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カテゴリー「マニアックなおはなし」の検索結果は以下のとおりです。

カラカラ音にご注意

 Kindle3がしばしば勝手に再起動するようになったのですが,「初期ロットにバグは付きものだからそのうち改善されるだろう」と思って,あまり気にも留めずにいました。

 しかし,先日電源を切ってテーブルの上に置いていただけなのに,何のきっかけも前触れもなく突如リブートを始めたのをみて,さすがに放っておくわけにはいかんなと調査を始めることにしました。

 ちょうど,振るとカラカラという音がすることに気が付いたときでもあり,もしかすると金属片など異物の混入があるんじゃないかと気になったのです。

 某巨大掲示板にはリブートすることは度々書かれていても,カラカラ音がすることについては全然書かれていません。海外の掲示板を見ると,一応カラカラと音がすることは報告されていますが,それが結局なんだったのかについては全く触れられていません。

 振ると言うより,傾けるだけでカラカラカラと何かが長い距離を動いている感じです。例えばキートップなどの部品がカチャカチャと音を立てるのとは明らかに違う感じです。

 また,リブートについても,背中を指先でピンと弾くと,即座にリブートすることも分かりました。電源OFFからのリブートですので,やはりなにか問題があるのではないかと思います。

 ご存じのようにKindleはamazon.comから購入する形を取るので,サポートはamazon.comが担当します。そしてどうやら,そのサポートは電話で行われ,悪いことに日本語は通じないものであるようなのです。

 まあ,それは覚悟の上でしたし,最悪壊れても買い直すくらいの気持ちでいましたから,保証も何も考えずまずはこのカラカラカラという音の正体を調べて見ようと思いました。

 もし,日本でサポートを受けられるなら,自分で分解せずすぐに修理なり交換をお願いしたと思います。このあたりが,まだまだ万人にお勧め出来るガジェットではないということでしょう。

 Kindle3の分解手順をgoogle先生に聞いてみると,案外あちこちで行われているようで,簡単にできそうです。まず四隅にぐっと力を入れて,爪の引っかかりを外します。四隅が外れたら,あとは少しずつ他の場所の爪を外して行くだけです。ネジもありませんし,特殊な勘合もなければ,ケーブルを切ってしまうなどの心配もありません。

 裏蓋を慎重に外します。

ファイル 403-1.jpg

 果たして,カラカラ音の正体は,外れたビスでした。しかも,3本。

 1本は覚悟していましたが,まさか3本とは。驚きました。

ファイル 403-2.jpg

 右上にあるオーディオ用のIC(WM8650)の周辺に2箇所,そこから下側に1箇所,図の赤い矢印のある場所ですが,合計3箇所のネジが外れたものと思われます。

 3つとも基板を筐体に固定するビスのようで,これが中で外れてカラカラと転がっていたのが音の正体でした。ピンセットでつまみ出し,所定の場所と思われる場所に取り付けます。念のためと他のビスも増し締めをしますが,基板を固定するビスはほとんどが緩くなっており,今にも外れてしまいそうでした。

 うーん,これは1980年代のソニーさんのWalkmanですか?(Walkmanはその昔,ビスが外れる事件が多発して,私の友人も鞄の中で分解しているのを見て愕然としていました)

 原因はなんでしょうね,締め付けトルクが足りなかったのか,本来ならネジ止め剤が必要なところを,ネジ止め剤無しで大丈夫と判断した設計ミスでしょうか。どっちにしても,持ち運びを行うモバイルマシンで,これは非常に危険です。

 カラカラという音は基板の上を派手に転がって出ていた音ですから,あちこちショートさせては,場所によってはリブートするような事になっていた可能性は高いです。もしも電源ラインをショートすると,煙が出たり発熱したりしていたかも知れません。もしKindleから煙が出て電車が止まったら,私は損害賠償を請求されるのでしょうか。

 ビスをしめた後,電源スイッチを入れますが,電源が入りません。壊れたのか,と焦りましたが,こういう場合は慌てず電池を一度外し,パワーオンリセットです。今度はちゃんと起動します。

 裏蓋をし,電源を切ってから背中をパンパンと叩いてみますが,全くリブートせず。ビスを締めてカラカラ音がしなくなって以降は,一度も不意のリブートは発生していません。やっぱりビスが原因だったんでしょうね。

 とまあ,こんな話を聞けば,やっぱ中国製はあかんな,ということになりそうなものですが,Kindle3の製造はFOXCONNが行っており,この会社はかのiPadやiPhoneの製造でも有名です。iPadもiPhoneも,あれだけの数を製造しているわけですから,低い技術で適当に作ったのではあっという間に赤字になってしまうでしょう。

 ということは,製造よりも設計に問題があったのではないかと考えたくなるのですが,そこは人間のやることだけに,ネジを緩く締めてしまったという製造上の問題の可能性だってなくはないでしょう。しかし,理由はともかくこれが原因でKindle3の信頼性が著しく低下していたことは間違いありません。というか,完全に初期不良ですね。

 初期不良があっても,交換すればそれでいいやと考えるものづくりもあります。完全に不良をゼロにすることは出来ませんし,ある数より不良を減らすには膨大な手間とお金がかかり,それは製品の単価と出荷数に影響を与えてしまいます。

 製造側の勝手な理屈ですが,不良が出ることを前提に交換を速やかに行う仕組みを用意した方が,トータルで安くなる事だってあり得るわけで,問題は現在の不良の数がどれくらいあって,それは不良を減らすように改善すべきところなのか,交換を速やかに行うべきところなのかを,正しく判断することです。

 お客としては,仮に100万個に1つの不良率でも,自分にその不良があたれば100%です。だから不良率はゼロであるべきだという話は,今さら説明の必要もない当然の事とは思いますが,前述のようにそれはあくまで理想であり,現実にはそれでは商売になりません。

 ですので,まあ私としては,割り切りました。むしろ,純正カバーの取り付け穴が変形していることの方が問題です。これ,なにか無理矢理つっこんだでしょ。

 Kindle3は,この事件の翌々日,嫁さんにキャリングポーチを作ってもらうことで,毎日持ち歩くことが出来るようになりました。早速今朝の通勤で取り出して使ってみましたが,ハードカバーの本をこんなに苦もなく読めることに,優越感すら感じました。

 それで,ついつい気になってKindleDXgも振ってみますと,なにやらこちらもカチャカチャと音がします。うーん,製造の時期も同じ頃ですから,やっぱりビスが外れているのかも,と考えて,こちらも分解をしてみます。

 結果,ビスは出てきませんでした。音の原因はボリュームのボタンだったようです。まあ,KindleDXgには全くトラブルがありませんので,当たり前だったかも知れません。

 この件,某巨大掲示板にちょこっと書いてみたのですが,案外食いつきが悪く,こんなトラブルはごく少数なのではないかと思いました。それでも私以外のもう一人の方も,ビスを締め直したと書かれていましたし,twitterで音がするとつぶやいていた人もいましたから,Kindle3のオーナーの方は,そんなもんだろうとか勝手に納得せず,少し気をつけておいた方がよいと思います。

 もし英語に不自由しないなら電話で,英語は不自由でも腕に覚えがあるなら自分で締め直すことを,おすすめします。(とはいえ私としては,少々腕に覚えがあっても,ちゃんと正規のサポートを受けることを強くおすすめしておきます。自分で締め直して失敗しても一切責任を負いません)

 うーん,またKindle3を普通の人にお勧め出来ない理由が増えてしまいました。

kdconvによるKindle3向け最適化

 Kindle3が実用レベルに来ました。

 前回の日誌にも書きましたが,600dpiの白黒でスキャンしたPDFは問題なく読めるのに,300dpiのグレイスケール(もしくはカラー)ではまったく文字が判読できず,実用になりません。

 KindleDXgでは読めるコンテンツがkindle3で読めないということは,コンテンツによってハードウェアを分けないといけないという事になるため,気分的にも足かせが付いたように感じて,どうもすっきりしません。大きさや見やすさで使い分けられるべきだというのが,私の考える本来の姿です。

 Kindle3は小さく軽く,持ちやすくて価格が安いことがなんといってもメリットです。それが文庫や新書の白黒だけという話になると,やっぱり惜しいですからね。そこで,Kindle3でグレイスケールのPDFを綺麗に表示出来るような方法を検討していました。

 もっともよい成果を得たのが,kdconvというスクリプトを利用する方法です。GhostscriptとImageMagickを使って,Kindle2(当然3もです)やDXgに最適化したPDFを作成するものです。

 前提がMacOSX10.6で,GhostscriptとImageMagickをMacPortsでインストールする例がドキュメントに書かれたいたので,まずはそのまま試して見ます。

 ImageMagickが何度か暴走して処理が進まなくなることもありましたが,うまく処理が終われば,その結果は極めて良好です。見事に破綻していたグレイスケールのPDFが,すっきり読めるように激変しています。これは本当に素晴らしいです。

 さらに,解像度を落とすことも行うので,ファイルサイズも数分の1になります。ファイルサイズが小さくなると,その分コンテンツをたくさん入れられますし,ページ送りの速度が上がります。相対的にグレイスケールやカラーのコンテンツはファイルサイズが大きくなるものなので,助かります。

 調子に乗って600dpiの白黒についてもkdconvを通してみましたが,残念ながらオリジナルの勝利です。ファイルサイズは確かに小さくなりますが,文字の品質は下がります。またkdconvを通すとグレイスケールの画像に変換されてしまうようで,JPEG特有のノイズが白い余白部分に出てくるようになってしまいます。結果として変換しない方が読みやすくなります。

 そんなわけで,KindleDXgで読むつもりのグレイスケールのPDFについても,kdconvを使って最適化を行うことにしました。これも結果は上々で,ずっと綺麗な表示なる上ファイルサイズも小さくなって,いいことずくめです。

 結果として,白黒のコンテンツは600dpiの白黒でスキャンし,アーカイブとkindle用で区別をしない,グレイスケールやカラーのコンテンツは,300dpiのグレイスケールもしくはカラーでスキャンし,Kindleにはkdconvを使って最適化を行ったPDFを放り込む,という風に運用していく事にしました。

 一手間二手間増えることになりますが,この小ささと手軽さにはそれを乗り越えるだけの魅力があります。

 噂によれば,Kindle3のOS,3.0.0はJailbreakが難しくなっているそうです。もっとも,Fonthackについてはその必要がなくなりましたので,jailbreakが必須というわけではなくなっているのですが,その点においても少しは難易度が下がったと考えて良く,まだまだ広くおすすめできるわけではないにせよ,とりあえず安いし買ってみたら,と言ってあげられるような端末になっているように感じます。

 amazonは日本の出版社や著作者にもアプローチを続けていると言いますし,日本語が扱えるようになった以上,国内での正式サービスも早い遅いはあるにせよ,間違いなく提供されることになるでしょう。

 さらにソニーが新しいReaderを国内販売すると発表して,amazonのKindle3の国内での売れ行きに牽制球を投げていますし,以前に比べて電子出版についても賑やかになってきたと感じますが,相変わらずダメダメのグダグダなのは,大手出版社や流通などの既得権保持者の動きや発言です。

 専門家ではないし取材を行ったわけではないので明言は避けますが,音楽で似たようなことがかつてあったなと,デジャヴを感じるのは私だけではないでしょう。自動的に未来の予測も出来てしまいます。

 本当に残念なことです。

 ここから先,「傷だらけの店長」という本を読んだことを書き連ねたのですが,長くなって収まりが付かなくなったので,一度ここで区切ります。

しおりが邪魔をする

 今年はやや長めに夏休みを頂きました。普段読みたくても手が出せなかった本を読もうと意気込んで迎えた夏休みですが,電子化された出版物がどこまで「読む」という実用に耐えるのかという実験も予定していました。

 以前から何度も書いているとおり,私は現在「自炊」と呼ばれているScanSnapによる本のPDF化を日常的に行っており,アーカイブされているPDFの出力先に,ノートPCのLCD,プリンタによる印刷に加えて,KindleDXによる電子ペーパーという3つ目を加えました。

 どの手段でも読むことは出来ますが,LCDについては長時間の読書は無理,まして長編などは疲れてしまうでしょうし,持ち歩くなら紙のままの方が小さく軽いはずです。しかも電池が数時間で切れてしまうわけですから,そうなったらもうゴミみたいなもんです。(私の持論は,モバイル機器は電池が切れたらゴミ,です)

 Kindleは(あくまでLCDに比べてですが)読みやすいディスプレイを持つ,長時間の読書に耐えうる可能性を持ったデバイスです。特に大判のKindleDXは,文庫本でもハードカバーのA5サイズくらいに拡大して表示されるので,文字が大変に見やすいのですが,果たしてこれで「読書」は可能だったのでしょうか。

 結論からいうと,可能でした。

 これまでに5冊の本をKindleDXで読了しました。

・スティーブ・ジョブズの流儀
・ホームコンピュータ入門(宮永好道先生の遺作の1つです)
・三洋電機よ,永遠なれ!
・精神変容のドラマ
・科学技術政策(山川の日本史リブレットです)

 そして現在,「永遠の0」(講談社文庫)を読んでいる最中です。

 読書というのは没入感が大事です。紙で読んでいるときの没入感は実に素晴らしいのですが,それは以前に書いたように,そうあるように作り込まれているからです。

 Kindle,というよりは,私の自炊がどれくらい上手に出来ているかが,没入感を大きく左右しますが,LCDで見るときにはグレースケールでスキャンした方が綺麗に見えるのに,Kindleでは白黒でスキャンした方がはるかに美しく,読みやすいものが出来上がります。

 文字がくっきり出ることもそうですが,グレースケールでスキャンすると,ページが焼けた古い本では,紙の色が薄いグレーで取り込まれてしまい,文字とのコントラストが下がってしまうのです。

 Kindleは16階調の表示能力がありますが,これにディザを併用して濃淡の表現を行います。なので,紙の変色がひどいと,ディザによる「点」が画面いっぱいに打たれてしまうことがあるのです。こうなるともう見にくくて仕方がありません。また,グレースケールでは文字も階調を持つ形で取り込まれますが,Kindleでは薄いグレーは透明になってしまうので,文字が痩せてしまい,紙のオリジナルとはかなり印象が変わってしまいます。

 しかし,図や写真などはグレースケールでなければ話にならないですし,文字ばかりの本であっても文字の濃さを変えたものや,区切り線,ページ番号やフッタなどにグレーを用いる場合は,やはりグレースケールで取り込む他はありません。この辺は痛し痒しなところがあります。

 「ホームコンピュータ入門」などはかなり変色が進んでいましたが,写真が多いという事で最初はグレースケールでスキャンしてありました。しかしこれをKindleで読むと大変読みにくく,図や写真のないページを白黒2値でスキャンしなおし,差し替えて読了することが出来ました。

 そんなわけで,使ってみて感じたKindleのメリットです。

(1)ハンズフリー

 私は読書は寝そべっていることが多いのですが,紙の本のように手で広げて読むというのは,同じ姿勢が続いてしんどいものです。KindleDXはほぼB5サイズと大きいので,普通に手で持っているともっとしんどいのですが,例えばテーブルの脚に立てかける,例えば衣装ケースに立てかける,例えば壁に立てかける,と言う具合に,なんでもいいから立てかけると非常に楽で自然な姿勢で本を読むという,新しい体験が可能になります。

 後述しますが,文字が大きく表示されるので,少々距離があっても全然問題はありません。また,電子ペーパーは見る角度によって表示品質が変化しませんから,開く場所に制約を受けません。

 うたた寝をするときも,本ならバサッと閉じてしまうところを,Kindleならそのままの場所が表示されています。目が覚めたらまた続きから読むだけです。文字を追いうたた寝に浸り,まどろみにたゆたう贅沢を,まさに満喫できました。


(2)文字が大きい

 文庫や新書といったA6程度の本であると,ディスプレイサイズがA5程度のKindleDXなら2倍の面積で表示されます。文字が大きく表示されることは当初メリットとは考えていませんでしたが,50cm以上離しても問題なく読み進めることが可能であり,そこまで距離を稼げると読むのに楽な置き方が必ず見つかります。

 実は,文字が大きいと目の動きが大きくなりすぎ,かえって疲れてしまうことに気が付いていました。そこでKindleとの距離を離してやると,ちょうど読みやすくなったというわけです。

 ただ,あくまでオリジナルが文庫や新書であることが前提で,A4やB5といった雑誌だと,ほぼ文字を読むことは絶望です。


(3)ページをめくるのが楽

 ページをめくるときにはボタンを押さねばなりませんが,それでも紙をめくる動作よりは楽で,片手でぽちっと押すだけです。長押しすることもなく,また押しにくい位置にあるボタンを手をひねって押すわけでもなく,ただ大きな面積のボタンをかちっと押すだけです。

 Kindleへの心配事の1つとして,ページめくりの遅さが挙げられることが多いのですが,これは普通に使っていると杞憂であることに気が付きます。というのもkindleは今読んでいるページの前後をキャッシュや先読みをしてくれているからです。

 キャッシュや先読みが行われているページは,ボタンを押せば即座にその画面に切り替わってくれます。本によりますが3ページくらい先ならささっと切り替わりますし,戻るときでも2ページくらいなら瞬時に戻ることが出来ます。もっとも,そのキャッシュ範囲を超えたところになると途端に数秒から数十秒待たされてしまいますし,先読みを行う暇もないくらいページをぺらぺらめくると全く話にならない遅さになりますが,その点でもKindleは雑誌を読むには向いていない端末だと言えるでしょう。雑誌やコミックならiPadですね。


 一方で,いろいろな失敗もあります。痛恨のミスは,現在読んでいる「永遠の0」で,買ってその日のうちにスキャンし,Kindleに突っ込んでから,紙はさっさと捨ててしまったのです。それから1週間ほど経過した昨日,さくさく読み進めていると,327ページの1/3ほどが,親切で挟んでくれている「しおり」によって隠れてスキャンされていました。オリジナルはすでに手元にありませんし,しおりを手でどけようとしても無駄です。エロ本の黒塗りがどれだけ擦ってもとれないのと同じことです(違います)。

 そのにっくきネコのイラストのしおりのせいで,私はもう1冊買う羽目になりました。電子書籍バージョンは1900円の値段が付いていたと思うことにしたいと思います・・・(なお図書館で借りることも考えましたが,この本はえらい人気みたいで,近所の図書館では180人待ちでした)

 もしかすると,最新のScanSnapS1500だと,こういう場合でも重送の検出が可能だったりするのでしょうか。そうだとするとかなり安心ですが,でもS1500でもセンサは中央部にあるだけだったと思うので,しおりをきちんと検出出来たかどうかは,結構怪しいです。(と思って調べて見ると,やはりS1500の超音波センサでも,しおりの重送は検出出来ず,私と同じような悔しい思いをされている方がいらっしゃいました。)

 ページの角が折れてしまっていたケース,背の部分の糊が残ったままになっていて重送が発生しくしゃくしゃにされてしまったケース,連続使用による高温が残っていた糊を溶かしてガラスに付着,これが影となってスキャンされ続けたせいで,本来よりも大きな紙と誤認識されてしまうケース,ハードカバーの本のように,単純に背を裁つと,腹の部分の湾曲のせいで紙のサイズが連続的に変わってしまい,幅の狭い紙が斜めに送られてしまうケース,薄い紙かつ印刷された面積が小さいページでは裏移りがあったり,紙の端っこが黒くなってしまうケースなど,完全自動化というのはなかなか難しいものがあります。

 突然ですが,Kindleを前提としたスキャンのノウハウです。

・白黒600dpiを基準にせよ

 KindleDXは600dpiの白黒が綺麗に表示出来ます。アーカイブという観点でも600dpiなら十分なものがありますので,可能な限りこの設定で読むのがよいと思います。なお,文字は太くして読みやすくしておきます。


・グレースケールのページをカラーで取り込むな

 ScanSnapでは,カラーもグレースケールも同じ扱いになりますが,カラーのデータから色情報を抜き取って輝度だけにしてくれる処理が入る分,ガラスに付着したゴミによる縦線の被害も小さくなりますし,色ズレ,色の転び,紙の変色という問題も回避できます。なお,カラーもグレースケールも300dpiで取り込むのがリーズナブルです。


・白紙ページは飛ばさない

 白紙ページを飛ばす設定は便利ですが,読み取ったページ数から,重送がないことを確認するのに骨が折れます。それより,重送がなく,読み飛ばしがないことを確認したのち,白紙ページを手動で削除した方がずっと早いし楽です。でも難しいところですね,白紙ページを削除して印刷すると,両面基数ページという本来ならあり得ない状態になってしまうわけで,アーカイブという目的ではそもそも削除しないという考え方も必要だったかも知れませんね。


・出来れば毎回クリーニング

 特に高温となるセンサ部のガラスには,糊やゴミがこびりついています。この状態でスキャンするとそれが縦線としてスキャンされるので,出来れば毎回アルコールでさっと拭いてやると安心です。


・PDFのメタデータはANKで

 これは現時点の制約ですし,以前にも書いたことですが,Kindleで著者名を表示するには,PDFのメタデータにANKで書き込む必要があります。海外の作者ならいいのですが,日本人の場合に,名前-名字と書くのか,名字-名前と書くのかは,統一しておくべきでしょう。


・OCRは必要ない

 確かに,スキャンのメリットの1つに,OCRによって得られたテキストデータを透明文字にして埋め込むという手段により,検索が出来ることがあるわけですが,ことKindleで読むことを考えた場合,その必要は全くありません。アーカイブという観点からも,目次がきちんと読めれば問題はなく,かえってOCRの誤認識に気が付かないでそのまま埋め込まれていることで信用できなくなってしまうことの方が問題です。スキャンの時間も倍はかかりますし,もしやるとしても辞書を引きやすくなるという目的で英語の文献くらいはありかも知れません。


・しおりや広告はきちんと確認

 文庫や新書ではしおりや広告,葉書が挟まっていると取り返しの付かない問題を引き起こしますし,本によっては紐が切断されて紛れ込む事があります。あの紐はなかなかくせ者で,気が付かずに裁断してしまうと,短い繊維に分解してしまい,あちこちに飛び散ります。どっちにしても最初にちゃんと確認しておけば済む話です。


 そんなわけで,私の場合は,Kindleでの読書はギリギリ実用というところです。積極的に多くの方におすすめするようなものではありませんが,本が好きな方,置く場所に困っている方,ハードカバーの本が重くてつい買うのをためらってしまうというひ弱な方,芋虫のようにゴロゴロするのが大好きな方には,自炊とkindleによるメリットを少し検討しても良いかも知れません。

電子書籍に大切なこと

 私がScanSnapのS500を購入したのが2007年3月,自分で本を電子化するいわゆる「自炊」を始めて3年半ほどの期間が経過しました。

 昨日,そういえばいったどのくらいスキャンしたのだろうと考える事があり,調べて見ることにしたのですが,定期刊行物を除く書籍やムックはわずか562冊でした。

 定期刊行物,つまり月刊誌や週刊誌のたぐいは蔵書管理の対象になっておらず,正確な冊数は数えてみないとわかりません。

 全てを正確に確認するのは難しいとして,ざっと数えてみることにしました。

 まず,トランジスタ技術。1980年から現在までで352冊でした。別冊付録は71冊ありましたので,合計すると423冊です。

 以下,

インターフェース 14冊(少ない・・・職場で捨てましたから)
Oh!X 13冊(復刊後の5号を含みます)
子供の科学 34冊
ラジオ技術 39冊
無線と実験 38冊
オートメカニック 9冊
日経エレクトロニクス関連 22冊
その他電気電子関係 31冊
その他ゲーム関連 3冊
鉄道関係 7冊
その他 40冊
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合計250冊

 トランジスタ技術と合わせると・・・673冊になりました。

 さらにここに,あの「鉄道データファイル」を1号1冊としてカウントするというズルをするとさらに300追加で,雑誌の合計は973冊となります。

 先程の562冊の書籍とムックに973冊の雑誌を加えると,1505冊。大体1500冊くらいかなと思っていたので,案外正確に把握していました。

 そして,ScanSnapのスキャン枚数は,約176400枚。消耗品の交換時期はとっくに過ぎていますが,まだ交換していません。(一応部品は買ってあるのですが,ちゃんと使えていますので・・・)

 スキャンをやり直したケースもあるので単純計算は出来ませんが,1冊あたりの枚数は約117枚,ページにして234ページですから,まあそんなもんではないでしょうか。

 個人的にはまだまだ少ないなあと感じています。1冊平均500円として1500冊ですからざっと75万円。そう考えると新たなショックを受けそうなもの(しかも500円なんてことはないですよね実際は)ですが,自宅と実家にある本と雑誌の数を考えると,この3倍くらいはあると思います。

 ここで,私はふと気付くわけです。

 もともと,書籍や雑誌のPDF化は,増え続ける本の置き場所がなく,年に3回段ボール箱をいっぱいにして実家に送り,その屋根裏部屋に保管していたことに,限界が出てきたことがスタートです。

 新しく本を買うには,古い本を処分して場所を確保しないといけないという事態は非常に深刻で,本屋を憩いの場としている私には,そんな理不尽な理由での禁欲生活はゲシュタルト崩壊を招きかねません。

 さりとて,書物は宝です。捨てるなどと言う行為は,神をも恐れぬ愚行です。私は昔,本を跨いだだけで母親に怒られました。

 そもそも,本,あるいは雑誌というのは時間を経てもそれなりに価値を維持する場合がありますし,なにより10年,20年を経て昔のものを読み返すことは,とても楽しいことです。わざわざそれを捨ててしまうというのも,なんだかもったいないです。

 この解決不可能に思われた問題を,根本的に解決するのが,電子化という作業です。この頃の私は,自分で電子書籍を作る「自炊」という考え方は全くなく,とにかく電子化することで物理的な場所を作るという,アーカイブという目的がモチベーションでした。

 ここに,大きな意識の変革があります。

 書物をつぶさに眺めてみると,装丁やレイアウトなどによる工芸品として,安定した品質で安価に大量生産される工業製品として,携帯性が高く,内容を蓄え伝え広める器(パッケージメディア)として,そして徹底的に読まれることにこだわって計算し尽くしたユーザーインターフェースを持つものと,実に様々な側面を持つ複合機能デバイスです。

 機能として,蓄積,伝搬,入出力といった基本機能に加え,存在自身が持つ文化的な価値など,書物を愛する人間の価値観が産み出すものとして,単なる「文字と文章の器」を越えたものがあるわけです。

 我々は,本そのものと,本の中身,内容とを区別する必要がなかった時代においては,この両者を同一視していました。

 しかし,電子化という概念が入ってくると,果たして電子化されたファイルは本なのかどうかに悩むことになります。我々の知る本とは明らかに違いますが,しかし本の機能は確実に備えています。

 ここに至って,本は,実体と内容の2つに分離され,別々の価値を評価されて,別々の道を歩くことになります。

 音楽や映像がそうであったことを思い出すかも知れませんが,本質的に違うのは,音楽や映像を入れる実体は,銀色の12cmの円盤に過ぎず,再生するための装置がなければ何の価値も持たない,純粋な工業製品の性格が強いと言う点です。従って文化的な役割も実体にはそれ程期待されておらず,重要なものは中身であるという考え方が支配的になり,今や配信されるものとして抵抗なく認知されているわけですね。

 本はちょっとその辺が違います。美しい装丁は工芸品であり,特別な再生装置がなくとも内容にアクセス可能であり,字体やレイアウトはその時々の時代を写しています。

 ご存じかどうか分かりませんが,紙の厚さや色は,その本の内容にあわせて選ばれ,そして同じ黒に見えるインクの色も,その紙にフィットするように微妙に違った色が選ばれています。

 さらに,文字の太さ,文字の間隔,行の間隔などは,白と黒の総面積比から最も読みやすいものに調整が行われ,読むという行為に徹底的に最適化されるのです。

 こうしたレイアウトはもちろん,書体にもその時代時代に流行廃れがあり,太いものが好まれる時代があるかと思えば,流れるような流麗な文字が好まれた時代もあります。

 50年前の古い本を手に取り,ぱっと開いた瞬間に「古いな」と一瞬で感じるのは,こうした時代性を,内容以外の要素が雄弁に語っているからです。

 こうしたノウハウは,人が鉛の活字を使って写植を行っていた時代から100年続く写植と印刷の文化と伝統で,これを数値化,機械化することを「日本の文化を守ること」と位置づけ,ある種の使命感を持って推し進めたのが,大手印刷会社各社です。

 職人が文字を拾って1ページが完成した時代から,電子写植になって職人が消えても,本は決して読みにくいものにはなりませんでした。私はここに,彼らのノウハウの継承が機械化という形においてさえも実現されたことに驚嘆するのです。

 さて,本には,中身と実体の2つの価値が別々に存在していることがわかりました。しかしこのことは案外昔から存在しているし,実用的に区別を持って利用されていたこともまた事実です。

 例えば週刊少年ジャンプです。B5版で大きく,マンガにとっては迫力があり,好ましいのですが,いかんせん紙の質が悪く,印刷も装丁も簡単です。その代わり安いですね。

 このマンガ雑誌には,残しておくだけの価値を込めて作られていません(一部のコレクターは別の所に価値を見いだしているので話は別です)。従ってマンガ雑誌には,内容を安く大量にばらまくことが第一の使命とされているわけです。

 そしてそのマンガは,単行本としてしばらく後に書店に並ぶことになりますが,明らかに上質な紙と綺麗な装丁,判型が小さくなっても全く情報の欠落がない高品位な印刷と,まさに残されることが前提となった高度な作りをしています。

 単行本は少々高価ですが,これも「残す」ことが使命に加えられているからであり,ここで我々は内容が重要で実体がすぐに廃棄されるものと,内容と共に実体も重要で残されるものとが,案外昔からあったことに気が付きます。

 前者は,安くばらまくことにその役割がありました。その性能がもっと高いメディアが現れたら,そちらに切り替わるのが当然です。考えて見て下さい。安く大量に,そしてあっという間にばらまく手段は,電子化であるということを。

 そして,単行本にも2つの役割が拮抗します。内容が重要であり,実体は内容が頭に入ってくることを妨げずむしろアシストするために徹底的に最適化されるということと,もう1つは内容以上に装丁や実体の存在が重要であるケースです。

 後者はそうですね,古文書や貴重な原本がそうでしょう。そこまで大げさでなくとも,古本屋でも初版本の値段が高いことは,後者の理由がなければ説明がつきません。

 ではもし,前者の「読むことに最適化された」ことが,他の方法でも可能になったら,実体としての本は存在しなくてもいいことになります。極端な話,脳に電極を差し込んで電子化された文章を直接流し込むのが最適化の極限です。

 もちろん,単に内容を手に入れるだけでも,実体そのものを愛でるわけでもなく,文字を読むことで,文字から想像力を働かせるという,実に人間的な豊かな体験が本の醍醐味です。しかしこれも,携帯電話で小説が読まれる時代になっていることが,紙であること,印刷であることを現実に否定しています。

 平たく言うと,本には知る楽しさ,読む楽しさ,持つ楽しさが別々にあるということです。そして,知る楽しさは本以外の方法でもよく,読む楽しさは実体がなくてもよく,持つ楽しさだけが,本の機能として残っていくと考えられるのです。

 ここを読み誤ると,「自炊」や電子書籍,電子出版を誤解しかねません。

 私の場合,Scansnapによって1500冊分のスペースが確保され,そこに新たな本を置くことが出来ました。中身が持つ情報の欠落を,私の基準で許せる範囲にとどめ,電子化して小さなハードディスクに蓄えることで,大変なコストを必要とする実体の維持管理を回避したことになります。

 しかも,電子化された本が増えれば増える程,そのメリットである保存スペースがいらないこと,検索や管理が容易であること,伝送や持ち運びが楽であることが,際立って来ることに気が付きました。

 内容だけが必要ならテキストデータにすればかなりサイズが小さくなります。しかし私はそうはせず,600dpiの画像データで残してあります。プリンタで印刷すれば,文字の形や太さ,行間や文字間隔,ページのレイアウトを再現できるように,それらの情報をちゃんと持っていたいと考えたからです。

 しかし面白いのは,この情報を取り扱う事の出来る紙以外のデバイスが,徐々に安価に提供される様になったことで,大きな価値を持ち始めたことです。

 先日購入したKindleDXは,ほぼ毎日使うことになっています。これで本を2冊ほど読むことが出来ましたが,単に読むという事だけを考えれば,Kindleで十分なところまで来たように思います。それだけでなく,分厚く重い本が薄いKindleに収まり快適に読めること,数十冊の本がKindleに全て収まっていることなど,電子化のメリットが際立ってきます。人によっては,文庫本がA5サイズくらいまで大きく拡大されることが,より読みやすい状況を作ってくれるかも知れません。これらは電子書籍によって得られる,新しい体験です。

 私はここで,また新しいフェイズに入ったことを実感します。書籍の電子化は,アーカイブコストを下げるためという消極的な理由から,紙に変わるデバイスを使って電子化のメリットを享受しつつ読むためという積極的な理由にスイッチしているのです。

 このことで何が起こったかというと,読んだ本しか電子化しないという基準が,これから読む本でも残す価値のないものは電子化する,と言う基準に切り替わったのです。電子化対象となる本が一気に増え,Kindle購入後にさらに多くの本がスキャンされました。

 先に書いた本の3つの楽しみのうち,知る楽しさと読む楽しさは,もうKindleやiPadなどの端末の登場によって,あるレベルで達成されたということを感じます。

 残る実体そのものを持つ楽しさについては,もうどうにもなりませんから,コストをかけて残す事になります。私の本棚には,1950年代60年代の古い本ばかりが列ぶことになってしまいました。

 このように,知る楽しみ,読む楽しみは電子化によって理論的に妨げられません。本が紙でなくなると味気ないなどと,感傷的に言う人がいますが,それは本の役割を正確に理解していないか,浅い考えで本を表面的に捉えている人の言葉であり,もう一歩だけ踏み込んでもらえると,電子化された本のメリットが,デメリットを十分に上回る場合も多いことに,気が付いてもらえるはずです。

 つまり,棲み分けです。雑誌やビジネス書や文芸書,エッセイなどは実態以上に内容が重要なので電子化が進み,実体を残す事が目的にされる書籍についてはお金をかけて装丁を美しくし,いかにも残さねばという雰囲気に身を包んで,非常に高価になります。二極分化が進むわけですね。

 コンピュータとネットワークとエレクトロニクスは,人間の知的生産性を飛躍的に高め,同時にその生産コストを押し下げました。この流れは書物を作り,広め,残すという点においても確実にやってきます。

 かつて,書物は貴重品で,文字を読む能力が特権階級の証であったことと相まって,庶民には作る事はおろか,読むこともそうそう許されるものではありませんでした。ヨーロッパでは教会が,日本ではお寺が,庶民への知識の伝搬の場として役割を担う時代が長く続きましたが,印刷技術の発明により,安く書物が手に入るようになり,その書物の恩恵にあずかるため文字の習得が広く一般化しました。

 この,庶民が知るチャンスが何をもたらしたかというと,特権階級による搾取からの解放でした。それがやがて民主主義に繋がるのです。

 今,コンピュータとネットワークとエレクトロニクスが,これまで長く続いた印刷技術のデメリットを根本的に解決しようとしています。人類ははるかに豊かになりましたが,それでも紙が貴重で手に出来なかった多くの貧しい人々が人類の英知に安価にアクセスする手段を提供し,そして自分で作る事が難しかった本を低リスク低コストで作る事が可能になります。やがて爆発的に増えるであろう本は,形を持たない知識と情報という本質で蓄えられていくのです。

 この流れは,もう止まらないかも知れません。大げさな言い方ですが,人類はいよいよ,実体を持たない情報や概念といったものに,価値を見いだすフェイズに入ったのです。個人的に,このことはとても大きな進化だと考えています。

 それでも,実体への憧れやこだわりは,決してなくなりません。A地点からB地点へ移動したいというモビリティの欲求には,別に電気自動車でも鉄道でも構いませんが,内燃機関を持つ自動車を運転したいという要求はおそらく消えることなく,それ自身を目的とする人々を尊重する形で,社会との共存がなされていくものと思います。乗馬などと同じといえるでしょうか。

 本もしかり。実体は消え去らず,必ず残り,次代に引き継がれていきます。

 週刊誌の実体が無価値というのは言い過ぎだろう,そんな意見もあるでしょう。私もそう思います。現在世に出ている実体については,100年後の人が見れば面白いと思うでしょうし,研究対象にもなるでしょう。そして貴重な資料として残されることも間違いないでしょう。

 でも考えてみて下さい。週刊誌を作った人は,安く広く広めることを目的に,あの印刷と装丁を行っています。100年後の人に残そうと思って作ったわけではないのです。

 その目的が電子化によってさらに洗練されるなら,実体が役目を終え電子化されたという事実こそが,100年後の人にとっては最も重要で興味深く,研究の対象となるべきことではないでしょうか。そう,100年後の人だって,実体そのものではなく,実体から得られる世相や文化へのヒントに,価値があると考えるはずです。

 凸版印刷とKDDIとソニーがくっつき,docomoと大日本印刷がくっつき,ソフトバンクはすでに新聞社と共同でサービスを始めているという賑やかな状況が短期間で起こって,さながら「黒船来航」のようです。

 しかし,私は,もう少し冷静になって欲しいと思います。繰り返しになりますが本は,音楽や映画とは,ちょっと違った複合機能デバイスです。どこまで分解するのか,なにをなにで代替するのか,感情論だけでも,経済論だけでもなく,はたまた文化論だけでも技術論だけでもない,広い観点からのあるべき姿を,今こそ模索すべきではないかと思います。

 それは本が大好きな日本人だからこそ,楽しんで行えることではないでしょうか。


 私が「積極的」な自炊を行うようになってまず思ったことは,自炊なんて楽しくないし,こんな面倒なことはできればしたくないと言う人が大半だろうなということです。私にとっての自炊というのは,決して自慢にならず,誇れるようなことでもなく,ただ自分がそうしたいからそうしているだけの極めて自慰的な行為です。

 ですから,本を買ったら,そこにPDFが付いてきてくれると,普通はうれしいわけです。これは私もうれしいです。

 本を買ったら,購入者特典として,ホームページから同じ本のPDF版を50円でダウンロードする権利を得ます。50円の支払いはクレジットカードで行うので,クレジットカードの情報の登録と,本人の認証が必要です。別に50円でなくてもいいですが,手間賃程度の適当な価格を付けるべきでしょう。

 PDFのメタデータには,持ち主と通し番号,購入日時など,購入者と購入事実が特定出来る情報を埋め込んでダウンロードされます。読むことは自由に出来ますが,暗号化されているのでメタデータを含め改変は出来ません。

 本を買っていないのに買ったとウソをついてダウンロードする人がいるかも知れません。このシステムでは防げませんが,個人情報と個人認証が必要なことが,ライトな犯罪者予備軍を思いとどまらせてくれるでしょう。

 高価な本なら,本ごとにシリアルナンバーを付けておいて,この番号ごとにダウンロードを管理できればよりよいです。

 ダウンロードした人は,実体に価値があると思えば実体を残しますし,電子書籍端末で読むだけが目的なら実体はさっさと資源ゴミに出してしまうことでしょう。

 もちろん,ダウンロード後に実体を古書として流通させることはよいのか,やら,ダウンロードしたPDFをwinnyに流されてしまったらオシマイだ,やら,考えなければならないことはたくさんあると思います。

 でも,現状で自炊すれば,全部同じ事ですね。数が少ないと言うだけの話で,最近はスキャン後の本を「裁断済みの本」としてオークションで売る悪い人もいるくらいです。

 手間がかかるからする人が少ない,だから黙認というのは,かつてアナログレコードをカセットにダビングしていたのと同じような話です。いずれ,確実に,無視できないようになります。
 
 どうしますか,その時は必ずやってきます。
 
 

KildleでPDFのメタデータはどう扱われるのか

 ここ数日,少しずつKindleDXの環境構築を進めています。

 なんとか持ち歩きに便利になるよう,KindleDXで出来ることと出来ない事をはっきりさせ,快適に使えそうな機能の洗い出しと,すっぱりあきらめるべきところを切り分けたいと考えて試行錯誤を続けています。

 現在解決の目処が立っていないのが,PDFのメタデータの取り扱いです。

 事の起こりは,青空文庫をPDFにオンラインで変換してくれるというありがたいサービス「青空キンドル」を使って作成したPDFを入れた時に,それまで出てこなかった著者名がローマ字で出ていたことを見つけたことに始まります。

 そういえば,プリインストールされていたKindleDXの説明書にも,著者名としてAmazon.comと出ていたことを思い出しましたが,なぜか自炊したPDFファイルには著者名が出てきません。

 きっと空欄になっているのだろうと,PDFのメタデータを確認すると,予想通り空欄になっています。そこでここに日本語で著者名とタイトルを書き込み,ワクワクしながらKindleに入れたのですが,結果は変わらず表示されません。

 なぜだ,この疑問が消えるまで試行錯誤がしばらく続くことになります。


(1)青空キンドルで作成したPDFではなぜ著者名が出ているのか

 青空キンドルで作成したPDFでは,半角アルファベットで著者名が出ています。一方タイトルは日本語ですが,これはファイルネームがそのまま,拡張子無し表示されているだけです。

 このファイルをBeCyPDFMetaEditで開いてみると,Authorに半角アルファベットで著者名が書かれています。ならばこれを日本語に書き換えて試してみると,著者名は出てこなくなってしまいました。


(2)再起動

 Kindleはフォントの入れ替えを行った際にも再起動しなければ変更が反映されません。本も同じ話らしく,キャッシュをクリアしないといけないとのことで,メタデータを埋め込んだ同名のファイルを上書きした場合,再起動がないと著者名が表示されないようです。

 結果,日本語でメタデータを書いたものは再起動後も著者名が出てきませんが,半角のアルファベットで書いたものは再起動後には著者名が出てきました。やはり再起動は必要なようです。


(3)メタデータが正しく埋め込まれているのか

 ある海外のblogによると,正しいメタデータが埋め込まれないとダメだとあります。当たり前の話ですが,ではその正しいメタデータの埋め込みとは,どうやって行えば良いのでしょうか。

 PDFのメタデータはAdobe Acrobatで書き込むのが確実なのでしょうが,そこそこ高価なアプリですのでどこにでもあるようなものではありません。私の場合,AcrobatとBeCyPDFMetaEditというフリーソフトと,定番のpdftkの3つを使ってみました。

 結果だけ書くと,どれも同じになりました。当たり前の話ですが,足下をすくわれたのは,Acrobatをインストールしたマシンでは,エクスプローラ上でプロパティを選ぶとPDFタグが現れ,ここでメタデータを編集できるのですが,実際には編集が反映されていないケースがあったようです。

 でも,そんなことが本当にあるのか,作業がややこしくなって変更前のファイルが混じってしまったんじゃないかなど,不確かなことも多いので,話半分と思っていてください。


(4)メタデータの文字エンコード

 ふと,メタデータの文字エンコードって実はなにを使ってんだろ?と疑問がわきました。KindleはUnicodeですので,もしメタデータの日本語がSJISなどで書かれていたら正しい表示は期待できません。

 そこで,pdftkを使ってメタデータを打ち込んでみます。pdftkでは,メタデータを別途テキストファイルに書いておく必要があるのですが,このテキストファイルをSJISとUTF-8の両方で作成し,それぞれで試してみました。

 出来上がったPDFをBeCyPDFMetaEditで見ると,UTF-8では正しく表示されているのに,SJISでは文字化けしています。予想通り,メタデータはUnicodeで書くべきもののようです。

 さっそくこのUTF-8でメタデータを書いたPDFをkindleに入れてみましたが,結果は残念なことに,なにも表示されませんでした。


(5)PDFのバージョン

 これも同じ海外のblogにあったのですが,Kindleでメタデータを反映させるには,PDFのバージョンが1.4以上でなければならないらしいのです。1.4というのはAcrobat5以降で対応可能なフォーマットなのですが,実はMacOSXのQuartzは1.3でPDFを生成します。ということは私が自炊したPDFは,メタデータが反映されないということになります。事実だとしたら結構深刻です。

 でこれは結論から言うとウソでした。

 1.3と1.4のそれぞれに,BeCyPDFMetaEditを使って日本語と半角アルファベットを著者名に埋め込んだファイルを用意しました。すると,1.3だろうが1.4だろうが,半角のアルファベットを埋め込んだ方は表示されたし,日本語を埋め込んだ方はどちらも表示されませんでした。

 
(6)タイトルはどうなの

 Authorについては,どうやら半角なら出てくるらしいとわかりました。ではTitleはどうかというと,これが不思議なもので,半角だろうと全角だろうと,メタデータからは表示されず,あくまでファイルネームの拡張子無しがそのまま出てきます。日本語のタイトルを付ければ,それがそのままタイトルとして列びます。


(7)フォントのせいではないのか

 日本語を含まないフォントを使っているから非表示なっているという可能性については,否定こそ出来ませんが,Kindleで使用するSans,Serif,Monospaceの3書体のうち,日本語を含まないフォントのままにしてあるのはMonospaceだけです。

 表示されている著者名のアルファベットを見ていると,およそMonospaceとは思えませんので,Monospaceを日本語を含むものにしたところで,解決しないと思います。


 とまあ,こんな具合です。

 すでにおわかりのように問題はとてもシンプルで,結局メタデータはAuthorだけが有効で,それも半角で書かれた場合のみ表示されるようです。タイトルはメタデータに関係なく,ファイル名から拡張子を除いたものがそのまま日本語だろうが何だろうが表示されます。

 しかし,google先生に聞いてみますと,「メタデータを日本語にすれば著者名も日本語で出るはず」という意見が見られる上,日本語は著者名では出ない,という記述が見当たりません。私だけの問題なのか,そういうものとあきらめるべき所なのか・・・

 さらにgoogle先生に聞いてみると,某巨大掲示板の過去ログに,同じ疑問で悩んでいる人がいて,どうも半角アルファベット以外は無効なデータとしてスキップするようになっているんじゃないだろうか,ということが書かれていました。

 うむー,ファイルネームに日本語が混じっていた場合,無効なデータとしてタイトルを空欄にすると,そのファイルへのアクセスが出来なくなってしまいますので,特にそういうフィルタを入れていないというのはなるほど分かる話で,メタデータのみに限定してフィルタを入れたというこの憶測は,あながち否定できません。

 まあどっちにしても,仕様であるかないかに関わらず,私と同じく著者名が日本語で出ないという人がいて,同時に日本語で出たという人が見当たらない現状では,最終的にPDFのメタデータを使って著者名を日本語で出す方法はない,という結論に落ち着きそうです。

 実は,Kindleは著者名でソートをかけられるので,著者名が出てきてくれるととてもありがたいのです。そこで,著者名は半角アルファベットで記述するという運用を行うことにしました。

 過去の自炊データも含めてすべてのPDFにメタデータを書くのはさすがに骨が折れるので,Kindleに入れることになったものに限定することとします。

 とにかく,BeCyPDFMEtaEditを使えばKindleに有効なメタデータを書き込むことが出来て,同じ名前のファイル名のものを上書きしても再起動すれば茶社名が反映されることが分かっていますので,あとは単純な作業をコツコツやるだけです。

 でも,やっぱり日本語にこだわる書籍だからこそ,著者名も日本人として,日本語で書かれたものを見たいものです。これを実現するにはフォントハックを改良し,著者名をメタデータから取ってくるときに,余計なフィルタを外すだけで済みそうな気もするのですが,私にそこまでの根性もあるわけはなく,さくっとあきらめることにします。

 最後の手段は,PDFをmobipocket形式に変換することです。MobiPocketCreatorというソフトが無償で公開されていて,これを使えば一応作る事ができるということなのですが,どういうわけだか私は一度もPDFからまともに変換できずにいます。手間もかかるし綺麗に変換できないので,メタデータのためにわざわざこの手順を開拓するのは,やめにします。

 さあ,あとは持ち運びのためのケースを考えれば,持ち歩きが可能になります。いろいろ考えていますが,いいものが出来たらここで紹介したいと思います。

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