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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

Rollei35LED,前玉を研磨(あるいは移植)

 Rollei35LEDですが,決着していません。出口のない検討にもういい加減疲れてしまっていて,すでに惰性でやっている感が強いです。

 露出計をきちんとあわせ一段落,とした前回から,今回までの流れです。

 試写をした結果,条件にもよりますが,まるでキヨハラのソフトフォーカスのような画になることがわかり,愕然とします。被写体の回りが白くぼやけ,コントラストが著しく低下して,黒も白もグレーになります。近いところから遠いところまでまんべんなくぼやけており,絞ってもほとんど改善しません。

 これはもう複数の理由が重なっているためだとしか言いようがないのですが,それにしてもこれだけひどいのに,レンズそのものは綺麗なのです。

 手詰まりになり,もうこのカメラはこんなもんだ,と割り切る決心をしたところで,ふとシャッターをバルブにして,後玉からレンズを覗き込んでみました。

 ん?

 なんだか,画像が波打っているようです。

 逆さまに写った景色をよく見ると,全面にわたって波打っています。クモリこそないのですが,直線がまっすぐ写っていません。

 おかしいと思って目をこらすと,どうもレンズが波打っている様子です。もしかしてと思い,前玉を表側からよく見ると,なんだかデコボコしているような感じです。

 さらにルーペで表面を見て,私はくずおれました。

 前玉の表面が,まるで月の表面のように,デコボコなのです。それは表面の全域にわたって広がっていて,角度によっては見えにくくなりますが,横から覗き込むようにすると,まるでニキビ面の中学生のようです。

 はっきりしたことはわかりませんが,少なくともこれだけデコボコになっていて,かつ画像が波打っているですから,これで綺麗に写真が撮れるはずがありません。

 もともと私の手元にきたときに,コーティングが剥げており,クモリも派手に出ていたわけですが,その後いろいろ調べて,これが硝材の問題の可能性であることを知りました。

 光学ガラスを溶融して作る際,ガラスに様々な材料を混ぜて性能を出します。この時,それらが均一に混ざって冷えてくれればいいのですが,濃度に差があったりすると,フッ化カルシウムなどが白く濁って,クモリの原因になります。

 更にひどいと,それらがガラスの表面にデコボコを作ってしまうそうで,ガラス製造時の問題である以上は,もはやどうにもならないそうです。

 確かに表面の研磨を行うとクモリやデコボコは消えますが,一般論としてこういう品質の悪い光学ガラスはまたクモリを生じてしまうものだそうで,あきらめるしかないということでした。

 目の前のTriotarの前玉は,まさにこれでしょう。

 レンズのガラスが劣化し,内側からコーティングを破壊してクモリとデコボコを生じています。表面のクモリをキイロビンで取り除くことは出来ても,デコボコまでは研磨しきれなかったということです。

 しかし,研磨は素人が手を出すようなものではありません。専門の設備と技術を持つ職人でも,「公差」に入る限界ギリギリまでしか研磨が許されない世界です。

 昨今,バルサム切れまでは素人でもなんとなく修理が出来るようになっていますが,さすがにレンズ研磨は高い壁で,google先生に聞いてみても「失敗しました」という話しか引っかかりません。これは厳しい。

 ここで私は2つの行動に出ます。1つは以前から最終手段として考えていた,前玉の交換です。同じTriotarを搭載するRollei35を手に入れ,前玉を移植します。同じRollei35LEDからなら大丈夫でしょうが,B35やC35など時代も異なるカメラで互換性があるかどうかはわかりません。

 それに,互換性があっても他のレンズとの組み合わせが破綻しますし,光軸もずれているので,おそらくうまくいかないでしょう。

 てなことを考えていたら,B35をジャンクで入手。Rollei35LEDの倍の値段がしてしまいました。なんだかバカバカしい・・・


 もう2つは,レンズの研磨です。酸化セリウムの研磨剤であるガラセリウムを手に入れていますから,これを使ってリューターで一気に研磨します。失敗する可能性は高いでしょうが,どうせこのままでは使い物になりませんし,もう怖いものはありません。
 
 ということで,先にこちらからやってみます。

 多くの人がレンズ研磨に失敗するのは,それが正しい曲率で研磨出来なかったからです。部分的な研磨で失敗するのは当たり前で,全体をくまなく研磨すれば(公差の範囲なら)大丈夫なはずです。

 確かに非球面ならお手上げですが,球面のレンズであれば,同じ曲率の雌型を作り,ここに研磨剤を塗って回転させればよいはずです。

 雌型を作るのも簡単ではないので,ここは「型取りくん」を使います。熱湯で熱を加えれば年度のように柔らかくなり,常温で固まります。固まっても弾力があるので,こういう用途には向いているかも知れません。

 なかなかうまく型が取れなかったのですが,試行錯誤で型を取り,中心付近にシャフトを取り付け,リューターで回転させます。少し小さめに作ったので,リューターをグルグルと動かしながら,全体をまんべんなく研磨することを心がけます。

 やってみると,なかなかうまくいきません。わかっていたことですが,研磨剤が回転で飛び散ります。小さめの空き缶の底にレンズを張り付けて研磨することで,外に飛び散るのを防ぎましたが,調子に乗って研磨していると摩擦熱で型が柔らかくなって変形してしまいました。

 指で変形を修正しながら研磨を続けます。のべ20分ほども研磨を続けたと思いますが,いい加減飽きてきたので,水洗いをしてみます。

 指で触ると滑らかな表面です。これはいけるかも,と油断したところ,洗面台にレンズを落としてしまいました。

 カランと排水口に吸い込まれるレンズ。この後トラップを外して救出して事なきを得ます。

 水洗いをして綺麗に水気を拭き取ります。ドキドキしながら結果を確認すると,レンズを通して見た時の波打った画は,ほぼ解決しています。研磨が浅かった周辺部にまだ残っていますし,深いへこみは取り切れていませんが,中央付近は綺麗なものです。

 ルーペで表面を見てみますが,あれだけあったデコボコがかなり平坦になっています。前述のように周辺部にはデコボコがありますし,深いへこみは結構のこっています。

 また,少なくとも目視でわかるような偏った研磨は行われていません。全体を回転で研磨したので,それは大丈夫だろうと思います。

 こうしてレンズを研磨しましたが,曲率は変わってしまっているでしょうし,コーティングもありません。それでもデコボコが完全に消えているわけではありませんから,これはもうゴミ同然です。

 そうこうしているうちに,B35が届きました。沈胴せず,シャッターも切れないというジャンク品でした(その割には高かった)が,いじっているうちに正常動作をするようになりました。張り皮の程度も悪くないし,レンズも綺麗です。

 でもよく見ると,前玉の周辺部にカビがあります。がっかりです。うーん,ここにあるカビなら絞れば大丈夫かなあ。

 で,当初の予定通り,前玉の移植で。前玉の枠ごと交換出来ると踏んで入れ換えますが,LEDとB35で枠の互換性はなく,あえなく失敗。そこでレンズだけを交換する作戦に切り替えです。

 B35のレンズは枠から簡単に外せるのですが,LEDのレンズはなかなか外せません。内枠がかなりきつくはまっているので,これを取り外すのが一苦労なのです。

 先の尖ったものを差し込み,内枠を変形させながら外に引っ張り出しますが,ピーンと跳ねて飛んでいくこと数回,その度に「もう二度と出てこないだろう」と絶望しつつ,見つかった時の奇跡に感謝して,レンズを交換しました。

 これで無限遠を出し,2つのレンズを撮り比べです。

 結論から言うと,研磨レンズは大健闘です。コントラストの低下は完全に解消していませんが,気になるようなシーンは少なくなりました。解像度不足も気になるのですが,これも随分ましになっています。

 被写体の周辺がもやーっと白くなることも減りましたし,研磨の弊害として心配した片ボケやどこにもピントが来ない,と言う問題もなく,トイレンズそのものだったこれまでに対して,ようやくトイレンズを卒業した感じです。これなら実用になるでしょう。

 一方B35のレンズですが,他のレンズとの組み合わせが破綻しているにもかかわらず,さすが3枚構成のシンプルなトリプレットだけあって,ちゃんと写っています。

 ただし,あまりキリッとした画像ではなく,無難に写っているという感じです。発色は悪くないし,コントラストも研磨レンズよりずっとよいですが,それでもTessarよりは数段落ちます。

 これでとうとう決着かなあと思っていたのですが,動き出したB35を触って見ると,なんだか手に馴染むのです。露出計も確認するとバッチリあっていますし,なんかこのままおいておくのももったいない・・・

 そして私は,B35の後玉をみて,その綺麗さに感激しました。LEDの後玉はややクモリがでていますし,中玉にもカビの跡があります。

 B35の前玉は,もしかするとB35の後玉や中玉でこそ使ってやらねばならんのじゃないか・・・

 B35のレストアに取りかかるのは,もう時間の問題でした。

 続きは次に。

 

Rollei35LED決着

 Rollei35LED,ようやく決着させました。

 Rollei35LEDの最初のテストは白黒フィルムで露光不足でした。2回目のテストはカラーでしたが,これも露光不足と現像不良でした。

 そして今回の3回目は,露光も十分で,現像も問題なく出来ました。

 まず皆が絶賛するTriotarの性能についてと,研磨した結果についてです。

 Triotarの性能については,同じ被写体をTessarで撮影したものと比べて見ると,もう圧倒的にTessarの方がよいです。これはもう好みの問題ではなく。完全な性能差と言って良いと思います。

 Triotarの傾向は,シャープネスが今ひとつで全体的にぼやーっとしています。色はしっかりのりますし,歪曲もなければ中央部と周辺部での収差の違いもそんなに大きくありませんが,なにせ全体的にシャープネスが足りませんし,コントラストも低いです。

 一言で言えば,トイカメラのレンズ,です。

 加えて周辺光量の低下もあります。40mmくらいのレンズでこれだけ周辺が暗くなるというのも珍しいですが,それもF5.6くらいでの話であって,F11くらいまで絞り込めば気にならなくなります。

 最初は無限遠が出ていないのかなと思ったのですが,F16でパンフォーカスにしても,遠いところも近いところも同じボケ具合で線の太さだったので,まあこれが実力という事でしょう。

 絞り込んでもあまり画質は改善されず,絞ろうが開けようが,ダメなものはダメという感じでした。

 ただ,被写体によって得意不得意があるようで,例えば空に浮かぶ雲とか,高い建物を足下から見上げたものなどは,はっとするような写真が撮れていました。それでもまあ,Tessarの方が良い写真が撮れると思います。

 コーティングがなくなっているせいもあるでしょうが,ちょっと条件が悪いとフレアやゴーストが出ます。コントラストがますます下がったり,おかしな光の模様が出てきたりします。フードをしていても出るので,やはりコーティングがないことは厳しいなあという印象です。

 で,クモリをとるために行った研磨の影響ですが,ちょっとよく分かりません。研磨しないで曇った状態であっても,コーティングが生きているならスカッと写ったかも知れませんし,ソフトレンズのようにボケボケだったかも知れません。

 研磨によってクモリがなくなった一方で,正確な球面が出なくなっているはずで,その影響でこんなに締まりのない画像になっている可能性もあるかと考えると,どっちにしてもこのレンズは本気で使えるレンズじゃなかったんだなあと思ったりします。

 でも,少なくとも目視において,研磨の結果がデコボコだったり,ある部分だけへこんでいたりといったおかしな状態にはなっていません。前玉を覗き込むと,すーっと吸い込まれそうになります。それだけに,もっと写ると思っていたのです。

 周辺光量低下も問題なので,基本的にはこのレンズはF16やF11までしっかり絞り込んで,ブレを防ぐ為に1/60よりも高速なシャッターを切るのがどうもこのレンズの使い方のようです。

 線が太く,しっかり色がのることは他の方の評価と矛盾しませんが,繰り返しますが果たして写真としての最低水準を満たしている画質なのかと問われれば,疑問符が付くと言うのが私の結論でした。

 次,露出計についてです。

 内蔵の露出計をなんとなく調整し,単体露出計やRollei35の露出計に対して1段くらいの誤差に出来たので,調整に深追いをしなかったのですが,もともと精度が低い外光式の露出計がさらに1段2段とズレてしまうと,さすがにネガでも救えません。

 明るいところでアンダーになるので,露出計に画角と同じフードを付けると良いかもといろいろ試行錯誤をしましたが,改めて調べてみると低輝度は誤差が大きく,低輝度では誤差が小さいと言うことがわかりました。

 私は高輝度での調整だけを行いましたので,低輝度側がズレている可能性がありますが,そもそもSPDを使った露出計って,低輝度と高輝度を別々に調整するものなのかどうか,私は知りません。

 ですが,このままでは露出計が信用出来ないままです。なので,観念して露出計を再調整します。

 基板の端っこにあるボリュームはおそらく高輝度側,基板の中央にあるボリュームがおそらく低輝度側だと目処を立てて,それぞれのボリュームを少しずつ調整をします。

 するとうまい具合に,低輝度も高輝度も,Rollei35とほぼ同じ結果に出来ました。もともとRollei35の露出計の調整結果には実績もあり,そんなに外していません。ですから,Rollei35LEDの露出計と揃ったというのは,とてもありがたい結果です。

 これでまたフィルムを通して見たいと思いますが,Triotarの画質についても確認出来ましたし,フードも問題なく,露出計も大丈夫になりました。これでRollei35LEDを実用機として使い倒せます。

 そしてこれ以上お金をかけるのも,もうやめておきます。かつてはレンズを移植しようとか,もう一台買うとか,B35に手を出すとか,いろいろ考えていたのですが,せっかく安く手に入り,自分でコツコツと修理をしたのですから,このまま使う事にしようと思います。

 ところで,悲しい事が1つ。うちのKマウントを支えたMZ-10が,持病のピニオンギアの割れによって,壊れていました。これも持病のペンタ部のストロボも上がらなくなっていました。小さいくせにちゃんとしたKマウント機で,M42も問題なく使えてしまうと言う,隠れた名機だと私は思っているのですが,いかんせんこの頃のペンtラックスは耐久性が本当にダメで,とても残念です。

 修理用の部品も探せば出てくるかも知れませんが,次世代機として用意したSFXnが絶好調ということもあり,もう修理しないでこのまま廃棄しようかと思います。

 

Rollei35LEDその後

 Rollei35LEDですが,なかなかうまく進みません。

 先週の休みにはモノクロを1本通して,最終的な動作の確認とフードのケラれを確かめたつもりだったのですが,モノクロではどうもはっきりせず,わかりやすいカラーネガで再確認をしました。

 しかし今度は自家現像に失敗。温度が低かったようで,どうも綺麗に撮影出来ていません。

 フードのケラれですが,はっきりした結論を出すことは出来ないのですが,傾向はつかめました。

 まず,Rollei35とRollei35LEDで,フードの互換性はありません。Rollei35はケラれにくいのですが,Rollei35LEDは簡単にケラれます。

 Rollei35LEDでは,2つのメタルフードとUNのラバーフードのいずれの場合でも,フィルターとの併用は出来ません。

 そしてラバーフードは単体の使用でもケラれます。メタルフードは口径が大きくて浅いものと,口径が小さくて深いものを比べていますが,どっちも出たり出なかったりではっきりしません。

 そもそも,フードなしでも四隅が陰ることがあるので,これってケラれではなく周辺光量の低下かも知れないのですが,40mmF3.5のレンズで口径食ってのもおかしい話なので,よく分からないです。

 まあ,いろいろ見ていくと,口径が小さく深いフードだとなぜだかケラれが少ないようでしたし,ついでにいうとフードがファインダーの視野に入り込んでくる量がまだ少ないので,今はこっちを使っています。

 写りなのですが,このTriotarを皆が絶賛する理由がさっぱりわからないというレベルです。解像度も低く,シャープさがありません。コントラストも低いし,色も悪いです。周辺の画質の低下はひどいし,はっと見の印象は,トイカメラです。

 ただ,色とコントラストについては現像がまずかったので断言出来ません。解像度などの画質についても,撮影したのがF16のパンフォーカスで露出がアンダー気味と,F4で近距離で室内という悪い条件ですから,これでTriotarがダメだと言い切るのは可愛そうで,もう少しコンディションを整えて撮影しないと結論は出せません。

 トリプレットでかつフォーカスも前玉だけを移動させる方式ですから,近距離で絞り開放はちょっと酷なはずで,F11あたりまでしっかり絞り込んで2mから3mくらいの被写体をきちんと撮ってみたいと思いますし,F16まで絞り込んだらパンフォーカスで,きちんと露出を適正にしておきたいと思っています。

 とにかく,現状の画質では,これがTriotarの実力なのか,それとも私の個体の問題なのか,はたまたレンズ研磨のせいなのか,さっぱりわかりません。悪いなら悪いなりに,それでもまだ使えそうな条件を探し出したいわけで,なかなか骨の折れる作業になりそうです。

 そう,シャッタースピードをここに書いていませんでした。

 修理完成後になんどもシャッタースピードは測定しています。今回のRollei35LEDは,シャッターのスプリングは破断していて,これを同じ径のギターの弦で代用していますから,1/500秒に自信がありません。

 で,結果がこちら。


1/30 26.6ms
1/60 12.9ms
1/125 6.8ms
1/250 4.16ms
1/500 2.36ms

 この結果ですが,何度か測ったうちで,それぞれのシャッタースピードで良い数字が揃ったものを選びました。といってもばらつくのは1/500秒だけで,それ以外はまあこんなもんです。

 1/500秒は,ここでは2.35msとJISに入っていますが,2.5ms付近になることもざらですし,2.8msや3msを越える事もしばしばあります。遅めになることも問題ですし,値が大きくばらついてしまうことも問題です。

 ただ,今回の試写では1/500秒でのバラツキも分からない程度でしたし,ネガで使っている分にはもうこれでいいかもしれないと思っています。

 シャッタースピードが遅くなるほど安定していて,調速機構がしっかり動いてくれていることを実感します。1/500秒以外の数字はなかなかよくて,安定性もありますから安心して使えます。

 露出計もまだよくわかりません。単体露出計と比較しても大きく違いませんし,Rollei35と比べても違いは出てきません。しかし,露出計の画角がどうも大きく違っているようで,少し向きを変えないと同じ値にならないときもあります。このあたりのクセを掴むのが大変です。

 無限遠が出ているかどうかも確かめたかったのですが,とにかくどこもかしこもボケボケで,シャープさがどこにもないので判別できません。ピントの調整に失敗しているのか,バックフォーカスが狂ってしまったのか,レンズ研磨に失敗したのか,組み立てに失敗したのか,掴みどころがありません。

 フィルムのジャミングも原因がわかりました。私の装填ミスです。フィルムのベロをスプールに差し込むとき,三角形のマークがあるところにしか差し込んではいけないのですね。

 私が使っていた一眼レフでは,スプールの溝ならどこに突っ込んでもよくて,突っ込んではいけない溝があるとは思っていなかったのでした。

 ということで,なにやら問題だらけで実用にはほど遠いRollei35LEDですが,比較のために撮影したRollei35の高画質に改めて感激したことを付け加えたいと思います。

 これ,本当にこの小さなカメラで撮ったのか?と思うほど精緻な画質です。さすがTessar,恐れ入りました。

 

 

Rollei35LEDのレンズ研磨

 メカ,電気回路の修理や調整が思いのほか順調に進んだジャンクのRollei35LEDですが,レンズのキズだけは素人にはどうにも手に負えないという話をここに書きました。

 このキズ,なんだかよくわからないのです。問題の箇所は前玉の表側,おそらくカビがコーティングとガラスの間に入り込んで,それを無理に拭き取ったんじゃないかと思っているんですが,コーティングを剥がしてもキズが残るので,ちょっと違うかもなあと思ったりしています。

 しかし,コーティングの表面を指でそっとなぞってみても,段差を感じる事はなく,コーティングそのもののキズという感じもしないのです。

 コーティングの問題だけなら,フレアやゴースト覚悟で剥がしてしまうという手があるわけですが,今回はコーティングを剥がしてもキズは残ってしまったので,得るもののない残念な結果になりました。

 コーティングを剥がすこともしないでキズがあるままのレンズで使った方が結果は良かったんじゃないかとも思ったりしましたが,もう曇っているといっていいほどの大面積のキズでしたから,これが撮影結果に影響しないはずはありません。

 ここに至って前玉を交換するしか素人には残されていないわけですが,わかったのは,前玉を手に入れようにもこの廉価版Rollei35に搭載されているTriotarというレンズは良く写るレンズとして人気で,中古市場でも人気があり安く買えないということでした。

 ボディがダメでもレンズだけ外して,最近のミラーレスのマウントに改造してしまうことも行われているそうです。

 まあ,いずれ前玉だけ生きている個体を手に入れて交換するとして,当面この曇ったレンズでどうにかせねばなりません。

 ここで,私は素人厳禁,禁断の「レンズ研磨」に手を出すことを思いつきます。

 コーティングまではアルミナなんかの研磨剤で剥がすことが出来るのですが,さすがにガラスを研磨することは出来ず,酸化セリウムを使ったガラス研磨剤を使う事になります。そんな特殊な研磨剤,手に入るんかいな・・・

 ・・・ありました。

 自動車用品のうち,フロントガラスの頑固な水垢を取り除くケミカルとして,「キイロビン」なるものが,それです。

 これ,どこでも安価に買うことが出来る酸化セリウム入りのガラス用研磨剤として,自動車ファンだけではなくオールドレンズマニアも古くから使い続けられているものらしく,これを使って曇ったレンズを磨いて復活させる話が,チラホラでています。

 多くは波打ったように研磨してしまい,成功したんだか失敗したんだかはっきりしなような話だったりするのですが,ナノメートル単位の波長の光を扱うレンズですから,ちょっと厚みが変わったら光学性能が変化するのはもう自明です。

 ということで,私はこれを素人が手を出してはいけない禁断の技術と考えていました。

 しかし,目の前に曇ったレンズがあります。もうコーティングも剥がされています。失うものはありません。

 やってみましょう。

 キイロビンは500円弱で買えます。ガラスの研磨剤って私は初めて使うんですが,どれくらい磨いたらいいんですかね・・・

 そんなこんなで,22日の午前中に届きました。早速作業開始です。

 まず,前玉を外します。

 レンズを枠から外すのが一苦労で,プラモデルのポリキャップみたいな素材で出来た内枠を外枠に圧入し,レンズを押さえつけて固定していますが,この内枠を外すのが大変でした。再利用しますので,壊してしまったらだめですし。

 なんとか外してレンズを枠から外します。

 そして,研磨剤が裏面に回り込まないよう,マスキングテープを貼り,さらに固定するために両面テープでキイロビンの入っていたケースのフタに張り付けます。

 最初は指で,疲れてきたのでシルボン紙を丸めてレンズの曲率に近づけて,キイロビンを含ませ,レンズ全面を磨きます。

 15分ほども磨いたでしょうか。根気よく磨いて水洗いして様子を見ると,おお,見事にキズが消えています。波打ったような研磨にもなっていませんし,ぱっと見れば新品のレンズと違いません。

 ただ,縁に若干コーティングが残っており,ここにプツプツと白い点が出ています。まあ,これは枠に隠れてしまうので,放置します。

 うまくいったので,アルコールで汚れを落とし,枠にはめ込み,内枠を圧入します。これできちんと固定できました。

 少しキズも残っていますが,これまでとはもう雲泥の差。これ以上やると失敗しますので,このあたりで撤退です。

 それでも,これまで気になって仕方がなかったキズもクモリも消えていて,吸い込まれそうな透明で美しいレンズになっています。なんかすごいなあ。

 早速レンズとして組み立て,無限遠を出し,完成です。

 これだけ綺麗になれば,組み立てミスがあったり研磨しすぎて変形していない限り,光学的な問題はないと思います。ただ,メカ的な修理の不備があるかもしれず,まずは10年もののTRI-Xでテスト,その後カラーネガを使ってみようと思います。

 実は,ガラスの研磨剤として売られている「ガラセリウム」という商品も購入したのです。しかし,このキイロビンで十分であることがわかりました。

 さすがはオールドレンズ磨きの定番。先人達の知恵に脱帽です。

 しかし,私は別にオールドレンズファンではありませんし,コーティングを剥がしてまで磨きたいレンズは,このRollei35LEDのTriotar以外にありません。

 もしかするとくもった鏡とかに使えるかも知れないですね。ガラスのキズって意外にあちこちにあるものですから,便利に使えたりするかも知れません。

 

10年寝かせたTRI-Xは使えるか

 フィルムが高価なものになることは予想できていましたが,デジカメの高画質化が急激に進んで,一眼レフの多機能化が撮影者を支援するようになって,その結果が写真に反映されることを素直に受け入れるようになると,もうフィルムを使う事はないかなあと,思うようになりました。

 惜しいことに,5,6年前の引っ越しの時に大量のカラーネガフィルムを捨ててしまったのですが,これもナニワカラーキットが発売停止になってしまったことを無関係ではありません。一々写真屋さんに700円近い費用を支払って現像に出す事の手間を考えると,当時の私がもうフィルムは捨ててしまおうと思った事に,今の私も異を唱えることは出来ません。

 カラーネガ以上に深刻なのがモノクロフィルムです。

 もちろん,今でもモノクロフィルムは手に入りますが,1本1000円ほどもするというとても高価なものになっています。カラーはお金がかかるからモノクロという時代を生きた私には,考えられない変化です。

 かつての「仕方がないからモノクロ」から「モノクロでなければならないからモノクロ」の時代になったということなのですが,そんなモノクロのメリットの1つが,自家現像が簡単であり,今でも薬品が普通に調達可能であることがあると思います。

 カラーネガについては,ナニワカラーキットがあった時代はやる気さえあれば自家現像を行えました。しかしこのキットの入手が不可能になっただけでなく,カラー現像に必要な薬品類をバラバラに手に入れる事も事実上不可能なってしまったことから,もう外に出すしか選択肢が残っていません。

 モノクロフィルムはフジフイルムがそろそろ復活させるころだと思いますが,それにしても100ftの長尺はラインナップされないでしょう。自分でパトローネに詰め込んでやれば1本200円くらいで使えたので私も何度か買った100ft缶は,安価なものでも1缶7000円,TRI-Xだと15000円もします。

 そんなおり,今から10年ほど前にパトローネに詰め込んで,使い切れずに残ってしまったTRI-Xが5本ほど出てきたことを先日ここに軽く書きました。当時の缶も出てきたので確認すると使用期限は2008年とありましたので,実に11年も常温で放置されたフィルムということになります。

 さすがにもうだめだろうと,即座に捨てようと思ったのですが,昨今のフィルムの値段を見ると簡単に捨てるのも惜しく,修理したカメラのテスト撮影くらいなら使えるんじゃないかととっておくことにしました。

 しかし,もしフィルムの感度が落ちきってしまっていたら,カメラが悪いのかフィルムが悪いのかわかりません。なので,フィルムの実効感度を確かめるためのテスト現像を行う事にしました。

 F3に詰め込んで,ISO400,200,100,50,25相当で撮影をし,カメラごとダークバッグに入れてフィルムを取り出し,タンクに入れます。

 そして現在でも安価に入手可能なフジのスーパープロドールで現像をします。スーパープロドールはTRI-Xでの現像時間が当然発表されていないので,ネオパンPREST400の現像時間で現像します。液温は18℃で5分ちょうどです。

 定着後,ネガの状態をみて実効ISO感度と現像時間を決めていきます。

 さて,10年経ったTRI-Xはどんなものか・・・ドキドキしながらタンクをあけます。

 お,うつってるうつってる,とりあえず生きています。

 ネガを見てみると,明らかにISO400では感度が落ちていて,薄いネガになっています。ISO200ではギリギリ,ISO100なら実用レベル,ISO50とISO25は明らかにオーバーです。

 しかし,ISO100はちょっと使いにくいので,ここはISO200にして現像時間をもう少し延ばすことにしましょう。なんと,ISO200のモノクロフィルムが5本も手に入ってしまいました。うれしい。

 ところで,スーパープロドールとスーパーフジフィックスは今でも購入可能なので,一応買っておきました。ですが,タンクやダークバッグを押し入れから引っ張り出したとき,やはり10年くらいまでに購入した薬品類もたくさん出てきたので,先にこちらを使う事にしました。

 まずスーパープロドール。懐かしい紙の白い袋で,裏面にはネオパンSSの現像時間も記載されています。

 3袋も出てきたのですが,どれも袋の端っこが茶色になっています。なんかやばそうだと思いつつ,30℃の水を1L用意して開封したところ,中から出てきたのはコーヒー豆かと思うほど真っ茶色になって,じとじと湿気を吸い込んだ変わり果てたスーパープロドールでした。

 これはいかんと,即座に捨てたのですが,他の袋も茶色くなっていることから,開けるまでもなく使えないだろうと思います。もったいないことをしました。

 仕方がないので,先日買ったばかりの新しいものを溶かして現像液の完成です。

 次は定着液です。これもスーパーフジフィックスを2袋とフジフィックスを1袋も買い込んであったので,先にこれをつかいます。当時のスーパーフジフィックスは,A剤とB剤の粉末を溶かして作るんですよ。(ちなみにフジフィックスは単剤です)

 なにやら古い砂糖の袋のようにカチカチに固まっていますが,まあ定着液はアバウトでいいのでなんとかなるでしょう。

 30℃の水を1.5L用意し,A剤と溶かします。がA剤は吸湿し溶けて,一部が変色しています。うわー,これはまずい。でも全量投入し撹拌,塊は手を突っ込んで握って砕いて根性で溶かします。

 B剤も同様に吸湿がひどく,一部液体になっていましたが気にせず全量投入,同じように握りつぶして撹拌しますが,かなり溶け残っている上,マッコリのように白濁していますし,しばらくすると硫黄のような黄色い,肉を煮込んだときに出るアクのようなものが浮いてきました。明らかにまずい。

 しかし,定着液はアバウトです。フィルムの切れ端を突っ込んで5分放置してみたところ,ちゃんと乳剤が溶けて抜けてくれました。多分使えます。長期保存性や画質への影響はあるでしょうけど,テスト撮影ですし5本だけですから,もうこれでいいです。

 娘は棒温度計に興味津々です。先端を指でつまみ,温度が上がっていくことを面白がっています。水銀ではなくアルコール式なのでまだ安心ですが,こういうアナログな温度計というのも,最近は珍しいからでしょうか。

 それにしても,フィルムの現像というのは楽しい時間です。1分ごとに10秒の撹拌を行う事にすると,気を抜けるのは50秒だけですから,ぼーっとする時間もありません。こういうインターバルがあるからこそ,なにか思索にふける時間として面白いと思えるのかも知れません。

 ということで,修理が終わったばかりのRollei35LEDにこのフィルムを詰めて出かけたのですが,途中で巻き上げ出来なくなりました・・・

 数枚撮影したところで発生したトラブルなので,もう捨てることにし,そのままフィルムを取り出します。そして撮影済みのフィルムをはさみで切り離し,未撮影のフィルムの先端を整えて,もう一度Rollei35LEDに詰め込みます。

 どうも,巻き上げのスプールが動いておらず,スプロケットが無理にフィルムを送るので,フィルムがスプールの手前で折れ曲がっていました。

 しかし,フィルムを装填しないで巻き上げてみると,ちゃんとスプールは回っていますから,フィルムの装填の仕方が悪いのかもしれません。フィルムのベロが軸にお反対側からそのまま飛び出ていたせいで,フィルムが綺麗に巻き取れなくなっているように思いました。

 今回は丁寧に巻き,撮影再開です。

 しかし,今度は10枚ほどで巻き上げ出来なくなりました。

 うーん,結構いいカットを撮ったので,捨てるのは惜しいです。一度家に帰ってダークバッグ内で復活させることにしますかね。

 しかし,フィルムが悪いのかカメラが悪いのか,どっちにしてもこんな信頼性の低さでは外に元出せません。真面目に考えないといけない課題が増えました。

 そうそう,今さらながらに気が付いたのですが,Rollei35とRollei35LEDは,スプールの回転方向が違うのですね。Rollei35は右回りで乳剤面が外側に巻き取られますが,Rollei35LEDは左回りで乳剤面が内側に巻き取られます。

 右回りに巻く方が,スプロケットにしっかりかかりますので私は好ましいと思うのですが,別にどちらも問題はないと思います。特に今回の問題は,別のフィルムでは綺麗に巻き上げ出来ていましたし,きっとフィルムの先端の整形の問題だろうと思います。

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