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GR1のLCDを修理した

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 子供の入学式が先月あり,節目には銀塩で写真を撮ろうと思っていた私は,久々にフィルムを買って,防湿庫から銀塩でしか楽しめないカメラを引っ張り出しました。

 1つ目はCLEとコシナのレンズ。NOKTON Classic40mmF1.4MCと,ColorSkopar28mmF3.5です。このカメラは,自分で電気回路をほぼスクラッチしたもので,娘の生まれたばかりの姿を残してくれたものであって実に思い出深いカメラですが,それゆえにちゃんと動くかどうかが心配でした。

 少し動かしたところ問題なく動いたようで,早速1本通したのですが,もう胸が高鳴ってたまりません。レンジファインダーのカメラはいいですねえ。撮る側も撮られる側も,心地よい緊張感があります。

 もう1つはPENTAXのSuperAとFA43mmF1.9ltd。K-1を買わなかった私はこのお気に入りのレンズをフルサイズで使うことが出来ないため,銀塩専用レンズと考えています。

 APS-Cで使うと43mmという絶妙な画角が変わってしまいますし,銀塩の解像度,銀塩の発色でこそこのレンズの収差が生きる,と感じているので,無理にデジタルで使わないことに決めたのです。

 そうなるとボディをどうするかですが,やはりこれはうちで比較的まともなKマウントのMFボディであるSuperAでしょう。ちょっと挙動がおかしかったのですが,これもフィルムを通してみれば全く問題なし。

 どちらのカメラで撮影したフィルムも,綺麗に現像されて戻ってきました。

 で,このフィルムを3月下旬に発売になったES-2とD850を使ってデジタイズしたのですが,その話は後日。今回はそうしてちょっとした銀塩ブームである私が,これまた久々にGR1を手に取り,修理にあたった話です。

 GR1は言わずと知れたリコーの高級コンパクトで,とにかく良く写るGRレンズ28mmF2.8に,マグネシウム合金製の軽くて丈夫な筐体を持ち,パトローネの大きさが全体の大きさを決めたという小型パッケージングで,今なお人気のカメラです。

 私が持っているのは1996年に発売になった初代で,カメラ雑誌で見た花畑の広告にやられて,旅行用に妥協しない画質のカメラとして新宿のカメラのドイで買いました。懐かしいなあ。コンパクトのくせにF2.8で,絞り優先AEが使えるのが決め手でした。

 その後,私と嫁さんの二人がなにかと言えば持ち出すカメラだったのでそれなりに活躍してくれたのですが,私は私でどうも使いこなせず,AFの中抜けや動作音の軽さに興ざめしてしまい,ちょっと疎遠になっていました。

 話が飛びますが,このちょっと使えてないなあ,という感覚はデジタルのGRになっても感じていて,それであまりGRを使っていません。

 GR1はなんといってもレンズです。とにかく良く写るレンズで,階調も豊かです。

 TC-1や28Tiのように偉そうな面構えでなく,軽快なスナップに向いていることもあり,最終形のGR1vなどは中古でも6万円以上,初代のGR1でも3万円の値段が付きます。もともと10万円のカメラだったとは言え,この値段はちょっとすごいです。

 機構がシンプルで,R1というカメラでこなれていることもあってか,メカが原因の故障は少なく,比較的丈夫なカメラなのですが,それでもやっぱり持病はあり,特に有名なのはLCDのセグメント欠けです。

 GR1のLCDは小さく,セグメントなので大した情報は出てこないんですが,それでもないと不便なのは事実で,残り枚数を示す数字が見えなかったり,各種モードが表示されないことで悲しみに暮れるオーナーは世界中にいます。

 私のGR1は数年前に見たところ,セグメント欠けはなかったのですが,先日確かめてみると見事に欠けていました。いよいよダメになってしまいましたか・・・

 それ以外にも,ファインダー部分の塗装が剥げて黒い地の色がたくさん出てしまってみっともないし,モルトはボロボロになっているしで,これはちゃんと修理しないといけないなあと,意を決して分解を始めました。

 メーカーが修理をやってくれれば潔く修理に出すのですが,もう部品が払底したらしく,LCDについては断られるんだそうです。ただ,数年前まで修理を受け付けていたそうなので,LCDの修理を自分でやった例は検索しても出てきませんでした。

 さて,軍艦部を外してみると,マイコンと操作系をマウントしたフレキが折りたたまれて入っているのですが,ここにLCDも取り付けられています。LCDはハンダ付けではなく,カーボンにょる導電性の印刷がなされたフレキを熱で溶ける接着剤で接着してあります。ああ,この実装方法は安価なLCD製品にはよくあるものです。

 これ,数年間は大丈夫なんですが,10年もすると確実に剥がれてしまい,セグメントの欠けがおこります。

 根本的な修理はフレキの交換で,GR1の場合はLCDごと交換していたんでしょう。調べてみると基板側のフレキが剥がれていて,ここを押さえると欠けがおさまります。

 最初はクリップか何かで押さえつけようと思いましたが,そんなスペースもないし,きっとうまくいかないように思ったので,なにかいい方法がないかと考えていました。

 ふと思い出したのは,この手のフレキの剥がれは,最後熱溶着すれば治るという話を思い出しました。具体的な温度は忘れましたが,フレキが溶けない程度の温度(つまりハンダゴテはNG)で押さえつけてやれば,また導電性を保ったままくっつくという話です。

 事実,私はこの方法で時計を何度か修理しています。コツは,熱のかけ方です。ドライヤーでは範囲が広すぎますし,温度の管理も難しいです。そこで,フローリングの床を補修するキットに含まれていた,電熱のコテを使いました。これは補修剤を熱で溶かす温度にはなりますが,ハンダやフレキを溶かしてしまうような高温にはなりません。

 先端が広がっているのも好都合で,これで数秒間熱を加えて押しつけます。それでもうまくいくことは少ないのですが,ちょっとずつ熱を加えて何度もやり直すより,思い切って熱をたっぷりかけて一発で修理した方が好成績だったりします。

 今回もその方法で試します。

 まず,LCDフレキn接着面を表に出すため,ハンダ付けを外して折りたたまれたフレキを広げます。LCDフレキが出てきたらここに補修用のコテを数秒間当てて,綺麗にくっつけます。

 くっついたら電源をいれて,セグメントの欠けを確認します。

 私の場合,とても簡単に復活しました。その後も不具合は出ていません。もしかすると私は,GR1の持病を治した世界でも稀少な人になったのではないでしょうか。

 ファインダー部分の塗装は,剥げた部分のタッチアップだけと思っていたのですが,あまりに範囲が広いので全部剥がして塗り直すことにしました。数年ぶりにエアブラシを取り出し,似たような色を作って塗装です。これも1時間ほどかかりましたが,まずまずの仕上がりです。

 実はこのファインダー部分のプラスチックは割れがあるのと,一部爪が折れてしまっているので,うまく本体に固定できませんでした。そこでABSの板を細く切って爪を作り,割れた部分もアクリサンデー先着剤で溶着して,ようやく本体に取り付けできるようになりました。

 そして最後に,ボロボロになったモルトを全部交換して完成です。

 こうなるとやっぱりうれしいわけで,フィルムを詰めて外に出ました。いいですね,軽快です。デジカメのようにいちいちLCDで確認しなくてもぱっぱと撮影出来ますし,小さく軽いのはとても楽ちんです。

 ただ,いちいち現像に出し,出来上がったらそれをデジタルにする作業が必要で,写真として仕上がるのに時間がかかることを考えると,残念ながら銀塩が主流になることはもうないだろうなと思いました。

 銀塩には銀塩に良さがあるのでしょうが,今となっては銀塩はあまりに非日常です。以前のようにインフラが整っていたころならまだしも,今のように写真屋さんを探して中1日かかる現像に680円かけるというのも,なんだかもったいない気がします。

 だから私にとっての銀塩は,やっぱりデジタルでは使う事の出来ないレンズを味わう行為なんだと思います。同じ写真とはいえ,もはや気構えも全然違って来ているものです。

 

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