAXのSFXnが2000円で売られているのを見つけました。

 SFXやSFXnといえば,私が高校生の頃,後発だったPENTAXがようやく発売したAFカメラです。いかにも1980年代のカメラという感じのプラスチッキーな感じもそうですし,当時は最先端だったかも知れない性能だって,今から見るとオモチャみたいなものです。

 その後出たSF7やMZシリーズには,私は全然興味がないのですが,SFXだけはとても気になる存在でした。なんといっても,同時の私はSPのユーザーです。時代遅れの感じがあったPENTAXがようやくα7000やEOS650に匹敵するカメラを作って肩を並べたと知れば,やはり感情移入は起ころうというものです。

 で,2000円という価格もあり,また手持ちのレンズで遊べるなと思って,保護しました。中古カメラにも「保護」という言葉が使えるようになるとは,思いませんでした。

 ガラスケースから出してもらうと,底面に入荷日を記したメモが貼り付けられています。見ると,11月中頃の日付があります。そうか,2000円でも1ヶ月以上も買い手がつかなかったのかと,値段よりもむしろこのことの方が私には悲しくなりました。

 家に持ち帰って動作の確認ですが,電池が切れていて動きません。そこで外部電源を無理につないで動作確認をします。問題なく動作していそうです。シャッター速度も低速は少なくとも出ているようですし,AFも問題なく動作しています。さっと露出を確かめてみましたが,こちらも問題なしのようです。

 フィルムを通しての確認は,電池(2CR5です)を買ってからになりますが,返品不可のジャンク品でも2000円という価格から,動作そのものには問題はないだろうと考えたところ,正解でした。傷も少なく,大事に使われていたようです。

 さて,特に目立った性能も個性もないSFXnですが,もう少し素性を調べて,いろいろ遊んで見たいと思います。なんだかんだで,当時の高級モデルだったわけですし。

HC-20の修理〜追補

 HC-20ですが,軽微な問題が発生し,追加で対策をしました。

 ACアダプタで動かしているとき,プリンタを動作させると,印字桁数が多い場合に電圧が下がり,減電圧の割り込みが発生,ChargeBatteryというメッセージと共に,印刷が止まってしまうという問題が起きました。

 M-160という形式の,HC-20に内蔵されるプリンタは,縦に8ピン並んだヘッドではなく,横に4ピン並んだプリンタです。桁数が少ないと動作するピンは少ないのですが,桁数が多くて,それこそ紙の幅いっぱいに印刷するような場合,4ピンがフル稼働します。

 以前書きましたが,1つあたり最大で3Aですので,ピークで12Aも流れます。さすがに一度にこれほど流れませんし流れる時間は短いので電池駆動では何ら問題はありませんが,ACアダプタ,というより三端子レギュレータの保護回路のせいで,ピンが駆動されたときに電圧が急激に下がります。

 今回,電圧検出器の定数を変更し,ヒステリシスを持たせないようにしましたが,これも今回の原因の一員です。そもそもヒステリシスはある範囲の電圧変動を無視するためにあったわけですから,これをなくせば小さな変化でも検出してしまいます。

 そこで,今回はアナログ的な方法で解決を試みます。本質的に,ヘッドに急激な電流が流れることは織り込み済みの話です。短絡と違って,長い時間電流が流れるわけではありませんから,大容量のコンデンサに充電しておけば,解決するくらいの話でしょう。

 そこで,手持ちの3300uFを2つ並列にし,三端子レギュレータの出力に取り付けます。ちょっとした電圧変動なら,これで十分カバーできるはずです。

 狙いはぴったりで,プリンタの動作くらいでは電圧の変動は起こらなくなりました。

 本当に,本当にこれで問題はつぶせました。HC-20はようやく実用機として動き出すことになったのです。

 未だエミュレータも存在しないマシンです。こういう貴重なマシンを持つ者として,動態保存は義務だと思いますが,改造をすることは邪道という見方もあるでしょう。しかし,完全に昔のままを維持することは,可能ならそれが一番よいのは当然として,現実はとても大変です。今の技術を上手に利用して,マシンの持つエッセンスを「残す」形で,長い時間持ち続けることが出来るよう,工夫することもまた1つではないかと私は思っています。

 

HC-20の修理その5〜完結編

ファイル 434-1.jpg

 HC-20の修理に関する検討が,あっけなく終了しました。

 前回,SRAMのOEをGNDにして常にLowにしておくと動作せず,Eクロックの反転(正確にはEクロックの反転とSLEEPのAND)をつなぐと動作するので不可解だと書きました。

 不可解なまま終わらせても結果が良ければそれでよいという考え方もあり,疲れていた私としては逃げるように終わりにしようと考えたのですが,やはりここは白黒はっきりさせないといけないと考え,波形をきちんと取って,検証しようと考えました。

 疑問の根本は,OEが常にLowになっていることと,Eクロックの制御でLowになる,すなわちアクセス時にLowになるという動きとの間に,どんな差があるというのかという点です。

 前回書いたとおり,OEは常にLowで問題はないはずです。もちろん,アクセス時にLowになる事でも問題はないはずですから,今回の疑問は動くはずの回路でなぜ動かないのか,という点に尽きます。

 この話,先日ゆっくり風呂に入って検討の計画を練っているときに,解決の糸口が突然ひらめいたのです。

 とても単純な話ですが,OEをGNDに接続する際,もしかするとSRAMの一番左下のピンにハンダ付けをしたのではないのかと,ふと思い出したのです。

 普段面実装品ばかりを扱う関係で,ついついTopViewで考えてしまう癖がついていますが,今回のSRAMは面実装品を基板の裏面に取り付けましたので,裏返して取り付けています。ということはBottomViewで考えないといけない訳です。これをミスしていたのではないか,そんな疑惑が出てきたのです。

 そして疑惑は確信に変わりました。今日,意を決して本体をもう一度分解し,基板を確認したところ,本来の接続先である右下(つまりSRAMの15ピン)は,全くハンダ付けされた形跡がありません。

 なにも考えず,とにかくOEをGNDにつないで通電します。

 動きました!全く問題ありません。当たり前と言えば当たり前の話です。

 結果として,私が先日書いた通り,OEはGNDで問題なし,もちろんEクロックの反転でも問題なしです。SRAMにとっては,どちらも同じ意味です。

 消費電流ももう一度きちんと計り直しました。

 OEをEクロックで制御する場合も,GNDに落とした場合も,全く同じ電流となりました。動作時には22.7mA,スリープ時には12.1mA,そして電源OFF時には35.9uAです。この時の電圧は5.3Vです。

 電源ON時の平均消費電流は17.4mAとなり,前回よりもかなり小さな値です。エネループは1800mAですので,実に103時間。これはかなり良好な結果です。

 電源OFF時の電流は約36uAですから,実に50000時間!2083日,69ヶ月,5年以上も持ちます。まあさすがにこれは出来すぎですが,1年くらいは確実に大丈夫でしょうね。

 ということで,自分なりに納得のいく結果が得られました。特に消費電流にについては疑問も多く,こういう結果になったことは大変うれしいです。

 メモリは32kByteを実装しています。256kbitのSRAMを1つだけ使って,これを実現しています。証拠写真を載せておきます。STAT ALLと打ち込んだ結果です。

ファイル 434-2.jpg

 思えば,今回の修理も大変でした。基板が電解コンデンサの電解液で断線するという,当時の設計者があまり考えなかったようなことで故障したマシンを,手作業で修理することの面倒くささたるや,筆舌に尽くしがたいです。

 戦前,特にラジオが真空管を使い始めた頃の最先端技術として,電解コンデンサが登場しました。当時誰も見たことがなかった数十マイクロファラッドという巨大コンデンサが現実になったことで,電灯線から直流を得ることが可能になり,アンプの音質も改善したはずです。それがのちのち,経年変化として最悪の事態を招くとは,皮肉なものです。

 しかし,今回の修理は私にとって新しい地平を開いたも同然でした。私は80系の人で,68系のハードウェアは組んだことがありませんし,深くその動作を考えたこともありません。Eクロックに同期する同期バスというのも,言葉としては理解していても,実感を伴った,血や肉となる知識ではりません。

 それが今回の一件で,かなりバスのタイミングについて学ぶ機会を得たわけです。Eクロックに同期するとはどういうことか,バスサイクルとはどういうことか,6800や6809を使ったシステムを作ることを疑似体験させてもらいました。

 苦手意識はすでに去り,RAMでもROMでもI/Oでも,Z80も6800も気にせず遣い回すことが出来ます。この点は重要なことで,古いマシンを修理するのに,元の部品が手に入るとは限りませんから,手もとにあるものでうまく代用する必要があります。68系だから駄目というような贅沢は言ってられないのです。

 とてもいい勉強になったことと,その動作を丁寧に拾っていったことで,HC-20にはとても愛着がわきました。PC-8201でも,PC-2001でも,PC-1245でも,論理的な裏付けによって期待する動作が確定したときの充実感は,そのマシンへの愛着に帰着します。名機たるHC-20に愛着がわかないことに後ろめたさを感じていた過去とは,これで決別です。

 せっかくうまく動いた訳ですから,なにか実用的な利用法を考えたいところです。なんといってもフルスペックのBASICと,小型のプリンタを内蔵しているのです。うまく利用法を考えたいと思います。

ファイル 434-3.jpg

 しっかし,疲れた。

HC-20の修理その4

 HC-20がとりあえず現状復帰しました。RAMは16kByteのままです。

 わずか2kByteのSRAMを8つも搭載して16kByteというのはあまりに不細工ですし,HC-20は最大32kByteのRAMをサポートしていますから,できる事ならRAMくらいフル実装してあげたいところです。幸い手持ちにMB84256という256kbitのSRAMが大量にあります。

 こうした動機から,修理の初期段階で工場出荷時のSRAMを全部基板から取り去り,256kbitのSRAM1つに換装して,大失敗をしたわけですが,その後もこの話はちょっと手間取っていました。

 この手の非同期SRAMというのは,CSというチップ全体をONにする端子と,OEというデータの出力を制御する端子,そしてWEという書き込みを制御する端子の3つで制御します。

 CSはチップ全体ですので素早く反応出来ません。通常,SRAMをランク分けするアクセスタイムという数字は,この速さを示しています。

 OEはCSの速度よりずっと速く動きますが,あくまで出力を出すか出さないかという端子に過ぎませんから,SRAM全体の電源を切る行為に相当するスタンバイモードへは遷移できませんし,WEよりも優先度は下になります。

 WEは書き込みの端子ですが,先にCSをEnableにしてからWEをEnableにするWEコントロールドライトと,先にWEをEnableにしてからCSをEnableにするCSコントロールドライトがあります。

 どちらも同じように思うかも知れませんが,書き込み動作が行われるのがWEなのかCSなのかという大きな違いがあり,WEの役割が前者は書き込みのトリガ,後者がバスの方向を切り替えるスイッチという点で,考え方を変える必要があります。

 一方,HC-20で使われているSRAMは,ちょっと違っています。OEがなく,CSがCE1とCE2の2つになっています。この2つはANDであり,両方の端子がEnableにならないとSRAMがONになりません。(えと,CSかCEかはメーカーによって違うだけで,ほぼ同じ意味で使われています。私個人はCEだとややこしいので,インテル風にCSと言うようにしています。)

 ここで,それぞれの真理値表を書いておきますね。CSとOEを持つSRAMはMB84256,CE1とCE2を持つSRAMはHC-20で使われているuPD449という古いSRAMとします。

 MB84256
CS OE WE  状態
H  X  X Stand-by
L  H  H Hi-Z
L  L  H Read
L  X  L Write

 uPD449
CE1 CE2 WE 状態
X  H  X Stand-by
H  X  X Stand-by
L  L  H Read
L  L  L Write

 見ての通り,大きな違いはSRAMが選択されても出力を出さない状態の有無と,書き込み時にCSさえEnableなら書けてしまうかCE1もCE2もEnableでないと書けないかという,そういう違いです。

 考え方として,CSとOEを持つSRAMのわかりやすいところは,

(1)アドレス確定
(2)チップ選択
(3)動作指定(Read or Write)

 という具合に,時間軸できれいに整理出来るのですね。私はこれに馴染んでいる人ですが,どちらかというと80系はこれかなーと思います。

 一方CE1とCE2のあるケースだと,

(1)アドレス確定
(2)動作指定(Read or Write)
(3)チップ選択(CE1とCE2同時)

 となりますので,結果は同じとはいえ,なんか気持ち悪いです。(2)と(3)が同時だったりするので,どうもしっくりきません。

 さて,通常,SRAMを換装する場合のセオリーは,CSがアドレスデコーダからの出力に接続,OEはRD,WEはWEに繋ぎます。

 で,80系だと,メモリ空間とI/O空間が分かれているので,それがメモリ対象ならMERQが,IO対象ならIORQが,それぞれ同時に動きます。そこでメモリのRDとWEについてはMREQと,IOのRDとWEについてはIORQと,それぞれANDを取ってやるのです。

 この接続は,アドレスの確定,チップの選択,動作指定という流れに綺麗に従っており,80系のバスタイミングにそれなりに合致します。(といいますか,非同期SRAMの動作として,極めて自然だと思います。)

 同じ考え方で,HC-20のSRAMを,MB84256に換装することにしたわけですが,この試みは失敗に終わるわけです。

 まず,アドレスデコーダです。HC-20のSRAM空間は,0100hから7FFFhまでです。0100hなんてCP/Mっぽくて笑ってしまいますが,CPUの内蔵RAMとI/O空間ですので,ここはSRAMの空間ではないという,それだけの意味です。

 80系のCPUと違い,68系のCPUはRESET解除後,プログラムカウンタを0にして起動せず,FFFEhとFFFFhに書かれた値をプログラムカウンタにロードして起動します。リセットベクタを可変出来ることはメリットのようで,私は別に大した利点に見えないのですが,こういう事情もあって,HC-20では80系マシンと違い,RAMを前半32kByte,ROMを後半32kByteに配置してあります。

 HC-20の回路図によると,8つのSRAMのアドレスデコーダは定番の74138(実際にはTC40H138)を使っています。そして,このデコード出力は,0000hから00FFhまでをデコードしたIOCS信号とリセット信号によっても制御されています。このデコーダの出力はSRAMの18ピン,CE2に繋がります。

 1チップで32kByteを実現するMB84256のアドレスデコーダを作るためには,A15が0,リセットが1,そしてIOCSが0の時にEnableになるような回路を作ればよいのです。私は手持ちの関係で74LV00を使って,このデコーダを作りました。デコーダの出力は,前述のセオリー通りCSに繋ぎます。

 続いて,OEはオリジナルのSRAMの20ピン,CE1に繋がっていた信号を繋ぎます。これは結局6800系に特徴的なEクロック(の反転)です。HC-20の場合,Eクロックの反転と,SLEEPの時にLowになる信号のANDを取ってあり,SLEEP中にはSRAMへのアクセスが起こらないようになっています。消費電力の低減にも役だっています。

 そうそう,SLEEPというのは,別に電源を切ったときのことを言っているわけではなく,なにも処理を行っていないときに動作を停止して,消費電流を半減させる仕組みです。キーの入力などの割り込みで通常モードにさっと復帰します。これを1982年当時にやってるんですね,すごいです。

 WEはそのまま元のSRAMのWE,データバスとアドレスバスもそのまま繋ぎます。

 ところが,すでに何度も書いているように,動きませんでした。画面にゴミが出まくって,暴走します。

 配線間違いやら勘違いでもしたかなと,深く考えずにCSとOEを入れ替えてみると,なんとまあさくっと動いてしまいました。これが一昨日の話です。

 「動いたんだから成功だ!これでいこう!Ok!好了!」

 とビールを飲み始めるも,なぜかおいしくありません。釈然としないのです。

 何度も書きましたとおり,CSにはアドレスデコーダからの出力を繋げていました。しかしこれでは動かず,アドレスデコーダの出力をOEにつなぎ,EクロックをCSに繋いで動くというのは,どう考えても納得いかないわけです。

 まずは動かないはずの配線で,なぜ動くのかを考えます。

 まず,HC-20で使われているuPD449のCE1とCE2はANDされた端子であり,どちらかが優先されることはなく,機能も全く同じです。ゆえに,uPD449のCE1とCE2と入れ替えても動くはずです。

 では,CSにEクロックが入った場合を考えます。Eクロックはバスサイクルを示すすべての基準信号ですが,Highの時にリードかライトが起こります。CSがEクロックで制御されSRAMがONになるのですから,これはOKですね。

 これに引き続き,OEにアドレスデコード信号が入った場合です。アドレスのデコード出力が入ると,データが出力されます。他のアドレスのメモリからはデータが出ませんので,バスの衝突は起こりません。従ってリードは成立します。

 最後にWEです。WEはOEに優先しますから,EクロックがHighでWEがEnableだと,書き込みが起こります。これだと他のアドレスを持つ別のデバイスへの書き込みでもSRAMに書き込みが起こってしまうので,本当だったら暴走するはずです。

 しかし,HC-20の場合,外部のデバイスはなんとSRAMしかありません。RTCもあるにはありますが,RTCであるMC146818へは,純正の68系ファミリらしく,専用の方法でアクセスされているので,SRAMと同じ非同期のバスにぶら下がっている書き込み可能なデバイスは,他にはないのです。

 よって,WEがEnableになるのは,SRAMへの書き込みだけとなります。SRAMが複数チップにあると暴走しますが,今回は1チップですから,暴走もしないわけです。

 うーん,動いているには違いないのですが,やっぱりおかしいです。

 試しに,ほぼすべてといっていいRAM空間を,55hとAAhで埋め尽くすテストを行いましたがエラーはなし。クロック600kHzのマシンなら,タイミングは多少ダルでも動いてしまうのでしょう。

 ですが,モニタからROMのアドレスであるE000hに書き込みを行うと,SRAMの6000hにおかしな値が書き込まれました。アドレスのデコードが行われずに書き込みが行われるのですから,ROMの出力とCPUの出力が衝突し,これがWEで書き込まれたのでしょう。

 実際にROMへの書き込みは通常起きませんから,このままでも実用上は問題ないのかも知れません。しかし,データの衝突も起きていますし,もし拡張スロットにデバイスを追加するようなことがあったら,完全に破綻します。それに,たまたま動いているだけの話ですから,ダメなものはダメというところでしょう。

 では,逆の見方をして,なぜ動くはずの回路で動いてくれないのでしょうか。CSにアドレスデコード出力,OEにはEクロックの場合を考えてみます。

 68系のタイミングチャート見ていると,WEに繋がっているR/W信号は,バスサイクルの先頭で確定し,終了までその状態が維持されます。アドレスも同じで,従ってアドレスデコード信号も,1サイクルの間動きません。

 OEはEクロックですので,バスサイクルの真ん中辺で変化します。データが有効なところでHighになります。

 バスに乗っているデータは,このEクロックがHighになったところで有効になるわけですから,書き込みはこのタイミングで行われなければならないのに,EクロックがLowのところでもWEがEnableになっています。もし,WEコントロールドライトであったとしたら,正しいデータは書き込まれません。

 ここで改めて考えてみると,元のSRAMはCE1とCE2を持っていました。CE1とCE2はANDされて,MB842156でいうところのCSに内部で繋がっています。

 ということは,アドレスデコード信号とEクロックのANDを取って,CSに入れているのと同じことです。一方,MB84256でいうOEは常にEnableになっていると考えられます。

 ということは,HC-20の書き込みは,先にWEを確定し,CSをトリガにするCSコントロールドライトであるということです。いやー,今さらなにを,という感じです。

 しかし,私が動くはずだといっている回路では,WEが先に確定し,次にCSが確定するべきなのに,CSに繋がっているのはアドレスデコード信号ですから,WEと同時にEnableになります。ここではデータがバスに乗っていませんから,正しい値が書き込めるはずもなく,そりゃ暴走するわけです。

 ゆえに,OEとCSを入れ替えてEクロックをCSに入れれば,CSコントロールドライトでめでたく書き込みが成立するわけで,動くはずのない回路で動くことの説明もつきました。

 なら,対策は簡単。

 uPD449のCE1とCE2と同じように,アドレスデコード信号とEクロックのANDを取ってMB84256のCSに入れて,OEはGNDに落とせばよいのです。

 幸い,MB84256の真理値表を見ると,OEの優先度は最低で,スタンバイも書き込みも,OEの状態は無視されます。有効になるのはWEがDisableで,CSがEnableのときだけですから,ずっとGNDに落としておいても問題なさそうです。

 なお,CE1とCE2という具合に,CEを2つ持つSRAMには厳密に言うと2種類あります。SRAMの基本形はCSとOE,そしてWEであることを前提にすると,OEをGNDに落としCE1とCE2が本当にANDされてCSに入るというもの,例えばuPD449やHM6118などがこれに該当します。

 これに対し,OEにはCE2が,CSにはCE1とCE2がANDされて繋がっているものもあります。TC5116やHM6117がこれに該当しますが,CE1だけがEnableになっても動作せず,CE2もEnableにならないと動かない点では前者と同じですし,CE2すなわちOEだけがEnableになっても動作しないことも同じです。

 ただ,前者と違って,CE1とCE2は全く同じではなく,CE2はOEにのみ繋がっていますからCE2の動作速度はOEと同じで,高速に動作します。CE1があらかじめEnableになっていれば,CE2で出力を制御できる訳で,OEの高速性を犠牲にしない合理的な方法と言えます。

 今回問題になっていることは,EクロックがOEに繋がっているがゆえにライトの時に無視されることであり,この回路が期待するCE1とCE2が共にEnableになることで行われるCSコントロールドライトに失敗することにあります。

 ですので,TC5516でもHM6117でもuPD449でも,どれでも今回の場合は問題ないという事になります。平たく言えば,細かいタイミングではなく,真理値表が問題だということですね。いやー,中学生以来の疑問,TC5516とHM6116の使い分けがやっと分かった気がします。まだまだ未熟者です・・・

 では試してみましょう。ANDを取るといっても負論理ですので,ORゲートが1つ必要です。手持ちにHC32が2つ入ったTC7W32がありますので,これを使います。

 それで,結果なのですが・・・ダメです。動きません。画面にゴミが出ておわりです。

 これだけ考えてダメということは,かなり凹むところなのですが,OEをGNDに常時落としてあるところが引っかかっていて,OEをEクロックの反転(つまり元のCE1)に繋ぐと,あっさり動き出しました。

 メモリチェックも通り,ROMへの書き込みでもRAMが破壊されません。

 なんでだろう。

 OEをGNDに落とすと,CSがEnableになると無条件にデータが出力されるわけですが,CSはアドレスデコード信号とEクロックのANDを取ってあるので,結局EクロックがHighの間しかデータは出てきません。

 OEをEクロックの反転に繋いでやったことと,見た目にはなにも変わらないはずなのに,片方は動かず,もう片方は問題なく動いています。不思議です。

 書き込みもスタンバイも非選択も,OEの状態は無関係です。読み出しの時だけLowでなければならないと決まっているだけですから,OEを常時GNDにすることで問題はないはずなのです。繰り返しますが,OEをEクロックの反転とANDしたって,CSにはEクロックが織り込み済みなわけですから,同じことのはずなのです。

 理論的には手詰まりになり,今も動かなかった原因,動いている原因を考えているのですが,どっかでバスの衝突が起きているということくらいしか思いつきません。

 部屋が散らかり放題散らかっていることと,疲れていることを理由に,論理的裏付けはなくとも,そのまま話を進めることにします。

 バッテリと直結で安定化されていないVLとVCの2つの電源は,DC-DCコンバータで昇圧,安定化します。VBとVCおよびVLに繋がったパターンをカットし,この間にHT7750を使ったDC-DCコンバータを挟み込む感じです。

 で,電池は結局エネループを4本使うことにしました。そうすると電池の収納場所が問題なのですが,いろいろ触っている内に名案が閃きました。

 マイクロカセットやROMカートリッジが格納される場所は,私のHC-20は中身が空っぽのダミーカートリッジがついています。ここに単3のエネループを4本入れると,ちょうどの大きさです。

 ここから逆流防止用のショットキーダイオードを通し,VBに繋ぎます。順方向電圧だけ下がってDC-DCに入りますが,DC-DCの出力は問題なく5Vで安定化されます。後述しますが,電圧検出はVBで行います。

 一方,ACアダプタからは,7805で5Vに安定化してVBに突っ込みます。幸い逆流防止用のダイオードは最初から基板についているので,これをそのまま流用します。

 ところが,電圧検出器の設定電圧が,下が4.49V,上が4.89Vでヒステリシスを持つようになっており,普通のシリコンダイオードを通った後の電圧が4.4Vあたりまで下がると,もう動作しなくなってしまうのです。

 実はこの話,電池の場合も深刻です。Ni-MHの下限電圧である1.1Vまで使い切ると,トータル4.4Vです。ここまでは動いて欲しいのですが,ショットキーダイオードを通して0.3Vも下がってしまうと,満充電の電池でもわずかな時間しか駆動できそうにありません。

 そこで,ヒステリシスを持たせないようにR51を削除,また検出電圧を4.0Vあたりまで下げるため,R5に2.2kΩを直列に追加しました。

 さらに,7805のCOM端子にダイオードを入れてかさ上げします。0.6Vくらい上がるかと思ったのですが,逆流防止用ダイオードの後で,最終的に5.3Vくらいになっていました。これがそのままあちこちに加わりますが,一応動作電圧範囲内なのでよしとしましょう。

 これで,エネループでも対応になりましたし,9Vくらいの非安定化タイプのACアダプタでも問題なく動作するようになりました。あやまって高い電圧のACアダプタを差し込んでも壊れることはありませんし,バッテリも使い切ることができます。

 もともと入っていた電池は4.8Vで1100mAhのNi-Cd電池です。ということは5280mWhです。これがエネループになると,4.8Vで1800mAhですので,ざっと1.64倍に増えました。

 消費電流は,動作時27mA,スリープ時12mA,そして電源OFF時に400uAという結果です。改造前は電源OFF時が600uAと大きかったのですが,RAMの数が減った分少なくなり,DC-DCが増えた分増えて,このくらいの値になったのではないかと思います。

 で,動作電流は,27mAと12mAで変動します。平均すると約20mAですね。この状態で1100mAhの電池を使い切ると,ざっと55時間。メーカーの公称値が50時間ですので,まあこんなものでしょう。

 これが今回のエネループになると,実に90時間も動作することになります。随分とグレードアップしたものです。

 また,電源OFFの時の電流が0.4mAですので,4500時間。約187日ですので,半年くらいは持つ計算ですけど,半年というのはちょっと短いなあという印象です。1年くらい持って欲しいです。

 実は,検討の途中で一度電源OFF時のバックアップ電流を測定したことがあり,この時は40uAと一桁少ないものでした。なぜ今回増えたのか,ちょっとわからない(もしかすると見間違いかもしれない)ので,とりあえず現実を受け入れようと思います。

 ここまでの作業を切った貼ったで切り抜けて,なんとか動くところまで持っていきました。肝心要の理論的裏付けがまだですので,これで終わったわけではありませんけども,一応形になり,動かすことが出来るようになりました。

 動いて見ると,実に他愛もないコンピュータなのです。当時は小さく,軽いものだったかも知れませんが,私が今使っているMacBookAirと比べると,パワーも大きさも軽さももはや桁違いと言ってもよいくらいです。

 ただ,机の上に並べられた2つのモバイルマシンをつくづく眺めてみると,全てのノートパソコンは,このHC-20から始まったということを実感します。世界初のノートパソコン,それがHC-20です。

 HC-20には,完全CMOS構成,RAMのバッテリバックアップ,電源ONですぐ起動,そして演算やキーの操作が行われていないときには消費電力を半減させるステートがあるという,現在のパソコンの原理を先取りする仕組みがあります。

 形の上で,ノートPCの元祖と言うだけではなく,技術的な仕組みやそれをやろうとする動機となる,いわばモバイルとはこうあるべきという設計思想という点で,HC-20は始祖であると,私は思いました。

ラムダッシュの自動洗浄機の問題が突如解決

 自動洗浄機のトラブルで困り果てていたラムダッシュですが,あっけなく問題が解決してしまいました。

 洗浄中の泡の発生がものすごく,その結果空気抜きのパイプに泡が侵入し,水浸しになったり空気が抜けずに洗浄液がプールに溜まったままになったりと,散々な問題を起こしており,洗浄液の濃度を下げる,洗浄液を少しすてて液面を下げるなどの工夫で,騙し騙しここまでやってきました。

 しかし,水で薄めて泡の発生を抑えても,翌日にはなぜか元のように盛大な泡が発生してしまいますし,洗浄液を少し捨てても捨てた分だけ泡が発生して結局結果は同じという,なんとも不思議な現象が起こっています。

 異物を投入したり水を入れて薄めたりと,雑菌の発生がかなりあるのでしょう,実はこの1ヶ月ほど,毛穴からばい菌が侵入して,吹き出物がひどいです。

 このままでは埒があかない,一か八かで,カートリッジを交換してみることにしました。

 前回も交換して何の改善も見られなかったので,今回もダメかもと思っていましたが,冷静に考えてみると今回のカートリッジは,購入時期も場所も異なる,別ロット品(と思います)です。

 カートリッジは3つで1パックですから,前回と前々回は少なくとも同じパック。その前ももしかすると水漏れが起こっていて,そのせいで空気抜きのソレノイドが断線したと考えられます。

 しかも,この状態で約1ヶ月使い続けたのですが,ヒゲくずがタンクに入って底に溜まっています。しかもぶよぶよとしたゼラチンのようなものが,タンクの内壁にへばりついています。

 以前はこんなことは全くなく,ヒゲくずはカートリッジのフィルタで越し取られ,タンクには洗浄液しか入ってきません。それがこういう状況になるというのは,どうもカートリッジに問題があるようです。

 これでだめなら捨てるだけ,とカートリッジを交換して洗浄すると,なんと,あっさり元通りになりました。

 泡もほとんど発生せず,ヒゲくずもタンクに戻りません。もちろん髭剃りは清潔を保っており,油も供給されるせいでしょうか,そり心地もよいです。

 こんなことなら,さっさとカートリッジを交換しておけばよかった,1ヶ月もかけて検討するようなことだったのかどうか,私はとても悲しくなりました。

 残念な事に,このパックのカートリッジは全部使ってしまい,捨ててしまったので手元にはありません。不良品として送り返せば代わりのものくらいは送ってもらえたかもしれませんが,もはやそれも出来ません。そんなことより,やっぱり時間の無駄と,顔の吹き出物が悔しいところです。

 これまで外側のカバーを取り付けず,むき出しの状態で使っていた洗浄機ですが,これをうけて元通り取り付けて,現状回復となりました。カートリッジは検査できませんから,こうした不良が混じってしまうとどうにもならなくなるのは分かりますが,水漏れや体調に関わる問題だけに,慎重になって欲しいと思います。

 おそらく,パナソニックはこうした問題に気が付いていないのではないかと思います。また,「ラムダッシュ カートリッジ 不良」でgoogle先生に聞いてみても,それらしいものは出てきません。

 私だけの問題とは,ちょっと思えないのですが,皆さんどうしているのでしょうか。私はとりあえず,カートリッジが原因だったようです。

 これから年末,新年を迎えるにあたり,とりあえずボロボロになった顔の傷が治ってくれることを,期待したいと思います。

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