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カテゴリー「make:」の検索結果は以下のとおりです。

これまで見えなかったものが見える感激

  • 2011/09/12 17:24
  • カテゴリー:make:

ファイル 506-1.jpg

 夏休みの工作に作った歪率計&低歪み低周波発振器ですが,先日のお休みで完成としました。

(1)ノイズ対策
 アナログ回路でノイズ対策は大なり小なり必要なものですが,今回は信号の切り替えにせっかくリレーを使っているのに,そのリレーがシールドされていないため,指でリレーを触ると出力の値がパラパラと変化します。

 気分の物かもしれませんが,リン青銅板でリレーを覆って,シールドしました。全てのリレーを対策しましたが,案外リレーの発熱があって,リン青銅板のケースがほんのり暖かいです。

 このケースをしっかりとGNDに落とし,さらに鉄製の板を被せました。基板の半分ほどを覆うほどの鉄板でしたが,これで手をかざしても出力値が変わるという状況はほとんどなくなりました。最初から金属ケース入りのリレーを使えば良かったのかもしれません。


(2)値がレンジで異なる
 この歪率計は10%,1%,0.1%の3レンジを持っていますが,特に1kHzでは1%と0.1%で示される値が大きくずれています。1%の方がかなり小さく出るので,私はこちらを勝手に信用していましたが,どうして値が異なるのか,異なった場合どちらの値を信じるべきなのかに決着を着けないとまずいわけです。

 ふと思ったのですが,例えば0.0005%の歪み率の場合,1%では0.5mV,0.1%では5mVを示すことになります。なら,入力をGNDに落として0Vとした時,それぞれのレンジで本当に0Vとなってくれるのでしょうか。

 やってみると,なんと1%レンジは0.24mVを示しています。これが残留ノイズと考えると,この残留ノイズに対して十分大きな高調波でないと,信用出来ないということになります。そりゃそうですね,0.0005%の歪みなら,1%レンジで0.5mV,0.1%レンジでは5mVの出力です。どちらにも残留ノイズが0.24mVあるとしたら,どちらを信用出来るかなど,明らかです。

 ちなみに,TrueRMSのデジタルマルチメータDL2050ではレンジで異なる値を示していても,アナログの電子電圧計だとレンジに関係なく,どちらもだいたい0.0006%位を示してくれています。ノイズが2つの電圧計の値にどれくらいの差を作るのかは,スペアナを使って見てみないとよく分からないのですが,とりあえず0.1%レンジが信用出来るというのは正しい様に思います。

 これで,歪み率が一桁悪い100Hzと10kHzで,1%レンジと0.1%レンジで値が揃うことの理由もはっきりします。よって,回路の問題ではなく,1%レンジで測定出来る範囲を大きく下回る値だったというのが,正解です。

 ただ,これもシールドを行う対策を行ったから,残留ノイズを0.24mVまで減らすことが出来ました。


(3)低周波発振器の最終的な歪み率

 上記を踏まえ,低歪み低周波発振器の最終スペックを確定させました。

。発振周波数・・・100Hz,1kHz,10kHzの切り替え式
・周波数偏差・・・±0.2%以内
・出力電圧・・・約8.0Vrms
・歪み率・・・0.0005%(1kHz)
       0.0022%(10kHz)
       0.0031%(100Hz)

 1kHzの低歪みが光ってます。これはかなり満足な値です。10kHzや100Hzも決して悪い数字ではないと思いますが,これくらいなら普通に作れば達成出来てしまう数字ですし,1kHzとの差が大きいことも,ちょっと残念です。

 それと,私が使うという限定の回路ですので,特に100HzでのAGCの収束時間が10秒以上かかります。下手をすると30秒ほどかかることもあって,振幅が安定しないうちに測定を始めることがないように,気をつけなければなりません。

 ちなみに,VP-7201Aは1kHzで0.001%程度,10kHzと100Hzは同じくらいの値でした。メーカー品に勝利したと思うなかれ,VP-7201Aはこれを10Hzから500kHzの連続可変でやっているのですから,たいしたものです。

 そうそう,まともな検討をして訳ではないのであくまで参考に,ですが,スペック上はNJM4580Dよりも低歪みなLM4562に交換してみたところ,NJM4580Dよりもずっと悪い数字(倍近く悪い)が出てきました。

 それでも十分低歪みといえばそうですが,スペックを誇らしげに歌う最新世代OP-AMPで,それなりに高価なものだけに,この結果には拍子抜けすると共に,NJM4580DというJRCの実力の高さを思い知りました。

 まあ,発振器の歪み率は負荷のドライブ能力なんかにも影響があるので,NJM4580DとLM4652の単純比較は出来ませんが,安くて高性能でタフなNJM4580Dのバランスの良さには,感心しました。


(4)歪率計のクセ

 ここまで分かったところで,実際に歪率を測定してみることにしました。

 まず,気をつけないといけないことがあります。それは,発振器の出力レベル調整によって,発振器の歪み率が大きく変わってくるのです。単純なボリュームを使っているのですが,ここでそんなに大きく歪むとは考えられず,おそらくインピーダンスが変わることで,ノイズを拾うのではないかと思っています。ノイズは高調波ではありませんが,フィルタをすり抜けますので見た目の歪率を悪化させます。

 同じ事が,歪率計の入力レベル調整のボリュームでも起きているようです。

 フィルタをスルーさせた電圧を1Vrmsに調整してから,フィルタを通した高調波の値を測定すれば,その電圧の値がすぐ歪み率として直読出来るのですが,この1Vrmsにするためのボリュームを絞ると,歪率の値が随分悪化します。原因が同じかどうかわかりませんが,1Vrmsにするのは直読するという目的のためであり,あとで計算するという手間をかければ,別に何ボルトでもいいわけです。

 使い方の工夫として,出来るだけツマミの位置は半分を割らないように工夫をするということが大事です。大きな電圧を測定するときは出来るだけ内蔵の-20dBアッテネータを使用するのがよいようです。

 最後に,これはクセでもなんでもないのですが,この発振器と歪率計はGND基準で動くものですので,BTLのパワーアンプを接続すると,アンプの出力がショートしてしまいます。私はこれに気が付かず,うっかりHT82V739のアンプの歪み率を測定しようとして,出力が出てこないことにしばらく悩んでいました。1W位の小型アンプで良かったです。


(5)実測例1・真空管アンプ

 と言うことで,パワーアンプの実測例です。

 まず最初は,10年ほど前に自分でゼロから設計し,途中でNFBの帰還率を調整した,6V6シングルアンプの歪率です。きめの細かい,しなやかな音がするので気に入っていますし,6V6という小型出力管がなぜ今でも愛されるのか,よく分かったアンプでした。また,スクリーングリッドの電圧の設定と安定化が5極管の使い方のキモであると知ったのも,このアンプでした。

 出力が1W+1W程度の割には猛烈な発熱をするアンプで,私以外の人は怖がって使いませんが,本音を言うと私も怖いです・・・

 そのアンプの歪み率です。負荷は8Ωです。

・0.1W
0.232%(1kHz)
0.486%(100Hz)
0.224%(10kHz)

・0.5W
0.594%(1kHz)
1.49%(100Hz)
0.51%(10kHz)

・1W
1.03%(1kHz)
3.24%(100Hz)
0.71%(10kHz)

・1.5W
4.9%(1kHz)

 1.5Wの測定はちょっと怖いのと,1kHzで5%にもなっているので,100Hzと10kHzでの測定はしませんでした。これを見ると,1Wと1.5Wの間,おそらく1.2Wあたりで3%になっていると思われます。大体設計通りですね。

 そして,常用域である0.5Wくらいで,0.5%前後という値は,とても真空管アンプらしい値で,なるほどなあと思います。今回はリサージュを出しませんでしたので,偶数歪みか奇数歪みか確認していないのですが,まあこのくらいならいいんじゃないでしょうか。100Hzでの悪化が気になるところです。


(6)実測例2・MOS-FETパワーアンプ

 奥澤清吉先生の「はじめてつくるFETアンプ」に掲載されていた,40W+40Wのプリメインアンプを高校生の時に作った事は何度か書きましたが,あれから25年,一度も歪み率を測定したことがなかったのです。

 というか,ダミーロードを繋いで,最大出力も試したことがありません。

 今回,そんなことを考えながら,測定の準備をしていました。時間がなく,1KHzだけの測定になってしまったのが残念ですが,なにせアンプのセッティングを場所から長いケーブルを這わせて測定しましたので,なかなか手際が悪く時間がかかったのです。

 負荷は8Ω,Rchだけ測定しましたので,電源の負担は軽いはずです。これを2chで同時に行ったら,もっと値は悪化することでしょう。

・MOS-FET(1kHz)
0.1W 0.016%
0.5W 0.023%
1.0W 0.024%
3.0W 0.022%
5.0W 0.027%
10W 0.17%
20W 0.255%
30W 0.324%
40W 7.8%

 うむ,初めて値を取りましたが,悪くない数字ですね。5Wまでの値が0.03%以下ですので,常用域は変化が少ない,安定した性能を維持しているようです。

 一方で30Wまで0.3%程度と,これもかなり粘っています。30Wっていうとかなりでかい音ですよ。それで0.3%ですから,ちょっと安心しました。

 そして40Wになると,7.8%と急激に悪化します。さすがハードディストーションの半導体アンプだなと思いますが,これを見ると3%の歪み率は大体35W位になるような感じですから,まあ設計通りということになるでしょうか。

 本当は100Hzで低域のパワー感,10kHzで高域の純度の目安が分かるものなのですが,機会があればまた測定したいところです。


 ということで,歪率計が手に入ると,これまでどうやっても見えなかった領域の素性が見えるようになりました。うれしいですね,自作の測定器がこんな風に私の新しい目や耳になってくれるなんて。

 電圧や電流の測定は基本ですし,波形の確認も必須です。しかし,直線性が大事なリニアアンプにおいて,歪み率というのはとても大切な値です。しかしその値を測定するには,ノウハウも必要だし,高価な機材も必要です。私のように自作をすれば安くは出来ますが,膨大な手間がかかる上に,必ずしも実用レベルの物が完成するとは限りません。

 聴感上の良し悪しに感覚的に頼ることも否定しませんし,人間の耳はかなりの違いを聞き分けられるものですが,他との比較や経年変化などを評価する場合,やっぱり数値化できないとだめです。

 なかなか大変な工作でしたが,一応アンプの歪み率を測定出来るところまで来たことで,これにて終了です。

 今後のこの歪率計でしたいこと,ですが,まずは300Bシングルアンプと5998のプッシュプルアンプの歪み率を測定しておきたいです。

 そして,自作D-Aコンバータのポストフィルタに使っている,私が設計したディスクリートのOP-AMPの歪み率を見ておきたいと思います。これ,実は市販のモノリシックOP-AMPに気に入ったものが見当たらず,ディスクリートで設計した方がいい物を作れるとふんで,バラのトランジスタを使って設計したものです。聴感上,歪み率はかなり優秀と思っていましたが,測定しないうちに自慢するわけにもいきません。

 今回の工作は,従来のノウハウの積み重ね以上に,根気が要求されるものでした。部品点数の多さ,実装の工夫,基板配置や配線の引き回し,そして部品選びと,アナログの醍醐味を味わった,大作だったと思います。

 部品集めを始めてから3年以上が経過し,もう完成しないのではないかと内心思っていましたが,これだけの成果が出て,本当に良かったと思います。

発振器の改良と歪率計の再調整

  • 2011/09/04 23:55
  • カテゴリー:make:

ファイル 505-1.jpg

 夏休みの電子工作で意を決して作り始めた歪率計と低ひずみ発振器ですが,今日一応の完成を見ました。

 実は,まだまだ実装上の問題を綺麗に潰して,ノイズの影響を押さえ込まないといけないのですが,実用上ほぼ問題なしというレベルになったので,今日完成としました。

(1)発振器

 OP-AMPを交換してもそれほどひずみ率に変化がなかったのですが,それならAGCのJ-FETを交換して見ました。FETはもともとばらつきの大きい部品で,同じ品種,同じランクのものでも交換すればひずみ率が改善されることがあります。

 実は後述するフォトカプラを本命と考えていたので,FETの交換で改善することはそれほどあてにしていませんでした。

 もともとの2SK30A-GRで0.00273%@1kHzになるように調整をした後,これを手持ちの2SK160Aと,別の2SK30A-GRに交換してみます。結果,どれも同じ0.00273%となりました。なお,2SK107では発振することすらありませんでした。

 確かに,FETを交換すると歪み率は変わるのですが,再調整をすると似たような収束時間で似たようなひずみ率になるので,結局同じなのです。構造的に三次ひずみを作るFETを使う以上,これ以上の改善は難しいと判断しました。

 そこで本命の,フォトカプラです。LEDとCdSのフォトカプラは,少なくとも国内での生産はなく,ほとんど使われる事もなくなった絶命種です。そもそもCdSが環境対応できない部品なので,使いたくても使えない国がほとんどでしょう。

 ですが,半導体を使わない抵抗素子ならではのリニアリティは他に変わるものはなく,ギターのエフェクタでもキーパーツの1つとして珍重されています。

 で,半年ほど前にアキバで手に入れたP873-G35-911という,浜松ホトニクス製のフォトカプラを,今回使ってみようと思ったわけです。フォトカプラの使い方としては,まさにぴったりです。

 しかし,本を見ても,google先生に聞いてみても,案外フォトカプラを発振器に使った例というのは出てこないものです。仕方がないので,自分で設計します。

 FETを外し,代わりにフォトカプラをつないで,電流制限の抵抗として3.3kΩをLEDとOP-AMPの間に入れておきます。やったことはそれだけです。これでさくっと発振しました。

 CdSには直列に5kΩのボリュームをいれてありますが,CdSの可変抵抗の動作範囲が大きいおかげで,ボリュームをどこに回しても,ほとんどひずみ率に変化がありません。さすがです。

 で,結局最終的に得た数値は,0.00046%@1kHz,0.0032%@100Hz,0.00238%@10kHzというところです。100Hzと10kHzは平凡な数字ですが,1kHzの低ひずみはなかなかのものだと思いました。ただ,上手な人が作るとFETでもこのくらいの数値をたたき出すものなので,フォトカプラを使ってこれ,というのはちょっと情けないといえるかも知れません。

 ところで,周波数の安定度はそれなりによくて,0.1%くらいのずれがあるかどうか,という程度です。

(2)歪率計

 フィルタの調整を行ったとき,VP7201Aを使った関係で周波数がどんどんずれてしまうのでうまく出来なかったのですが,今回は発振器が完成しましたから,これで調整をやり直します。

 しかし,調整がとにかく大変でした。ちょっとボリュームに触れるだけで,大きく電圧が変化します。これだけ急峻な特性だとやむを得ないところもありますが,それにしても,時間が経つとじわじわ調整がくるってきますし,もう二度とやりたくないというのが正直なところです。

 調整が終わって,ひずみ率の再測定を行ったのですが,1kHzの0.1%レンジの値が,1%レンジの測定値と大きくずれるのです。ノイズを拾っているようなので,対策をするのですが,原因はリレーにありました。リレーを指で触ると,大幅にノイズが増えて,値が悪化します。そこで,リレーの上に鉄板を張り付けてGNDにおとしてやると,少し収まりました。それでも最終的に2つのレンジで値が一致しないので,まだまだ対策が不十分なのだと思います。

 10kHzと100Hzについては,レンジが異なってもおおむね値が一致するので,これは安心です。もしかすると1kHzの配線が間違っているのかも知れません。その方向でも確認をしてみます。

 ということで,現時点で真空管のアンプくらいは測定出来そうです。でももう少し頑張りたいと思います。

ファイル 505-2.jpg

OP-AMP低ひずみ選手権@自作発振器

  • 2011/08/31 00:06
  • カテゴリー:make:

 今日は思い立って,帰宅後に少し検討をしました。

 自作の状態変数型CR発振器のひずみ率が今ひとつな話は先日書きましたが,その対策としてOP-AMPを変えるとどれくらい改善するかが気になったのです。

 室温は30℃,1KHzで出力はアッテネータなしの約8Vです。OP-AMPは2つ同時に交換し,交換の度に再調整を行うことはしません。ひずみ率測定は先日動き出した歪率計を使いますが,これも室温が30℃になっていますし,調整が完全ではないので参考値として評価すべき値であることを前置きします。

・NJM4580D
 もともと指定されていた,日本を代表するオーディオ用OP-AMPです。4558系の素直な音に,低ひずみが誇らしげな定番品種で,また安いんです。
 この値は,0.00876%でした。先日よりも悪い値ですが,これが一応基準となります。

・NE5532
 便利だけどいまいち,とオーディオ用途では敬遠されがちなOP-AMPが,一気にスターダムにのし上がるきっかけになったOP-AMPです。1980年代に彗星のごとく現れ,4558しか知らなかった中学生の私にはまぶしくて直視できませんでした。当時のオーディオ機器にはよく使われたので,我々の世代は知らず知らずのうちに,このNE5532の音をすり込まれたことになりますね。
 なお,今回のNE5532は,シグネティックス製です(ちょっと自慢)。値は0.00868%です。いいんじゃないですか。

・LM4562
 秋月でもさえも1つ250円という高価な新世代OP-AMPです。圧倒的な低ひずみを誇るオーディオ用で,その評判も固まってきました。流れとしては4558系という事なので,音も私の好みかもしれません。
 値は0.00855%。さすが突出した低ひずみ率を誇る最新OP-AMPです。

・TL072
 TIが生んだ,J-FET入力OP-AMPの定番です。それまで高価だったFET入力OP-AMPを,なんと4558と張り合えるくらいに安価にした立役者です。私も大好きです。
 値はちょっと悪くて,0.00945%です。まあ,こんなもんでしょう。

・OPA2134
 こだわりのバーブラウンが生んだ,オーディオ用途を狙った低ひずみOP-AMPです。NE5532をターゲットにしたと思われるFET入力のOP-AMPですが,オーディオ以外の用途には案外使い道のない,しょーもないOP-AMPと言えるかも知れません。私にとって「BB」といえば,それはもうOPA627であり,それ以外は「その他大勢」ですが,それでも「OPA」で始まる型番には,不思議な神通力があります。なぜか面実装品が数百個あるので,もう一生かかっても使い切れません。
 値は,0.00887%です。あれ,こんなもん?

 うーん,まとめると,今時のOP-AMPはどれも低ひずみで,OP-AMPによる性能差というのは,厳しい条件でないと顕在化しない,ということでしょうか。周波数が高いとか,負荷が重いとか,負荷容量が大きいとか,そういう時に差が出るのは当然として,このくらいならそんなに差はでないんですね。

 世代が明らかに古いTL072が一番悪いですが,悪いと言ってもこの程度です。LM4562とNJM4580Dは秋月価格で5倍違いますが,性能差は(今回のケースでは少なくとも)僅かです。

 ということで,LM4562を使うほどでもないですから,OP-AMPについてはNJM4580Dで行くことにしましょう。ちゃんと調整を行ってやれば,ちょっと結果が変わるかも知れません。その時はまた考え直します。

 うーん,OPA2134がもう少しいくと思ったんだけどなあ。

 ・・・ここから先の低ひずみを狙うには,やはりAGCのFETをなんとかしないといかんということか。手持ちのFETに総動員をかけて試してみて,それで駄目なら回路変更でフォトカプラを考えて見ましょう。

1631Bの調整,VP-7201Aの修理,そして歪率計のとりあえずの完成

  • 2011/08/29 19:30
  • カテゴリー:make:

 この土日は,懸案事項がいくつか進みました。

(1)菊水1631Bの調整

 先日,400kHz-3mVという厳しい値で調整を行うのに失敗をしたという反省から,真面目に600Ω・40dBの減衰率のアッテネータを作る事にしました。

 600Ω・40dBのπ型アッテネータには,30kΩと612Ωの抵抗が必要ですが,手持ちの関係で15kΩの金皮を2本で30kΩ,612Ωは620Ωのカーボンと47kΩの金皮を使いました。標準電圧生成用のアッテネータですから,620Ωについては実測をして619Ωのものを2本選別しました。この際温度特性の悪さは目をつぶりましょう。

 こうして作った40dBのアッテネータですが,思いの外上手くできました。一応500kHzまではフラットなようです。また誤差も小さく,ちゃんと1/100の電圧になってくれています。(せっかくですので分解せずこのまま使う事にしましょう)

 土曜日の夜は涼しかったので調整を決行することにしました。室温はちょっと高くて27度ですが,まあ仕方がありません。

 この調整も何度目でしょうか。すっかり慣れてしまい,手際も随分良くなりました。アッテネータ無しで調整出来るところはさっさと済ませて,いよいよ400Hz-3mVと400kHz-3mVの調整です。

 まず,400Hzで300mVを用意します。この周波数ならマルチメータで測定できるので,300mVにあわせます。このとき負荷に600Ωをぶら下げたいので,1631Bに直結しておきます。

 そしてアッテネータをいれて,マルチメータで3mVになっていることを確認しつつ,オシロスコープでも電圧を読んでおきます。

 ここで1631BのVRを調整し,400Hzで3mVになるようにします。

 次にレンジを切り替え,400kHzにします。アッテネータ無しの状態にもどし,オシロスコープで400Hzの時と同じ電圧になるよう,発振器の出力を調整します。

 そしてアッテネータを入れます。この時,アッテネータの出力からは3mVの電圧が出ているはずです。これを直接測定する方法はありませんが,発振器の出力とアッテネータの減衰率が決まっていますので,その出力も3mVになるはずです。

 そして1631Bのトリマコンデンサを調整し,3mVになるようにします。400Hzと400kHzの調整を何度か行うと,綺麗にどちらの周波数でも3mVを示すようになります。

 いやー,気持ちのいいものです。すっきりです。

 最大の山場をクリアし,残りの調整もさくっと済ませて,予想以上に手早く終了。試しに発振器とつないでいろいろな周波数で測定してみましたが,大きなズレもなく,概ね良好な結果になっています。マルチメータの実効値にあわせてありますので,両者がほぼ一致してくれています。

 マルチメータでは300kHz以上の測定は出来ませんから,それ以上の周波数の電圧については「あってるはず」で使わねばなりません。このあたり,ちょっと自信がないのですが,基本的にはオーディオ帯域向けの電圧計と割り切って,まあ100kHzくらいまでで測定値を信用することにしたいと思います。

 ところで,発振器(VP-7201A)は,ステップ式のアッテネータがついています。VP-7201Aの0dBは1V,1631Bの0dBレンジもフルスケールは1Vですので,VP-7201Aの0dBが1Vになるよう,発振器も調整しました。これで3つの機械が一致したわけです。

 で,VP-7201Aのアッテネータを-20dBにして,1631Bも-20dBレンジにすると,100mVでフルスケールになります。これはほぼ正確です。-40dBでもほぼ一致です。

 しかし,VP-7201Aのアッテネータを-10dBに切り替えて,1631Bのレンジも-10dBにしても,メータがフルスケールである300mVを越えて,振り切ってしまうのです。うーん,1631Bが狂っているのか,それともVP-7201Aがあてにならないのか・・・

 賢明な皆さんならおわかりのように,300mVにしたいなら,アッテネータは-10dBではなく-10.46dBにしないといけません。-10dBにしただけだと3.16Vとなり,3Vを越えるため振り切って当然です。「デシベル」がわかってないなんて,情けなくてorzです。

 ということで,アッテネータを-10.46dBにすると,ほぼ0.3Vを示し,-10dBレンジでもフルスケールになりました。1631Bの場合,-10dBレンジで3.16Vを入れると0dBレンジ(1Vレンジ)のフルスケールを示すようになります。VP-7201Aも1631Bも,ちゃんと10dBを扱ってくれているんですね。安心安心。

(2)VP-7201Aの改良

 これは土曜日のうちにやったことなのですが,VP-7201Aのメインダイアルの改善をおこないました。

 というのも,私のVP-7201Aのメインダイアルは,ぽっきりと折れてしまい,全く動かなくなったことがあるからです。

 減速機構を持つメインダイアルはユニット交換ではないので,修理には壊れた部品を交換するしかありませんが,なにせ専用のメカ部品を使って作ってありますので,素人には修理は無理です。

 減速機構はなくなるけど,つまみでも付けとくか,と思っていたのですが,ダメモトでアキバでバーニアダイアルを買ってきて,無理矢理くっつけたのが,前回の修理でした。

 この時,シャフトの長さの関係で,ダイアルとボリューム軸を繋ぐジョイントを付けることが出来なかったのです。結果,ツマミを回してもすぐに周波数が変わらず,手を離しても周波数の変化が止まりません。ボディエフェクトもあるし,そもそも高価な2連ボリュームに応力がかかってしまっています。

 これはいかんと,もともとついていたジョイントを探しますが,どうも捨てたらしく見当たりません。仕方がないので,タイトカップラをサトー電気に注文しました。

 タイトカップラは,絶縁性の高い磁器の円盤の両側にバネ性のある金属を取り付け,これにシャフトを繋いでやると,左と右のシャフトが電気的にも絶縁され,かつ機械的にも分離できるという優れものです。

 こんな部品,私は写真でしか見たことがなかったのですが,今回初めて買ってみました。このタイトカップラにあわせてボリュームの位置を調整し,上手く間に挟み込むことに成功しました。

 結果ですが,なかなか良い感じです。回転は相変わらずスムーズではありませんが,これはバーニアダイアルの素性なのでやむを得ませんが,ちょっと手で触ったくらいじゃ周波数は動きませんし,手で回せばさっと変化し,手を離せばぱっと変化が止まります。

 こういう問題が解決することはわかっていたのですから,どうしてもともと付いていたジョイントを使わなかったのかと理解に苦しむところですが,当時の私がVP-7201Aをなめていたというのは,事実でしょう。


(3)歪率計をとりあえず完成

 翌日の日曜日には,電源と発振器,そしてBEFだけ出来上がり,あとはアンプ基板と全体の配線を残すのみとなった(しかしこれが一番きつい)歪率計の組み立てをしました。

 おかげさまで,2時間ほどで完成,ややこしいロータリスイッチの周辺もなんとか乗り越えました。

 ただし,この日の室温は30度近くあり,ここで調整を行うのは無理ですので,前回エアコンで25度にしたときの調整をそのまま利用して,暫定的に測定をしてみることにします。

 どうも,時々フィルタが発振したり,ノイズが乗って値が狂ったり,10%レンジで調整不良があって10%レンジでの測定値が大きく狂ったりと,問題がないわけではありませんが,1%レンジでマルチメータを繋げば,歪み率が直読できます。

 VP-7201Aの1kHzを測定すると,0.0012%。0.1%レンジでも似たような値が出てきましたので,これはほぼ実力でしょう。なかなかいいんじゃないですか。100Hzも10kHzもなかなか良いのですが,10kHzについては歪率計の周波数特性が高域で落ちている可能性があり,もし落ちていたら低めに出ますので,これは確認してからにします。100Hzは1桁ほど悪いのですが,これも50Hzのハムが載っている可能性があるので,調べてからにしましょう。

 VP-7201Aがなかなかよかった事に気をよくして,自作の発振器の測定もやっています。ところが,100Hzは発振しない,10kHzは異常発振する,1kHzは結構歪みが大きいのです。

 1kHzを発振ギリギリに調整するとかなり歪みも小さくなりますが,この時10kHzが異常発振します。そこで収束時間の調整を行うとなんとか異常発振が収まりました。しかし相変わらす100Hzは発振せずです。

 100Hzが動作しないのはハンダくずによるショートか異常発振か,まあなんかだろうと思っていましたが,OP-AMPを指で触ってみると,あっちっちです。発振を疑ったのですが,オシロスコープには何も波形は出ていません。電源電圧は+15Vが1v近く下がっています。これはおかしい。

 ハンダくずのショートを確認するために,ネジを外して基板を裏返し,目視で確認しますが問題はありません。このまま通電すると,なんと100Hzが機嫌良く発振しているではありませんか。


 ますと,金属製のスペーサが100Hzの回路の一部に接触していて,ケースと繋がっていました。OP-AMPの出力がGNDに落ちてしまい,それで発振が止まってOP-AMPが発熱,電源電圧も下がってしまったんですね。

 こういうストレスがかかった部品を計測器に使うというのもどうかと思うのですが,気を取り直して再調整,そして測定です。

 100Hzと10kHzは前述の理由で後日計り直しますが,1KHzについては0.0063%でした。まあ,悪くない数字ですが,VP-7201Aに比べて6倍も悪い数字です。100Hzでの発振を無視するのなら,0.0002%くらいまで下げることが出来ることは確認したのですが,これでは1kHz専用になってしまいますからだめです。

 もう少し良い数字が欲しいですから,この発振器の改造も視野に入れて検討したいと思います。やるべき事は2つ。1つはOP-AMPをもっと低歪みなものに交換することです。現在のNJM4580Dもかなり良いOP-AMPですが,これを例えば同じく低歪みで知られるOPA2134(手持ちがあります)にするというのも手です。ただ,面実装品なので変換基板を作らないといかんですね。それに,オーディオ用と狙ったOPA2134は,案外こうした用途には弱かったりします。NE5532や実はTL072なんかの方が良かったりしますので,これはもうやってみるしかありません。

 もう1つは,AGCにJ-FETを使わず,フォトカプラを使う方法です。これはもう回路が違った物になるので,真面目に検討しないといけませんが,もし歪みが減ったらいいなと思います。

 実は,AGCのJ-FETは,同じ品種,同じランクのFETと差し替えても歪み率が変わるくらいのものなのだそうです。言ってみれば当てずっぽうという気もしますが,それがFETを使った回路の限界と言うことかも知れません。だから他のFETに交換するだけで結果が大きく変わる可能性もありますが,それならいっそのことフォトカプラに交換してもいいかな,と思っています。

 どちらにしても,歪率計がちゃんと信用出来るようにならなければいけません。まだまだやらねばならないことがありますが,これまで見えなかったデータが見えるようになるというのは,なんと面白いことかと思います。

 完成したら,いろいろやりたいんですよね。先日作ったHT82V739のアンプやら,先日メンテしたばかりのMOS-FETアンプ,300Bのシングル,6V6シングル,5998プッシュプルなど,作ったアンプの素性を調べたくて仕方がありません。

夏だ!一番電子工作祭り!

  • 2011/08/22 18:32
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 先週はまるまる1週間,夏休みでした。

 私は学生時代はフルタイムで働いていたので,夏休みなどはありませんでした。そういう意味では,丸一日家に閉じこもって,好きなことをただひたすらやるだけの生活をこれほど毎日堪能した夏休みというのは,実に高校生の時以来だと言えます。

 社会人になってから,これほど印象深い夏休みになったことは,私にとって大きな意味を持ちます。

 というわけで,この長い夏休みの成果を列挙しようと思います。この夏休みのテーマは「夏だ!一番電子工作祭り!」でした。いやー,中学生以来だなあ。


・松下 RC低周波発振器VP-7201Aのメンテ

 VP-7201AはRC発振器の癖に,なかなかの低歪みをたたき出す,当時の定番でした。出力レベルが0.1dB刻みのアッテネータで調整出来ることもなかなか素晴らしいのですが,10年ちょっと前に私の手元に来たときには満身創痍。

 周波数調整用のダイアルは根本から折れてしまい,アキバで売っていたバーニアダイアルを分解して取り付けてなんとか修理をしましたが,徐々に100Hz以下で発振しにくくなってきたのと,各レンジの4xから5xあたりで突然発振が止まるなどの問題を出していました。

 もともとRC発振だし,どうせ歪み率も0.1%くらいだよ,と調べもせずに放置していたのですが,偶然仕様を見たところ,なんと1kHzで0.002%を実現していました。うーん,このだと修理しないともったいないですね。

 回路図が手に入らなかったので,回路をざっと見た限りですが,状態変数型の発振回路で,フィードバックにモリリカのMCD521という有名なフォトカプラを使って,低歪みを実現しているようです。トラッキングも管理された2連ボリュームも奢られています。現在でも中古品が15000円以上するということからも,この手の発振器としては,なかなか良くできた人気機種です。

 とりあえず,劣化していると思われる電解コンデンサを全て交換しました。交換して見ると,足下から電解液を出しているものも多数見つかりました。危ない危ない。

 電源を入れてみるとさっと発振を開始して,壊れている様子はありません。オシロスコープで波形を見ると,波形も綺麗です(まあ0.5%でも目視で分かるほど歪みはしませんが)。

 100Hz以下での発振も安定していますし,なんといっても面倒だった4xから5xでの発振が止まりません。電解コンデンサを交換しただけで,これだけ状況がよくなるとは,ありがたい話です。

 この勢いで調整まで済ませてしまいたい所ですが,サービスマニュアルが手に入らなかったのであまり適当にいじるとかえって状況を悪くします。とりあえず電源電圧を測定して出力レベルを校正(0dB = 1.0V),DCオフセットを0Vにしてから,フォトカプラのフィードバックを調整してギリギリ発振するところを狙っていきます。こうすると歪みが小さくなるのです。

 10Hzと500KHzで同じレベルになるように,それらしいトリマやらボリュームをちょっとずつ回していきます。あとは,レンジを切り替えたときに,2,3かい程度で振幅があるレベルに終息してくれればそれでもう大丈夫。

 歪率計がないので,私ができる事はここまで。後述する自作の歪率計が完成したら,まず調べてみたいですね。


・菊水 交流電圧計1631Bのメンテ

 中越地震の日に蒲田のカマデンで買った1631Bです。平均値を正弦波の実効値で目盛ってあるなんちゃって実効値電圧計ですが,見やすいアナログメータに-80dBまで測定出来る高感度,それに見た目にかっちょいい(これとオシロスコープを並べておくと,大体の素人は「おおおー」と声を上げます)ので,なくてはならない測定器です。

 これも電解コンデンサを交換しましょう。こちらの電解コンデンサはそんなに劣化している様子はありません。もともとそんなにおかしな動作をしていたわけではないのですが,菊水のホームページで取説と調整法も手に入ったことですので,調整をしてみます。

 詳しい手順は書きませんが,実はなかなか難航しました。まず,基準となる電圧計を決める必要がありますが,実効値が測定出来て1MHzあたりまで帯域が伸びているのは,先日購入したDL2050だけです。これを信じるしかありませんが,考えてみると長い単線で繋がった電圧計が,特に高域かつ低レベルの状態で正確な値を表示するとは思えず,発振器の正弦波を測定しているのやら,ノイズを測定しているのやら,わからない状態でした。おかげで,400KHz・3mVでの校正で調整範囲を超えてしまい,作業を翌日に持ち越す羽目になりました。

 ずるい方法なのですが,発振器からは1V程度とノイズの影響を受けにくい電圧を取り出し,外部に用意したアッテネータで3mVを作る事にします。400Hzで3mVになれば,400kHzでも3mVになるはずと言う間接的な方法に頼ることにしました。

 調整をしてみると,なんとなくそれらしい値を示すようになり,各レンジ間でのバラツキも小さく収まっています。DL2050のようなデジタルメータに比べて読み取り誤差が大きいと言われるアナログメータですが,ほんの少しの変動でも針が動くので,正確な値は分からなくても相対的な状態の確認には,やっぱりアナログがよいなあと,再認識しました。

 とはいえ,やっぱり400KHzの3mVなんてのは,なかなか素人では用意が難しい信号です。今回の校正の結果としては,実用になるのは可聴帯域である20KHz位までだなと,ある程度割り切って使う必要があるかも知れません。


・ハンダゴテのパイロットランプ増設

 私はハッコーの936というハンダゴテを使っていますが,このハンダゴテの欠点の1つが,通電中を示すランプがないことです。唯一のLEDはコテのヒーターがONの時に点灯するものなので,電源が入っていても消えるときがあります。

 実は先日,一晩電源が入りっぱなしだったことがありました。しっかりしたコテ台もありますし,滅多なことはないと思いますが,先日オシロのプローブを溶かしたこともあり,ぞっとしました。

 そこで,切り忘れがないよう,目立つパイロットランプを用意することにしました。穴を開けてLEDを増設する手もありますが,基板から直流電源を探し出すのも面倒なら,その改造で特に安全性に影響がないとも限りません。

 そこでAC側で光るネオンを使います。また,私は936の本体を,電源スイッチが上に来るように横に倒して使っています。このスイッチをネオンランプ内蔵型にすれば,綺麗に収まりますね。

 偶然,手持ちに同じサイズの波動スイッチで,ネオンランプ内蔵型がありました。2回路タイプですので,2極を同時に切ることができて安心ですし,抵抗とネオンランプも配線済みですので,スイッチを取り付けるだけで光ってくれます。これ,また買っておこう。

 1時間ほどの改造で,どこにも穴を開けずに,目立つパイロットランプを取り付けることが出来ました。切り忘れはありませんが,トイレに行くときもこまめに電源を切る癖が付きましたし,チラチラとパイロットランプを見ることも多くなったので,この改造は本当にやって良かったと思います。


・安定化電源器の検討

 小学生の時に,共立電子のキットで作った1-14V・3Aの安定化電源器は,今でも重宝しています。精度やノイズ,安定性,電流の制限機能がないなど,それほど高いスペックではありませんが,普段使っていて特に問題を感じません。

 ただ,よく使う電圧調整用のボリュームが16型の安物で,25年も交換していないので,気になっていました。

 偶然,30型の2kΩで日本メーカーの高級品を手に入れたので,これに交換しようと思ったのですが,もともと10kΩですので,無改造というわけにはいかんでしょう。

 当時の説明書をみると,5kΩのボリュームが入ったキットもあったようで,その場合にはある抵抗の値を変えるようにと指示がありました。

 まあなんとかなるだろうと2kΩにしてみましたが,電圧可変範囲が狭くなり,ちょっと使い物になりません。さらに手持ちを探して24型の5kΩを見つけ,説明書通りに改造しましたが,やっぱりだめです。

 基板も古くなっており,簡単にパターンも剥がれてしまうので,無理に改造をしないで,潔く10kΩのボリュームを買って来ることにします。この時,同時に電解コンデンサも交換することにしましょう。


・GPS時計の改良

 以前,GPSモジュールを使って時計を作ったわけですが,私の作例ではLCDに大型のものを使いました。このLCD,大型は結構なのですがバックライトがなくて見にくく,結局見る事がなくなっていました。

 そこで手持ちの,バックライト内蔵の物に交換することにしました。秋月で売られている,白色LEDバックライトで,文字が白抜きになるやつです。

 抵抗を入れていたのに,勘違いして電源直結でLEDに過電流が流れて大ピンチ,とか,さすが鈍くさい私だなと思うような事故も起こしつつ,1時間ほどで作業完了。おかげでとても見やすく,作業台に置いてもさっと視線を動かすだけで正確な時刻がわかります。これも改造して良かったと思います。

 それにしても,雑誌に出ているGPS時計の作例は,相変わらず1PPS出力のないGT-720Fばかりです。これで原子時計の精度!なんていうのは超ウソっぱちだと思うのですが,そういう意味では最近の電子工作の世界は,とてもレベルが下がったなあと思います。そういえば,「最先端の有機ELを使った工作」といいつつ,実は発光原理も歴史も異なる無機ELを使った工作だった,という詐欺まがいの素人工作も雑誌に出ていました。

 そういうならおまえが雑誌に載せろ,となるわけですが,機会さえあればぜひやりたいです。アマチュアの心を知るプロのエンジニアが最大の配慮を行ってウソのない電子工作を行うとどんな物が出来るか,見せてやりたいところです。ふふ。


・歪率計の自作

 テスター,オシロスコープ,低周波発振器,そして交流電圧計が手に入り,オーディオ機器の自作が一通り出来るようになると,次に欲しくなるのは,歪率計です。文字通り歪みを測定する測定器ですが,これは系の直線性を確かめるために必要で,他に代用品がありません。

 原理は簡単で,例えば1kHzの正弦波を系に突っ込み,出てきた信号に1kHz以外の周波数の成分が出てきたら,それがすなわち系の非直線性から生まれた,いわゆる「歪み」の成分です。

 そこで,歪みを含んでいない系への入力の信号をある電圧に決めておき,系からの出力信号から1kHzをフィルタでカットして,その電圧を測定してから,入力の電圧との比率を出してやると,歪み率が求められるというわけです。

 とはいえ任意の周波数で歪み率を測定出来るようにするには,周波数の可変が可能な低歪み発振器と,カットする周波数を可変出来るフィルタを用意しなければならず,しかも測定時にはこの周波数をぴったり同調させなければならないので,操作がとても大変です。

 これらを自動化した測定器が「オーディオアナライザ」と呼ばれるもので,特にCDが登場してからの低歪みアンプを測定するために,新しいオーディオアナライザはとても高性能な発振器とフィルタを内蔵しています。

 しかし,このオーディオアナライザは新品を買えば軽く100万円,中古でも20万円近くします。最近安くなったとはいえ,それでも10万円程度は最低覚悟しないといけない測定器の最後の砦なのです。

 それでいて使用頻度は低く,アンプを作ったときに1度か2度使うだけ,と言う状況ですから,価格もそうですし置き場所ももったいないです。そこで自作という話になるわけです。

 私の場合,トランジスタ技術の2000年6月号に掲載されたものを,そのまま作る事にしました。ここまでの高性能なアナログ回路をきちんと設計して製作できるほどのスキルは,私にはありません。

 この回路は,100Hz,1kHz,そして20kHzの3ポイントの歪み率を測定出来るもので,最小レンジは0.1%です。0.1%レンジで1Vを示せば0.1%ですから,もし100mVなら0.01%,10mVなら0.001%,1mVならなんと0.0001%まで測定可能です。

 ただし,20kHzよりは10kHzの方がありがたいので,ある方の改造例を参考させて頂いて,10kHzに回路を変更しました。

 同時に低歪みの発振器も必要なので,これもトランジスタ技術2003年7月号のある発振器を作る事にしました。抵抗とコンデンサをロータリースイッチで切り替える事にし,必要な3つの周波数を発振できるようにしました。フィードバックの電圧制御抵抗にJ-FETを使っていますので,実はVP-7201Aの方が低歪みかも知れません。

  3年ほど前からコツコツと部品を集めてありましたが,なにせ部品点数も回路規模も難易度も過去最大級の工作です。時間が取れないという理由で尻込みし,なかなか取りかかることが出来ませんでした。

 そこでこの夏休みを使って,作ってしまおうと考えたのです。

 しかし,実に手強い相手でした。1枚の基板にフィルタが3つ,これが3つの周波数で9個の回路ブロックが存在します。これにリレーを使った全体のコントロールブロックにプリアンプと出力バッファ,そして電源回路に発振器と,基板の数は全部で6枚,すべて手で配線です。

 1日6時間頑張っても,最終日までに完成しませんでした。

 結局出来たところまで,ということになりますが,ケースの穴開けは完了,各周波数のフィルタは動作確認と調整を完了してあり,あとはコントロールブロックの動作確認と配線を行えば,一応完成となります。

 実は残った作業がなかなか面倒で,時間がかかります。週末にコツコツとやっていくしかないですね。


・低歪み発振器の製作

 先程のひずみ率計のケースに内蔵する,低歪み発振器です。先に書きましたが,トランジスタ技術の2003年7月号に掲載された回路で,状態変数型の低歪み発振器です。

 3つの周波数を切り替えられるようになっているのですが,アッテネータは面倒くさいので普通のボリュームを使っています。

 ただ,周波数の調整と歪み率の調整については,バーンズと東京コスモスの多回転型を奢りました。こういうのを使うのが,夢だったんだよなあ。

 基板が狭かったせいで無理な配線を強いられてしまい,安定して動くか心配になりましたが,いくつかの配線ミスを修正すると,スパッと発振してくれました。周波数の調整は多回転ボリュームのおかげでなかなかうまくいきそうです。

 あっさり動いてしまいましたが,オシロスコープでの波形を見る限り歪みもなく,かなり期待できそうな感じです。歪率計が組み上がったら,この発振器の歪率を測定してみたいと思います。


・ん,まてよ?

 これを書いていて気が付いたことがあります。

 1kHzの正弦波が0.9V,2kHzの正弦波が0.1Vの波形があったとします。1Vのこの波形の歪み率は,(0.1/0.9)*100=11.1%です。これが高調波歪み率の定義に従った真の値です。

 この波形を,自作の歪率計に入れてみますと,1kHzと2kHzの和である1Vを分母に,2kHzの高調波である0.1Vを分子にして,(0.1/1.0)*100=10%となります。1.1%もズレが出るのですね。

 測定器で有名なエヌエフ回路ブロックのホームページの解説を読むと,この方式の歪率計では,30%以上の歪率では誤差が大きくなるとあります。1kHzが0.9V,2kHzが0.3Vだったら真の歪み率は(0.3/0.9)*100=30%ですが,これが自作の歪率計では(0.3/1.2)*100=25%となります。なるほど,5%も少なめに出てくるとさすがに問題ですね。

 では,0.1%あたりだとどうでしょうか。1kHzが0.999V,2kHzが0.001Vとすると,真の歪み率は(0.001/0.999)*100=0.1001001%です。自作の歪率計では(0.001/1.000)*100=0.1%となり,その差は0.0001001%とごくわずかです。これなら無視しても構わないでしょう。

 同じように1%だとどうでしょうか。1kHzが0.99V,2kHzが0.01Vとすると,真の歪み率は(0.01/0.99)*100=1.0101%です。自作の歪率計だと(0.01/1.00)*100=1%で,その差は0.0101%です。まあ,このくらいなら読み取り誤差に埋もれてしまうでしょう。

 次に,真の歪み率が0.01%の信号を使って,0.1%の歪み率の系を測定するケースを考えます。

 まず0.01%の信号ですが,1kHzが0.9999V,2kHzが0.0001Vの波形の真の歪み率は0.0010001%です。自作の歪率計では0.01%となりますね。その差はわずかです。

 測定対象の系の歪み率は0.1%です。これは1Vの1kHzを入れると,2kHzが0.001V発生する系です。

 この系に,0.01%の信号を入れて見ます。1kHzは0.9999Vのまま変わりませんが,2kHzは0.0001V+0.000999V=0.0010999Vになります。真の歪み率は0.110001%,自作の歪率計では(0.001099/1)*100=0.1099%となります。両者の差はごくわずかですが,本来0.1%となって欲しいところが,発振器の歪みである0.01%がのってしまいました。

 まあそれでもこの程度なら許せるでしょう。では0.1%の発振器しか手に入らなかった場合はどうなるでしょうか。

 同様に計算をします。1kHzが0.999V,2kHzが0.001Vで,真の歪み率は0.1001%です。自作歪率計では0.1%です。

 これを0.1%の歪み率の系に入れると,2kHzは0.001999Vになります。1kHzには変化はありません。よって真の歪み率は0.2001%となります。自作の歪率計では0.1999%です。同じように,両者の差はほとんどありませんが,発振器の歪みがそのままのってくるため,実際には0.1%の系が0.2%と測定されてしまいました。

 ノッチフィルタを使った歪率計など,私はほとんど使ったことがありませんから,測定結果が真の値からどのくらいずれるのかを意識したことなどありませんでしたが,今回の自作歪率計を使いこなすには,このあたりもちゃんと整理しておくべきでした。

 結論としては,

(1)今回自作する歪率計は,分母に入力信号の電圧がそのまま入るため,高調波の電圧も含んでいる。本来の歪み率の定義から考えると分母には基本波のみの電圧が入るべきであり,この歪率計は正確な歪み率を測定できない。

(2)高調波が分母に含まれるとは言え,低歪みな信号ならその量は少なく,1%以下の信号なら歪み率の誤差は無視して良い。

(3)しかし30%を越えるような大きな歪み率の場合には,分母の値が大きく変わってくるので,実際の歪み率よりも小さく出るようになり,その誤差も無視できなくなる。

(4)今回自作する歪率計は,発振器とフィルタの間に挟んだ系で発生した高調波だけを測定するわけではないので,発振器そのものの歪み率を測定することも可能。

(5)系が発生する高調波は,発振器の高調波に加算されて測定されるため,発振器の歪み率以下の値を測定することは出来ない。従って入力される発振器は十分に低歪みである必要がある。


 どれも考えてみれば当たり前のことですが,では誤差が実際にどのくらいになるのか,発振器の歪みをどう考えればいいのかどうか,など,モヤモヤしたまま測定するのはよろしくありません。原理を知り,回路を知り,結果を知る。測定器自作の醍醐味というのは,実はこのあたりにあるのかも知れませんね。

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