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カテゴリー「マニアックなおはなし」の検索結果は以下のとおりです。

その後のIDEOS

 IDEOSですが,毎日使ってみると問題点が出てきました。

 特に気になる問題は,電池,圏外,よくわからん,テザリング,というところでしょうか。

(1)電池

 1200mAhの電池を搭載するIDEOSですが,かなり電池の持ちはよくないです。設定にもよりますし,更新周期でも大きな差が出るものですが,私の場合で1日持たず,12時間経過で残り30%くらいになっていることもあります。

 私の場合,USBがあることでは充電を必ず行っているのであまり問題になってはいませんが,これは確実に予備の電池が必要になると考えて,現在品定め中です。

 また,面倒なことに満充電にならないという問題もちょくちょく出るようになってきました。一晩中ACアダプタに繋いでおいても,朝みると85%程度の充電で現在も充電中ということが何度かありました。電池の劣化にしてはまだ早いですし,どうしたものかなあと思っています。

 いつもいう事ですが,電池の切れた携帯機器はこれすなわちゴミです。邪魔になるだけで何の価値もありません。電池が切れないようにすることは持ち歩く機器を使う人間として,なにより優先せねばならないことなのですが,後述するようにどの設定が電池を食うことに繋がるのか,試行錯誤の結果が分かりにくいので,不安なことは確かです。


(2)圏外

 某巨大掲示板でもしばしば話題になるのが,圏外になったままになる「圏外病」です。

 これは,地下鉄など電波の届かないところで一度圏外になると,次に電波が届いている場所に出ても繋がってくれないというものです。人口カバー率が売りのFOMAを使っているIDEOSですが,圏外になったままでは携帯電話としてどうなのよ,とがっかりです。

 圏外になった状態から復帰するには,一度電源を入れ直す必要があります。機内モードにして電波を止めて復帰機内モードを解除しても,直ってはくれません。

 なにやら,ネットワークを一度2Gに切り替えて戻すと繋がるという話も聞くのですが,まだ試せていません。少なくともこの問題だけは,なんとか日本通信に直してもらいたいなあと思います。


(3)よくわからん

 これはもう私のせいなので文句をいうものでもないのですが,androidというOSがよくわかっていません。「このアプリはおすすめ」という記事を見てandroidマーケットで検索しても見つからないとか,データを他のアプリケーションと共有したいと思っても出てこなかったり,更新周期を長くしたり更新しない設定にしてもそれが反映されなかったりと,思った通りになかなかなってくれずにイライラすることがとにかく多いのです。

 標準で使わずアプリケーションを追加して使っている以上,トラブルがあっても自力で解決するのが当たり前のことですが,このあたりがいかにもPDAっぽいのです。だから私はPDAだと思って触っていますが,PDAには維持費はかからないわけで,今回のように買い切りでなければ,毎月の使用料金が負担に感じたのではと思います。

 特にわからないのが,電車の運行状況を示してくれるアプリですが,これがどうも上手く動いてくれません。自動的に更新する設定をしても更新してくれないし,手動での更新を行っても何度かに一度は更新がされません。便利そうなアプリだけに,役に立たないことは残念です。


(4)テザリング

 IDEOSは,USBによる有線のテザリングと,WiFiを使った無線のテザリングの2つが,公式に認められているのですが,実はどちらも信頼性は高くなく,なかなか使える状態になってくれない,突然繋がらなくなるなどの問題があり,いつも冷や冷やしながら使っています。

 WILLCOMのデータ通信カードはダイアルアップで繋がるもので,繋がってしまえばほとんど切れることもなかったのですが,IDEOSの場合はNDISドライバで繋がったネットワークカードに見え,これが結構トラブルを起こします。

 IDEOSと日本通信を選んだ理由の1つに,このテザリングがありますので,私としてはここだけでも確実に動いてくれないとなと思っているのですが,なかなか難しいようです。騙し騙し使っていかねばならないでしょう。

 というわけで,いろいろ書いてみました。アドエスとWILLCOMの組み合わせが全く使いものにならなかったことを考えると,IDEOSは十分つかいものになっているとは思いますが,それでも不安定なことや電池に不安があることは「まあいいか」で済まない話のように思います。

 これがもし,携帯電話と考えると全然ダメということになります。常に繋がっているという前提の通信機器において,切断されている状態が続いてしまうことはさすがに致命的と言わざるを得ません。

 一方これがPDAなりおもしろガジェットで,問題克服も楽しみの内という見方をすれば許されることでしょうし,実際に私はそういう気分でIDEOSと付き合っています。値段のこともありますし,まだまだこの業界は,品質と価格に相関があることを認めねばなりません。

 ただし,シビアな見方をすれば,問題克服を楽しみにしたところで,問題が克服されねばいけませんし,自分が目的とした事が出来るようになって始めて,かけたお金と釣り合うかどうかを考える事が出来るので,この点だけはぶれないようにしないといけないと思っています。

HC-20の修理~プリンタ動作時の電圧変動

 HC-20のプリンタの動作については,先日書いたように電池で動作させると,電源電圧が下がってLowBatteryの割り込みがかかり,印刷が停止するという問題がありました。

 プリンタは大電流が流れるので,単三のエネループくらいの内部抵抗なら,電圧が下がってしまうことはやむを得ません。

 しかし,電圧が一瞬下がったからといって,電池が切れたといちいち判断されては,電池を使い切れないわけで,電圧が下がる時間が短く,電流が元のように小さくなれば電圧も元に戻るような場合,電池切れと判断されないようにしないと,実用に耐えません。

 実際,電池切れと言われてプリンタの動作が止まった時の電圧は,無負荷時で約5.3Vでした。1セル当たり1.3V以上ありますので,まだまだ満タンに近いところです。

 そこで,電圧監視ICをだますことにします。

 電圧監視には,富士通のMB3761というICが使われています。いろいろな使い他の出来るICですが,HC-20の場合には1ピンの入力Bの電圧の変化が緩やかになるよう,コンデンサをGNDとの間に入れる事になります。

 この入力Bという端子には,電池電圧であるVBを抵抗で分割して,低い電圧が入るようになっています。私の場合,検出電圧を下げたこともあって,入力BとGNDの間に入っている合成抵抗は,14.2kΩです。

 ここに1uFのコンデンサを2つ並列に入れました。合計で2uFとなります。

 さて,ここで目安を計算しておきましょう。

 抵抗とコンデンサの積によって出てくる時間を時定数といい,与えた電圧に対して約0.6倍の電圧に達するまでの時間を示しています。これによると,0.284秒,284msとなりました。このICのしきい値がいくらかは面倒なので調べていませんが,300ms程度の瞬間的な電圧変動があっても,無視されるようになったわけです。

 本来電池が消耗することによって起こる電圧の変化というのはゆるやかなものであり,あまり急激な変動を監視していてはきりがありません。このくらいの値がちょうどいいのではないかと思います。

 結果ですが,ばっちりです。

 電池でプリンタを動作させても問題なく動作し,システムも不安定にはなりません。もっとも昇圧DC-DCコンバータをいれて安定化していますので,多少の電圧降下があっても,システムとしての信頼性は確保されています。

 今度こそ,HC-20は終わりにしたいところです。なにせ,次にPC-8201が控えていますし。

さらばWILLCOM

 2009年の春,既に死に体と思われたWILLCOMが無謀と思えるキャンペーンを行いました。新つなぎ放題という24時間常時接続のデータ通信プランを,端末代込みで月額980円で提供するという話です。

 これ,当初文言が不親切で実は初期費用が結構かかるとか,解約時の話がよく見えないとか,まあ知らない人にはわからないようなややこしい話がいろいろあったのですが,実際に契約して使って見ると,本当にどれだけ使っても980円ですし,本当にWILLCOM大丈夫なのかなと心配になるほどでした。

 実際,大丈夫ではなかったのが洒落になっていないのですが,例えばiPhoneを持つと7000円とか8000円とか,下手をすると1万円以上の費用がかかるわけで,月々1000円というわずかな金額で24時間常時接続の回線を確保出来るという話は,私のようなライトユーザーにもアピールするものでした。

 加えて,速度の遅さに辟易しiPhoneに乗り換えた旧アドエスユーザーが,わずか980円で数万円もしたアドエスを甦らせるのに使ったという話もよく耳にした話です。

 私の場合,中古でわざわざアドエスを買い,スマートフォンのはしりとなった端末をしばらく使ってみたりもしましたが,結局分かったことはWindowsMobileはリセット前提で使うということと,カスタマイズの余地は結局ないよ,という事実でした。

 月額980円のデータ通信サービスは,特に期間限定という訳でもなかったらしく,今も980円で利用出来る仕組みが維持されているので,収支としては赤字ではなかったのでしょうが,2年間限定のW-VALUE SELECTなる割引を行って980円にするという仕組みですから,自動更新によって2年を過ぎると本来の4000円近い金額がかかってしまうわけで,一度解約し,再度980円で新規を申し込むという効率の悪いことを考えなくてはなりません。

 データ通信専用ですので電話番号が変わっても別に構いませんが,新規の際の手数料が結構かかってくるので,このあたりの実質的・心理的な重荷というのは,無視できません。

 とまあ,私の場合5月で契約から2年になるので,解約することは避けられないとして,その後をどうするかを考えなくてはならない状態にありました。同じWILLCOMを使うのか,他のサービスに乗り換えるのか。

 ぱっと思いつく案もないまま時間ばかりが過ぎ,面倒臭いなあと思いながら過ごしていたら,どうやらその声を神が聞き届けて下さったようで,なんとWILLCOMの端末を落としてしまいました。

 すぐ休止の手続きを取りましたが,端末を紛失したわけですから使えない状態が期限までの4ヶ月間続くことになります。切羽詰まった切実な問題として優先度を上げるためのふるった愛の鞭としては,あまりに厳しいものがありますよ,神様。

 ということで,どのみち解約するわけですし,迷っていてももったいないだけなので,解約をしました。期限までは4ヶ月残っているので,端末代の分割分700円の4回分で2800円は請求されますが,まあこれは仕方がありません。4ヶ月980円を支払うと4000ですし,休止状態で75%になったとしても3000円(本当にこんな単純な計算でいいかは私にはわかりません)ですから,端末代を払ってもすぐ解約するのがお得ということになります。

 もう私には,モバイル常時接続環境がありません。なんだか急激に「繋がっていない」不安や寂しさがおそってくるのは,なぜでしょうか。

 とにかく,長く使っているドコモの携帯電話は維持したいですから,これ以外に常時接続のモバイル回線をどう選ぶかです。いかに私が普段携帯電話を使わない人とは言え,使用頻度がそれほど高くない回線の確保に5000円以上かけることができないことなど,説明の必要もないでしょう。

 ならまたWILLCOMなのかという話になりますが,正直なところ128kbpsではもうWEBだってきつくてたまりません。

 私としては,128kbpsで1000円でしたので,256kbpsで2000円程度が望ましいなあと思っていたのですが,昨今モバイルルータで大人気のeMobileや UQ Wimaxはいずれも4000円程度の負担です。いくら高速でも,これはちょっとしんどいです。

 ・・・まてよ,300kbpsで2500円というサービスがあるじゃないか。

 日本通信の提供する,b-mobileSIMは,300kbps程度の速度を,年間3万円の毎払いで利用出来るサービスで,用意されるのはSIMだけ,端末はSIMロックフリーのものを利用可能というものです。輸入もののSIMロックがないiPhoneを,リーズナブルに使えると昨年秋頃に随分話題になりました。

 おかしな縛りもなければ,解約のペナルティもない,様々なキャンペーンや複雑な料金体系もない,その上回線はドコモのFOMAで日本全国どこでも使えるとくれば,300kbpsで月平均2500円というのはかなり魅力的です。

 ま,回線はこれにするとして,SIMだけではどうにもならないので端末を用意せねばなりません。モバイルルータでWiFIのアクセスポイントになってくれれば万々歳ですが,調べてみると2万円近くするんですね,この手の商品というのは。

 そんな風に思って日本通信のサイトを見ていると,輸入もののiPhoneは非常に高価ゆえ,その対策の1つなのかなと思われる,海外製の安価なAndroidスマートフォンが提供されていることを知りました。

 IDEOSがそれです。android2.2を搭載したandroid端末で,手のひらサイズの小型で100g程度の軽量,テザリングも5台まで可能で,モバイルルータとしても動いてくれます。お値段は26800円。

 画面はQVGAで小さく,CPUも500MHz程度と貧弱ではありますが,少し前のiPhoneだってこの程度だったことを思い出すと,なんとかなるさと思えてくるから不思議です。

 2万円出して単機能なモバイルルータを買うくらいなら,実質的に24000円くらいで手に入るこの端末は,それ単体でもメールやWEBくらいならこなせて,地図もtwitterも出来るわけで,結構ワクワクしてきます。それにずっと気になっていたAndroidです。こんなことでもないと,触ってみる機会もありません。

 冷静に考えると,端末代24000円に通信費用が3万円ですから55000円近い出費をしているわけですが,この先1年以上(14ヶ月です)一切お金がかからず,どこでも繋がるようになるわけですから,まあいいとしましょう。

 なんか,最近強烈な無駄遣いをしているような気がします。実は今週末,いろいろ通販で届くのです。メモリやらヘッドフォンやら。ただでさえ冬の暖房で出費がかさむなか,果たしてこれでまっとうな老後を送ることができるのかどうか,不安に駆られるのでした。

 ということで,そんな不安は週末に届いたIDEOSを見るとふっとんでしまいました。

 小さく,軽く,パワフル。決して使いやすいとは言えないこの端末を手にして,私はかつてPalmを初めて触った時の感激を,少し思い出しつつありました。

1993年10月1日に改造したPC-8201

 HC-20がめでたく修理が終わって,まるで定年退職した団塊の世代が,手持ちぶさたでボーっとしているような,なんだか穴の空いたような時間を過ごしていた年始(いや,決して暇というわけではなく,実家から持ち込んだ本のスキャンにしても映画を見るにしても,いろいろすることがありすぎて大変なのはこれまで通りです),ふと類似機種のPC-8201の状態が気になりました。

 PC-8201はHC-20と並び称されるハンドヘルドマシンで,大型のLCDにフルサイズのキーボード,単三電池4本で駆動され,ワインレッドやホワイト,シルバーといったカラーを纏い,それまでのパソコンとは一味違ったデザインに,雑誌の広告などを見て「かっちょいいなあ」と思った人も少なくないでしょう。

 なにせ当時,電池駆動の出来るハンドヘルドマシンを作ろうと思ったら,電流をバカ食いするN-MOSやTTLのICを使わず,いかにCMOSのICで作るかが最初のハードルになります。今でこそほとんど全てのロジックICがCMOSになりましたが,1980年代初頭,CMOSといえばTTLの数分の1の速度しか出ない,低消費電力だけども超低速なICだったのです。

 しかし1980年代の中頃になると,TTLなみの速度を実現したハイスピードCMOSが登場し,一気にICの勢力図を塗り替えていきます。時を同じくして,メジャーなCPUやLSIが次々とCMOSで作り直され,消費電力が劇的に下がりました。

 ただ,HC-20やPC-8201,あるいはポケコンの時代というのはまだまだCMOSになっているLSIが少なかった時代ですから,Z80や6809でハンドヘルドマシンを作ろうと思っても無理な話でした。

 当時,CMOSになっていたCPUとしては,HC-20の6301,PC-8201の80C85くらいのものです。そうそう,X-07は意地でもZ80にしたかったのでしょうね,レアなZ80互換のNSC800を使っていました。

 PC-8201では,CPUに沖電気の80C85を使い,RAMにはHM6117が4つ搭載されたCMOSのSRAMモジュールを2つのせて,合計16kByteをバッテリバックアップしていました。ROMもCMOSのマスクROMで,これは1つで32kByteです。

 周辺は,80C85のファミリICである81C55でタイマとパラレルインターフェースを用意し,当時貴重なCMOSのUARTであったIM6402でRS-232Cを標準装備していました。そうそう,RTCにはuPD1990を採用しています。

 カスタムLSIなどは全く存在せず,これらLSIを繋ぐグルーロジックは,これもまた当時の定番だったTC40Hシリーズを使っています。RCAの4000シリーズよりは少し速く,TTLとピンコンパチな40Hシリーズは,後に74HCシリーズが出てくるまでのほんの数年間,低消費電力のロジックICの舞台に立っていました。

 こんなPC-8201ですが,いろいろなエピソードが知られています。まず有名なのは,京セラの設計によるマシンであることで,オリジナルはKYOTRONIC85という名称でした。これがNECにいくとPC-8201になり,タンディのTRS-80model100やオリベッティのM10という超カッコイイマシンとは兄弟機にあたるわけです。

 このマシンをけしかけたのは,かの西和彦さんで,偶然飛行機で隣り合わせた京セラの稲森さんに理想のコンピュータを懇々と説いて,登場したマシンとも言われています。

 もう1つ,この兄弟に共通するBASICは,ビル・ゲイツが最後にコードを書いたという伝説もあります。これを最後に直接コードを書くことをせず,以後はマネジメントに専念するようになったという話ですが,その点ではビル・ゲイツにとって感慨深いマシンだったのではないでしょうか。

 PC-8201はそうでもなかったのですが,TRS-80model100は新聞記者が使うマシンとして大ヒットしたらしく,英文タイプライタ機能で文章を書き,音響カプラを通して電話で原稿を送るという,30年も前にしてはなかなか先進的な道具として活躍したそうです。

 私個人の話になると,このマシンを見たのは確か小学生の時で,図書館で借りた初歩のラジオの表紙で見たのが最初だったように思います。実物は当時見たことはなく,その後何度か雑誌の広告で見たくらいですが,キーボードや色の具合がPC-6001mk2にどことなく似ていたので,親近感はありました。

 ポケコンがPoorman's Computerだったのに対し,HC-20にしてもPC-8201にしても,10万円中頃の,立派な高級機種の1つだったわけで,貧乏中学生にとっては両機種が憧れのマシンであったことは否めず,ずっと心に残り続けることになります。

 そして1993年,二十歳そこそこで偶然手に入れたPC-8201は,完動品ではありましたが付属品も何もない状態で,私のコレクションに入りました。まだ新品で説明書が買えた時代だったので手に入れましたが,特に何かをしようということはなく,今も私の手元にあります。

 当時も今もそうですが,手に入れたマシンは分解掃除を行い,必要に応じて修理をします。可能ならメモリを最大限に増設して,単三で動作するマシンならエネループで動くようにもします。こうした改造は邪道という気もしますが,一方で最新の技術で動かし続けることを私は重視しています。これはHC-20の修理の時にも書きましたね。

 PC-8201を手に入れた当時も,RAMを64kByte増設しました。もともと付いている16kByteのSRAMを外し,代わりに256kbitのSRAMを2つ搭載し,標準のSRAMのフル実装と,オプションのBANK2をフル実装しました。

 PC-8201は当時としてはなかなか意欲的なマシンで,標準搭載の16kByteにもう16kByteを増設するだけではなく,バンク切り替えでもう32kbyteを内蔵可能,さらに拡張スロットに32kByteのカートリッジを差し込んで,トータル96kByteのRAMを持つ事が出来ました。ROMも標準の32kByteにバンク切り替えでもう32kByteを内蔵でき,しかも拡張スロット経由で64kByteのROMを搭載できたので,メモリは上位機種に匹敵するほど搭載できました。

 カートリッジスロットを潰すのはおしいので,当時の私は内蔵SRAMをフル実装することを目指して,手持ちのuPD43256を2つ使って改造をしたのですが,なにせ当時のことですから大きな28ピンのDIPですし,PC-8201の回路図も技術情報も持ち合わせておらず,悪いことに私の技術力も幼稚園並み。

 単純にRAMモジュールのピン配置を調べ,43256の端子を線材でハンダ付けして繋ぐだけで済ませたところ,動作は正しくするのに,やたらと電池が早く切れます。あわてて調べると,電源OFF時にアドレスデコーダの出力がLowのままになっており,これをそのままSRAMのCSに繋いでいたためSRAMがスタンバイにならず,数十mAの電流を消費していたことがわかりました。

 そこで電源OFF時にはCSがHighになるような対策をして,現在に至っているという記憶があります。

 うーん,回路図もなく,知識も経験もなく,適当に切った貼ったで偶然動いて「これでよし」とした記憶しかなく,なんだか心配になってきました。

 そこで,とりあえず当時どんな回路にしてあったのかだけまず調べて,必要に応じて現代の技術で改造し直すことにしましょう。

 本体を開けてみると,シリコンハウス共立のビニルの小袋から,フラットケーブルがどばっと出ています。小袋には「64K SRAM 1993.10.1」と汚い字で書かれています。今から17年以上前の,自分の改造した基板を見て,今と大して変わってないなあとため息をつきます。

 とはいえ,前述の通り28ピンのDIPが2つ,メンテナンス性を考慮してのことでしょうが,ご丁寧に16芯のフラットケーブルの先にICソケットに差し込めるコネクタを圧着したものを2本使って,SRAM基板とメイン基板を繋いでいます。

 SRAMの基板はマッチ箱よりも大きいですが,PC-8201はスカスカですので,ビニルの小袋を2枚重ねて,セロテープでメイン基板に貼り付けてありました。いい加減ですね。

 ちなみに小袋には,シリコンハウス共立,テクノベース,そしてシリコンハウス横浜の3つが印刷されています。いやー,懐かしい。

 さて,当時の回路を追いかけていきます。

 まず,アドレスバスとデータバスはそのまま繋がっています。ただしA14だけは,なにを勘違いしたのかA14から取らず,A14とIO/MをANDした信号を使っています。別に意図があったわけではなさそうです。

 OEはSRAMモジュールのOEにそのまま繋いでいますが,これはPOWERという,電源OFFでHighになる信号が電源ブロックから繋がっています。SRAMモジュールに搭載されたSRAMは6117ですので,これはOEではなくCEです。故に電源OFF時にはスタンバイになるわけです。

 CSは,どうやって調べたのか,アドレスデコーダの出力を繋いでいます。SRAMモジュールからはCEが4本出ており,アドレスデコーダから出ているバンク単位のアクセス信号を,それぞれのSRAMのCEへと40H138でデコードしています。なので40H138の入力からたどっていったのでしょうね。

 このバンク単位のアクセス信号は,電源OFFでLowになる信号だったわけですが,オリジナルの回路ならもう1つのCEが電源OFFでHighになる信号と繋がっていて,問題なくスタンバイになってくれます。

 しかし,uPD43256のOEは,これをHighにしたところでCSが優先ですから,スタンバイにはなりません。今なら何でもない話ですが,当時の私は大弱りだったことでしょう。

 電源OFFでHighになる信号が見つからなかったとみえて,S-8054ALBという電圧監視用ICを使っています。この出力を反転し,アドレスデコーダの出力とANDしてありました。確かにこうすればSRAMのCSを電源OFF時にHighにすることが出来ます。

 場当たり的とはいえ,一応動く回路に仕上げてありますし,これが回路図無し,解析だけでやったことだという話ですから,まあ若いときの勢いというのは恐ろしいものです。特にバンク切り替えのあたりは,ろくな資料もないのに,我ながらよーやるわ,って感じです。

 実は,これでもしもカートリッジに増設するSRAMまで内蔵するようなことを考えていたら,はまっていたことは間違いありません。というのも,内蔵のメモリのバスはバスバッファで区切られていて,カートリッジへのアクセス時にはこれがOFFにされてしまうからです。

 アドレスデコードの信号を見つけても,このバスバッファを動かす必要があり,この改造はなかなか難しかったはずです。当時の力量でこなせるだけの改造でとどめてあったことも,成功の一因でしょう。

 そんなこんなで,なにせ基板が大きく分厚い上,もっと綺麗な方法で改造できるはずだと考えた私は,ある意味貴重なその回路を外し,新しく組み立て直すことにしました。HC-20でも使ったMB84256を2つもしくは3つ使い,余力があればカートリッジの増設分まで内蔵した,フル実装96kByteのRAMというスーパーマシンを作ってみようかと思います。

 ちなみに消費電流ですが,電池端の電圧が5.85Vの時,動作時は93mA,スタンバイ時は185.5uAほど消費していました。スタンバイ電流についてはせめてこの1/3にはしたいものです。

 ということで,具体的な回路の設計を進めていますが,回路図を手に入れて見ていると,PC-8201はどうも無駄な回路がたくさんあるのです。SRAMの周辺だけでも,IO/Mなど何度も何度も複数のゲートに入れられています。最終的にそれらが1つにまとまってしまう場合など,どこかで一度だけいれてやれば済むような回路でも,複数段にわたって入っていたりするので,無駄だなあと思ったりします。牧歌的な臭いさえ感じます。
 
 最初,アドレスデコーダを作り直すつもりで,これらの信号を素直に入力していましたが,もっとシンプルに作れそうな感じです。カートリッジのRAMを入れなければ,ORゲートが2つで増設出来そうなところまでは,見えてきました。

 あとは時間を取って実際の改造をするところですが,もう少し回路を練りたいなあと,考えているところです。

HC-20の修理?追補

 HC-20ですが,軽微な問題が発生し,追加で対策をしました。

 ACアダプタで動かしているとき,プリンタを動作させると,印字桁数が多い場合に電圧が下がり,減電圧の割り込みが発生,ChargeBatteryというメッセージと共に,印刷が止まってしまうという問題が起きました。

 M-160という形式の,HC-20に内蔵されるプリンタは,縦に8ピン並んだヘッドではなく,横に4ピン並んだプリンタです。桁数が少ないと動作するピンは少ないのですが,桁数が多くて,それこそ紙の幅いっぱいに印刷するような場合,4ピンがフル稼働します。

 以前書きましたが,1つあたり最大で3Aですので,ピークで12Aも流れます。さすがに一度にこれほど流れませんし流れる時間は短いので電池駆動では何ら問題はありませんが,ACアダプタ,というより三端子レギュレータの保護回路のせいで,ピンが駆動されたときに電圧が急激に下がります。

 今回,電圧検出器の定数を変更し,ヒステリシスを持たせないようにしましたが,これも今回の原因の一員です。そもそもヒステリシスはある範囲の電圧変動を無視するためにあったわけですから,これをなくせば小さな変化でも検出してしまいます。

 そこで,今回はアナログ的な方法で解決を試みます。本質的に,ヘッドに急激な電流が流れることは織り込み済みの話です。短絡と違って,長い時間電流が流れるわけではありませんから,大容量のコンデンサに充電しておけば,解決するくらいの話でしょう。

 そこで,手持ちの3300uFを2つ並列にし,三端子レギュレータの出力に取り付けます。ちょっとした電圧変動なら,これで十分カバーできるはずです。

 狙いはぴったりで,プリンタの動作くらいでは電圧の変動は起こらなくなりました。

 本当に,本当にこれで問題はつぶせました。HC-20はようやく実用機として動き出すことになったのです。

 未だエミュレータも存在しないマシンです。こういう貴重なマシンを持つ者として,動態保存は義務だと思いますが,改造をすることは邪道という見方もあるでしょう。しかし,完全に昔のままを維持することは,可能ならそれが一番よいのは当然として,現実はとても大変です。今の技術を上手に利用して,マシンの持つエッセンスを「残す」形で,長い時間持ち続けることが出来るよう,工夫することもまた1つではないかと私は思っています。

 

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