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カテゴリー「マニアックなおはなし」の検索結果は以下のとおりです。

蔵書のデータを復旧

 先日,蔵書管理ソフトのトラブルと操作ミスから,貴重な蔵書リストが失われてしまい,管理をあきらめた事をここに書きました。

 消えたのは自炊してPDFになった蔵書のリストで,これは7月2日までの登録分はWEBに存在していました。

 ところが,どうもあきらめが付かないのです。

 amazonから書誌情報を引っ張ってくることが出来なくなったということであきらめていたのですが,先日試してみると見事にamazonからデータを取ってくるじゃありませんか。

 あのとき,蔵書の登録をしなければ,誤操作によるデータが消えることもなかったろうに・・・そんな風に思ったりもしましたが,それ以上に登録が出来るようになっていることが悔しいです。

 7月2日(前回書いた7月23日というのは間違いでした)までのデータが,形式は別にして情報として残っているのですから,これを読み込めるように加工すればほとんど復活できます。7月2日以降の追加分はたかだか20冊から30冊ほどでしょうから,こんなのはあっという間に処理できます。

 ということで,作戦を立てます。Books for MacOSXという蔵書管理ソフトはすでに開発が止まったソフトで,せっかくだから別のソフトへの移行も検討しましたが,今のところなんとか3.2.5dという最終バージョンで問題は出ていません。ですので引き続きこのソフトを使うことにしましょう。

 また,このソフトはtab切りテキストをインポートする機能があるので,WEBの情報を変換できればなんとかなりそうです。

 そして,ISBNコードをインポートできれば,あとはクイックフィルを使って開いたフィールドをamazonの情報で埋めることができるはずです。後で分かったことですが,このクイックフィルは一括で処理可能ですので,とにもかくにもISBNコードを吸い込むことが最大の関門です。

 ただ,ISBNコードを持たない書籍のインポートが出来ないと困りますので,書籍名とISBNコードの2つをインポートできるようにしてみます。

 Booksで作成したWEB用のデータベースは,書誌データが記されたhtmlファイルと,表紙の写真であるpngファイルは,書籍ごとにフォルダに分けられています。PDFなり紙で残しているものなり,リストを作って整理したものは,フィルタ済みの蔵書リストがhtmlで作られ,それぞれのフォルダに入ったhtmlファイルへのリンクとなっています。

 残念な事に,PDFの蔵書のリストはリンクばかりが書かれているだけで,ISBNコードは書かれていないのです。そこで,リンクをたどってファイルをまとめて手に入れる,ダウンローダを使って一括で落とします。

 ダウンロードした各htmlファイルはPDFになっている書籍の書誌情報を持っている訳ですから,これを全部連結します。

 ここから先,perlを使うとか,Cで小さいプログラムをさくっと書けば一発で処理できることは分かっているのですが,ちょっと実行環境が用意出来ないので,置換能力の強力なエディタを駆使して,タイトルとISBNのタグを残して,あとは全部消去します。

 この段階で大半のデータは正常に処理できたのですが,最終的に30冊ほどの情報が消えてしまいました。まあ全部で1200冊ほどある登録情報のうち30冊ですので,大したことはありません。

 そしてこのファイルを書名-tab-ISBN-LFの順番で並べたテキストファイルに加工して,Booksでインポートします。幸い,上手くいったようです。そして一括でクイックフィルを行って,蔵書のデータをとりあえず完成させます。

 あとは,地道に表紙の画像がないものは貼り付け,タイトルで文字化けしているものは修正し,ISBNが間違っているものは正しいものを入れて再度クイックフィル,そして最後に抜けている書籍を登録してWEB版の登録データと突き合わせ,数と内容に狂いがないことを確認します。

 終わったら現在までに増えた書籍を登録して,再度確認。さらにPDFになっていない蔵書との重複を確認します。

 作業は丸1日かかったのですが,登録ミスや重複が結構あり,これらが綺麗になったことで,大変スッキリしました。大変な手間がかかりましたが,それでもやっただけの価値はあったかなあと思うようにしましょう。

 そして今度はちゃんとバックアップを取り,万が一の時に備えないといけないですね。TimeMachineも使う事を真面目に考えるべき時かも知れません。

 

模型と電子部品のパラダイス

 30年ほどの前の初歩のラジオを見ていたら,「ホビー模型店」なるお店の広告に目が止まりました。

 子供の頃にも見た記憶がある広告でしたが,当時東京に縁もゆかりもなかった私にとって,およそ関係ないものだと,大して気に留めることもありませんでした。

 30年経ち,今その広告を見てみると,なんと歩いて行けるような住所です。サトー電気の時もそうでしたが,こうなると実際に言ってみたくなるのが人情というもの。

 しかし,サトー電気と違って現在は広告を見ませんし,個人商店のしかも模型店ですので,現存するとは限りません。

 こういうとき,電話をかけて確かめるのが一番ですが,その前にとりあえずgoogle先生に聞いてみます。

 するとまあ,ちゃんと見つかるじゃありませんか。ただ,基本的には地図が出てくるだけであり,お店のホームページも出てこなければ,blogなどの記事も出てきません。どんなお店かわからないので,ちょっと勇気がいりますね。

 何度か調べてみると,お店のホームページはようやく見つけることが出来ましたが,これがまたお世辞にも良く出来ているとはいえません。一番困ったのは,2009年から更新されていないことです。2年の間にもしかするともしかして・・・と心配になります。

 ホームページには,老体にむち打って頑張ってます,とあります。仮に30年前に40歳だった方ならもう70歳,50歳の方なら80歳です。もちろん25歳なら55歳ですので心配も減りますが,それなら「老体」などとは言いませんわね。

 ということで,お年寄りが細々とやっているお店をイメージして,この日曜日に行ってみることにしました。

 初歩のラジオに広告を出すだけあって,当時から電子部品を扱う模型店であることは分かっていましたが,もしもそれが大したものでなくても,プラモデルや鉄道模型が好きな私には十分楽しめる場所だろうという事と,工具類や塗料などが近所で手に入るということは,いざというとき役に立つだろうという事で,期待して出かけました。

 日曜日のいいお天気の昼下がり,歩くこと10分ちょっとで,お店の前に到着です。なんか,妙に緊張しますね。

 お店の前には,特価のワゴンが列んでいます。電気電子関係ではこういうものを「ジャンク」といいますが,入っているのは電解コンデンサやリード線,電話用のケーブルなどです。特に見る物もないという感じですが,それ以上に雨が盛大にかかっていて,ビニル袋の内側が曇っています。電気関係の部品でこれはまずいですね。

 PC-8001用の高速カセットインターフェースが特価1000円。いやー,いりません。その下にはPS1用のコントローラのジャンクが・・・いりません。

 どれもこれもかなり年季が入っているので,めぼしいものはすでに売れてしまったのでしょう。なにせ30年ですからね,30年。

 さて,外をうろうろしていても始まりません。勇気を出してお店の中に入ってみます。幸い,入り口は全開になっています。

 お店は昔のちょっとした模型屋さんそのものの大きさと雰囲気です。懐かしさも感じますが,単純な模型屋さんと違うのは,商品の半分ほどが電子部品であることです。プラモデルは少なく,そのプラモデルも新しいキットが少ないことに気が付きます。

 ガラスのケースには鉄道模型が若干,マルイのZゲージセットが涙を誘います。そしてその上にはまたコンデンサややスイッチ,ACラインフィルタなどのジャンクが袋に入って置かれていますし,視線を上げるとまた様々なパーツがぶら下げられています。見渡せば,店中あちこちにぶら下がっています。こういうの楽しいのですよ。

 整理整頓が出来ている感じではなく,わりと雑然とものが列んでいる感じです。色が褪せてしまったプラモデルの箱が痛々しいです。

 お店を一回りすると,確かに30年前のキット(エレキット)が当時の値段のままぶら下がっていますし,部品も古いものが目に付きます。とはいえ,新しい部品が全くないかと言えばそんなことはなく,そういう部品のビニル袋は真新しいです。おお,シーメンスキーなんか久々に見たぞ。

 お値段も,特にぼっている感じはなく,その時々のまま,という感じです。ですから,例えば国産のロータリースイッチが360円というのは,今時の感覚から言うと安いと思いますし,緑色の普通のLEDが80円というのは随分高いなあと思う訳です。

 不思議なことに,ラジオ関係の部品は余り目に付きません。バーアンテナやコイルはあったように思うのですが,あれば買おうと思っていたポリバリコンはなかったように思います。

 さて,こうしたお店で最も期待できるのは,古い部品のデッドストックです。あまり詳しく書くと乱獲され絶滅するかもしれないのであえて意地悪して書きませんが,まず特価品を入れたとおぼしきパーツケースがカウンターの外に出ているので,一声かけてこれを見る事にします。

 えーと,2SH21や2SB56といった稀少品はすでになくなっていますね。残念。2SA495や2SC372などはツバ付きの旧パッケージ,2SK30Aも古いパッケージです。2SK19もありますけど,これらはまだまだ普通に手に入ります。

 2SA52,53互換と書かれた東芝のM8640Aというトランジスタが30円。安い。全部買おう。2SC37も良心的な値段です。2SC1096が120円だったので,これも全部。2SF656があったので数本買うことにします。案外三洋とか日立のトランジスタがあるようです。

 そして初めて目にした,TLG105というダイヤカットのLED。お,TLG103もある。このころの緑色のLEDは,今のLEDとはちょっと波長が違っていて,蛍の発光色のような綺麗な黄緑色なのです。しかし,お値段はTLG105が90円!

 カウンタの店主に声をかけ,これらの部品を買う旨を伝えますが,客は私だけ。まとまった数を買うという話ではなければ,私もくじけていたに違いありません。

 店主は内気そうな方ですが,「老体にむち打って」というほどの年齢には見えません。ただ,あまり気が利かない方のようで,狭いレジカウンタにパーツケースを置く場所がなく,私が手で持っているにもかかわらず,なにやらカタログを広げて両面テープを貼り付けています。

 で,パーツケースから部品を取り出して数量を値段をメモに書いてもらいます。店主なのですからそんなはずはないのですが,あまりお詳しい方ではないように思えてなりません。でも,こちらが話をすれば確実に返事が来ますので,やっぱりお詳しいのでしょうね。

 で,一応店主に聞いてみます。トランジスタはここにあるだけですか?と。すると品番を言ってくれれば出しますよとのこと。2SBの若い番号を聞けば,2SB77はあるということでした。値段も安かったので全部買ってきました。

 他にはちょっとめぼしいものはなし。

 私がトランジスタを選んでいるときに,中学生くらいの男の子が入ってきたのですが,どういう訳だか私が会計を済ませてパーツケースを元の場所に戻すと,その男の子がむさぼるようにそのパーツケースを開いて見ているんですね。私に比べて二回りは若いはずなのに,こんな古いトランジスタを見て目を輝かせているなんて,ちゃんと意味が分かってんのかな,と心配になりました。

 それと,100V-9.2Vの電源トランスが1つ100円だったので2つお願いしました。ガラスケースに入っていたのを取り出してくれるのかと思ったら,地べたに置いてある段ボールから取り出してくれます。,1つはボロボロに風化したゴムがこびりついていて,もう1つは取り付け用の足が曲がっていました。

 お金を払うと,店主がサービスカードは?といいます。始めてきましたからないです,といえば,作りましょうとカードを出してハンコを押してくれます。なになに,100円で1つ,50個たまったら500円引きですか。んー,つまり5000円買ったら500円割引だから,1割引ですか。結構な還元率です。

 また来ますね,と声をかけてからお店を後にします。

 最終的に私を入れて4名の客が狭いお店にいましたし,外のジャンクも自転車で通りがかった中学生二人が「まだこのジャンクあるな」といってましたので,この地域ではそれなりに知られたお店のようです。

 案外に不良在庫はなく,ちょっと珍しい部品も少なめです。FCZコイルもないということですし,穴場でもなければ,知る人ぞ知る隠れ家という感じでもなさそうですので,ちょっと拍子抜けという感じです。

 それと,塗料や工具類は揃っています。急に必要になった場合はここに買いに来れば助かりそうです。年中無休で夜は20時30分まで営業,木曜日だけは18時30分で閉店だそうですが,会社の帰りに寄ることだってできそうです。


 帰り道,他のお店で買い物をする時に,おつりをもらう手の指先が真っ黒になっていることに気が付きました。いやー,古い部品を漁ったとき特有の汚れですね。それと,帰宅してからタバコの臭いが強烈です。

 ですが,不思議と嫌な気になりません。まだまだ見尽くした気がしないので,また時間を見つけて行ってこようと思います。

 ところで,東芝ロゴ入りのM8640Aというトランジスタですが,google先生に聞けばすぐに教えてくれると思っていたのに,全然わかりません。NTE158という海外製の現行のゲルマトランジスタの互換リストに掲載されていたので似たような品種だとは思いますが,なにせ膨大な数が書かれている互換リストですから,どんな特性かヒントもなにもあったものじゃありません。

 おそらく海外製のトランジスタがオリジナルなんだと思いますが,東芝が互換品を作っていたということかも知れません。もう少し調べてみたいと思います。

 そうそう,2SF656ですが,これは見事にだまされました。2SF656はマーキングがF6なのですが,今回買ったのはP2とあります。新しいものはP2MやP3Mと書かれるので,おそらく2SF656の次世代品として登場したものなんじゃないでしょうか。どっちにしても小信号用のサイリスタであることは間違いないのですが,それならたくさん在庫がありますしね。2SF656だからこそ買ったのに,残念でした。

蔵書管理をやむなく終了

 
 2009年に始めた蔵書の管理ですが,残念な事に中断せざるを得なくなりました。

 直接の原因は,私が使っているMac用の蔵書管理ソフトであるBooksが,先日からamazonからデータを取得できなくなってしまったことにあります。

 私は詳しくありませんが,どうも10月26日ごろにamazonのAPIが変更になったらしいのです。確かに10月22日頃までは問題がなかったですから,たぶんそうなんじゃないかと思っています。

 Booksなどの蔵書管理ソフトの面白いところは,カメラで撮影したバーコードを読み取り,取得したISBNコードから蔵書のデータをamazonなど(など,と書きましたがほとんどamazonです)から引っ張ってくることが出来るという点です。

 ですので,amazonに登録があればタイトルやISBNコードはもちろん,価格,発売日,表紙の写真,著者,出版社,さらには概要まで自動登録してくれます。

 Booksはもともとクセが強く,例えば新しい書籍を登録する際,新規書籍ボタンを押すととりあえず空の蔵書が1つ登録されていまいます。

 その後,登録と同時に開く詳細登録の画面になにも入れずにクローズしても,新規書籍という書籍の登録は消えませんので,知らず知らずのうちに新規書籍が溜まることがあるのです。

 普通,新規書籍ボタンを押して詳細登録画面から情報を入力し終わったら,そこで初めて書籍が登録されると思うのですが,情報の入力をやめた場合でも蔵書登録が行われているというのは,ちょっと慣れないです。

 ですが,フリーであること,機能も十分で安定していること,htmlへの書き出しが出来る事(しかもFLASH)で使い続けてきました。しかし,主要機能であるamazonからの情報取得が機能しないなら,使い続ける気が起きません。

 Booksのアップデートは2009年に止まっており,よく読んでみると開発は中止しているとのこと。ということは当然amazonへの対応も期待薄です。

 もう1つ,データの一部を消してしまい,すっかりやる気をなくしたのです。

 土曜日,新しい本(そう,スティーブ・ジョブズIです)を登録しようとして新規書籍ボタンを押して,カメラでバーコードを撮影したわけです。しかし何も出てこず,おかしいなと何度か繰り返したのですが,そうしていくつかできた新規書籍を消す時に,どうも左側のペインにカーソルがあることに気が付かず,「PDF」という蔵書リストを丸ごと消してしまったようなのです。

 Booksを閉じる前ならUndo出来たのですが,気が付いたのがアプリを再起動してからでした。もうだめですね。

 Booksの登録ファイルを調べてみたら,もう上書きされていて以前のものは跡形もなく,復活させることはあきらめました。キー1つの誤操作で貴重なデータがスカッと消えてしまうなんてのは,ちょっと恐ろしいです。

 PDFにした蔵書のリストが消えてしまったショックは大きく,しばらく嫁さんに八つ当たりしていました。ただ,冷静に考えてみると,PDFのファイル全てが登録されているわけではなく,雑誌は未登録(雑誌は書籍ではありませんからね),PDFで入手した本も未登録です。

 要するに紙で購入した本のうち,自炊した本のリストということになります。私にとっては価値のある情報ですが,中途半端と言えば中途半端ですね。とりあえず紙で残してある蔵書については最新の状態でBooksに残っていますから,もういいかと。

 そうやって諦めが付いたところで,ふと思い出したのは,htmlへの書き出しを今年の7月21日に行っていたのです。その後のデータは残っていませんが,どのみちamazonからデータが取ってこれないのですから,これがもう更新されることはありません。

 7月21日現在で,全部で1653冊の登録がありました。このうちPDFは1154冊でした。
現在までに,文庫は11冊,書籍が20冊,新書が2冊の合計33冊が新たにPDFに追加されていますので,PDFの総数は1187冊です。

 ということで,残念ですがBooksの蔵書リストは10月22日で更新停止,htmlの蔵書リストについては7月21日で更新停止となりました。今までコツコツとメンテしてきましたし,実際同じ本を2度買うことを防いだりとそれなりに役立った蔵書管理ですが,これにて終了。

調整びより

 東京はここ数日気温が下がり,室内でも25度を下回る温度でした。

 25度?電子機器の調整にもってこいの気温です。

 ということで,昨日は帰宅後,菊水の1631Bの再調整を急遽行う事にしました。

 1631Bは夏休み中に修理と調整を済ませたはずでしたが,昨日少し動かしてみるとどうも値がレンジによって派手にバラツキ,信用に足りません。それに400kHzで3mVの信号による調整に自信がなく,この点も考えなければなりません。

 DL2050で測定可能な交流電圧の周波数範囲は100kHzあたりまで。400kHzでは正確な実効値を示してくれる測定器は,オシロスコープくらいしかありません。

 そんなわけで,さっさと調整をやり直します。

 細かい事は省略しますが,結論だけ書くと,今回も失敗に終わりました。まず,発振器であるVP7201Aの出力電圧が今ひとつ信用出来ないということ。またノイズが載るので,特に3mV位の微少電圧ではどうも誤差が大きくなるようです。

 また,発振器も1631Bもそうですが,インピーダンスが600Ωですので,これを無視して調整を行うわけにもいきません。3mVを作るのに普通のボリュームを使いましたが,これではインピーダンスが回転角によって変わってしまうので,信用出来ません。

 1時間半ほど頑張って,結局あきらめました。

 今回の成果物は,やっぱりなんちゃってで調整という物はできないということです。ちゃんと治具を作って,真面目に調整をするための計画を練ることにします。

(1)VP7201Aのコンディション

 なにせ,先日適当に調整をしただけの状態ですので,歪みも電圧も無茶苦茶なはずです。歪率計が完成したら,まずはVP7201Aをベストな状態に調整しましょう。

(2)アッテネータを作る

 600Ωのπ型アッテネータを作る必要があります。減衰比を固定しておけるので,入力電圧さえ管理していれば,減衰された電圧は直接測定出来なくても信用して良いはずです。もう1つは,入出力のインピーダンスを600Ωに固定しておけることです。

 この治具を作る際,400kHzを扱うということから,ノイズ対策はもちろん,配線容量による減衰などを考慮しないといけませんから,出来るだけ短い配線を心がけるようにします。

 問題の減衰率ですが,40dBとします。今回欲しい3mVを得るには,入力に0.3Vを入れればよいので,手頃です。

(3)マルチメータとオシロスコープを併用

 マルチメータは高い精度と真の実効値を表示する機能がある一方で,帯域が100kHzまでです。オシロスコープのHP54645Dは演算機能で実効値を計算できますが,あまり精度は高くないようです。しかし帯域は100MHzです。

 そこで,400Hzで0.3Vをマルチメータで測定し,この時の値をオシロスコープでも測定しておきます。実効値でなくても波高値でいいでしょう。この時,アッテネータからは3mVが出ているはずです。

 そして400kHzに切り替えます。マルチメータでは測定出来ない周波数になってしまったので,頼りになるのはオシロスコープです。400Hzの時と同じ波高値になるようにVP7201Aを調整してやると,アッテネータからの出力は3mVになっているはずです。


 今回の目玉は,40dBのアッテネータです。実は,オーディオアンプの測定をしていると,案外アッテネータが欲しいときがあるのです。10,20,40dBのステップ式アッテネータを,この機会に作っておいたほうがいいかもなあ,などと考えているところです。まあ,スイッチなんかで切り替えるとシールドをしないといけないし,帯域も伸びないので,今回は40dB固定のアッテネータにしておきます。

 なんか,ちっとも片付きません・・・

 

HP54645DにFFT機能を追加する

 「これさえあればどうにかなる」と私が全幅の信頼を寄せる,我が測定器のトップスター,HP54645D。

 私の手元にやってきた経緯はやや複雑ですが,最初に使ったのは会社で使いました。ある方が定年までのわずかの間,私の部署にこのオシロスコープを持って異動されてきたのですが,若かった私は彼とよく衝突していました。

 彼が去った後,このオシロスコープだけ残ったのですが,対立しつつも尊敬をしていた彼の持ち物だったこのHP54645Dを受け継いで使っていくのは,この私をおいて他にない,という妙な使命感から使い始めました。

 それまでデジタルオシロに懐疑的だった私は,この時HP54645Dの実力を知り,HPという計測機器メーカーの設計思想やUIに触れることになります。以後デジタルオシロとHPという2つに信頼を寄せるようになったのです。それゆえ,その後しばらくしてHPがAgilentに変わった時,理不尽だと憤慨したことを覚えています。

 ちょうど,テクトロニクスのデジタルオシロがどうしようもないくらい使いにくいものばかりだった時代だった,からかも知れません。

 そういえば仕事では横河のDL1540も使っていましたが,これも使いやすいものでした。

 ただし,横河に限りませんが,時間軸を切り替えると,その度にキャリブレーションがかかり,1秒ほど操作不能になります。これがもうとにかく嫌で嫌で,それが私をデジタルオシロから遠ざけていたのです。

 HP54645Dの凄さはいくつかあります。今時のオシロスコープならすべて実現しているかもしれませんが,1996年当時にこれだけのことをやっていたというのは,ちょっと驚きです。

 まず,ミックスドシグナルオシロスコープであること。2chのアナログに加えて16chのロジックアナライザを持っていて,同じ画面上に同じ時間軸で表示させることが可能です。電源のノイズでバスのデータが化けるという現象をつかまえるとき,アナログ入力でトリガをかけ,ロジックアナライザでバスを観測するということが簡単にできます。

 また,トリガが強力です。バスのデータが0x68の時に誤動作する,と言う状況があったら,トリガをロジックアナライザ側からかけ,その条件に0x68を指定します。こうすると0x68がバスに乗ったらトリガがかかりますから,残りの2chのアナログでしっかりアナログの現象をつかまえるわけです。

 現実の回路のデバッグでは,波形そのものよりはデジタルのドメインで,HighからLowになった時間が重要な情報であることも多いわけですが,だからといってその時の立ち上がり時間などの過渡現象をアナログで捉えたいときもあるわけです。全てをアナログで見ていけば解決しそうな物ですが,アナログでは逆に情報が多すぎる場合も多く,「デジタル」というドメインで情報を上手に整理してくれることは,現実的には必要なことだと思っています。

 まして,ロジックアナライザは名前の通り,ロジック信号の解析を行うものです。スレッショルドレベルもちゃんと管理され,信号が変化した時刻も,どのレベルを横切ったときの時刻とするかを厳密に規定してくれています。

 そしてMegaZoom。当時としては大容量のメモリを持っていて,画面に出ていない部分もキャプチャしてくれています。通常,メモリの節約を行うため,波形のキャプチャは画面に出ている部分だけが行われるものですが,HPが始めたMegaZoomという機能では,画面に出ていない部分もキャプチャしてくれます。

 この部分を拡大したい,もう少し全体の波形を見たい,という場合にはオシロスコープの時間軸を無意識に変えるのですが,通常ストレージされた波形の場合にはリセットされ,波形が消えてなくなります。

 従って波形を取りなおすことが必要になりますが,得てして回路のデバッグではそうそう簡単に問題の波形を取り直すことが難しく,今目の前にある波形が何十分も格闘した結果手に入った,貴重なサンプルである場合も多いのです。時間軸を変えただけでそれがスパーっと消えてなくなるなんて,機会損失もいいところです。

 先程の強力なトリガと組み合わせると,このMegaZoomはものすごく強力です。

 MegaZoomでは,トリガがかかった時刻よりも前の波形も取り込んでいます。ですから,ある現象をつかまえたい時,運悪くその現象でトリガをかけられない場合などでは,時刻はずれているけれどもその条件に従って発生する間接的な条件をトリガにすることが出来ます。

 その時刻のズレが小さいうちは,画面の出ている範囲でキャプチャされるのですから,どんなオシロスコープでも対応可能でしょうが,ズレが大きい場合に時間軸を長く設定しなければならなくなり,せっかくつかまえた波形がつぶれているということがおきてしまいます。MegaZoomではそういう心配は無用です。

 もちろん,メモリのサイズは有限ですので,拡大しても波形がつぶれてしまうこともあります。みたい部分がちょうどキャプチャされていない場合もありますが,次につかまえる時にどの時間軸でどの時刻からキャプチャすればよいかの目処も確実に立ちますし,それもある範囲であればちゃんと波形が取れていますから,クリティカルな設定をすることも,何度も何度もやり直すことも防げて,実にスムーズに作業が進みます。

 そして,MegaZoomで頻繁に操作する時間軸のつまみ。これを回してもキャリブレーションは起きず,アナログオシロなみに切り替わってくれるのです。

 まだあります。画面に出てくる電圧や周波数の情報が,カーソルとは関係なく常に表示されているのです。初めてリードアウト/カーソル付きのアナログオシロを使ったときにも便利だなあと思ったものですが,常に波形の基本情報が出ていて,リアルタイムに更新されていることの安心感は,効率的なデバッグに直結します。

 そして画面が大きいこともありがたいです。アナログオシロでこのサイズのCRTを装備すると,どうしても輝度が落ちてしまうので周波数帯域に制約を受けます。輝度を上げるための特殊なCRTを使うなどお金もかかるし,扱いにくくなるものですが,これはさすがにデジタルだけに,画面のサイズは任意です。大きめのグリーンCRTは見やすく,これは昨今のLCDよりもずっとずっと気に入っています。

 そしてこれらの機能が,うまく操作系に統合されていて,思考を妨げません。メニューの階層も適切,ツマミにアサインされた機能は厳選されていて,ボタンの配置も最適。画面の下にあるファンクションキーに頼ることなく機能が整理されていて,まさに使いたい機能が使いたいところにあることで,私は初めてデジタルオシロの多機能さを自由に使うことが出来るようになったのです。

 ついでにいうと,この機種はデジタルオシロの悲しさか,中古の値段も安いです。100MHzの2chアナログに16chのロジックアナライザですから機能的には十分ですが,値段は7万円から8万円です。中国や韓国メーカーの新品が4万円くらいで買えるのですから高いというのもありますが,安い物はそれなりのものです。

 古いとは言えHPがそれまでのデジタルオシロの欠点を打破した54000シリーズは,私は確実におすすめできるオシロスコープです。

 愛機自慢に鼻息も荒く,ようやくにして本題です。

 このHP54645Dですが,人によっては「FFTが出来るよ」という話もするのです。私の54645Dにはそんな機能はなかったはず。いくらメニューをほじくっても,やっぱりFFTは出てきません。

 2465Aもそうですが,オプションを追加することで出てくる画面や機能があります。54645Dもそうではないかと調べてみると,やはりそうでした。背面にストレージユニットという拡張機器を取り付けることで,FFTなどの演算機能が使えるようになるようです。

 私の54645Dをあらためて見てみると,RS-232Cとパラレルのインターフェースを追加する54651Aというモジュールがついています。FFTや積分などの機能を追加するには,ストレージモジュールというものが必要で,残念ながらこれではありません。

 ストレージモジュールはGP-IBを追加する54657Aと,RS-232Cとパラレルを追加する54659Bの2種類があり,どちらかを追加すると演算機能や自動テスト機能が使えるようになります。もちろん名前の通り,不揮発の波形メモリも追加されるので,波形のメモが100ほど保存できるようにもなります。

 新品はもうありませんので,中古を探します。しかし,もともとHP54600シリーズの専用オプションですので,本体に付属して販売されることが多く,単品ではなかなか出てこないようです。

 あるお店で54657Aを26000円ほどで見つけましたが,これはすでに売り切れ,eBayでは1万円ちょっとでて出ているものですが,海外のオークションはリスクも大きく,ちょっと手を出せません。

 よくよく探すと,国内の業者で31500円で売っているところがありました。54657Aも54659Bも両方同じ値段で売っています。新品が65000円ほどだったことを考えると,ちょっと高い気もしますが,今買わないともう二度と手に入らない気もします。

 ちゃんとしたスペアナの代わりになることまでは期待していませんが,所詮はデジタルオシロの一機能に過ぎず,またFFTという演算を行うだけのものですので,波形の歪みがどういうスペクトルで起きているかなどを,ちゃんと見る事が出来るのだろうかと心配で,しかも3万円という安い値段ではないものですから,ちょっと迷いました。

 そもそも,デジタルオシロスコープの垂直軸の分解能は8bitです。たかだか50dBほどしかダイナミックレンジはありません。それに垂直軸の感度だって1mv/div程度ですから,基本的にこれ以下の信号はノイズに埋もれて見えなくなります。それでどのくらい使い物になるのか,私には未知数です。

 でも,私は周波数軸の測定器を持っていません。それが3万円で手に入るなら悪い話ではないと考えて,結局買うことにしました。

 数日で私の手元に届き,早速54645Dに取り付けます。故障もなく,問題なく動作しました。

 早速FFTを試してみますが,残念ながら今ひとつでした。

 高次のスペクトルの周波数と大きさをすぐに見ることが出来ることは大変に便利だと思いますが,具体的にどういうシーンで使うべきかが今ひとつ浮かんできません。歪みを見るにはちょっとダイナミックレンジが小さすぎますし,私は高周波はほとんどやりませんし。

 他の機能,自動テストや積分についても,私にはあまり必要性がありませんが,それでもこういう機能があるということを覚えていれば,役に立つ事もあるかも知れません。

 一応これで,私の54645Dはフルオプションになりました。周波数軸の観測まで可能になったことで,きっと何かの役に立つ事があると思います。そもそもスペアナなんて必要と思った事はほとんどないですから,今の時点でFFTが使いこなせるわけもありません。

 まあのんびりいきましょう。

 ところで,私が持っているRC発振器VP-7201Aと電子電圧計1631Bの,大メンテナンス大会を計画しています。劣化した電解コンデンサを交換して可能な限りの調整をしようというだけの話ですが,VP-7201Aが思いの外低歪みな発振器であり,電解コンデンサを交換するだけで性能が回復するという話を聞いて,やってみることにしたのです。

 1631Bは菊水のホームページから説明書がダウンロード出来,この中に調整方法まで書かれているので,完璧です。平均値型の交流電圧計を,メーターの指示を実効値で表示してあるだけのなんちゃって交流電圧計のように見えますが,当時はそれが当たり前でしたし,なにより大型のアナログメーターと-80dBレンジを持つ高感度っぷりが頼もしいです。

 しかし,30度を超える真夏に調整をするなんて,無謀ですね。

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