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Stereo付録のLXA-OT1を組み立てる

  • 2012/01/05 13:34
  • カテゴリー:make:

ファイル 541-1.jpg

 昨年末のことですが,「ステレオ」という雑誌にディジタルアンプが付録で付いてきました。最初はノーマークでしたが,友人から「なかなかよさそう」という話を聞いて,買うことにしました。

 付録のアンプ基板はその名も「LXA-OT1」。実に覚えやすい名称ですが,なんとラックスの設計になるとのことです。部品点数も少ないし,コストのかなりの制約もあるでしょうから,出来る事も限られているとは思いますが,音の方向性や定数の決め方,部品の配置方法などは,やはりラックスの文化を反映しているのではないかと,期待したいところです。

 パワーアンプICはSTマイクロのTDA7491で,最近の定番になりつつあるようです。元々テレビのオーディオアンプとしてこの手のICは新しいものが次々生まれていますが,TDA7491もその1つでしょう。しかしその素質はかなり高いレベルにあるとの評判です。

 本来,このアンプに直接ライン入力を入れても良いはずなのですが,わざわざオペアンプによるプリアンプを前段に入れています。ぱっと回路図を見るとゲインは1.118倍という事ですので,ほとんどバッファのような感じですね。

 ちょっと面白いなと思ったのは電源の部分です。付属のACアダプタはスイッチング式の安定化電源で,12Vの出力があります。これからまず抵抗分割で6Vを作り,プリアンプ用のオペアンプの中間電位を作っています。

 さらに12Vからツェナーダイオードで3.3Vを作っています。この3.3VはTDA7491のミュートとスタンバイの制御用端子を叩くための電圧で,特になにかを駆動しているようなものではありません。

 この3.3Vを使ってトランジスタによるスイッチを動かし,スタンバイに入れることで電源をOFFにするという仕組みを使っています。パワーアンプ用の12Vを直接ON/OFFするのではなく,12Vは常に通電してありますが,スタンバイ時の消費電流は限りなくゼロに近いので無視できます。

 こうすることで大電流用の大きなスイッチは必要なく,また電源ON/OFF時のポップノイズをある程度防ぐことを狙っているのでしょう。実際,かなり小さいポップノイズに収まっています。

 そしてこの信号でLEDのON/OFF制御も行っています。このあたり,中途半端なアマチュアが作ると,ついつい手を抜いたりする部分ですが,さすがにちゃんと作られています。いいですね。

 前述のオペアンプはわざわざDIPのパッケージをソケットを使って実装してあり,交換可能になっています。マニアックですね。このくらいのオペアンプの使い方で,そんなに音質が変わるとも思えませんし,いわばオペアンプの味をわざわざ付けるような回路ですから,本当にここまで必要なのかどうかは,ちょっと疑問が残ります。

 そのオペアンプには,NJM4558Dという定番が使われていますが,丁寧に回路を組んであるので,どんなオペアンプが挿されても問題なく動作するのではないでしょうか。

 音質に影響しそうなコンデンサ類は,特にオーディオ用のものではないし,国産品でもありませんが,そこはコストとの兼ね合いです。気になる人は自分で交換すればよいだけの話です。効果がありそうなのはC9とC10,C4とC11,C45とC6がまず挙げられると思います。

 私の場合は,コンデンサの交換は見送りました。交換用の部品が手元になかったですし,わざわざ買って交換しても気のせいで終わりそうな予感がしたからですが,オペアンプについては,死んでも使い切れない程の数を在庫しているOPA2134に,とりあえず交換しておくことにしました。NJM4558Dの元気のある音も好きなのですが・・・

 で,基板むき出しのバラックで鳴らすのも気が引けたので,最初からケースに入れて使う事にしました。大阪の部品屋さんで適当なアルミケースを探し,ついでにデテントタイプの2連ボリューム,40mmの大型ツマミ,そしてオルタネートタイプの押しボタンスイッチ,RCAの2Pジャックと出力用のスピーカターミナルを手配しました。

 数日後部品が届いたので確認すると,なんと押しボタンスイッチがオルタネートタイプではありませんでした。私の注文ミスです。いやー,押しボタンスイッチはしょっちゅう買い間違いしますね。

 もともと,内部にサブパネルを用いて,ボタンの頭の部分だけパネルから飛び出させるつもりでいましたから,この使い道のないスイッチを分解して,ボタンの頭だけを取り出し,これを手持ちの感触のいいスイッチに取り付けて見ました。かなり大型のスイッチなので場所は取りますが,基板を横にして格納できたので,スペースは十分そうです。

 そして40mmのツマミです。アルミの無垢からの削りだしは高すぎるので,安い台湾製のものを買ったのですが,これってボリュームの軸がローレットを切ってあるもの専用であることをうっかりしていました。一緒に買ったボリュームはストレートの軸なのではまりません。

 そこで,ツマミの穴を6mmのドリルで軽くなめて,ボリュームの軸に圧入する方法で対応します。これも適当にやったのでセンターが出ず,ぱっと見はわからないのですが,ツマミを回すと偏心していることがばれてしまいます。

 ただ,このケースに40mmはちょっと大きすぎました。30mmも一緒に買いましたが,これは小さすぎます。35mmならちょうど良かったのですが,まあ今度アキバに行ったときにでも,良さそうなものを探してきましょう。

 LEDは頭が1.5mmになっているオレンジをパネルに差し込んで使いますが,このLEDはおとなしい発光で頭の形状も好ましく,私のオーディオ機器用電源ランプはこれで統一しています。これに手持ちのパネル取り付け型のDCジャックと電源強化用に追加する3300uFの電解コンデンサを用意して,部品は揃いました。

 それで,冬休みに入った12月26日の朝から3時間ほどの作業で穴開けを行い,組み込みをしました。パネルには最初から大きな傷があり,そのままでは使えそうになかったので,前回の周波数カウンタのパネル用にプリンタで印刷してステッカーを作り,これを貼り付けることで対応しました。レタリングも出来るので一石二鳥ですが,銀色のパネルも捨てがたく,ちょっと惜しい気がしています。

 基板からボリュームとスピーカ端子,RCAジャック,LEDとDCジャックを取り外します。そしてNJM4558Dを抜き取って,OPA2134に交換します。

 あとは穴を開けたパネルにステッカーを貼り,部品と基板を組み付け,配線を進めます。配線作業は翌日の朝に持ち越しましたが,のべ3時間ほどで完成です。電源スイッチも案外綺麗にまとまって,押し心地もばっちりです。

 作例をいくつかネットで見ていると,最初から基板についているボリュームの軸を延長し,ツマミを取り付ける例がありました。これだと,背面から端子を出す位置に基板を置いても,フロントパネルにツマミを配置できますし,電源スイッチ用の穴を開けることも必要ありません。随分簡単にケースに入れることが出来るのですが,私にはその発想は最初からありませんでした。

 さて,配線のチェックをして電源を入れてみます。波形を見ると,無負荷ではキャリアと思われる300kHzがちょっと漏れているようです。全然問題ないレベルですし,負荷を繋げば消えるかも知れないので私は気にしません。むしろ直流がのってスピーカを燃やしてしまう事が心配でしたが,これも問題なし。

 もともとこのアンプは,昨今の電力事情を勘案して使用を自粛していた300Bシングルアンプの代わりに,うちで一番いい音が出るB&WのCM1を鳴らす常用アンプを想定していましたから,ちゃんと動くことがなにより求められます。

 真空管のアンプは通常スピーカを危険に追い込むような故障(あくまで故障であって調整不良や設計ミスは論外です)はほとんどないので安心していましたが,ディジタルアンプを含む半導体アンプは,このあたりを少し気にかけておくべきでしょう。

 完成したので,置き場所を確保して設置し,スピーカとプリアンプをつなぎ直して,いよいよCM1を鳴らします。

 第一印象は,あまりに普通,という印象でした。CM1は結構立派に鳴っていますので,まず第一関門は突破。300Bのアンプに比べてとてもソリッドで,ゴツゴツした印象を持ちますが,だからといってスピード感があったり切れ味の鋭さがあったりというわけではなく,本当に普通です。

 ハムやノイズも全然なく,実に安定で快適ですが,どうも面白味に欠けます。特にボーカルの表現力が乏しいのですが,その代わり大きな編成のオーケストラなどでも表情を変えず,300Bのアンプのように音を上げるようなことはありません。実のところ,300Bのシングルアンプの個性の強さと好ましさを再認識することになりました。

 ですがなにより,この音でこの消費電力の小ささですからね,大変なものです。どんなソースでも普通に鳴って,CM1をちゃんとドライブ出来るのですから,オマケとバカにせず,しっかりしたケースに入れて良かったと思います。

 以後,毎日のように使っています。冬休みの間,テレビも面白くないし,ながらが出来るので,ずっと毎日NHK-FMを聴いていたのですが,それこそあらゆるジャンルの音をしっかり鳴らしてくれました。300Bのように得手不得手が目立つ訳ではありませんし,消費電力の低さで長時間使用も気にならず,精神的な負担の軽さもあってとても快適です。

 聞くところでは,すでに在庫が払拭しているらしく,今から手に入れるのは難しいかも知れません。もし手に入れるチャンスがあったら,わずか3000円弱ですので,手に入れられることをおすすめします。

 ・・・でも,私が今回のアンプを完成に持って行くのにかかった費用は,アンプの3000円に,ケースや端子類で3000円ちょっとですので,合計6000円ほどです。ケースが安かった上,配線材料は手持ちのものがありましたからこのくらいで済んでいますが,実際はもう1000円ほど余計にかかるでしょう。

 このくらいの金額になると実は完成品が買えますし,もう少し出せば穴開け加工済みのケースまで付いたキットが買えたりします。ケースの加工を楽しみと考えるか,手間と考えるかで変わってくると思いますので,結局バラックで鳴らすのが一番賢い使い方だったのかも知れません。

 冬休みの工作としては簡単なものでしたが,実用性も高く,使って楽しいものですので,私として大変満足です。

 そうそう,せっかく作った歪率計で歪み率を測定しようかと思ったのですが,なんとこのアンプはBTL接続でGNDが浮いているため,現状の歪率計では測定出来ませんでした。最近のアンプは電源電圧が低いのでBTLが普通になっていますから,せっかく作った歪率計に出番がなく,ちょっと悲しいところです。

中国製コンデンサ容量計の精度を追い込む方法

  • 2011/12/22 17:46
  • カテゴリー:make:

 以前書いたコンデンサ容量計の話です。

 StrawberryLinuxのキットと,秋月などで売られている安価な中国製のキットを買って,どちらも一長一短があることを書きました。

 StrawberryLinuxのキットはコイルの測定が出来ることが最大の売りです。コンデンサの容量計としては,精度の良い測定範囲が狭いので,いまいちです。

 一方の中国製キットは,元になった回路の原理から,測定範囲にあまり関係なく本来精度の良いものが出来るはずですが,調整箇所がないため精度を追い込む事が出来ません。

 この中国製のキットは安価であり,組み立てやすく,実用性もあるというので,ちょっとしたプレゼントにも最適と思っているのですが,精度についての不安があって,安易にプレゼントしたりおすすめしたり出来ないなあと,まずは自分で作った物を調べ直してみることにしました。

 被測定コンデンサは,先日特価で購入した岡谷製のフィルムコンデンサで,0.047uF(47nF)で誤差1%のものです。よって,このコンデンサの真の値は46.53nF~47.47nFまでの間にあるはずです。

 これを,StrawberryLinuxの容量計で測定すると,約48100pFと出ました。かなりオーバーしています。この容量だと誤差は±3%になるらしいのですが,元のコンデンサの誤差である1%も加えて,45.12nFから48.88nFの範囲に入って欲しいので,ちょっとまずいですね。

 次に中国製のキットです。46.3nFと出ます。47nFに対して1.5%ほど低い値ですが,コンデンサの誤差1%と容量計の誤差2%を考慮すると,十分な精度と言えるでしょう。

 最後に,秋月で買ったチップ部品用のテスターです。これはなかなか重宝しています。値は46.6nFでした。真の値に対し1%以内ですので,これも一応信じることが出来そうです。

 ということで,中国製のキットは測定も楽で,使いやすくて便利なのですが,もう一声欲しいところです。調整機能があれば1%のコンデンサで調整をするのですが,そういう訳にもいきません。

 一応,精度を決める抵抗の値を測定してみました。片側の足を切って測定を行ったところ,どれも誤差は1%以内でした。結果としてこの精度を実現出来ているようです。

 クロックも測定しましたが,数pFの容量を持つプローブを当てると周波数が変わるはずですので,あまりあてにはなりません。それでも12MHzでしたので,これも全然問題ないでしょう。

 最後に電源電圧ですが,三端子レギュレータの都合か,4.9Vと少し低めに安定化されていました。大きくずれていますが,このキットは電圧が安定していれば,高いか低いかはあまり精度に影響しないようになっていますので,あまり問題にしなくてよいでしょう。

 そこで,なんとか調整を行う方法を考えてみます。

 各部の抵抗値や電圧に問題がない以上,あまり勝手なことをやるわけにはいきません。

 そこで,最初はR13の10kΩを可変してみたのですが,あまり値が変化せず,この案はボツにしました。

 考えてみると,仮にこの抵抗を0にしても,本来ならVccの17%という計測開始電圧が0Vになるだけで,その差は大きくありません。また,10kΩが10%変化して9kΩになったところで,Vccの17%がVccの15.8%になるだけですので,見た目にほとんど変化が現れて来ないかも知れないですね。

 ということで,今度はVccの17%と50%の両方の電圧を生成するのに共通の抵抗,R15を可変してみます。39kΩがついていますので,33kΩと手持ちの関係で20kΩの半固定を使って見ます。

 今度は上手い具合に,びしっと調整が出来ました。0.01uF,0.1uFの1%を測定し,10.0nFと100nFという値を得ました。また,0.001uFの5%品を測定すると,1.01nFという値が出てきました。うーん,なかなかいんじゃないですか。

 この状態で他の0.047uFを測定すると,どれも1%以内に入ってきます。

 ということで,このコンデンサ容量計をきちんと調整したい方は,R15を可変するような仕組みを入れて見て下さい。

歪率計と低周波発振器の設計ミス

  • 2011/11/11 19:34
  • カテゴリー:make:

 秋も深まり,気温も下がって,日中も20度前後になる毎日,すっかり調整びよりです。

 夏休みに作った歪率計と低歪み低周波発振器は,秋になったらもう一度再調整をしようと考えていましたので,まずは調整が必要かどうか,確認をすることにしました。

 歪率計の完成後に出来上がった周波数カウンタを使って1kHzと10kHzの発振周波数を測定すると,ややずれている感じです。再調整はやっぱり必要だなあと,100Hzを見てみると発振していません。

 あれ,おかしい。波形を見ると,1kHzもクリップしていますし,100Hzも全然発振しません。調整がそんなに狂ったのかとVRをグルグル回しますがほとんど変化無しです。

 出力調整のVRを絞る方向に回すと,少し回しただけで大幅に振幅が小さくなります。もちろん波形はクリップしています。

 壊れたのかなあ・・・こういうときは電源電圧の確認だと,電圧を測定してみました。

 歪率計には±17V,発振器には±15Vが供給されているはずなのですが,今測定するとどちらも±14V付近です。どっかショートしているのかも知れないと確認しますがそういう場所も見つからず,電源回路を確認すればトランスの2次側が16Vrmsまで下がっています。三端子レギュレータを通れば3Vのドロップがありますから,このくらいの電圧は妥当です。

 どうやら,トランスが小さすぎたようです。16V-100mAの小型のトランスを使ったのですが,そんなに大きな電流が流れないアナログ回路ですから,トータル100mAも流れないだろうと高をくくっていました。

 確かに無負荷時の電圧を測定すると,ちゃんと±17Vと±15Vが出ていますが,特にリレーの載っている入出力基板が繋がると,途端に電圧が下がります。トランスの2次側が下がるので,±15Vも引っ張られて下がるのですね。

 こりゃーいかん。

 もう少し電流に余裕のあるトランスか,もう少し2次側の電圧の高いトランスに交換する必要があります。探してみてもそんなものはあるはずがなく,これは買うしかないとあきらめました。

 しかしトランスは現物を見てみないと大きさのイメージもわきませんし,値段もバラバラですので,通販はちょっとこわいです。(とはいえ真空管用のバカでかいトランスを持って帰るのは愚の骨頂なわけですが)

 背に腹は代えられません。まともなメーカーのトランスを800円ちょっとで購入。これは24V-100mAが2回路で,少し大きくなりますが,まあなんとか入るでしょう。

 トランスを注文して届くまでの間,少し状況を整理してみます。

 周波数カウンタを外せば,クリップもなくなるし,出力調整ボリュームも正常に動作します。ということは周波数カウンタに原因があるということです。

 周波数カウンタの入力アンプに問題があるとすれば,これはまた厄介な話です。せっかく上手く動いているのに,また検討しないといけません。

 まさか,と思い,ケーブルを周波数カウンタから外してみたのですが,やっぱり波形はクリップしたまま。ということは,どうもケーブルに問題があるようです。

 調べてみると,ケーブルがどこかでショートしているらしく,テスターであたれば,芯線と網線の間に数百Ωの抵抗が見えます。ケーブルを曲げればその値も変わりますので,間違いないでしょう。

 さすが,古いオシロのプローブの再利用です。ケーブルが内部でショートしているとは思いませんでした。ショートしている部分はケーブルの真ん中当たりのようで,これはもう捨てるしかありません。

 うーん,細身で曲がりやすく,かつ50Ωの同軸ケーブルって手持ちがないのよねえ。

 ということで,発振器の波形のクリップの原因は電圧の低下ではなく,周波数カウンタのケーブルのショートでした・・・

 しかし,電源電圧が正常ではなかったことが発覚した以上,ほっとくわけにはいきません。トランスが届いた翌日,さっさと組み込んで見ました。

 単純に交換しただけですので問題はないと思いますが,それでもAC100Vの部分ですのでやっぱりこわいです。

 恐る恐る電源を入れると,「パンッ」という何が破裂する音がします。なにか青白い火も見えました!

 あわてて電源を切って,ちょっとぼーっとしていたのですが,気を取り直して電源基板を見ても,どの部品も壊れた様子がありません。おかしいなあと思い,今度は電圧計を繋いで電源を入れてみます。電圧は正常値を示すのですが,5秒ほどするとまた「パンッ」という音が・・・

 これは確実にアウトです。でも,基板の上の部品には変化がありません。なにが破裂したのか確認するのに,さらに破裂をさせないといけなくなりました。しかし,以後は破裂音はしなくなりました。

 もしや,と思い基板を裏返すと,やっぱり・・・チップコンデンサが焦げていました。

 最近私は,パスコンなど0.1uF程度のパスコンには積極的にチップセラミックを使っています。取り付けも楽だし,ICの足下に置けますので性能も出ます。

 ところが,この手のチップセラミックって,耐圧が16V程度なわけです。部品に書いていないので記憶をたどるしかありませんが,例えば16Vだったら,今回のトランスの変更で入力電圧が30V近くになるわけですから,耐えきれなくなったんでしょう。

 負電圧側は同じ電圧がかかっていても破裂していなかったので,中途半端に壊れずにあるより,はっきり壊れてくれてむしろ助かりました。

 チップセラミックはせいぜい25V程度ですので,ここは50V耐圧のリード型のセラミックを用意して,これにすべて交換します。

 通電,電圧チェックをしますが,問題なし。回路の動作も問題なく,電圧が上がった分だけこれまで怪しかった動作が改善されているようです。

 しかし,三端子レギュレータに触ってみると,かなりの発熱です。これまでは発熱などほとんどなかったのですが,今回は50度を超えている感じです。

 ざっと計算してみますか。三端子レギュレータ(LM317)での電圧ドロップが10Vあって,電流が100mAとすれば,単純に1Wが熱になります。

 今回のLM317はTO220パッケージですので,仕様書からその熱抵抗を調べてみます。熱抵抗というのは文字通り熱の伝わりにくさを示す数字で,℃/Wという単位になります。1Wあたりの温度上昇を示しているわけですね。

 メーカーによって結構数字が違うのですが,ここではJRCの数字を使って見ます。LM317のオリジナルメーカーであるナショセミの仕様書は,随分緩いんですね。だから厳しいJRCのものを使うのですが,調べてみると,70℃/Wとあります。

 今回の回路では1Wが熱になるわけですから,TO220パッケージでは70℃まで上昇するな,とこんな風に考えるのです。

 では,何度まで上昇していいかを考えてみましょう。シリコンのジャンクション温度の最大値は150℃とされていますが,150℃になると確実に壊れるので,一般的に保存温度の最高値である125℃を限界と考えます。

 そして,周囲温度はどうするかですが,密閉空間ということもあり,50℃くらいまでは動いて欲しいなあと思いますから,ここは50℃とします。すると許容される温度情報は125-50で,75℃となります。

 先程,1Wの電力ではTO220パッケージは70℃まで温度が上がるとなっていました。温度上昇は75℃まで許容できるのですから,今回のケースではヒートシンク無しで大丈夫そうです。

 ということはですね,75℃の温度上昇がある時の電力は1.07Wとなります。これは電圧ドロップが10Vの時107mAに相当しますので,ちょっと余裕がなさ過ぎです。

 もしも,温度上昇の最大値を超える発熱があるのであれば,周囲温度を下げる(強制空冷や水冷),ジャンクション温度を上げる(シリコン以外を使う),あるいは発熱を下げる(電流を減らすか入出力電位差を小さくする)ことになります。しかしいずれも出来ない場合がほとんどですので,その場合にはパッケージの熱抵抗を下げて,1Wあたりの温度上昇を小さくするしかありません。ヒートシンクを取り付けるというのは,このことに他なりません。

 今回のケースでは,どうやらヒートシンクなしでもギリギリ大丈夫という結論ですが,かなり熱いのは事実ですし,出来れば少しでも温度を下げた方がいいと考えて,1.0mm厚のアルミ板をL字に曲げて取り付けました。

 これもざっと概算してみます。

 1.0mm厚のアルミ板を今回の40mmx25mmにしたとき,その熱抵抗は,あるデータによると,ざっと40℃/Wだそうです。

 この放熱器を取り付けた場合のトータルの熱抵抗は,ジャンクションとパッケージの接触面までの熱抵抗θjcと,パッケージ接触面から放熱器の表面までの熱抵抗θCHと,放熱器の熱抵抗θHSの和です。

 TO220のθjcは5℃/W,θCHは絶縁シートや締め付けトルクに寄りますが,一般的に0.4℃/Wを使います。故にトータル45.4℃/Wとなります。これが75℃になるのは1.65Wとなりますので,10Vの電圧ドロップ時には165mAとなります。まあ,これくらいなら少しはゆとりもあるでしょうか。

 一方,±15V系を計算して見ます。電圧ドロップが12Vで電流が30mAとすれば0.36Wです。78L15のパッケージであるTO92の熱抵抗はJRCの仕様書にある数字を採用すれば,200℃/Wということですので,温度上昇は72℃となりました。

 そして,許容される最大温度上昇については,先程の計算と同じで75℃です。ギリギリです。

 電圧ドロップが12Vと大きいので,ここを17Vから生成できればわずか2Vとなりますので,相当余裕が生まれます。しかし78L15の最低電位差は1.7Vですので,こちらも結構ギリギリです。難しい所ですが,ここは17V系の消費電力が上がってしまうことも気になりますので,少々危険ですが現状のままとしましょう。

 ところで,このTO92の熱抵抗ですが,ナショセミの数字を見ると,足の長さを基板から10mm程伸ばした場合には180℃/Wとのことで,これを3.2mm程まで近づけると,160℃/Wまで下がるんだそうです。奥が深いですね。

 で,電源電圧が変わったのですから,これはもう再調整しかありません。まず発振器をざっくり調整します。ざっくりといっても,周波数だけは真面目にあわせます。

 そして,歪率計を1kHz,10kHz,100Hzと調整をしていきます。調整箇所から大きく外れていないようですが,トータルゲインだけは少しズレがあったので再調整です。

 歪率計が調整出来たら,再度発振器です。周波数は調整済みですので,今度は帰還率と積分器を調整します。歪率を下げると発振がなかなか安定しないので,そこそこのところで妥協しますが,その結果これまでの値よりも若干悪くなってしまいました。

 発振器の最終結果です。

0.00064%(1kHz)
0.00205%(10kHz)
0.0038%(100Hz)

 これまでの最終値は,

0.0005%(1kHz)
0.0022%(10kHz)
0.0031%(100Hz)

 というわけで,10kHzを除いて若干悪くなっています。まあ誤差みたいなものですし,もともと低い値ですので,これくらいはもう気にしません。

 さて,これで歪率計・低歪み低周波発振器の検討は,本当に終了。あとは実戦配備のみです。しかし,実際に歪み率の測定をやってわかったのですが,結構大変なのです。時間もかかるし,同じ作業を何度も繰り返すので,ついうっかり手順を間違えてそのまま先に進んだり,測定中に条件が変わったりするようなことがあると,どうも値が綺麗に出てこないので,また測定し直しになったりします。

 それでも,温度や経年変化に対する変動の実力が案外小さいことが分かったので,一安心です。これでなにを測定しようか?

爆誕

  • 2011/11/02 22:08
  • カテゴリー:make:

 えと,娘が生まれました。もちろん,私にとっての初めての子供です。

 さすがに私たちの子供らしく,まあ大変でした。

 公式には26時間にもおよぶ難産で,陣痛があった総時間は約40時間という壮絶さ。

 長時間にわたる分娩の促進剤投与によるリスク。ギリギリの判断で急遽行われた吸引分娩。

 最新の設備,圧倒的な物量,そして優秀なドクターやスタッフの美しい連携と献身的なサポート。

 なにより,嫁さんの不屈の精神。私も一晩病院に泊まりました。

 何かが一つ間違っていれば,必ず誰かが「後悔」したと思います。それほどの難産でした。

 不思議なもので,生まれた直後の娘を見ても,私は何も感じなかったのです。

 嫁さんも自分の事で精一杯で,なんだか感動が薄いのです。

 でも,私の手の中で,興味深そうに私を見つめる小さな眼を見返すと,勝手に涙がぼろぼろとあふれてくるのです。なぜだかさっぱりわかりません。

 2011年11月2日14時ちょうど。この日は我々にとっての,大事な記念日になります,

絶滅危惧種確保part2

  • 2011/10/27 17:27
  • カテゴリー:make:

 先日,周波数カウンタのプリアンプの検討の際に,思いの外の好成績を挙げた2SA562ですが,とても使いやすく性能も出やすいという手応えを感じた一方で,名前から察するにかなり古いトランジスタと思われ,今のうちに数を確保しておこうと考えました。

 この2SA562,私の感触では2SA1015なんかよりもずっと懐の深いトランジスタで,ちょっと重い負荷でもへこたれず,ちょっと周波数が高くなっても踏ん張ってくれる,なかなか頼もしいトランジスタです。

 で,コンプリメンタリの相手方を捜してみると,2SC1959とあります。なるほど,2SC1959も使いやすい便利なトランジスタです。個人的には,小学校の時に初めて買ってもらった電子工作キットに使われていたトランジスタが2SC1815と2SC1959でしたから,2SC1815の次に覚えた懐かしいトランジスタだったりします。

 2SC2120という同じ大きさでさらに電力の大きなトランジスタにその座を譲った感がありますが,fTは2SC2120なんて目じゃないです。

 それにしても,2SC1959の相手が2SA562っていうのは,ちょっと年が離れた夫婦みたいになってませんかね。おかしいと思って,2SA562の古い仕様書を見てみると,相手はなんと2SC735とあります。

 なるほど,2SA562は再婚でしたか。

 2SC735といえば,2SC372よりも一回り大きな電力を扱えるトランジスタでした。やがて2SC372が2SC1815になり,2SC735が2SC1959になったわけですが,2SC1959についてはコンプリメンタリの相手をそのまま2SA562が務めることになったんですね。

 そんなわけで,2SA562の安いところを探したのですが,ついでにそこで見つけた,面白いトランジスタをいくつか買うことにしました。

・2SA562 / 2SC1959

 前述のトランジスタです。それぞれ50個ずつ買いました。2SC1815の気分で使えるのですが,電力,周波数特性に少しずつゆとりがあり,便利なトランジスタです。


・2SC382

 2SC380は40年ほど前の高周波トランジスタとしてメジャーな存在でしたが,そういえば2SC382ってなんだろうと思って調べてみると,フォワードAGC向けのトランジスタなんだそうです。

 フォワードAGCというのは,コレクタ電流が増加するとhFEが小さくなるようなちょっと特殊なトランジスタを使ってAGCをかけるもの,ということらしく,2SC382はそのために生まれたトランジスタということです。まあ,昔のリモートカットオフ管みたいなもんですかね。

 どっちにしても,互換品も代替品も見当たらないものだそうなので,買っておくことにしました。ただ,高周波には縁のない私のことですので,あまり出番はないかも知れません。


・2SC372 / 2SC373

 言わずと知れた,東芝の汎用シリコントランジスタです。偉大なる2SC1815の先祖にあたります。考えてみると,このトランジスタのスペックが汎用品として広く受け入れられたから,他社にも2SC458,2SC536,2SC828,2SC945といったロングセラーが登場し,さらに2SC1815や2SC2450というトランジスタに繋がるわけですね。

 で,2SC373というのは,2SC372よりもhFEの大きなものです。今だと同じ品番でランク分けを行うだけで済ませる程度の差ですが,この頃の東芝は律儀に品番まで分けていました。

 2SC372や373など,別に珍しくもないのですが,この頃の東芝のトランジスタは独自の形状をしていて,ツバ付きのエポキシパッケージに丸いピンが出ていました。まあ,他社も独自形状だった時代の話なのですが,これが後にTO-92というパッケージに統一されると,2SC372や372もこのパッケージに移行しました。

 今回手に入れたのは,このツバ付きの旧パッケージです。旧パッケージにはさらにロゴの違いで新旧があるようで,古いものは「Toshiba」と筆記体で書いた懐かしいロゴが書かれています。その後「Tx:」という謎のマーキングが入るようになります。

 ということで,パッケージが古い2SC372の未使用品がいくつか手に入りました。2SC373についてはTO-92になったものなので全く珍しくありませんが,私は2SC373の手持ちが全くなかったので,これはこれでよいです。


・No.88豆コイル

 在庫処分で売られていたもので,4つ買いました。1970年代の初歩のラジオや子供の科学などでは良く登場したコイルです。何のことはない,AMラジオの帯域向けの,発振コイルです。

 スーパーラジオの局発コイル(赤いコアですね)で代用可能な例ばかりを見ていたので,特に必要性も感じなかったのですが,こういう部品こそもう入手不可能だろうということで,コレクション的に買うことにしました。というものの,実はアキバの部品屋さんでは今も買うことが出来るようです。

 私は,実物を見るのも初めてです。私より1世代上の人たちには懐かしいのでしょう。

 昔のラジオ用コイルには,端子にP,G,B,Eと名前が付いていました。真空管時代のなごりで,Pは前段のプレート,BはB電源,Gは次段のグリッドに,Eはアースに繋ぐことが前提になっていて,こんな名前が付いているのですね。

 現物が届いてみると,なかなか手作りっぽくて面白いです。存在すら知らない人が多いのではと思う現代でも,持っていれば何かの役に立つ事があるかも知れません。


・TC74HC4060

 これは別に珍しくもないし,現役バリバリですね。絶滅危惧種かどうかも分からないです。安かったので20個ほどまとめ買いしました。

 いやなに,不肖私,このICのことをついこないだまで全然知らなかったのです。名称から4000シリーズのCMOSだろうとは思いましたが,4020や4040は知っていても4060は全然馴染みがなく,聞いたこともなかったのです。

 ところが,ここ数年の子供の科学を見ていると,ちょくちょく登場するのです。あまり興味もなく読み飛ばしていましたが,ある時回路図をじっとみていると,このICに直接抵抗とコンデンサがくっついて,なにやら発振までやっていそうな感じです。

 調べてみると,14段のカウンタに,発振器として使えるインバータを内蔵しているという,誠に便利なICだと分かりました。発振器は外に4049などを使って作るのが当たり前だと思っていましたから,うーん,RCAは面白いICを作るなあと感心した次第です。

 しかし,32.768kHzの水晶発振から1Hzを作るには1段足りないわけで,なんでもう1段入れておかなかったのかと不思議な気もします。それがまたRCAっぽいと言えなくもありません。

 まあ,この手の多段カウンタ(12段とか14段とか)は結構いい値段しますので,安く買えて良かったという程度の話です。

 というわけで,いろいろ買い集めて結局死ぬまでに使い切れないと思うのですが,子供の頃は必要なだけしか買わなかった部品も,最近は2つずつ買って予備にしたり,日頃から少しずつ買い集めるようなことをしています。使いもしないのに貴重な部品を集めるのは道義的に問題があるようにも思うのですが,半導体だけは入手不可能になると代わりのものが探しにくいものですので,やっぱり馴染みのあるものは手元にある程度確保しておきたいと思うものです。

 あとは,まだ絶滅危惧種というわけではないのですが,気になっているトランジスタを少し集めておこうと思います。

・2SC982・・・ダーリントントランジスタのかつての定番で,初歩のラジオや子供の科学の工作記事で良く目にした。なにせhFEが10000という強烈な値を誇り,知識のない小学生には異次元のトランジスタに見えたものだが,VBEが1.2Vという欠点があることを知り,世の中うまい話はないと悟ることになる。そもそも2SC1815をダーリントン接続すればほとんどの場合置き換え可能。

・2SD235・・・豆電球やモータなどの負荷をドライブするときには必ず登場した,TO-220パッケージの電力用トランジスタ。2SC1061や2SC1096が互換品として引き合いに出されたが,2SD235が一番簡単に手に入った。後に2SD880に世代交代するが,2SD880も廃品種になった現在,みんなどうしているのかなあと思う。私?2SC1061を50個ほど持っているので心配ないです。

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