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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

ニコマートELとNikonFEの1-2フィニッシュ

 先日のNikonFEですが,修理が終わりました。

 前回の修理の段階で,問題は2つありました。1つは露光ムラ,1つは1/1000秒が露光不足だったわけですが,これはいずれも先日目処を立てた通りの理由で起こっていました。

 まず露光ムラですが,シャッターブレーキが強すぎたのが原因だろうと目処を立てたところ,やはりその通りでした。シャッターブレーキをゆるめ,元の位置と同じくらいにして組み立てたところ,あっさり解決。

 次に1/1000秒の露光不足も推測通りで,電気的な調整の問題でマニュアルシャッター速度のγの調整が狂っていました。調整箇所をすべて一度初期状態に戻し,調整をやり直しました。

 結果,一応問題のないレベルに調整を追い込むことが出来ました。

 組み立てるときにもそれなりに気を遣って,絞り連動リングのバックラッシュも前回よりもずっと少なくなったと思います。

 早速試写したのがこれです。

ファイル 57-1.jpg

 レンズはAI45mm/F2.8Pです。

 家の窓から見える柿の木ですが,ちょっとアンダーです。まあこれはカメラの問題と言うより,露出補正をさぼった私が原因です。ただ,この試写ではちょっと問題も見つかりました。

 絞りリングを回すと1段ごとにメーターが変化するのが正しい動作で,EV9くらいの明るさでは問題なく変化してくれます。しかし,EV13くらいの明るいところで試してみると,11段よりも少なめで変化します。

 これはどうもシリコンフォトセルのγの調整が狂っているようです。ここまできて残念で悔しいのですが,ネガだとそれほど大きな誤差とは言えませんし,NikonFEは上カバーを外さないと調整が出来ない構造なので,もうこれは割り切ります。

 次にニコマートEL。これは随分前にジャンクから部品を移植して復活したものですが,試写を行っておらず,この機会に一緒に行うことにしました。

 基本的には同じレンズ,同じ被写体を同じ時間帯に撮影するので,ニコマートとFEの差を見ることが出来ます。

 結果は,オートの1/1000秒が0.5段ほど露光不足です。1/500秒なら十分実用レベル,マニュアルシャッターは全速問題なしです。

ファイル 57-2.jpg

 レンズはAI105mm/F2.5です。

 玄関から見えるコーンを撮影してみたのですが,十分だと思います。ちなみにこのニコマートELは,強引にFM3A用のフォーカシングスクリーンK3を移植してあり,スクリーンの厚みの違いからピントがずれてしまうという問題を以前に出していました。この問題は根気よく厚みを調整するスペーサをスクリーンに貼り付けて調整を行ったのですが,中望遠レンズでこれだけの精度が出ているのであれば,まずまずといえるのではないかと思います。

 オートの1/1000秒をどうするかは思案のしどころですが,これはおそらくCdSの特性に起因するのではないかと思うので,具体的な手はありません。調整をやり直せば少しはましになるかも知れませんが,根拠もないのにまたバラすのは気が引けます。

 なので,これで割り切りです。1/1000秒にならないように使うことが1つ,まあ仮に1/1000秒で使ってもネガなら補正範囲なので気にしない,ということですね。

 ということで,ニコマートELとNikonFEが実用機として落ち着きました。特にNikonFEは大きさといい感触といい質感といい文句なしのカメラで,噂に違わぬ名機だなと思った次第。もっと早くに手に入れていればよかったと感じました。

 45mm/F2.8はさすがにFM3Aに向けて作られたような所があるレンズですから,FEにも非常によく似合います。私の場合でもおそらくこの組み合わせが定番になるのでしょうね。

 それに比べてニコマートELは大きく重く,操作感もいまいちです。FEを使った後では欠点ばかりが目につくのですが,これはやや大きめのレンズを「ガチャガチャ」と取り付けてこそ味が出ます。

 それにしても今回は勉強になりました。縦走りシャッターのカメラを,ミラーボックスまで分解したのは実は初めてで,分解と組み立てを一通り経験するいい機会でした。

果てしなき闘いの渦へ

 いつもの中古カメラ屋へ散策に出かけると,ジャンク箱にニコンFEが鎮座していました。5000円で研究用ということでした。よく見るとミラーが上がったままになっています。

 いわゆるジャンク品で5000円は高いなあとちょっと思ったのですが,まあニコンですし仕方がないか,と思い手に取りました。

 塗装の剥げはひどいのですが,特にぶつけたようなあとはありません。プリズムの腐食もありませんし,シャッター幕やガイドレールにもおかしな傷は見あたりません。

 バッテリチェックをしてみるとLEDが点灯しますので電池はあるようです。これでミラーが上がったままになっているというのはちょっと深刻かも知れません。

 シャッターダイアルをM90にするとミラーが降りたので,もしかしてとおもい,シャッターを切り直してみると,スローシャッターもきちんと切れてくれます。何度切っても問題はなさそうです。露出計も一応まともに動いています。

 しかし,ここのカメラ屋はいつものように油断大敵。分解しないとわからないような問題にも気付いて値付けをしますので,シャッターが切れたくらいで「お買い得」と考えるのは,この店に限ってはありえません。百戦錬磨のオヤジに打ち勝つのはただごとではありません。(裏を返すとまともな中古は安心して買えるということです)

 かなり迷ったのですが,こういうのは縁ですから,買って帰ることにしました。

 ニコンFEはいつかは手に入れたいと思うカメラでした。ニコンにしては小さく,AI連動が可能な実用機として使いたかったのですが,高校生の頃のこと,ニコンはヒトケタ以外は認めないとすり込まれていたペンタックスSP使いの私が,ある友人(女子ですよ女子)のFE2(FEではありません)をバカにしつつシャッターを切って,その感触に感激したことが忘れられず,手に入れてみたいものだと思い続けておりました。

 FE2は1/4000秒のシャッターやシャッター速度のクオーツ制御で最新機種にも負けない実用性がありますが,今から20年以上前のカメラですし,まともな中古は高価なので,自分で修理して使うのはFEくらいが限度ではないかと思います。

 てなわけで,早速資料集めです。

 FEにミラーが降りてこないトラブルがあるそうで,原因は電池切れかミラーボックス底部の調整箇所の狂い,もしくはエアダンパーの動作不良だそうです。

 ニコマートELの子孫にあたるニコンFEですが,分解には結構勝手の違いを感じます。ニコマートではネジだけで組み立てられていたものが,Gリングを多用して組み立てやすさを向上させているようです。

 今回は電気系の安易な調整だけではなく,きちんとミラーボックスまで分解して手を入れて,ミラー周りの問題をきちんと解決して,同時にミラーボックス周辺の機構の勉強をしたいと考えていましたから,ザクザク分解していきます。

 とはいえ,FEは1978年生まれだけあって,それ以前のものに比べてかなり電気回路が増えています。フレキシブル基板も使われていて,配線を外さないと分解が先に進みません。

 分解前にデジカメで撮影し,同時にメモも取ります。終わったら躊躇なく一気に配線を外し,ビスをゆるめ,ミラーボックスを取り外します。

ファイル 56-1.jpg

 あるホームページにあったのですが,ミラーが降りない原因は,ミラー復元のレバーが重たいことにあるとのことで,これを軽くするのが上記の写真のネジなんだそうです。これは偏心ネジになっていて,ネジの回転でレバーの位置を調整できます。

 それならとレバーを高めの位置に設定し,軽い動作でミラーが降りるように調整をしました。汚れたグリスを拭き取り,新しいグリスを少しだけ塗りつけてから,元に戻します。

 そしてFEやFMでよく知られたミラーショックを軽減するエアダンパーを分解して清掃しました。かなりスムーズに動くようになりましたので,これでもう大丈夫でしょう。

 ファインダースクリーンはFM3A用のK3スクリーンを入れます。K3スクリーンはFEにも使えるのですが,明るくなっているために露出計は狂います。これを含めて露出計とシャッター速度の調整をやり直して,修理完了。

 早速フィルムを通してみたのですが,結果は散々でした。

(1)フィルムの下側に,他より露光時間の長い部分が1mmほどある
(2)マニュアルシャッターで1/1000秒が露光不足
(3)露光ムラがある

 電気系の調整は適当にやってしまったのですが,実は半固定抵抗がいっぱいあって,どれをいじるといいのか今ひとつ分からずにやっていました。それに,露光ムラについては電気と言うより,メカに関係する部分ですので,これは大変なことになっていると慌てました。

 適当に作業を進めてもかえって壊してしまうので,潔くサービスマニュアルを購入します。目を通して分かったことは,今回調整した偏心ネジは,実はシャッターブレーキの強さを調整するネジであることでした。

 そうとも知らず適当に回してしまった結果,ブレーキのかかり始める時間が早まり,同時に力が強くなり過ぎてしまい,後幕が閉じるときに大きな負荷がかかって速度が落ちていたのだと思います。手でシャッターユニットにある,ブレーキと連動するレバーを押さえつけてシャッターを切ってみると,まさに露光時間が長くなっている部分と同じ高さの隙間が出来ていました。

 そこで,ブレーキがきき始める位置をもっと下にずらし,同時にブレーキの力を弱めてやることで解決しそうです。

 このことで露光ムラが解決するかどうかは分かりませんが,コマによっては露光ムラがないものもありますので,これについてはとりあえず様子見です。

 次にシャッター速度不良ですが,これもサービスマニュアルを読んで氷解しました。

 シャッター速度や露出計の調整には,変化率(γ)の調整もあったのです。K3スクリーンを入れたことで狂ってしまった状態を適当に調整したため,それがγを補正するものであることを知らずにいたため,結果として低速側で調整したシャッター速度が,高速側で狂ってしまったのです。

 一応,昨日までの段階で,シャッターブレーキの再調整までは終わらせました。これから電機系の調整を行うことになりますが,これでFEがきちんと復活してくれれば,あの手強い中古カメラ屋のオヤジに勝利することができます。

 勝負するからには,勝たねばなりません。

 そんなわけで感張ります。

#実は,別の店で壊れている完全ジャンクのMZ-10を1050円で買ってしまいました。現在バラバラになっています・・・どうもプラスチックの破損が持病のようで,私のMZ-10もモーターのピニオンギアの割れが原因ではないかと,推測してるところです。

F70Dに張り皮

ファイル 52-1.jpg

 私が持っている唯一のAF一眼レフカメラがF70Dです。

 持っている経緯は以前にも書きましたので省略しますが,ここ最近の中古価格の高値安定傾向を見ると,再評価の波が来ているなあとつくづく思います。

 操作系があまりにアレなので敬遠される方にはとことん敬遠されてしまうのですが,慣れてしまえばなんと言うことはありませんし,軽く小さく静かで壊れにくく,基本的性能は十二分に持っている,実用機としては最高のモデルだと思います。

 ただ,欠点が,裏蓋のゴム塗装がべとべとになるという持病を抱えていることで,こうした中古は数千円という不甲斐ない価格で売られていたりします。

 これをうちのF70Dも徐々にべとべとがひどくなり,根本的な解決をしようと目論んでおりました。

 それは,張り皮を貼る,ことです。

 張り皮はクラシックカメラとは切り離せないもので,デザインと使い勝手を兼ね備える装飾です。80年代から90年代前半にかけてただの滑り止めのゴムに取って代わられましたが,最近ではただのゴムにもシボが施され,少なくとも見た目には原点回帰の傾向があるように思います。

 F70Dも全面的にゴムが使われたわけですが,強引に張り皮を張り付けます。幸い,張り皮はカメラ用のものが何種類か売られています。

 とはいえ,右側のグリップ部は造形が複雑であることや,ゴムである方が機能的であること,それとF3が実はゴムであることを考慮してそのままとしました。左側については張り替えます。

ファイル 52-2.jpg

 裏蓋はどうしようか随分迷ったのですが,全面に張り付けるより,上下に少し余白を残して貼った方が見た目もいいだろうし,作業も楽だと考えました。

ファイル 52-3.jpg

 てわけで,もっとひどい仕上がりになるかと思って覚悟していたのですが,やってみると意外に綺麗に出来ました。持った感触もよくて,裏側は多少厚ぼったい感じはしますが,べとべとするよりはよっぽどよいでしょう。

 これで長く使い続けていけそうです。

ガチャガチャアダプタ2落成

 ニコマートEL復活記念に,懸案だった「ガチャガチャアダプタ」を作りなおすことにしました。

 「ガチャガチャアダプタ」とは,ニッコールレンズの象徴たるカニ爪を省略された悲運のレンズたちに取り付け,あの「ガチャガチャ」が出来るようにするオプションです。いわば翼を与えられなかった人類が,その代わりに獲得した航空機のようなものだといえるでしょう。まさに科学の勝利です。(大げさです)

 「ガチャガチャ」についていちいち説明など致しませんが,AI連動方式が登場するまでの間,ニコンのユーザー達が撮影に入る為に執り行っていた神聖なる儀式である,とだけ申しておきましょう。

 ニコンを抱えた人間は,それがプロであれアマチュアであれ,仕事であれ趣味であれ,とにかくマウントにレンズをセットした後,絞りリングを左にガチャガチャ,右にガチャガチャ回転させ,開放F値がボディに伝達された瞬間,カメラマンへと生まれ変わります。

 そこが戦場なら恐怖を全く感じなくなり,競技会場ならさながら野獣のそれと化した目が選手を一瞬たりとも見逃さず,そしてスタジオならはぜるような女の肉体を陵辱するに躊躇しない,いわば麻薬です。ニコンが残した写真には,このガチャガチャによる心理的影響が,少なからず含まれていると私は信じて疑いません。

 まあそんな話はどうでもいいのですが,今やその神聖なる「ガチャガチャ」は,オールドファンの趣味として,無形重要文化財のような扱いになっているのが現状で,それでもやっぱりニッコールにはあのカニ爪がないと,私は様にならないと思います。

 私がかつてペンタックスのユーザーだったころ,ニコンのレンズには不格好なカニ爪が例外なくついていて,一体これは何のためについているのか,さっぱり分からずにいました。ニコンのユーザーには,そういう「不思議なものを見る目」に晒されていることを,心地よく思う向きもあったのではないでしょうか。

 マニュアルフォーカスのレンズについては今でもカニ爪はついており,意外にごろごろと長玉が転がっていくのを防いでくれる便利な存在であることを,若い人にも知ってもらえるのはうれしい限りです。

 しかし,あろうことか最近のレンズにニコンはカニ爪をつけていません。それどころか,邪魔になるユーザーのために,わざわざ取り外すサービスを未だに続けている有様です。原理主義者から見ると,まことに許し難い愚行ではないでしょうか。(さらに恐ろしいことに絞りリングまで持たないレンズが登場するに至り,私はサイボーグ化された未来の人類の姿を見る思いがして,寒気がします。)

 ニコマートELもガチャガチャが必要なカメラです。F2はAI連動式のファインダーに交換できますが,ニコマートFTnやELはガチャガチャ以外に方法はありません。なのに,マニュアルフォーカスのレンズで,カニ爪がついていないレンズが手元にあります。

 AI-Nikkor45mm/F2.8Pです。

 1990年代後半にパンケーキレンズがちょっとしたブームになり,ニコンも柄にもなくそんなレンズをFM3Aとほぼ同時に登場させたのですが,テッサー型らしい収差を持ち,色も暖かく,私もとても好きなレンズです。一部に「ニッコールらしくない」という声があったほど豊かなその描写を,銀塩では使い慣れた標準レンズとして,デジタルでは70mm相当の中望遠レンズとして,堪能できます。生産がとっくに終わった現在でも,プレミア付きで新品が売られていますね。

 興味深いことに,このレンズはCPUを内蔵した珍しいマニュアルフォーカスのレンズで,最近のD80などでもきちんと露出計が連動しますし,ということはプログラムモードでも撮影が可能なのですが,パンケーキにこだわりすぎたのでしょうか,絞りリングが薄く,カニ爪が取り付けられません。

 AFレンズでさえカニ爪を取り付ける改造サービスを一時期行っていたニコンが,恐れ多くもニッコールを冠するマニュアルフォーカスのレンズにカニ爪をつけないという決心をしたのですから,それこそ断腸の思いであったろうと想像に難くないわけですが,おかげでニコマートELやニコマートFTnなどでは使えなくなってしまいました。これは困った。

 ないものは自分で作るのが私の信条。そこで作ったのが「ガチャガチャアダプタ」なのです。

ファイル 51-1.jpg

 これは初代ガチャガチャアダプタです。某巨大掲示板でもちょっとだけ話題に上ったのですが,大げさな工作をしたくなかったのと,カメラやレンズに傷を付けるのが嫌で,加工のしやすさと適当な弾力を持つ1.2mm厚のポリカーボネートで作りました。

 AI連動の爪に引っかけてセットし,カニ爪の位置に開けた穴に連動ピンを通してガチャガチャします。後日指摘されるのですが,この方法ではニコマート専用となってしまい,F2フォトミックでは使えません。

 ところがこれは先日の撮影で壊れてしまい,割れた部品もなくなってしまいました。よって二階級特進です。

 そして彼の死を無駄にすまいと今回作り直したのが,「ガチャガチャアダプタ2」なのです。

ファイル 51-2.jpg

 厚さ0.6mmのアルミの板を加工して作りました。仕組みは前回のものと同じですが,取り付けや使用の際に本体やレンズと擦れて傷を付けないように,細心の注意をしてあります。また仕上げは1500番のサンドペーパーで磨いて,アルミならではの美しさも引き立たせています。

 うむ,さすがは金属ですね。のびたり縮んだりすることもなく,正確に動作します。

 本体に取り付けたのがこの写真。

ファイル 51-3.jpg

 露出計の指示も問題はなく,これでまた45mmがニコマートで使えるようになりました。私はニコマートELにこの45mmというのはベストマッチと思っていまして,なんで最初からこういうものをニコンが用意してくれなかったのかなあと,疑問に思っています。

 あ,このアルミ製のガチャガチャアダプタ2を原型にして型を取り,プラリペアで量産したらどうだろう・・・全世界のニコマートユーザーが救われるのではないだろうか・・・


 

ニコマートELとELWの関係について

 先日,かねてから探してたニコマートELの不動品ジャンクを手に入れました。価格は3100円だったと思います。送料が結構かかったので約4000円というところでしょうか。

 このニコマート,ぱっとみの程度は今ひとつで,不動品であるのも無理はないと思わせるものでしたが,届いてから電池を入れてみるとちゃんと動きます。露出計も問題はありませんし,スローシャッターも切れていますので,一通りの動作はするのではないかと思います。

 そもそもこれを手に入れたのは,今私が持っているニコマートELを完全復活させるための部品が欲しかったからです。特にCdS。これはもうCdSの裸特性をそのまま利用している以上,互換品を探すのは無理と考えていました。

#その理由は以前にも書きましたが,露出計とシャッター速度制御がそれぞれ別の回路になっているせいで,一方にあわせ込んだらもう一方が調整範囲を超えてしまうという問題もありましたし,CdSのγだけではなく絶対値に依存した形で回路が構成されているため,調整でなんとかなるようなものではないわけです。

 欲しい部品はもう1つあって,それは露出計のメーターの指示板です。かつて修理を行うときに指示板を傷つけてしまい,非常に不格好になってしまったことから交換をしたいなと思っていました。

 もう1つ,手に入れたかった理由は,底面に存在するはずの基板が私のニコマートには存在しておらず,調整が不可能になっているのはその基板が何者かによって抜き取られているからではないか,という不安からです。

 とにかくもう1台手に入れてみて,それが基板なしならそういうものだと,基板ありならその配線を見てみて,自分のものと比較してみようと思ったのです。

 かくして,今回のニコマートの分解がはじまりました。

 わかったことは,どうもニコマートELにも,前期型と後期型があるようだということです。そして,私が現在所有しているものは後期型であり,今回届いたものは前期型であるということでした。

 何が違うかと言えば,前期型が資料や写真などでよく見かけるものであるのに対し,後期型はニコマートELWとの共通化が随所で図られているということです。

 ニコマートELWは,ニコマートELにワインダーの取り付けが可能になったモデルで,外観も構造もほとんど同じと言われていますが,巻き上げレバーで電源を入れたりする仕組みはワインダーとの両立が出来ずに変更されていますし,底板にモーターのカップリングや電気接点が追加されたことで,それなりの変更があったことは容易に想像できます。

 それで,まずこの写真。

ファイル 50-1.jpg

 これは巻き上げレバーとシャッターレリーズボタンの周辺の写真で,左が前期型,右が後期型です。

 丸で囲った部分の黒い突起ががレリーズボタンなのですが,後期型が丸であるのに対し,前期型は欠けており,半月のようになっています。

 それで,巻き上げレバーをたたむとレリーズロックがかかる仕組みも違っていて,前期型はこのレリーズボタンの切り欠きに金属のレバーが被さって,シャッターボタンが押せなくなります。この金属のレバーは向かって左側から右側に倒れてきます。

 一方後期型はレリーズボタンの左側にある金属のレバーが右側に飛び出してきます。レリーズボタンに切り欠きがないので被さることはありませんが,上カバーに取り付けられているシャッターボタンをロックするようになっています。

 特にロック用に金属のレバーの動きが逆向きになっているので,このあたりの機構は新しい設計になっているとみてよいでしょう。

 これは,ニコマートELの後期型はELWと共通化されているということの証ではないかと思います。

 次の写真。

ファイル 50-2.jpg

 これは底板を外した写真で,上が前期型,下が後期型です。

 前期型にはある基板が,後期型にはありません。前期型の基板につながる赤いケーブルは,後期型ではそのまま中に戻されています。よく見ると基板でも赤い配線は基板のパターンでつながっており,戻されている後期型の配線でも問題はありません。

 また,基板につながる緑のケーブルは,そもそもそれが後期型には出てきてきません。基板上ではトランジスタにつながっているのですが,これはきっと後期型では他の部分に移されたのでしょう。

 今度は巻き上げ機構を見てみます。写真の左側がそうなのですが,前期型が非常にプレーンな形状であるのに比べて,後期型はねじ穴など,明らかにワインダーのとカプラーを取り付けるための仕組みが用意されています。

 この点においても,やはりニコマートELの後期型はELWとの共通化が図られています。

 露出計のメーターには,製造か調整かを行った日付が刻印されているのですが,前期型には昭和50年の,後期型には昭和51年の刻印がありました。それぞれ1975年と1976年ですから,後期型はELWの発売と同じ時期であることがわかります。

 ということで,私のニコマートELは後期型であり,基板がないのは当然,製造時期は1976年以降ということがわかりました。

 このくらい古いものになると1年くらいの製造時期の差が程度の差につながることはありませんが,ELWになるにともなって設計変更が行われた際に,ELで懸案になっていたポイントを改良したという可能性は高く,その意味ではやはり完成度が高くなっていることは間違いないでしょう。

 そこで,どちらも完動品であることを考慮して,ひょっとしたら前期型をベースにすることも考えなくてはと思っていましたが,やはり後期型で修理することにしました。

 そんなわけで,修理レポートはまた後日。先に行っておきますが,実はもう修理が終わっています。試写が出来ていませんので,本当に直っているかは分かりませんが・・・

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