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1700円のデジタルテスタも較正してみよう

  • 2018/11/21 10:30
  • カテゴリー:make:

 較正失敗による大ピンチをなんとか乗り越えたDL2050,Errで使い物にならなかったFLUKE 101の復活,そして新しいFLUKE 101やアナログテスタも含めた,測定結果の統一と,なかなか今回の測定器祭りは良い結果に繋がっているのですが,最後の仕上げとして先日中国から届いたばかりの新鋭機,ZT109も較正を試みます。

 実はこれもFLUKE 101と同様,較正の方法がよく分かっていません。海外の掲示板でそれらしい記事を見たと思ったら質問だけで回答がなかったりと,較正を行うことにたどり着けないので,較正データをバックアップした上で試行錯誤を試みました。

 これもおそらくですが,世界で最初にZT109の較正に成功したアマチュアではないかと思います。

 では早速その方法を,といきたいところですが,その前に見つけた改造記事があって,これがとても参考になったので私も改造を行います。

 やっている改造は,ZT109の電源の強化と,基準電圧の品質向上です。書いてしまうと全然違うことをやっているようですが,実は同じ事を対策しています。

 まず電源の強化ですが,このままだとノイズが多いのだそうです。そこで電源ラインに0.1uFと1uF,そして10uFのセラミックを追加します。

 次に基準電圧ですがの品質向上ですが,電圧リファレンスIC(ICL8069)の出力に入るコンデンサが,このICのデータシートの推奨値に全然足りないらしく,これをデータシート通りにするため,0.1uFから4.7uFのセラミックに交換します。,

 本当は電源ラインの電解コンデンサを低ESR品に交換することも書いてあるのですが,私の手元にあいにく100uFの小型で低ESR品などなく,これはあきらめました。

 やった人は,これで34401Aなみになったよと書いていましたが,電源のノイズを取って精度が向上するというのもちょっと考えにくく,私の場合は案の定結果になにも変化はありませんでした。ただ,小さい電圧の測定ではその精度や安定度に差があると思いますし,理にかなった改造なので,これはぜひやっておきたい改造です。

 さて,ここまでやってから,較正を行います。

(1)まず裏蓋をあける。基板をむき出しにしたまま電源を入れることが出来る構造なので,FLUKE 101のように外部電源を用意しなくて良い。

(2)基板の右上にあるJP1をハンダでショート。これでCALモードに入る準備が出来た。

(3)おもむろにロータリスイッチを回して電源を入れる。

(4)セルフチェックが走ったあと,画面になにやら数字が出るがADCの読み取り値らしく,無視してよい。その後ほっとくとErrが出るが,これも気にしなくて良いが,Errが出てしまうと先に進めないので,右側のSELボタンをErrが出る前に押して,CALモードに入る。

(5)較正したいファンクションを選ぶ。ここではDC電圧を較正する。

(6)左側のRANGEボタンでレンジを選ぶ。FLUKE 101と違って,各レンジで較正を行う必要がある。

(7)さて,ここからが肝心。ZT109に入ってるチップのDTM0660は,各レンジでの較正値を選べるようになっていて,基準となる電圧にあわせて調整が出来る。データシートにあるリファレンス回路では,その較正値をボタンで選べるようになっているが,ZT109はボタンが足りない。

(8)SELボタンを押すと,較正値が下がっていく。例えば,10Vレンジだと,9,8,7,6・・・と言う具合に,較正値が1Vずつ減っていく。

(9)そしてこれがミソなんだが,SELボタンを「長押し」すると,今度は1Vずつ増える。

(10)例えば5.000Vを用意し,10Vレンジを調整する場合,SELボタンを使って5.000Vを選んでやる。こうすると自動的に入力された電圧を5.000Vとしてプリセットしてくれる。

(11)同様に他のレンジでもやる。100Vレンジでも30Vくらいで較正すれば,とりあえず使いものになる結果が得られる。

(12)他のファンクションでも同じだと思うが,私はDC電圧以外に較正する必要性を感じなかったので,ここで較正を終了。電源を切ってJP1を切り離し,電源を再投入する。

 これで,較正は終わりです。

 うまく言葉に出来ない部分もあるのですが,EEPROMのバックアップをきちんと取ってから試行錯誤をやってください。しばらく触っているとわかると思います。

 さて,こうして較正を行った結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.506V 1.46mV 0.019454890%
10.00V -5.33mV -0.053271606%
 
 おお,さすが5Vでの値はこれ以上ないくらいの一致を見ています。また,10Vまでが同一のレンジだということで,7.500Vでも高い精度を誇っています。10Vについては,まあこんなものだと思います。

 このテスタは10000カウントですし,10Vは小数点以下2桁しか出ませんので,10mV単位です。ですからこのテスタでは10.005Vの電圧を測定すると,10.00Vと10.01Vのどちらかになるのが正常ですから,誤差の割合を見ることにあまり意味はないのかも知れません。

 ちなみに,較正前の値が以下なのですが,全体的にばちっとあっているのがわかります。

2.500V -1.65mV -0.065956469%
4.999V -4.02mV -0.080351468%
7.500V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 抵抗や電流も一応スペックに入っているので,変に較正を自分でやらない方がいいと考えておいたわけですが,DC電圧だけはこの結果を得たいがために,頑張って見ました。

 この数字を見ると,やって良かったなあと思います。これで,34401A,DL2050,2台のFLUKE 101,そしてZT109,アナログテスタが揃いました。気分がいいです。

 残念なのは,他のテスタについては,今のところあきらめるしかないということです。

 3.5桁のテスタはそもそも較正なんかしなくてもきちんと値を出してくれます。これがズレてしまうようなテスタはすでに較正など不可能なほどおかしくなっています。

 P-10も調整したいですが,これは内部の犯行低抵抗を回してもうまく調整が出来ません。なにかうまい方法があるんでしょうが,もう探す気も起きません。

 そもそも,家の中にテスタがゴロゴロしている状態というのも妙なストレスが溜まります。なんとかせねば。

 

Errの出ているFLUKE 101を修理

  • 2018/11/20 13:09
  • カテゴリー:make:

 秋です。測定器の秋です。

 アナログテスタをきっかけに,これまでにDL2050の較正が済みました。あきらめていたこれらの較正が出来た事で,一気に壁を突き破った感があります。

 DL2050の較正は,較正データを記録したEEPROMを直接いじるという方法を導入し,満足いく結果を得ました。この方法は,きっと他にも役立つはずです。

 というわけで,M68000のマニュアルに書かれた名文句"Break Away from the Past"を思い出しながら,これまでに頓挫したテーマに再度挑むことにしました。

 そう,FULKE 101の復活です。

 FLUKE 101は2014年に購入したもので,6000円程度で買える最も安いFLUKEです。最小限度の機能に絞り込んであり,見た目もとてもかわいらしいテスタです。でもそこはFLUKEらしく,作りはしっかりしていますし,内部もきちんと作られていて,安全面も偽りなしです。なによりFLUKE原理主義者を(ギリギリ)黙らせるそのご威光が最大の価値です。

 ところが,私にいわせると実力は今ひとつで,仕様そのものも中国製の安い測定器と同程度ですし,実力もその範囲にとりあえず入っているという感じです。FLUKE原理主義者が「あれは中華FULKEだ」と他のモデルとは区別したい気持ちもわからなくはありません。

 個人的にも,他のFLUKEだと較正方法が公開されているのに101(と106,107)は公開されていないところが,他とは完全に異なるポリシーを感じていて,良くも悪くも異母兄弟っぽい感じがするなあと思っていました。

 なにより,ここ2年ほど起動時にErrと出てきて,数パーセントの誤差が出るようになってしまい,もう使い物にならなくなっていたために,1700円の中国製テスタを買いましたが,もはやこれで十分に101の代わりはこなせます。

 ですが,このまま101を捨てておしまいにするのももったいないので,なんとか復活出来ないかと考えるのも,また自然な発想です。DL2050のように,正しいEEPROMの値を書き込んでやればきっと復活するはず,そう考えるととにもかくにも,手が動き始めました。

 まず,Errと出てしまう101からEEPROMを外します。24AA024という2kbitのI2CタイプのEEPROMが入っています。これを外し,AKI-PICで読み込みます。0xFFだらけでまともなデータが出てきませんから,やはりデータが壊れているのでしょう。

 先頭だけ0x00になっているので,ここを0xFFにするだけでエラーは出なくなりそうな気がしますが,それはぐっと我慢して,EEPROMそのものの物理的な破損がないかを確かめるため,いろいろなデータを書いて確認をします。

 結果,EEPROMは壊れていないことがはっきりしました。

 それならデータを正しいものにすれば問題は解決しそうで,誰か101のEEPROMデータをインターネットの海に放流していないかを調べてみますが,そういう違法行為をする人はいません。ほっとしました。

 なら,101に使われているチップのデータシートを探し出し,これにデータに関する記述がないかを調べるのが良さそうです。しかしこれも玉砕。そもそも101のチップがなにかも不明でした。きっとカスタムでしょう。

 そうなると,考えられる手段は1つ。もう1台101を買って,これからデータを吸い出し,書き込むことです。これなら違法性はありません。もう1台という所に抵抗がありますが,今は5000円くらいで買えるということもあり,修理代が5000円と考えたらまあ許せるだろうと,ポチりました。

 韓国語の純正ホログラムが貼られた怪しげな新しい101が届き,一通り動作確認をしてから早速分解して,EEPROMを摘出します。

 読み出してデータを保存,壊れた101のデータと比較すると,なるほど完全に壊れています。

 読み出したEEPROMはすぐに買ったばかりの本体に戻し,動作を確認します。

 続けて,古いEEPROMに新しいデータを書き込み,壊れた101に戻します。

 すると,Errは出なくなりました。予想通りですが,うれしいですね。

 これでとりあえず故障から復活したのですが,それでも誤差が大きすぎて使いものにはなりません。そうなると,EEPROMからデータを直接書き換えるか,真面目に較正をするかのどっちかになります。

 まあ,EEPROMのデータは残してあるので,適当に較正をやっても復活出来ますから,試行錯誤をやってみましょう。

 結果を先に書くと,うまく較正ができたのです。

 少なくとも私はこの情報を探し出すことが出来なかったので,ひょっとしたら世界で最初に101の較正方法を公開した記事になるかも知れません。

(1)電池を外し,奥にある「Calibration Seal」を剥がす。

(2)ミノムシクリップで電池を繋ぐ。電池を入れてしまうと,電池の奥にあるチェックランドに当たれなくなる。お奨めは外部に電池ボックスを用意し,ここから3Vを引っ張ってくること。

(3)101の電源を入れる。較正したいモードにスイッチを回す。ここでは直流電圧にする。

(4)電池ボックスの奥にあるS3というランドを,数秒間ショートする。

(5)ピーッと音がして,稲妻マークが出る。これがCALモード。

(6)さて,ここからが肝心。101はオートレンジという事もあり,通常のテスタのように各レンジで較正を行う必要はなく,なんと4.5Vだけを合わせれば,他のレンジもすべて合う。

(7)ということで,34401Aで4.50000Vにあわせた電源を繋ぎ,この状態でHOLDボタンを押す。ピーと音がなって,4.500という表示になるはず。これで較正完了。

(8)他のレンジの電圧も確認し,問題ないことを確認して,電源をOFF。これでCALモードから抜ける。

 私はやっていませんが,おそらく他のレンジでも同様のはずです。とはいえ,どの電圧(抵抗値)で較正を行うのかはやっていないのでわかりませんが,それは各自試してみて下さい。私はDC電圧だけ合っていれば,あとはそれなりでも構いません。

 結果,私がきちんと確認出来る50mVくらいから,30Vくらいまでの間は,ほぼ34401Aと同じ値が得られるようになりました。これはすごい安心感ですよ。

 そこで,新しい101も同様の方法で較正しました。これで,34401Aを基準に,2台の101とDL2050,アナログテスタが一致するようになりました。


 では早速,高齢の精度を調べてみます。

 いつものように,基準電圧発生器を使います。製造元で製造時に測定された値は,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 です。

 まずは,新しい101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.50V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 続けて,古い101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.49V -14.54mV -0.193749384%
9.99V -15.33mV -0.153218335%


 まず,4.5Vで較正を行った結果として,5Vでの精度は素晴らしいです。6Vまでのレンジであれば,この2つの101は同じ結果を出すと考えて差し支えないでしょう。

 問題なのは,レンジが60Vに切り替わってからの誤差で,新しいものは比較的まともですが,古いものはあまり良い精度ではありません。

 これは外部にある分圧抵抗の誤差が見えているんだろうなと思うのですが,それでも0.2%以内ですから全く問題ないと割り切ってよいでしょう。

 つまるところ,分圧抵抗の誤差をある範囲に入れることは出来れば,相対誤差はこの抵抗の誤差で決まり,絶対誤差については,ある1つのレンジをきちんとあわせ込めばその相対誤差範囲にすべて入ってくるという考え方です。

 ただ,較正というのは分圧抵抗の誤差も較正されるべきと私は考えているので,どれか1つを合わせて後は抵抗の誤差の実力で,というのは,いわばリファレンス電圧を合わせただけともいえ,なんとも中途半端な感じがあります。(そのかわり校正作業は楽ちんなわけですが)

 ついでにいうと,古い101の較正データはAC電圧は抵抗では新しい101の較正データがそのまま入っていますから,まったくあてになりません。事実,AC100を測定してみると1V程ズレていました。1%ほどの違いがあるという事ですので,これは結構大きいです。

 ただ,DC電圧で使うことがほとんどですし,それがこの精度で揃ったわけですから,これで誤差や精度を気にせず使う事が出来そうです。

 さて,2台の101がこのレベルで揃い,34410AやDL2050とも違いがなくなってくると,先日購入したZT109もこの精度が出るようにしたいですよね。

 チップセットこそわかっているのですが,較正の方法は相変わらず不明なまま,これで多機能な中華DMMをどこまで追い込めるのか・・・続きは後日。

新しいデジタルテスタは1700円

 アナログテスタを新調し,アナログテスタの再評価の波が来ている私ですが,そうはいっても普段使いはやはり便利なデジタルテスタです。

 長く秋月のP-10が活躍していた普段使いの主役を,フルークの101が担うことを期待されたものの,購入時点で大きな誤差があり,そのうちエラーで数%の誤差を出すという「故障」に見舞われ,再びP-10が老骨にむち打って私の要求に応えてくれていたんですが,それももう限界。

 正統後継者であるP-16は精度はいいんですが反応が遅く,どうしたものかとおもっていたところ,フルークの100シリーズのそっくりさんが安価に売られていることを知りました。どうも数年前からあるようです。

 形こそそっくりですが,画面は大きく,基本スペックは100シリーズと同じ感じです。それで値段はとっても安く,6000カウントのもので2000円程度です。

 2000円ならダメでも悔しくないじゃないですか。

 ということで,一度は購入手続きをしたんですが,同じシリーズでなんと9999カウント(10000カウントっていうんじゃないんですかね,こういう場合)のものが,実質1700円で売られているのを見つけました。中国からの配送なので時間はかかりますし,不安も大きいですが,この安さには抗えません。

 いろいろ調べてみましたが,どうもZOTECという会社のZT109という製品のOEMのようです。この値段で,この性能で本当に10000カウントなのか?と心配でしたが,10日ほどかかってようやく届きました。

 そう,4000カウントや6000カウントのテスタは,安価で高性能なチップが出回っているのですが,10000カウントってどうなんでしょうね?

 で,早速見てみるのですが,画面は大きく見やすいですし,大きさも使いやすくて,このあたりは期待通りです。

 しかし,質感はいまいちです。スイッチのクリックの感触は悪くはないのですが,そこはやっぱりフルークは良く出来ていて,これに比べると見劣りします。

 ケースにもバリがあり,手にひっかかります。

 中をあけてみると,部品同士の距離を確保していないとか基板の切り欠きや抜きがなく,高圧での安全性への配慮は,さすがにフルークにはかないません。CATIIやCATIIIなんてのは,たぶん嘘でしょう。

 それでもレスポンスはいいし,かわいらしいのも確かです。繰り返しますが1700円です。

 さて,精度をみてみましょう。いつもの基準電圧発生器を引っ張り出し,これを測定してみます。

 数年経過して電圧も狂っているでしょうし,34401Aも較正をしました。以前のようにこの基準電圧発生器を信用していいかどうかは議論の余地がありますが,10000カウントのテスタを見るくらいなら,十分使えるはずです。

 で,全然意味のない数字になってしまうのですが,この基準電圧発生器の電圧が全く変わっていないと仮定し,そこからの差分を見てみることにします。

 参考までに,この標準電圧発生器の,製造元での実測値を書いておきます。

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 で,今回のテスタの実測値です。

2.500V -1.65mV -0.065956469%
4.999V -4.02mV -0.080351468%
7.500V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 おお,これはなかなか。

 誤差が0.1%以下になっているのがうれしいです。

 4桁だと2.50165Vは2.502Vと表示されるとうれしいわけで,そこまではさすがに望み薄でしたが,それでも誤差は2.5Vに対してわずか1.65mVです。それに,そもそもこの基準電圧発生器の数年前の出力電圧値がこの値であるという保証もありません。

 10000カウントですから,8Vや9Vが小数点以下3桁まで出てくれます。それが0.06%の実力だというのですから,十分に高精度だといってよいでしょう。繰り返しますが,1700円ですよ,これ。

 周波数や抵抗も実用上問題はないし,電流は少し少なめに出ますがそれでも1%程度と十分です。それと矩形波の発振出力が用意されていて,50Hzから5Khzまで,それなりの精度の周波数が出てくれます。ちょっとした実験には使えそうです。

DL2050を較正する~力業であわせ込む編

  • 2018/11/12 14:15
  • カテゴリー:make:


 さて,較正に失敗し測定機能を失ったDL2050の復活ですが,構成データを書き込んだEEPROMに,サンプルのデータを上書きしてとりあえず動くようにしようというのが,今回の作戦の流れです。

 もちろん,全く起動しなくなることも考えられるので,現在のデータも残しておきます。

 とにもかくにも,DL2050から93C66を外すことから始めます。SOPですので外すのは割に簡単です。ライタで手軽に書けるように,また入手した93C66がDIPであることも考えて,DL2050にDIPのICソケットを強引に取り付けておきます。

 外した93C66を変換基板に取り付け,DIP化して,AKI-PICライタに取り付けます。リードが出来たら取り外して残しておきます。

 新たに調達したDIPの93C66に落ちていた較正データを書き込みます。とはいえ,落ちていたのはバイナリですので,これをintel-hexに変換してから食わせます。

 書き込みが終わったら,DL2050に差し込んで起動します。

 これで問題なく起動します。測定も一応出来るようになっています。

 しかし,あまりに誤差が大きすぎ,使い物になりません。電圧も電流も抵抗も全部ボロボロです。そんなに誤差がないならこのまま使おうとも考えていましたが,あきらめました。

 なので,元のデータを使う事にしたのですが,先日書いたように100Vレンジで較正に失敗していて,まともな値を表示しません。

 較正に必要な基準電圧としてDC100Vを用意しないといけませんが,そんなものはありませんし,結局ここで元に戻ってしまいました。

 あきらめずに,元の較正データのダンプを眺めます。

 幸い,どの数字がどんな役割をするかという資料を持っているので,それぞれの校正値を確認していきます。するとやはり100Vレンジで大きく校正値が狂っているのを発見,これ以外はそれらしい数字になっていることもわかりました。

 ならばと,この校正値を直接修正,ライタで書いてから本体に戻して見ると,なんとなくそれらしい測定値が得られるようになりました。

 こうなると俄然やる気が出てきます。

 測定値が真の値より大きい場合,校正値を減らせばよいこともわかりました。他のレンジの値を参考に,少しずつ追い込んで行き,最終的に34401Aとほぼぴったり値を揃えることができました。

 基準電圧が用意出来るレンジは正規の方法で較正を行えばよいですし,Mモードのように40000カウントの40Vレンジなんかは,校正値を直接いじる方法で追い込んで行けばよいです。

 電流と抵抗は迷ったのですが,もう面倒ですから,ゼロ調整だけ済ませて終わりにします。

 こうして一応,34401Aと同じくらいの値を示すようになってくれました。苦労しましたが,なんとか実戦投入できそうな感じです。

 それにしても,ちょっとしたミスが命取りになるんですね。各社の取説を見ていると,ここにはシールが貼られていて,剥がすと動作保証しないと書いてあったりしますが,シールがあれば剥がし,穴があれば棒をツッコミ,ボタンがあれば押すのが,これ人間というもの。

 そんなことくらいで,測定不可能な状態になるほど致命的な状態に陥ってしまうなんて,まあなんと恐ろしいことでしょう。34401Aなど,ロックやパスワードがかかるようになっているんですが・・・

 DL2050は,こうやってCALボタンが押された個体がたくさんあるんじゃないかと思います。買うときは(使う時ときは)気を付けた方がいいかも知れません。

 

DL2050を較正する~壊してしまったのか編

  • 2018/11/07 14:51
  • カテゴリー:make:

 一番よく使う測定器は,結局の所デジタルテスタと安定化電源器ということに気が付いて10年,デジタルテスタは精度と速度でベンチ型が望ましいと気付いて7年,こうして計測器ランドで中古を購入したのが,ケンウッドのDL2050でした。

 DL2050は3万円というそれなりの価格だったにもかかわらず,使ってみると粗が目立ち,自然に使わなくなってしまったところに,HPの34401Aが新加入するに至って全く出番がなくなったやつなのですが,それなりに思い入れもあって(買った時のことを本当によく覚えています),常にきちんと使えるようにしてあります。

 ただ,34401Aの使い心地があまりに良すぎるのと,ジャンクで買ったくせに精度がバリバリ出ていると言うこともあって,まともに保証付きの中古を買ったのに精度も使い心地も今ひとつなDL2050は,あまり出番がありません。

 せめて精度だけでもきちんと追い込んでおこうと思っていたのですが,やり方がどうしてもわからず,なかなか着手できなかったのですが,先日ようやく判明したので,試してみました。

 先に書いておきますが,大失敗をしました。もはや壊してしまったといっても過言ではありません。

 なにがまずかったというと,詳しい手順や方法を知らないままに,画面右上にある「CAL」と書かれた押しボタンスイッチを押し込んでしまったからです。

 これを押しただけで較正モードに入るなんて,まさか思わないじゃないですか。そこから適当にボタンを押していたら,オフセットとフルスケール調整が行われてしまい,まともな測定が出来なくなってしまったのでした。

 そんなわけで,復旧には正しい手順による較正作業が必要なのですが,これはこれでなかなか難しいものがあります。そこで較正した値を記録するEEPROMのデータを手に入れて,これをライタで書き換えるという方法で復活させることにしたわけですが,それはまた後日に書きます。

 今回は,DL2050の較正方法を書いておきます。

 そのまえに,較正の方法を調べた時にわかった,DL2050の素性についてメモ。

 DL2050がどこからかのOEMであることは当時からわかっていましたが,どこがOEM元かはわかっていませんでした。私が持っているケンウッドDL2050,アジレントU3402,B&K5492または5491Aは見た目も同じで,兄弟機である事は枚吐くなのですが,どれがオリジナルなのかはよく分かりません。

 余談ですが,アジレントもB&Kも一流ですので,ここに供給されるくらいだから,そんなに悪いものではないんだろうなと,ほっとしました。

 で,さらに調べていくと,どうもESCORTというブランドの,3146Aというのが出てきました。これがオリジナルかどうかは結局はっきりしなかったのですが,回路図などの情報がこの型名で出てきた事をみるに,おそらくこれがオリジナルではないでしょうか。

 この機種で改めて検索すると回路図も較正の方法も出てきます。

(1)画面右端の「CAL」ボタンを,先の細いもので突っつきます。
(2)画面に「CAL」という表示が出て,較正モードに入ります。
(3)最初にオフセットをゼロにします。4つの入力端子を太い銅線で最短でショートして,マニュアルモードにします。
(5)調整したいレンジと測定周期を選んで,「LOCAL」ボタンを押します。これで数字がゼロになっているはずです。
(6)これを,すべてのレンジで行います。そうそう,周期はSモードとMモードそれぞれで行います。
(7)基本的にはDC電圧だけでいいと思うのですが,気になるなら抵抗とDC電流くらいはやっておいてもいいと思います。AC電圧については意図しない表示になるので,やめておいた方が無難です。
(8)ここで「CAL」ボタンをもう1回押して,較正モードから抜けておきます。

 とまあ,ここまでの作業でもかなり精度は良くなっているはずなので,この作業までで引き返すのも1つの手です。

 次,フルスケール調整です。較正モードに入った後,

(9)DC電圧,マニュアルレンジを選択肢,入力に100000カウントになるような正確な電圧を入れて,「REL」ボタンを押します。100.000mV,1.00000V,10.0000V,100.000V,1000.00Vを用意しなくてはいけないので,ちょっと大変だと思います。

(10)SモードとFモードでは100000カウントですが,Mモードのフルスケールは40000カウントですので,40.000mV,400.00mV,4.0000V,40.000V,400.00Vを用意して較正して下さい。

(11)本当はDC電流やAC電圧でも同様なことをしないといけないのですが,電流源も交流基準電圧も持っていない人が多いと思いますので,無理をしないであきらめて下さい。RELボタンを押すと,その電圧をフルスケールとして登録してしまうので,全くおかしな値になります。

(12)終わったら「CALボタンを押して,較正モードから抜けます。


 こんな感じなのですが,私はまず最初に訳もわからずLOCALやRELボタンを押しまくった(ご丁寧にレンジまでマニュアルで切り替えて押しまくった)ので,もう後戻りが出来ず,先に進むしかありませんでした。

 しかも,100.000Vフルスケールのレンジで,勘違いをして10VをいれてRELを押したものだから,100Vを10Vに較正してしまい,10Vから100Vまでのよく使うレンジで測定不能になってしまいました。

 この状況を回復するには,DC100.000Vを用意しなければなりません。安定化し,しかもmVオーダの電圧である必要がある100Vなんて,一般家庭にあるはずがありません。

 万策尽き,押し寄せた疲労に耐えきれず寝たのですが,仮にDC100VやDC1000Vを用意出来たとしても,他にあちこち触ったために,なにがどう変わってしまったのか,さっぱりわからず,とても不安です。

 そこで,まずは較正データを記録しておくEEPROMの中身をそれらしい値で上書きしておくことにしました。

 回路図などと同じで,この手のデータは案外落ちてるものです。もちろん,落ちてる物を拾い食いすればお腹を壊してしまうわけで,あくまで分かる人が自分の責任でやらないといけません。

 ただ,これでEEPROMのデータが破損しているというエラーのために使えなくなったものを,復活させたという人が用意したデータなので,精度もそこそこ出ているのではないかという期待があります。

 93C66Aという最近あまり目にしないEEPROMを読み書きする方法を考えていると,都合良く,秋月で売られているAKI-PICライタにこのEEPROMの読み書きが出来る事がわかりました。このライタは私も持っています。

 SOPですので基板から慎重に外し,試し書きが出来るようにDIPの93C66も手配をかけ,書き込んでみます。

 続きは,後日。

 

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