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カテゴリー「マニアックなおはなし」の検索結果は以下のとおりです。

HC-20の修理その2

 HC-20の修理状況です。

 Vcの電圧が正常に出るようになったところからのお話です。

 データバスとアドレスバスの波形をオシロスコープで眺めていると,データバスの波形で,0Vと5Vの間の中間の電圧を取っている時間があることに気付きました。階段状に何段も出てくる部分もあります。

ファイル 425-1.jpg

 写真左側のLowの波形をご覧下さい。Lowが0Vまで落ちきっておらず,0.7Vくらいの電圧を持っています。そこからHighになりたいのでしょうが,2.7Vくらいで一度上昇がとまり,そこからよいしょ,と5Vまで上昇しています。

 右側のLowの波形はきれいですね。どちらかがデータ,もう一方がアドレスを示すのですが,どちらが異常でどちらが正常かは,波形だけではわかりません。タイミングを見ると左がアドレス,右がデータではないかと思うのですが,他の波形を一緒にみないといけないですね。

 以前にも書きましたが,HC-20におけるメインCPUのバスは,マルチプレクスされたモードで動いていますので,データバスにはデータとアドレスの両方がのります。アドレスはDラッチでASによってラッチされ,分離されます。

 データはそのまま分離されずアドレスと一緒にバスに乗りますが,アドレスもデータも確定したところでEクロックがHighになるので,CPUなりメモリは,このタイミングでデータを取り込むなり吐き出すなりすればよいわけです。

 こういう波形が出てくるというのは,バスの出力の衝突です。

 原因はいろいろ考えられます。基板のパターンがショートして,隣のバスラインとくっついてしまったとか,バスにぶら下がっているICが破損し,ショートしてしまったとか,入出力を持つICの,データの方向を切り替える仕組みが壊れてしまって衝突しているとか,とにかく出力がぶつかっているということです。

 この時代の,しかもこの速度のコンピュータですから,中間電位が出てきて正常ということはありません。むしろ動かない状態にあることが正しいといってもいいでしょう。

 そこで,この階段状の波形の原因を突き止めることにしました。すくなくとも,これが出ている内は,絶対に直らないと考えたからです。

 まずバスのショートを確認します。1本1本データバスにテスタをあてて,抵抗値の下がっている部分を探していきますが,これは問題なし。どれも500kΩ以上の抵抗でセパレートされています。

 そうなると今度はICの故障かも知れませんね。

 と気軽にいいますが,バスラインにぶら下がってるICというのは貴重なものが多いのです。筆頭はマスクROMですが,これはソケットに刺さってますので,外して確かめれば,原因かどうかははっきりします。

 果たして,原因はマスクROMではありませんでした。

 次にソケットが使われているのは,RTCのMC146818です。これは初代IBM-PCで,CMOSと呼ばれた部品です。当時CMOSでバッテリバックアップが可能なデバイスというのはまだ珍しく,小容量のSRAMとRTCを組み合わせたこのデバイスを,CMOSと呼ぶことは自然な事であったのです。

 これをソケットから外しましたが,波形には相変わらず階段状の波形がでています。これが原因ではなかったようです。(しかし良品であるという話でもありません)

 ならばSRAMだろうか,と,SRAMを8つ全部,ハンダ付けを外しました。これはかなり勇気のいることで,基板の破損も怖いし,手間もかかります。

 そこで,これを256kビットのSRAMに交換して,32kByteにすることを計画し,現在使われている16kビットのSRAMは全て外すことにしました。

 さて,取り外したのはいいのですが,やはり中間電位を取り,階段波形がバスラインにのります。そうなると,他のICを疑う必要が出てきます。

 まだ他のICを試せていませんが,その前に,今回測定した波形と一緒に,Eクロックやラッチされたあとのアドレスバスの波形を観測し,それらの時間関係を確認すれば,この衝突した波形がアドレスなのかデータなのか知る事が出来るでしょう。そうするともっと原因を絞り込める様に思います。

 時間は以前よりもあるように思うのですが,やはり一人暮らしと違って自分勝手に過ごすというのは難しいのが現実です。そうこうしているうちに,この勝利に対する興味や熱意を失ってしまうことを,私は密かに恐れています。

ラムダッシュの自動洗浄は戦場になり得たか

 ラムダッシュの髭剃りは,連戦連敗,現在停戦中という感じです。

 といいますのも,様々な作戦を考えましたが,ことごとく失敗し,結局振り出しに戻っているからです。

・スポンジで泡消し大作戦!

 先日予告したとおり,洗浄液がタンクに吸い込まれる際,高いところからボトボトと落とされることで泡が発生することを防ごうと,タンクの内部にある洗浄液の入り口の部分に,目の荒いスポンジをはめ込んで泡を消すという作戦を実行してみました。

 目の荒さは大体1mmから1.5mm程度のスポンジです。これを長細く切ってから指で丸め,爪楊枝くらいの太さにしてタンクの洗浄液の入り口にねじ込んでいきます。

 上手い具合にタンク内部で少し広がり,四角い口にぴったりとはまりました。これは期待できそうです。

 早速洗浄スタート。しかし結果は惨敗。確かに穏やかに洗浄液が流れるようになったのですが,洗浄液に空気が噛み込んでいる現状は変わっていないわけで,スポンジを通るとますます小さな泡が発生して,タンクがいっぱいになりました。

 というわけで,次の作戦を考えます。


・セパレータで泡を仕切る大作戦!

 ネーミングになんのひねりもないわけですが,それはそれとして,次の作戦はもう少し高度です。泡の発生が抑えられないというのであれば,その泡が空気抜きのパイプが繋がる穴に近づかないようにしてやり,空気を抜くときに泡を吸い込まないようにしてやればよい,まさに逆転の発想です。

 ここで偉人の伝記なら大成功で大金持ち,てなもんですが,素人の工作にそんな夢のある話はありません。とっととその発想を具現化する仕組みを考えます。

 タンクを外側から見ると,向かって左側が吸い込み口,右側に吐き出し口と空気抜きの穴が空いています。泡の発生は左側で起こっていますので,これが右側に来るのを遮ればよいのです。

 そこで,タンクの真ん中に,仕切りを設けてあげます。上側はぴったり天井にくっつけ,下側は開けておきます。こうすれば泡は液面上にしかいられませんから,仕切り版で仕切られた左側から動けませんが,洗浄液は仕切りの下側の,左右が通じている部分で自由に行き来できます。

 この作戦,私は自らの天才っぷりに恐怖しました。

 しかし,画期的なアイデアも,実現出来ずにこけるケースも多いです。バベッジが当時の工作精度では実現出来ない解析機関を設計したのと同じことです。(とこう書きましたが,最近の研究では,当時の工作技術でも十分な精度で動作する設計だったことが分かってきたそうです。解析機関が実現しなかったことの理由として,当時の加工技術をあげるのは少なくとも正確な答えではないのだそうですよ。)

 0.4mm厚のプラ板を取り出し,ハサミでチョキチョキと現物に合わせながら仕切りを切って作ります。これを丸めてタンク内に差し入れ,中で広げてタンクの中で広げます。壁を押す力で固定しようという算段ですが,これが案外うまくいきました。

 早速テスト,洗浄スタートです。

 ごごごごと音を立てて,洗浄液がタンクの外に吸い出されていきます。戻ってきた洗浄液が盛大に泡を立てるところまでは同じですが,私の目論見通り,セパレータによって泡は左側からやってこれません。右側には小さな泡が薄く漂っているだけです。

 こ,これは,間違いない!自分の才能が怖い!

 と,思わず忙しそうに家事をしている嫁さんを大声で呼び出し,ほらほら泡がこんやろ,と講釈を垂れます。嫁さんは眠そうに火事に戻っていきましたが,そんなことはもうどうでもよいのです。

 そして洗浄の終盤,洗浄液がタンクに回収されてフィニッシュを迎える,その最大の山場で事故は起こりました。左側の大量の泡が,突如天井まであるセパレータを乗り越え,右側に攻め込みました。

 まさに羊の群れに襲いかかるオオカミ。

 まさに万里の長城を越える北方の異民族。

 まさに女湯と男湯を分けている温泉の仕切りによじ登るお約束のノゾキ。

 あれよあれよと泡は空気抜きのパイプを通り,ゲボゲボとソレノイドの近くの穴から吹き出しました。ここまで盛大に吹き出すというのは,もう水漏れどころの騒ぎではありません。

 ああ,正岡子規はこんな風に晩年を過ごしたのか。

 国破れて山河あり。

 原因は,セパレータの左右で液面の高さが変わってくることを計算に入れてなかったことでした。

ファイル 424-1.jpg

 写真をみるとおわかりでしょうが,左側の液面よりも右側の液面の方が高くなっています。

 これは洗浄液がタンクに入ってくる左側と,洗浄液なり空気なりが出て行く右側の間には圧力差が生じており,当然左側の方が圧力が高いため,液面が押し下げられて右側の液面よりも低い位置に来てしまうためです。

 いかに右側の泡が少ないとは言え,液面そのものを上げられてしまったら,実質泡が増えたのと同じです。そこへ左側の泡が流れ込んできたのですから,これはもうひとたまりもありません。

 自らの才能を信じた私は,完膚無きまでに打ちのめされました。そうだよな,パナソニックのような超一流企業に就職出来るような賢い人に,私ごときがかなうはずもねえわな,と,ようやくにして私は自らを冷静に見つめることが出来たのでした。


・こうなったらポンプも分解掃除だこのやろー

 なかばやけくそになりつつあった私は,とうとう禁断のポンプの分解掃除に挑みました。心臓のそれと同じ原理で動くポンプの分解は,取り返しの付かない状況に陥る可能性も高いです。

 しかし,医学の進歩というのは,尊い犠牲の上に成り立っているのです。

 分解してみると,弁にヒゲくずがかなり付着しています。これがリアル心臓だったりすると死に至るわけだなと思いながら,弁を取り出し綺麗に掃除します。元のように組み立てて,機密が保たれていることを確認して組み立てます。

 緊張のテスト。とりあえず正常に動作しています。泡の発生もここなしか少なくなっているようです。ポンプの分解掃除というのは,案外効き目があるのかも知れませんが,結局なにも根本解決にはなっていません。


・それで・・・

 結局,結論は,洗浄液の量を少し減らして,泡が発生しても空気抜きの穴に届かない程度の液面の高さにすることです。上手く調整してやると,最後まで泡を吸い込まず,綺麗に終了することがわかりました。

 もちろん,こうすることで洗浄液の総量が少なくなり,洗浄液の交換間隔も短くなったり,濃度が上がることでもっと粘度の高い液体になる可能性も否定できません。しかし,この方法しか今は思いつかないというのも事実です。

 なんとか上手く動いていますし,これで様子をしばらく見ようと,冷え切った体を引きずりながら,私は洗面台を後にしました。

 しかし,留守の間に洗浄するのは恐ろしくて出来ません。早く帰宅して試す事にしましょう。

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 ところで前回の訂正です。

 洗浄液の循環ルートについて,誤りがありました。ポンプの分解を行った時に確認したのですが,前回の説明とは違った部分がありました。

 洗浄液がたまるプールの底面には小さな穴が空いており,これがカートリッジの上の穴に繋がっていることは正しいです。しかし,プールの少し上の部分にある排出口は,ある高さを超えると洗浄液が流れ込んできて,プールから洗浄液があふれることを防ぐというのは,誤りです。

 この少し上の排出口も,カートリッジの上の穴に繋がっているので,カートリッジのバイパスにはなっていません。ではどういうことかというと,実はこの少し上の排出口こそが,メインの循環ルートです。

 洗浄液はこの排出口から液が流れ出ることで,一定の液面の高さを保ちます。こうしてヒゲくずは洗いながされるのですが,プールの下からカートリッジに流れ込む洗浄液の量は少なく,主にこの排出口から戻っていきます。

 もっというと,洗浄液が出て行く穴を上と下の二箇所に設けたことで,重いゴミは下から,軽いゴミは上からと,万全を期す仕組みになっていたと考えるべきでしょう。

 そして,上の排出口により一定の液面が保たれますが,空気抜きが行われると液面が下がり,下の穴から抱け洗浄液が回収されます。このことでプールは空っぽになります。

 下側の穴から出て行く洗浄液の量より,プールに入り込む洗浄液の量が多いと,こういう仕組みででプールに一定量の洗浄液を維持して循環させつつ,空気を抜くだけでプールを空っぽに出来るという,シンプル割にはなかなかよく考えられた仕組みだったのです。

 この仕組みに思い至ったとき,私は自分の浅はかさと愚かさに,恐怖しました。

HC-20の修理その1

 ついでに,EPSONのHC-20が壊れてしまった件についても書いておきましょう。

 HC-20を久々に引っ張り出したら,液晶が写真のようにガビガビになっていました。

ファイル 422-1.jpg

 LCDモジュール基板を外して撮影したものですが,表面の偏光板に斜め方向のひび割れが発生し,中央部が帯状に黒ずんでいます。これは明らかに偏光板の劣化です。交換すれば綺麗になるでしょう。

 HC-20のLCDモジュールを分解すると,LCD本体のガラス板の上に,偏光フィルムが貼り付けてあります。これを剥がして交換するわけですが,接着剤の劣化も激しく,なかなか綺麗に剥がれません。なんとかアルコールで拭き取り綺麗になりました。続いて裏側の偏光板も確認したところ,こちらの劣化はそれ程進んでおらず,このまま使う事が出来そうです。

 見た目には偏光板を交換するだけで綺麗になりましたが,テストをするのに電源を入れてみると,ピーという起動音はするのですが,そこから先,動作しません。

 壊れています。

 あわてて基板を見てみると,電解コンデンサの周りが変色し,粉を吹いています。どうも電解コンデンサが液漏れを起こしているようです。それも搭載されている電解コンデンサ全てが,粉を吹いています。全滅です。

 ひどいものは基板を腐食して,青いサビを浮かせています。事態はかなり深刻なようです。

 HC-20にはカスタムICなどはなく,強いて言えばマスクROMとサブCPUがHC-20専用部品であり,これ以外は全て汎用品です。回路図も手元にありますので,修理をしようと思えば可能です。

 しかし,私は80系の人。HC-20に搭載されているCPUはHD6301という,由緒正しき68系のCPUです。これでシステムを組んだ経験がない私にとっては,基礎から勉強し直しながらになります。

 とはいえ,マイコンシステムですので,電源,クロック,リセットの3つの神の手だけは,電解コンデンサを交換してから,先に確認をしておくことにします。

 まずリセット。リセットボタンを押すとリセット信号がちゃんと動いていますので,とりあえずこれはOK。次にクロック。HC-20はCPUに直接水晶発振子を接続し,クロックを得ています。メインCPUとサブCPUそれぞれにクロックがありますが,両方ともきちんと2.4MHzで発振しているので,これもOK。RTC用の32kHzは後日見ます。

 最後に電源です。HC-20の電源系統を調べて見ると,ちょっと首をかしげたくなるような部分が出てきました。

 HC-20にはNi-Cd電池が4本直列のパックが内蔵されています。定格では4.8Vの出力ですが,最大で6.0V,最低で4.0Vくらいまでの変動があります。

 ここで普通は安定化を行って,当時のマイコンシステムの標準である5.0Vを作るのですが,なんと安定化が入っていませんでした。しかも充電回路はACアダプタから抵抗1本が直列に入っているだけです。長時間充電すると電池が劣化すると説明書に書かれていましたが,その理由がやっと分かりました。恐ろしいことです。

 で,まずバッテリー直接の電源がVBです。これは前述の通り4.0Vから6.0Vまでの変動をします。電圧監視回路があるので,4.5Vを下回るとCPUに割り込みがかかります。

 次にVL。これは電源スイッチによって制御される電源です。電源スイッチからの信号であるVL_ONでVBに繋がったトランジスタをONして供給します。電源が供給されたら,後の制御はサブCPUにゆだねられます。電源スイッチの状態はメインCPUも知る事が出来ますし,変化すれば割り込みもかかりますが,VLを切断するのはサブCPUの仕事です。

 ところがこのVL,単にトランジスタでON/OFFするだけで安定化していません。回路図には5Vとありますが,実は電池電圧によって変動します。

 続いてVC。これはバックアップが行われる電源です。HC-20にはC-MOSのSRAMが16kByte内蔵されていますが,これを電源OFFの時にもバックアップする仕組みがあります。VBから生成され,VLがONの時は4.5Vが,OFFの時には3.0Vが,SRAMとその周辺のロジックICに供給されます。なんでこんなことをするかと言えば,C-MOSのSRAMのバックアップは3Vから行われるようになっており,5Vでは消費電流が増えてしまうので,わざわざ下げるのです。

 次にVLD。これはLCD駆動用の電源で,VLから作られます。VLによって動作するロジックICを使って発振させた波形を倍電圧整流して7Vを作っています。

 最後に+8Vと-8Vです。これはRS-232Cのドライバに供給されるもので,TL497を使ってVBから作られます。制御はRS-232Cを使う時にHighとなる信号があって,これで行われますが,とりあえずこれがおかしくなっても起動しないという現象は現れないでしょう。

 こんな感じで,電圧を測定してきます。VBは外部の安定化電源から与えますので5.0Vです。電圧監視回路の動作も確認しましたが,確かに4.5Vで信号が変化しています。問題なさそうですね。

 VLは電源スイッチがOFFの時は0V,電源スイッチがONになると5Vになります。これも一応正常です。

 次にVCです。電源OFFで3.5V。ちょっと高いです。電源ONにすると3.8V程度。あれ,5V付近まで上がってきません。これではSRAMが動作していない可能性があります。

 VLDは8Vくらいあります。+8Vと-8Vは未確認ですが,あとで見ましょう。

 というわけで,VCがおかしいので,これを修理すれば動くかも知れません。

 Q7という番号のトランジスタ,2SA1048というごく普通のPNPトランジスタによってVBがVCのラインに繋がります。Q7のベースにはVLを制御するVL_ONという信号が繋がっているので,VLが5Vになる時,Q7もONしてVCも5Vになるわけです。OFFのときには,別のトランジスタとツェナーダイオードによって作られた3VがVCの電圧になります。

 まず疑うのは,Q7の破損です。経験上,PNPトランジスタってのは,結構壊れるんですね。ところがこれは正常のようです。次にVL_ONがトランジスタのベースに入っているかどうかを確認すると,これが入っていません。

 ベース抵抗のR40の直後まではVLが来ていますので,ここからトランジスタへの配線が切れているのでしょう。線材で繋ぐと,VLにあわせて正しい電圧がVCに出るようになりました。

 これで直ったかと思われたのですが,相変わらず画面は真っ白。ピーという起動音も相変わらずで,見た目にはなんの進歩もありません。

 ただ,ここで考えないといけないのは,何故Q7のベースが切れていたのか,です。パターンが切れていたと言うことですから,その原因はもしや電解コンデンサの漏液かも知れません。だとするとかなり深刻で,そこらじゅうのパターンが切断されている可能性があります。いやぁぁぁぁぁぁぁ。

 そんなわけで,とりあえず電源まで確認したところで,心が折れて寝ました。

 ここから先は,どうやら本格的にロジックを見ていかないといけませんが,それにしてもこの広大な海のどこから手を付けるか,絞り込まなければ埒があきません。

 まず,起動音がピーと必ずなっています。スピーカーはサブCPUに繋がっていますので,リセット解除後にサブCPUが動作していることは間違いありません。ですので,故障はメインCPUの周辺にありそうです。

 LCDはうっすら黒くなって電源が入ったことを教えてくれています。LCDの表示はメインCPUの管轄ですので,メインCPUが動作していません。キーボードも受け付けませんので,これもメインCPUが動いていない証拠となります。

 では,メインCPUのバスはどうなっているでしょうか。Eクロックは約600Hzを出力していますので,一応動いてはいるようです。データバスもアドレスバスもバタバタと動いていますから,CPUはなにかをしようと,もがいています。

 ということは,メモリ関係ということになりそうです。HC-20は8個のSRAMと,3個のマスクROMがバスにぶら下がっています。しかもデータバスとアドレスバスの下位はマルチプレクスされているので,Dラッチである373をアドレスストローブ信号(AS)で動かして,データとアドレスの分離をしています。

 これだけ接続箇所があると,1つくらい切れていてもおかしくありません。これはもう丹念に1本ずつ接続を調べていくのが定石です。とにかくCPUはがむしゃらにもがいているのですから,これに応えてあげるのが先決です。

 なお,VCが正しい電圧を出すようになったことで,1つだけ見た目に改善したことがありました。これまで,電源スイッチをOFFにしてリセットボタンを押しても,VLが下がらず,動作し続けてしまうことが多かったのですが,VCが直ってからは確実に電源が切れるようになりました。

 VCの制御は確かにVL_ONで行われていますが,VC自身の電圧でも行われています。他の要因,例えば電源スイッチの状態やサブCPUからの制御信号,電圧検出器の出力などとはORになっているので,VCが完全に5Vになりきらないと,他がどれほど頑張ってVLを切ろうとしても,切れないようになっています。

 VCの電圧が正しくなったことで,VLは確実にOFFされるようになったのですが,このことは故障の内容と修理の結果による現象を,当たり前ですが正しく表現してくれています。少しは励みになったかな,という感じですね。

 さて,これからもコツコツと頑張っていきましょう。なにせ,HC-20には,エミュレータが存在せず,実機だけが動く存在なのですから。

ラムダッシュの自動洗浄がおかしい件

 今年の1月初旬に髭剃り器をパナソニックのラムダッシュES-LA72に買い換え,このそり心地に毎朝ご満悦な私ですが,購入当初から自動洗浄機に不満があり,どちらかというと辛抱して使っていました。当時の艦長日誌を読み返してみても,自動洗浄についてはブラウンの圧勝とあります。

 で,その自動洗浄機の具合が悪く,ここ数週間ほど頭を抱えています。

 問題の発覚は,自動洗浄機の下が洗浄液でびしょびしょになっていたことを今月初旬に見つけたことでした。購入後10ヶ月ですが,こんなことは初めてです。

 留守中に洗浄していますからなにが起こったかわかりませんが,まず最初に疑ったのは嫁さんで,「うごかしたやろ」と詰問するも「しるかぼけ」と反論されたのち,謝罪と賠償を要求されました。

 法外な要求にくずおれながらも,真の原因を追及する姿勢は忘れません。次こそは尻尾をつかもうと,危険を冒してしばらく使い続けます。ある朝,ヒゲを剃ろうと本体を洗浄機から取り外すと,本体のヘッドから洗浄液がしたたり落ちるではありませんか。

 よく見ると,洗浄機の下側に水濡れがあると同時に,洗浄液をためるプールに洗浄液がかなりの量溜まっており,タンクに戻っていないことがわかりました。

 プールを見ると,10ヶ月間使い続けた結果,水垢やゴミが溜まっており,これが穴をふさいだのではないかと考え,意を決して掃除を行いました。

 休日にその成果を試したのですが,やはり相変わらず洗浄液が回収されず,水濡れも発生します。よくよく様子をみると,以前に比べて泡が大量発生し,洗浄中もあふれ出てきそうな勢いです。こんなに泡が出るというのはなにかおかしいと思ったのですが,濃度の調整を私がやるわけではありませんし,別の薬剤やローションなどは一切使っていないですから,不純物が混じることもありません。

 きっと水垢や汚れが内部のパイプや経路をふさいでいるに違いないと素人判断し,いちいち修理に出すのも面倒臭いという理由で,よせばいいのに自分で分解して掃除をすることにしました。

 外側のカバーを外し,内部をよく観察します。まるで1980年代のターボエンジンのような,なんだかよくわからないけど格好いいパイピングに萌えつつ,汚れを確認していきますが,思っていたほど汚れていません。おそらくフッ素かなにかが入ったチューブなのでしょうね,ゴミも水垢も付着せず,液体の流れは邪魔されていません。

 せっかく分解したのですから,一応隅々まで掃除をします。せっかくですので洗浄カートリッジもこの機会に交換しておきましょう。太っ腹です。

 組み立ててテストをするとき,元のようにカバーをつけてしまうと洗浄液の流れが分かりませんし,水漏れの原因も分からないままになりますから,カバーを外したまま洗浄をやってみます。

 すると,写真のように,向かって左側にある電磁石(ソレノイド)のあたりが,妙に濡れているのがわかりました。洗浄中もじーっと観察していると,このソレノイドに繋がっているパイプから洗浄液が漏れて出てきているようなのです。

 そもそもこのパイプ,いったいどういう役目のものなのだ?

 そこでいろいろ調べて,ラムダッシュの自動洗浄機の洗浄液の流れを解明しました。写真を見ながら説明を読んで下さい。

ファイル 421-1.jpg

 下部手前にあるのがポンプユニットです。モータがダイヤフラムを前後に振動させ,液体を吸い込み,吐き出します。原理的には金魚のエアーポンプと同じものです。

 まず,自動洗浄機のスイッチが入ると,ソレノイドがONになり,パイプの一方をふさぎます。このパイプはタンクの上部の穴に繋がっており,空気抜きの役割をします。

 フタがふさがれた空気抜きからは,当たり前ですが空気が抜けず,タンクは密閉状態になります。ここでポンプが動作すると,まず空気がタンクの入り口に入り込みます。

 タンクには反対側に出口の穴があいていますが,これはタンク内の壁で仕切られた区間に繋がっています。この空間はタンクの下側に口が開いているので,入り口から空気が入ってくるとタンク内の洗浄液の液面が空気で押し下げられ,洗浄液が仕切られた空間を登っていき,出口から洗浄液が吐き出されるのです。ちょうど,電気ポットと同じ原理ですね。

 出口から出た洗浄液はプールに溜まりますが,プールの下部には小さい穴が開けられており,これがカートリッジの上部の穴と繋がっています。カートリッジの横の穴とはポンプが繋がっているので,ポンプの回転によって発生した負圧によってカートリッジに洗浄液は吸い込まれていきます。

 ただ,この吸い込み量はそれほど多いわけではなく,ポンプの能力をカバーできません。そこで,プールの少し上の部分にも排出口があり,液面がある高さを超えるとここから流れ込む仕組みになっています。写真のソレノイドの上を這う太いパイプは,この時流れ出た洗浄液を戻すものです。

 このパイプは,おそらくですがカートリッジをバイパスする経路になっており,洗浄液の回収能力を排出能力が上回った場合でも,プールから洗浄液があふれることを防いでいます。

ファイル 421-2.jpg

 さて,洗浄が終わってタンクに洗浄液を全て戻す場合を考えます。これには,先程の空気抜きパイプのソレノイドをOFFにしてポンプを動かしてやると,このパイプから空気が抜けるため,洗浄液が登ってきません。ポンプによって洗浄液はタンク内に送られて来ますから,しばらく回していると全て回収して終了,となるわけです。

 なかなか考えたものだなと思いましたが,いかがですか?

 問題は,この空気抜きのパイプです。

 タンクの液面の最高値よりも高い位置に穴が空いているため,本当ならここから液体が流れてくることはありえません。しかし実際にこの周辺が濡れています。

 何度も何度も洗浄して動作を確認すると,空気を抜いているとき,つまりソレノイドがOFFの時に,少しずつ洗浄液が出てきていることがわかりました。

 そうこうしているうちに,どういうわけだかソレノイドが動かなくなってしまいました。これは完全に故障です。

 調べて見ると,ソレノイドのコイルが切れているようです。これは本当に困りました。自分で分解してしまいましたから,今さら修理というのもお願いしにくいです。保証期間中なのに有償になるのもバカらしいですが,ここはお約束の自己責任です。

 ソレノイドのコイルをほどいてみると,幸運なことに,すぐに断線箇所が出てきました,黒く錆びて切れています。以前からずっと水濡れがあって,それで切れているようです。これは欠陥品ではないのかと,その時から私は自分の行為が間違いであったことを悟り始めました。

 切れたコイルをハンダ付けし,またまき直してソレノイドは復活しました。コイルの巻き直しをするなんて,21世紀にはありえません。

 元のようにソレノイドを組み付けてテストをしますが,やはり水濡れは発生します。さらに観察すると,どうやら洗浄液が循環するときにタンク内部で泡が盛大に発生し,これがはるかに液面を越えて,空気抜き用のパイプが繋がる穴に入り込み,パイプを流れてくることが分かりました。

 しかも,その泡の量が多いと,空気が抜けずに洗浄液が循環し続けてしまい,全量を回収できないままにポンプが停止してしまうこともわかりました。これで自動洗浄機の下側が,洗浄液のこぼれた後がないのに濡れていることも,コイルが腐食して断線していたことも,そして洗浄後も洗浄液がプールに残っていることも,全部説明が付きました。

 原因が特定出来たので,対策を考えますが,根本原因はとにかく泡の発生を抑えることにあります。見ていると,タンクの入り口から入った洗浄液は高い位置からボトボトと落とされており,ここで大量の泡が発生しています。低い位置まで洗浄液を誘導すればいいのではないかと,細いパイプをタンク内に入れてみたところ,泡の発生はかなり抑えられました。

 結果,空気抜きのパイプに泡が流れ込んで来ることもなくなり,正常終了するようになりました。

 しかし,泡の発生がなくなったわけではありません。特に洗浄開始の時に,タンクに空気を送り込む時に,それこそ金魚のエアーの様にぶくぶくと気泡が上がってきますので,泡の発生原因になります。

 そこで,次なる対策を考えました。目のあらいスポンジをタンクの入り口にはめ込み,洗浄液流入の勢いを落とすと共に,気泡を破裂させ,しかも高い位置から勢いよく落ちることを防ごうというものです。

 このスポンジの選定が成否を握ると思われ,これには慎重な検討が必要という事で,この週末にチャレンジします。

 ところで,某掲示板を見ていると,気になる記述を見つけました。私と同じ症状で修理に出した人がたくさんいるようなのですが,メーカーの調査原因として,洗浄液の成分に不具合があり,泡が大量発生したというのがあったそうなのです。

 洗浄液の成分の不良というのはおだやかではありません。泡の大量発生が今回のトラブルの原因ですので,カートリッジの不具合ということになると,同様の事件が多発していることになります。

 前述しましたが,確かにこれまでの10ヶ月間,洗浄中に本体のヘッドを覆い隠すほどの多量の泡が発生したことは記憶にありません。試しにこぼれて減った分を水を足して洗浄液を薄めると,さらに泡の発生が少なくなります。

 ラムダッシュの自動洗浄機のカートリッジは,過去の機種から現行機種まですべて共通です。洗浄剤の仕様が変更された時に泡の発生が増えて,これが旧機種で問題を起こしているというパターンではないでしょうか。

 洗浄力のパワーアップかコストダウンか,理由は分かりませんが,どうも私の個体だけの問題ではなさそうです。

 いずれにしても,泡の発生が多い現状ではこのまま使う事は出来ません。もうメーカーへの修理は考えていない私としては,いくところまでいくしかなく,「スポンジで泡消し大作戦!」を決行するほかありません。

 結果は週明けです。同じようなトラブルで,留守中に安心して自動洗浄できない方々,どうぞお楽しみに。

X-07が壊れてしまった

 なんか,最近ものが良く壊れて困っています。

 といっても,生活が成り立たなくなるような大事なものが壊れているわけではないので,気楽なものです。

 私が古いポケコンやハンドヘルドコンピュータを集めていることはご存じの方もいらっしゃると思いますが,私がかつて心血を注いで修理したキヤノンのX-07が,壊れてしまいました。

 時々電源を入れて動作を見ていたのですが,液晶の画面上に気泡のようなものが出てきてどんどんひどくなって来たこと,そしてドット抜けがかなり出てきた事が問題でした。

 気泡はまあ反射シートかなにかを張り直せばいいとして,ドット抜けが問題です。ドット抜けというと,その画素が死んだか,あるいはパネルと基板をつなぐゼブラゴムの接触不良あkと相場が決まっていますが,点灯しない画素も,黒にならないだけで白の時は周囲と同じようなグレーに点灯しており,全く通電されていない状況とは違うようなのです。

 そうなるともう半導体の問題となってしまうわけで,もし液晶ドライバなどが壊れているならお手上げという恐ろしい事態になります。

 とにかくこの抜けたドットの場所など,規則性を見つけ出しましょう。

 X-07は,横120ドット,縦32ドットで構成されたディスプレイを持っています。液晶ドライバはVRAM内蔵のものが2つ使われており,横に4ドットずつ交互に担当しています。よって,4ドットずつ白黒の帯を表示すると,どのドライバに問題があるかがわかるかも知れません。

 やってみると,IC22と回路図に書かれた,4から7ドットを担当するドライバの部分でドット抜けがひどいです。綺麗に全てのドットが抜けている訳ではなく,抜けるラインもあれば,綺麗に出ているところもあるので,面倒な感じです。

 先に偏光フィルムと反射シートを交換し(この反射シートは銀のラッカーを厚紙に吹き付け,マットな銀色のシートを作りました),検討を始めると,あろうことか起動しなくなってしまいました。本格的に壊れてしまって焦る私。

 パターンが1本新たに切れていたので,これをつなぎ直し,なんとか復活しましたが,相変わらずドット抜けはあったまま。そういえば昔,こんなにドット抜けがひどくなかった時,電池が切れてくるとドット抜けがひどくなったことを思い出し,電源電圧を少し上げてみました。

 回路図では4.65Vに調整することになっていますが,これを5Vまで上げてみると,ドット抜けがかなりおさまりました。5.2Vまで上げると完全に消えます。

 しかし,昔はここまで電圧を上げなくてもドットは抜けなかったわけですから,これはもうLCDドライバICの劣化が始まっていると考えるのが普通です。ここで調子に乗って5.2Vなんかにしてしまうと,ますます劣化が進み完全破壊に至るかも知れません。

 そこで,今回は実用範囲で支障のない,5.0Vで手を打ちました。このころのICですから,5V動作は大丈夫でしょう。

 X-07はこれで一応完全に修理出来たのですが,劣化が進行しているという事実は大変重く,あとどのくらいこのX-07が動作してくれるのか,不安も残す結果となりました。

 とりあえず一段落したので,他のマシンも確認します。PC-8201・・・大丈夫ですね。HC-20・・・あれ液晶の偏光フィルムに斜めのひび割れてが出てますね。交換しないと。

 HC-20は偏光フィルムを交換したのですが,電源を入れても動作せず。

 ピーと起動音は出ますが,そこから先の表示が出ません。

 壊れました。

 HC-20は68系のマシンで,私も詳しくはわかりません。またサブCPUを搭載し,メインCPUと連携しながら動作するので,修理は面倒臭そうです。

 メイン基板をしげしげと見ると,ほとんど全ての電解コンデンサの足下に白い粉が付着しており,基板からは緑青が出ています。うわー,液漏れ&基板の腐食です。

 もう絶望的な気分になりつつ,長期戦になると覚悟を決めて,修理を進めたいと思います。

 実はもう1つ,今年の正月から使っているパナソニックの髭剃り器「ラムダッシュ」の自動洗浄機の調子もおかしいのです。なぜか洗浄が終わると,洗浄機の足下が洗浄液で濡れてしまいます。洗浄液がこぼれているのか,それとも内部で漏れているのか・・・これの顛末も後日。

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