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MC昇圧トランスを初めて使ってみる

  • 2007/03/05 15:16
  • カテゴリー:make:

ファイル 108-1.jpg

 MC昇圧トランスを組み立てて,使ってみました。

 少し前にも書きましたが,もともとこのトランスは秋葉原のノグチトランスが2号店を出店したときの開店記念セールの1つに用意されていたもので,製造はタムラ,型番はSTU-83TWINというものです。

 1つのケースに2ch分のトランスが入っており,これ1つでステレオになります。価格は1万円だったのですが,これは安いとばかりに買っておくことにしました。(今はこの商品そのものが売られていないようです)

 忘れないように,この昇圧トランスのスペックを書いておきます。

Primary 3Ω,40Ω
Secondary 4KΩ
周波数20~50KHZ(±1dB)
パーマロイコア使用
L/R 2つのトランスを1つのケースに入れハイCPの実現
磁気シールドケース入(3重シールド)
概略寸法Φ31.5X78
リード線引き出し

 トランスから直接リード線が出ているので,これをピンジャックとロータリスイッチにハンダ付けをしていくだけで完成ですから,設計とか検討とか,そういう難しいことをする必要はありません。

 とはいえ,こういうパッシブな装置で,かつ0.3mVなどという微笑信号を扱うようなものは作ったこともありませんから,特にアース周りの処理をどうやったらいいものか,自信がありません。

 迷っていても仕方がないので,GNDに落とすのはトランスのアース線だけにして,コイルの巻き始めについてはアースに落とさず,シールド線のアース側を使ってピンジャックのアースにくっつけます。良くも悪くも,トランスのコイルはアースから浮いているわけですが,トランスのシールドやケースはGNDに落ちていますから,ハムが出ることはないでしょう。

 ところが出ました。

 いや,トランスを通る経路では出なかったのですが,MMカートリッジを使う場合もあると思って用意したロータリースイッチでバイパス回路を設けたところ,バイパスにした時にはシールド線のアースがGNDから浮いてしまう事になり,盛大なハムが出てしまいました。

 これでは使い物になりません。

 そこで,ケースにアース点を決めて,そこにアースを集めてみました。あまり気が進まなかったのですが,トランスの巻き始めもアースに落としてしまいます。

 これでハムはほとんどでなくなりました。それでも少しブーンといっています。

 原因は,近傍に置いたイコライザアンプの漏洩磁束でした。仕方がないので30cmほど離したところ,すっかりハムは消えました。

 この時,トーンアームとターンテーブルのアース線を,先にMC昇圧トランスのアースにつなぎ,そこからイコライザアンプのアースにつないだのですが,なんとAMラジオが聞えて来ました。アース線がアンテナになってしまったんでしょうかね。

 こんな初歩的なトラブルを起こすなんてまるで中学生だなあと情けなくなりながら,トーンアームとターンテーブルのアース線をイコライザアンプにつないで見たら,ぴたっとおさまります。

 ことよどさように,アースというのは難しいものです。私は未だに手を焼いています。

 さてさて,早速聴いてみましょう。カートリッジは唯一のMCであるAT-F3/2です。

 まず,MC昇圧トランスとバイパスし,イコライザアンプのゲインをMC側に切り替えてみます。まあ,前回感じた印象のままですね。ハムは結構多めで,曲間にはブーンといっているのがわかります。

 さて,ゲインをMM用に下げて,MC昇圧トランスを40Ωにしてみます。えらいもんですね,一瞬で違いが分かるほど劇的な差があります。

 トランスを通すと,明かに高域側にレンジが広がり,ハイハットが歪まずに前に出て来るようになります。ボーカルにも華やかさが出てきて,全体的に高域の情報量が増加した印象です。(少々ざらつきがあるようにも感じますが)

 イコライザアンプのゲインを上げると,すすっと奥に引っ込み,平面的になってしまいますが,華やかさがなくなった分上品にまとまったように思います。

 これは比べてみれば,というレベルではなく,明かな違いとして分かるレベルなのですが,やはりトランスによる味付け,ということになると思います。

 まあここまでは好みの問題で良いのかも知れませんが,問題はハムとノイズの量です。トランスを通すとハムもノイズもほとんど聞こえないレベルになります。イコライザアンプのゲインを上げて使うと曲間でハムに気付くくらい,ノイズも耳障りになる状況でしたから,この差は非常に大きいです。

 イコライザアンプは,電源トランスを内蔵しているため,漏洩磁束による影響がかなりあるのでしょう。ゲインが40dB以上もあるアンプに入り込めば,結果は明かです。分かっているんですが,なかなか面倒臭くて対策をしてません。

 ということで,高域側のワイドレンジっぷりがよりはっきりするMCトランスを用いた方が,音でもノイズでもハムでも,(私にとっては)有利という結論になりました。

 MC昇圧トランスは,MCカートリッジとの相性が随分とあるといいます。高価なトランスだともっといい音がするんじゃないかなあと思ったりもするのですが,カートリッジが1万円程度の安いものですので,実は今の組み合わせって,そんなにアンバランスではないんではないかとも思うわけです。

 MCカートリッジの出力は1mV未満です。ノイズまみれになってしまうんじゃないかと覚悟をしていましたが,トランスをつかってやればもうMMカートリッジ並です。こんなにいいものなら,もっと早くに試しておけば良かったです。

 それで,随分気をよくした私は,手持ちにあるLPレコードをぱぱっと4枚ほど聴いてみました。先日もLPレコードを聴いて楽しかったわけですが,今回は音質も変わって,さらに楽しくなりました。

 それで,ちょっと思い立ってイコライザアンプの電源トランスを交換してみることにしました。

 これまでは,24Vのトランスを使って,AC24Vを整流,3端子レギュレータ安定化してDC24Vを作っていました。電流が小さいからこれでもなんとかなっていますが,ACの電圧はもう少し欲しいところですね,本当のところは。

 手持ちにクリスキットのAC30Vのカットコアコア電源トランス(Uniteシール付きというのが笑えます)があったので,これに交換をしてみます。ひょっとしたら漏洩磁束も減ってくれて,さらに3端子レギュレータの入力電圧が上がったことでリップル除去比も上がって,ゲインを上げた状態で出ているハムもぐぐっと下がるかも知れません。

 何分古いトランスなのでちょっと不安でしたが,とりあえず問題はなさそうです。

 結果は,残念ながらあまり変わりません。まあトランスを変えたくらいでハムが取れてくれれば苦労はしません。そんなに甘いものではないということでしょう。

 まあ時間が出来たときに頑張ってみます。

とりあえず直ったオシロスコープ

  • 2007/02/28 14:40
  • カテゴリー:make:

 オシロスコープが直りました。いやー,助かりました。

 アナログ技術の粋を集めたこの頃のオシロスコープを修理する自信はなく,直せても校正が出来ない以上は使い物にならんなと,買い換えを真面目に考えていました。

 あるお店で,アジレントの2ch,60MHzが12万円。もちろん新品。私はアジレントのオシロが使いやすくて好きなので,これを機会に買い換えるのもよいかと思っていましたが,60MHzというとデジタル回路のタイミング測定をする場合,6MHz程度しか見る事が出来ません。さすがにこれでは,PICマイコンのデバッグも出来ません。

 最低200MHzと考えると,これがあまり安くないのです。そう考えると,古いとはいえ,アナログとはいえ,これまで使っていた2465Aが高級機であったことをしみじみと感じます。

 とりあえずサービスマニュアルと入手して,トラブルシューティングです。電源が入らない場合に確認すべきチェックポイントを順番に見ていくと,電源スイッチの直後に電圧が出てこないことが分かりました。

 スイッチの前は電圧が出ていますので,これはもうどう考えても電源スイッチの不良です。

 こういう機構部品が壊れてしまうなんてあるのかなあと半信半疑で基板を取り出し,テスターであたってみると,やはり導通がありません。

 間違いなかろうと基板から取り外してもう一度確認してみますが,やはり導通がありません。ピン配置が特殊なのかも知れないと思って,スイッチを捨ててしまう覚悟で分解します。

 すると,恐ろしいことが・・・

 ピン配置は私の想像と違っておらず,導通がないのは間違いありませんでした。それはいいのですが,接点の周りが真っ黒に煤けており,しかも固着して全く動かなくなっています。それでレバーを動かしても導通しなかったわけです。

 代わりのスイッチに交換するのが安心できる修理ではあるのですが,基板取り付けタイプのスイッチは寸法が一致しないと交換が難しく,また手持ちもないため,このスイッチの再利用を検討することにしました。

 固着した可動側の接点をまず取り外します。幸い,固着していたのはスパークによる金属の融解ではなく,どうもケースのプラスチックモールドが溶けていたのが原因のようです。

 なにが直接の原因かは分かりませんが,固定側の接点と可動側の接点の間が少しずつ開いていき,スパークが徐々に大きくなっていったのだと思われます。その結果接点温度が上昇し,固定側の接点がケースにめり込むようになり,溶けたプラスチックが固定側の接点を固着させたのだと思います。あたりが黒くなっていたことや,接点の中央部がへこんでいたのを見ると,かなり激しくスパークしていたようです。よくもまあ,火事にならなかったものです。

 次に固定側の接点を見てみますが,こちらはかなり傷んでいます。NO-COM-NCのモーメンタリータイプなので,使っていない方の接点と強引に入れ替え,新品にします。

 固定側の接点も使っていない側にするため入れ替えて,これで一応接点は新品同様となりました。

 プラスチックモールドが少し溶けているのでこれを削って整え,元の通りに組み立てます。テスターで調べてみるとうまく直ったようです。接触抵抗も低く,2接点で揃っています。

ファイル 107-1.jpg

 これは修理後の写真です。2465Aは,このスイッチを本体後方に下向きにマウントしてあり,フロントパネルの電源ボタンから長いレバーを使って操作しています。それで今ひとつ操作感が悪いのです。

 直ったと思われるスイッチを,もとの基板に戻して組み立てます。そしてドキドキしながら電源を入れてみると,うまく直りました。

 半導体やその他の電子部品の破損でなかったためにとても簡単に修理ができたのですが,故障の原因といい修理の手順といい,まさに扇風機か換気扇を修理するかのような低次元のお話でした。

 この修理が終わってから,もう1つ検討しようと思っていたトラブルがありました。リードアウトの表示が安定せず,画面上でチラチラと動くのです。

 最初は時間が経つとなっていたのですが,ここ最近はずっとなっていました。波形そのものはしっかり安定して表示されていますので,リードアウトの回路の接触不良か,リードアウトの表示を垂直方向の出力に混合する部分の問題だろうと思っていました。

 ところが,今回の修理後,その問題がぱったりと出なくなってしまったのです。

 時間が経つと出るかも知れないと1時間ほど放置しましたが全く問題なし。安定して綺麗に表示がなされています。

 ここで推論です。リードアウトの回路は,実は電源器版の近くに列んでいて,しかも電源スイッチのまそばにあります。

 もし電源スイッチの内部でスパークが起きていたら,ここでかなり大きな電磁波が発生していたでしょう。これがリードアウト回路に飛び込んで,表示が乱れていたという可能性がありそうです。

 それなら他の回路,特に波形表示の回路にも影響があるんじゃないのかと思うでしょうが,2465Aの場合,リードアウトの回路以外はなんらかのシールドがなされており,電磁波の影響はかなり小さくなっているのです。

 もちろん多少の影響はあったと思いますが,リードアウトに比べて小さかったために目立ちにくかったのでしょう。

 そう考えると,リードアウトの表示が乱れている間,ずっとスイッチ内部ではスパークを続けていたんですね。本当に恐ろしいことです。もし揮発性の薬剤などで充満していたら,ドカンと爆発してこっぱみじんでした・・・

 そんなわけで,とりあえず修理は完了しました。新しいオシロスコープを買う必要もなく,これまで問題だったリードアウトの表示も完治して,万々歳です。

 ついでにDIAGで使用時間と電源投入回数を見てみました。使用時間は約4800時間,電源投入回数は約2800回。結構使い込んでありますね。

 スイッチはさすがに不安ですし,一度起きたことは必ずもう一度起きるものなので,代わりになりそうなものを気をつけて探しておきます。使えそうなものが見つかったら交換してみたいと思います。

 さて,それで一通りのチェックを続けていたのですが・・・どうも垂直軸のDCバランスが悪いようなのです。校正なんて10年以上前にやってそれっきりですから,当然と言えば当然です。

 2465Aには,自動でDCバランスを校正する機能があります。問題があればエラーが出るので,校正後にエラーが出なかった今回も安心していたのですが,VARつまみを回してみると輝線が0.8div位下がってしまいます。

 悪いことにch1とch2で落ちる量が違ってしまっており,明らかにおかしいです。

 VARつまみをロックしてレンジを切り替えれば,仕様通り±0.2div以内の変動に収まっていますから,自動校正機能そのものは正常に動いているようです。VARつまみの回路がどのようになっているかによって,故障なのか調整が狂ったのか,それともこんなものなのか,判断出来るはずです。

 ということで,もう一度サービスマニュアルに目を通して見たのですが,結論から言うと「こんなもの」だそうです。

 VARつまみをロックしてレンジを切り替えた場合の変動は±0.2div以内だそうですが,VARつまみを回した場合の変動は,1div以内であれば良いのだそうです。

 ch1もch2も1div以内の変動なので,仕様通りということになります。ちょっと気持ち悪いですが,仕様という事なら調整をすることも出来ませんし,またその必要もないでしょう。

 ちょっと釈然としませんが,一応これでオシロスコープの件は終了とします。

一難去ってまた一難

  • 2007/02/26 14:17
  • カテゴリー:make:

ファイル 106-1.jpg

 300Bのシングルアンプの再組み立ての作業が昨日に終わりました。

 2月12日に秋葉原にシャシーを買いに行き,翌日から部品のレイアウト検討,けがきを済ませ,翌週の土日に穴開け,塗装を行ったことは以前にも書きました。

 そして25日に,ようやくすべての配線と動作確認が終わりました。

 今回の改良点は,300Bのフィラメントを安定化するという点です。5V1.5Aが必要なので,TO220パッケージで安価な7805など1Aクラスの三端子レギュレータは使えません。

 ところが,可変電圧型のLM317が実は1.5AまでOkということを知り,たくさんある手持ちから2つ用意して,使ってみることにしました。

 電圧の設定抵抗は680Ωにしました。計算では4.8V位になっているはずです。

 仮に入力電圧を10V,出力を4.8Vとしてその差は5.2V,ここに1.5Aが流れますので7.8Wの熱が発生することになります。これだと10W/℃の放熱器が最低ラインですが,とりあえずシャシーに取り付けて様子を見ようと思います。

 最初は6.3Vの巻線を使ってみたのですが,当然のようにリップルが取り切れません。今回のトランスは適当な電圧の巻線がないので,5V巻線を直列につないで10Vの巻線と相当の状態にして使い,ようやくリップルが綺麗に取れるようになりました。

 おかげでハムもかなり低減され,貴重な300Bがやや低い電圧で動作させられるようになったことや,ACラインの電圧変動に対しても安定化されることにも,安心感があります。

 さて,一通りの動作を行ってから,測定をおこないます。

 オシロスコープの電源を入れてみたのですが,なんと,壊れていて電源が入りません。なにをやっても動作せず,ファンも回ってくれません。これはかなりショックでした。

 しかし,このまま測定もせずに使うわけにもいきません。波形を見ることが出来ませんが,とりあえず電子電圧計だけで測定を始めます。

 周波数特性は1W時で21Hz~22.38kHz(-3dB)。無帰還のアンプとしてはこんなものでしょう。ダンピングファクターは1W/1kHzで3.077。これも三極管の無帰還シングルならこのこのくらいですね。

 歪率は測定器がないのは測定できません。波形を見られればおおよその見当もつくのですが,今回はそれも出来ません。

 ですから,最大出力も測定出来ず。無帰還のアンプですので,出力が飽和する点が見極めにくく,やはりこれも波形を見ないと分からないと思うのですが,前回測定した8.3Wくらいの電力は出ている感じです。

 夜だったので短い時間だけですが,音出しもしました。手前味噌ですが,やはり直熱三極管のシングルは,とても心地よい音を出しますね。

 一回り小さなシャシーに組み立てましたが,熱の問題も心配するほどではなく,三端子レギュレータもきちんと動作をしているので,これで完成とします。

 しかし,小さくなったとはいえ,スピーカの近くに行けばハムが耳につきます。アースポイントが問題なのか,電源トランスからの誘導なのか,原因はいろいろ考えられますが,これもちょっと一休み。

 写真を見ていただくと分かるのですが,つくづくシャシー加工が下手だなあと,自己嫌悪に陥ります。ちょうどEF37の陰に大きな傷が見えますが,これが前回書いた300B用の穴を開けたときの傷です。

 真空管アンプというのは,そのルックスも心地よい音に実質的にも精神的にも貢献するものと思うのですが,私はそのあたりのセンスも技術もないようで,シャシーをいいものに変えれば少しは見違えるかなと期待したのに,結果はそんなに劇的に変わりませんでした。

 ただ,シャシーそのものの剛性はかなり上がっているので,安心感はあります。重量級のアンプですので,このしっかり感はありがたいところです。

 気になっていたことが1つ片付いたので,よかったです。

 しかし・・・オシロスコープの故障は,これはさすがに困りました。簡単な故障ならと開けてみましたが,さすがに80年代のTektronixだけに頑丈な作りで,ぱっと見てもよくわかりません。もう少し検討をしてみますが,ダメなら買い直すしかないのかなあと,がっかりです。

 このオシロスコープは1994年の年明けに買ったもので,当時は一生ものと言われて買った記憶があります。350MHzまで見られるアナログオシロは100MHz程度は咲いて欲しいなあと思っていた私にとっては最高級品で,それが中古で20万円でしたから,お買い得だったとは思います。(プローブの値段の高さには閉口しましたが)

 それこそ一生ものと思っていたのに,こんな中途半端な時期に壊れるとは,残念です。

 最近は200MHz位までなら随分安く手に入るようになっていますが,最近のものはデジタルオシロに変わっているため,シャッター速度の確認には使えません。それにアナログオシロにはアナログオシロならではの良さもあります。

 この際だから,新しいオシロスコープを買うことにするかなあ。

真空管アンプのリニューアルに取りかかる

  • 2007/02/18 01:45
  • カテゴリー:make:

 ハンマートーン塗装というのをご存じでしょうか?金属の表面をハンマーで叩いたような質感を得ることの出来る特殊な塗装なのですが,これを手軽にスプレーで実現できる塗料が,以前は東急ハンズに売ってたそうなのです。

 真空管アンプのシャシーの塗装には,このハンマートーン塗装は定番で,戦前のアンプの名機をモチーフに,道具としての質実剛健さを目指した印象を与える塗装が今日でも好まれるというのは,やっぱり真空管アンプの世界ならではといえるのかも知れません。

 で,その塗料ですが,今はさすがに在庫はなく,取り寄せになるというので,先月渋谷に出るついでに,注文しておきました。ずっと探していたので,手元にあるといろいろ面白いことが出来そうです。

 そして,気になっていた一件が・・・

 300Bシングルの真空管アンプを作ったのが2002年2月。昨年の冬にはみっともなかった塗装をやり直そうとして,余計にみっともなくなってしまい,音の良さの反面で見た目の悪さがずっと気になっていました。

 以前知人に写真を見せたところ,いかにも素人の工作だと罵られ,がっかりしていました。やはりシャシーは安物を使ってはいけません。

 それでもこのシャシーをハンマートーン塗装すればましになるだろうと思っていたのですが,せっかくですのでシャシーをもう少し小振りなものにして,強度的にもしっかりした,高級感のあるシャシーに作り替えようと考え至りました。

 ご存じのように真空管アンプにはプリント基板など使いません。つまりシャシーを作り直すということは,すなわち配線をやり直す,ひいては「いちから全部作り直す」ということと同義語です。

 さすがにこの決断は勇気がいったのですが,数年に渡る懸案事項でもあったので,先日秋葉原でシャシーを買ってきました。今はなき鈴蘭堂の定番シャシーで,今はタカチが引き継いで生産してくれているSLシリーズのなかから,SL-8HGと選びました。約1万円。手のかかった塗装や質感を考えると,この価格は安いと思います。

 今までのシャシーが横幅400mmで,SL-8が340mm程度ですので,かなり小さくなります。ただ,常識的に300Bのシングルでこのサイズが小さすぎるということはないでしょうから,厳密な検討もしないまま,決めて買ってしまいました。

 さて,2mm厚のアルミを加工するのは,なかなか骨の折れる作業です。そこで今回は,綺麗な仕上がりも期待して,新しい電動工具を2つも導入することにしました。

 どちらも手頃な大きさと価格で,あまりいい印象を持ってなかったPROXXONのものです。

(1)マイクロニブラー

 ニブラーという工具があります。金属板を自由自在に切り抜く工具ですが,私は手動のハンドニブラーを持っていました。

 ところが刃先を破断してしまい,交換しないといけない状態です。今回のシャシー加工には,電源トランスの大きな角穴が必要で,ニブラーなしでは時間がかかって仕方がありません。

 ところがこのニブラーの交換刃が3000円ほどもするんですね。それで結構使いにくいこともわかってますので,どうしたものかと思っていたところ,電動工具にあることを知って通販で買いました。うまい具合に昨年秋に値下がりしていて,1万円を切る値段で買えました。

 アルミ板の切り出し,くり抜きなど,手間のかかる作業が楽々出来ます。厚みが2mmくらいになるとなかなか手こずるものですが,この工具は板厚に関係なく作業を進めることができます。

 ただ,結構傷が付くのですね。養生用のテープは必須です。それと,角で方向を変えることが出来ないので,トランスの角穴を開ける作業では,ちょっと頭を使いました。

 それと,切り子をまき散らします。家の中でやると,嫁さんの怒りを買うことは必至でしょう。


(2)ベルトサンダー

 以前職場で,布ヤスリをベルト状にして回転させるヤスリを使ったことがあります。角穴はヤスリで仕上げるのが基本なので,私は平ヤスリ1本でどんな穴でも開けてきましたが,冷静に考えるとこのベルトサンダーの小型のものがあれば,実に楽が出来そうです。

 探してみるといろいろ出てます。パワーが小さいのが心配でしたが,太さが9mmという小型であることを評価して,PROXXONのものを買いました。幸いにして新品がオークションで安く出ていたので,これを買いました。約1万円。

 これは本当にかってよかったです。今まで手が痛くなって時間もかかったヤスリの作業が,効率よく進みます。パワーも2mmのアルミくらいなら全然問題はありません,

 掃除機のホースを取り付けることが出来て,削りカスを吸い込んでくれることもありがたいところです,。

 ただ,やっぱり手動の平ヤスリとは違い,小回りがききません。細かいところを削ろうとして手元が狂い,ベルトがガガガガーと別の部分を走り回って傷だらけにするということを,何度も経験しました。

 でも,これは本当に楽です。


 とまあ,こういう2つのパワーツールを導入したのはいいんですが,300Bの取り付け用に50mmの大穴を開ける際,コンパスのような構造のホールソーを電動ドリルに取り付けて使ったのですが,もう少しで穴が開くというところで油断をして,刃先を全然関係ない部分に当ててしまい,大きな傷を付けてしまいました。

 せっかくのヘアライン加工&アルマイト仕上げのシャンパンゴールドが台無し・・・これは凹みました。

 私は,こういう金属加工が好きな割には,下手なのです。基本的に不器用なんでしょうね。

 再塗装することも考えましたが,せっかくのアルマイト仕上げですので,格好悪いですがこのままいきます。

 シャシーの下側は黒色で塗装されていますが,ここはやっぱりハンマートーンです。穴あけが済んでからハンマートーンのブラックでさっと塗装してみたのですが,この塗料はすばらしい。厚塗りすることなく,綺麗なハンマートーンが実現出来ます。まさに期待通りというところでしょうか。

 とりあえず今日のうちにすべてのシャシー加工が終了しました。ここから旧シャシーから部品を外し,新しいシャシーにマウントしつつ,配線を間違わないようにしていかなければなりません。この作業がなかなか大変です。

 今回は,300Bのフィラメントを,レギュレータで安定化してリップルをさらに減らす計画も盛り込むつもりです。

 今から完成が楽しみです。

VintageKeysの修理

  • 2007/01/14 21:18
  • カテゴリー:make:

 私のお気に入りのシンセサイザーモジュールに,EmuのVintageKeysがあります。

 ちょうど当時加入したばかりのバンドがハードロックバンドで,ハードロックなど縁もゆかりもなかった私が,とにかくハモンドオルガンの代わりになって,ギターの爆音に負けない音を出すモジュールとして探し当てたのが,このVintageKeysです。

 かつての憧れであったEmuも,紆余曲折を経て,現在はかつての栄光を知る者も少なくなりました。

 VintageKeysは,プロでも扱いには注意を要するアナログシンセサイザなどヴィンテージキービーボードの高品位な音色を,Emuの膨大なライブラリから選りすぐって組み込んだものです。その後音色数を増やしたアップグレード版のVintageKeysPlusが登場しましたが,私のVintageKeysは,6万円くらいしたアップグレードキットを組み込んであるので,VintageKeysPlus相当品です。

 かくて私は生まれて初めて取り組んだハードロックを,このモジュールで乗り切ったのでした。

 ところがこのVintageKeys,数年前からLCDの表示がおかしくなっていました。

ファイル 85-1.jpg

 こんな風に,LCDの中央にムラがあります。

 特に音に影響があるわけではなかったので放置していましたが,先日秋葉原の秋月電子に行く機会があって,そこでふとこのことを思い出し,終了の新しいLCDモジュールを買ってきたのでした,

 80年代から90年代初めのシンセサイザの表示は,こうした16文字x2行程度のものがほとんどでして,グラフィックなど一切出ず,文字だけであらゆる情報を我々に示していました。

 それでもどうにかなっていたのでしょうが,このLCDというのは実は業界標準になっていて,表示させる方法も非常に簡単なんですね。

 8ビットもしくは4ビットのパラレルで,フォントも内蔵しているので,コマンドを与えればすぐに表示が出来ます。

 本来LCDの表示というのは,なかなか難しいのです。LEDのような直流で点灯するとあっという間に劣化してしまうため,交流で表示を行いますが,そのタイミングや電圧の制御など,自力でやるとそれだけで結構な手間になります。

 それらをすべて組み込んで,外からはコマンドを与えれば表示が出来てしまうというモジュールを使えば,とても簡単に文字を扱うことができるようになります。生産台数が多い場合は手間をかけてもコストがかからないように自力でするほうがよいのですが,少ない場合はこうしたモジュールを買ってくるのが都合がよいわけです。

 そして,そのLCDモジュールによく使われたICが,日立のHD44100とHD44780A00の2つです。この2つが面倒臭いLCDパネルの駆動を始め,フォントやコマンドの解釈,そしてマイコンとの接続インターフェースを提供します。

 とても便利だったICだったので,非常によく使われるようになりました。結果,このICが使われたLCDモジュールには自ずと互換性が発生し,現在のような「業界標準」に至ったのだと思います。

 それで,この標準的なLCDモジュールが,秋月電子に通常在庫として売られているのです。

 最近は表示品質も向上し,バックライトを装備したものや安くなったものなど,いろいろ選べるようになったのですが,VintageKeysにもこれが使われているだろうと思いこみで1つ買って帰ることにしたのです。価格は1000円。昔はバックライトなしでも1500円ほどしたものなんですがねえ。

 家に持ち帰って分解を始めました。はめ込むだけですので1時間もあれば済むだろうと思ったのが甘かった。

ファイル 85-2.jpg

 上が買ってきた新しいモジュール,下が元々ついていたオリジナルのものです。

 まず外形数法が違いました。確かにねじ穴の位置が全然違っていますが,現物あわせをしてみるとねじ穴の外側で固定できそうです。

 次に電気的な接続です。同じ14ピン,使われているICも同じですので,おそらくそのまま差し替えて使えるはずです。ちょっと不安もあったのですが,まあ大丈夫だろうと,元のケーブルを取り外し,新しいモジュールに付け替えて電源を入れてみます。

 画面が真っ黒になったと思ったら,数秒のうちに「ぱちっ」と音がして,画面が消えてしまいました。慌てて電源を切り,もしやと思って裏側のICを触ると,かなりの熱を持っています。ICの表面は熱で焦げたようになっています。

 やってしまいました。壊してしまいました。

 こういう場合,おおむね電源の逆接続が原因です。しかもICの焼損は,当然ながら復活しません。

 しばらく呆然としていたのですが,状況を冷静に判断して,もうどうにもならないということを認めました。

 原因をよく調べてみたところ,やはり電源のVddとGNDが入れ替わっていました。他のピンは標準のままで,電源だけが逆。なんでこんなややこしいことにしたんだろうかと,謎が深まります・・・

 まさかもう1つ買ってあったりはしませんし,どうするべきか考えていたのですが,昔購入したLCDモジュールがないか探してみました。

 すると,1世代前に販売されていたものが2つ出てきました。しかし,これはあいにくバックライトがありません。電子楽器でバックライトがないのはステージで困ってしまうのでありえません。

 ICが燃えたならICを交換すれば良さそうなものですが,実は最近のLCDモジュールはICが直接基板にボンディングされているので,交換が出来ません。

 そこでオリジナルのLCDのムラが,何故出来てしまったのかを調べました,結論はバックライトのもの代でした。

 バックライトの一部のLEDが点灯しておらず,その部分がムラになってしまっていたのでした。

 そこで,焼損したLCDモジュールからバックライトを取り外し,オリジナルのものと交換しました。厚みが1.5mmほど違っていたため,板金の加工を行ってつじつまを合わせて,何とかうまくいきました,

 電源の逆接続をすでにケーブルで入れ替えてしまった後だったので,オリジナルのモジュールの電源を基板上で入れ替えておきます。これでいつでも秋月のLCDモジュールと差し替えて使えるでしょう。(実際,バックライトなしのモジュールを試しに取り付けてみたのですが,ちゃんと表示が出てきました。)

 結果は,ばっちり。

ファイル 85-3.jpg

 完全復活です。新品の頃の感激が甦ります。

 もったいないことをしましたが,結果としては一番無難な方法で修理が出来たのかも知れません。1000円でバックライトを買ったと思えば良いだけではありますが,秋月電子が2月に店舗の改装のためしばらく閉店するので,もったいないことをしたという気持ちはあります。

 それと不思議なことがあります。

 今回購入したLCDモジュール,はじめて購入したと思ったのですが,同封の資料が1部,すでにファイルされていました。ということはこれで2つ目なわけですね。でも,これをどこかに使ったという記憶がありません。かといってしまい込んだ記憶もありません。

 よくよく思い出してみると,QX5のLCDモジュールを交換したような記憶を思い出しました。その時に買ったものではないかと思うのですが,すでにQX5は実家にあります。確かめようがありません。

 まあいいですよ。とりあえず直ったし。

 このころのアメリカ製の製品は,ハンドメイドのにおいがぷんぷんするんですね。中国製品や台湾製品が多数を占める現在,かの国が日本のモノづくりをお手本にしている以上,出てくる製品は最終的には日本のそれになっていきます。

 しかしアメリカは日本のモノづくりなど目指してこなかったですし,この種の製品は少量生産ですので,どうしても手作りな感じがあるのです。

 私のように,工作を趣味としていると,その行き着く先にアメリカ製の製品を見るのです。工作の頂点,とでもいいましょうか。

 考えてみると,Made in U.S.Aはもうほとんど目にしません。こんな所にも,工作のにおいが世の中から消えていくのかなあと,そんな風に思いました。

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