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カテゴリー「カメラに関する濃いはなし」の検索結果は以下のとおりです。

フォトミックファインダーDP-1の分解清掃

 手に入れたニコンF2フォトミックをオーバーホールするにあたって,手始めにフォトミックファインダーDP-1を分解して修理してみました。

 どういう訳だか,ボディ本体の分解手順は本にもなっているのですが,フォトミックファインダーを分解する話はあまり見かけません。

 なんとなく,ですが,F2が純粋なメカであるのに対し,フォトミックファインダーはメカと電気が絡み合っているので,電気アレルギーのあるメカ屋さんが手を出しにくいんじゃないかという気がします。

 しかし,壊れるのもまたフォトミックファインダーだったりします。修理出来ないともったいないです。

 私のフォトミックファインダーは,「露出計不良」として売られていたにもかかわらず,一応動くものでした。ただ,50年近く時間が経過していることもあって,動きは渋いです。

 摺動抵抗の接触不良もあるようで,時々メーターがピクピクと大きく動く事があります。まあ,これくらいはよくあることです。

 ファインダーそのものはカビもありませんし,外側もへこみや傷もありません。この時期のF2としては大変綺麗で,大切に使われていたんじゃないかと思います。

 正直に言うと,このF2フォトミックはちょっと高かったと思います。もう数千円安くても良かったかなあと思う値段でしたが,故障品という割には壊れていませんでしたし,使い込まれた感じもなく,ボディの調子はなかなか良いものでした。

 モルトは交換されているようで,オーバーホールなり点検がされていたのだと思います。ただ,マイナスネジには分解痕がいくつか残っていて,プロがやっていない可能性は十分にあると思います。

 さて,ちょっとまとまった時間を作って,DP-1の分解です。

 海外のサイトなどを参考にし,順番に分解をしていきます。張り皮を剥がし,ペンタカバーを外します。そして裏側のビスを8本外し,2階建てになっている光学系と機械系を2つに分けます。

 今回は光学系には手を出さないので,機械系だけ分解します。

 最初に,シャッタースピードで動くギアと,絞りで動くギアにマーキングをして,組み立て時に困らないようにします。

 摺動抵抗を擦るブラシを取り外し,次にシャッタースピードの表示器のプーリーを外します。

 そしていくつかのビスを外して,2つのギアを外します。

 そして,今回の分解の革新の1つである,開放値をプリセットする機構,別名「ガチャガチャ」を分解します。

 おでこの部分のビスを外し,リンク機構を丸ごと取り外します。取り外した機構をさらに分解してリンクを取り出します。これらをベンジンで洗浄し,注油して組み立てます。注油といっても,指先にオイルを塗り,軸の部分をその指でさっとなぞる程度で十分です。

 組み立てたらテストです。うん,うまく動いています。

 次にギアを清掃して注油していきます。絞りで動くギアの内側に,摺動抵抗が張り付けてありますので,ここをアルコールで慎重に拭いて綺麗にします。

 失敗したのはこの時で,アルコールで洗浄したとき,うっかりマーキングを拭き取ってしまいました。組み立てるときの指標を失ってしなまったわけで,このことで私は何度か分解と組み立てを繰り返すことになります。

 これ以上の分解は必要がないので,ここで組み立てに入ります。ギアの位置を決め,ギアを固定するローラーでギアを組み付けていきます。

 ギアの外周には溝が切ってあり,ローラーが入り込むようになっています。これをうまく合わさないとギアが正しい位置に組み付けられませんし,回転もしません。

 きちんと固定する前にギアのかみ合わせ位置を合わせておき,うまくいったら固定していきます。絞りで動くギアは,左から6番目の山がF5.6の時に前方のリンクのギアとかみ合うようにします。

 シャッタースピードで動くギアは,先程書いたようにマークが消えたので,試行錯誤です。

 組み立てが終わったらボディに取り付けてテストです。

 最初に組み立てたときには,全然絞りとシャッタースピードが連動しておらず,ギアのかみ合わせが全く合っていないことがわかりました。

 そこで,他のカメラの結果を参考に,絞りとシャッタースピードの位置を合わせてから分解して,正しいシャッタースピードになるよう合わせ直しをしました。

 こうして2度目の組み立てが終わったのですが,1段ほどズレてしまっています。

 分解するのも面倒なので,半固定抵抗で調整出来る範囲かどうかを試してみると,見事に適正な露出にあわせ込むことが出来ました。この時すでに深夜3時。

 満足感に浸りながら眠りにつきますが,翌朝起きてから確認をすると,残念な事にEV1が測光範囲から外れていることがわかりました。ISO100,F1.4,1秒で回路がOFFしてしまいます。

 1/2秒だと回路に電源が入るので,やはりギアの位置が1段ほどずれて締まっているようです。

 EV1くらいなら普通に使うよなあと考え直し,再度分解です。今度はISO100,F1.4,1秒の位置で,ブラシが抵抗の端っこに触っているくらいにします。少しくらいズレていても構わないです。

 そして再度の組み立てです。テスを行うと,今度はEV1できちんと電源が入ります。半固定抵抗で露出計を調整し,これでフォトミックファインダーの修理は終了です。

 ・・・といいたいところだったのですが,ここで簡単に終わらないのが私です。

 ファインダーを覗いてみると,メーターの部分に糸くずのようなものがチラチラと見えています。大変目障りですので,これだけは取り除きましょう。

 また分解し,アルコールで拭いて,ブロワーで吹き飛ばして組み立ててです。

 今回はホコリは取れたのですが,別のゴミが入り込んでしまいました。目障りなのでもう一度分解です。

 綺麗になったことを確認し,組み立てです。ファインダーを覗くと綺麗になっているのですが,露出計が動くと,その下にゴミが見つかりました。悔しい。

 もう一度分解,今度こそを意気込みますが,このゴミはなかなか吹き飛びません。苦労してブロワーで吹き飛ばしますが,ちょっと動くだけでなかなか取れてくれません。メーターの「-」の近くに動いてしまったゴミは,もうそこから動いてくれません。

 ここから,メーター部分を分解することも考えましたが,もう私も限界です。実害もないですし,目立たないものなので,もうあきらめることにしました。さすがにメーターを外すのには抵抗があります。

 再度調整をして,張り皮を貼って終わりです。

 動作そのものにはまったく不安はなく,露出計は確実に動いてくれています。

 とはいえ,Aiニッコール50mmF1.4と,Planar50mmF1.4とで比べて見ると,どうもニッコールの方が0.5段ほどズレてしまいます。おかしいなあと思って調べてみると,ニッコールの絞り環には結構な遊びがあり,ガチャガチャの時に余計に回ってしまうことがわかりました。

 そこで,カニ爪を少しだけずらして固定し,遊びがあってもF1.4でプリセットされるようにしておきました。

 すっかり気をよくした私は,F3のJ型ファインダースクリーンが余っていることを思い出し,もともと入っていたA型のファインダースクリーンと交換しました。

 枠だけ流用して交換すると,かなり見やすいです。露出計を再度調整し直して,これで完成です。

 なんか,カメラ1台分丸ごと修理したような疲労感があるのですが,ボディのオーバーホールはこれからです。これだけのものを量産し,サービスしていくカメラメーカーというのは,私が思っている以上に高い技術力を維持しなければならないだろうなあと,そんな風に思いました。

 さて,ボディです。ボディは調子も悪くありませんが,1/2000秒だけが少し遅めです。これは清掃と注油で改善される可能性も高いと思います。

 あと,シャッターを切ったあとに,ミラーボックスのあたりから,バネが「ビーン」と鳴く音がしています。この部分に貼ってあるモルトが劣化しているんでしょう。あまりやりたくありませんが,ミラーボックスを外して確認してみる必要がありそうです。

 

念願のニコンF2

 先日,娘と嫁さんの買い物に付き合って,一緒にデパートにいったときのことです。

 この日はうっかりサイフを忘れて,何を買うにも嫁さんに頭を下げないといけない状態だったのですが,最近欲しいものもないし,多分なんということはないだろうと思っていました。

 ところが,カメラ屋さんのガラスケースに,申し訳なさそうに鎮座しているNikon F2フォトミックと目が合ってしまったから大変です。

 F2はFヒトケタでは最後の機械式です。その高い性能と信頼性から,機械式ニコンの完成形ともいわれます。

 私にとっては,機械式かどうかというより,そのプロの道具らしい質実剛健さと,1970年代らしい流麗さにとても惹かれていて,特に無粋なグリップのない右側の前板が美しいと思います。そう,F2にせよ同じ時期のNikomatELにしても,レンズが左側にオフセットしているので,前板は右側が随分広いのです。このオフセット具合が絶妙だと感じています。

 ここに高剛性の骨格と力強い筋肉がおさまり,幕速10msで1/2000秒を完全メカでたたき出すわけです。高い信頼性と堅牢性とがこの高エネルギーなメカと両立することにはある種の感動を覚えざるを得ません。これを長きにわたって何万台も量産できたことに,私は驚嘆します。

 で,F2は私にとっては最後に欲しいニコンだったのですが,なかなか高価で買うことが出来ませんでした。同じデザインモチーフのNiikomatELをしばらくの間気に入って使っていましたが,伝統の儀式「ガチャガチャ」の仕組みが違っていることもあって,いつかはF2,それもフォトミックが欲しいと思っていました。

 もっとも,実用機としてSPDを搭載しAi化したフォトミックASが一番いいと思いますし,15年くらい前に狙っていたF2はそれだったのですが,今はあえてCdSで非Aiのフォトミックが一番欲しいものでした。

 ここ数年のF2の暴落振りはつとに有名で,私も買うなら今かと思っていたのですが,いかんせんF2が安く売っているような中古カメラ屋さんに行く時間もなく,このままF2を買うことなく死んでしまうのかなあと思っていたときに,そのシルバーのF2フォトミックは私の前に現れたのです。

 お値段は15000円。露出計不良の現状渡しです。使い込んだ形跡はありませんが,さりとて綺麗なものでもありません。ぱっと見て分解痕はなく,少なくとも素人によって無茶苦茶にされた個体ではなさそうです。

 しかし,この時の私は財布を持っていません。嫁さんにばれないようにこそっと買うことは出来ず,嫁さんに知られるにしては高額ですし,かつジャンクに近い銀塩の機械式カメラという,今最も値打ちのないものです。

 もじもじしていると,さすが嫁さん,気にして私に探りを入れてきます。

 拒めず事情を話すと,ニヤニヤしながら「買えば」といいます。

 1時間ほど迷って,買うことにしました。とりあえず見せてもらってから考えようというのは方便で,もう答えは出ていました。ははは。

 ファインダーのくもりがないことやスローシャッターが出ること,圧板やフィルムのガイド,シャッター幕におかしな傷がないことを一通りみて,私はF2フォトミックを連れて帰ることにしたのでした。

 家に帰ってから確認すると,1/1000秒まではちゃんと出ているようです。1/2000はちょっとあやしいです。露出計はとりあえず動いているようなのですが,精度までは見切れていません。

 ただ,全体に動作が渋く,フォトミックファインダーもギシギシいいます。F5.6からF8に動かす時にかなり力を入れないといけないのですが,これは我慢の限度を超えています。

 残念ながらミラーには細かい傷が一杯付いていました。しかしプリズムもフォーカシングスクリーンも綺麗です。ミラーアップしてシャッターを切ると「チン」といういい音がします。ミラーを上げ下げするとバチーンといいますので,内部のモルトが溶けているのでしょう。

 この程度のF2フォトミックなら,1万円くらいで売られているのが普通だそうです。私は随分高い買い物をしたのかも知れませんが,中古だけは一期一会です。同じ物は2つとなく,従って値段も全部バラバラでしかるべきです。

 私のF2は幸いにも,問題となるような故障も破損もなく,現状でもきちんと写真が撮れると思います。しかしそこは完成度の高いメカニカルニコンです。滑らかに動き,もっとシャッターを切りたいと思わせる音と感触亜を復活させたいと思います。

 ということで,ちょっと時間を作ってオーバーホールをしようと思います。

 

GRのセンサのホコリを取る

 年末年始は,右手中指の脱臼で本当に不自由しました。

 なにせ中指ですから,ものをつかめません。それが利き腕ですので,もうなんにも出来ないといっていいです。

 問題の1つは,一眼レフを扱えないことでした。

 D850は手にフィットし,ストレスなくホールド出来る優秀なデザインを誇り,レンズ込み3kgまでならその重さが障害になりません。

 しかし,指が不自由になって,恐る恐るD850を持って見ると,シャッターボタンを押せません。無理に押そうとすると痛みが走り,カメラを落としてしまいます。そもそも握ることに支障があるのですから,D850はもう持てません。

 このままこれが続くと泣いてしまうなあとがっかりしつつ,とりあえる年末年始をどうやって乗り切るかを考えます。

 Pentax Q7でいくというのも考えましたが,ふと目にとまったのがGRです。

 GRはどうも肌に合わず,長い間使わない状態が続いていました。しかし,右手を怪我した今となっては,これが一番高画質です。

 必要に迫られて取説を見ながら真面目に使ってみます。ちょっとホワイトバランスが好みに合いませんし,派手にモアレも出てしまうので油断出来ませんが,十分高画質です。

 よし,しばらくはこれいこう。

 で,ふと気になって,F16で白い壁を撮影してみました。そう,センサのホコリを確認してみたのです。

 通常の撮影で気付いた訳ではないですから,よせばいいのに確かめてしまったから始末に負えません。果たして,右上に4つほど,大きなホコリが映り込んでいます。

 そうなるともう気になって仕方がありません。しかしGRはコンパクトカメラです。レンズ交換が出来ないので簡単にセンサの掃除をするわけにはいきません。実際,修理扱いとなりそれなりに高価な出費を覚悟せねばなりません。

 このこともあって,発売が予定されるGR3にはセンサを振動させてホコリを落とす機能が入ることになっていますが,なるほど羨ましいです。

 羨ましいですが,手元にあるのはGR3ではなく初代GRです。とっくに保証期間は終わっていますし,これはもう自分で掃除をするしかないと覚悟を決めて,年末のある夜,家族が寝静まってから分解を始めました。

 幸いにして,海外を含む多くのユーザーがGRを分解し自分でセンサの掃除を試みてくれていて,その詳細な方法を語っています。私もこれにならい,分解をしていきました。

 特に難しい箇所はないのですが,なにせコンパクトデジカメですから,センサのホコリがちゃんと取れたかどうかを確かめるには組み立て直しをしなければならず,そこでまたセンサが汚れていると判断されれば再度分解をしないといけないというのが大変でした。分解と組み立てを繰り返すと,必ず壊れるものですから,もう冷や冷やしながらの作業です。

 今回も5回ほど分解と組み立てを繰り返すことになりましたが,それでも気になっていたホコリは綺麗に取れました。1つ,センサとの距離が表面にあるホコリと違っているせいで,もっとぼやけて大きく映っているものがありました。

 表面のホコリではないので拭き掃除をしても全く取れず,これはもうあきらめました。

 組み立て後は全く問題なく動作しています。よかったよかった。

 GRに限らず,デジカメのレンズとセンサの間は完全に平行である必要がありますし,その間隔も精確ではなくてはなりません。レンズが交換出来ないカメラでは,これが製造時に調整されているものがほとんどで,分解すると調整が狂うものも少なくありません。

 しかしGRはレンズユニットを固定するネジと,平行を出す調整ネジが別々になっているので,固定ネジだけで作業が済めば再調整をする必要は避けられそうです。だから素人でもセンサの掃除が可能です。

 さて,これだけの危険と手間をかけて掃除をしたのですから,もう二度と同じ事をしたくはありません。しかい悪いことに,沈胴式のコンデジは,鏡筒が本体内に潜り込みますから,ここに付着したホコリが本体内部に入り込むことを避けられません。

 そこで,GRユーザーに受け継がれてきた対策が,フードアダプタとフィルタによる密封です。

 GRでは,フードやフィルタを付けるために,伸びた鏡筒をすっぽり覆う筒を本体に取り付けることができます。フードはこの筒の先端に取り付けるわけですが,せっかくの可搬性が損なわれてしまうと,私は用意していませんでした。

 しかし,ホコリを防ぐといわれれば致し方ありません。ディスコンになる前にということで,フードとセットで買いました。この段階ですでにポケットに入らなくなったので,もう割り切って革製のジャケットも買うことにします。

 アダプタを本体に取り付け,さらに49mmのフィルタをねじ込みます。これで実質的に沈胴しないレンズを装備したGRになりました。

 さらにフードを取り付けますが,純正のフードは今ひとつ格好良くないです。そこで私の大好きな,SMC takumar28mmF3.5のアルミ製角形フードを取り付けて見ます。

 このフードはねじ込みではなく,鏡筒の外側を噛み込むように取り付けるので,フードをしたままでもレンズキャップができる上に,アルミならではのシャープな外観を持っていて,格好がいいのです。

 同時に届いたジャケットを取り付けてみると,なにやら既視感が。

 うーん,このサイズ感は,小型化競争が激しかった頃のMXやMEにそっくりだなあ。

 コンパクトデジカメなのに,銀塩時代の一眼レフのようなシルエットで,やっぱりカメラは大型化しているんだなとつくづく思いましたし,むしろ格好がいいということもあって,もう可搬性についてはさっさとあきらめてもよいと思うようになりました。

 小型薄型の伝統を守ったGRですが,こうしてポケットにもカバンにも入らず,一眼レフ並みの扱いを受けることになってしまいました。それでも格好はいいですから,気をよくして使っています。

 フォーカスを固定し,ノーファインダーでガンガンスナップを撮ることが出来るその小気味良さ,最強のスナップシューターといわれることをようやく実感しました。

 新しいGR3はさらにGRよりも小型になり,GR Digitalのようなシルエットになります。私は今のGRやGR2が好きですし,当分これでいこうと思っています。

 しかし,どうもAFの精度とモアレ,ホワイトバランスが今ひとつです。このあたりは使い込んで癖を掴むことで改善されることもあると思います。もう少し頑張って見る胃事にしましょう。

 

 

D850を修理に出す その4?完璧になってかえってきました

 D850の修理が終わり,ようやく私の手元に戻ってきました。

 D850を修理に出したのが6月の最終日曜日で,1ヶ月以上も使えない状態になっていました。購入して11ヶ月ほどですので,実に1/10も使えない状態にあったわけです。これはなかなか痛いです。

 さて,最初の修理ではマルチセレクターの異音が全く改善されておらず,仕方がないので新宿に赴き,現象を目の前で確認してもらって再修理を依頼しました。これが7月27日の話です。

 しばらく音沙汰がないまま時間が過ぎて,8月2日に電話がありました。お,もう修理が出来たのか,早いなあと思っていたら,違っていました。

 話を聞いていると,工場には私のD850と,私が確認したニコンの備品のD850の両方を送付し,私のD850が備品と同等になるように修理して欲しいと,依頼をしてくれたそうです。

 ところが,何度も部品の交換を行ってみたが,どうしても備品と同等にはならないため,1つ提案をしたい,とのことです。

 その提案というのが,備品のマルチセレクターと,私のD850のマルチセレクターを交換することです。こうすると備品と同じ感触になるわけですが,その代わりに新品の部品を使わないことになるので,お客様の許可が必要だと,そういう電話でした。

 うーん,備品を潰してまで,感触の改善を試みてくれるのかニコンは・・・と驚いたと共に,いよいよこの異音が,私の個体の問題ではないと判明してしまったことにも驚いてしまいました。

 こう書いていると些細なことでごねているように思われるかも知れませんが,この異音はかなり大きなゴリっという音がしますし,その時ロックレバーがぐぐっと動くほどの衝撃があります。耳を近づければ音が聞こえるという程度ではなく,もう明らかに音がしているのがわかり,それで私は内部の破損か異物の噛み込みを疑って修理に出したのです。

 事実,窓口の担当の方は特に「仕様だ」「こんなもんだ」と私に反論することもなく,さっと備品と比べた上で「この程度にはします」と約束してくれたほどです。

 確かに,いくつか並んだデモ機では,私のD850ほどではないにせよ異音がしましたから,傾向としてこういう問題があるのはわかりました。でも,以前も書きましたが40万円の高級機で,これはないよなあと思うほどの感触です。

 異音そのものも問題ですし,個体差があることも,あるいは経年変化があることも私は問題だと思っていて,もしこれが個体の問題ではなく,設計の問題だとすれば,ちょっとお粗末だなあと思います。

 まあ,ニコンがすごいと思ったのは,そんな傾向の問題についてもなんとかしようと頑張ってくれることで,異音のほとんどない貴重なサンプルを壊しても私の注文に応えてくれようとするのは,意外なことだと私は思ったわけです。

 さて,返事をどうしたものかと考えていたのですが,そもそもこの異音の原因がわからない以上,どちらがいいかなど素人の私に判断出来るわけがありません。

 この異音がですよ,部品の接触によって起こっているとすれば,摩耗によって音が出なくなる可能性が高いです。言い換えると備品は散々使われて摩耗し尽くしたものだとすると,その先にあるのは破損です。

 摩耗ではなく,組み合わせる複数の部品の細かい寸法の問題で,備品は偶然異音が出ない組み合わせだったというなら,それに変えてもらった方がよいですわね。

 ここまで考えて,まず新品のどんな部品に交換しても出るのであれば,これはもう正常であると判断するしかない,異常かどうかは程度の大小で考えるしかないわけです。

 その上で,どれだけ使われているかわからない中古の部品を使って,今の感触を追い求めても,しばらくすると完全に壊れてしまうかもしれません。

 なら,現状よりも改善することを前提に,新品に交換してもらった方がよいということになります。

 とまあ,そういう話を電話で伝えたところ,その方がいいと思いますという返事をもらい,新品の部品交換で進める事になりました。

 正直なところ,この異音がここまでややこしい話になるとは思っていませんでした。目立つ音と感触で,明らかにおかしいと思うものだから,きっとすんなり話が通り,さっさと治るものと思っていたので,再修理や個体差で修理出来ないという結果になるとは考えてもみませんでした。

 普通のめーかーなら,これはもう仕様だ,正常だとそのまま返してくるでしょう。しかしニコンは違っていました。

 理想的には,異音の原因を調べてもらい,これを解消してもらうように部品を削るなどして,手作業で追加工してもらうことなのでしょうし,できればそのくらいやって欲しいとも思いましたが,そこは修理までを担当するサービスエンジニアの裁量の範囲を超えていますし,そのことで耐久性なども変わってくるでしょうから,性能保証が出来なくなります。まあ,非現実な対応策です。

 ということになると,恒久的な対策として,異音がしないように設計変更を行ってランニングチェンジということになるのでしょうが,カメラには伝統的にそうした改良は珍しくありません。

 また,ニコンはこういう設計変更にも割と親切で,アイカップが外れやすいというクレームに対し,外れにくくする金具を付属するようになったのですが,これが付いていない初期のユーザーがサービスに来たときには,金具を無料で渡していました。

 私も初期ユーザーだったので,向こうから「どうぞ」といって金具をもらった記憶があります。

 今回は分解が必要な話ですので,どうぞと簡単に配っておしまいにはならないのですが,同じようなクレームを付けたユーザーに対して,無料で修理するくらいのことは,期待していいかもなあと思います。

 私の予想では,D850は長く生産される息の長いモデルになるはずです。途中で何度も設計変更が入ることは珍しくなく,後に後期モデルでは改善されたなどと,マニア向けの本に書かれるときが来るかもしれません。


 ということで,改めて修理完了と新宿での確認が終わり,私の所に発送するという電話がありました。宅急便なら時間指定したいという私の要望も覚えていてくれて,果たして翌日の指定時間に私のD850は届きました。

 電話でも,担当の方は「こんなによくなるのかと思うほど良くなっている」といってらっしゃいました。

 実際の所,交換されたマルチセレクターの感触は間違いなく改善されており,音もそうなのですが左側を押したと気に異物感がなくなって,実によい感触になりました。

 確かに異音はしますし,感触も残っていますが,以前に比べれば大幅に改善です。このくらいなら気にならない程度です。いやはや,ほっとしました。長い時間がかかりましたが,修理に出して本当に良かったと思います。

 交換した部品の返却をお願いしてあり,異音がする部品も見てみたのですが,特にぶつかったり擦れたりという痕跡があるわけでもないので,やっぱりどうにもわからないです。

 ニコンが,細かい事にグチグチいうクレーマーととったか,あるいは設計変更に反映すべきフィードバックと取ったかは,わかりません。

 わかりませんが,とりあえず私のD850は,このくらいの音と感触で再出発です。ここから悪化しないように使っていこうと思います。

 それにしても,長かったです。もうカメラロスが苦しくて苦しくて。

 

D850を修理に出す その3~再修理に出す

 D850の再修理ですが,あれこれ悩んでいても物事は解決しないので,さっさと再修理に出すことにしました。

 私の見るところ,マルチセレクターの異音という私の訴えを,現場の担当の方が理解してくれなかったことに根本的な問題があるように思うので,これはもう自分の手で再現し,直接この音と感触を確かめてもらうしかありません。

 ということで,今回はニコンのサービスセンターの窓口に出向くことにしました。場所は新宿です。こういう時,都内に住んでいると選択肢があって助かります。

 ここは利便性も良く,朝から晩まで混雑していることで知られています。私も何度か足を運びましたが,すんなり受け付けてもらえたことがありません。

 それに,数年前から窓口の親切さに対する評判に代わって急に質が落ちたと嘆く声を聞いていて,わざわざ時間をかけて人混みをかき分けて,それでがっかりするくらいならとピックアップサービスを使っていたんですが,噂ばかりを信じて行動しないのはダメですね,今回つくづく思いました。

 まず混雑について。平日の午前中に行ったので,全然大丈夫でした。窓口の担当の方にも余裕が見え,私もゆったり離すことが出来ました。素晴らしい。

 次,対応について。なにせ再修理ですし,機能的にわかりやすい故障ではなく,ともすれば「こんなもんです」言われて終わるような問題ですので,説得二時間がかかるかもと覚悟していました。

 ところが,話をするとすぐに先方の備品と比較をしてくれました。そしてその備品というのが非常に程度の良いチャンピオンで,私のマルチセレクターと比較すると実に滑らかです。

 まったく異音がしないわけではないのですが,私の個体の購入時の状態に近く,思わず「あー,これこれ,これです」と声を出してしまいました。

 備品との比較があれば話は早く,私からあれこれお願いするまでもなく,この程度の仕上げておくよう申し伝えます,と約束してくれました。

 そして,他の問題は大丈夫でしたかと気遣いを見せる余裕も。

 修理が上がってきてから,取りに来るのが大変なので送って欲しいから,先に送料を払いますよと言えば,保証期間内の持ち込み修理の場合,変装時の送料は無料ですと言って頂き,これも想像と違っていました。

 「ただ」と前置きして続けるには,「通常,修理が上がったら工場からお客様に直接送るんですが,今回は一度私の手元で修理が出来ているかを確認し,それからお送りしたいと思います。ですので申し訳ないのですが,一日余計にお時間を下さい。もしも修理が出来ていなかったら,その場で工場に送り返して修理させます。」とのこと。

 一日でも早く戻ってきて欲しい私としてはちょっと残念な話ではあったのですが,受けた人間としてきちんと確認してお渡ししたいという彼の言葉に素直にうれしくなって,お願いしますと返事をしました。

 ただ,今なら工場の夏休みまでに戻ってきますよね,と念を押すことはしておきました。

 こうして,私のD850は,バックヤードに彼と共に消えていきました。

 しかし,今回はきちんとしてくれそうだ,という安心感と期待感で,嫌な気分はまったくありません。こんなことなら,前回も面倒くさがらず,最初から窓口に出向けば良かったのに,と後悔しました。


 待ち時間がなかったので,展示されていたデモ機を全く触らずに再修理をお願いしたのですが,終わってからずらっと並んだデモ機を触って見て,マルチセレクターの感触を確かめて見ました。

 すると,D850は程度は私ほど悪くないのですが,やはりゴリッという音がします。スムーズさも今ひとつです。

 あれ,っと思ってD810を手に取ると,これは実に滑らか。でも,D810のマルチセレクターはD850よりも一回り大きいんですね。押しやすいしゆとりもあるし,マルチセレクターはこっちの方が全然いいです。

 さらにD5も確かめてみます。大きさも大きいのですが,コリッとしたクリック感もあり,かっちりとした剛性感も強く,さすがにフラッグシップです。まさかこれほど感触が違うとは思わなかったです。やっぱりヒトケタは違います。欲しい。

 D500の感触はD850と似たようなもので,ふにゃふにゃな感じですが,ゴリッという音はしません。これも個体差があるんだろうと思います。

 D850は現時点で考えられる最高の一眼レフだと思っていましたが,どうも改悪したところはあったということのようで,今回のマルチセレクターはD810に比べて小さくなっていますし,操作しにくく,感触も悪くなっています。いろいろ無理があったんでしょうね。


 預ける前にデモ機を触っていたら,もしかしたら再修理をお願いしなかったかも知れませんが,偶然待ち時間がなく,偶然備品にゴリッという音がないもので,本当に幸運だったと思います。

 来週には何らかの連絡があると思います。すんなり修理が終わり,マルチセレクターが購入時の状態に戻ってきてくれることを願っています。

 

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