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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

D800をエネループで使った時の切れ味

 D800パワーアップ作戦の番外編は,マルチパワーバッテリーパックMB-D12をつかって,連写速度を上げてみようです。

 D800は本体のみの場合,フルサイズで4コマ/秒,APS-Cサイズにクロップしたときは5コマ/秒です。中級機でも6コマ/秒は当たり前,8コマ/秒くらいのカメラが結構ごろごろしていることを考えると,ここをD800の弱点と見る人も少なくありません。

 参考までにD2Hは当時最速の8コマ/秒です。8コマ/秒を実現するためには,単にミラーの開閉速度やデータ転送速度を上げるだけではなく,他の関連する動作のすべてを全体で高速化する必要があり,それぞれの機構がお互いに綺麗に連動して無駄な動きをしないことも大切であって,そうして生まれた高速性能というのは,8コマ/秒を使わない人にとっても十分体感できる差になるものだと思っています。

 言い換えれば,高速な連写によって必要とされる骨格と筋肉と無駄のない動きは,連写をしないときにもスムーズでキレのある感触を生み出し,撮影時のテンポや高揚感を高めてくれるものだという事です。

 だから私は連写速度にこだわります。連写速度が遅いカメラは,全体の動作速度が遅い,レスポンスが悪い,信頼性が低い,精度が低い,とカメラの根底に関わる基本機能に見劣りすると感じているからです。

 では,D800のポテンシャルは本当に5秒/コマ程度なのかどうか。

 MB-D12を使えば,D800の電池であるEN-EL15,D4用の電池NE-EL18,そして単三8本の3種類の電池が使えるようになります。このうち,NE-EL18と単三8本を使えば,フルサイズでの連写速度は4コマ/秒のままですが,APS-Cにクロップすると6コマ/秒まで向上します。

 連写速度を上げるには,モータの速度を上げる必要があって,そのために電源電圧が高い必要があります。EN-EL18の公称電圧は7.0Vですが,NE-EL18は10.8V,単三8本だと12V,ニッケル水素電池でも9.6Vになります。この3V近い電圧の差というのが,モーターを高速で回転させ,また大きなトルクを生み出す源となります。

 APS-Cで1.2倍もの速度アップがあるのに,フルサイズで速度が上がっていないということは,これは3600万画素という強烈な画素数が作り出すデータの転送がボトルネックになっていることがはっきりするわけで,シャッターやミラーなどのメカは,最低でも6コマ/秒で動作し,かつ耐えられるものになっているということになります。

 そういうことなら,試してみたいじゃないですか。そこで,エネループを8本新規に購入し,これでどれくらい高速になるかを,見てみます。

 電池が切れたと判断する電圧は,アルカリ電池とニッケル水素で違います。メニューからニッケル水素に設定をして,エネループを8本,MB-D12にセットします。そしてAPS-Cにクロップして,連写します。

 明らかに,高速です。コマ数が問題なのではなく,全体の速度が1.2倍になっていることがはっきりわかります。シャッターの切れ味も抜群です。D2Hと同じとはいかないまでも,少なくとも緩慢な動きという印象はなくなりました。これはすごい。

 念のため電池をEN-EL15に戻します。もう別のカメラのように,ゆっくり動きます。ミラーの開閉速度が落ちたことがとにかくストレスになります。これは,連写ではなく,1コマだけ撮影するときでも同じです。シャッターの切れ味が全然違います。

 これはいい。

 もしかすると,フルサイズで撮影したときも,全体の動作が高速になるのではないか,と思って,また試してみます。

 すると,連写速度は4コマ/秒で変わりませんが,1つ1つの動作の速度は6コマ/秒の時と同じで,1.2倍になっています。シャッターが切れる間隔が250msということだけで,1つ1つの動作の速度は確実に上がっています。

 ですから,1コマだけ撮影しても,その違いは歴然です。同じ4コマ/秒とは思えない,切れ味です。

 これはいい。

 ブラックアウトの時間も短くなっているし,全体が高速に動き,シャッターの音も高くなります。よりD2Hに近くなり,小さなボディにみなぎった力を感じつつ,私もテンポ良くシャッターボタンを押していきます。これがD4から譲り受けた,D800のメカの本当の力なのだと思います。

 ですが,かなり重くなります。D2Hと比べてみると明らかにD800の方が重いです。これってどうなのよ,D2Hの重さと大きさを超えてもなお,D2Hの速度には追いつかないわけです。小さい事はいいことだけではなく,そういうの妥協の上に成り立っているんですね。

 気になったのでちゃんと調べます。D800の本体重量が900g,MB-D12と単三電池ケースの合計が270gだそうです。ここにエネループを8本入れると,210gほどになりますから,その合計は480g。これをD800に取り付けると1380gです・・・

 なんと1.4kg近いんですね。こりゃー重いわ。これにさらにレンズの重さが加わるんですから,体を鍛えないと手がぶるぶる震えますよ。

 D2Hはどうかというと,ボディのみで1070g,電池(EN-EL4)が170gということですので,合計すると1240gです。

 やっぱり・・・D800の方が重くなるんですね。これは厳しいなあ。

 しかし,あのシャッターの切れ味は捨てがたい。そこでもう1つの方法である,D4用の電池を使う方法を考えて見ましょう。

 D800にMB-D12,そしてEN-EL18という電池に専用のフタBL-5の合計は,1325gだそうです。えー,こんなに重いの?

 ではでは,D800にMB-D12,そして元々の電池であるEN-EL15だったら?1265gだそうです。えー,まだD2Hより重いんですか?

 これは参りました。一番軽いD800 + MB-D12 + EN-EL18という組み合わせを考えた場合,電池が18000円,電池カバーが2000円,充電器が36000円くらいですので,ざっと56000円!

 いやー,これはきついわ。エネループ8本だと2300円ほどですから,雲泥の差です。しかし,120g(ということは約1割)重たいというのは,かなりのものです。

 あ,そうだ,エネループにLiteというのがありますね。これだと1本あたり19gらしいので,8本だと152gです。ということは60gほど軽くなる計算ですね。うーん,こっちにしとけばよかったかなあ。

 ということで,D800は重たいカメラということがわかりました・・・D700よりも軽量化されているということですから,D700で同じ事をするともっと大変だったことになるのですが,カメラって大型化&重量化しているんですね。困ったものです。

 ただし,重いことは悪いことばかりではありません。今までEN-EL15だったものが,エネループ8本になったということは,それだけ下側に重心が移るという事を意味しています。

 実際に,ちょっと大きめのレンズを取り付けると,重心が低い分だけしっかりと安定し,ホールド感も増すように思います。床に置くと簡単に前のめりになったものが,少しは踏ん張ってどっしりと座ってくれます。重心の位置が下がってくれることは,いろいろな意味でとてもありがたいことです。

 で,レンズは例えば先日買ったばかりのTAMRONのA09NIIだと約510g程度。軽いですね。これと組み合わせてやれば,なんとか2kgを切るわけですか・・・重いなあ。

 とりあえず,MB-D12は標準でつけっぱなしにしましょう。電池は家の中で使う分にはエネループでいきます。外に持ち出すときはEN-EL15でいいし,旅行など他に持っていく者が多いときには,MB-D12も外していくことにしましょう。

 まあ,こういう風に調整が出来る事が,D800のメリットかも知れませんね。D4ではこういうわけにはいかないでしょうから。

 

続々登場する魅力的なカメラ

 現在主力であるD2Hを購入したのが2005年で今から7年近く前,サブのK10Dを購入したのが2008年で今から4年前です。

 特にD2Hの陳腐化が目立って来ました。切れ味,レスポンス,そして動作音などメカに不満は一切ありませんが,いかんせん400万画素という少ない画素数,高感度のノイズのみならず,低感度でも暗部に浮き上がる派手なノイズ,そしてバッテリーの劣化と将来の供給の不安と,当時発展途上であった技術課題の解決が急速に進んだ昨今,もはや「これで十分」と意地を張るのも難しくなってきました。

 月並みな理由ですが,子供の貴重な一瞬一瞬を出来るだけ多くの情報量で記録しようと考えた時,高次元でバランスしている良いカメラが欲しいと思うようになりました。

 昨年はタイの洪水もあり,その要求を満たすカメラにお目にかかることがなかったのですが,今年に入っての新製品ラッシュには期待をはるかに超えるものがあって,腰の力が抜けていきそうです。

 性能が突出しているもの,デザインに優れているもの,設計思想にしびれるものなど,どれも個性を放っていて,今年はすでに豊作の予感です。

 実に悩ましい。

 「宝くじでもあたらんかなあ・・・」「宝くじを買ってからいえよ」とお約束の突っ込みを自分で寂しく入れつつ,ちょっとここ数日で発表になった新しいカメラを私の視点でまとめてみようと思います。


・ニコンD800 / D800E

 まずは3600万画素のフルサイズセンサを搭載していることが強烈です。単純な画素数競争ではなく,あくまで「意味のある情報」としての高画素をねらったものであることは,公開されたサンプル画像からみて理解出来ます。まさにニコンの良心です。

 もちろん,カメラボディのポテンシャルとしての3600万画素であり,ここまで来るとレンズも最高性能のものを用意しないといけないという意見は理解出来ますが,実は解像度の低いレンズや収差の大きいクセ玉も,低い画素数では個性が隠れてしまいがちです。

 3600万画素と言えば,間違いなくISO100のネガフィルムと同じくらいの線解像度を持ちます。フィルムを前提としたレンズは,この画素数にしてようやくその個性をフルに表現出来るのではないでしょうか。

 ニコンは,中判に迫る性能で風景写真に,と言っていますが,実は多彩なレンズを駆使しする芸術志向のフォトグラファーから強く支持されるように思えてなりません。

 20万回のシャッター耐久も素晴らしいです。明らかにプロの使用を前提としています。このカメラの最大の欠点が連写速度の低さにありますが,毎秒4コマにして20万回の耐久ですので,長期信頼性の向上が主目的でしょう。

 D4が画素数を絞って幅広い用途に向けた完全プロ機なのに対し,D800は画素数を高めたカメラ本来の性能追求を果たしたカメラです。いずれDヒトケタの後継機種は,この画素数で毎秒10コマやら超高感度やら実現するでしょうが,連写や感度は使い方の工夫が出来ても,画素数だけはどうにも工夫が出来ません。

 賛否両論がある3600万画素ですが,数に負けていない実際の解像度の高さを見せつけられると,もう反論できないです。

 そしてなにより,この価格です。いきなり27万円スタートですから,フルサイズ機でもこの価格が普通になったという感慨と,価格以上の価値のあるカメラだという感心が,素直にわき上がってきます。

 このカメラなら,私の使い方なら10年は大丈夫です。下手をするとF3のような長生きになるかも知れません。


・ペンタックスK-01

 Kマウントのミラーレスの噂は,私はてっきりガセネタだと思っていたのですが,全然違っていました。

 そもそもKマウントはM42プラクチカマウントと同じフランジバックを持つ,一眼レフ専用のマウントです。ミラーとぶつかることを避けるために,45.46mmmものフランジバックがあるわけです。

 故に,Kマウントを採用すればミラーレスだろうがなんだろうが,必ず45.46mmは出っ張るわけで,そんなミラーレスに魅力があるはずがない,と思っていました。

 ですが,マーク・ニューソンのデザインするK-01を見て,これは!と思いました。

 確かに本体を薄くすることは出来ませんが,レンズを薄くすることは出来ます。これで全体の厚みを押さえることは出来そうです。レンズ内モーターが主流になる昨今に置いて,薄くできないボディーのスペースにモーターを入れて,レンズは極力薄くすると言う発想は実に正しいでしょう。

 ですから,ボディのみの販売は行われず,レンズキットのみになっていることは,なるほど理にかなっています。特にDA40mmと同じ光学性能を持つ超薄型のレンズはいいですね。35mm換算で60mm相当の単焦点レンズですので,とても楽しいことでしょう。

 ミラーレスになったことで連写速度も向上し,K-5のウィークポイントが改善されたことも素晴らしいです。音も静かになっているでしょうから,Kマウントのレンズ資産を引き継ぎ,新しい使い方を開拓するカメラとして,大変面白いと思います。

 個人的に気に入ったカラーは,イエローです。黄色と黒なんて,まさにコダックの色です。先日経営破綻したコダックに対するオマージュでしょうか。

 ただし,ペンタックスには1つ心配な事があります。近々行われるCP+の発表内容を見ていると,645Dのレンズ,Kのレンズ,Qのレンズと,ペンタックスの規模から考えるとマウントが多すぎです。

 まあ,これがペンタックスの伝統なので今さらなのですが,今もユーザーはマウントに忠誠を誓うわけで,同じ会社が3つもマウントを持っていることに,いいようもない不安を感じていることもまた事実です。


・オリンパス OM-D

 案外好意的な評価が多いように思われるOM-Dですが,カメラとしての基本性能を高めたところはさすがです。防塵防滴にマグネシウムフレームで,マイクロフォーサーズも,これでようやくプロの道具になることでしょう。

 しかし,そういう方向性と,かつての名機OMシリーズを模したデザインとは,ちょっと相容れないと私は思います。ちょうどペンタックスのK-01とは逆の発想になっているように感じるのですが,ミラーも光学ファインダもないのに,なぜあの三角屋根なのか,なぜレンズを中心とした左右の比率がOM1と同じでなければならないのか。

 特に三角屋根の部分は,一眼レフの弱点の1つだったわけで,EVFを搭載したこの機種が三角屋根を持つのは,それがデザインモチーフであり,懐古主義だからであるということでしか,説明が付きません。

 例えば,同じ懐古主義でもペンタックスのOptio I-10などは,全く必然性のない中で,デザインだけauto110です,という明確な主張と遊び心にあふれていました。また,今ヒットしているオリンパスのPEN-Dも,ミラーレスだからこそ可能になったデザインです。

 なら,OM-Dは,ミラーありのフォーサーズでやるべきではなかったのか。見やすい光学ファインダをちゃんと装備して,名機OMをきちんとなぞることこそ,OM-Dの役割だったのではないかと思います。


・シグマSD1 Merrill

 SD1が出たときには本当に驚きました。儲かるかどうかは横に置き,明らかにカメラとしての完成度が低い中で,これでしか手に入らない画質を70万円で買いませんかというのですから,余程の人しか手を出せないでしょう。

 しかし,私も大変気に入っている三層構造のセンサFoveonX3が,APS-Cサイズになって高画素化し,これが吐き出す強烈な情報量に舌を巻いた人は多いでしょう。

 しかし,なぜこの値段なのか,と当時も私は釈然としなかったのです。この値段のカメラなら,カメラとしての基本性能も高くなければなりません。それはEOS-1Dであり,D3が期待されるわけです。

 もともとSD1って,20万円くらいで出るべきカメラじゃないのか,と思っていたら,SD1 Merrillの発表です。実質50万円近い値下げが行われたわけで,メーカーも価格改定だと自ら言っています。

 メーカー,というより山木社長のメッセージによると,SD1に搭載したセンサは製造上の困難があり,どうしても値段が高くなったと。それが1年余りの改良により,全く同じ性能で価格を大幅に下げることに成功したと。

 ゆえに,SD1は20万円で新たに販売するというわけです。70万円のSD1を買ったユーザーはシグマにとっても特別なお客様,だから40万円相当のポイントを提供するプログラムも計画中とのことです。

 なかなか出来る事ではありません。多くの人が「感動した」と言っています。

 普通,発売からそれなりに時間が経過していれば,名称を変えて値段を下げるのは「マイナーチェンジ」で済まされます。値段を下げるにはそれなりの改良があり,投資も行われるから,別機種として展開することは言い訳でもなんでもありません。

 ですが,冷静に考えてみると,センサの値差だけで50万円もあるのか?です。

 ボディは明らかに20万円クラスのカメラです。センサがもう10万円高いものになったとして,売価への影響は20万円アップくらいまででしょう。もしセンサが20万円高いなら売価は40万円くらいアップでしょうが,20万円以上のセンサなんてもう手作り品で,量産品としてはありえません。

 製造上の問題という事ですので,歩留まりも悪く,品質のバラツキもひどかったのでしょう。数が揃わないので,その数で利益の出る採算構造を考えると,70万円で売るしかなかったというのが本当のところではないかと思います。

 だから,このままでも長く生産し,ロングセラーになってくれれば,最後には値段が下がったかも知れません。(そう簡単な話ではありませんが)

 一部で言われている,売れないようにするために最初から40万円ほど乗っかっていたんじゃないのか,はちょっと疑いすぎで,今のシグマにそんなことをしてまで新しいカメラを投入しないといけない理由は見当たりません。 

 なので,70万円で利益がようやく出るカメラを売って,あとで値下げしたから差額を返しますなんてのは,シグマにとってはやはり大英断なのです。差額を返すといった瞬間に,ではいくらならいいのかが議論になるわけで,それが20万円でもなく50万円でもなく,40万円になったことの行間を,もう少し読んでみても良さそうです。

 そもそもSD1の販売数がそんなに多くないことも,可能になった理由でしょう。しかし,40万円もの巨額の返金(とはいえ,自社製品への交換の権利ですので,実質20万円以下でしょうが)には,大きな決断があったはずです。

 SD1を買ったユーザーの内訳が,本来大事にすべき個人ユーザーよりも,実は評価用に買ったライバル会社が結構いたり,70万円の価格に見合った価格で買い取った中古カメラ屋さんが即死するんじゃないかとか,いろいろ心配な事もあります。ですが,そんな話は置いておいて,まず自分達を支持してくれた人々を裏切らないことを真っ先に考えたことは,理由のいかんに関わらず,賞賛されるべきことでしょう。

 SD1 Merrill,売れてくれればいいと思います。Foveonを買い取ったシグマには,FovenX3の凄さを広く知らしめる義務がありますから。


・シグマDP1 Merrill,DP2 Merrill

 前述の新世代FoveonX3センサが安くなったことと,おそらく量産が可能になったことで,コンパクトカメラであるDP1とDP2にも搭載されるようになったという話なのですが,これも私は驚きました。

 このシリーズについては,私もDP1sを持っていますが,これも旧モデルになった時に投げ売りされたものを買ったまでで,販売当初に急いで買った熱心なユーザーではありません。

 でも,普通に良く写るコンパクトデジカメが1万円台のご時世に,FoveonX3を使いたいと言うだけの理由でその何倍ものお金を出すことにはやはり抵抗があります。それで3万円くらいになったときに買ったのですが,これはこれまでのデジカメとは全く違う体験だったので,さらに改良されて販売されることを期待しました。

 ただでさえ競争の激しいコンパクトデジカメですから,DP1もDP2も,すぐにやめになるだろうと思っていたのですが,どっこい今でもちゃんと現行機種です。その上,SD1でも使われる新世代のセンサまで搭載した,フルモデルチェンジまだ行われるというのですから,もうビックリです。

 お値段も,おそらく従来機種と同じくらいになることでしょう。そうなると,あの強烈な画像を10万円以内で楽しめることになるわけで,とても魅力的な話となります。

 APS-CサイズのFoveonX3になると,もうレンズの性能を抜きには語れません。私の目から見て,今回のフルモデルチェンジの2つ目の目玉は,レンズの大幅な改良です。

 従来のDP1/DP2でもレンズの性能には定評がありましたが,今回は贅沢にもFLDガラスや非球面レンズを駆使して,なんとF2.8という明るさのレンズを搭載してくれました。これまで開放がF4でしたので,実はなにかと不便をしていましたし,せっかくの大きなセンササイズを生かしたボケも出にくくて,表現上の制約が結構あったのです。

 それが開放F2.8からですので,これはかなり使い甲斐があります。F4からですと1段明るいのですから,実質的に感度は2倍に相当します。ちょっと暗い部屋でもなんとかシャッターを切ることが出来るでしょう。

 また,20cmまで寄ることが出来ることも素晴らしいですね。従来のDP1が30cmまででしたので,DP1のレンズの弱点をちゃんと潰してきたと言えるでしょう。28mm相当のレンズでも,一眼レフ並みのボケを駆使できるに違いありません。シグマというのはなんと真摯な会社でしょうか。

 他にも,旧モデルではLCDの質が悪く,マニュアルフォーカスなど実質出来ない状態でしたが,これも改善されたようです。

 しかし,値段も気になりますし,実質RAW専用機になることも覚悟せねばなりません。現時点ではISO感度は未発表ですし,AF精度の問題,レスポンスの悪さ,ユーザーインターフェースの悪さ,電池寿命,そしてストロボがなくなったことなど,心配な部分も多そうです。

 値段によっては,私も欲しいと思いますが,PENTAX Qに高画質な28mm相当の単焦点レンズが出たら必要がなくなります。カメラは最終的には,全体のバランスです。あるポイントに突出していても,他がダメなら被写体に迫れません。

 ところで,このmerrillという名前ですが,言うまでもなくFoveonX3の発明者の一人,Dick B.Merrill氏から取られています。FoveonX3の開発に大きな足跡を残した彼は,同時に写真家でもありました。

 あまり日本では報道されなかったようですが,彼は2008年10月17日の朝,長いガンとの闘いの果てに,亡くなりました。シグマはFoveonX3の記念すべき最初のジェネレーションネームに,このmerrillを起用して,その功績を永遠にたたえることにしたのです。

 まあその,うちわの話と言ってしまえばそこまでですが,今のシグマを見ていると,志半ばで亡くなった開発者への尊敬を素直に感じて,背筋の伸びる想いがします。

 


・ペンタックスKマウントレンズ用アダプターQ

 これはカメラではないのですが,個人的に絶対買うことになるものです。今年の夏頃という事なので,とても楽しみです。

 なんのことはない,PENTAX Qの発売当時から言われていた,Kマウントのレンズを使うためのアダプタです。

PENTAX Qは35mm換算に焦点距離を5倍することになります。そうするとFA43mm/F1.9は215mmとなりますし,FA77mm/F2は385mmです。テレ端200mmのズームだと実に1000mmですから,これはもう未体験ゾーンです。

 単純にマウントの変換を行うだけなら,これまでも方法がなかったわけではありません。しかし,PENTAX Qにはメカシャッターがないため,被写体が動くときにローリング歪みが発生するので,被写体が歪むのです。

 私が注目しているのは,今回発表になったマウントアダプターには,ちゃんとメカシャッターが搭載されていることです。さすが純正,さすがPENTAXだと思いました。

 FA43mmやFA77mmという,あえて残した収差を味わうレンズもそうですし,FA35mmのような基本性能に長けたレンズや,1000mm相当の超望遠レンズの世界も今からとても楽しみです。なんといっても最も画質の良い中央部だけを使うのですから,画質についての心配はないでしょう。

 しかし,PENTAX Qというカメラは,実はレンズの収差を画像エンジンで補正することを積極的に利用したカメラです。特に歪曲収差については,無理に光学的に追い込むよりは,画像処理で補正することとして,他の収差の改善や性能の向上を優先しています。

 PENTAX Qの画像をRAWで扱うと,収差の補正を画像処理で行う事への抵抗など吹き飛んでしまうくらいの衝撃があるのですが,Kマウントレンズの収差補正は,どういうスタンスで行われるのでしょうか。

 仮に収差補正無しとなった場合,収差が理想的に補正されたいつものPENTAX Qの画像に見慣れた我々が,Kマウントのレンズの補正無しの画像を見て,どんな印象を持つことになるでしょうか。FA43mmなんて眠いレンズだとか,そんな風に言われてしまうかも知れませんね。


・タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD

 ワンランク上の標準ズームにF2.8通しのレンズがあります。すでに単焦点レンズに迫る画質を実現したこのランクのレンズは,プロも使うレンズということで性能は素晴らしいですが,価格も高いです。

 そんな中,アマチュアでも手が届き,しかも性能も抜群という銘玉として,タムロンの28-75mm/F2.8(A09)があります。実売3万円台でF2.8通しのズームが買えるだけでも驚きですが,その画質は価格を大きく超えて,多くの人に「もうこれでいいじゃないか」と言わせてしまう,そんなレンズです。

 しかもこのレンズはフルサイズ用のレンズです。高価なフルサイズ機を買った人が」レンズでけちるのもどうかと思いますが,初期投資が安く済むというのはとてもありがたい話です。

 この定評あるレンズの後継として登場するのが24-70mm F/2.8 Di VC USDです。長い名前ですが,広角域は24mmまで広がりましたし,手ぶれ補正も内蔵しました,AFモータも超音波モーターらしいですから,とりあえず全部入りです。

 あとは価格次第ですが,仮に実売価格が1万円上がっても,従来のレンズの画質を維持するならお買い得でしょう。確かにA09は古いレンズで,そのせいで値段も大きく下がっていますから,このレンズも登場時はそんなに安くないかも知れません。

 ですが,もし私がD800を買ったなら,このレンズも一緒に買うことになると思います。純正はとてもとても・・・

 

CoolScanVEDを久々に使って見る

 
 久々にネガフィルムのスキャンをしなければならなくなりました。

 引っ越しをする少し前から,時間がなくて自家現像をしなくなってしまいました。久々にまたやりたいなあと思っているのですが,毒性のある薬品を使う以上,それなりに考えないといけないこともありますので,躊躇しています。

 銀塩のフィルムを使って撮影する機会もほとんどなくなったのですが,子供が生まれたときの写真はぜひネガフィルムで撮影して,将来プレゼントしようと思っていました。2011年生まれで,生まれたときの画像を銀の粒子で記録された人はおそらく少ないはずで,形を持たないデータよりは,適切な保存さえ行えば長く残る実体をぜひ残したいなあと思っていました。

 それで,生まれる前の母親の写真をF100とAiAF85mm/F1.8で,生まれた瞬間はCLEとNoktonClassic40mm/F1.4で撮影したのです。フィルムは前者がRealaACE,後者がCenturiaSuper400です。

 肝心なCLEでの写真は,色温度が低い方に転んだ光だったことで赤色にかぶり,また暗い室内だったことで絞りをあけざるを得ず,NoktonClassicの特徴である絞り開放の時の眠たさが悪い方に効いてしまいました。あと,CLEは自作の自動露出回路の動作がいまいちだったのでしょうか,全体に露出不足なコマが多いです。

 意気込んで撮影した割には今ひとつな結果だったのですが,まあそれもやむを得ません。

 てなわけで,この2本は急ぎ写真屋さんで現像してきたのですが,いくらネガで残すとは言え,画像そのものはコンピュータ上で扱いたいところです。そこで今や骨董品となったCoolScanVEDを引っ張り出すことにしたわけです。

 ところが,MacOSX10.7 Lionでは,PowerPCのコードの実行環境であるRosettaが廃止されてしまいました。CoolScanVを動かすソフトであるNikonScan4はPowerPCのコードで書かれています。(もっといえば,なんとCarbonです。もう化石に近いです。)

 NikonはCoolScanシリーズのサポートをもうやめていますので,新しいOSで動作するソフトを用意してくれる可能性はゼロです。VueScanという優秀なシェアウェアを使うという手もありますが,これまでにスキャンを行ったネガと同じ条件でスキャンをしておきたい気もしますので,出来れば純正のNikonScan4を使いたいところです。

 そこで,MacBookProに古いOSを入れる事にしました。手持ちのMacOSX10.5のDVDから起動を試みますが,立ち上がりません。よく考えたら私のMacBookProはMacOSX10.5.2がプリインストールされていましたから,立ち上がらないのも道理です。

 付属のDVDから起動して,外付けのHDDへインストール。続けてアップデートを続けざまに行って10.5.8にしてから,NikonScan4をインストールします。もちろんColor munki displayでディスプレイの校正は先に行っておきます。

 過去の設定ファイルなどを移行して,ようやく数年ぶりにCoolScanVEDを正常に動かすことが出来るようになりました。

 F100で撮影したネガは大きな補正をかけずとも使える結果になりましたが,これからスキャンを行うCLEで撮影したネガは,かなりいろいろと修正をしなければだめだと思います。NikonScan4は古いソフトですが,幸いにして16ビットのTIFFで保存が可能ですから,とりあえずスキャンした結果をPhotoshopかCaptureNX2で補正していくことにしましょう。

一眼レフと銀塩とPENTAX Q

 無事に子供も生まれて,しばらく離れていたカメラを取り出すことがまた増えてきました。それぞれのカメラの個性は記憶しているのですが,細かい操作や設定内容を忘れていて,ショックを受けることがしばしばです。

 D2Hは大きくて重くて音が大きいため,子供が怖がるほどですが,やっぱりこいつが一番だなあと思います。しかし,レリーズボタンの半押しでAEロックの設定をOFFにしてあったことに気が付かず(マルチパターン測光をもっと積極的に使おうと挑戦を試みた時に設定を変えたが結局挫折),なにやら白飛びした画像を量産してしまいました。

 また,非CPUレンズ使用時の,焦点距離と開放絞り値の変更をするのを忘れて,50mm/F1.4から28mm/F2.8にレンズを交換し,絞り値が狂ったまま撮影をしたりと,散々でした。

 K10Dはダルなシャッター音が,脳内麻薬の生産をストップさせてしまうのですが,FA43mm/F1.9Limitedの素晴らしさは,出てきた画像を紙に印刷すれば圧倒的と言えるほどの力を持っています。誰に見せても「これは違うカメラ?」と聞いてくるくらいです。

 実はもうK10Dは,FA43mm専用となっています。K-5もK-7も気になるカメラではありましたが,結局見送ることにしたのはFA43mm専用機になってしまう現実で,新しいカメラを買う必要があるのか,と思ったからです。

 そして,銀塩です。

 F100に85mm/F1.8を使って見ましたが,素晴らしい写真を,ただシャッターを切るだけで残してくれることに,驚きました。この組み合わせは,まだまだ銀塩が主役だった時代にすでに存在したものですが,今見てもはっとするような写真を15年も前に残せていたのかと思うと,ちょっと惜しい気がしました。

 F3はやっぱり手に馴染むし,ファインダーを見ているとワクワクするし,シャッターを切ればやっぱりその振動の方向の違いからか,とても心地よいです。なにより親指でのフィルム巻き上げがたまりません。

 最後にCLEです。病院に持ち込んで,生まれた瞬間を記録するという大役を任せたのが,CLEとNoktonClassic40mm/F1.4でした。

 フィルムはISO400のセンチュリアスーパーでしたが,あまりよい写真になっておらず,私自身は結構がっかりしました。フォーカスはともかく,露出が結構失敗していて,やはりPICマイコンで素人が制御機構を作り直したカメラでは,うまくいかないものだなあと思いました。

 露出がアンダー気味になっていたのはなんとく分かっていましたが,ネガなら救えると思って気にせず撮影したところ,色が転んでしまった写真が出るほど外していました。

 レンズも,記録写真としてはちょっと個性が強すぎ,また暗い部屋だったので十分に絞り込むことも出来ず,どうも芯のない眠い写真ばかりになりました。こんなことなら多少無理してでもF3やSuperAを持ち込んだ方が良かったかもしれません。


 ところでPENTAX Qです。

 CLEとPENTAX Qの2台体制で撮影しましたが,PENTAX Qは使い込んでみると,どうも期待はずれなのです。

 CLEも今ひとつだったので,PENTAX Qをバックアップにと考えていましたが,こちらも今ひとつでしたから,貴重な誕生の瞬間の写真は,どうも満足行く結果を得ることが出来ませんでした。

 現時点でPENTAX Qについて思うことは,良く写るコンパクトデジカメに過ぎないという事,そしてこの値段ならよく写って当然だということです。

 まず,今時の機種にもかかわらず,実用感度はISO400までで,それ以上は使い物になりません。ノイズが多いくらいは辛抱しますが,色褪せは許せません。

 画質も良くないです。なんといいますか,無理をしているというか,不自然な処理が強くかかっているというか,階調が浅いというか,奥行き感がないというか。

 とにかく,不自然なのです。確かにレンズの解像度も良いし,撮影そのものは楽しいのですが,出てきた画像が不自然ですので,このままでは印刷しようという気さえ起きません。

 でレタッチを試みますが,なにせ出てきた画像の調整範囲が狭すぎて,ちょっといじるとすぐに破綻してしまうのです。情報量が少ないのでしょうね。

 ただ,RAWではまだ撮影しておらず,JPEGだけでの印象ですから,もしかするとRAWだと懐の深い所を見せてくれるかも知れません。

 でもね,RAWが前提だなんて,DP1sでいいじゃないかと思う訳です。もう10年近く使っているCybershotのU20なんて,JPEGですがそれなりにレタッチする余裕がありますよ。

 ということで,今のところPENTAX Qは,そこそこ綺麗に撮影出来ること,軽量であることを(小型とはあえて書きません。レンズを取り付けると結構大きくなって持ち運びが煩わしい形になりますので),魚眼レンズが面白いということくらいにしか,メリットを感じることが出来ずにいます。

 それと,気にならないと思っていたAFの性能の低さは,やっぱりものすごく気になるようになりました。コントラストAFですので,一度フォーカスアウトしてからざーっとなめるように焦点を探すという動作はやはりまどろっこしいし,実のところ結構AFが外れるんです。

 他にフォーカスが来ていることも多いし,明るいレンズの割にはフォーカスが外れている事も結構頻繁にあり,油断をしているとどこもボケボケの写真が出来てしまいます。

 小さすぎるのも困りもので,背面の十字ボタンを不用意に押してしまうことは以前にも書きました。なにが面倒って,押したボタンがどれか分からず,すぐに元に戻せないことがあったり,そもそも押してしまったことに気が付かない場合もあるので,もう少し押しにくいボタンにして欲しかったなあと思います。

 ストロークをもう少し深くするとか,押し込みの力を強くするとか,あるいはロックをかけてしまうとか,そういう工夫は欲しいところです。

 そう考えると,レンズ交換が出来ると言ってもズームレンズはそこらへんのコンパクトデジカメのレンズと同じくらいのものといいますし,実質標準レンズ1本だけで交換することもほとんどなく,特に高感度に強いわけでも,画像に粘りがあるわけでもないし,ボケが綺麗なわけでもないので,PENTAX Qの強みっていうのはなんだろうと思う訳です。

 懐の深い,素材として良質な画像を得るためには,一眼レフを使うのが一番なのですが,それと同じような使い方をPENTAX Qに期待したところ,さすがに過度な期待だったという事でしょうか。正直なところ,ちょっと失敗したかなと思うほどです。最新のデジカメをしばらく買わずにいたので,どれくらい進化したのか楽しみでしたが,やっぱデジカメはセンサのサイズですね。

Nikon1はなぜ響いてこないのか

 ニコンから,かねてから噂のあったミラーレス機が発表されて,しばらく経ちました。噂では11月初旬にはキヤノンからも「何らか」の発表があると噂されています。

 この時発表されたのはNikon1というブランドネームと,その第一弾となったEVFを持ったNikon1 V1と,廉価版のNikon1 J1の2つです。

  発表会は台風にかき消されてそれどころではなかった感じが残念ですが,一応期待していた私としても反応をしておかねばなりません。以下は発表当日にごちゃごちゃを書いた物で,現在の状況とはちょっと違っているかも知れません。ただ,当時の印象が正直に書かれているので,そのまま修正せず残して起きます。

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 結論から言うと,これは見送り。というか,かすりもせず,自分とは関係ない世界のお話と思いました。そもそもミラーレスの向かう方向が私の望むものと違っているので,どのメーカーのどの製品も今ひとつな感じがあるのですが,このNikon1はその最たる例という印象です。

 Nikon1の特筆すべき点は,撮像素子にAFセンサを作り込み,ミラーレスでも位相差方式のAFを実現したことです。推測の域を出ませんが,昨年秋に富士フイルムからこの撮像素子の発表と搭載製品の発売があったことを考えると,富士フイルムから供給を受けているのではないかと思います。(一部ではNikon1自身がOEMであるという話も出ているようです)

 ということで,別に真新しい話ではなく,褒めるべきはこういう特異な技術を採用する勇気についてだということになりますが,これがNikon1の唯一のこだわりでしょうか。

 メカシャッターを持たないこと,わずか1インチサイズの撮像素子であること,35mm換算で2.7倍の焦点距離であることで広角が苦しくなること,その割に本体が大きいこと,Fマウントアダプタが大きすぎ,またNEXのマウントアダプタのようにメーカー純正ならではの特徴がなくニコン謹製である必要を感じないこと,そして撮影モードの切り替えがメニューから階層に潜ってでしか行えないこと,というのが,私がぱっとみて感じたダメな点です。

 ニコンは伝統的に商売は下手です。不変のFマウントとか言ってますが,Fマウント以外のマウントのカメラを出したことがないわけではありません。そのマウントが結局死滅したからFマウントが残っているだけの話です。むしろ,キヤノンやペンタックスはマウントを「変えた」わけで,「追加した」ニコンに比べて,不退転の決意や意地があったと見るべきかも知れません。

 NEXがAPS-Cサイズの撮像素子を採用したのは,一眼レフの画質をそのまま維持して本体を小型化したかったという明確なコンセプトがありました。また,マウントアダプタを使って世界中のレンズ資産を手にするという野望のために,そのマウントも慎重に設計されました。素晴らしい事だと思います。

 他方PENTAX Qは,コンパクトデジカメと同じ撮像素子を使って,どこまで一眼レフに肉薄できるかに挑んだカメラです。小型の撮像素子には,本体を小型化できる事やこなれているためコストも有利ですし,使いこなしのノウハウもあります。その上でデメリットをどれくらい解消できるかを,PENTAXはテーマに掲げ,その成果を世に問うたわけです。

 マイクロフォーサーズのオリンパスPENは,過去の慣例に縛られずにデジタル一眼に最適なフォーマットとして練りに練られたフォーサーズから,ミラーボックスをなくしたカメラであり,画質と小型化を高い次元でバランスしたフォーサーズという規格自身が持つ高いポテンシャルから,自然に無理なく誕生したと考えるべきでしょう。もうちょっと大げさに言えば,つまりフォーサーズの段階で彼らはミラーレスを生み出すだけの検討を大方済ませてあったということです。

 翻ってNikon1です。撮像素子は,なぜ1インチでなければならなかったのかという明確なメッセージが届いてこない上に,なぜこのマウント径になったのか,フランジバックが17mmになった理由はなんなのか,今ひとつ響いてこないのです。

 単純に一眼レフとコンパクトデジカメの間にあって,それぞれのテリトリー(それは市場という意味でも開発者の縄張り意識という意味でも)を侵さないように作られたとしか,今のところ思えません。

 今のところ,と書きましたが,この後ニコン自身からもいろいろ理由が出てくることでしょう。頭のいい人が思いついた後付けの理由だって出てくるでしょうが,私に言わせれば,その製品を見た時に,見た人の多くが「メッセージ」を直接受け取るようなものでなければ,それはもう魅力的な製品ではないということです。お客さんをなめてはいけません。必ずバレます。

 よく考えてみないとわからない,よく考えてみても結局わからない,そんな製品が,支持されるはずはありません。

 ニコン自身も言っていますが,コンパクトデジカメに不満のある人の受け皿として,Nikon1を作ったそうです。しかし,一眼レフより高価なくせに,一眼レフより表現力も劣り,一眼レフに比べて特に使いやすいわけでもない中途半端なカメラが,その将来性も分からないままに買われるとは,とても思えません。

 それに,レンズ交換が出来なくとも,高画質なコンパクトデジカメはいくらでもあります。GR Digitalしかり,DP1しかり,FinePix X100しかり。どうも,レンズ交換可能なことが目的になっているようで,レンズ交換によってどんなことがお客さんに提供出来るかが見えなくなっているように思われてなりません。

 レンズ交換の目的は,様々な撮影シーンに対応すること,もうこれに尽きます。ズームレンズが今ほど性能が良くなかった時代,レンズ交換という機能は,決して歓迎された機能ではなかったことを思い出すべきです。

 マイクロフォーサーズは,ちゃんとレンズのロードマップを出しています。PentaxQは,5本ものレンズを同時に発売しました。では,Nikon1はどうでしょうか。レンズ交換でなければならない理由が伝わってきますでしょうか。

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 ・・・てなことを当時書いていました。今もそれほど状況が変わっていないので,書かれていることはそのままほぼ,今の私の意見に合致します。

 デザインが悪い,画質が心配など,当時主流を占めたマイナスの意見は,実機のサンプルを元に記事が書かれるようになり,またサンプルの画像が出るようになって,少しずつ払拭されつつあるようです。ですが私はそこは当時もあまり心配しておらず,触れてもいません。もう少し内側に潜む物,というより作った人の思想や意志が見えないことが,とても残念だということです。

 もはや言い訳に近いんじゃないかと思えるほど,PENTAX Qはそういうメッセージが届いてきますよね。だからそのメッセージに共感する人は絶賛するし,共感出来なければ相手にもしません。

 今の私と状況が1つだけ違っていることがあるとすれば,それはこの時,私にはミラーレスへの興味がほとんどありませんでした。しかし,今は,PENTAX Qのメッセージに強く共感しているということです。

 PENTAX Qは小型化のために撮像素子の大きさをコンパクトデジカメと同じサイズの小型の物にしました。画質,ノイズ,感度,広角レンズを作りにくい,そして美しいレンズのボケを表現力として使いこなせないというデメリットは,少し写真を知っている人なら誰でも考える点であり,PENTAXも当然意識していたはずです。

 もし,本当にこれらのデメリットがある水準で解決していたら,そこにはもう小型化したメリットしか残りません。これはひょっとすると大変なことかも知れないと,そんな風に思っています。

 どうでしょう,あとは実機を触ってみないと・・・

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