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DM16で対数計算

 DM16は,ボタンの押し心地が悪くて批判的な意見も散見されますが,実際に触って見るとそのサイズ感がとても好ましく,手に馴染む電卓です。

 HPの電卓には,縦長のものと横長のものがあり,縦長が好きな人は手で持って操作できるので立ちながら使える事を主張しますし,横長が好きな人は格好良さと左右の手で操作できることをメリットにあげます。

 DM16のカードサイズというのは,実は立ちながら両手で操作できるという,双方のメリットを兼ね備えた大きさで,確かに机において使うと楽ちんなオリジナルのHP-10Cシリーズを立ちながら操作できるというのは,想像以上の進化と言って良いかもしれません。

 とまあ,これでボタンが改善される(ゴムキーでいいです)と文句なしなわけですが,持ち運びに苦痛なく,しかも強力なDM16はとても気に入っています。

 ただ,私が普段使うには,どうしても足りない機能があります。それは対数の計算です。

 電気電子分野において,日常的に使う対数は,まずdBの計算で常用対数を,コンデンサの充放電などで自然対数を使います。これらは足し算や引き算のように自然に使われる数学であり,「数学なんか何につかうのよ」という高校生に正面切って反論できるものでもあります。

 だから,DM16のオリジナルであるHP-16Cでlogやlnが落ちてしまったことが不思議でならないわけですが,かといってDM16とDM15の両方を持ち歩くのももったいない話です。

 幸い私はエンジニアであり,科学者ではありません。対数だって小数点以下2桁か3桁あれば事足りる世界の住人ですので,近似値を求めるプログラムをDM16に入れれば,それで問題は解決しそうです。

 と,その前に,私が自宅用においたDM15Lには,4つのプログラムをいれてあります。電力のdB計算(10*log(x)),電圧のdB計算(20*log(x)),抵抗で消費される電力(P=x^2/Z),そして抵抗の並列接続(1/x + 1/y = 1/r)です。

 どれも大した計算ではありませんが,得られたデータを処理するのに何度も同じ計算をする必要があり,少しでもキーを押す数を減らせるとうれしいのです。

 で,この4つをDM16で計算できれば,DM16にもともと存在する2-8-10-16進数の計算機能とあいまって,最強の相棒を連れて歩くことができます。

 ということで,以下のプログラムを保存がてらに,ここに公開します。いずれも実数モードで使って下さい。

LBL A 電力のdB計算(10*log(x))
LBL B 電圧のdB計算(20*log(x))

 この2つはいいですよね。数値を入れて,GSB AもしくはGSB Bとすれば,画面に結果が出ます。ただ,後述するlogやlnの近似値の誤差があるので,小数点以下5桁が限度です。6桁目には誤差が入り込んできます。4桁くらいで使って下さい。

LBL C 抵抗で消費される電力(P=x^2/Z)

 私がよく使うのは,作ったパワーアンプの出力電力を測定するときで,ダミーロードを繋いで,その両端の電圧を測定し,出力電力を求めます。

 レジスタ9にSTO 9として負荷抵抗の値を先に入れておき,電圧の値を入れてからGSB Cとすれば,電力が出てきます。余談ですがHP-16Cってx^2すらないんですね。

LBL D 抵抗の並列接続(1/x + 1/y = 1/r)

 これも簡単な基本中の基本ですが,電卓で計算すると案外面倒です。普通の電卓では逆数がないのでややこしいですし,最後に出てきた答えをまた逆数にしないといけないあたりで,私などは心が折れてしまいます。

 なので,いつもは式を変形して「かけ算/足し算」で計算するわけですが,これも何度も繰り返すとさすがに手間で,一発で計算できるとどんなに便利かと,中学生の時から思っていました。

 1つ目の数値を入れてENTER,2つ目の数値を入れてGSB Dとすると,2つの数値の並列接続時の合成抵抗が出てきます。これ,数学的になんていう演算なのか,忘れてしまいました。


 さてお待ちかね,自然対数と常用対数です。

LBL E 自然対数 ln(x)
LBL F 常用対数 log(x)

 どちらも数値をいれて,GSB EもしくはGSB Fとすれば,それぞれの結果を表示します。近似値ですので,小数点以下5桁くらいが限度です。

 まず,ln(x)を求めています。これは自然対数の近似値を計算する数列をn=11まで計算しています。ちょっと時間がかかりますが,私が以前作ったループを使ったプログラムに比べると,速度も精度も随分上です・・・

 こうして求めたln(x)を,高校数学で習う底の変換公式を使ってlog(x)にします。ざっくり自然対数を2.3で割ればいいのですが,それでは精度が出ませんので,真面目にln(10)で割っています。

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DM15LとDM16をめぐる顛末

 DM15LとDM16が手元に揃って,気になる事がいくつか出てきました。


(1)DM15Lのキーについて

 私のDM15Lは,y^xキーのペコ板が2枚重なっていたことで,非常に固いキーになっていた事を先日ここに書きました。

 それで,ONキーのペコ板と交換したわけですが,このことでy^xキーは他のキーと同じ感触になったものの,ONキーはすでに柔らかくしてしまったペコ板のせいで,ヌルヌルとした頼りない感触になってしまいました。

 なんとかならんかとペコ板を裏側からあちこち突っついて変形させてみますが,硬さは調整出来てもクリック感がどうしても出せず,さじを投げてしまいました。

 で,ふと基板をみると,ENTERキーにペコ板が2つ付いていることに気が付きました。

 さらにみていくと,ENTERキーのキートップの裏側にある突起は,2つあるペコ板のうち1つだけを押しています。つまりもう1つのペコ板は全く使われていないのです。

 なら,このペコ板と交換すれば万事解決じゃないか!

 早速試してみます。するとONキーも気持ちのいい感触に戻ってくれました。

 悪い感触のペコ板は使われない部分にあてがわれたので,普段は全然我々の目に触れません。一応,これで満足な状態になりました。

 本来なら2枚重なっていたことで,都合2枚分のペコ板が手元にあったはずが,2枚ともダメにしてしまうという悲しい状況ではありますが,まあとりあえず使う度にがっかりすることはなくなり,気持ちよく使う事が出来るようになったことを,喜ぶべきでしょう。

 その後,今度は"3"ボタンがきかなくなり,分解してアルコールで清掃して復活させました。これはなかなか手を焼きそうな電卓です。


(2)DM16の時計表示

 A + ONで,時刻と日付を5分間表示する機能があるのですが,DM15Lでは正常にカウントアップをするのに,DM16ではカウントアップをせず画面が止まったまま,しかも5分経過しても表示が消えません。

 実はDM15Lも気が付いたときには表示が止まるようになっていたので,こんなもんかなと思っていたのですが,うっかりRESETボタンを触ってしまい,その後カウントアップが行われるようになったので,その違いに気が付いたというわけです。

 DM16についても,RESETボタンで治るだろうと思っていたんですが何度やってもだめです。散々調べてもわからず,いろいろ試しても解決せず,バグかも知れないとDMシリーズを作ったMichael Steinmannさんに,メールを投げてみました。

 ダメモトで投げたメールでしたが,数時間後に返事が来ます。

 いわく,これはハードウェアのミスで,小型のモデルはRTCからの1秒ごとのパルスをCPUに入れ損なっていると,そういうことのようです。

 ハードウェアのバグなら,そりゃなにをやっても解決しないわなあと思いつつ,そんな単純なミスなら私が自分で改修できると気が付き,再びMichaelさんに,もし可能なら基板の改修方法を教えてくれないかとメールを出しました。

 そして数時間後,断られるかと思っていた返事は,実にわかりやすい図面と共に,君なら出来るよ,という励ましの言葉が添えられていました。

 うれしいですねえ。

 やるべき事は,1箇所のパターンカットと,1箇所のブリッジです。推測するにRTCからの1秒パルスを,謝ったCPUの割り込み端子に繋いでいたものを,正しい端子に繋ぎ直して割り込みがかかるようにする改修でしょう。

 改修はとても簡単で,10分もかかりません。ミスもなく,改修後にA + ONで無事に1秒ごとのカウントアップが行われています。当然5分後に自動で表示が消えてくれます。

 こうして私のDM16はちょっと特別なDM16になりました。SwissMicrosに感謝です。


(3)DM16の画面

 DM16の画面がちょっと見にくいなあと思っていたのですが,どうもこれは今ひとつ透過度も低く,平面性も悪い風防がかかっているからだと気が付きました。

 シートキーがそのまま画面にかかり,この部分だけ印刷を抜いてあるのですが,ふにゃふにゃの残量で画面を覆うのですから,そりゃ見にくくもなります。

 ちょっと傷が付いてしまい,焦らずコンパウンドで傷を消しにかかると,あろうことか余計に細かい擦り傷がたくさん付いてしまいました。これはいかん。

 一方のDM15Lは風防など全くない潔い仕様で,傷など全く付くことなく,とても見やすくなっています。なら,DM16も同じ仕様にしましょう。

 やるべき事は単純で,印刷されていない透明な部分をカッターで切り抜くだけです。しかし,外側から見える部分ですから,綺麗に切り抜く必要があります。

 こういうの,下手なんだよなあと思いながら,良く切れるカッターでなんとか切り抜きました。組み立て直すと実に見やすくなっています。

 代わりに汚れや液体に弱くなってしまいましたし,画面になにかぶつかればLCDが壊れてしまうでしょう。でも,この見やすさにはかないません。


 てなわけで,ようやくDM15LとDM16は,満足いく仕上がりになりました。こうして手間がかかることは正直面倒ではありますが,これも楽しみと思えばそんなに嫌な気分もありません。

 設計者とやりとりして改修をするなど,SwissMicrosの寛容さにはとても感謝していますし,おかげで面白い体験をさせてもらいました。

 ではこの両機を実戦に投入しましょう。

 

DM15Lの製造不良

 DM15Lを手に入れてから,すっかりHPの電卓の虜になってしまって毎日遊んでいるのですが,そのDM15L,最上段左から4番目にあるy^xキーがおかしいことに気付き,気になっていました。

 このキーだけ,やたらと固いのです。

 押し込むのに明らかに力が必要で,他に比べて強く押し込まないといけません。心なしかキーストロークの遊びも少ない感じがしていて,没頭してキーを押す私の楽しみに水を差します。これはいかん。

 分解してみると,分厚い基板に作られたキーのパターンの上に,通称ペコ板といわれているメタルドームがおかれていて,これも少し厚めのテープで貼り付けられています。

 ペコ板はバネ性の薄い金属板なのですが,中央部がこんもりと盛り上がるようにプレスされていて,ここを押し込むと金属板が歪んでへこむ仕組みです。押し込むのをやめればバネの力で元の形状に復元するので,押しボタンスイッチとして使えるわけです。

 ポチポチといった感触のスイッチには概ねこの仕組みが使われているのですが,HPの電卓に共通するポチポチ感は,このペコ板スイッチによって作られています。

 感触の違いがあるのは珍しいことですが,ペコ板の成型不良や腐食,破損はもちろんのこと,ペコ板を張り付けた位置が少しずれると感触が大きく変わってしまうので,私はこのあたりを疑っていました。

 ペコ板を直接押し込んでもやっぱり固く,位置がずれていることが問題ではなさそうです。となるとペコ板そのものの問題という事になりますが,面積の大きなテープが再利用できなくなるのが怖くて,剥がすことは避けようと考えました。

 そこで,ペコ板のバネの力を弱めてみようということになり,プレスされた角の部分をドライバーの先っぽでぐいぐいと押し,柔らかくなる方向で変形をさせます。

 微妙な変形によってあのクリック感が作られているので,事は慎重に進めねばなりません。

 まだ違和感がありますが,かなり改善されたことに妥協し,組み立て直します。固さは改善されたものの,ストロークの遊びやストロークそのものの浅さ,そして押し込んだ時のおかしな音がとても気になります。

 さてどうしたものか。数日間考えて出した結論は,固くても問題がない特殊キーの代表であるONキーのペコ板と交換することでした。そのためにテープを剥がしてしまうことはやむを得ず,再利用できるように慎重に作業することにします。

 昨夜作業を試みたのですが,まずテープを剥がす前にペコ板の中央位置を示すマーキングを油性のペンでしておきます。

 それからテープを剥がしてペコ板を取り出すのですが,テープを剥がすことは簡単で,ドライヤーで暖めることも必要なく,端っこをつまんで引っ張るとペリペリと綺麗に剥がれてくれました。

 最初に取り出しやすいONキーのペコ板を取り外します。

 次にy^xキーのペコ板を取り出すのですが,ここで驚くべき事実が判明します。

 ペコ板が2枚重なっていました・・・

 なるほど,それで固く,ストロークも浅く,遊びも少ないわけですよ。2枚重なっているからクリック音もポコポコと言いますしね。

 ペコ板を1枚にして押し込んでみると,確かに感触は1枚分のそれです。しかし,すでにドライバーの先っぽで変形しているペコ板は,元の軽快なクリック感を保ってはいませんでした。ああ,くやしい。

 しばらく考えた後,やっぱりONボタンのペコ板と交換することにしました。これにより,Y^xキーは他のキーと同じ感触になりますが,ONキーはちょっと柔らかい感触になります。

 ただ,ONキーのキートップは薄くなっているし,端っこにあるので少々感触が違っていても構いません。それに,使う度に必ず押すキーではありますが,何度も何度も押されるキーではありません。

 実際に入れ替えてみると,y^xキーはもちろん文句なし。しかしONキーはふにゃっとした感覚が若干気になる感じです。まあ,十分許容範囲なのですが・・・

 とりあえず,これで組み立てを完了することにしました。実際に使ってみると確かにONキーには問題がありますし,最初の行う儀式として,ONキーの感触には特にこだわるべきなのではという気もするのですが,ここに至って部品の交換以外に手はありませんから,現実的にはあきらめざるを得ません。

 どうしても気になるというのであれば,また別の方法を考えてみますが,今はこれが最善でしょう。なんといってもy^xキーが完治したのは大きいです。

 とまあ,これが大手メーカーの製品なら,修理なり交換なりのサポートをお願いするところなんですが,細々とやってるらしいと言う遙かスイスのメーカーに文句を言う気にもなりません。

 製造不良ですし,言えばちゃんと面倒を見てくれるようにも思うのですが,ユーザーが一手間二手間かけて完成させていくのも折り込み済みで,誤解を恐れずに言えばそれも楽しみの1つだったりします。(もちろん手に負えないときには深追いしないでサポートをお願いするのが最善です)

 とまあいうわけで,Swissmicrosの製品を買うときには,注意しましょう。

 

BSプレミアムが映らない

 先日,PT3の動作確認をしようと思ってTVTestを立ち上げた時のことです。

 BSプレミアムだけ受信出来ないという現象がでました。他のチャンネルは全く問題ないし,EPGも取得出来ています。

 ほらそこ,BS再編の問題だろ,と言わない。

 それは5月末までに済んだ話で,11月にBSがようやく映るようになったうちは,すでに対応済みです。12月6日にはBSのすべてのチャンネルが映っていることを確かめているので,誰かがいじらない限り,これが原因でダメになることは考えにくいです。

 なにせBSプレミアムだけ映りません。エラーカウントがどんどん増えていきます。別の部屋にあるテレビ(レグザ)では問題なく映っていますし,アンテナレベルも十分です。

 google先生に聞いてみても「そりゃ再編だろ」と決めつけられてしまい,全然有益な上が出てきません。

 チャンネルの設定やスキャンに失敗している,PT3が壊れた,などなどいろいろ考えましたがどれも可能性は低そうで,唯一思い当たる原因があるとすれば,レベルが高すぎるという問題です。

 BSにブースタを入れる前はきちんと映っていましたから,ブースタを入れてれべるが上がった結果映らなくなると考えれば,レベルが高すぎると考えるのが自然です。

 他のチャンネルはギリギリ映っていて,BSプレミアムだけ限界値を超えたという可能性も無理がありません。

 ここでブースタのゲインを下げてみればすぐに答えが出るのですが,あいにく屋外ですし,暗くて寒い中で作業をゴソゴソやると危険ですし通報されるかも知れません。

 アッテネータがあればよかったのですが,それもあいにくありません。

 ならばということで,UHF専用の室内用ブースタをBS帯域のアッテネータ代わりに挟み込んでみます。このブースタ,高周波数帯のBSが映りにくくなる程度に減衰することがわかっているので来ないの用途にはもってこいでしょう。

 果たして結果は変わらず,BSプレミアム以外は問題なく,BSプレミアムだけダメでした。うーん,すっきりしません。

 そこで,もともと75Ωの高周波用ステップアッテネータを改造して600Ωのオーディオ用にしたものを探しだし,無理矢理挟み込んでみました。インピーダンスは全然あってないし,GHzでは損失が大きすぎて,ステップアッテネータとしては機能しませんが,スイッチによる減衰量の変化は起こるでしょう。

 結果ですが,やっぱりBSプレミアムだけ映りません。おかしい。

 こうなると,もうPT3やPCを疑うほかなくなってしまうのですが,レベルを大きく減衰させた時のエラーカウントの表示が,BSプレミアムのそれとほとんど一致している事に気が付いて,ひょっとするとレベルが低いんじゃないかと気が付きました。

 PT3へは,3分配器を経て分波器を通り入力されています。分配器からのケーブルが不良かも知れないと別のチューナー(FSUSB2)に繋がっているケーブルに差し替えて見たら,BSプレミアムがブロックノイズが出まくっている状態で映っています。

 チャンネル設定も大丈夫で,PT3もおそらく壊れていない事がわかったのですが,ケーブルで状況が変わるというなら,配線をやり直すまでの話です。

 そこで配線を見直したのですが・・・え,配線間違ってるやん。

 どういう理由で間違えたのかわかりませんが,入力と出力を間違って繋いでいます。入力端子がPT3に繋がって,出力がアンテナに繋がっています。BSプレミアムがちらっと映ったのは出力を繋いだ場合でした。

 そういえば,ブースタをいれて信号をパワーアップしたことをきっかけに,2分配器から減衰が大きい3分配器に交換し,FMチューナに繋ぐようにしたのでした。これがブースタの設置と同じ日だったので,ブースタを入れてから映らなくなったと勘違いをしたのでしょう。

 配線を直してやると,BSプレミアムも含め,すべてのチャンネルが綺麗に映るようになりました。アンテナレベルも強力になっています。ついでにいうとFMチューナのレベルもかなり改善しています。

 私は分配器の入出力を間違うと,全然映らなくなるもんだと思っていましたから,特定のチャンネルだけ映らなくなるなんてことがあるとは,考えつきませんでした。

 少しケーブルを整理し,BSでも問題がない程度のケーブルに交換するなどして,とりあえずこの問題は解決。予備のPT3に交換するという大げさなことを始めることも考えていましたので,ここでわかってよかったです。

 つくづくこわいのは,高周波はミスがあってもなんとか動いてしまう事があることで,こんなものかと思ってしまうとミスが見つかりにくくなります。本来ならこうあるべきだという正解をしっていればミスも見つかるのですが,それは経験で稼ぐものでもあるわけで,そのあたりが高周波やアナログの難しさなんだろうと思います。

 しかし,部屋が散らかり放題で,足の踏み場もありません。冬休みは片付けに費やされる予定です・・・トホホ。

 

もしかすると4K放送は流行るかもしれない

 さる12月1日,4K/8Kの本放送がスタートしました。放送技術史に残る大きな出来事だと思います。

 ほんの10年ほど前までアナログ放送を日常的に見ていたことを考えると,とても感慨深いものがあります。

 私が記憶に残っている放送技術の進化は,まず音声多重/ステレオ放送からでした。これはその必然性がさっぱりわからず,テレビも対応しないことから,長く体験することなく過ごしていました。

 中学生の時,生まれて初めてプリント基板をエッチングで作ったのが,音声多重アダプターだったことを思い出します。

 そこからしばらく間が開き,衛星放送がスタート,特にBモードステレオがCD以上のデジタル音声である事に驚愕しました。

 その後アナログハイビジョンがなんとか離陸,クリアビジョンはその恩恵をほとんど受ける事なく過ぎ去っていき,CS放送による多チャンネル時代がやってきます。

 やがて衛星放送は効率の良いデジタル放送に移行し,デジタルハイビジョン放送が始まります。そして日本独自のアナログの頂点であったアナログハイビジョン放送は終了しました。

 この流れが地上波放送にも押し寄せ,地上アナログテレビ放送は地上デジタル放送に,かなり無理矢理に移行していきます。かくして,VHF帯からテレビ放送が消え失せたのでした。

 そしていよいよ2018年12月に,ハイビジョンを遙かに超える解像度の4K/8K放送が衛星放送でスタートしました。

 こうしてみると,近年の進歩の速度が速いと言うことと,技術的な飛躍が大きくなっていることに気が付きます。放送は手元の機器を入れ換えれば済むと言うものではなく,インフラが入れ替わる必要があり,台数も費用も全く異なる送信側と受信側が歩調を合わせる必要があるところに難しさがあります。

 それだけにシステムの更新には大きなエネルギーが必要になり,そうそう気軽に変更したり修正したい出来ませんから,システムには高い完成度と将来性が求められます。

 こんなことをいう人は少ないかも知れませんが,アナログ放送の仕組みとして長く君臨したNTSCは実に50年も使われ続け,我々の日々の生活に根を下ろしていました。

 白黒テレビとの高い互換性と必要にして十分な性能を両立し,アナログ故の「無駄」な部分を適当に残していたことで機能拡張も可能になるなど,長生きするシステムの条件を満たしていました。

 当時としては最先端の技術で組み立てられ,電子工学を学ぶ人間が一度は完全理解に苦労するNTSCは,成功したシステムの最たる例であったと思います。

 まあ,それを言い出すとAMラジオ放送は100年の歴史があり,戦前のラジオは今でも立派に放送を受信出来るわけですから,それには全然かないません。ただ,AMラジオがまだまだ個人発明家や勘と経験に頼った技術開発が色濃い時代に完成したものであるのに対し,NTSCは数学的なアプローチで情報を以下に効率よく伝送するかを解決した技術であって,その緻密さと完成度は雲泥の差です。

 ゆえに,AMラジオは手巻きのコイルとコンデンサ,ダイオードとイヤホンで作れるのに対し,NTSCはとても手作り出来るようなものではありませんでした。統一された規格によって大量生産が行われ,コストダウンが進んで行くことが普及の条件となるという,企業による研究開発と大量生産が前提となったまさに戦後型のシステムだと言えると思います。

 前置きが長くなりました。

 4K/8K放送の特徴はあちこちで書かれているので,わざわざここで書こうとは思いませんが,初めてインターレースによる400ライン表示を見たときの感動や初めてハイビジョンを見た時の感激を思い出すと,やはりテレビは解像度であって,チャンネルが増えるとかサラウンド音声になるとか,そうしたものよりもずっと直感的で派手な変化ゆえ強く訴えてくるものがあるんじゃないかと,密かに期待していました。

 この手の官製祭りには冷ややかで,のらないか,あるいは様子を見てようやく重い腰を上げるのが常な私ではありますが,夏に4Kチューナーを内蔵したテレビに偶然買い換えたことをきっかけにして,今回の4K祭りには最初からのってみたのです。

 東芝のレグザ55BM620Xに買い換えたのは,気に入って使っていた日立の43型プラズマの画面に致命的な傷を付けてしまったことがきっかけでしたが,予算内でできるだけ大きな画面のレグザを買おうという方針で選んだに過ぎません。

 下手をすると58型の型落ちを選んでいたかもしれず,これがすんでのところで売り切れてしまったことも,この機種になった理由の1つです。

 そもそもBSも見ていない私が,4Kチューナー内臓を理由に選ぶ事もないわけで,その意味では全く偶然だったといっていいかも知れません。

 もっといえば,テレビにはなにも期待しておらず,毎日とりあえずニュースと天気予報が見られればそれでよいと思っていたので,わざわざ手間をお金をかけて他の番組を見る気も最初からありませんでした。

 しかし,55型にしたことで,ちょっとテレビを見るのが楽しくなってきました。4Kパネルにdot by dotで表示される画像は綺麗だろうなあと言う期待もふくらみ,BSアンテナさえ付ければ4Kを見る事ができるなら,この際BSも見られるようにしたらどうかなあと思うようになったのです。

 実際,NHKのBSは面白い番組も多く,見たいなと思ったことも何度かあります。これはよいきっかけかも知れません。

 しかし,うちはもともとテレビを重視しない家です。BSはアンテナも配線もありません。

 ということで,11月の頭からBSを見るための設備を揃えることを始めたのです。

 電気屋さんに頼む,というのは一番楽で確実でしょうが,お金もかかるし立ち会いの時間も確保しないといけません。お金はともかく時間がとにかく厳しい現状では最善策ではありません。

 加えて,他人が家に上がり込んでくるという心理的負担も大きいです。

 そこで,この手の話は自前でなんとかすることにしています。

 そうなると,解決すべき難問は,BSアンテナの設置と,ケーブルの引込です。

 まず考えたのは,bSアンテナを屋根裏に置く事です。こうすれば危険な屋外の高所での作業がなくなり,ケーブルの引込も必要はなくなります。

 50センチとやや大きめのアンテナを購入し,屋根裏で受信を試したところ,受信は出来てもほとんど映らないくらいに微弱で,使い物になりません。

 屋根裏はさっさとあきらめ,今度はベランダに出します。ベランダの手すりに取り付ける方法は景観上もうれしくないので,エアコンの室外機の上に置きます。BSは横と言うより上から電波がやってきますので,アンテナを上に向ければ受信出来ますから,案外室外機に置くというのは良い方法なのです。

 これだとバッチリ受信レベルを確保出来ます。設置はこれで解決です。

 次にケーブルの引込です。

 まずBSのケーブルを地デジアンテナの引込口から引っ張り込む作戦を立てて実行しましたが,そんなに簡単にいくはずもなく断念しました。

 そこで,地デジとBSを混合する方法を考えます。混合器を設置する場所がないとか,地デジアンテナは片手を延ばしてやっと届く場所なので,高いところで怖い思いをするとか,心配な事はありつつもどうにか混合ができました。

 テレビに分波器を用意してBSと地デジを分離し,BSコンバータに15Vを給電する設定を行うと,無事にBSと4K試験放送が見れるようになりました。レベルも十分です。

 しかし,地デジのレベルが低いです。少ないとは言え金堂と分離の際に損失があり,これが顕在化するくらい,もともとのレベルがギリギリだったようです。

 そこで,手元にあった地デジブースタをBSと地デジが混合したケーブルに挟み込みます。すると地デジは満足なレベルになりますが,BSがまったく映りません。

 冷静に考えると,15Vの電源がこのブースタで通過せず,BSコンバータが動作しなくなっている判明しました。そこで,別の地デジブースタに付属していた電源部をさらに挟み込み,BSも映るようになりました。

 しかし,BSのレベルが下がっています。地デジブースタと電源を通るときに減衰するのでしょう。特にBSの20ch以降という高い周波数で顕著で,釣りチャンネルなどはブロックノイズが出まくっています。(別に見ないからいいんですが)

 幸い4Kではレベルが稼げているのでこのままで一度作業を終えて,12月1日の放送開始を迎えました。

 まず4K。番組そのものが今ひとつだったりするので大した感想もないのですが,それでも4Kの解像度は想像以上です。画面に映っているという感じではなく,目の前にあるという感覚に囚われる時が,時々でてくるほどです。

 クラシックのコンサートなどは演奏者の顔と楽器がちゃんと見えるようになり,以前の放送のようにカメラの切り替えが必要なくなり,自分が注目するパートと楽器をずっと追い続けることが出来るようになりました。これはすごい進化です。

 あと,暗部が潰れない,色がはっきり出ることも素晴らしく,55型の大画面でも破綻が少ないので,画面に近づいて見ることができます。

 そうすると,視野のほとんどが画面という映画のような体験が出来るようになるので,その没入感に驚きを隠せません。

 なるほど,それまでの24bitカラーでははく,実に30bitカラーの情報量は確かにすごい。H.265というコーデックも優秀なのか,画像の破綻も少ないです。

 考えてみると,日本のデジタル放送は2世代前のMPEG-2が使われています。コーデックの世代は,圧縮率という「効率」で語られることが多いですが,圧縮率以外にもより自然に見えるような工夫が成されているので,コーデックは世代が新しいほど美しく自然に見えるものです。

 その点で,4K/8KのH,265はMEPG-2から2世代も進んでいます。私はこの点だけでも,4K/8K放送の進化は一足飛びだと言って良いと思っています。


 BSも見てみると,画像も美しいし,奇をてらわない楽しいコンテンツが一杯でした。4K//8K放送のために,BSは事前に前に再編が行われていますが,この時1920ピクセルの解像度が1440ピクセルに画素数が大幅に減らされていて,地デジ並みとなっています。

 伝統的に画質の優位性を謳っていたBS放送が地上波と同じではダメだろうと思っていましたが,唯一NHKのBSプレミアムだけは1920ピクセルを維持していて,さすがに一目でわかる違いがありました。

 今年は,年末年始向けのテレビガイド雑誌の売れ行きが好調なのだそうです。

 テレビ離れが叫ばれて久しく,今やテレビを見るのは年寄りばかりと揶揄されていますが,先日の受信料値下げの根拠が受信料収入の増加が見込めることだったりして,実はテレビに人が戻ってきているんじゃないかと思います。

 4K放送は価格も手ごろですし,出費以上の価値が得られたと感じるだけの感激があります。3Dテレビは店頭でパッと試せない事もあって体験もせずに終わった人も多いと思いますが,4Kは違います。店頭でちらっと見ればもうその違いは歴然です。

 次にテレビを買い換えればもれなく4K放送が見られるようになっていることを考えても,4K放送は想像以上にヒットし,普及が進むかも知れません。

 さて,話を私に戻すと,地デジのレベルが低く,BSの高周波帯の減衰が大きい現状は,すでにちゃんと映らないチャンネルも出ているし,アンテナを接続する機器を増やすと直ちに影響が出るくらい,ギリギリのレベルです。

 このまま放置すると,忘れた頃に問題を引き起こす可能性が高いです。現状は暫定として,より完璧な対策をやっていくことになるのですが,この話は後日。

 

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