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僕のコダクローム

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 昨年の12月20日,コダクロームが我々の手を離れていきました。

 コダクロームというカラースライドフィルムの国内現像の受け付けがこの日終了しました。一応アメリカ本国で現像は行われていますから,個人で依頼するのも手ですし,コダックが手続きを代行してくれることになってるそうなので,従来通り写真屋さんに現像を依頼すれば,代金は約3500円,期間は中2週間でまだコダクロームを使うことは可能です。

 ただ,世界に冠たる写真王国の1つである日本で,コダクロームはこれまでいつでもあえる身近な存在だったのに,それが急に遠くに行ってしまうわけで,感傷に浸る人々が後を絶たないのです。

 銀塩フィルムの消費量,生産量の激減と,これに伴う製造からの撤退,品種の整理,価格の上昇という,ファンには不安な風がながれた2007年でしたが,コダクロームの国内現像の終了はまさに2007年の最後にふさわしい事件であると言えるでしょう。

 今さらいう事ではありませんが,他のスライドフィルムの現像はこれまで通りです。これは,コダクロームの現像方法が他と異なる唯一の存在だからです。

 カラーフィルムには,色素(厳密には違うのですが)がフィルムの中にあらかじめ入っているものと,現像の時に外から与えてやるタイプの2つがあります。前者は内式,後者は外式と言います。

 外式の代表はコダクロームであり,同時に人類が初めて手にした写真用カラーフィルムでもあります。そしてそれ以降の我々の歴史は,コダクロームによって記録されてきたのです。

 初期のカラーフィルムはすべて外式だったのですが,現像が難しいという欠点があり,これを解決するべく内式が誕生します。現在,コダクロームを除くカラーフィルムは,すべて内式です。

 私は技術者ですので,工業的に,あるいは技術的に劣った物が,その欠点を克服した新しい物に淘汰されることは当然と思いますし,その結果がユーザーに還元されることを正しいと信じる事は,技術開発を停滞させないための,技術者に常に求められる心がけだろうと思っています。

 だから,コダクロームが1935年の登場から70年以上も生き続けていたことは,工業製品として量産された物が,伝統だの文化を身に纏い,やがて神格化されるという純技術的に望ましくない意識によって支えられていたのではないかと,警戒してしまうのです。

 むしろコダック自身が内式のエクタクロームを現在においてもきちんと供給していることや,富士フイルムが内式のみを扱い,その中で世界を変えるような優れたフィルムを開発して,それこそカラー写真の概念を変えるような製品を供給してきたことこそ,実は賞賛されるべき事ではないかと思うわけです。

 しかし,コダクロームは単なる現像方法の違いだけで選ばれるフィルムではありません。歴史,伝統,精神性を理由に選ばれるフィルムでもありません。写真フィルムはクリエイター達が使う素材であり,単純な工業製品でもなければ,神格化されたブランドくらいで長生きできるものでもないのです。

 だから,もしもコダクロームと同じ結果が得られる現代的なフィルムがあれば,コダクロームはもっと早くに淘汰されていたんじゃないかなと思うのですが,そういうフィルムを今から開発しても売れないくらい,今時の写真の傾向はコダクロームの個性と逆をいっているのだと思います。

 だから,文化的にさえ,コダクロームはすでに淘汰されてよいフィルムだと言えるのかも知れません。

 確かに,コダクロームには,独特のコクがあるように思います。あくまで自然な発色,個人的にはベルビアが箱庭的に見えるのに対し,コダクロームはまさに窓から覗く感覚です。

 ある人が言うのですが,コダクロームは,完全につぶれたと思われるシャドウにも,ちゃんと情報が残っているいるんだそうです。その人は,シャドウに浮かび上がった像を見て,コダクロームの情報量の多さと,粘りの強さに感動したと言います。

 現像も難しいが,撮影も難しいフィルムでした。ついでに言うと使用前の保存も難しければ選んで買うことも難しく,乳剤番号に一喜一憂せねばならないことも,あえてこのフィルムを選ぶ人にとっては,儀式のような物だったのかも知れません。

 そうした希有なフィルムによって,人類の50年ばかりの時間を記録されていたことは,非常に幸運であったと言わざるを得ません。その後やってくるビデオによる記録で失われた情報の多さは,後の世代が我々の世代を揶揄する材料となりうるでしょう。

 ここで,カラーポジフィルムの仕組みをおさらいします。

 ネガフィルムもポジフィルムもカラーフィルムの基本構造は同じです。フィルムベースの上に赤に感光する乳剤,緑に感光する乳剤,黄色を除去するフィルター,そして青に感光する乳剤が順に重ねて塗られています。

 これでおわかりのように,カラー写真は三原色を深度方向で記録します。CCDなどのデジタル写真は,一部の例外を除き面で三原色を記録しています。本来見えてはならない色が見える「偽色」が出るのは,この面による記録が理由です。

 それぞれの色に感光した乳剤は,現像によって我々の目に像を映し出します。

 ネガフィルムの場合,現像と発色を同時に行うのですが,ポジフィルムの場合は一手間かかります。まず第一現像という,白黒の現像が行われます。感光した部分が金属銀になることで,その場所が黒くなるのです。この段階ではネガですね。

 次に第二露光を行います。先ほどのネガ状態のフィルムに光を当て,金属銀が生じた部分以外を感光させ,結果としてネガポジを反転させるのです。

 こうして第二露光で生じた潜像を着色すれば,見事にカラーポジが完成します。発色という処理から定着,漂白については,ネガと同じ処理です。

 それで,この発色の方法の違いが,内式と外式の違いです。乳剤にカプラーと呼ばれる,色素を形成するものをあらかじめ入れてあるのが内式,発色現像中に外から与えるのが外式です。

 外式の場合,乳剤の層ごとに二次露光と現像を繰り返します。手間も時間もかかりますし,3つの条件が揃ってくれないと,本来の色が出てきません。カプラーを内蔵させることで1度で発色現像が出来る内式の開発は,生産性の向上と品質の安定という量産品が目指す技術開発の結果であると,ここで明確になります。

 ただ,私には正確に説明は出来ませんが,この外式のコダクロームは,保存性が抜群に良いのだそうです。カラーフィルムは紫外線や空気中の化学物質によって色素が分解し,退色してしまいます・コダクロームも退色しますが,それでも随分長持ちするのだそうです。

 あと,これは結果論でしょうが,やはりその自然で深みのある色合いがコダクロームの個性で,派手さはないが,見たままを写し取るという写真本来の目的のために選ばれるフィルムになっています。

 私はコダクロームは,身の丈を超えた雲の上のフィルムだと思っていますので,使った経験はほとんどありません。しかし,乳剤面のデコボコと,本当に見たままになる自然な色合いにちょっとした感激をしつつ,ますます高い敷居を感じて,むしろ避けるようになってしまいました。

 昨年3月で国内の販売が中止されると発表された時に,私も数本購入したのですが,あまり積極的に使おうという気分にはなりませんでした。記念品として残しておこうくらいに考えていたのですが,せっかくだからと1本,自宅の周囲をぶらぶらと撮影してみました。

 そして現像されたコダクロームを眺めて,やはりため息をつきました。

 36枚のうち,ほとんど失敗。ひょっとすると全部失敗かもしれません。しかし,時にはっとさせられるような深みをたたえた素晴らしい色は,まさにコダクロームが唯一無二の存在であることを伺わせます。

 惜しいことをしなものだなあと,私は非常に後悔しました。

 さすがに3500円も出してコダクロームをわざわざ使うことはないでしょうし,そもそも手持ちのコダクロームも2本ほどしか残していません。もう新品を手軽に買うことは出来ないのですから,これが私にとっての最後のコダクロームになることでしょう。

 多くのカメラマンがその時代を記録したコダクロームを,素人の私が使うこともおこがましいのですが,背伸びをしてこの歴史的な瞬間に当事者として加わることが許された事実を,素直に喜ぶべきだと考えることにします。

KAマウントに改造する

 レンズが揃っていない*istDLに,1つでも多くのレンズの取り付けて試してみようと思っていたわけですが,こういう場合におあつらえ向きなレンズとして,タムロンのMFレンズがあります。

 タムロンは随分昔から,マウントが交換できるようになっていました。レンズだけ買っても使えず,マウントも一緒に買わないといけないという面倒臭さはありますが,別のボディに取り付けたい場合でもレンズを買い直す必要はなく,必要なマウントに交換するだけで,手持ちのレンズがそのままの性能で利用できるというのは大きなメリットでした。

 レンズマウントが共通になればなあ,と思った人は多いと思いますが,タムロンの方式はその答えの1つだと言えます。

 残念なことにAFレンズではこの仕組みは採用されず,他社と同じようにマウントごとにレンズも作り分けられるようになってしまいました。加えてMFレンズとマウントも製造中止になってしまい,既に過去の物となっています。

 交換式マウントであることが理由で,他のメーカーに性能面で劣っていては商売になりませんから,80年代の複雑なメカ連動にもきちんと程度対応していて,取り外し可能な機構と精度をよくも両立できた物だと感心します。

 私が持っているタムロンのMFレンズは,有名なマクロレンズで,SP90mm/F2.8です。

 昔からマクロレンズを使ってみたくて,F3を買ったときに購入しました。ちょうどこのレンズが出たときではなかったかと思います。

 ニコン用のAFレンズとMFレンズの両方がラインナップされていて,どちらにするか迷いましたが,マウントを交換できるということよりは,F3に使うレンズですから,MFレンズとして作られた物が欲しかったという理由で,MFを選びました。

 そもそも,マクロレンズでAFを使うことはないだろうと思っていましたが,ニコンの場合(他社の場合もそうですが),単純にAFが可能ということ以外に,レンズの情報をボディに電気的に伝える仕組みが用意されていることが大きな差になっています。

 それもボディがF3ですから,余り関係ないということで,MFを選んだのです。

 F3で使う限り期待通りのいいレンズだったのですが,一昨年から始めたカメラの修理によっていろいろなメーカーのボディを持つようになってから,マウントの交換を実際にやってみたいと思うようになりました,

 それで昨年,ES2で開放測光を行えるように,M42の開放測光対応のマウントを新品で買うことにしました。すでに量販店では在庫がなく,通信販売で在庫を探し回り,ようやく手に入れることが出来ました。

 そうこうしているうちに生産が終了,オークションでも高騰するようになってきました。

 *istDLを買った私は,手持ちレンズの少ないKマウントのレンズとして,このマクロレンズを使いたいと考えていたのですが,残念ながらKマウントは新品ではもう手に入りません。

 そこで,オークションで手に入れてみました。新品並みの値段になってしまったのですが,仕方がありません。

 手に入れたのは,KMやMXなどに使う初期のKマウントで,KAマウントには対応しません。一応タムロンからはKAマウントに対応できる物も併売されていたようですが,それは今回手に入りませんでした。

 しかし,*istDLには,KマウントとKAマウントの間に,大きな差があります。Kマウントだと開放測光が使えず,絞り優先オートやプログラムモードも利用できません。

 これはさすがに不便と考えて,手に入れたマウントを,どうにかKAマウントに改造できない物かと考えていました。

 KAマウントの仕様は原則非公開だと思われますが,自分で解析した人たちもいるにはいて,私もそういう先人達の財産を使わせていただきました。

 KAマウントには,たくさんの接点が用意されています。ところがこの接点の使い道は案外原始的で,接点がマウントと同じ電位になっているかいないかという2つの状態しか示していません。

 この方法を使って,2つの接点で最小絞りを,3つの接点で,開放絞りが最小絞りから何段開けたところにあるかをボディに伝える仕組みです。

 また,A/Mという接点があり,ここがマウントと同じ電位になっていれば絞り環がAポジションに,なっていなければそれ以外の位置にあることを示します。

 気が付いた方も折られるでしょうが,KAマウントは,単に電気接点が追加されただけではなく,絞り込みレバーの押し込み量で実際の絞りを正確に制御できる必要もあります。だから単純に電気接点の改造を行っても機能しないのです。

 とはいえ,タムロンのレンズは,ちゃんと絞り込みレバーの角度で絞りを制御するボディにも取り付る事が出来て,ボディによる絞りの制御も問題ありません。ということは,一応レンズ自体は対応可能だということです。

 今回手に入れたマウントは,絞りをボディから制御することが出来ないものですから,マウントに備わっている絞り込みレバーが正しい動作をする保証はありませんが,仕組みをつぶさに見る限り,レバーの押し込み量がリニアにレンズ側に伝達されているようなので,そんなに大きな誤差を持つとは思えません。

 さて,改造ですが,まずマウントを分解します。

 ボディに接する側のマウントに穴を開けるのですが,真鍮製だったので簡単員あなた空きました。ここに電気接点を用意するのですが,冷静に考えると,私の持っているレンズは1つだけ。このレンズ専用にしてしまえば,最小絞りF32,開放F2.8という情報だけを持たせればよいことになります。

 KAマウントのボディ側の接点は少々飛び出しており,接点のないマウントを取り付けると無条件にマウントと同じ電位になります。ただし,A/Mという接点についてはくぼんでおり,接点のないマウントを取り付けた場合でもマウントと同じ電位にはなりません。

 ということは,ボディと同じ電位になって欲しくない接点の位置に穴を開けて,接点が接しないようにすることで,なんとか対応が出来そうです。

 早速穴を開けてみましたが,勘違いもあって,開けてはいけない場所に穴を開けて焦りました。真鍮ですからハンダで埋めることができ,穴をふさぐことでリカバーです。

 そしてA/M接点については,Aモード専用のレンズとして割り切ってしまえば,ずっとマウントに接してよいことになります。FAJレンズのような感じですね。

 前述のように,くぼんだボディ側の接点に確実に接するようにしなければなりませんから,ここには以前ジャンクのFAレンズをばらしたときに出てきたピンとバネを移植します。

 読みが甘くて,十分にピンが引っ込まず,ボディ側のマウントに傷を付けたりしましたが,一応Aモードであることは認識してくれたようです。

 めでたしめでたしと思っていたら,この状態ではMモードの絞り込み測光が出来ないんですね。絞り優先オートで絞り値をボディ側で制御して撮影したところ,結構露出にバラツキが出ました。絞り込み測光ならこうした問題は出てきません。出来れば両方に対応したいなあと考えた私は,A/M接点が,最小絞りの時だけマウントと同じ電位になるよう,さらに改造を行うことにしました。

 A/M接点をスリーブで周囲から絶縁し,ピンの後端にあるスプリングが接する部分に穴を開けます。

 この穴の下には,絞り環と連動するアルミの輪があって,これにスプリングが接するようにしておきます。

 アルミの輪の塗装を剥がし,最小絞りの位置以外はテープを貼って絶縁します。

 これで試して見たのですが,最小絞りでもAモードになってくれません。導通を確かめると,どうもスプリングが接するアルミの輪がマウントと同電位になっていないようです。そこで塗装を剥がしたりして導通を確保したのですが,それでも時々Aモードにならないことがあります。

 そこで根本的な対策として,アルミの輪に接する別の部品からスプリングを出して,ここにきちんと接するようにしました。

 これで試すと,完璧です。

 ようやく,SP90mm/F2.8がKAマウントに出来ました。

 この状態でいろいろ試してみましたが,以前に比べて露出の精度も上がっていて,絞り優先オートやプログラムモードでも実用的に使えそうです。

 90mmのレンズは*istDLでは135mm相当の中望遠レンズになります。それでマクロですから,結構面白い使い方も出来るでしょう。

 マクロレンズとしては切れ味がそれ程すごいわけではなく,柔らかい描写を楽しむ物なわけですが,デジタル対応ではないこともあって,D2Hで試したときはあまりいい結果は出ませんでした。

 *istDLでも同じような傾向なのですが,あまり肩肘を張らずに楽しむために買ったのが*istDLです。細かいことは気にしないで,優れたレンズがバリエーションに加わったということを,素直に楽しもうと思います。

istDLの制約事項

 昨年末の経営統合の話に始まり,K10Dというヒットモデルと収益の大幅な改善とは裏腹に迷走を続けたペンタックスがHOYAの子会社になってしまうことがほぼ決まってしまったところで,私はistDLをいろいろいじって遊んでいます。

 電池の持ちはなかなか良くて,これならエネループでも十分実戦に使えそうな感触です。ただ,小さすぎて持つのに慣れていないせいか,手ぶれが多く出る傾向にあります。MEsuperで手ぶれを連発した(一方でミノルタのXEではびっくりするほど手ぶれが少ない)のと,状況は似ているように思います。

 さて,未だにはっきりしないのは,測光関係です。説明書には簡単に書いてあるので,すぐにマスターできるかなと思ったのですが,一筋縄にはいきません。これは,私はKマウントのレンズに詳しくないということも影響していると思います。

 今さらですが,まとめると,

・AFレンズ
 フル機能使用可能。

・Aレンズ
 AFを除くフル機能使用可能。ただし絞り環をA位置からずらすとMレンズと同じ扱いとなる。

・Mレンズ
 Avモードでは絞りが開放でしか使えない,MモードではAE-Lボタンで絞り込み測光が行われ適性露出が得られるシャッター速度がセットされる。

・M42レンズ
 基本的にはMレンズと同じ。しかしA/Mレバーを持つレンズでマニュアルモードにセットすると,常時絞り込まれるのでAvモードが実用的に使える。

 という感じになります。

 本当にそうなるのか?と試していくのですが,結果がなかなか思ったようにならず,それで悩んでしまうことが多いです。

 まず,AFレンズです。AFレンズはどのレンズでも適性露出が得られますし,使い勝手もよいので,結局istDLでは最もマッチするレンズと言えるのですが,それでも絞り環をAからずらしてしまうと途端にMレンズ扱いにされ,後述するように露出の誤差も盛大にでてしまいます。

 Aレンズは,私の場合トキナの28mm/F2.8しか持っていないのですが,これも絞り環をAの位置で使えばほとんど問題はなしです。しかしAからずらすとMレンズの扱いとなってしまいます。

 Mレンズですが,私は持っていません。ただ,AレンズをMレンズとして認識させることは簡単なのでそれで試してみましたが,Avモードでは2段もアンダーになります。2段ですからね,これはもう使い物にならんでしょう。Mモードで絞り込み測光を行うと,適性露出が得られますから,おそらくこれで解決しなさいということなのでしょう。

 調べてみると,初代のistDでも,発売当時はMレンズは開放でしか使えなかったそうで,これが絞り込み測光で使えるようになったのは後のアップデートでだそうです。この時多くのistDユーザーが諸手を挙げて喜んだそうですから,いかに最初から与えられている人間が贅沢になるか,ということでしょう。

 M42レンズはMレンズなどと扱いは同じで,電気的な接続がなされないレンズなのですから当然といえます。ですが,M42のレンズには常時絞られているものがあり,これだとAvモードでも任意の絞りで使えることになります。

 そもそも,カメラのレンズは常に絞られているのが当たり前でした。今でもレンジファインダー用のレンズはそういう仕様になっていますが,一眼レフではファインダーが見にくくなるので,シャッターを切ったときだけ絞られるように進化しました。

 当時これを「オート」と呼んでいて,オートタクマーやオートニッコールなどと,大々的にアピールされました。ペンタックスのタクマーレンズの場合,過去のボディとの互換性を維持するために,「オート」を無効にする「マニュアル」にも切り替え可能なA/Mレバーがついていたのですが,これが21世紀になって便利に使われるようになるとは,誰も想像できなかったでしょう。

 しかし,istDLに限って言えば,せっかくのM42レンズでのAvモードは,2段もアンダーになるので使い物になりません。露出補正を使えばよいかも知れませんが,さらにプラス補正が必要なシーンではもうお手上げになります。

 まあ,どのみち,絞り込んだ状態では,ただでさえ見にくいistDLのファインダーでフォーカスをあわせるのは至難の業です。いちいちA/Mレバーを切り替えるくらいなら,Mモードで使用するのが一番便利です。

 ということで,私の結論は,

・AFレンズ
 フル機能使用可能。一番らくちん。

・Aレンズ
 AFを除くフル機能使用可能。絞り環はAで固定する。

・Mレンズ
 Mモードでしか使用しない。

・M42レンズ
 Mモードでしか使用しない。

 ということでまとまりました。

 次に内蔵ストロボです。

 内蔵ストロボはおまけくらいにしか考えていない人も多いと思いますが,やはりあるとないでは大きな違いがあり,明るい昼間でもちょっと影を消したい時などに重宝します。とはいえ,それも精度のいい調光が出来るのが前提だったりするので,調光精度についてはあらかじめどんな具合か確かめておく必要があります。

 ところがistDL,これは大変に残念な結果に終わりました。

 説明書によると,フル発光になってしまうのはMレンズやM42の時で,AレンズではTTL調光が可能になっているそうです。

 AFレンズではきちんと調光されましたが,少なくともトキナのAレンズでは,F5.6付近でオーバーになり,適性露出が得られたのは開放か,F8あたりだけでした。もしかして調光されていないのでは,と思い絞り環をAからずらしてフル発光させてみましたが,真っ白に白飛びしたのでオーバー気味なF5.6でも一応調光はされているようです。

 M42においても同様の傾向があって,絞り値によって調光の精度が随分とかわります。残念ですが,AFレンズ以外ではストロボの発光量を手動で調整しないと,まともな露出は得られそうにありません。

 例えばですね,これがニコンのD2Hなんかだと,非常に厳密なんです。出来ると書いてあることは,どんな組み合わせでもきちんと期待通りの結果が得られます。逆に出来ないと書いてあることはどう転んでも出来ないようになっているのですが,この辺がプロを相手に商売することが日常的なニコンと,そうでないペンタックスの文化の違いと言えるのかも知れません。

 しかし,納得がいかないのは,本来精度が一番いいはずのTTL調光で,これほど誤差が出てしまうことでしょう。プリ発光まで行って,実際に届いた光から調光を行う仕組みのくせに,絞り値によってこれほど差が出るというのはおかしいです。ひょっとしたら,届いた光を測光しているのではなくて,設定された絞り値だけで調光を行ったりしていたりしないでしょうね・・・(それならレンズの絞り込みの精度に左右されるので納得がいきます)

 ということで,結論としては,内蔵ストロボはAFレンズなら心配なし,それ以外の場合は補正が必要なのでプレビューを見て調整を行うということになりました。

 まあ,これくらいの制約は別に構わないのですが,こういう実験をして積み重ねておかないと実際に使ったときに失敗するので,面倒といわれれば面倒です。ニコンとの比較になりますが,ニコンが結局楽だったのは,機能が豊富であったけれども,説明書にない制約事項を自分で確かめる手間がかからないということだったと思いました。

 結局使い分け,ということになるのかも知れません。ボディが安く買えても,レンズを増やせばトータルコストがかかりますし,ニコンとの二重投資になりますから,基本的には今あるレンズでやっていこうと思っています。その点でもきちんと使い分けをしないといけないですね。

 といいつつ,どうしても欲しかったタムロンの交換マウント「アダプトール2」のKマウントを,オークションで手に入れました。SP90mm/F2.8MACRO(model72B)の出番が減っている昨今,ちょうどこの焦点距離のレンズも持っていないし,マクロレンズとして使うという事でもちょうどいいです。これをなんとかAレンズとして認識できるように改造しようと思っています。

 はてさて,どうなりますことやら・・・

CaptureNXは使えるツールなのか

 昨年の秋だったのですが,Nikon純正のRAW現像ソフト「NikonCapture」の正規ユーザー向けに,次世代の現像ソフト「CaptureNX」への優待販売がありました。

 私もせっかくだからと申し込んだものの,銀塩カメラの修理やらフィルムのスキャンやらで全然触っている時間もなく,今になってようやくじっくり使うようになりました。

 登場から時間を経て,それなりに評価も出そろってきているCaptureNXですが,全体的にネガティブな意見が多いように思います。使い込んだ道具ほど,手放すのが惜しいものです。そんな職人達の感情を逆撫でするような,新しいデジタル一眼への対応が古いNikonCaptureで見送られるという事に対する反発も大なり小なり影響しているように思います。

 ただ,NikonCaptureに比べて重いとか,ツール類のレイアウトが大きく変わったとか,保存時のデフォルトフォルダが毎回リセットされるとか,そういうまっとうな意見もあるので,一概に好みの問題と言えない部分もあるでしょう。

 私は逆に旧世代のNikonCaptureをほとんど触っていません。ですからCaptureNXには自然に入っていけたのですが,その印象はかなりよいです。

(1)コントロールポイント

 Photoshop(自慢じゃないですが私はVer.3.0以来CS2まで毎回アドビ税を払い続けている優良顧客です)にしてもなんにしても,フォトレタッチという作業は結局の所,範囲選択に始まり範囲選択に終わります。

 ところが,この範囲選択という作業にはそれなりのスキルも必要ですし,手間も時間もかかる場合があって,結構緻密で面倒な作業なわけです。

 「魔法の杖」ツールのようにこの作業を半自動化するものもありましたが,それではどうしても狙ったとおりにならないため,投げ縄ツールでコツコツと選択範囲を指定する人も多いと思いますが,現実の暗室作業で行われる範囲選択はもっと簡単で,もっと直感的です。(あたりまえですね)

 CaptureNXのコントロールポイントが素晴らしいのは,デジタル暗室に不可欠だった範囲選択という作業が必要ない,ということです。範囲の選択は自動で行われ,それをユーザーが意識することはほとんどありません。この「自動で行われる」というところに気持ち悪さを覚えるかも知れないと思いましたが,実に良くできています。

 空の色をもう少し青くしたい,顔にもう少し光を当てたい,といった修正は日常的に行われますが,コントロールポイントのうちの1つであるカラーコントロールポイントを使えば,空に,あるいは顔にポイントを置き,明度やコントラスト,彩度をスライダでちょちょっと変更すれば,自分の狙った範囲にだけその効果が現れます。これは実に見事です。

 不自然な結果になるかもしれないとか,意図しない部分にまで効果が及ぶとか,そういう心配もありましたが,やってみるとおおむね自分の思ったとおりになるのは大変助かります。

 少なくとも,空の色を変えたいのに山の色が勝手に変わるというわかりやすいケースではほぼ確実に動作してくれますので,「これくらいわかりきった範囲指定は自動化して欲しいよなあ」と思いながら空をぐるぐると範囲指定していたような人には,作業を簡略化してくれる強力な武器になると思います。

 ブラック/ホワイト/ニュートラルコントロールポイントも,単に明度の最小と最大を指定したり,ホワイトバランスの規準となるグレーを指定するだけのスポイトツールではなく,その点をどの明るさにするのか,という操作が可能なので,思い通りのダイナミックレンジをヒストグラムを見ながら調整することができます。

 赤目の修正も同じようにコントロールポイントで一発。不自然にならないように修正するには範囲選択をうまくしないといけなかったですし,それに集合写真のように数をこなさないといけないケース(一人あたり2つありますからね目玉は)では,非常に楽ちんです。

 CaptureNXの最大の特徴はこのコントロールポイントにあると言えると思います。CaptureNXはRAWだけではなく,JPEGやTIFFも扱えますので,怠け癖のある私などはついつい,JPEGのレタッチにもCaptureNXを使うようになってしまいました。

 単なるRAW現像ソフトから汎用レタッチソフトとして私にとっての位置付けが変わってしまったと言っても良いのですが,考えてみるとこれをニコンが15000円ほどで販売してくれているというのは,とてもありがたいことと言えるかも知れません。


(2)角度の修正

 ついつい画面が傾いた写真を撮ってしまった経験は誰にでもあると思いますが,これを修正する作業はPhotoshopでも簡単に行うことができます。

 同じようなもんだろうと思っていたらCaptureNXはちょっと違っていました。CaptureNXでは,2点を指定し,この点を結ぶ直線が垂直になるように傾きを自動で調整してくれます。

 例えば,電信柱が傾いてしまってみっともない場合,電信柱の上から下にすーっと直線を引くだけで,電信柱がまっすぐに修正されます。目測で「こんなもんかなー」とマウスをぐるぐる回すことはしなくてよいのです。

 ただ,目測が便利な場合もありますね。自動で修正してくれた後の微調整は,角度を打ち込む方法しかないので,修正の結果自分の狙ったとおりにならない場合は,2点を指定し直すか角度を打ち込むしかありません。これはちょっと面倒です。


(3)ノイズ除去

 私のD2Hがノイズまみれの画像を吐き出す(w)とかそういう話は少し置いておいて,フィルムのスキャン画像や携帯電話のカメラで撮影した画像のように,カラーノイズが目立つ場合,これを軽減することがかなり良い感じに出来ます。

 原理的にシャープネスが失われ,階調もつぶれてしまうので塗り絵のような画になりがちですが,CaptureNXではエッジノイズリダクションのようにエッジを潰さないようにノイズを軽減することも可能になっていて,丁寧に調整すればかなり悪い画像でも復活させることができます。


(4)アンシャープマスク

 アンシャープマスクはシャープネスを高めるための古典的な手法ですが,効果が絶大である一方で画質の劣化も大きい,まるで副作用の強い薬のような存在です。

 どのくらいアンシャープマスクをかけるかはなかなか判断が難しく,ここでもセンスが問われるわけですが,CaptureNXでは色を選択してかけるという技が使えます。

 アンシャープをかけたい対象物の色だけにかければ,他の色にはかかりにくくなりますし,対象物への効果も穏やかで,自然にシャープネスが改善されます。

 人の顔の場合は赤だけにアンシャープをかけると,画質の劣化を抑えて,きりっとした顔になってくれます。


(5)白黒変換

 白黒変換って,単純に彩度をゼロにすればよいと思っているとそれは大間違いです。人間の目は緑色の感度が高いので,RGBそれぞれのレベルに重み付けをきちんと行って最終的な明度を決定しないといけません。

 モノクロのフィルムや印画紙でも,どの波長に反応するかで個性があるのは事実ですし,もっと積極的に赤や黄色のフィルターを取り付けてコントラストを調整したりしますので,白黒への変換というのは実に奥が深いのです。

 Photoshopでもこのあたりは結構弱く,さすがにカメラメーカーのソフトだなと感じるのですが,モノクロの写真を表現の1つとして積極的に使っていこうと思う場合,CaptureNXの自由度の高さは非常に魅力的でしょう。


(6)範囲選択

 それでも範囲選択は不可欠な作業ですが,Photoshopなどの場合,投げ縄ツールで範囲選択を行うと,次の作業がその範囲で実行されます。しかしCaptureNXではそうはなりません。

 投げ縄ツールで範囲を選択しても,実際には選択されたことにはなっていません。そのあと「塗りつぶしツール」を使って囲った範囲を塗りつぶすときに,選んだ機能で塗りつぶされるのです。

 その機能がカラー化なら選んだ色で塗りつぶされます。つまり,

  範囲選択->機能選択->塗りつぶし

 という操作によってようやく機能が有効になるのです。

 Photoshopだと,塗りつぶしというのは「色で塗りつぶす」機能のことを言いますが,CaptureNXでは独立した機能ではなく実行コマンドのような扱いになっています。ですから,Photoshopでは範囲選択->機能選択で済んだ処理がもう1ステップ増えるわけです。

 このことに,私は今でもしっくりきませんし,慣れてもいません。範囲選択->明るさの変更という流れで操作しても,全く明るさは変化せず,ここからさらに塗りつぶしを行って初めて,変化が反映されるのです。

 なぜこういう仕組みになったのは,私にはわかりませんが,よくこれでみんな混乱しないものだと思います。

 ただ,この方法にはメリットもあって,塗りつぶしの代わりにグラデーションツールを選ぶと,選択された機能の効き具合がグラデーションにあわせて強弱がついてくれます。

 一方で選択ブラシを使うと選択と機能実行が同時に行われるという自然な流れになっているので,選択ツールとして分類されているものでも,その挙動に違いがあることは非常に不自然だと思います。

 よって塗りつぶしとグラデーションについては,選択ツールに分類するのではなく,機能実行という別の機能として独立させるべきだったのではないかと思います。

 

(7)スタンプツールがない

 CCDについたゴミとかネガの傷やホコリとか,ちょっと修正をしたいと思うことは普通にあることで,そういう場合に使うのがスタンプツールです。

 しかし,信じられないことに,この機能がありません。CaptureNXはそもそも何のためのソフトなのかをよく考えて欲しいなと思います。

 よく知られているように,スポイトツールで色を合わせて,ブラシで塗りつぶせば一応似たようなことは出来ます。しかし色が少しずつ変化する部分に線状に入った傷を消す場合,極端に言えば1ピクセルごとに色を合わせないといけないわけです。

 スタンプツールがあれば,この問題は解決します。やっぱり必要な機能でしょう。

 CaptureNXはPhotoshopと併用しないといけないと言われるのはこのあたりのこともあるのだろうと思います。価格が10倍近くも違うツールですから,出来ることに差があっても当然だとは思いますが,CaptureNXがもう少し高い目標を持ってくれていればなあと,残念です。


 ざっと思いついたところを書いてみると,こんな感じです。私の場合バッチ処理を行うことはほとんどなく,たくさん撮った写真から,良さそうなものを選んで現像していますので,プロのように大量の写真を現像するようなことはしません。バッチ処理に有利なのがNikonCaptureの強みだったというのですが,CaptureNXがどうなったのか,私は試せてはいません。

 15000円という価格でここまで出来るというのはかなりお得だと思います。このソフトを理由に一眼レフをニコンにするというは十分価値があると思いますし,デジカメがニコンでなくても,使ってみる価値はあるのではないでしょうか。

 Photoshopはプロ用のツールで,印刷原稿を仕上げるために不可欠な機能も多く含まれています。そんなものは普通の人には全く必要ありません。多くの方はPhotoshopElementsの方が関係が深いと思いますが,CaptureNXももう少し頑張れば,十分対抗馬になると思うのですが・・・惜しいなあと思います。

CLEのちょっとした改良

 先日の土曜日,久々にCLEを使ってみたのですが,1コマだけシャッター速度が明らかにスローになったことがありました。

 非常に不穏な動きをするので心配になったのですが,露出計が正しい値を示すまでに時間のかかる場合があり,露出計の出力をPICマイコンが読み込むタイミングとずれてしまうと,遅いシャッターが切れてしまう場合がないわけではないのですが,悪いことにその時露出計の指針を見ておらず,どういう状況になっていたのかを明らかにはできません。

 直接の原因ではないと思いますが,念のため電池の電圧を測定してみると,1つあたり1.25Vくらいまで下がってしまっています。2コで2.5Vですから,PICマイコンの動作範囲には入っています。ただ,電圧がここまで下がると,内部抵抗が上がってソレノイドの駆動など大電流が引かれたときに,電圧ががくんと下がってしまうことは十分に考えられます。

 なら,新しい電池に交換するなり,酸化銀電池をつかうなりすればよいと思うのですが,実は露出計の電源電圧が,余り高すぎてはまずいようなのです。

 現状では,電池の電圧がそのまま露出計のICの電源端子にかかるようになっています。電池が新しいときと古いときで,特に低輝度で,測光値が表示されるようになるまでの時間が明らかに違っています。電圧が高い方が時間がかかっているようで,新品の電池を入れると1秒くらい測光値を示してくれません。

 電源電圧が低くなるとレスポンスも良くなるので,そこから想像するに,この露出計は電池の電圧よりもずっと低い電源電圧で動作するように設計されているのだと思います。

 で3すから,本来なら高性能な酸化銀電池を使いたいところではありますが,そのためには露出計に加わる電圧を下げる必要があります。もし無理に高い電圧で使い続けると,ストレスによりじわじわとICが破損してしまい,取り返しのつかない事が起こってしまうでしょう。

 そこでちゃちゃっと考えたのが,露出計の電源供給ラインにダイオードを入れることです。シリコンダイオードは電圧降下が0.7Vほどありますから,1.55Vの酸化銀電池を2つ使ったケースでは,露出計にかかる電圧を2.4Vまで下げることが出来ます。

 電池電圧が下がった場合に問題が出そうな気もしますが,酸化銀電池は電圧の変動が小さいため,あまり心配しなくても良いような気がします。

 もう1つ心配なのは,2.4Vで動く露出計と,3.1Vで動くPICマイコンとの接続に関しての問題です。もし,PICマイコンから露出計に対してなにか信号を出すようなことをやっていると,露出計の電源電圧以上の信号を加えることになるので,露出計が壊れてしまいます。

 冷静に考えてみると,PICマイコンが露出計から信号を受けるケースはあっても,その逆のケースはなさそうです。よってこの点も大丈夫。

 早速試してみましたが,とりあえず問題はなさそうです。露出計にかかっている電圧は確実に下がっているはずなのですが,測光値が出てくる時間があまり改善されていないような気がしますが,それでも確実にICの保護にはなっているでしょう。

 もう少し調べてみる必要はありますが,これでようやく酸化銀電池で駆動できるCLEになりました。さらに安定した機体になってくれることを期待したいと思います。

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