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サンマが焼けて,燻製が出来て

 サンマの美味しい季節になりました。

 私は子供の頃は生臭い魚が嫌いでしたし,大きくなってもおいしいと思ったことはなかったのですが,20歳の頃に定食屋さんで食べた日替わり定食のさんまの塩焼きに「世の中にこんなにうまいものがあったのか」と驚愕して以来,魚が好きになりました。

 後でつくづくわかったのですが,要するに私の母親は料理が下手で(自分でもそう言っていた),魚だけではなくいかなるものも,おいしくなかったようなのです。

 外で食べるようになると美味しいものに出会うことが増えるわけですが,私はそれを長年,大阪という街が美味しいものにあふれているからだと思っていましたが,それ以外にも,普段から美味しいものを食べていなかったことも理由だったということでしょう。

 母の名誉のために書き添えますが,すべての料理がまずかったわけではなく,田舎育ちの母らしく,田舎料理は絶品でした。
 
 また,ちょうど私が外で美味しいものを食べるようになり,母の料理にあれこれを口を出すようになってから,母の料理は非常に美味しくなりました。これは,子育てが終わりに近づいたことで生まれたゆとりもあると思いますし,批評家がいることで改善への意欲が出来た事と,持ち前の「賢さ」による学習能力の高さがなし得たのだと思います。

 そんな母のレシピをいくつか,私も引き継ぎました。

 話が脱線しました。サンマです,サンマ。

 サンマの塩焼きは,この季節にはありがたい食べ物で,脂がのって丸々とした大きなサンマを,塩を振ってしっかり焼いて,頂きます。昨今,漁獲高の減少で値段が高めになっていて,体感的には10年前の2倍になった感じもあり,もはや庶民の味とはいえなくなっているなと思いますが,正直なところ毎日食べるものでもないですから,安いことがそれほど重要ではないように思います。

 大事な事は,美味しく焼くことです。これが難しい。

 かつては家で焼くのはあきらめていました。煙は出るし,その割にはうまく焼けないし,片付けも大変だし,こういうものは,外で食べるか,さもなくば焼いてあるのを買って来るのが一番だと思っていました。

 しかし,やっぱり焼きたてが食べたいものです。2009年に引っ越しをしたときに買ったガスコンロに,オートメニューで両面焼きのグリルが搭載されていた事を機に,サンマを家で焼くようになりました。

 とはいえ,煙もすごいし,後片付けは他の魚に比べても大変でした。しかもサンマの大きさによっては中に火が通らないこともあったり,はらわたがポンと破裂して掃除がさらに大変になったりと,苦手意識はついて回っていました。

 今の家に移ってからは,備え付けのガスコンロのグリルにオートメニューがないこともあって,付きっ切りの手動で魚を焼くことになりましたが,やっぱりサンマは難しく,焦げないように,ふっくら美味しく焼き上げたことは,残念ながらありません。

 今年もチャレンジしたのですが,明らかに換気扇の処理能力を超えるものすごい煙が家中に立ちこめ,グリル内では油が飛び散り,真っ黒になっています。あげく,油に引火して炎を上げていました。

 片付けも大変でしたが,それでも決して美味しいとはいえない焼き上がりに,私はとてもがっかりしたのです。

 焼き魚という料理には,大なり小なりこうした問題があり,毎日夕食を担当する私のレパートリーを狭めていました。焼き魚は調理は楽なんですが,料理中の煙と臭いや,グリルのそばを離れられないことと,片付けが大変なことで,どうしても躊躇してしまいます。

 そんなおり,10年ほど前に検討した調理家電のことを,ある記事を見て思い出しました。焼き魚用のロースターです。当時の私は,自宅にグリルがなく,魚を家で焼くことができませんでした。でもサンマは食べたい,そこでサンマを丸々焼くことが出来るロースターを検討したのです。

 しかし,結局置き場所の関係もあり,サンマを焼くだけならバカバカしいという事で,購入をやめたのです。

 その記事によると,随分進化しているようで,なになに,14層の触媒フィルタ(交換不要)で煙と臭いを90%カット?フッ素コートとオートクリーンでお手入れラクラク?姿焼きだけではなく切り身や干物,あげく焼き鳥も焼き芋も出来るオートメニュー搭載?しかも燻製まで出来るだと?

 ちょうど,某ドイツの自動車メーカーが触媒をキャンセルするズルをして大気を汚して世界中から怒られていた時期でしたので,この高機能には「とうとうやったな,パナソニック」と思ったわけですが,あきらかにサンマが丸ごと焼けるような巨大なロースターはいわば季節商品ですから,あまり迷っている暇はありません。

 ということで,パナソニックのロースター「NF-RT1000」を買いました。

 買って1週間ほど経過し,一通り使ってみたので,簡単なレビューです。

・大きさ,重さなど

 大きさは横幅45cmということで,フルサイズのコンポやビデオデッキなんかに比べても大きいです。奥行きも35cm以上あり,置き場所は選ぶと思います。多機能で高価なものですが,5000円のトースターと質感はあまり変わらず,その点を期待するとがっかりします。

 重さは5.4kgと,高いところに収納するにはちょっと厳しい重さです。しかし,あまり軽いとコードで足を引っかけたりしたときに危ないですし,私個人はもう少し重たくて,一人で動かす事をあきらめてしまうくらいであると,割り切れたかなと思います。

 使用中はかなり熱くなります。使用後もしばらく熱くて,外側にうかつにふれるとやけどをしますので,気をつけて下さい。


・魚を焼いてみる

 焼いた魚は,まずはサンマです。煙で家の中が白く煙ってしまうサンマの塩焼きですが,このロースターの最大の売りは,どのくらいの効果があるのでしょう。

 網に並べて,姿焼きのメニューを選んでスタートするだけ。14分で焼き上がります。

 その間,派手に煙が出ているのがわかりますが,その側にはほとんど出てきません。煙が出ないと言うのは,本当です。臭いもかなり抑えられています。これはすごいです。

 出来上がって取り出して見ると,しっかり焼けていますが,縮んでおらず,フカフカです。期待して食べると,なんと美味しいことか。中までしっかり火が通っていますが,ふっくらしっとり,実においしく,食べ応えがあります。しかも皮がぱりぱりといい具合に焼けており,背骨とひれを残して,あっという間に全部食べてしまいました。

 後片付けですが,フッ素加工の網は水を付ければ大体汚れが落ちます。フッ素加工のメリットは片付けはもちろん,焼いた魚を取り出すときに魚を傷つけないということにも意味があって,なんでこれがガスコンロにもつかないのかと,本当に首をかしげていました。中部地方のガス器具メーカーには,改善しようという貪欲さが足りないのでしょうか。

 こびりついた網の汚れは,本当はやってはいけないのですが,食洗機で洗います。数百度の高温にさらされる網ですから,食洗機くらいはなんてことないはずです。

 失敗したのは,オートクリーンを洗う前に運転したことです。というのは,焼き上がった直後に電源を切ると,ファンが止まってしまい,煙が隙間から出てきてしまったからで,ファンを回すために,何か手がないかと考えた結果が,クリーンモードの運転でした。

 この結果,トレイに落ちた油が真っ黒に焦げてしまい,洗うのがとても大変になりました。先に洗ってから,クリーンモードの運転をしないといけません。

 そのトレイと,フロントの硝子窓は分解して取り外すことことが出来るのですが,トレイ側にはハンドルなどの隙間があり,ここに水が入り込んで抜けてくれません。錆びてしまうかも知れませんので,ここは改善の余地があります。

 オートクリーンモードというのは,ある温度になると汚れを分解して焼き切ってしまうものなのですが,これはそのための塗料を塗っている場所に限られます。ですから,中が完全に綺麗になるわけではありませんが,まあそれは仕方がないと思います。

 それでもまあ,掃除の手間は大幅に削減され,これなら毎日使っても大丈夫だと思いました。日々の夕食に幅が出てきそうな感じで,買って正解です。

 そうそう,煙と臭いに関してですが,実は臭いはそれなりに出ます。ただ,煙が出ないので目立たないだけです。換気扇は最強でぶん回さないといけませんが,それでも家の中に臭いが残ります。

 煙たくないので気付きにくいのがさらに良くないのですが,気が付いたら喉が痛い,気が付いたら着るものがくさい,と言うことがおきます。煙が出ないと言うだけで,そこはやはり魚を焼くわけですから,それなりの覚悟は必要という事でしょう,これは,後述する燻製にも当てはまります。


・茄子を焼いてみる

 秋と言えば茄子。茄子と言えば焼き茄子です。

 ですが,焼き茄子もなかなか難しい料理です。説明書に焼き茄子が書かれていたので,試して見ます。

 焼き茄子はオートでは焼けず,手動で焼く必要があります。270度で15分です。

 ただ,説明書には温度と時間だけしか書かれておらず,どうやって切るか,どうやって並べるかなど,肝心な情報が書かれていません。縦に半分にして焼いて見ましたが,結果から言うと失敗です。

 水分が完全に抜けて縮んでしまい,まるで乾いたスポンジのようになっています。焦げ目もほとんどなく,味もほとんどしません。これはダメですね。


・あじの干物を焼いて見る

 あじの干物はそんなに難しいものではないのですが,どちらかというと大きさが問題で,普通のグリルでは,3枚の干物を焼くのはなかなか難しいものです。このロースターでは,なんとか3枚の干物を焼くことが出来るので,これは大きな優位点です。

 オートメニューで干物を選んで,スタートするだけ。出来上がった干物は,干物と思えないほどふっくら,ジューシーでとても美味しく頂きました。


・燻製にチャレンジ

 さて,いよいよ燻製です。私は燻製をそんなに好まないのですが,それでもスモークチーズなんてのは,たまりません。

 ただ,燻製というのは,アウトドアが大好きな人が屋外で煙に巻かれながらやるもんだと思っていて,家の中にいるのが大好きな私には,一生縁のない世界だと思っていました。それが,今や室内で,しかもボタン1つで出来てしまうとは。

 燻製に必要なチップは,無難にサクラを選びました。1回で10から15g使うのだそうですが,私は加減が分からず,500gの袋を買って,その大きさにびっくりしました。

 このチップを付属の燻製用のトレイに入れ,燻製用の網をおきます。この網はあらかじめアルミホイルで包んでありますが,具材をこの網において,最後にトレイをアルミホイルで封止します。

 準備はこれでOKで,あとは燻製メニューを選んでスイッチを押すだけです。

 私は,鶏のむね肉と6Pチーズを燻製してみました。

 まずむね肉ですが,塩をたくさん目にふり,あまり分厚くならないように薄切りにして並べました。ですが,案外網が小さいので,大きい食材だと乗り切らないかも知れません。

 出来上がってみると,確かに燻製ですし,美味しいのは美味しいのですが,むね肉の弱点である油のなさ,水分のなさが協調されてしまい,とてもくしゃくしゃとして食べにくく,うまみも出てきません。

 これなら,他の料理にした方が美味しく食べられそうです。

 次,6Pチーズです。6Pチーズと言ってもいろいろあり,おそらくはトラディショナルな雪印の青い箱に入っているものが対象なのでしょうが,へそ曲がりな私はクラフトのカマンベールを選びました。

 結果は,溶けてしまって,潰れていました。

 ですが,冷えるとアルミホイルから綺麗に剥がれますし,燻製独特のうまみと香りが香ばしく,実に美味しく食べました。

 さて,気が付いたことですが,調理中の煙は確かにほとんど出ません。本当に燻製が出来るのかと不安になるほどです。しかし,出ないのは煙であって,臭いは出ます。目に見えないので気が付くのが遅れますが,さすがに燻製の臭いですので,喉に刺激となり,私も娘も咳をゴホゴホしてしまいました。

 調理中の煙は出ませんが,調理が終わってから取り出すまでに,あたりまえですが煙が出ます。これが結構バカにならないので,気をつけないといけません。

 洗い物は楽なのですが,なにせ高温になっているものばかりですから,やけどに注意が必要です。


 ということで,ロースターは,「焼く」という調理方法を日常に組み込むために,非常に大きな貢献をしてくれそうです。手間がかからず,その上美味しく焼けるというこの機械は,魚という食材を上手に料理するための1つとして,重宝すること間違いなしです。

 焼き鳥も焼けるそうですので,今度試して見たいと思います。

 ただし,目に見える煙はでないけども,目に見えない臭いは出ていることを意識して,しっかり換気をすることは忘れないようにしましょう。

 一方で,燻製にはあまり過度な期待をしない方がいいと思います。そんなに美味しく出来るわけではないし,チーズの燻製などは,買って来れば済む事です。

 一度に作れる燻製の量が少ないですし,同時に複数の食材を燻製出来ませんから,「燻製が出来ますよ」というデモンストレーションのようなもので,実用度は低いと言わざるを得ません。

 電気を熱に変えるという,非常に原始的な機械にしては2万円を超えるという高額商品ですから,上手に使う必要はあるとおもいます。私の場合,フィリップスのエアフライヤーが必需品になっているように,このロースターも必需品になることでしょう。

 そうなると,コンセントの増設ですね。うーん,なにかうまい方法を考えないと・・・

化学調味料で一発逆転

 我々ファミコン世代にとって化学調味料とは,禁断の毒物でした。多くは親,それも母親にすり込まれたものなわけですが,子供がゲーム脳なら親もまたゲーム脳だったと,つくづく思います。

 手放しに化学調味料を賞賛するのも,また否定するのも誤りで,どんなものでも,食べ過ぎは体に悪いものです。過ぎたるは及ばざるがごとしとは,まあよくも言ったものだと思います。

 その昔,味付けは海水で行われていたそうです。お米を炊くのも,魚を焼くのも,海水を使っていたという話なのですが,さすがに面倒なので海水の主成分である塩を抽出して,これを料理に使うようになったのが現代です。

 厳密に海水には塩化ナトリウム以外にもいろいろなものが溶け込んでいるのですが,海水を再現する調味料としてそれらを調合するという話はなく,やっぱり塩化ナトリウムが基本調味料として,世界の食卓に君臨しているわけです。

 こうすることで,いちいち海水を用意しなくて良くなったのですが,純度の高い塩化ナトリウムにしておくことで量の調整が確実に出来るようにもなりました。これは食品工業において,特に大量の食品を生産する場合に必須となるものです。

 また,塩という切り口だけで見れば,それは塩化ナトリウムであれば作り方はなんでもいいわけですから,海水を煮詰めて作る以外に,塩田に蒔いてもいいし,イオン交換樹脂を使ってもいいのです。

 同じ理由で,いちいち昆布や鰹節からダシを取っていたら,手間も時間もお金もかかって大変なので,これらから抽出し純度を高めた「うまみ」成分を使うようにすれば,料理がとても楽になり,しかも美味しく出来るようになるわけです。

 また,塩と違ってうまみ成分というのは複雑な構造をしていますから,海水を煮詰めて終わりとか,岩塩を掘り出して終わり,というわけにはいきません。

 ですが,昆布や鰹節から取り出すと手間も時間もかかって,うれしくありません。だから,うまみ成分を特定し,これを別の方法を駆使して安価に大量に,安定した品質で作る事が出来れば,大変にありがたいわけです。

 天然のダシからうまみ成分を特定し,高純度なものを作ることのメリットは,量の調整が確実にできる,安く作る事が出来る,僅かな量で硬い効果が得られる,ということになるわけです。

 うまみと塩味を同じレベルで話すことに無理があると思う人もいるでしょうが,その話も2004年までの議論です。2004年には,味を感じる受容体に,うまみ成分で信号を出すものが'発見されました。塩からい,甘い,酸っぱい,苦い,という4つの独立した味覚に,第5の味覚として「うまみ」が組み込まれたのです。

 ということで,私にとって化学調味料は,塩や砂糖と同じです。塩も砂糖も,食べ過ぎると体に悪いでしょう。同じ事です。味の素の大さじ一杯を昆布から摂取しようと思ったら,非現実な量の昆布を食べないといけません。

 自然の力が優れているとすれば,含まれている量が少ないから危険なほど大量に摂取するのが不可能になっているということでしょうか。そう考えると人間は,そのリミッターを解除することを「テクノロジー」と呼んでいるという事になるでしょうね。

 化学調味料は,すでに様々な食品に使われていますから,すでに食べない生活を長期間続けることは,不可能です。また,おいしいと思う食べ物には概ね化学調味料が使われているので,好むと好まざるにかかわらず,化学調味料を使って作った味が,現代のおいしさの基準になっていることも,認めざるを得ないでしょう。

 これで体に悪ければ話は別になるのですが,体に悪いかどうかはその分量で決まる世界であり,ここに気をつけて上手に使えば,料理が美味しくなること間違いなしです。

 事実,化学調味料を否定し,これを使わない家庭料理の,なんとまずいことか。あるいはなんと手間のかかることか。食品添加物には化学調味料以外にもたくさんのものがあり,それこそ体に悪そうなものも多いわけですが,手間がかかることで外食の回数が増えたり,冷凍食品や出来合いの総菜を使う機会が増えてしまうなら,保存料などの食品添加物が山盛り入ったこれらを食べる方が,よほど問題があると私は思っています。

 で,私は以前から,安いという理由で味の素を多用していたのですが,投入する分量が難しく,効果のある分量が非常に狭いことが経験的にわかっていました。ちょっと入れるだけで大幅に効き目が変わってくる,適量の範囲が非常に狭い,とてもピーキーな特性です。

 昆布だとたくさん使わないといけないですから,分量の多少の多い少ないが最終的な料理の味に影響することはほとんどありません。しかしうまみ成分そのものである味の素は,ほんのちょっとで自然界では考えられないくらいの「濃度」に出来るんですね。これが難しいのです。

 プロは,大量に作りますよね。だから化学調味料も大量です。多少の多い少ないでは,味にそれほど影響を与えないわけです。家庭料理はそうはいきません。

 入れすぎた化学調味料はどうなるかというと,うまみを感じる受容体以外の受容体にむりやり入り込み,ここでおかしな味として認知されることになります。化学調味料独特の薬品っぽい味とか,えぐみとか,ああいう不自然さは,入れすぎによるものです。

 話を戻しましょう。

 私も夕食を作る担当者になっていますので,手早くおいしく安価に,しかも毎日作ることを求められています。化学調味料を否定していたら,とても回りません。それなら積極的に使おうと,いろいろ検討してみました。


(1)うまみについて

 うまみと一口にいっても,いろいろあります。人間には「うまいな」と思う物質が複数あるという事なのですが,それぞれ感じ方が違います。

 また,よく知られた事実として,混合した方が単独で使うよりも強く味を感じるというのがあります。お砂糖にちょっと塩をいれると甘さが強くなることを経験している人は多いと思いますが,うまみもしかり。グルタミン酸とイノシン酸を一緒に食べると,単独で食べるよりも強くうまみを感じるのです。


(2)うまみ成分の種類

 うまみ成分には複数あると書きましたが,大雑把にいうと,こんな感じです。

・アミノ酸系・・・グルタミン酸
・核酸系・・・イノシン酸,グアニル酸
・有機酸・・・クエン酸,コハク酸

 核酸も有機物だよとか,そういう中学生レベルのツッコミは却下です。


・グルタミン酸

 グルタミン酸は,昆布だしの主成分です。かの池田菊苗先生により発見され,うまみを司るものとして世界に知られるようになった,記念碑的物質です。

 私がすごいと思うのは,世界共通で誰も否定することのない,塩辛い,甘い,酸っぱい,苦いの4つの味以外に,もう1つ「うまみ」を追加しようと考えたことです。これを明治時代にやってるんですから,なんという自信かと思います。

 そこから100年以上時間を経て,本当にうまみを感じる受容体が発見されて,味覚は5つだったことが証明されるわけですから,もう脱帽です。

 で,池田先生は昆布からグルタミン酸を抽出したのですが,その後小麦のグルテンを加水分解したり,石油から合成とか,紆余曲折を経て,今はグルタミン酸を生成する細菌にサトウキビの絞りかすの糖分をエネルギーとして与え,温度と酸性度を管理して発酵させ,大量に安価に安全に生産しています。

 このグルタミン酸(実際にはグルタミン酸ナトリウムですが)を商品化したのが味の素です。大企業になりましたが,もとはこのグルタミン酸を調味料として生産して販売するために立ち上げられた会社です。

 そして今も,味の素の看板商品は,味の素です。


・イノシン酸

 イノシン酸は核酸系のうまみ成分です。食品添加物としては「アミノ酸等」と書かれるし,同じ核酸系のグアニン酸と区別されないという可愛そうな物質ですが,これは鰹節のダシの主たるうまみ成分です。

 今調べて分かったのですが,致死量LD50が,14.4kg/kgなんですね。これ,60kgの大人だったら,860kg食べると半分が死ぬよと言う意味ですから,やっぱり食べ過ぎは毒なんですね。

 
・グアニル酸

 これも核酸系のうまみ成分です。同じ核酸系のイノシン酸と一緒にくくって「核酸系」とすることも多く,区別されない場合も多いようです。

 ですがグアニル酸は,シイタケのダシ由来の成分です。

 区別しないのか,区別出来ないのかはわかりませんが,どうも製法上一緒に出来てしまう,別々に分けることが出来ないということではないかと思います。
 
 どっちにしても,イノシン酸とグアニル酸は一緒に食べると,うまみがブーストするそうです。ただ,グルタミン酸ほど安く作る事は出来ず,核酸系の調味料はどうしても高価になりがちで,スーパーの店頭でも「高いな」という印象のものにしか入っていません。

・クエン酸

 クエン酸はよく知られているように,ミカンやレモンの酸味の成分です。実のところうまみの受容体には作用しないので,厳密にはうまみ成分ではありません。

 ですが,他のうまみを強める働きがあるため,配合されているケースがあります。


・コハク酸

 これも良く知られた物質ですが,れっきとしたうまみ成分です。貝類に由来するうまみです。

 また,日本酒やワインに含まれていて,あの独特のうまさを作っています。

 面白いのは,コハク酸は効き目が独特で,ちょっと多いと,独特のえぐみとして感じるんだそうです。(あの,貝類独特の味が私は子供の頃から苦手だったのですが,大人になると受容体の数が減って感度が下がるので,好き嫌いがなくなるんだそうです。)

 しかも,他のうまみを増強するか単独の味として認識されるかのしきい値が低く,ちょっとの分量でコハク酸単独の味になってしまうそうです。

 その意味では使い方が難しいうまみ成分という事になります。


(3)手に入る化学調味料

 うまみ成分にもいろいろあって,それぞれに由来や味に差があることがわかったところで,それらがちゃんと区別して手に入れられなければ,意味がありません。

 そこで,市販の化学調味料を調べてみます。

・味の素(味の素KK)

 安価で,個人で買っても困らない程度に小分けされて,しかもどこでも売っている,化学調味料の代名詞がこの味の素です。グルタミン酸が97.5%,核酸系が2.5%という組成ですから,ほぼグルタミン酸と考えてよい調味料です。

 グルタミン酸は昆布だしの成分ですから,味の素=昆布,ともう暗記してしまいましょう。

 これ単体でぺろっとなめてもマズーとなるだけで,ちっとも美味しくないのですが,それもそのはずで,他の調味料と組み合わせることで本気を出す調味料です。特に塩は必須なのですが,塩の使用量の10%以上を入れてしまうと,本当にまずくなります。入れすぎるくらいなら,入れない方が100倍ましです。

 味はシンプルで素材の味を上塗りするような暴力的なものではなく,まろやかと言うよりも鋭角的な味がします。コクはないですが,涼しげなうまみが上品です。

 個人的な経験では,これ単体で美味しくするのは大変で,他のうまみ成分とバディになってくれることを祈りながら,鍋に投入するという儀式が不可欠です。どちらかというと偶然性にかける部分も否定できなくて,それほど美味しく仕上がらなくても,まあ味の素だしなと割り切るだけのゆとりがなくてはいけません。

 シンプルな料理ほど成功率が上がるのも味の素です。エンドウご飯を炊くときにさっと一振りとか,とろろ昆布をお湯に投入し,醤油と味の素で味を調えるとろろ昆布のお吸い物とか,ありがたい調味料だと思います。


・ハイミー(味の素KK)

 ハイミーならスーパーに売っていますよね。お値段は味の素に比べると随分高いのですが,それは組成の違いです。

 グルタミン酸が92%,核酸系が8%となり,味の素から製造コストのかかる核酸系を3倍も増やしています。

 核酸系は前述しましたが,鰹節とシイタケのうまみです。暖かい料理の味をぐっと高める働きが強いのですが,量の増減に対する味の変化が大きいので,これこそ使いすぎに注意です。

 とはいうものの,私は使ったことがありませんので,パス。


・いの一番(MCフードスペシャリティーズ)

 いの一番は,昔はスーパーでも買えたメジャーな化学調味料だったのですが,今は業務用としてしか販売されておらず,1kgという個人なら子供の引き継げる暗いの量でしか買えません。お値段もそれなりにしますし,成分を見てもハイミーと同じですので,互換品かなと思ってしまいますがさにあらず。

 どうも,核酸系のせいぶんに違いがあるとのこと話で,名前の通り鰹だし由来のイノシン酸が強いようです。ゆえに,いの一番=鰹だし,と覚えてしまいましょう。


・ミック(MCフードスペシャリティーズ)

 さあ,このあたりから知名度がぐっと下がり,知る人ぞ知る世界になってきます。

 ミックは業務用化学調味料の傑作と言われ,どんな料理も一発で劇的においしく出来る,魔法の粉です。

 その組成は,グルタミン酸が89.8%,核酸系のリボヌクレオチドニナトリウムが8%,アスパラギン酸が2%,そしてコハク酸が0.2%です。

 いの一番なんかと比べて見ると,アスパラギン酸とコハク酸がミソなわけですが,アスパラギン酸はアミノ酸の宝石箱たる醤油を代表するうまみ成分であり,コハク酸は前述のように貝のダシ由来です。

 いってみれば,これでまずいはずがないというリッチな組成を実現した化学調味料であり,単体をぺろっとなめても,それなりにうまいと思ってしまう完成度です。

 また,組成が複雑であるがゆえに,すでに互いを高め合うように作られていますから,味の素のように運転を天に任せる味付けをするのではなく,狙った味にすぱっと収れんしていくキレの良さがあります。

 また,使用量も味の素よりもずっと少なくて済みます。昆布,鰹,貝,シイタケと何でもありですから,どんな料理にも使える幅広さも特筆すべき点です。

 値段もハイミーやいの一番とそれほど変わらず,業務用しか手に入らないという点さえ目を瞑れば,まさに最強の化学調味料といってよいと思います。

 とはいうものの,いい話ばかりではなく,味の素は素材の味を上塗りしませんが,ミックは「ミックの味」に塗り替えてしまいます。

 確かに美味しくなるし,これを天然のダシで実現するのは素人には無理と,脱帽気味になる問答無用のすごさがあるのですが,味噌汁でも野菜炒めでも煮物でも,ミックを使えば何を食べても同じ方向性の味になってしまい,素材や調理方法の「必然性」に疑問を口に入れた人々に投げかけたあげくに,「うまいんだけども・・・」という釈然としない後味が残ります。

 ですので,絶対量を少なめにすることも大事ですが,ミックを使う料理を一品くらいにとどめておくのが,鉄則ではないかというのが私の結論です。


・ミタス(富士食品工業)

 ミックと双璧をなす,化学調味料の雄です。組成はグルタミン酸が88%,核酸系のリボヌクレオチドニナトリウムが8%,クエン酸が4%です。

 注目すべきは,クエン酸です。うまみではなく,酸味の成分であるクエン酸をあえて配合しているのがミソなのですが,これも前述のように,他のうまみ成分をマイルドにする力があります。なにやら,鶏ガラスープのような味も感じられるんだそうですが,私は使ったことがありません。


(4)メーカーの変遷

 味の素を除き,何だか耳慣れない会社が作っているのが,化学調味料です。あれ,こんな会社知らんぞ,ってなことが,私も調べていてなんどかありましたが,変遷を調べると,妙に納得することもしばしばです。

 ここ10年ほど,大手企業のリストラが進み,主力事業ではないものはどんどん切り売りされてきました。販売停止にならなかっただけましなのかも知れませんが,製品名は知っていても,メーカーは初耳という状況の根源が,この20年ほどの不景気にあるというのも,また興味深いところです。

 なお,味の素については,昔からなにも変わっていないようなのでさくっと省略し,MCフードスペシャリティーズと富士食品工業を紹介します。


・MCフードスペシャリティーズ

 MCフードスペシャリティーズはいの一番とミックのメーカーです。もともと,いの一番とミックは別々の会社の商品でした。

 いの一番は,武田薬品が作ったもので,年配の方はプラッシーというジュースと一緒に,お米屋さんで売られていた事を覚えているかも知れません。

 その後,武田薬品の調味料事業はキリンビールとの合弁である武田キリン食品に移管されます。さらに武田薬品の食品事業からの撤退を理由に,武田キリン食品はキリンビールの完全子会社となって,キリンフードテックと商号が変更されます。

 一方,ミックは協和発酵が作っていたものなのですが,戦前から続く名門企業である協和発酵は,とにかくあちこちに事業を切り売りしており,食品部門が協和発酵フーズとして独立したのち,先のキリンフードテックと経営統合し,キリン協和フーズとなります。

 ここに至って,いの一番とミックが同じ会社の製品になるわけですね。

 この時,キリン協和フーズはキリンビールの持ち株会社であるキリンホールディングスが全株式の65%,協和発酵キリンが35%を保有しています。

 さて,このキリン協和フーズですが,元協和発酵である協和発酵キリンの株式をキリンホールディングスが取得し,キリンホールディングスの完全子会社になります。

 そして,ここに三菱商事が登場。三菱商事がキリン協和フーズの株式81%を取得して子会社化し,商号をMCフードスペシャリティーズと変更し,現在に至るわけです。

 武田薬品と協和発酵の製品が三菱商事の子会社で作られるようになるなど,およそ想像出来なかったと思うのですが,耳慣れないその会社名は,今や三菱商事に由来するものだと覚えておくといいでしょう。


・富士食品工業

 もともとミタスは,旭化成で作られていたものでした。旭化成の話をし始めるとこれまた大変な異なるので省略しますが,旭化成の食品事業が旭フーズとして分離します。

 これが,1985年に専売公社から民営化した日本たばこ産業に買収されて,子会社であるJTフーズと合併します。この段階でミタスはJTフーズの商品となります。

 一方,戦前から続く調味料のメーカーに富士食品工業があったのですが,ここが2008年にJTと資本提携します。おそらく,この段階でミタスが富士食品工業に移管されたのではないかと思います。

 JTの食品事業は,加ト吉に譲渡されたり,缶コーヒーから撤退するんじゃないかととか,なにかと騒がしいわけですが,ミタスもそうした波にのまれているということでしょう。


 こうしてみると,味の素がどれほど名門なのかがよくわかりますね。他の調味料は売られ売られて流されて,なんとか生き残っている感じがしますが,味の素は今も昔も,味の素です。大したものです。

久々のG-SHOESのさっと一品

 2008年に3Lの圧力鍋,WMFのパーフェクトプラスを手に入れてから6年,圧力鍋は私の良き相棒になってくれています。

 毎日使うほどではないにせよ,圧力鍋でないとできない料理もあるし,圧力鍋を使えば楽の出来る料理もあるので,手放せません。

 しかし,問題が1つ。3Lでは大きさが足りないのです。

 家族が増えた,翌日も食べるなど,作る量を増やさねばならなく鳴ったことが直接の原因ですが,じゃがいもなどを丸ごと入れる事が出来ずに,切る必要があったことも,やはり一回り大きな,深い圧力鍋が欲しいと思っていた理由です。

 ちょうど,パーフェクトプラスのパッキンや取っ手が劣化してきたこともあり,その部品を交換する時に,一緒にサイズの大きなものを検討してみました。

 すると,パーフェクトSという1ランクしたのものであれば,4.5Lのものが17000円ちょっとで買えるんですね。これは驚きでした。

 上位機種のパーフェクトプラスと比べて見ると,取っ手の材質が違うことと,付属品にスノコがつかないという点が大きいのですが,それ以外の基本性能に全く差はありません。使い方もお手入れ方法も一緒です。

 安全バルブは,2012年から日本仕様に変更されているという事で,おそらくパーフェクトプラスも変更されているのではないでしょうか。その点ではクラスによる差はほとんどないと言っていいでしょう。

 並行輸入物の可能性もあったのですが,結論からいうと,私が手に入れたものは国内正規品でした。もうこれだと何の問題もありません。

 ただし,パッキンは旧仕様のものがついてきました。現行のパッキンは形状と材質が改良され,さらに機密性が上がっています。これだけ別に買い直しても2000円ちょっとですので,私は早速部品を注文して交換しました。

 ということで,新しくついてきたレシピブックから,早速1つ作ってみたので,紹介しましょう。

 

・豚肉とごぼうの味噌煮(4人分)

[用意するもの]
 豚肩肉・・・300g
 ごぼう・・・150g(1本から1本半)
 しょうが・・・ひとかけら
 和風だし・・・300ml
 味噌・・・大さじ2
 みりん・・・大さじ2
 醤油・・・大さじ1
 酒・・・大さじ1
 砂糖・・・大さじ1


[作り方]
 1.豚肉は一口サイズに切る。肩肉ってこんなに脂がすごいとは知りませんでした。
 2.ごぼうを2cm程度の輪切りし,水にさらす。しょうがは千切り。
 3.材料を全部投入。フタをして中火で圧が上がるまで待つ。
 4.圧力が「強」になったら,5分間加圧。
 5.自然冷却が終われば,もうすぐに食べられる!

[注意]
 肩肉は脂がすごいので,間違っても汁をご飯にかけて食べたりしないこと。
 あと,和風だしは味を決める要素だが,普通にほんだしを水に溶かしてもよい。

 

 そういえば,五目豆のレシピも出ていましたが,以前ついてきたレシピとは違うものでした。新しいレシピでも作って見たのですが,これは以前の方が断然美味しかったです。

 あと,ビーフシチューを作ってみたのですが,いくらでも入るからと調子に乗ってじゃがいもを入れすぎました。水は1Lしか入れていないのに,じゃがいもがとけてしまい,1L以上の水かさになっていたのですが,おかげでシチュー味のマッシュポテトになってしまいました。何事もほどほどにしないといけません。


 大きさの違う圧力鍋を揃えたことで,いろいろ便利になることは間違いないでしょう。娘は小さいくせにごぼうが好きなのですが,圧力鍋で柔らかくしたごぼうは特に美味しいといって,食べてくれました。

 2つの圧力鍋を上手に使って,美味しく,効率よく,料理をしたいものです。

ノンフライヤーで揚げ物をする

 まだ寒い頃から話題になり,発売開始の4月にはいきなり品薄状態,予約をしても納期が未定という状況だった,フィリップスの「ノンフライヤー」ですが,この週末に私の手もとに届きました。5月末に予約をしたので,ちょうど1ヶ月くらいですね。

 HD9220という無味乾燥な型名ですが,3万円という調理家電にしては高価なこの商品がこれほど注目を集め,売れているかは,やはり日本人が揚げ物好きで,一方でそれらが体に良くないものだという印象をいかにすり込まれているかを投影しているんだと思います。

 え,おまえはなんで買ったのか?ですか。

 そりゃ,揚げ物が好きだからですよ。ただ,私の場合は別にヘルシーとか片腹痛いわプププという人などで,油でギトギトの唐揚げでも全然構いません。

 ただ,それはあくまで私の食べ物の好みであって,そうした揚げ物を自分でするのはとても大変です。まず油です。毎日揚げ物を食べるなら別ですが,2週間に一度くらい食べるのに,サラダ油を大量に使い,しかも使い捨てることになるなんて,もったいないです。

 濾過して保存という手もありますが,熱を加えた油は一部分子構造が変わりますし,参加すれば毒にもなります。滅多に食べない揚げ物だからこそ,油は毎回新品にしないと危険です。

 次に揚げ物用の鍋の確保です。他と共用できないので専用の鍋を確保しないと行けませんが,それはすなわち鍋の墓場です。揚げ物以外の料理にはもう二度と使えなくなります。

 そして調理です。辺り一面に飛び散る油だけではなく,油が蒸気になって家中に広まり,天井やら壁にこびりつきます。換気扇の掃除も死ぬほど大変です。

 その上,火事の危険もあります。水は100度以上になりませんが,油は200℃でも300℃でも,温度が上がります。しかも蒸気になった油は引火性です。揚げ物の時には,付きっ切りで見ていなければなりません。

 それで食べられる揚げ物はというと,せいぜいとんかつ1枚,コロッケ2つくらいのものでしょう。いやいや,これは全然割が合いません。

 オーブンレンジにある揚げ物を行うモードも使って見ましたが,時間はかかるわ煙は出るわ,電気代は凄いわ,しかし火は通ってないわ,で散々でした。

 結論として,揚げ物はプロに任せよう,ということになったのでした。

 揚げ物をやっているスーパーの総菜売り場では,毎日大きなフライヤーに大量の油を使って,どんどん揚げ物をやります。油は定期的に交換されるし,規模が大きいので温度の変動も小さく,素人の揚げ物が味でかなうはずがありません。

 食べたいだけ買うことが出来て,後始末も必要なく,わざわざ自分でする理由など,ないですよね。

 なら,なぜ「ノンフラヤー」を買ったのか。

 それは,売っていない揚げ物を作るために必要だったからです。

 1つは,フライドポテトです。

 いや,マクドにいけばあるやん,というのは待って欲しいんです。私はマクドに行く習慣がないし,あの雰囲気が今ひとつ苦手です。ポテトだけを買いにいくのは拷問のようなものです。しかも結構高いですよ。

 それに櫛形のポテトフライを食べたいときはどうします?私は櫛形や乱切りのフライドポテトが好きなのです。

 もう1つは,春巻です。

 春巻なんぞ売ってるがなと,というのも待って下さい。確かに売ってますが,私の春巻きは,母親の手作り春巻きです。

 具沢山で太さが3cmほどあります。具材はよくある甘い物ではなくて,それだけでも十分ご飯が進む,香ばしいものです。

 私は子供の頃からこれが好物で,母もよく作ってくれました。こればかりは他で食べることはできず,いずれそのレシピを学ばねばならんなと思っていたのです。

 最大の障害は,油で揚げることです。春巻なんですから当たり前なのですが,やはり揚げ物を家でやることに対する抵抗感は強く,これまで涙を呑んでいました。

 そこへですよ,揚げ物が手軽に出来る「ノンフライヤー」の登場です。これは,まさに一子相伝秘伝のレシピを受け継ぎ,あの春巻きに再び相まみえる,神が与え賜うた千載一遇のチャンスです。

 ということで,鶏の唐揚げなどはどうでもよくて,この2つについての解として,注目していたわけなのです。

 果たして,手にした「ノンフライヤー」はどうだったのか。

 まず,でかいです。炊飯器くらいかなと思っていたらとんでもない。クビのないペンギンくらいありまっせ,これは。

 真っ黒でつやつやの色も,下ぶくれな形も,安っぽいし,見た目も醜悪です。これが3万円で飛ぶように売れているとは,アベノミクスの本物ですよ。

 消費電力は1460W。うちで一番大きな電力のマシンになりました。構造は簡単で,蚊取り線香のようなヒーターが上にあり,さらにその上にファンがあります。

 熱風を循環させ,その熱で調理します。コンベクションという方式で,これは昔からありますね。

 そういう意味では,別にハイテクでもアイデア商品でもなんでもないんですが,この手の調理家電は,結局レシピブックがどれくらい充実しているかが決め手です。

 構造が簡単な「ノンフライヤー」には,これが大ヒットとみるやそっくりなものからパチモンまで,様々な類似品が登場しています。それでも本家(かどうかは知りませんが)のフィリップスを選んだのは,レシピブックの充実度がこの商品の値打ちを決めると思ったからに他なりません。

 しかし,ついてきたレシピブックはぺらぺらで,10品目ほどあるだけです。これならパチモンでもよかったかなと,ちょっと反省した次第です。

 気を取り直して,とにかくフライドポテトを食べてみましょう。

 お隣から頂いた,とても美味しそうな小粒のじゃがいもを櫛形に切り,15分水にさらします。軽く水分を切ってからバスケットにいれ,本体にセットします。余熱が必要と書いてあったので先に3分余熱,バスケットをセットしてから16分にタイマーをセットし,完成を待ちます。

 まず音が大きいです。何事かと思います。そして熱いです。周囲ももわーっと暑いのですが,背面の排気口からは,熱風が出てきます。でもまあ,これだけです。別に他のことをしていても危険なことはありませんし,タイマーが0になれば自動で止まります。

 16分後,初めての作例が姿を現します。

 うーん,しわしわです。外の水分が飛び,かたくなっています。中はほくほくとしてフライドポテトなんですが,これは私の知るあのフライドポテトではありません。水分も油分もないので,塩もからみません。

 まずいわけではありませんが,美味しいわけでもありません。

 翌日,リベンジです。

 同じようにじゃがいもを水にさらしますが,最後にサラダ油を少し入れ,からめます。これをバスケットにセットし,今度は余熱なしで16分です。

 素材に含まれる油で調理するのが「ノンフライヤー」ですから,油の少ないじゃがいもは,外から補給してやると,美味しく出来るはずです。

 うん?,なんか焦げ臭くなってきましたよ。

 あれ,なんか部屋が白くなってきた。

 おおお,「ノンフライヤー」から煙がもくもくでてますよ!

 あわてて家中の窓をあけ,子供と嫁さんを別の部屋に避難させました。

 しばらくすると煙は収まりました。どうも,油が多かったようで,垂れた油が高熱で煙になったようです。しかし,鶏の唐揚げでも春巻でもとんかつでも,油が垂れれば煙がでるわけですから,これはちょっとまずいかも知れません。

 そして完成。出来上がったポテトは。間違いなくフライドポテトでした。

 味は,なつかしい,母親の手作りポテトの味でした。私は,食べ慣れた普通に美味しいフライドポテトとは明らかに違う,すっかり忘れていた母親の味を期せずして思い出すことになり,つい無口になって食べてしまいました。

 ただ,これが冷凍食品だと,7分ほどで出来上がるんですね。水にさらす時間もいれると実に30分かかるのですから,ちょっと酒の肴に,と言うわけにはいきません。これは冷凍食品を使うのが賢いでしょう。30分かけるフライドポテトは,私が過去を懐かしむ時だけ食べることにしましょう。

 ところで,白い煙の対策は,キッチンシートを敷けば良いらしいです。そこで偶然家にあったクッキングシートを使って,またもフライドポテトを作ってみました。結果は,確かに白い煙は出ないし,クッキングシートが燃えたり焦げたりすることはなかったのですが,売りの1つである熱風の循環を妨げるので,特に下側に火が通りにくくなっている感じです。

 それでも中心部はほくほくですし,決して食べられないものではないのですが,もう少しからっと揚がって欲しいですし,表面の上と下で焼き加減が違うというのも,ちょっと気に入りません。途中で裏返せばいいのですが,面倒だし,やけどの危険もありますから,やろうとは思いません。

 ということでクッキングシートをどうやって使うかは,ちょっと考えどころですね。


 それはそれとして,唐揚げも揚げ出し豆腐もかなり美味しいそうですし,ホットケーキミックスを使ったドーナッツも美味しいらしいです。(そういえば揚げドーナツも母親の手作りでした・・・懐かしいなあ)

 レシピブックには,白身魚のフライがあります。私はこの,白身魚のフライがとにかく好きで,これが自分で調理できるというのは,なかなか面白いです。まあ,南洋の大きな白身の魚(メルルーサとかね)はスーパーでは売っていませんので,鱈などのフライにするのがもったいないものしか,自家製ではできないでしょう。

 いずれにせよ,油の扱いにうんざりして揚げ物を禁止していた我が家でも,揚げたてのフライが食べられるようになりました。春巻もこれから母親に教えてもらって,食べられるようにします。
 
 こうして,週末の料理の幅が広がっていくのは,楽しいことです。

カセットコンロの買い換え

 ここ数日でめっきり寒くなって,少し前にはあれほど暑苦しいと思っていた土鍋が恋しい季節になりました。

 私も冬は土鍋を使った料理を自宅で友人と囲むことが多くなるのですが,そうなると欲しいのはカセットコンロです。

 カセットコンロは1980年代に登場し,それまでホースか電線で繋げるしかなかった一口コンロをコードレスにし,取り回しのよさだけではなく,足を引っかけて鍋をひっくり返すという命にかかわる事故を激減させたに違いなく,結果として一家団らんに革命をもたらした大発明だと個人的には賞賛しています。

 実はボンベが1つ100円程度とそこそこ安く,滅多に調理をしない独身者は,立派なコンロを都市ガスで使うよりも,基本料金を考えるとカセットコンロの方がずっとお得になるんじゃないかと思います。

 私も電磁調理器に変えるまで,カセットコンロを常用していた時期があり,なかなか便利に使っていました。ただ,高熱にさらされるため劣化がはげしく,塩分や油分がさらに追い打ちをかけて,3年もすると見るからに「危険」な様相を呈してきます。

 原理が単純なだけに一瞬使えそうと思うのですが,いつしかカセットコンロの下にたまった酸化鉄の粉の山をみると,これがどこから落ちてきたのか考え込んでしまい,火を着けようと伸ばした手を引っ込めてしまいます。

 そもそもガスのような得体の知れない物騒なもの(私が電気屋ではなく化学屋なら逆を言っていたように思いますが)に警戒感を持っていた私は,最後には電磁調理器に切り替え,以来IGBTとコイルが鉄の鍋と一緒に紡ぐ美しいハーモニーに酔いしれ,現代科学の偉大な勝利に祝杯を挙げる日々を送る事になるのですが,今週は寒いので土鍋で鍋焼きうどんにしようという話になりました。

 ところがかつて使っていたカセットコンロを見やると,まるでデロイアの砂漠に朽ちるコンバットアーマーのようです。

  鉄の腕は萎え 鉄の脚は力を失い
  埋もれた砲は二度と火を吹くことはない

  狼も死んだ 獅子も死んだ・・・
  だが砂漠の太陽にさらされながら巨人は確信していた
  若者は今日も生き 若者は今日も走っていると

  巨人は若者の声を聞いた
  吹きわたる砂漠の風の中に 確かに 聞いた


 あれ,前がかすんで見えないや・・・ちょっとダグラム全75話見て来ます・・・

 ・・・

 ・・・戻ってきました。Not even justice,I want to get truth.

 えと,なんだっけな,そうそう,カセットコンロでしたね。

 ということで,次世代制式カセットコンロの導入のため,会社の帰りに大手家電量販店に行ってきました。枯れた商品ですが,今まで数多くの私の期待を裏切り続けたお店のことです。価格が高いだの在庫がないだのと,結局通販で買うことになるような気がしますが,行くだけいってみます。

 面倒臭いので結果だけ書くと,イワタニのCB-CG-8というモデルを,2780円のポイントなしで買いました。ネットでは2980円に10%のポイントって感じですね。てことはネットだと実質2700円ですね。いやー,毎度毎度ふっかけてくるなあ,ここは。

 以前のものより火力が強く,しかもボンベを常時暖めてガス圧が下がらないという,一歩間違うとアフロ確実なギミック搭載で気分もブーストアップな商品ですが,2006年発売ですので事故が起きてリアルアフロになってる人がいたら,すでに話題になっているでしょう。

 早速使ってみますが,全体に剛性が低く,土鍋を置くと重みで歪みが出ます。これでは松任谷正隆さんと田辺憲一さんから厳しい意見が飛び出すことは必至ですが,もしかすると柔よく剛を制す,この歪みがボディ全体をサスペンションにして接地性能や追従性能を高めているのかもしれません。でもそれって初代CR-Xだよなあ・・・故ポール・フレール先生はそんなCR-Xの大ファンだったしなあ。

 中国製に見られるような精度の低さはなく,そこは(表記を信じるならば)さすがに日本製というところでしょうか。テフロンでコーティングされているので吹きこぼれも簡単に掃除ができて,全体的に不満はありません。極めて無難な買い物だったと思います。

 個人的な考えですが,私のように電気に依存する人間でも,やはりエネルギーは分散させた方がよいと思っています。特に液化ガスは熱源としては優秀で,これを少しでも確保しておくと,災害などの時にも役に立つと思います。

 最後に軽くレシピですが,市販の白だしの素を買ってきて,これを1:6で希釈,だしはこれだけでokです。うどんに白菜,鶏のもも肉にかまぼこや椎茸,焼き豆腐やネギなど思いつくままに投入し,一煮立ちしたら頂きます。とてもおいしかったですよ。
 

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