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Z-PV1000の電池を入れ替えるのだが

  • 2013/10/31 17:03
  • カテゴリー:make:

 次世代コードレス掃除機選定委員会が選んだのは,ダイソンのDC45だったわけですが,しばらく使って見て思ったのは,これはもうサブ機ではなくメイン機だということです。

 20分以上の掃除をすることはなく,決まった時刻に掃除をすると言うよりは,ゴミが目立ち始めたら掃除をさっとする,という方法を考えると,どう考えてもDC45に分があります。

 カーペットの掃除については,DC45は自走しないヘッドなのでちょっと大変なのですが,そこはルンバの守備範囲です。ですから,DC45は単独メインと言うより,ルンバと共同でメインという位置付けになるでしょうか。

 まあその,ルンバもコードレス掃除機には違いないので,我が家ではコード付きの掃除機は完全に時代遅れとなりました。実のところ,掃除機というのは結構消費電力が大きいですから,省エネにもなって万歳かも知れません。

 さて,出会いがあれば別れもあります。

 これまで,サブ機として長く使っていた,ブラック&デッカーのZ-PV1000ですが,これは電池が寿命を迎えており,充電がほとんど出来ない状態でした。DC45があればもう必要はないということと,元々そんなに高価なものではなかったということで,捨てるつもりでいました。

 Z-PV1000は,Ni-Cd電池が10本内蔵されていて,12Vで動作します。それで吸い込み仕事率が26Wでしたから,結構派手な掃除機だったわけです。音も大きいですし,重いですし。

 で,仮に電池が1セル300円とすれば10本で3000円です。本体が5000円台で買えたことを考えると,ちょっともったいない気がしました。

 しかし,捨てるという言葉に異様に反応するもう一人の私は,「捨ててしまうのは一瞬でいつでも出来るから」と,あくまで電池の交換を主張します。

 とりあえず交換出来そうなNi-Cdを探してみます。探してみると,やはりNi-Cdは過去の電池になっていることがわかります。まともな形でNi-Cd電池を新品で買うことは,かなり難しくなっている印象です。

 Z-PV1000に搭載されている電池は,俗にSubCと呼ばれているサイズの電池です。電動工具では長く使われた定番のサイズですから,入手は難しくないはずですが,冷静に考えるとここ数年で電動工具もリチウムイオン電池に変わっていますので,使い道は限りなく限定されると言ってよいでしょう。

 とまあ,あきらめてかけていたところで,ふと電動ラジコン用のバッテリーパックの存在に気が付きました。しかも調べてみると,激安です。6本パックで1100円ですよ。これなら,2パック買っても2000円ちょっとです。しかも元々組電池ですから,タブが付いています。ハンダ付けも出来るわけです。

 私はラジコンはやらないのでよく分かりませんが,ヨコモというメーカーのNi-Cd電池パックです。在庫もそんなにないようで,私は関西の量販店から2200円で買いました。これで12本です。

 電池が届いた週末,早速交換してみました。

 Z-PV1000を分解します。分解して分かったのは,モーターと電池が一体化したモジュール構造になっているんですね。ビスを外してやれば,ポコッとモーターと電池が取り付けられたシャシーが外れて取り出せます。

 このサブシャシーには12本の電池が搭載できるスペースがあります。詳しくは知りませんが,Z-PV1000には14.4Vモデルもあるそうで,そのためのスペースなのかも知れません。

 さて,電池はボール紙に巻かれたSubCです。すべて直列につながっていて単純かと思いきや,プラス側から2本目の所のタブから,なにやら線が1本出ています。これがスイッチにも入っていて,どうもしっくりきません。

 見落としがあってはいけないと,真面目に電池の配線をみてみます。

 わかったことは,このまま交換して使うのはよそう,ということです。まず,Z-PV1000にはパワー切り替えが付いていますが,この切り替えはなんと,直列につながったセルの接続点の違いで,電圧を変えていることがわかりました。具体的には,強の時には10セルで12Vですが,弱の時は2セル減らしたところから電源を取り,8セル9.6Vでモーターを回します。

 しかしですね,これは御法度なのです。これだと,10セルのうち8セルだけ電池が減ってしまいます。この状態で充電を行うと,減った8セルはいいとして,減っていない2セルにも充電が行われてしまうため,これが過充電になります。

 また,弱で電池が減ったからと強に切り替えると,弱った8セルにも電流の出し入れを行うことになるので,8セルは過放電になったりして,かなり厳しい状態に置かれてしまいます。

 Ni-Cd電池は丈夫で,少々ラフな扱いをしてもへこたれません。が,直列に繋いだ電池は,均等に充放電をするのが鉄則ですから,こういう使い方はよろしくありません。

 次に,充電の問題です。どういうわけだか,充電中にかなり熱を持ちます。取説には熱を持っても心配ないよ,とありますが,一晩中暑いままというのは,ちょっとまずいようにおもいます。

 心配なので充電電流を計ってみました。すると,ざっと300mAです。この電池は1400mAhの容量ということですので,ざっと0.2Cということになりますね。取説には5~6時間程度で満充電とありますから,計算は確かにあいます。

 しかし,充電はスタンドに置いておくとずっと行われる仕組みです。いわばトリクル充電なわけで,それなら0.2Cは大きすぎますし,0.2Cで充電したいなら,充電を停止する仕組みが必要です。

 しかし,ここで考えました。Ni-Cd電池の満充電時の電圧は1.4Vです。ですから充電電圧が14Vになっていれば,満充電に近づくにつれて電流は減り,やがて停止するはずです。

 まあ,それくらいのことはないと困るわな,と入力電圧,電池の電圧,そして電流を計りますと,何時間経っても300mAから減りません。電池電圧は14Vを越えていますが,なにより入力電圧が21Vもあります。これじゃいつまで経っても充電は終わりません。

 こんな状態で放置したら,過放電になってしまいます。5時間おきに10分動作させて使う人ならこれでもいいでしょうが,そんな使い方をする人はいないでしょう。このままではまずいです。

 ACアダプタには,14V300mAと定格が書かれています。300mA流せば14Vになりますよ,という意味ですが,実際には20Vも電圧が出ていますのでこれは嘘です。

 ならば,これが本当だったら大丈夫なのかといえばそんなことはなく,300mA流れているときは14Vでも,100mAになれば電圧は上がります。上がれば電流は流れるわけで,やがてACアダプタと電池の電圧が等しくなったところで,ようやく充電が止まるわけです。

 しかし,その電圧は明らかに14Vではなく,最終的には充電電流がゼロになる20Vと言うことになるでしょう。そもそも1セル2Vまで上がるのかという話もあるし,仮に2Vになっても,それは完全に過充電です。


 そこで,以下のような対策です。

(1)まず,強弱切り替えは廃止しました。セルの充電度合いに差があることは避けたいので,弱を殺して,常に強で動くようにしました。

 実は,Z-PV1000は強ではうるさすぎて,私はほとんど使っていません。弱で十分ですし,出来ればこのモードを温存したいのですが,直列に抵抗を入れる作戦は抵抗の発熱が心配だし,手持ちに適当な定格の抵抗がありません。

 降圧回路で落とす方法も考えましたが,この手の掃除機は起動時に数十Aの電流が一気に流れるものなので,ちょっと難しいです。

 降圧に似たようなアイデアに,チョッパ回路を使って電圧を落とす方法も考えました。しかし,ピークで数十Aものトランジスタを探すのが面倒で,やめました。模型用のモーターとの違いを思い知らされた感じです。

 ということで,面倒だし危険なので,強だけで使う事にします。


(2)充電についても,真面目に充電回路を作ることを考えましたが,やはり面倒(面倒ばかりだなおい)なので,簡単な方法を考えます。

 とにかく,10本直列のNi-Cdは満充電が14Vですから,電流制限抵抗があろうがなかろうが,充電電圧が14Vになればもう電流は流れようがありません。

 電流制限抵抗がなくても,電流は300mA程度になることが分かっていますので,電圧を14Vに安定化すれば,満充電に近づくにつれ電流が減り,やがてゼロになってくれるでしょう。

 乱暴な方法ですが,充電はちゃんと止まるはずです。

 そこで,非安定のACアダプタの20Vを,安定化します。スタンドにもダイオードが1本入っているので,0.7Vだけかさ上げするとして,15Vで安定化すれば大丈夫そうです。

 7815を使うのが一番楽ですが,手持ちは1つだけ。心許ないので,腐るほどあるNJM2387Aを使う事にしました。R1に1.1kΩ,R2に12kΩを選べば,15Vになります。

 横着してコンデンサをつけなかったら発振してしまい,ちっとも電圧が安定しなかった話は恥ずかしいので墓まで持っていきますが,なんだかんだで組み込んだところ,すでに満充電近い状態では,12mA流れたあと,6時間後には2mAまで下がっていました。

 トリクル充電は0.02Cから0.03Cくらいの充電電流だそうですから,これを大幅に下回っています。充電をしていないのと同じですね,これだと。

 ということで,一応満充電になると,充電が止まることまでは確認出来ました。これでメデタシメデタシ・・・

 ああ,1つ大事な事を忘れていました。300mA流れるときの状態です。20Vから15Vを作っているので,NJM2387Aでのドロップは5Vです。ここに300mA流れますからざっと1.5Wの損失があります。

 そして,NJM2387Aの最大定格は1Wです。いやはや,定格オーバーじゃありませんか。

 しかもこれは無限大の放熱器をつけた場合の話です。私のように,ベークの安い万能基板に取り付けた場合,その半分も使えないんじゃないでしょうか。

 NJM2387Aにはサーマルシャットダウンがついているようですので,いきなり壊れてアウト,と言うことはないでしょうし,フの字特性の保護回路ですので,電流がバチンと切れてしまう訳ではないでしょう。

 などと,いろいろ考えていますが,電池を空っぽにしないと確認出来ません。さすがにみんな寝ている夜にあの爆音を10分間出すのは気が引けて・・・確認は時間のあるときにやるしかないですね。

 え,駄目だった場合ですか?

 入力にダイオードを3本ほど入れますよ。そうすれば2Vドロップして,300mA流れても1Wに収まります。いいですねこれ,この方法でいきましょう。というか,最初からこれをやっておきましょう。

 まてよ,最終的に20Vを15Vにするのに,差分を熱として放出することには変わらないので,NJM2387Aから出るか,ダイオードから出るかの違いだけで,結局熱になっちゃうんですよね。なんだか,バカバカしくなってきました。

 うーん,1Aクラスのスイッチング電源を組んだ方がよさそうです。

安定化電源器を買って速攻改造

  • 2013/10/21 12:29
  • カテゴリー:make:

 今年の春から,少しずつ(いや急激にといった方がいいか)整備を続けてきた測定器環境ですが,最後に残ったのが安定化電源器です。

 すべての回路のエネルギー供給を担う電源ですが,これほど手軽でこれほど身近で,しかしこれほど奥の深いものはないのではないかと思います。

 その範囲は広く,しかもそれぞれにノウハウが詰まった深さがあり・・・と語り出すときりがないのでやめておきますが,ここでいう安定化電源というのは,実験用の電源器で,平たく言えば電池の代わりになるものです。

 そう,我々日本人と電池の関わりは,本当に幼いころから始まります。存在を意識するのは,オモチャを動かすエネルギー源としてでしょう。動かなくなった理由が,電池切れであることから,ものを動かすには原動力が必要で,それは有限であることを学ぶわけですね。

 ところが,エネルギーを蓄えている電池が,そのエネルギーを放出して「ゴミ」になるのを見ていくと,一部の子供は疑問を感じるようになります。テレビや洗濯機はコンセントから電源を取るから電池交換が必要ない,つまりコンセントは「無限エネルギー」だ!

 これが大きな誤解であることはすぐに分かるわけですが,少なくとも小学生の私はそういう「夢」を,あのコンセントに投影していました。だから,電池から取り出せる電気を,コンセントから得られれば,もう電池交換から解放されると考えるのは,我ながら自然な事です。

 だから,我が家に最初のACアダプタがやってきたときには,まさにこれだと思いました。思えば,これが原点だったんですね。

 前置きが長すぎました。本題に戻ります。

 やがていろいろな機器に電源を供給することが出てくると,電圧の可変と3Aクラスの大容量が電源に求められるようになってきます。そうなるともうちゃんとした安定化電源器という装置が欲しくなってきます。これは自作の定番ですが,私は以前書いたように,小学校高学年くらいで手に入れた共立電子産業オリジナルの安定化電源器キットを買って,以来今まで使い続けています。

 0V付近から可変できる電源器は自作では希で,最大値は14V,3A近くまで出力が取れて,しかもサイリスタによる保護回路までついています。値段の張るトランスまで入って4000円ほどだったように思いますが,実はケースと放熱器という高価な部品が必要で,合計すると7000円近い値段になることを計算に入れてなかった私は,日本橋からの帰宅の途,カバンの重さとゴツゴツした放熱器の角があたる痛みに,打ちひしがれていたのでした。

 作ったときは2N3055の絶縁の仕方を間違えていて,動作しないばかりか一部の部品を壊していたことが,駆け込んだキット相談会で設計者に指摘されました。散々悩んで動かなかったものが動くようになったときのうれしさは格別でしたが,仮に動くようになっても予算の都合で電圧計も電流計もない電源器は,とても使いにくいものでした。

 しばらくして1500円の電圧計を取り付け,一応完成を見たわけですが,当時のことを思い出すと,このクラスの安定化電源器が8000円くらいなら,十分安いと言えたのです。

 使い始めて10年ほどしてから,放熱器をケースの中に置くこともテーマに置いて,新しいケースに入れ直しました。電圧計はデジタルにし電流計も装備して,さらに20年使い続けることになるのですが,長く使っていると問題点も見えてきます。

 1つは,案外安定度が低いこと。誤差増幅器のゲインが低いのが原因でしょうが,電圧の変動が結構あります。大電流を引くと,明らかに電圧が落ちますし,そこからの回復もゆっくりです。

 また,保護回路の仕組みがくせ者で,電流が増えると突然バシッと出力が0Vになるのです。すぐに切断されるので,突入電流でも切れてしまいますから,大きめの電解コンデンサを電源ラインに入れたりすると,さっと動いてくれません。

 そもそも,作ってからすでに30年ですから,そろそろ新しいものにしないと,危険かもしれません。それで,一昨年から秋月のキットを,今の電源器のケースとトランスと放熱器を流用することを考えていたのです。

 しかし,ここ最近,まとまった時間が確保出来ずに,ずっと棚上げになっていました。安定化電源器はちょっとした実験でも使うものですから,使えない時間は出来るだけ短くしたいと思う訳ですが,そんなことをいっていると,いつまで経っても取りかかれません。

 ですが,大人はお金で時間を買うことが出来ます。作る楽しみは逃してしまいますが,完成品を買ってしまえば問題は解決です。

 かくして,安くて使い物になりそうなものを,探してみることにしました。結果だけ書きますが,エーアンドディーのAD-8724Dを13600円で買うことにしました。この機種は16000円くらいが相場なので,安いと思います。

 いや,もっと安い中華製の物もあったのです。しかし,見るからに怪しいし,安いものにはそれなりの理由があるものです。一応国内の,測定器では有名なメーカーのブランドで売られていていますので,おかしなものではないだろうという期待もありました。

 AD-8724Dは,最大30V-2.5Aの電源器ですが,ファン内蔵で小さく安価なことが特徴です。その代わり出力をON/OFFするスイッチもないし,出力がGNDからフローティングされていません。電圧可変のボリュームは通常の1回転型で,やはりちゃんと作った電源器とは違うんだなと,カタログレベルでもわかります。

 ちょっと,仕様を他のメーカーのモデルと比較してみましょう。安定化電源器といえば,私は旧ケンウッドがお気に入りです。このうち,18V-2AタイプのPA18-2Aと比べてみます。

 まず,定電圧動作時の入力電圧変動ですが,AC100Vが±10%変動した場合の,出力電圧の変動は,PA18-2Aが1mVに対し,AD-8724Dは±(0.05%+2mV)です。比較のために18Vの出力をした場合,AD-8724Dは実に±11mVもの差が出ることになります。これはPA18-2Aが圧勝です。というか,差が大きすぎないか?

 次に負荷変動です。これも結構重要です。PA18-2Aは2.5mVで,AD-8724Dは±(0.05%+3mV)とあります。同じように18Vで計算をすると,±12mVですか。いやはや,結構大きいじゃないですか。なんかいまいちですよ。

 続けてリップルとノイズです。PA18-2Aは0.5mVrmsです。一方のAD-8724Dは±5mVrmsです。ヒトケタ違いますか・・・

 リカバリタイムは,PA18-2Aが50usec(typ)に対し,AD-8724Dは200msec以下とあります。これもPA18-2Aの圧勝。

 気を取り直して,定電流動作時です。入力変動はPA18-2Aが2mA,AD-8724Dが±(0.2%+2mA)です。比較のために2Aとすれば,AD-8724Dは±6mAとなります。
 
 むむー,では負荷変動はどうだ。PA18-2Aは10mAですが,AD-8724Dは±(0.2%+3mA)です。2Aで計算すると7mAです。おお,はじめてPA18-2Aに勝った!

 リップルとノイズは,PA18-2Aが1mArmsで,AD-8724Dが±3mArmsです。

 電圧計と電流計の精度については,PA18-2Aが0.2%+1digitと1.0%+2digitですが,AD8724Dは1.0%+2digitと2.0%+2digitです。まあ,これらは電圧のレンジが違いますので単純比較は出来ませんが,やっぱりAD-8724Dが負けているということです。

 総じて分かった事は,AD-8724Dはやっぱり安いなりのもんだということです。これなら,PAA18-2Aの中古でも探して,1万円そこそこで買った方が良かったかもしれません。正直,AD-8724Dがこの程度とは思っていませんでした。

 ま,新品が13000円ほどですので,これはもう部品代だと思って,買うことにします。

 届いたものは,そんなに悪いものではありません。2Aを越える電源器にしては小型ですし,放熱器が外に出ていない上,奥行きも小さいので,設置面積の小ささと相まって,置き場所には困らないように思います。(反面,放熱設計は大丈夫なんかいなと,不安になりますが)

 ケースは鉄製で,塗装は厚めですが,塗膜は柔らかくて,傷は付きやすいです。パネルはABS製ですが,デザインもいまいちですし,仕上げもよくありません。いかにも中華製という感じです。

 後述しますが,電源投入時に,一瞬大電流が流れることがあるようで,この時にトランスが大きく振動します。その時に「ブーン」と大きな音を出すのですが,ケースのビビリがあって,壊れたのかと思うほどです。これは対策しないと行けないですね。

 もう1つ,CVとCCの状態を示すLEDです。印刷を抜いた部分がLEDの光を通すようにしてあるシートがパネルには貼り付けられていますが,このLEDのあいた部分にも,両面テープが残っているのです。見た目にもどうも不細工です。

 電圧と電流の設定は,通常の1回転のボリュームで行いますが,このボリュームが16mmタイプのとても安価なもので,私のものは外側のカバーが錆びていました。密閉されたものでもないし,感触も悪く,ここの信頼性は電源の供給先を壊してしまう可能性に直結するわけですから,こだわって欲しかったなあと思います。

 お金のかかった電源器は,ここに多回転ボリュームを使って,10回転とか5回転で幅広い電圧幅を可変するようにするか,あるいは微調整用のボリュームをもう1つ用意するか,どちらかなのですが,そのどちらでもない電源器というのは,自作品の香りさえしますね。

 背面のファンですが,取説によると,温度が上がると自動的に回るとあるので,普段は止まっているのだと思っていました。ところが私のものは,電源を入れると同時に,ファンが回り出します。といっても,音がするほど回転するわけではなく,ゆっくり回っているだけです。内部の温度が上がると,もっと高速に回転するようになるのかも知れないですね。

 てな具合に,しげしげと届いたAD-8724Dを見ていると,やぱりもっと使いやすいものにしたいなと思うようになりました。maker:としては自然な感情ですが,問題はどこまでやるかです。


(1)多回転型ボリュームへの交換

 安定化電源器を自作する予定で,バーンズの多回転型ボリュームと専用のツマミを買ってありました。抵抗値も10kΩで交換可能なのですが,問題は物理的なサイズです。

 試して見ると,やはりパネル背面の基板にぶつかってしまいます。悔しいので基板を削って,うまく収めました。

 次にツマミです。ボリューム本体がパネル表面に取り付けられていることが前提で,シャフトの飛び出しがそれなりにないと取り付けられないのですが,今回はボリュームを5mmほど窪んだところに取り付けています。

 ツマミのイモネジがギリギリシャフトにかかるかどうか,というところでしたが,やっぱり駄目でした。このままでは取り付けできません。

 そこで,ツマミの台座ををはずし,高さを低くし,さらにツマミとパネルを密着しておくように,接着剤で外枠を貼り付けました。

 これでイモネジがシャフトに届いたのですが,接着剤で固定したが故に,ツマミの偏心を吸収することが出来ず,回転トルクにムラが出ます。これは操作感の悪さ以上に,ボリューム本体にも悪影響があるでしょう。

 これはまずいと,最後の手段です。

 ツマミが来るところに張り付けられている,パネルの化粧シートを丸く切り抜き,0.5mほど稼ぎました。そしてこの部分を遊びとし,接着剤を使わずに,回転防止のボス穴だけあけて取り付けました。

 結果は上々で,偏心をうまく吸収し,スムーズに回転するようになりました。残念なのは,このシートのくり抜きが下手くそで,真円に綺麗になっていないことでしょうか。まあ私は鈍くさい人ですので,こればかりはどうしようもないとあきらめていますが・・・

 電圧の可変も10回転型ですので気分良くできます。使い勝手も向上し,信頼性も上がりました。これは良いです。


(2)電源スイッチの交換

 電源スイッチはよくあるサイズの波動スイッチです。しかし,感触も見た目も悪く,これはいやだと体が拒みます。

 そこで,手持ちの国産のスイッチにしました。とはいえ,長く使っていないものなので,端子が酸化して黒くなっています。ハンダゴテを当てすぎて熱で壊れたのですが,捨てるのも惜しいので,もう片方の回路を使って逃げました。情けない。

 感触もよく,見た目もよいので,小さな改造ですが,満足ですね。


(3)バックライト

 純緑のバックライトは品がないので,アンバーにしようと思いましたが,バックライトの交換はLCDまで分解しないといけない構造になっていたので,やめました。


(4)トランスのうなり

 トランスのうなりは仕方がないのですが,これが筐体を振動させるのがどうも許せません。特に,上ケースと下ケースのつなぎ目の部分にある隙間で,ビビリが出ているのは看過できず,ここにスポンジを貼りました。

 まだどっかがびびっていますが,かなりましになりました。このくらいでもういいことにします。


 ということで,これで一応電源器の改造はこれでおしまい。使い勝手はかなり向上しましたが,いかんせん基本性能の低さは解決が難しいので,このままにしたいと思います。

オーディオのおける混変調歪み

  • 2013/09/19 08:55
  • カテゴリー:make:

 VP-7722Aというオーディオアナライザが高級機たるゆえんは,1980年代中頃の測定器にして,来たるべきデジタルオーディオの開発設計に耐えうる,超低歪みをとらえることが出来るものであったことでしょう。

 歪率0.0001%という発振器は現代においてもトップクラスです。もちろんこれを使って測定する歪率計も,十分な性能を持っています。

 基本性能の充実はもちろん,多機能てんこ盛りなのも,さすがフラッグシップモデルです。2ch同時測定,左右のレベル差をdBで一発測定,相対値の表示,高調波歪率の測定だけでも3つのモードを持ち,しかも2倍,3倍,4倍,5倍の高調波を抜き出して測定する機能まで持っています。

 さらに,通信機の評価に使われるSINADを測定出来たり,S/Nも自動測定する機能があったり(S/Nですから,信号がある時とない時のレベル差を計らねばなりませんが,それを自動でやってくれるんですね)と,オーディオに関する測定を簡単に,かつ高精度に行う事が出来る,まさにアナライザにふさわしいものだと思います。

 もう1つ,特筆すべき機能が,混変調歪み率の測定です。

 ぱっと調べてみたのですが,旧松下のVPシリーズで,混変調ひずみ率が測定出来るオーディオアナライザは,ありません。通常,専用の測定器を使うことがほとんどなのに,VP-7722Aは出来ちゃうんですね。

 ところで,混変調歪みって,オーディオの世界ではあまり耳にしませんし,測定においてもあまり重要視されていないように思います。一般にいわれる高調波歪み率とはなにが違うんでしょうか。

 普通,オーディオの世界で歪率というと,高調波歪み率をさします。そもそも歪みとは,アンプの入力と出力が比例関係にないために起こるもので,特にHiFiオーディオのように波形を変えないことを重要視される世界では,とても重要な指標となります。

 当たり前の事ですが,でかい音が入ればでかい音が,小さい音が入れば小さい音が出て欲しいわけです。もっというと,高い音が入れば高いまま,のこぎり波が入ればのこぎり波のまま,出力に出て欲しいわけです。

 実際のアンプはそこまで理想的ではないので,例えば10倍のゲインを持つアンプが,1をいれれば10で出ても,10を入れて100が出てこないで,80しか出なかったりするのです。比例関係が崩れてしまうと波形が変わってしまいますし,波形が変わるという事は,倍音の構成が変わってしまうことになります。

 このように,比例関係が維持されないことはアンプにとって致命的なのですが,特にこの比例関係を直線性といいます。別の言い方では線形といいますが,ほら,小学生の時の算数で習った比例のグラフは,まっすぐな直線でしたよね。比例関係にないグラフと言えば,例えば二次関数の放物線がそうですが,これなどは非線形の代表です。

 ある関数をf(x)として,y1=f(x1),y2=f(x2)とした場合に,y1+y2=f(x1+x2)が成り立つ関数を,線形といいます。難しい言い方ですが当たり前の事を言ってるだけで,線形なら1を入れて10が出てくる時,2を入れれば20が出てくるという話に過ぎません。

 線形では,一次関数というくらいですから,かけ算は1回しか行われないので,計算は単純な四則演算だけで済みます。これが2次関数なんかになるとx^2が入ってきたりしますので,これを解析するには平方根を使う必要が出てきます。三角関数なんかがはいってくると,もっとややこしい話になります。

 さて,直線性が崩れてしまうと,入力と出力が比例せず,出力の波形がゆがんでしまいます。これが歪みです。単一の周波数で作られている正弦波が歪んで波形が変われば,単一だったはずの周波数に加えて,その数倍の周波数の正弦波が混じるようになります。この数倍の周波数の正弦波を,高調波といいます。

 楽器の世界では倍音というのですが,同じものでも有益なものは倍音,望まないものは高調波というような気がしますね。

 のこぎり波は1,2,3,4,5・・・と整数次の倍音で構成されます。矩形波は1,3,5,7・・・と奇数次の倍音で構成されます。だから,入力に正弦波を入れたつもりが,のこぎり波になって出てくると言ったことだって,起こるわけです。困りますね。

 どれくらい直線性を保っているかは,どれくらい高調波が発生したかを見ればわかります。完全に直線なら高調波は発生しません。

 そこで,高調波歪み率を測定するには,歪みのない綺麗な正弦波を突っ込み,出力された信号から入力した正弦波の周波数だけ取り除いて,発生した高調波の電圧を測定してやればよいです。これが高調波歪み率の測定の原理です。

 ただ,入力の正弦波だけ除去するのであると,アンプが乗せてしまったノイズなどが混じってしまいます。これらはアンプの非線形によって発生したものではないのに,測定結果が悪化するので,これをどう扱うかで高調波歪み率の測定方法が変わります。

 THD+Nと略されるものは,入力された正弦波以外の成分すべてです。つまりノイズも含みます。THDはノイズを含みません。

 また,100Hzの入力なら,例えば20kHzまでの範囲に200倍音まで入ってきますが,10kHzの入力なら2倍音までしか入ってきませんので,同じアンプが入力する周波数によって大きく測定値が変わってしまうことになります。

 だから,何倍音まで計算に入れるかという範囲を最初に決めておく場合があります。通常10倍音まで含めることが多く,実はVP-7722Aはこの時代の製品にしてDSPによってこれを可能にしています。

 ここで頭のいい人は,アンプの非線形で発生する成分てのは,所詮は入力した周波数の倍だけでしょ,という事に気が付いたでしょう。倍の周波数というのはつまりオクターブ上の音ですから,確かに波形は変わりますが,耳障りな不協和音を発生させません。

 しかし,歪みのあるアンプは,明らかに耳障りですね。それは,これから説明する混変調歪みが原因です。

 混変調歪みとは,2つの周波数を入力した場合に,出力に入れた周波数以外の正弦波が出てくるものを言います。これも,非線形が原因です。

 線形の場合,2つの周波数の正弦波を入れても,2つの正弦波がそのまま出てくるだけです。しかし,非線形の場合には,2つの周波数の和と差が出てきてしまいます。三角関数をちょちょっといじれば分かるのですが,面倒臭いので省略。

 これがなぜ問題になるかというと,例えば1kHzと50Hzの2つが入って来た場合に,950KHzと1050Hzの正弦波が発生してしまうのです。これは明らかに整数倍ではないため,不協和音のように濁って聞こえてしまうのです。

 しかも,非線形なんですから,それぞれの正弦波に高調波がはっせいしますから,990Hzや1100Hzも出てきますし,さらに985Hzも1150Hzも出てきます。これが2kHz,3kHzにも同じように出てくるので,倍音だらけ,しかも非整数次ということで,濁って濁って大変なわけです。

 実際のアンプは,もちろん正弦波を聞くためにあるわけではありません。複雑な倍音構成をもつ楽器を再現したり,複数の楽器や声を混合したものが,ありのまま出てくる事が必要です。ですから,実際の使い方としては混変調歪みの方が問題になるんですね。

 しかし,混変調歪みも,高調波歪みも,結局非線形という同じ理由で起こるものですから,どちらか一方だけ測定すればそれで済んでしまいます。高周波の世界では非常に問題となるのでむしろ混変調歪みの方が重要ですが,これを測定するのはなかなか面倒なので,オーディオでは高調波歪みの測定が一般化しているんでしょうね。

 混変調歪みを測定するには,2つの周波数の正弦波を入れねばなりませんが,その周波数と大きさを決めないと,結果が一致しません。そこで一般に2つの方法が標準化されています。SMPTE法は60Hzと7kHzを入れ,そのレベル比は1:4にします。そして7kHzの周辺にでる成分をフィルタで切り出してその大きさを測定します。つまり2つの周波数が離れている場合を想定しているわけですね。

 もう1つはCCIF法といって,11kHzと12kHzという近い周波数の正弦波を2つ入れます。もし系が完全な線形ならば2つの周波数以外は出てきませんが,非線形であれば2つの周波数の和と差の成分が生成されて,しかもその高調波が発生します。これをフィルタで切り出して測定します。

 いずれの場合も,測定に必要なのは,低歪みの発振器が2つと,その出力を正確な比率で混合する機能です。それゆえ,専用の測定器を使うのが普通です。

 ですが,VP-7722AはSMPTE法で混変調歪み率を一発で測定することが出来ます。これはなかなかすごいことです。ですが,実際にこれを使わねばならんかというと,そうでもないんですね。

 どっちにしても非線形が原因であり,高調波歪みが大きいなら混変調歪みも大きいはずですし,どちらかの値しかない何かとの比較を行わない限り,どちらかを測定するだけで十分ということなのでしょう。

 面白いなと思うのは,原因は同じであっても,聴感上は全く異なるものになるだろうということです。その違いを数値化するという点では,どちらの数字にも意味があります。

 SMPTE法では,商用電源の周波数である50Hzや60Hzと音声信号が一緒に入った場合をシミュレートしていると言えます。今のアンプはそうでもないですが,真空管アンプやラジオはハムが結構大きかったですから,非線形によって肝心の音声信号がどのくらい濁ってしまうかを数値化することは,確かに性能評価には有効でしょう。

 CCIF法はまたちょっと違う考え方です。近接する周波数ですから,これは複数の楽器を同時にならした場合をシミュレートしているといえそうです。つまり,直線性の高いアンプを作れば,2つの楽器が濁らず,綺麗に2つの楽器として聞こえてきますよと言う,そういう性能評価に有効な数字であるということです。

 ハムが入ってこないように作れば実使用上はSMTPE法で出てきた数字は無意味になりますし,音源が単独で,残響音も全くない,それこそ朗読を再生するようなケースでは,CCIF法の数字は意味を持ちません。

 しかし,そういう極端な例はほとんどありませんし,数値と実際の音とが乖離して,スペック競争に陥りがちな性能の数値化にあって,どちらも現実の「音の良さ」を数値化しようという,結構高い志で始まったものなんじゃないのかなと,思ったりします。

 気の利いたカタログには混変調歪みは書かれていても,アマチュアの測定項目にはなかなか入ってきませんし,市販の機器でもこれらが仕様として公表されているものは,そんなに多くはありません。ちょっと残念だなと思います。

番外編 アッテネータをつくってみたのと,VP-7722Aのダイオード交換

  • 2013/09/13 08:37
  • カテゴリー:make:

 オーディオ用のステップ式アッテネータは,ちょっとした小道具ですが,あると便利,ないと困るものです。0.1dB単位である必要はなくて,3dBくらいでも十分です。

 1つ作るかなと思っていたところへ,知人が75Ωのステップ式アッテネータをくれました。テレビのアンテナの検討に使うものだったらしく,しっかりしたケースに6つほどスイッチが付いていて,ケースの両端には75ΩのBNCコネクタが付いています。

 私は高周波はやりませんし,まして75Ωですから,これは使い道がありません。そこで,600Ωのアッテネータに作り直すことにしました。

 T型アッテネータの式に当てはめ,3,6,9,10,20dBの定数を求めます。ぴったりの値はありませんので,市販されている金属被膜抵抗を組み合わせて出来るだけ近い値になるようにしていきます。

 また,出力側に接続した機器のインピーダンスが高いときのために,600Ωで終端出来るよう,ターミネータも取り付けて,スイッチでON/OFF出来るようにしておきます。

 計算間違いとハンダ付け間違いさえしなければ,まず確実に動作するものですの,あいた時間の気晴らし程度でさっさと組み立てます。

 うまい具合に,ちゃんと動作も確認して,めでたくステップ式アッテネータが完成しました。

 自作の歪率計に内蔵した発振器は,出力振幅によって歪率が大きく変わります。一番歪率が小さくなるようにした上で,このアッテネータで調整が出来れば,良い測定結果が得られるはずです。

 しかし,VP-7722Aを手に入れて運用している今,もう必要がなくなってしまいました。

 とはいえ,なにかと便利に使えるし,これを持っていれば「おお,わかっとるなこいつ」と思ってもらえるので,見栄を張るのにも好都合。買えば結構な値段がしますし,気になっていた事が片付いて,良かったです。

 次にVP-7722Aのダイオード交換のお話です。

 VP-7722Aのアナライザ基板には,被測定対象を接続するオーディオ入力がつながります。ここに保護ダイオードが入っていて,燃えた基板はこのダイオードが壊れてショートしていたことを,以前書きました。

 同じ物と交換すべきですが,ちょっと変わったダイオードなので1N4148Aというごく普通のシリコンダイオードを代用したところ,小さいレベルの時と周波数の高いときで,歪率が悪化する傾向がありました。

 これが気になっていたので,出来れば同じダイオードに交換したいなと思っていたところ,比較的安価に手に入ることがわかりました。
 
 先日はさらっと書いたのですが,ガラス管に入ったダイオードには部品の名称もメーカーも記載がなく,回路図も手に入らない状況で,どうやって部品を特定したかが結構大事な話です。

 これは,海外の部品屋さんに,パーツリストが掲載されていたことで,解決しました。PDFになっているわけではなく,WEBに直接書かれていたんですが,もともとサービスマニュアルから引っ張ってきたもののようで,修理に際して大変参考になりました。

 VP-7720Aの回路図を手もとに置き,これとVP-7722Aのパーツリストと見比べて,VP-7722Aの回路を推測していきます。パーツリストにあるダイオードを調べると,ちょっと見慣れない1SS101というのが目に付きます。

 それで,1SS101ってどんなやつ?とgoogle先生に聞いてみると,簡単な仕様が出てきました。ここにある外形図とカラーバンドを確認すると,どうやら今回壊れた入力保護ダイオードがこれに該当することが判明しました。

 回路図を入手していたVP-7720Aでは,入力保護にMA150という普通のシリコンダイオードが使われていたんですが,面白いですね。これはやはり,高級機であるVP-7722Aならでは,なんだと思います。

 ところが,1SS101って,その用途にUHFのミキサ用とあるショットキーダイオードなんですね。HFくらいまでなら,ゲルマニウムダイオードの代わりに検波やミキサに使われたものでもあるらしく,アマチュア無線機にも使われた実績があるようです。

 高耐圧,高速,低歪みを特徴としている,なかなか個性的なショットキーダイオードです。本来,1SS101そのものが製造中止になっても,これに代わるものがありそうなものですが,その個性故かなかなかありません。

 スペックを見ると,逆耐圧70V,順方向電圧0.41V,順方向電流は15mA,端子間容量は2pFです。耐圧が高いわりには,容量が小さいというダイオードで,なかなか個性が強いやつです。海外製をぱっと探すと,1N5711とかいうのが該当しそうです。

 これが1N4148Aなんかだと,耐圧は75Vですが端子間容量は4pFと倍もあります。信者すらいると言われるベストセラーの1S1588だと耐圧30V,端子間容量は3pFと,実に凡庸です。またVP-7720Aに使われていたMA150ならどうかというと,耐圧は35V,端子間容量は2pFです。

 つまりあれです,VP-7722AはVP-7720Aなんかと同じ性能を維持しながら,入力保護の耐圧を高める必要があって,1SS101と採用したということですね。

 MA150をとりあえず使えば良かったように思いますが,またこれも同じ物は手に入りにくくて,困ります。ということで,1SS101が70円ちょっとで手に入るようですので,早速注文します。

 届いてみれば,もう1枚のアナライザ基板で見慣れた,大きさ,形,カラーバンドです。

 早速VP-7722Aを分解し,ダイオードを交換します。気持ちがいいものです。

 そして測定です。レベルは左右でほぼ一致です。周波数やレベルによる差はほとんどありません。歪率は,1kHzの2Vrmsで0.00001%前後の差が出ることがありますが,ほとんどなしです。2Vrmsなら,80kHzくらいまで差はほとんどありません。レベルを小さくした場合でも,以前ほど大きな差にはなっていません。

 これで修理完了です。同じ部品に交換したんですから,当たり前といえば当たり前です。しかし,1SS101という部品の特定が出来なかったら駄目ですし,特定出来ても手に入らないとアウトです。外し品を使うことも,部品に名称が書かれていないのでは難しいものがありますから,新品が手に入って本当に良かったと思います。

 たかだかダイオードでこれだけ結果が違ってくるんですね。しかもショットキーダイオードという,非常にプリミティブな半導体でです。奥が深いなあと思います。

 しかし,こういうダイオードが製造中止って,なんとかならんもんでしょうか。

AG1022を買ってみた

  • 2013/09/12 09:31
  • カテゴリー:make:

 ファンクションジェネレータとは,なんと魅惑的な言葉でしょうか。functionとは機能ではなく,数学の言葉で「関数」です。それを発生させる装置というのですから,なんだか凄そうな気がします。

 発振器と言えば正弦波を発生させるRC発振器だった時代,矩形波やパルス波,三角波やらのこぎり波(当時はランプ波といっていたようですが)を発生させることは,特殊なことでした。ですから,それ専用の装置が用意されるのは当たり前の事だと思います。

 そもそも,正弦波は高調波を含まないのが理想です。高調波を含まない波形を使うことで,歪率や周波数特性を測定出来るのです。

 一方で,高調波を含んだ信号というのは,正弦波とは使い道が違いますから,求められる性能も違います。互いに置き換え出来ないわけです。

 かつて,ファンクションジェネレータといえば,それこそHPの高級なものか,あるいかインターシルの定番ICである8038を使った簡単なものか,どちらかでした。8038は三角波を元に,ダイオードによる折れ線近似を使ってなんちゃって正弦波を作り,また同じ三角波からコンパレータを使って矩形波を作っていました。

 正弦波の歪率はおよそオーディオに使えそうなものではなく。数%にもなるようなものでしたし,三角波だって対称性やリニアリティに問題があって,使い物に使い物になりそうなのはせいぜい矩形波くらいのものという印象があります。

 かくいう私も,8038を使ったファンクションジェネレータを自作したことがあり,バッファアンプやアッテネータも真面目に作ってあったのですが,肝心の発振源が今ひとつで,何に使うことも出来ずに,お蔵入りしました。

 以来,ファンクションジェネレータは私には不要となったのです。

 そんなこんなで,2465Aの調整を行うのに,信号源が必要になりました。矩形波と正弦波さえあれば事足りるので,RC発振器を使って済まそうと思っていました。しかし,結構頻繁に出力電圧や周波数を切り替える必要があるのと,10MHz程度の高周波まで必要になりそうだったことで,作戦の練り直しを迫られました。

 せっかくですから,安いファンクションジェネレータを買うか,そんな風に思って探してみました。最近は3万円で実用的に使えるオシロスコープが買える世の中です。ファンクションジェネレータだって,それなりのものが安く買えるようになっているに違いありません。

 果たして,安いオシロスコープで有名な中国のOWONというメーカーから,約4万円でファンクションジェネレータが出ていることが判明しました。それがこのAG1022です。

 新しい製品でもあり,あまり詳しい話は出てこないのですが,最新の波形発生器らしくDDS方式,2チャネル独立出力,サンプリング周波数130MHz,出力周波数の上限は25MHzで,振幅の分解能は14ビットです。

 発生出来る波形は正弦波,矩形波,三角波(のこぎり波),パルス波,その他特殊な関数,ユーザー定義,DCで,出力インピーダンスは任意の値を設定可能です。50Ωのインピーダンスでは,10mVppから10Vppまで出力できます。

 案外ありがたいのは大型LCDとテンキーを搭載していて,どんな波形が出ているかがぱっと分かること,各種パラメータを簡単に設定出来ることです。昔,HPのファンクションジェネレータを使ったことがありますが,3桁や4桁の7セグLEDにジョグダイアルという組み合わせは,操作がとても面倒臭かった記憶があります。

 DDS方式ですので,周波数安定度や波形の品質も悪くないでしょうし,RC発振器とSSGの間を埋める発信源として有効に活用出来そうです。お値段は36800円。ファンクションジェネレータとしては激安ではないですが,性能を考えると安いです。

 よし,買うか。

 amazonで買えてしまうところが,なんとも凄い時代になったものです。

 さて,届いたAG1022ですが,怖いのは欠品と初期不良です。ちゃんと確認をしますが,どうやら大丈夫なようです。

・外観

 最近の中国製品はあれですね,野暮ったさというか,古くささがなくなり,随分スマートになりました。なんでも貫でも青色のLEDを使って,まぶしいくらいに光らせていた品のない製品が多かったのですが,AG1022はそれなりに上手にLEDを使っていて,使い勝手を向上させているように感じました。

 キーはサイズも配置も悪くないし,全体の色合いも好印象です。上ケースが曲がって取り付けられていることは少々残念で,このあたり,細かい事が気にならないおおらかな人が作った(検査した)んだろうなと思います。


・性能

 カタログに書かれているスペックに,とりあえず偽りなしです。さすがDDSで,周波数を切り替えた時にも安定していますし,波形そのものも綺麗です。正弦波はもしかするとオーディオに使えるかもしれないと思って歪率を測定しましたが,0.01%ということで,使えなくはないんだけども,正直厳しいというレベルです。


・操作性

 操作性は特に良くもなく,悪くもなくです。慣れれば全然不自由しませんし,昔の中国製品によくあった,理不尽なUIもありません。ただ,LCDは今どきSTNで,視野角が狭すぎです。できればTFTにして欲しかったなあと思います。

 精度

 実は,周波数精度がスペックとして出ていないんですね。水晶発振子の精度がそのままと考えれば,50ppmや20ppmくらいだろうと思いますが,周波数を測定してみるともうちょっと悪い感じです。揺らぎは少ないのですが,絶対精度が今ひとつです。

 同じ事は振幅にも言えて,0.1%くらいの誤差は当たり前に出ています。

 いずれにせよ,誤差や安定度の規定がないものは,測定器ではありません。AG1022はその点で,測定器として扱うことは残念ながら出来ないです。

・面白い事

 基本的な関数だけではなく,ちょっと面白いものが入っています。heartという関数は,オシロスコープで見るとハートマークが出てきます。これは,高い周波数の矩形波の振幅をうまく設定し,ハートマークになるようにしているものです。同じ仕組みでcircleという円を描く関数も用意されていました。

 
 書くことがあまりないんですが,そもそも簡単な機械ですので,まあこんなもんでしょう。なにより,2465Aの調整が出来る事が大事です。

 このシリーズの2回目に書きましたが,結論から言うとAG1022を使って2465Aの調整はとりあえず出来ました。AG1022は振幅方向の精度が今ひとつな感じがあるので,2465Aも精度が出ているとは思えませんが,まあアナログオシロの調整ですので,そんなに厳密でなくてもよいと思っています。

 これが,ちゃんとしたメーカーのファンクションジェネレータなら,精度も一応管理されているでしょうから,2465Aの調整結果も不安のないものだったと思いますが,まあそれなりの金額がしますので,これはこれでよいことにします。

 何度考えてもそうなんですが,アマチュアがファンクションジェネレータを必要とするシーンって,あるんでしょうかね。AG1022は独立した2出力がありますので,位相をずらした正弦波を発振させたり,2つの周波数を合成したりと,いろいろ使い道はありますが,それでも特殊な話です。

 これよりも,歪率の低い正弦波発振器の方が役に立つし,矩形波が欲しい時は別にタイマICの555でさっさと作ってしまえば良いだけです。それに,オーディオ帯域で良ければ,今はPCを使ってどんな波形でも作る事ができますし。

 AG1022の上位機種では,変調機能があるのでSSG代わりに使えるかも知れませんが,中古でSSGが2万円ほどで買えることを考えると,ファンクションジェネレータで実現されても微妙な感じしかしません。

 そんなわけで,ファンクションジェネレータを買うのであれば,基準信号になるくらい精度の良いものを買うと便利でしょうし,そうしたものが予算的に買えないのであれば,もう買わないでおくのが一番いいんじゃないかと,やっぱり思います。

 とはいえ,2465Aの調整では,本当に楽をさせてもらいました。垂直軸とトリガの調整では,電圧を一発で指定通りに変更出来ることは,調整を効率的に進めるのに不可欠でした。

 これが3万円くらいなら,まあおすすめ出来るんですけど,4万円だと,ちょっと厳しいかなというのが,私の感想です。1CHでもいいから,29800円のモデルが欲しいですね。

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