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日本カメラ博物館とワークショップ

 子供が自らの最大の関心事となり,かつ生活の中心に居座っていると,子供の「夏休み」がまるで自分の夏休みのような感覚に囚われます。いやはや,面白いものです。

 その開放感も,高揚感も,なにやら自分の事のような気分です。自分の生活はなにも変わっておらず,大人には夏休みはないのに,まるで夏休みを過ごしているような気持ちになるのはなんだか得をしている感じがして,これも子供を持つことの特権の1つかなあと思ったりします。

 もちろん,子供は自分で面白い事を見つけてきますし,勝手に面白おかしく夏休みを過ごしてくれるものなのですが,大人は大人の仕事として,子供たちの手の届かない範囲にある「面白い事」を,ぐっと彼らの近くに引き寄せることも,やるものです。

 だからこそ,夏休みになるとあちこちで子供たちを対象としたイベントが開かれるわけで,本気のものから形だけのものまで,それはもう玉石混淆です。

 私は出不精ですし,暑いのも人混みも嫌いなので,子供を外に連れ出す事はあまりありません。学校や地域でちょっとしたイベントが行われることもあり,夏休みはそれはそれで毎日忙しいわけですが,今年に限っていえば,子供が通っている小学校で夏休み期間中に工事があり,イベントのすべてが行われないことになったのです。

 このイベントは近隣の小学校と合同で行われていたのですが,我々の学校で開催できなくなったことで,我々の子供が他の学校のイベントに参加出来なくなってしまうという事態まで招きます。その大人の論理の全開っぷりに,誰のためのイベントやねんと,思ってしまいます。

 なんと世知辛いことか。

 実際には私の想像も及ばない事情があって,やむなき判断という事なんでしょうが,残念な事に本来味方であるべき大人に,こうして「世知辛い」なんていわせてしまうあたり,推して知るべし,というものです。


 そんなわけで,一番割を食っている子供に何かをしようと奮起した私は,ふと目にしたイベントに足を運んだのでした。

 日本カメラ博物館にて,8月17日に行われた「暗室で写真影絵アートを作ろう」です。

 写真影絵アートはフォトグラムとも呼ばれている,印画紙の上にものを置き,上から光を当てて現像し,影絵を作るという立派な芸術作品です。

 ピンホールカメラだのカメラの分解だのというわかりやすいワークショップはすぐに満席となっていましたが,私に言わせればこれらは比較的簡単で,どこでもやろうと思えば出来ます。その気になれば,家でも出来ますし。

 しかし,フォトグラムはそうはいきません。

 今や貴重となった大きなサイズの黒白印画紙がまず必要ですし,光源である引き延ばし機も必要です。現像液や停止液,定着液といった薬剤も必要ですし,これらを扱うために上下水道が完備した作業スペースが必要です。

 しかも,そこは真っ暗でなければなりません。

 そんな場所,あるかいな!

 それだけではなく,これらを使うこなすための指導をする人もいないと困ります。しかも専門的な知識や技術が必要で,そこら辺のおっさんをつかまえてきて,頭数だけ揃えて済ませるわけにはいかんのです。

 どうですか,これは激しく大変そうでしょう。

 しかも,出来上がる作品は写真用の印画紙を使うだけに,白は純白,黒は漆黒と,見事なコントラストを駆使できます。拡大して投影するのではありませんから,くっきりとエッジも立ち,素晴らしい解像感が得られます。影絵という言葉に連想される,あのぼやーっとした投影とは,もう格が違うのです。

 事実,これは芸術家が作品作りとして取り組むもので,子供の遊びではありません。

 これを,かの聖地「日本カメラ博物館」がやってくれるというのですから,たまりません。まるで子供をダシにしたみたいで,私がワクワクしていることが,なにやら後ろめたい気持ちでした。

 8月17日は,東京でこの夏一番の猛暑となった日です。体温を超える気温で,天気予報のお姉さんは「なにもしなくても熱中症になる」と,いわれたところでどうにもしようのない警告を繰り返していましたが,幸いにして誰も倒れることなく,無事にカメラ博物館でワークショップに参加してきました。

 印画紙は四つ切りとキャビネを何枚かもらえるのですが,最初は持参した小物が,どんな影絵を作るのかを試してみる感じで,創造というより実験という感じです。

 しかし,何枚か作るうち,それらを工夫して並べて,物語を考えたりある状況を再現したりと,表現を始めるようになります。そうです,これこそ芸術です。

 慣れない暗室で,薄暗い赤い光を頼りに,触ったこともない液体と格闘し,出来上がった作品は,子供たちにも大いに驚きと感動を与えたようです。

 後述しますが,娘は私が高校生の時に愛読した「究極超人あーる」を,暇さえあれば読んでケラケラ笑っています。わかりやすいギャグで笑っているだけだった娘も,そのうち「暗室って暑いの?」とか「バットってなに?」などと聞いてきます。

 一応説明をしますが,こういう部分はその当時から,写真を嗜むものだけが理解出来る,いわば作者からのメッセージだったわけで,デジカメしか見たことがない8歳の子供が,現物も見ないで理解出来ようはずがありません。

 そんな口惜しい思いをしていた私も,今回のワークショップでは現物を見て触って,使う経験をしてもらえます。これほど血肉になる体験は他にないでしょう。

 私が知る「臭くて暑くて狭くて汚くていつもなぜか薄暗い」暗室とはおよそ反対の,実に快適な暗室での2時間余りの作業はあっという間に終わってしまい,娘は無事に夏休みの自由研究としてキャビネサイズの組み写真を完成させたのでした。

 このワークショップ,形だけの参加費が必要なのですが,そのこともあってか隣接する博物館にも無料で入館できます。特別展も子供向けでしたし,私は私で図録がほしかったので,ちょっと遅くなってしまうのですが,博物館にも立ち寄ることにしました。

 そうするとまあ,娘はどういうわけだか,大はしゃぎです。

 一時期流行したステレオ写真が面白いらしく,ずっと見ています。私にもしつこく見ろ見ろといってきます。

 そしてカメラの展示です。

鰯水のF-1ってどれ?
曲垣が使っていたAE-1はこれだ!
成原博士が持って池から出てきた「ハッセル」と「ローライ」というのは,これな。
えりかが持ってきた6x9のカメラって,こんなに大きいのよ

 とまあ,こんな調子で,あーるの世界が目の前に現れます。私もクラクラしてきました。

 かなうなら,17歳の私に,やがて君の娘は8歳になると,一緒にあーるの話で盛り上がることになるぞ,だから毎日楽しみに生きろよと,教えてあげたいです。

 なお,鰯水のF-1はNewF-1で,博物館にあったF-1とは違っていました。説明に書かれていた当時の価格が鳥坂さんのF3に比べて随分安いのに気が付き,「なんだ安いのか」と小馬鹿にしていたあたり,本能的に鰯水を小馬鹿にする鳥坂さんとお金にうるさい小夜子の両方の素質を持っているように思えてなりません。

 そして,子供向けに,古いカメラを実際に手に取って動かせるようになっていて,物珍しい娘は出ているカメラをひととおり触って喜んでいました。

 いわゆる一眼レフは見慣れているし,私のF3やF2を触っているので珍しいこともないのでしょうが,およそカメラに見えない2眼レフのリコーフレックスを,どうやったら動かせるのか不思議でならないようでした。

 かくいう私も2眼レフは扱ったことがありません。説明書きを見ながら恐る恐る,親子で2眼レフを触って見ます。6cmx6cmの正方形のファインダースクリーンに投影される天地逆転の画像の緻密さに驚き,鉄板を組み合わせた四角柱を上から覗き込むようなカメラが存在したことにも,好奇心が刺激されたようでした。

 そうして,想像以上に有意義で楽しかったカメラ博物館を後にしたのは,到着から3時間半も経過してのことでした。よく遊んだと思います。

 娘は今,家の大きなテレビに映る,呑み鉄本線日本旅で頻繁に登場するキハ40の走行シーンを,自らの愛機であるチェキで一瞬のシャッターチャンスをものにしようと格闘しています。面白い事に,撮影結果について彼女なりの振り返りがあり,これは今ひとつ,これは惜しいと,厳しめの自己評価を続けています。これはもう,立派な撮り鉄です。

 よく,世の親は,子供に芸術性を伸ばして欲しいというわけですが,それは私も同様です。ただ,それは子供のためという話だけではなく,私自身が彼女の作品をもっともっと見たいと思うからです。

 おそらくですが,成長に伴って,その作品はあるフォーマットに従うようになり,形式的な要素を強めることになるでしょう。それはそれで面白いのでしょうが,私個人は子供の自由さや柔軟性からくる予測不能な世界を見てみたいと思っていて,近い将来確実に見ることが出来なくなる前に,たくさん見ておきたいなと思っています。

 そのための表現手段,あるいは道具として,色鉛筆や折り紙があるのと同じように,デジタルカメラがあるというのは,興味深いことだと思います。ボタンを押せば写真が撮れる,しかしその結果には彼女なりの成功と失敗があります。果たして,ボタンを押すだけのカメラを小馬鹿にするマニアたちは,この成功と失敗の線引きを,どう考えるのでしょうか。

 

XC-HM86の修理~その2

 なかなか便利で使い勝手も良く,音質も満足しているパイオニアのXC-HM86ですが,CDのトレイが出てこなくなり,修理を依頼したところ,傷だらけになって戻ってきたという話を先日書きました。

 この話の顛末です。

 戻ってきたXC-HM86は,まず油や指紋でベタベタに汚れており,触る気が失せました。渋々拭き取って改めて見てみると,その前面パネルに1cmほどの大きなキズがある事に気が付きました。

 自分がつけたキズの可能性を考えましたが,こんなに目立つところに自分でキズを付けた記憶はないし,キズが付いていたという記憶もありません。家族もそういっています。

 輸送中のキズについても考えましたが,こういうことを避けるために,わざわざ全面を段ボールで覆って発送しましたから,それもちょっと考えにくいです。

 おかしいなと思ってあちこち注意をしてみると,あるわあるわ,小さなキズがあちこちにあります。

 前面パネルの1cmのキズを筆頭に,角をぶつけた箇所が2つ,ボリュームツマミに打ちキズ,,上面の操作ボタンにも打ちキズ,ディスプレイに縦方向の擦りキズ,背面にひっかき傷と,全部で20ヶ所ほどありました。

 それだけならいいんですが,さらによく見ると,ACコードのストッパー(ほら,ACコードの根元についている,抜けどめがあるでしょ,あれです)の一部が,被せた上ケースの内側に入り込んでいます。このことで背面パネルは内側に湾曲しています。

 うわ,これは安全上の不安もあるな・・・

 さらによく見ると,基板を交換したときのネジの締め方が強いようで,パネルが歪んでいました。これはひどい。

 ということで,パネルのキズで相当がっくりしていた私は,再修理をしてもらっても駄目だろうという気持ちになってきました。

 キズだけなら,再修理で構いません。むろん,どっちがつけたキズなのかで揉める可能性はありますが,購入してからまだ半年も経っていないものとは思えない傷の付きっぷりから,私ではないと認めてもらえると思います。

 しかし,ACコードの問題は,私が中をあけてみることが出来ないものである以上,ずっと不安を抱えて使い続けるのはかなりしんどいものがあります。

 ネジの締め方による歪みもそうですし,そもそも汚れた手でベトベトに人の持ち物を汚しておいて,そのまま返してくるような人が再修理をしたとしても,気持ちよく,不安なく使い続けることはもはや不可能だと,一晩考えて思ったのです。

 これは,とりあえず新品への交換を希望しよう。ダメモトだけど,こちらの気持ちは伝えよう,その上で,一流の担当者に丁寧な修理をしてもらおう,とそんな風に思って先方と相談しました。

 終始紳士的な対応をして下さったその担当者は,とりあえず現物を見るまでなんとも言えないので,まずは送り返して欲しいといってきました。とても丁寧な方でしたが,私を疑うようなことも,出来るとも出来ないともいわず,とにかく見てから判断したいと安請け合いすることも逆に突っぱねることもしませんでした。

 これも,先方にすれば安易に約束をせずに冷静に判断するために必要な時間で,怒っているだろう相手の頭を冷やしてもらう時間を稼ぐ意味でも,悪い言い方をすれば時間稼ぎとも言える,とても賢い作戦だと思うのですが,同時に私にとってもメリットがあります。

 出来る事は出来る,出来ない事は出来ないときちんという姿勢は,とてもよいことです。

 すぐに返送の宅急便を手配してくれました。送ったのが先週の土曜日でしたが,水曜日に経過を確認するために電話をし,週末までにという返事をもらった後,木曜日の夕方にもらった電話の折り返しを,金曜日の朝にしました。

 すると,新しいものへの交換品が手に入ったので,今日送りますというお返事です。交渉した方とは別の人と話をしましたが,平謝りでした。

 私は私で,無理を言ってすまなかったとお礼を言って,翌日無事に新しいものを受け取ったのです。

 新品ですからなにも問題はありません。

 品薄の中ようやく届いた以前の機械には愛着があり,さみしい思いがするのは事実ですが,やっぱり気分の問題もありますし,こうして私の所に来たのもまた何かの縁です。大事に使っていこうと思います。

 こういう場合,双方の意見が食い違って揉めることが多く,私も覚悟はしていました。それは立場の違いからくるものですし,相手にも出来る事と出来ない事があるわけで,特に厳しいオーディオ業界なら当然のことと思います。

 考えてみると,修理を受けて返すだけでも何万円もかかっています。保証期間内だから私は1円も支払っていませんが,それが最終的に全部無駄になり,あげく新品に交換されたわけですから,手続き上は私の持ち物を買い取り,新しいものを提供したことになるわけで,それはもう大変な金額になるはずです。

 XC-HM86はそもそも高価なものではなく,実売も安いですから,これ1台で稼げる利益も少ないでしょう。今回の私の対応にかかったお金を取り戻すだけで,一体何台のXC-HM86を売らねばならないのかと考えると,私も悪いことをしたなあと思うのです。

 でも,ここで思うのは,そもそも保証期間内に壊れてしまったことがすべての始まりです。壊れた原因はICの不良でした。数円程度のICだと思いますが,これが半年で駄目になったことで,これだけ大きな話になったことを,よく考えて欲しいと思うのです。

 販売店は在庫が,メーカーは品質が業績の足を大きく引っ張ります。それだけ大きな負担になると言うことですが,裏を返すとこれらを少しでも改善すれば,目に見えて数字が良くなるという事です。

 私の事例を正当化するものではないですし,まして私が役に立ったなどというつもりは毛頭ないのですが,今回の件では結局誰も得をしていない,みんな不幸になるケースだったことを思い出して頂きたいなと,そんな風に思いました。

 そして最後に,これまでとても良い印象を持っていたオンキョーのサービスが,一度地に落ちてしまいましたが,今回の無理をきいて下さったことで,規則に縛られるのではなく,個々のケースでユーザーの気持ちを最大限汲もうとする姿勢は健在でした。ありがとうございました。

 

 

XC-HM86の修理~その1

 この春に購入したパイオニアのネットワークオーディオ,XC-HM86ですが,故障したので修理に出しました。

 9月中頃の話です。嫁さんがCDを聴こうとトレイを開けるボタンを押したのに,うんともすんとも言わないと言い出しました。

 あれ,トレイが開かないような条件ってそんなに複雑だったっけな?

 おおむね,ベルトが切れたか,ギアが引っかかってしまったか,まあそんなところでしょう。

 しかし,本当にうんともすんとも言いません。ベルトが切れるなりギアが引っかかったりしたなら,モーターの唸る音や振動が出ているはずなのに,全く動いている気配がないのです。

 トレイが開かない条件も調べて見ましたが,そんなものはなさそうです。

 保証期間が過ぎていれば自分で調べて見るのですが,これはまだ半年しか使っていない,保証期間内のものです。自分でいじくって壊してしまうのもバカバカしいので,サービスセンターに電話してみました。

 いろいろやりとりがあったのですが,パイオニアのオーディオ製品は持ち込み修理が基本なので,販売店もしくはサービスセンターへの持ち込みをして欲しいということです。遠方や時間がないなどの事情で配送を使うことも出来ますが,その場合往復の送料は保証期間内でも,ユーザーが負担しなければなりません。それも3000円近い負担だったと思います。

 いやまあ,これは20年前なら当たり前なんですけど,外資系のメーカーはもちろんだし,ニコンなども保証期間内は無償だったりした記憶があるので,今どきのサービスは物流込みで考えるものだと,そんな風に暗黙で思っていたのです。

 そういえば,ヤマト運輸が新しい商材として,メーカーのサービスの集配を代行するサービスを展開していました。ゆくゆくはサービスのものも請け負うというものでした。

 これは,ユーザーにしかメリットがないもののように思いますが,そうでもありません。メーカーに取っては,全国にサービスセンターを配置して維持する必要がなくなります。修理のための部品や道具,資料はもちろん,人もサービスセンターの分だけ必要になるので,とても重たいです。

 しかし,配送が使えればサービスセンターは1箇所でも,全国のユーザーに同じレベルのサービスが提供出来ます。

 もちろん販売店経由で送ってもらえばサービスセンターは1つでも良いのですが,販売店経由だと時間もかかるし,販売店の仕事も増えますし保管場所も必要になりますから,あまり喜ばれません。無論,販売店もただでやっているわけではないので,当然手数料を支払うわけですけど,結局メーカーも販売店も,ついでにいうと時間もかかるし,販売店が近くになかったりすると,ユーザーにとってもうれしくない方法です。

 ここに商機があると思ったヤマト運輸はすごいですよね。感心します。

 こうすると,販売店は売ることに専念出来るし,ユーザーは全国どこでも家にいながらサービスを受けられるし,メーカーはサービス拠点を減らせる上,投資を集中して1箇所のサービスセンターを強力なものに出来るしで,みんなハッピーになります。

 だから,パイオニアくらいの会社なら,当然やってると思っていた訳です。しかしそうではなかったと言う事実をしり,なんだかさみしくなりました。

 そんなことをいっていても仕方がないので,いよいよ修理をお願いし,引き取りの手配までお願いしようとしたとき,電話の向こうの担当者が,ついぽろっとこんなことを言いました。

 「10月1日から,サービスが新しい会社に移管されるのですよ。」

 そう,パイオニアの音響機器部門は,オンキョーに譲渡されました。しかしサービスの統合はまだ行われていなかったのです。そしていよいよ,今年の10月から統合されるという話だったのです。

 「うーんと,それはつまり,修理の条件や仕組みは,オンキョーさんに準じたものになるということですか?」

 と,全然つまりになっていないような質問を,私はしれっとしてみたんですが,答えは「そういうことになります」でした。

 むむむ,実はオンキョーはサービスについては進んでいて。メールと配送でのやりとりがメインで,保証期間内は往復の送料もかからないのです。

 ここで私は少し考えてから,「そういうことなら,ややこしいので,修理を10月1日以降にします。」と話して,その場での手配を取りやめました。

 そして10月初旬。時間が出来たあるとき,パイオニア製品のサービスのホームページのリンクを探し,サービスの依頼をしました。するとオンキョーのサービスに飛んでいきました。メールで依頼できるようです。

 当然のように依頼をすると,すぐに「これはパイオニア製品なのでこのメールでは受けられない,このURLに書かれているところに電話しろ」と返事が来ました。

 URLはさっき私が見ていたホームページです。

 でたよ,たらい回し・・・

 悔しいので,電話をしました。

 事情を説明すると,先方は落ち着いて「お客様はメールでやりとりをされたいのですよね?」というので,いや,メールにこだわっていないが,保証期間内の配送料は無料だと書かれているので,それに準じて欲しいのだというと,それはすでにやっています,との返事。

 そういうことなら文句はありません。さっさと引き取り日時を決めました。そして最後に,

「ところで最初に伺うべきだったのですが,何が壊れたんですか?」

 というオチまで付いて,この電話は終了です。

 後日,指定した日に壊れたXC-HM86を引き渡して10日経過,トレイのモーターの駆動用ICが壊れていたそうで,保証期間内だから基板ごと交換しますと電話がありました。配送料も含め,私の負担は一切ありませんとのありがたいお話。

 9月に頼んだか,あるいは10月まで待ったかで,これだけの差が出てしまうことに,知る事と知らないことの差というのは大きいものがあるなあとつくづく思いました。

 細かい話をすると,実は9月中はフリーダイアルだったので,電話代はかかりませんでした。しかし,10月になるとナビダイアルになるので,1分で20円もかかります。都合15分ほど電話をしたので,電話代は300円ほどかかってしまいました。

 だから完全に無償になったわけではありませんが,配送によって全国どこでも同じサービスが提供されるには,全国どこでも電話が同じ料金でかけられねばなりません。

 ここをフリーダイアルにするのも手ですが,必ずしも保証期間内の話ではないわけで,電話をナビダイアルにするのは理にかなっています。

 戻ってきたXC-HM86は,当たり前のようにきちんと治っていることを期待していました。しかし・・・

 

 この顛末は,後日に。ちょっとだけ書いておくと,傷だらけ,指紋だらけ,ACコードの組み付けミス,LCDの傷と,一瞬自分のものとは思えないほど,変わり果てた姿で戻ってきました。さて・・・


 ・・・ここでちょっと思い出を。

 オンキョーのサービスについては,大昔,30年ほど前にもお世話になっています。

 中学生だった私は,父親がどこからか見つけてきた,古いシステムコンポを安価で買うことになりました。オンキョーのライセンスというシリーズで,下から2番目の4000シリーズというものでした。

 1970年代の製品で,もともと安価なものだったので,アンプもサンヨーの厚膜ハイブリッドICですし,カセットデッキもドルビーすらなく,チューナーも平凡なバリコン式でした。ターンテーブルもDCモーターによるベルトドライブで,ゴロとひらうよな安物でした。

 スピーカーも今思えば大したものではなく,音も特に印象に残っていないほどなのですが,それでも25cmと10cmの2ウェイはうちでは一番良いものだったので,アンプを自作しても使い続けていたのです。

 その自作アンプを調整中に,うっかりDCを出してしまい,片側のウーファーを焼き切ってしまったのです。

 さあ困った。それなりに気に入って使っていましたし,代わりののものに買い換えるほど経済的にゆとりはありません。それに,今ほど小型スピーカーの性能が良くなくて,良いものは大きいという常識がまかり取っていた時代でもありましたから,このくらいのスピーカーには選択肢が少なかったのです。

 そこで,ダメモトで修理を相談してみたのです。

 ビンテージでもなく,高価でもなく,廉価なシスコンのセット商品の,しかも古いものの片側のウーファーが断線したスピーカーを,修理してくれるはずはありません。

 当時高校生だった私が電話をしてみると,すでに交換用のスピーカーユニットは在庫がなく,通常の修理は出来ませんが,ちょっと検討してみるので,折り返しますというお話です。

 しばらくして,折り返しの電話を頂きました。しわがれた職人気質っぽい声の主は,私に信じられない事を言いました。

 ボイスコイルを巻き直すので,ユニットだけ外して近所のお店に持っていって下さい,と。

 ただし,できるだけ頑張りますけど,左右で音が若干変わってしまうことはご容赦下さい,と付け加えます。

 費用はいくらですか,と聞けば,5000円だといいます。

 ボイスコイルを巻き直す修理が可能なことも驚きですし,それをこんな安価に,しかも安物のスピーカーにほど越してくれることも,そしてユニットだけ送ってくれればいいという話も,なにもかも想像を超えた提案でした。

 私は即座に了解し,隣町の量販店にスピーカーを持ち込みました。店員さんの不思議そうな顔を今でも覚えています。

 そして2週間ほどして修理が完了。引き取って元の箱に組み込み直して音を出してみますが,全く以前と同じです。

 ここに,私の不注意で壊してしまったスピーカーは,職人の手で修理されたのでした。

 オンキョーがスピーカーに定評のあるメーカーである事は当時も知られていましたが,ちゃんとボイスコイルを巻き直す事が出来るメーカーである事も分かりましたし,それをそこらへんの高校生の依頼で行う体質に,私は深い感銘を受けました。

 こうしてオンキョーの社風に非常に良い印象を持った私は,就職先にオンキョーを選ぶのですが,私の時は就職難という事もあり,オンキョーから今年は採用しないと,丁寧なお返事を頂きました。

 結局違うメーカーで働く事になった私ですが,地元の企業だったということもあり,今に至るまでオンキョーにはとても良い印象を持っているのです。

 当時のシスコンもすべて廃棄し,取説の一部と,これも無理を言って送ってもらった当時のカタログくらいしか手元に残っていません。思い出深いそのスピーカーも,実家の建て替えに伴い,廃棄しました。

 その後,結局あまり縁がなくて,オンキョーの製品を買うことはなかったわけですが,こうしてまたサービスのお世話になったことに,私はなんだかうれしいものを感じました。

 今回も,サービスの担当をしている人から電話を頂きました。相変わらずしわがれた声の,職人のような声で,ぶっきらぼうですが親切な電話でした。昔々の事を,私はふと思い出しました。

 

区民債を買う

 私はいわゆる財テクとかそういうものにあまり興味はなく,お金は働いてしかもらえないものと思い込んでいます。

 ですので,こういうことにはさっぱり疎いのですが,親の世代ならまとまったお金を銀行に預けておくだけでそれなりに増えたらしいです。それがいつしかお小遣い稼ぎにのレベルになり,今やほぼ利息など付かない状況になりました。

 あげくにゼロ金利ですって。お金を借りたら利息をくれるんですよ。どういう仕組みだ?

 まあ,このゼロ金利というは我々市井の庶民にはまるで関係ない話ですのでどうでもいいのですが,私も人並みに将来への不安はあるわけで,贅沢はいいませんから,せめて衝動買いに失敗したとき「まああぶく銭だし」という慰め(あるいはいいわけ)にできるような,そんなお金が資産運用で手に入ったらいいなあと,思っていました。

 しかし,ここ最近の金利低下はそうした慎ましい願いをも打ち砕き,もう銀行なんてセキュリティ万全のサイフくらいにしか思えません。

 そんなわけで,金融商品などにますます興味を失った私ですが,先日偶然,地方債なる物を目にしました。国債ほどメジャーではないんですが,一応公債ですから信頼性は高く,金利も悪くないと聞いていました。

 ただ,具体的にどうすれば買えるものなのかわからず,機会のないまま過ごして来ました。

 そんなある日,自治体から送られて来るメールを見ていると,区民債の優先購入権の抽選申し込み開始,という文章が目に入ってきました。いわく,公園整備の用地取得にあてるとのことです。

 金利は後日発表なのですが,その段階でわざわざ優先予約販売の抽選をするというのですから,これはなかなか大人気で予約殺到なのかも。

 私の場合,運用には興味などありませんし,まあホントに小遣い稼ぎになれば御の字とおもっていたくらいですので,金利がいくらになっても別に構いません。ただ,この公債,昨年の金利は0.3%だったそうです。いかに低金利とはいえ,0.15%くらいには踏みとどまってくれるんではないかと,漠然と思っていました。

 とにかく,金利は別にどうでもいいです。資産の分散による預金の保護であるとか,自分の住む街の進む道に共感してお金を出すという気分とか,そういうものを第一に,区民債に応募してみました。

 結果は,当選しました。そして優先販売が今日10月11日に始まりました。金利はなんと0.1%です。うーん,もうちょっと欲しいなあ。昨年の100万円と今年の100万円,私にとっては違いがないんですが,昨年なら0.3%ですからね。なんだか今年の100万円が不憫に思えてきました。

 私は自分の都合で,今日の朝に購入の手続きに言ってきました。

 その銀行の口座を持っていなかった私は,まず普通預金の口座を作るところからスタートです。
 
 そんなこんなで,書類をいろいろ書いて,あちこちハンコを押しまくって,待つこと20分。案外簡単に手続きは終わり,区民債を無事に購入して帰ってきました。一番緊張したのは,やっぱり大金を鞄に入れて持ち歩いたことで,慣れないことをするもんじゃないなあと思いました。

 区政に資金面で関係を持つことで,興味関心を持ってもらうことを役割の1つとして担う地方債ですが,不思議なことに,個人で出来る僅かばかりのお金であっても,しかもリスクが限りなくゼロに近い安全な債権であっても,区政への参加意識が出てくるというのは不思議なものです。

 償還は5年先です。私はますます歳を取り,家もますます古くなり,子供はますます大きくなっていることでしょう。もしかすると,この債権というのは,タイムカプセルのようなもの,5年前のことを振り返るのに,役に立つかも,知れません。

アニサキス,みーつけた!

 9月になりました。気が付くと日が暮れるのが日々早くなっています。秋になると,サンマや鮭が美味しくなります。

 先日,近所のスーパーで天然物の秋鮭が新物として出ていたので,切り身を買ってきました。鮭はみんな好物なので養殖物や解凍した物はよく買うのですが,天然物は手頃な値段で出てこない場合も多く,あまり口にしません。

 見ると,いつものサーモンピンクも透き通るような深みのある色です。柔らかく,でも張りがある切り身を見ていると,さぞ美味しく食べられるだろうなとワクワクしてきます。

 本当は新鮮な内に食べてしまうべきなのですが,1週間分のまとめ買いですのでそうもいきません。買った日にチルドに入れて,数日後に解凍して食べる事にした私は,娘の好物であるチーズ焼きをしようと,ぱっぱと塩を振り,コショウを振りかけて,お皿に並べておきました。表面がぬめり,糸を引くくらいになったら焼き頃です。

 付け合わせ(もやしのお浸しですがこれが後々ややこしいことになります)や味噌汁の準備を済ませて,いざ焼こうとお皿に目をやると,糸くずのようなものがお皿に載っています。おっと,これを一緒に焼いたらいかんなと思いつつ,取り出そうと箸を伸ばすと,その糸くずの形が微妙に変わっています。

 ん?

 よーくみていると,ゆっくりですが,動いています。

 おーーーーーーー寄生虫だ!

 しかももう1つ増えていて,2つになっています。クネクネしたり,丸まったり,動いています。うわーーーーーーぁぁ

 私は肉でも魚でも野菜でも,基本的には生では食べません。いくら頑張っても生では衛生上心配ですし,それに生より熱を通した方が美味しいからです。ですので,あまり寄生虫や食中毒を意識したことはなかったのですが,さすがに目の前でクネクネやられると,この状況がよくあることなのか,特別な事態なのかが,心配になります。

 早速調べて見ると,この寄生虫は「アニサキス」というもので,生の鮭や鯖に寄生する代表的な寄生虫だそうです。長さ2cmくらい,太さ0.8mmくらいで,乳白色に近いです。(あー,かゆくなってきた・・・)

 私がキッチンで「うわー」「げー」などと声を上げていると,4歳の娘が「どうしたの」と聞いてくれます。私が「えらいもんみつけてしもた」と,寄生虫がお皿の上でクネクネしていることを話すと,あろうことか「見たい」と言い,キッチンの対面にある椅子に登ってこようとします。

 「いや,見ん方がええよ,気持ち悪いし」というのですが,平気,見たい,といってききません。

 まあ,そういうことならえよ,見てみなさいよ,と指をさしてアニサキスを教えてやると,目をキラキラさせて見ています。「ほらクネクネ動いてる」といえば,ほんとだーと喜んで見ています。

 気持ち悪くないか,と尋ねれば,大丈夫,怖くない,というのですが,こういうのは大人の方が苦手なもので,私も子供の強い好奇心に感嘆するほかありません。
 
 とはいえ面白がっている様子はなかったので,特に興味深い物ではなかったようですが,彼女はどちらかというと,大騒ぎしている私に興味があったようです。

 さて,どうしたものか。

 まず,この鮭は食べられないのか。アニサキスがついている鮭は,捨てないといかんのか。

 いいえ,天然物の鮭にアニサキスは付きものです。いちいち驚いていたらきりがありません。

 では,どうやって食べるのか。

 気持ち悪いから出来るだけ取りますが,肉の中や隙間に入り込んでいるかも知れません。全部を取りきるのは無理なので,基本的には加熱です。70度以上に加熱すると死滅し,ただの虫焼き(げー)になります。

 もし,生きている状態で食べたらどうなるのか。

 胃や腸の壁に潜り込んで,この時に激しい痛みが襲います。内視鏡を入れて1匹1匹つまみ出すのが根本治療だそうですが,胃は別にしても腸の場合そうもいきません。どうにもならない場合には開腹手術で取り出す場合もあるそうですが,一方で痛みに4日耐えれば出て行くそうです。私なら4日耐えますね,なんとしても。

 食品衛生上の問題はどうなのか。

 2012年に厚生労働省は,アニサキスによるアニサキス症を食中毒の1つとして認定したため,例えば寿司屋さんとかお刺身を出す飲食店でアニサキスが出てきたら,さすがに保健所も黙ってないと思います。

 ですが,スーパーの切り身ですし,加熱用として売られているもので,天然物の鮭にアニサキスがいるのはもはや常識ですので,これで保健所が動く事はないそうです。

 とはいえ,アニサキスが生きたままどこかに紛れてしまい,生で食べるキャベツの千切りに混じってしまうと大事になりますから,一応スーパーでもパックする前には出来るだけ除去するようにしているそうですし,見つかったことを店に言えばきっと交換してもらえるんじゃないかという意見が出ていました。

 しょーもない店なら文句も言ったかも知れませんが,よく使っているスーパーですし,鮮魚コーナーは個人的にはよく頑張っていると思うので,あまりいじめないでおきます。


 さてさて,気持ち悪いという理由で,この美味しそうな鮭を食べないというのはあまりに惜しいです。幸い娘は気にしていない様子ですし,嫁さんには黙っておけばいいでしょう。食べた後に「実は・・・」と話してその反応を見るのもまた一興ですし。

 方針は決まりました。まずアニサキスを肉眼でくまなく探し,見つけ次第熱湯で殺す。鮭の切り身はいつもよりしっかり火を通す。トレイやラップ,切り身をおいたお皿をそこらへんに放置せず徹底管理,触った手は即座に洗う,ということにします。

 すでに私はこの段階でかなり精神的に疲れていたのですが,意を決してアニサキスを探します。するともう1つ見つかり,全部で3つになりました。これを箸でつまみ,トレイに入れておきます。そして沸騰したお湯をかけて,一気に殺してしまいます。

 ところが,この日に限って付け合わせがもやしのお浸しだったのです。もやしのヒゲの部分がシンクに散らばっており,迂闊にもトレイから流れてしまったアニサキスと混ざってしまい,どれがどれだかわかりません。

 軽いパニックになりながら,死んだはずのアニサキスを数えますが,トレイには2つしかいません。うわー。もう1つどこいった?

 娘も見に来ました。「これはもやしだ」と掴んでみると,ちょっと感触が硬く,ぴーんと伸びたまま曲がりません・・・うわーーーーーぁぁぁ

 アニサキスの死骸でした。

 もやしとアニサキスの区別が出来るようになったので,3つの死骸を確認し,ゴミ袋に入れました。嫁さんは帰宅後,その死んだことを確認したアニサキスがそこにあると言うだけで気味悪がり,袋をもう1枚重ねてさっさと捨てていました。

 肉眼で切り身を見ても,もう動く物は見当たりません。とはいえこれだけ老眼が進むとその結果に疑問もあるわけですが・・・

 すでにこの段階で20分ロスしています。鮭も冷蔵庫から出して30分以上経過しています。傷んでないといいんですが・・・ああっ,嫁さんが帰ってきました。まだご飯の準備が全然出来ていません。

 嫁さんには黙っておこう(そして後でばらそう)と思っていたのに,娘がすっ飛んでいき,「寄生虫がいたよ,動いていたよ」とうれしそうに言ってしまったので,嫁さんへの意地悪は頓挫しました。

 果たして,じっくり火を通した,鮭のチーズ焼きはとても美味しく。先日届いたキリンの「秋味」と一緒に,ちょっと早めの秋を味わったのでした。

 ちなみに娘も何の抵抗も示さず,皮の部分までおいしいといって食べてくれました。

 あれから数日,家族3人,腹痛はありません。

 しかし,今にして思うと,昨年も天然物の鮭など何度も食べていたんですよ。もちろん生では食べていませんが,あまり意識して調理していなかったですし。トマトやキャベツなどは生で食べていたと思いますから,もしこれらにちらっとくっついていたらと思うと,ゾッとします。

 もちろん,サルモネラ菌みたいに目には見えないものであったり,カビのように動かないものには警戒心が薄れるわけで,目に見えるだけアニサキスはわかりやすいとも言えるのですが,私に言わせればそんなもの大きさの違いだけの話ですから,やっぱり衛生管理は徹底しないといけないなと,改めて意識させられた事件でした。

 料理というのは,美味しく作る事,手早く作る事,栄養価が高くなるように作る事を目指すわけですが,衛生管理というは人の健康と命がかかっているわけで,なにより優先であるということを,肝に命じて包丁を持つことにします。

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