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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

AT-X 16-28 F2.8 今度は露出がおかしい

 昨年末にAF微調整をメーカーでお願いした,AT-X16-28mmF2.8PRO FX。逆光には弱いですが色も解像度も私好みで,とても気に入って使っていました。

 ところが先日,F4で絞って使うと1段ほどオーバーになっていることが分かりました。評価測光の結果だろうと思っていましたが,それでもこれだけ大きなズレが何度も出るのはおかしいと,気になって真面目に調べて見ました。

 28mmのテレ端では,F2.8がほぼ適正,F4やF5.6と言ったように絞ると0.7段ほどオーバーになります。16mmのワイド端では露出の差は小さく,ほとんどありません。

 以前からそうだったか思い出せませんが,今少なくとも1段ほど露出のズレが出ているのは事実ですから,これは潔く修理に出すことにします。

 電話をすると,実に丁寧に対応して頂き,前回同様の手続きで発送することになりました。

 1週間ほどして電話があり,現象を確認した,調整したので良くなっているはずと聞いて安心しました。

 届いて試したところ,確かに改善しているのですが,完全に治っていませんでした。

 開放だと0.3段ほどアンダーです。F4やF5.6にするとほぼ適正です。0.3段ほどですので大した差ではないとは思いますが,16mmでは相変わらず差がほとんどなく,28mmで出てくるというのは気持ちが悪いです。

 それに,せっかくF2.8通しのズームで,開放でも使ってみようと思えるレンズなのですから,やっぱり開放でアンダーというのは,どうも落ち着かないのです。

 ここから先,やりとりを続けてあわせ込むことも考えましたが,修理調整直後にこれですので,トキナーの基準としてはこれがOKなのでしょう。使えない期間が増えてしまうのも嫌ですし,修理中に他の調子が悪くなるのも心配です。

 今,このレンズの値段は私が買ったときよりも1万円以上値上がりしているようで,私はそれなりによい買い物をしたと思うのですが,0.3段もの露出のズレを許容出来るほど私は寛容ではないことに,気が付いてしまいました。

 どうしたものか・・・

 もう,このレンズはあきらめて買い換えようかと思っています。無駄なお金と時間を消費することになってしまいましたが,我慢して使うようなレンズでもありません。今どきのレンズですし,開放から躊躇なく使いたいじゃないですか。

 そう思って,かつて候補にあげていたタムロンの15-30mmF2.8,いまこれが随分値下がりしているんですね。これだったら最初からこっちを買ったかも知れません。

 ただ,私はタムロンとはどうも相性が悪く,これまで良い思い出がありません。評価はAT-X16-28mmF2.8PRO FXよりもずっと良く,憧れの純正14-24mmF2.8に比肩すると言うくらいですので,確かに期待は高いです。

 一方,純正の18-35mmF3.5-F4.5ですが,軽くて小さくて良く写るのは間違いないのですけど,18mmというのが今一歩なこと,やっぱりファインダーが暗い,それほどシャープではないなあという印象もあって,ほとんど出番がありません。わずか2mmですが,やっぱり18mmと16mmでは根本的に違います。

 この純正18-35mm,売ると37000近くにもなるんですね。さすが純正。これとAT-X16-28mmF2.8とで,ちょうどタムロンの15-30mmF2.8が買えるくらいになります。

 なんだかバカバカしいのですが,使わないものを持っていても仕方がないし,そのうち壊れてしまってゴミになるかもしれないと思うと,今回はこの2本でタムロンにリプレースすることにしたいと思います。

 え?純正の14-24mmにしないのかって?

 高すぎですよ,滅多に出番がないレンズなのに,値上がりしてさらに遠くなったあのレンズを買うのは無理です。それに,今の大三元のなかでは最古参で,いつリニューアルされてもおかしくないじゃないですか。

 そうそう,ニコンからこのレンズの後継と思われるレンズの特許が出てるそうです。見てみると,14-28mmになっています。おお,とうとうズーム倍率2倍にするんですね。28mmまでいけば繋がりも良くて,出番も増えますし,いいですよね。

 手ぶれ補正はもちろんあり。しかし値段は30万円コースでしょう。ますます買えないレンズになりそうな予感です。

 そんなわけで,トキナーの方には恨みはないし,今回もとても良くして頂いたのですが,やっぱり最後には私と縁がなかったということだと割り切って,今タムロンのレンズを予約中です。

 値段が下がって急激に売れたのか,メーカー在庫切れなんだそうです。まあ製造が難しいれんずでしょうし,しばらく待つことにします。

 

中華製SU-800にご用心

 D850には,内蔵フラッシュがありません。もともとフラッシュ内臓に否定的だった私の考えが変わったのは,フラッシュを内蔵したD800を使っている中でのことです。

 内蔵フラッシュはガイドナンバーも小さく,レンズに極めて近い位置に固定されていて照射の自由度もなく,結局使い道がない割に,ペンタカバーが弱くなり,可動部も壊れやすい,必要な部品が大きくカメラ本体が大型になったりデザイン的に妥協が必要だったりと,メリットは皆無であるというのが,反対だった頃の私に考えでした。

 D800で考えが変わったのは,内蔵フラッシュをリモートフラッシュのコマンダーに使うという使い道があることでした。

 ニコンのスピードライトは精度も使い勝手も良く,スピードライトを使った撮影で失敗しない事が売りになっています。このことだけでニコンを選ぶ理由に挙げる人もいるくらいです。

 CLSと呼ばれるこのシステムは,スピードライトを複数並べる多灯撮影でも,難しい露出や発光量の調整は自動で行われますし,それぞれのスピードライトはワイヤレスで制御されますので,ポンと好きなところに置くだけでです。

 CLSでは最大3台のスピードライトを配置でき,それぞれの発行量も調整出来るようになっています。これによって,眼に光を入れる,あごの下の影を消す,髪をキラキラ輝かせるなどの高度なテクニックが簡単にできるようになります。

 しかしこのCLS,当然ですがCLSに対応したスピードライトを複数持っていないといけません。それなりに高級機でないと対応しませんし,発光量がある程度大きくないと配置の自由度が生かせません。そうすると当然高価になるわけで,部品の劣化から消耗品と言う人もいるくらいのスピードライトに1つ5万円以上の投資が必要になるのです。

 これが敷居の高さになると私は思うのですが,CLSは何も多灯撮影が重要なのではなく,好きなところにスピードライトを置くことができる,つまりカメラとスピードライトがバラバラに配置できることにもメリットがあります。横から当てたい,背後から発光させたい,といった要求は,スピードライトがカメラから外れてこそ実現出来ます。

 もちろん多灯撮影が真骨頂ではありますが,内蔵フラッシュが使い物にならないのでSB-700を買ってみたところ,内蔵フラッシュがコマンダーになることから,いきなりワイヤレスでリモートフラッシュも可能になってしまう,というとてもうれしいことが起きるので,CLSの入り口としてとても良い機会になるのです。

 そう,内蔵フラッシュは,ワイアレスストロボのコマンダーなのです。

 D850では内蔵フラッシュがなくなりましたので,コマンダーになることも出来なくなりました。これはとても残念な事で,D800からの移行で唯一私が継承できなかった撮影方法でした。

 かつてのSB-400くらいの,それこそ内蔵されていたものがそのまま外に出たくらいの小型スピードライトにコマンダー機能とIRフィルタを搭載したものが18000円くらいで出れば私はそれをD850と同時に購入したことでしょう。

 ところがある時,最近激安の中国製が幅を利かせているフラッシュをamazonで見ていると,SU-800というニコンの「コマンダー」の互換品さえも出ていることがわかりました。純正が3万円なのに互換品は9000円。激安とはいえないまでも,手が出せる値段であることは間違いありません。

 これを買い足せばD800相当になる,と意気込んでこのSU-800互換品を先週買いました。その顛末です。


 届いたSU-800はいかにも中国製という作りの悪さで,まずがっかりします。電池のフタは成型不良で微妙に変形していますし,電源スイッチもガタガタと動き,クリック感も乏しいものです。

 カメラから外れないようにするロック機構も動きが悪くてうんざりですし,これはすでに地雷の予感がします。

 極めつけが「装着できない」のです。ホットシューに差し込むのですが,ピンの先端が太く,しかも飛び出し量が大きいので,これがぶつかりホットシューに入っていきません。

 押し込もうとするとピンがホットシューにぶつかり,大きな傷を付けてしまいます。私のD850も傷物になってしまいました・・・

 それでも先の細いもので押し込んでホットシューに差し込んで機能確認をします。一応SB-700をスレーブとして発光させることは出来ているようです。AF補助光は全く光りませんが,それでも露出は失敗していない様子です。

 あ,そうそう,このSU-800互換品にはAF補助光が搭載されています。補助光とはいえ,なんと赤色のレーザーで縦横のパターンを投影するもので,なかなか面白いのでは,一方で被写体が顔だったりすると眼に入って危ないなと思います。

 どっちにしても,ピンが短くないと差し込めませんので,改造することにします。やることは簡単で,ピンに1mm程の長さのスリーブかなにかをはめ込んでかさ上げし,飛び出し量を制限するのです。

 早速分解してみます。電池ケースにある4つのビスを外して,電池バネを押し込みながら上ケースを引っ張るとパカッと外れます。大きなコンデンサが載った基板を固定するビスを2つ外すと,基板が外せるようになるので,裏側にあるコネクタを3つ外してやります。

 するとピンを固定した基板が奥の方に出てきますので,4つのビスを外してやればピンが取り外せます。私の場合,ここにピンとほぼ同じ内径のバネを差し込んで,かさ上げをしました。

 元のように組み立てて作業完了。

 さて,これをF100やD2Hに取り付けますが,発光しないばかりか本体がスピードライトを認識していません。ちょっとピンを引っ込めすぎたようです。

 ということで再度分解して,バネを短く切ることになるのですが問題は膨大なエネルギーがチャージされてコンデンサをどうするか,です。触ると確実に感電しますし,下手をするとやけどや怪我をするかも知れません。なにより怖いです。

 コンデンサの電圧を測定すると,余裕で500Vを越えています。これはあかんやろ。

 こういう時は,抵抗を使って放電させるのです。

 ぱっと目に付いた抵抗を拾い上げてコンデンサに涼しい顔でくっつけたところ,腹に響くような低音と,バスケットボールくらいの赤い閃光が私の目の前に飛び出しました。思わず「おおーっ」と叫んでしまったほどです。

 なにやら焦げ臭いし,まあよくも爆発事故にならなかったもんだと思いましたが,その抵抗を見ると黒く焦げています。カラーコードをみると・・・え,330Ω?

 このエネルギーの放電には,330Ωは小さすぎです。大きな電流が流れ,1/8W程度の小型抵抗が燃えてしまったのでしょう。あるいは放電したのかも知れません。

 あれほどの閃光でしたから壊れてしまったかも知れません。とりあえずバネの長さを短く調整し,組み立て直します。この時コンデンサの電圧は20V程度に下がっていました・・・

 D2HでもF100でも認識はするようになりましたが,実際の発光はしてくれません。D850でも同様です。まだピンが短いのでしょう。

 また分解して調整です。いい加減面倒ですが,なによりコンデンサが怖いです。もう抵抗で放電させるのも怖いし,とにかく触らないように作業することにします。

 何度か試みて発光するようになりました。SB-700を用意し,スレーブで動くかどうかをテストします。テスト発光では問題ないことは確認済みです。

 D850で撮影・・・しかし画像は真っ暗です。何度か試すと光っていない時もあります。これはおかしい。

 ピンの長さを元に戻して試してみますが,やはり状況は変わらずです。改造前には動いていたのですから,これは私が壊してしまったということでしょう。

 まあ,あれだけのスパークでしたから,壊れているかもしれないなと思ったので,案の定ということでしょうか。これを修理するのは大変ですし怖いので,もったいないですが廃棄することにします。あーもったいない。

 さて,コマンダーが準備出来ることをあてこんで,実はもう1つスピードライトを新たに買い増してありました。ニッシンのDi600です。

 選んだ理由はニッシンのストロボを使ってみたかったという事と,ヨドバシで最も安いCLS対応フラッシュだったということ,小型でありながらSB-700を越える発光量を持っていたことが,Di600を買った理由です。

 どうもニッシンは販売店を限定しており,現行送品のほとんどは直販です。しかもあまり安くなく,どうも純正でカバー出来ない部分で展開するという作戦を考えているようです。Di600はヨドバシでも買える数少ない商品の1つですが,それでも19000円に10%ポイントというなかなかのお値段です。

 しかもDi600は,D850には対応していません。D5もD500もそうです。なんだかニッシンという会社ののんびり具合が目に浮かびます。

 Di600はCLSのスレーブにも対応していますが,グループAのチャネル1に固定されます。そのせいもあってかLCDもなく,シンプルな操作はむしろ好ましいです。ただし,CLSのマスター機能はありません。

 で,このDi600とSB-700の2つをSU-800互換品でコントロールしようと思ったのですが,あてが外れてしまいました。SU-800の純正品を買いなおすかどうか・・・

 冷静に考えて見ると,SB-700をマスターにし,Di600をスレーブにすれば多灯撮影ができます。SB-700は本体から外せませんが,概ね正面から当てるので,これでも大丈夫です。

 試してみると,あっさり多灯撮影できました。SB-700とDi600って,微妙に光の色が違うんですね。これは盲点だったかも。

 それにしても,SU-800なんて,そもそもいらなかったんじゃないのか・・・


 ということで,結局絵に描いたような「安物買いの銭失い」をまたやらかしてしまったのですが,どうもamazonで買ったものにはハズレが多い印象です。amazonにはなんでもありますが,amazonの手が入っていないので,いいものも悪いものもそのまま出てきます。まあジャンク屋さんみたいなもんでしょう。

 個人的にはそういう「知っていれば得をする」ジャンク屋の世界は面白いし楽しいし好きではあるのですが,ジャンクも純正品も一緒に並んでいるのですから,それがジャンクである事を明記しておいてもらう必要はあると思います。

 それがお店の仕事なわけですが,amazonはそういう情報が少ないので,どうもひっかかるように思います。難しいですね。極端に安いものには注意するということにしないと,いけないように思います。

 ということで,SB-700とDi600の色温度の違いは今度のテーマとして,多灯撮影をもう少し真面目にやってみようと思います。

 カメラは自動化が進み,誰でもほとんど失敗のない写真が撮れるようになりました。しかしライティングはさすがに自動化できず,またそれを目指すという話も聞きません。

 写真というのは光と影を写し取るものですので,カメラやレンズの話だけでは全然足りず,究極的には光を読む事が必要だと思います。まだまだ勉強が必要ですね。

 

オリンパスPEN EEDの修理

 先日,3Dプリンタで電池アダプタをいくつか作った時の話です。

 SR43をMR-9にするアダプタをオリンパスPEN EEDで試してみたところ,シャッターが開かないことに気が付きました。

 露出計(というか自動露出)は動作しているようなので,電池アダプタの動作としては問題なしということになるのですが,カメラとして機能していないならアダプタの存在そのものに疑問が生じるわけで,これを放置するわけにもいきません。

 シャッターを動作させるにはフィルムを入れるなり,なにか他の条件が必要だったかもしれないといろいろいじってみましたがやっぱりダメ。

 絞りをマニュアルでセットした場合も開かないので,これはもう故障だと判断しました。よく思い出してみると,このPEN EEDは私の手元に来たときに機械的な故障はなく,分解を一度もやっていないのです。

 すると,どうもシャッターのグリスによる固着らしいとわかりました。よく見ると滲み出た油が羽根に付着しています。これはいかん。

 すでにカメラの分解修理に多くの時間を割けることが出来なくなっている私には英断でしたが,ここは久々に分解修理をしてみることにしました。ま,このころの廉価版のカメラはそんなに難しいものではないでしょう。

 レンズシャッターのカメラですので,分解するのはレンズの部分だけですむはずです。慎重にレンズを分解し,シャッターユニットを取り外します。調べていると,シャッターユニットが取り外された時に,シャッターは開いているものなんだそうですが,私の目の前にあるシャッターは閉じたままです。

 レバーを指で動かしてシャッター羽根が動くかどうかを試すと,かなり重たいですがなんとか動きます。しかしバネの力だけでは自動的に戻ってはくれません。

 ということでやるべき事はシャッターの分解と,ベンジンを使った油の除去です。

 羽根はたった3枚。2枚は同じ形状です。これをさっさと取り外しベンジンにつけ込んで油を落とします。元の通り組み立てて試してみると滑らかにシャッターは動くようになりました。

 ここから全体を組み立てるのですが,なんと鏡筒の後玉の部分に,劣化したモルトがボロボロになっていました。ここがボディにはまり込むんですが,なんとフォーカスによる可動部分の遮光は,このモルトが担っているとわかりました。なんと簡単な仕組みなことか・・・

 最初2mmのモルトを張り直したのですが,窮屈すぎてフォーカスリングが回らなくなりました。これではさすがに問題だと再度分解し,今度は1mmのモルトを鏡筒に巻き付けます。

 随分ましになったとは言え,それでもスムーズに回るとは言えません。でも,この部分の遮光が出来ていないとかぶってしまうでしょうから,動くなら窮屈な方がむしろいいと考えて,このまま完成させることにしました。

 改めて電池を入れて何度かシャッターを切ってみると,全く問題なくシャッターが開いてくれます。レンズシャッターというのはなかなか趣があるもので,シャッターの開閉速度があまりにゆっくりなので,露光ムラを心配したくらいです。

 でも,レンズシャッターというのは全体の光の量を調整する絞り羽根がシャッターになったものですから,画面全体の明暗がゆっくり変化するだけの話であり,露光ムラはおきません。

 一眼レフの,特に最新のデジタル一眼レフになれた体には違和感が大きいのですが,シャッタの開閉速度が遅くて,明暗の変化がゆっくりであっても,露光は積分ですから,最終的な積分値が絞り値に合致するようにしておけばよいだけの話なのですね。

 とまあ,初代のオリンパスPENやPEN Fがあまりに有名で,中途半端に自動化され大型化したEEDなどはマイナーな存在なのですが,それでもこのたたずまい,ヒンヤリとした金属の質感,そして大きな前玉と,なんと魅力的でしょう。

 思わずフィルムを1本いれてしまいそうになったところで,私はふと手を止めました。まてよ,24枚撮りを入れたら48枚も撮らないといけない・・・今そんなにこのカメラで撮影出来るか?

 秒間9個前のD850ならわずか5秒で取ってしまう枚数ですが,親指でコリコリと巻き上げ,目測でフォーカスを適当に合わせ,四角いレリーズボタンを静かに押し込めば,ゆっくりとしたシャッターがジーと開いて閉じる・・・こんな緩慢なカメラで48枚を撮りきるのはもはや修行です。

 そういえば,このEEDを手に入れた時に,試し撮りをしたフィルムって,結局全部撮りきることも出来ずに,現像しないまま放置してあったんじゃなかったかなあ。

 ついでにいうと,CoolScanではハーフサイズのスキャンが出来ないので,2枚同時のスキャンをしないといけないけど,自動コマ送りがきちんと動作しないかもしれないなあと心配していたことを思い出しました。

 でも,昨今の銀塩ブームもありますし,フィルムを詰めて散歩に出かけるのもいいかもしれません。スキャンはD850のオプションであるES-2が発売されれば問題解決でしょうし。

 どうするかな,保存してある冷凍フィルムを使うかな、でももう色が無茶苦茶だろうし,新しいのを買ってみるか・・・

 ああ,なんと楽しい時間!

 

AT-X 16-28 F2.8 調整から戻ってきた


 先日メーカーで調整をお願いしたトキナーのAT-X16-28mmF2.8 PRO FX。12月3日に発送し,12月10日に戻ってきました。

 金曜日に少し電話で話をしたのですが,後ピンの症状は確認出来たが,添付されていたCD-Rの画像が「加工されていた」ので症状を確認出来ず,基準ボディーで調整を行ったという話でした。

 加工するなという指示はなかったと思いますし,加工したといっても切り出しだけで,画像そのものをいじった記憶はありませんから,作業時間がちょっともったいなかったなと思いましたが,私としては最初かトキナーの品質基準に合致したものにしてくれればそれでいいと思っていましたので,全然構いません。

 とにかく,後ピンである事を確認してもらい,調整(と点検)をしてくれたことがありがたく,届くのを楽しみに待っていました。

 12月10日の朝に届いたので,昼からいろいろ確かめてみましたが,後ピンの傾向は大きく改善し,AF微調整でも補正値0という結果になりました。

 28mmでも16mmでもほとんど大丈夫ですし,被写体との距離にもほぼ関係なく,ぴたっとフォーカスが合います。

 AF微調整をD850で行うと,以前は調整範囲を超えてしまってエラーになることも多かったのですが,調整後はエラーは出ません。補正値も何度か試してみましたが±3までに入ってきます。これなら問題なしです。

 ということで,メーカーで調整してもらうとバッチリになりました。

 購入後1週間ほどだったとはいえ,調整費用はもちろん,往復の送料まで負担してもらいましたし,調整は完璧,汚れも傷も全く付かない綺麗な状態で返してもらい,しかも電話での応対も気持ちよくということで,今回は本当にトキナーにお世話になりっぱなしでした。ありがとうございました。

 私はカメラメーカーに勤めたことはないのでなんとも言えませんが,一般論として,安いものを売るには,数を売るしかありません。大量に作る方法が求められますが,そのための1つとして品質基準を下げるというものがあります。

 決められた手順で作れば調整の必要のない設計をすれば大量生産が出来る事は想像出来ますが,この方法では多少のバラツキを許容しなければなりません。

 一方で,1つ1つ完全に調整を行うなら,バラツキは小さくなりますが,製造にかかる時間も増えるので大量生産が難しくなります。当然価格も上がります。

 工業製品においては,基本設計が優れていることはもちろんですが,それだけでは「目の前にある1つ」が優れているとは言えず,その設計通りに製造されて調整されていることが必要で,そこにこそお金がかかるものです。

 こういう書き方をすると,純正のように高い値段で売れないレンズメーカーのレンズは,製造や調整で妥協しているといったような誤解を招くのですが,そういう事実があったとしても,価格に応じた性能や品質であるなら,それは極めて妥当です。

 今回のレンズは光学特性は優れており,問題になるのは逆光に弱いことくらいでしょう。しかし,やはり純正の1/3の価格である事の影響は製造や調整に出るものであり,私が買った個体の最初の状態は,この価格に見合った品質であったのでしょう。

 メーカーの言い分としては,ここで責任は果たしているわけですが,多くはきちんと後々の個別対応を受け付けてくれています。手間とお金をかけて1つ1つ調整をし,設計通りの性能が出るようにしてくれるのですが,その結果私が買った値段では,赤字になってしまうのではないでしょうか。

 純正では,高い値段でも買ってもらえますし,逆にその値段に見合う性能を求められるので,1つ1つ調整をしたり,品質基準を高めたりといった高価になる要因を組み込むことができます。だから,個別対応を求めると結構嫌な顔をされるのではないかと私は思っています。

 そこへいくと,トキナーにしてもシグマにしてもタムロンにしても,どこもこういう個別対応にはとても親切に対応してもらえます。安いのに申し訳ないという気持ちもありますが,その結果を体験すると,お願いして良かったなあと思うのです。

 口の悪い人などは,レンズメーカーのレンズは購入後に調整から帰ってくるまでが納期だといったりしますし,そのことで「もっと品質管理をしっかりせよ」と言うわけですが,私はそこまでは感じません。純正以上に売る努力をしないといけない人達が,絶妙なバランスで作り上げた製品と販売システムであり,おかげで我々は安価に高性能なレンズを使うことが出来るのです。

 カメラは100年を超えた歴史を持つ,お金のかかる趣味の1つです。当然口うるさいユーザーがいて,諸先輩の苦言が今のカメラの世界を作ってきたともいえます。

 だからこそ,主観に頼りがちなユーザーの主張を真面目に聞くだけの土壌がメーカー側にもあるのでしょうし,メーカーもそうしたユーザーのいう事を信じてくれるのだと思います。

 ともあれ,今回のAT-X16-28mm F2.8 PRO FXは,とてもいいレンズです。トキナーブルーは美しく,解像度も高いです。AFも満足ですし,16mmはやっぱり楽しいですし,28mmも開放から十分実用になる画質です。

 ともすれば,純正が買えなかった人の言い訳になるレンズメーカーの大三元ですが,私はこれは積極的にこれを選んだと,胸を張って言うことにします。

 さて,そうして喜んでいたところ,ほぼ同時に先日申し込んだキャッシュバックの郵便為替も届きました。本当に1万円戻ってきましたよ。

 いやー,当然なんですが,調整までしてもらってお金をもらえるというのは,なんだか不思議な気分です。トキナーさん,ありがとうございました。

 

D850の初仕事

 9月の発売日に無事に手に入り,その後何の問題もなく私と馴染んでいるD850。D800との違いは元々少なく,Lightroomが対応してからはD800と全く同じワークフローで印刷まで完了しますし,そこから出てくる画質にも恐ろしいほど違和感がないため,特にストレスなくスッと手に馴染んで生活の一部になった感があります。

 そんなことならD800でも別に良かったんじゃないのか,と非難されそうな気もしますが,まあそれはそれ,と軽く考えています。

 そのD850とオーナーの私にとって,ちょっと大きなイベントがありました。いや,何のことはない,子供のお遊戯会の撮影です。

 子供は保育園の年長さんなので今年で最後になりますし,成長の速い保育園の子供にとっての年長さんというのは,年下の子供たちと違って体も大きく,やっていることも高度になるので,実に興味深い被写体です。

 当たり前の事ですが,子供は撮影者の意思に無関係に動き回り,出てきてはひっこむを繰り返しますし,これも当然ですがやり直しが利かないシビアな現場ですので,私のようなのんびりしたアマチュアには緊張の仕方さえ分からないくらいです。

 D850は高画素と連写,そして高感度と高性能を高次元でバランスした一眼レフであり,まさに死角はありません。何かのために何かをあきらめることが必要ない,現時点で最も汎用性の高いカメラといってよいと思います。

 かつて,現場になれていないアマチュアが分不相応な高価なカメラをこれ見よがしに持ち込む姿に嫌悪していた私は,いつしか自らが嫌悪の対象そのものに成り下がっていたことに軽いめまいを覚えましたが,この鬱屈した気持ちを跳ね返すには,その高価なカメラを使いこなし,それでなければならない理由を胸を張って語るしかありません。

 ということで,ようやく現場に持ち出せたD850の印象を書いてみたいと思います。

 あまり大げさな装備もどうかと思っていましたが,娘の晴れ舞台を綺麗に残したいという自然な気持ちもありますし,これがD850の評価の機会という気持ちもあって,レンズは70-200F2.8VRII,バッテリグリップにEN-EL18を入れて9コマ/秒を仕込みました。

 え,気合い十分な完全武装ですって?いえいえ,ストロボがありません。
 
 そんなわけで,若干周囲に引かれながらも,9コマ/秒を炸裂させてきました。

(1)高感度と画質

 会場は明るいので,D800でもそんなに問題になることはなかったのですが,それでも200mmで手ぶれを防ぎ,かつ被写体ブレも押さえ込もうとすると,やっぱり1/250秒以上のシャッター速度は欲しいです。そうするとISO2000から3000くらいになってしまう場合も覚悟せねばなりません。

 D800でもISO2000や2500くらいで破綻することはなく,ノイズ軽減を強めれば問題なかったのですが,D850はさらにそこからもう2段くらいのゆとりがあるように思います。

 そのゆとりはノイズの少ない画像を得ることにも使えますし,1/500秒を切るために使うことも出来るので,とても融通が利きました。

 Lightroomで処理をしていて感じたことですが,高画素機というのはノイズリダクションをかけやすいです。画素数が少ないと,ノイズ軽減で塗りつぶされた感じが強く出てしまい,不自然な仕上がりになりやすいので慎重に調整をするのですが,画素が増えると少々ルーズな調整をやっても,ノイスだけスッと消える感じがあります。

 当たり前の事ですが,ノイズというのは空間周波数に対して広く分布する成分であり,これを減らして本来の情報を強調するには,本来の情報が豊富なほど有利です。高画素は情報が多いといい切れませんが,D850は画素ごとの情報量も豊富なので,ノイズ軽減を調整中に急激に破綻することがありません。

 露出不足で潰れたところから,現像で綺麗な画像が浮かび上がらせる経験をD800でそれなりに味わっていた私ですが,プラスの露出補正をした際の明部が良く粘り,ちゃんと階調が残っているのは驚きました。これはD800以上です。

 露出に失敗して現像時に補正をかけると,やはりなにか失うものだったのですが,D850には±2段くらいならなにも失うものはありません。沈んでいた画像が浮かんで最初から失敗などなかったようになります。このスムーズさは情報量の多さからくるものでしょう。

 そして,色による偏りが少ないのもすごいです。どの色も豊富な階調を保持していて,さらに磨きのかかったホワイトバランスと相まって,複雑な色の光源とカラフルな衣装によって生まれる異なる色のグラデーションも,見事に記録しています。

 どちらにしても,D850は画素方向と明るさ方向の3次元で,情報量が飛躍的に増加しています。少々の失敗はこの情報量でカバー出来ると感じる人も多いでしょう。


(2)連写とレスポンス

 EN-EL18を使えば9コマ/秒というD2Hを越える連写速度が手に入るD850ですが,ミラーの動作速度も確実に上がるので,ブラックアウトの時間も短縮されます。これはもう気のせいではなく,確実です。

 EN-EL15ではCHモードでワンショットなのに,EN-EL18では思わず2枚撮影してしまうということが起こるくらい,レスポンスが良くなります。

 とても軽快で,気持ちよく,意のままに撮影出来るのですが,ミラーが高速で動作することもあり振動の発生も大きく,油断するとブレが出ますし,しっかりホールドせねばというプレッシャーが負担になることもありますから,私は普段はEN-EL15で運用しています。

 今回,非常に限られたシャッターチャンスを生かすために,9コマ/秒で臨みました。D800では連写をすると,ちょうどよいところでシャッターが切れていないことがありましたが,そこはさすがに9コマ/秒です。必ずどこかに気に入った画像が収まっています。

 加えて軽快なシャッター音は,またこの音を聞きたいという中毒性を持っており,一度押したレリーズボタンからなかなか指が離れません。

 こうして,あっという間に何百枚というカットが記録されます。

 そして,この連写とレンスポンスを支えるのが,非常に高いAFの性能です。

 D800も良かったと思うのですが,そこはやはり連写速度に見合った性能になっていました。クセもあるので撮影者はそれを見越して使うことも求められたと思うのですが,D850はそんなことは考えずとも,フォーカスを外しません。

 事実,撮影した写真のほとんどでフォーカスを外していませんでした。

 見やすいファインダーで被写体をとらえ,使いやすいUIでフォーカスポイントをさっと動かし,AF-ONを押せば一瞬で狙った所にフォーカスが合います。

 少々動いてもちゃんと食いついていき,まつげをきちんと解像するそのAF性能には,もう脱帽です。


(3)トリミング耐性

 最後にすごいと思ったのは,このトリミング耐性です。

 保育園のイベントですので,撮影に使える場所には厳しい制限がかかっています。制限がなくてもマナーの問題ですので無茶はそもそも出来ませんが,撮影条件の良し悪しは,自分の意思だけでは決まりません。

 距離については保護者ですので裸眼で見えなくなるような距離ではないのですが,最前列でない限りは視野が開けているという可能性は低いです。

 自ずと人垣の隙間から被写体を狙うことになりますが,そうすると上半身だけとか,顔だけとか,右側にハゲ頭とか,左側にでかい横顔とか,そういう面倒が起こります。

 別にハゲ頭を見たいわけではない我々は,当然そこをトリミングで削り取ることにするわけですが,左上にちょこっと子供の顔がある,という状況で,しかもその顔がとてもいい表情だったりすると,そこだけ切り抜くようなトリミングをしてでも,この写真を救いたいと思うものです。

 ですが低画素機ではそういう自由度もなく,やはり撮影時の努力で防ぐしかないのですが,D850の4600万画素はD800の3600万画素を越えた,トリミング耐性を備えていました。

 本当に,ちょこっと入っていた顔を切り抜いてもへこたれません。この余裕と安心感はすごいです。

 高価な一眼レフの高画素化は,実はそれまで害悪とされていたトリミングを積極的に使う事の出来る新しい価値を産み出しているのではないかと思うほどです。

 
 とまあ,D850で強化されたところに注目して現場に出てみましたが,想像以上にD850の使いやすさと失敗の少なさ,そして余裕と安心感を堪能しました。このカメラはもう手放せません。

 私の周りにはスマートフォンはもちろん,ビデオカメラやコンパクトデジカメ,EOS Kissクラスの一眼レフやm4/3のカメラを使っていた人がたくさんいました。皆一様にシャッターチャンスを逃すまいと頑張っていていましたが,背面のLCDに写った写真をのぞき見すると,そんなに良い写真になっているとは思えませんでした。

 しかし私は,自分の観覧席に悠々と座り,座ったまま手持ちでぱぱっと撮影していました。そして家でじっくり現像してトリミングをして,満足な写真を仕上げました。

 隣にいた嫁さんに私は自分の思ったことをつぶやきました。

 それは,機材の悪さは自分の足でカバーせねばならず,条件の悪さは機材にかけたお金である程度カバー出来る,ということでした。

 つまるところ,カメラの性能というのはここに集約出来るのかも知れず,少々条件が悪くてもへこたれない適応性ともいうべきものが,価格に対して手に入るメリットなのでしょう。

 裏を返せば,安い機材であっても,自分の足と努力でカバー出来る場合が多いという事も言えて,アマチュアらしいバイタリティを忘れないようにしたいものだと,改めて思いました。

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