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2019年06月の記事は以下のとおりです。

フォトミックファインダーDP-1の分解清掃

 手に入れたニコンF2フォトミックをオーバーホールするにあたって,手始めにフォトミックファインダーDP-1を分解して修理してみました。

 どういう訳だか,ボディ本体の分解手順は本にもなっているのですが,フォトミックファインダーを分解する話はあまり見かけません。

 なんとなく,ですが,F2が純粋なメカであるのに対し,フォトミックファインダーはメカと電気が絡み合っているので,電気アレルギーのあるメカ屋さんが手を出しにくいんじゃないかという気がします。

 しかし,壊れるのもまたフォトミックファインダーだったりします。修理出来ないともったいないです。

 私のフォトミックファインダーは,「露出計不良」として売られていたにもかかわらず,一応動くものでした。ただ,50年近く時間が経過していることもあって,動きは渋いです。

 摺動抵抗の接触不良もあるようで,時々メーターがピクピクと大きく動く事があります。まあ,これくらいはよくあることです。

 ファインダーそのものはカビもありませんし,外側もへこみや傷もありません。この時期のF2としては大変綺麗で,大切に使われていたんじゃないかと思います。

 正直に言うと,このF2フォトミックはちょっと高かったと思います。もう数千円安くても良かったかなあと思う値段でしたが,故障品という割には壊れていませんでしたし,使い込まれた感じもなく,ボディの調子はなかなか良いものでした。

 モルトは交換されているようで,オーバーホールなり点検がされていたのだと思います。ただ,マイナスネジには分解痕がいくつか残っていて,プロがやっていない可能性は十分にあると思います。

 さて,ちょっとまとまった時間を作って,DP-1の分解です。

 海外のサイトなどを参考にし,順番に分解をしていきます。張り皮を剥がし,ペンタカバーを外します。そして裏側のビスを8本外し,2階建てになっている光学系と機械系を2つに分けます。

 今回は光学系には手を出さないので,機械系だけ分解します。

 最初に,シャッタースピードで動くギアと,絞りで動くギアにマーキングをして,組み立て時に困らないようにします。

 摺動抵抗を擦るブラシを取り外し,次にシャッタースピードの表示器のプーリーを外します。

 そしていくつかのビスを外して,2つのギアを外します。

 そして,今回の分解の革新の1つである,開放値をプリセットする機構,別名「ガチャガチャ」を分解します。

 おでこの部分のビスを外し,リンク機構を丸ごと取り外します。取り外した機構をさらに分解してリンクを取り出します。これらをベンジンで洗浄し,注油して組み立てます。注油といっても,指先にオイルを塗り,軸の部分をその指でさっとなぞる程度で十分です。

 組み立てたらテストです。うん,うまく動いています。

 次にギアを清掃して注油していきます。絞りで動くギアの内側に,摺動抵抗が張り付けてありますので,ここをアルコールで慎重に拭いて綺麗にします。

 失敗したのはこの時で,アルコールで洗浄したとき,うっかりマーキングを拭き取ってしまいました。組み立てるときの指標を失ってしなまったわけで,このことで私は何度か分解と組み立てを繰り返すことになります。

 これ以上の分解は必要がないので,ここで組み立てに入ります。ギアの位置を決め,ギアを固定するローラーでギアを組み付けていきます。

 ギアの外周には溝が切ってあり,ローラーが入り込むようになっています。これをうまく合わさないとギアが正しい位置に組み付けられませんし,回転もしません。

 きちんと固定する前にギアのかみ合わせ位置を合わせておき,うまくいったら固定していきます。絞りで動くギアは,左から6番目の山がF5.6の時に前方のリンクのギアとかみ合うようにします。

 シャッタースピードで動くギアは,先程書いたようにマークが消えたので,試行錯誤です。

 組み立てが終わったらボディに取り付けてテストです。

 最初に組み立てたときには,全然絞りとシャッタースピードが連動しておらず,ギアのかみ合わせが全く合っていないことがわかりました。

 そこで,他のカメラの結果を参考に,絞りとシャッタースピードの位置を合わせてから分解して,正しいシャッタースピードになるよう合わせ直しをしました。

 こうして2度目の組み立てが終わったのですが,1段ほどズレてしまっています。

 分解するのも面倒なので,半固定抵抗で調整出来る範囲かどうかを試してみると,見事に適正な露出にあわせ込むことが出来ました。この時すでに深夜3時。

 満足感に浸りながら眠りにつきますが,翌朝起きてから確認をすると,残念な事にEV1が測光範囲から外れていることがわかりました。ISO100,F1.4,1秒で回路がOFFしてしまいます。

 1/2秒だと回路に電源が入るので,やはりギアの位置が1段ほどずれて締まっているようです。

 EV1くらいなら普通に使うよなあと考え直し,再度分解です。今度はISO100,F1.4,1秒の位置で,ブラシが抵抗の端っこに触っているくらいにします。少しくらいズレていても構わないです。

 そして再度の組み立てです。テスを行うと,今度はEV1できちんと電源が入ります。半固定抵抗で露出計を調整し,これでフォトミックファインダーの修理は終了です。

 ・・・といいたいところだったのですが,ここで簡単に終わらないのが私です。

 ファインダーを覗いてみると,メーターの部分に糸くずのようなものがチラチラと見えています。大変目障りですので,これだけは取り除きましょう。

 また分解し,アルコールで拭いて,ブロワーで吹き飛ばして組み立ててです。

 今回はホコリは取れたのですが,別のゴミが入り込んでしまいました。目障りなのでもう一度分解です。

 綺麗になったことを確認し,組み立てです。ファインダーを覗くと綺麗になっているのですが,露出計が動くと,その下にゴミが見つかりました。悔しい。

 もう一度分解,今度こそを意気込みますが,このゴミはなかなか吹き飛びません。苦労してブロワーで吹き飛ばしますが,ちょっと動くだけでなかなか取れてくれません。メーターの「-」の近くに動いてしまったゴミは,もうそこから動いてくれません。

 ここから,メーター部分を分解することも考えましたが,もう私も限界です。実害もないですし,目立たないものなので,もうあきらめることにしました。さすがにメーターを外すのには抵抗があります。

 再度調整をして,張り皮を貼って終わりです。

 動作そのものにはまったく不安はなく,露出計は確実に動いてくれています。

 とはいえ,Aiニッコール50mmF1.4と,Planar50mmF1.4とで比べて見ると,どうもニッコールの方が0.5段ほどズレてしまいます。おかしいなあと思って調べてみると,ニッコールの絞り環には結構な遊びがあり,ガチャガチャの時に余計に回ってしまうことがわかりました。

 そこで,カニ爪を少しだけずらして固定し,遊びがあってもF1.4でプリセットされるようにしておきました。

 すっかり気をよくした私は,F3のJ型ファインダースクリーンが余っていることを思い出し,もともと入っていたA型のファインダースクリーンと交換しました。

 枠だけ流用して交換すると,かなり見やすいです。露出計を再度調整し直して,これで完成です。

 なんか,カメラ1台分丸ごと修理したような疲労感があるのですが,ボディのオーバーホールはこれからです。これだけのものを量産し,サービスしていくカメラメーカーというのは,私が思っている以上に高い技術力を維持しなければならないだろうなあと,そんな風に思いました。

 さて,ボディです。ボディは調子も悪くありませんが,1/2000秒だけが少し遅めです。これは清掃と注油で改善される可能性も高いと思います。

 あと,シャッターを切ったあとに,ミラーボックスのあたりから,バネが「ビーン」と鳴く音がしています。この部分に貼ってあるモルトが劣化しているんでしょう。あまりやりたくありませんが,ミラーボックスを外して確認してみる必要がありそうです。

 

念願のニコンF2

 先日,娘と嫁さんの買い物に付き合って,一緒にデパートにいったときのことです。

 この日はうっかりサイフを忘れて,何を買うにも嫁さんに頭を下げないといけない状態だったのですが,最近欲しいものもないし,多分なんということはないだろうと思っていました。

 ところが,カメラ屋さんのガラスケースに,申し訳なさそうに鎮座しているNikon F2フォトミックと目が合ってしまったから大変です。

 F2はFヒトケタでは最後の機械式です。その高い性能と信頼性から,機械式ニコンの完成形ともいわれます。

 私にとっては,機械式かどうかというより,そのプロの道具らしい質実剛健さと,1970年代らしい流麗さにとても惹かれていて,特に無粋なグリップのない右側の前板が美しいと思います。そう,F2にせよ同じ時期のNikomatELにしても,レンズが左側にオフセットしているので,前板は右側が随分広いのです。このオフセット具合が絶妙だと感じています。

 ここに高剛性の骨格と力強い筋肉がおさまり,幕速10msで1/2000秒を完全メカでたたき出すわけです。高い信頼性と堅牢性とがこの高エネルギーなメカと両立することにはある種の感動を覚えざるを得ません。これを長きにわたって何万台も量産できたことに,私は驚嘆します。

 で,F2は私にとっては最後に欲しいニコンだったのですが,なかなか高価で買うことが出来ませんでした。同じデザインモチーフのNiikomatELをしばらくの間気に入って使っていましたが,伝統の儀式「ガチャガチャ」の仕組みが違っていることもあって,いつかはF2,それもフォトミックが欲しいと思っていました。

 もっとも,実用機としてSPDを搭載しAi化したフォトミックASが一番いいと思いますし,15年くらい前に狙っていたF2はそれだったのですが,今はあえてCdSで非Aiのフォトミックが一番欲しいものでした。

 ここ数年のF2の暴落振りはつとに有名で,私も買うなら今かと思っていたのですが,いかんせんF2が安く売っているような中古カメラ屋さんに行く時間もなく,このままF2を買うことなく死んでしまうのかなあと思っていたときに,そのシルバーのF2フォトミックは私の前に現れたのです。

 お値段は15000円。露出計不良の現状渡しです。使い込んだ形跡はありませんが,さりとて綺麗なものでもありません。ぱっと見て分解痕はなく,少なくとも素人によって無茶苦茶にされた個体ではなさそうです。

 しかし,この時の私は財布を持っていません。嫁さんにばれないようにこそっと買うことは出来ず,嫁さんに知られるにしては高額ですし,かつジャンクに近い銀塩の機械式カメラという,今最も値打ちのないものです。

 もじもじしていると,さすが嫁さん,気にして私に探りを入れてきます。

 拒めず事情を話すと,ニヤニヤしながら「買えば」といいます。

 1時間ほど迷って,買うことにしました。とりあえず見せてもらってから考えようというのは方便で,もう答えは出ていました。ははは。

 ファインダーのくもりがないことやスローシャッターが出ること,圧板やフィルムのガイド,シャッター幕におかしな傷がないことを一通りみて,私はF2フォトミックを連れて帰ることにしたのでした。

 家に帰ってから確認すると,1/1000秒まではちゃんと出ているようです。1/2000はちょっとあやしいです。露出計はとりあえず動いているようなのですが,精度までは見切れていません。

 ただ,全体に動作が渋く,フォトミックファインダーもギシギシいいます。F5.6からF8に動かす時にかなり力を入れないといけないのですが,これは我慢の限度を超えています。

 残念ながらミラーには細かい傷が一杯付いていました。しかしプリズムもフォーカシングスクリーンも綺麗です。ミラーアップしてシャッターを切ると「チン」といういい音がします。ミラーを上げ下げするとバチーンといいますので,内部のモルトが溶けているのでしょう。

 この程度のF2フォトミックなら,1万円くらいで売られているのが普通だそうです。私は随分高い買い物をしたのかも知れませんが,中古だけは一期一会です。同じ物は2つとなく,従って値段も全部バラバラでしかるべきです。

 私のF2は幸いにも,問題となるような故障も破損もなく,現状でもきちんと写真が撮れると思います。しかしそこは完成度の高いメカニカルニコンです。滑らかに動き,もっとシャッターを切りたいと思わせる音と感触亜を復活させたいと思います。

 ということで,ちょっと時間を作ってオーバーホールをしようと思います。

 

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