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PebbleTimeRoundの修理

まともなandroid(なにをもってまともとするかは人それぞれなところもあると思いますが,androidというOSが走っているスマートフォンという意味では,Blackberry KEYoneは言うまでもなくまともなandroidマシンです)を使うようになったら,是非やってみたいことがありました。

 それは,スマートウォッチの常用です。

 私はスマートウォッチのあの「ごつさ」に辟易していて,しかしPebbleTimeRoundが出た時に,腕からはみ出さない普通の円形あることと,袖に収まる薄さという極普通の時計という出で立ちを目の当たりにして,スマートウォッチの未来に光明を見ました。

 使ってみたいと思っていた私には,母艦となるスマートフォンがありません。

 しばらくして手に入れたBlackberryQ10では,なぜかPebbleを使っている人がちらほらいるようで,不思議でたまらなかったのですが,どうもBlackberryOSに独自のPebble用アプリが提供されていて,これが結構使い物になっていることを知りました。

 思い切って手に入れたPebbleTimeRoundが,BlackberryQ10で運用に入り,1年以上も私に様々な体験をさせてくれたわけですが,非純正アプリだけに出来る事は限られていて,Pebbleへの高評価を私自身が真に理解していたとはおよそ言えない状況に,ちょっとした疎外感を感じていたのでした。

 Pebbleを使うとQ10の電池があっという間になくなることもあって,次第に使うことが減ったPebbleを,あろうことか私は充電したまま半年ほど放置してしまったのです。

 その間にPebbleは買収されて消滅し,公式アプリのサポートもなくなってしまいました。Pebbleを越えるスマートウォッチが当たり前になるかと思いきや,相変わらずごついものばかりで,時間の経過が与えたものは,低価格化に過ぎませんでした。

 冷静に見ると,結局安物のごつい時計が一部のガジェット好きのオモチャになっているという状況に過ぎず,ここにスマートウォッチの衰退が約束されたとみるべきです。

 ・・・うーん,話を本題に戻します。

 そんなわけで,後継機も出ず,かといってこれを受け継ぐ新製品もでることなく,相変わらず孤高の存在である貴重なPebbleですが,半年の充電状態の放置によって私にPebbleTimeRound(以下面倒なのでPTR)は,電池の劣化とLCDの焼き付きを起こしてしまい,私は面倒を見なかった半年間を大いに悔いたのでした。

 電池の劣化は,あっという間に充電がおわり,しかしあっという間に電池が切れるという典型的な劣化で,おかげで一日持たないこともあります。これは致命的です。

 また,LCDの劣化は,充電完了の画面が焼き付いてしまい,特に白バックの画面では目立ちます。コントラストも下がっていて,見た目もよろしくありません。

 そんなPTRをBlackberry KEYoneで動かして見たのですが,まず公式サイトがサービスを停止していて,公式アプリを入れても動いてくれません。大いに焦った私は,Rebble.ioという有志によって立ち上がったサイトに頼り,この最大の壁を乗り切りました。ありがとう,Rebble。

 Lineでもメッセージが手元で読める楽しさも相変わらず,最新のOSでないとインストールできかなかったWatchFaceも試せたりと,さすがまともなandroidだと思って使っていたのですが,やはり電池の問題だけはいかんともしがたく,手を打つことにしました。

 まず,買い換えを検討しました。

 しかし,PTRは人気機種らしく,20mmバンドの男性用はすでに在庫がなく,価格も高騰しているようです。これはだめです。

 では電池だけ交換しようと思ったのですが,この小型サイズの電池は入手しづらく,私はあきらめました。大きさはともかく,3mmまでの厚みで55mAhというのはなかなかないのです。

 困ったなあと思っていると,amazonで14mmバンドの情勢向けで,赤色の派手な奴が13000円弱で新品がamazonでたくさん出ている事に気が付きました。なるほど,これは不人気なんでしょうね。

 ならば,これを買って電池とLCDを移植しましょう。基板は予備として確保しておけば,当面安心です。

 という思いつきで,長期在庫なっていたと思われるPTRの赤が届きました。

 早速これまで使っていたPTRを分解します。ベゼルは両面テープでくっついているだけなので,少し力を入れれば取れます。

 白い枠はあとでわかったのですが,Bluetoothのアンテナになっています。これをピンセットで外しているときに,ピキっという音がして,LCDが割れていました。焼き付いたLCDで交換予定でしたから,別によいのですが,こんなに簡単に割れてしまうものなのかと,ショックを受けました。(しかし後述するように,まだまだショックが足りなかったようです・・・)

 LCDを取り外していくと,6時の位置に照度センサがついているのが分解を邪魔します。これを外すのに無理をしたら,フレキを切ってしまいました。バイブやマイクもマウントされているフレキなので,これも交換です。

 基板を外し,電池を取り外して分解は終了。

 新しいPTRはさっと初期不良がないかどうかを確認してから分解します。同じ手順で分解し,電池,フレキを移植します。まあ,ここまではなんとかなります。

 そして両面テープを貼り,いよいよLCDです。

 LCDは一度割っていますから細心の注意を払って移植します。なんとか移植が終わり,BTアンテナを兼ねた文字盤を張り付けます。これもうまくいって,あとはベゼルを被せるだけです。

 ちょうどアンテナと基板を電気的に説属するポゴピンのあたりが浮いていたのを見つけt,つい無意識のうちにぐいっと押し込んだ時に,悲劇が起こりました。

 そう,まるで,湖池屋ののり塩のポテチを割ったかのような,「パリっ」という香ばしい音がしました。「うそだと言ってくれ」という私の心の叫びも届かず,現実は非情にも,私の目の前に1本の割れ筋と希望の白い円を,LCDに浮かび上がらせました。

 ああ,なんということだ。

 腕が鈍っていることは自覚していましたが,まさかこれほどとは。

 無駄なことと知りつつ電源を入れてみると,やっぱり割れています。表示がうまく出てきません。万事休す。ここでもう終わりです。

 焼き付きがあり,電池が1日しか持たないPebbleが,全く動かないPebbleに成り下がった瞬間です。私はまさにこれから使おうと思ったPTRを失ったのでした。

 実はこの話の少し前,分解前の赤いベルトのPTRを見て,珍しく嫁さんが興味を示し,使ってみたいと言いだしたのです。もともとドナーとして購入したPTRでしたし,お金を1円も出すつもりがなかったので私は難色を示していたのですが,こんなことなら嫁さんに使ってもらえばよかったのに,と後悔しました。

 悲しんでばかりはいられません。

 もう1台同じ物を同じ価格で買うことにしました。なんともったいないことよ。

 翌日届いた赤のPTRを早速分解し,今度こそ慎重に作業を進め,ベゼルを被せて完成です。1時間ほどの作業でした。

 ベゼルは,元のシルバーを使うつもりでいたのですが,傷が多いのでこの際だからと,新しいPTRの黒を移植しました。文字盤の黒と一緒ですので,随分印象が変わります。WatchFaceも黒バックのものに変更しないといけません。

 動作テストも問題なし,ちょっとBTの通信距離が短いように思いますが,まあ別に問題はありません。電池も2日は持ちます。ベゼルを指で弾くとカンカンと軽い音がするのですが,これは両面テープが剥がれて浮いているからで,少しぐっと押し込むとコツコツという低い音に変わり,これまで浮いていたことがわかります。気になる事ですが,LCDを割ってしまうともう本当にあきらめないといけないので,これはもう放置します。

 ということで,もとは自分のせいだったとはいえ,電池とLCDの交換にPTRを2台,合計29000円もかかってしまいました。なんと高価なスマートウォッチになってしまったことでしょう。

 しかし,交換したLCDと綺麗な風防は実に見やすく,新品だった頃を思い出させてくれます。電池も初期のように2日は充電せずに使えるでしょう。

 そして,ケースがシルバー,ベゼルと文字盤が黒というパンダのようなPTRは,私しか持っていないオリジナルという事もあり,ちょっとうれしいです。

 TwitterもLineもカレンダーの予定も手元に届き,常時表示でかわいらしいデザインの時計を気分を切り替えて使えるPebbleの楽しさと便利さを再認識し,これがなくなってしまったこと,そしてスマートウォッチがこの方向に進化しなかったことを残念に思います。

 で,触れておかねばならないことなので,少しだけ書いておきます。

 実はPTRを復活させる前に,別のスマートウォッチも考えたのです。中国製の安いものが手に入るとはいえ,安かろう悪かろうの世界ですので,それなりに評判の良いもので安いものを探したところ,COGITOのCOGITO CLASSICというのが目に付きました。

 通知だけしてくれればいい,電池がCR2032で,しかも1年も持つ,値段はもとは3万円ほどしたらしいが,それが6500円になっている・・・

 ごつい時計でしたが,まあ遊びのつもりと言う感じで,買ってみたのです。(蛇足ですが,この価格はどういうわけだか特価だったようで,私の後25000円くらいに値上がりしていました)

 届いたのですが,電池切れで動かないという先制パンチを食らい,電池を入れ替えてようやく電源が入り,BTのペアリングが完了しました。

 アプリからいろいろ設定してみましたが,結論としては,

(1)メールの通知は,スマートフォンのメールアプリによって出来る出来ないがある。
(2)Lineは通知を受けられるが,Twitterの通知と区別が出来ない。
(3)なぜか通知が来たときにバイブが動かない。
(4)油断しているとBTが切れている。頻繁に切れるので,信用出来ない。
(5)スマートウォッチのくせに,アナログ時計が狂う。
(6)歩数計がついているが,なぜかバイブと排他。
(7)ボタンが4つあるくせに,出来る事がほとんどない。
(8)アプリをインストール出来る端末が限られていて,インストールできないものも多い。
(9)やたらと位置情報をよこせとごねてくる。

 ということで,安っぽく,オモチャっぽい,ごっついただのクオーツ時計に成り下がってしまいました。

 ただの時計としてもあまりに不細工でプラスチッキー,これは大人が付けられるものではないと感じ,全く使い物にならないものを買ってしまったことを心底後悔しました。

 このCOGITO CLASSICというシリーズ,どういう訳だか,15000円から3万円の値段で今でも平気に売られています。買った人の感想は総じて悪く,概ね私と同じ結論になるようです。私はこれを6500円ほどで買っているからまだましですが,3万円出してこれでは,そりゃスマートウォッチに幻滅するのも無理もありません。

 こういうことが,スマートウォッチを衰退させたのだと,つくづく思いました。

 ところで,嫁さんには日頃世話になっていますし,こうしたややこしいガジェットに興味を示すのも1000年に一度の奇跡とあって,これをむげに断ったことにもやや後悔があります。

 いざというとき返してもらって,私のPTRのドナーになってもらう事も期待出来るという理由を付けて,嫁さんに使ってもらえるよう,さらにもう1台手配しました。

 日本語フォントを入れ,Rebbleにアカウントを作り,公式アプリをインストールし,Rebbleのアドレスに変更し,そしてようやく初期設定開始・・・このややこしい手順を含めて,嫁さんに用意することにしましょう。

 

夏休みの検討課題

 今年から長期の連休ではなく,2日程度の連休が何度かあるという形の夏休みにしたのですが,子供の頃から続けてきた「夏の工作」も様変わりし,じっくり取り組むものというより,何かあったら困るからと言う理由で避けてきたいろいろな検討課題を潰す良い機会に位置づけました。

 まあその,何かあったら困るのうちほとんどが自分で余計な事をして何かを起こしてしまうという自爆なわけですが,それも最後にはなんとか片付いているので,良いとしましょう。

 で,今回は少し趣を変えて,以下の2つをやってみました。


(1)地デジPCのSSD導入

 これまで私の地デジPCは,信頼性を重視してSSDを使わず,HDDを使っていました。筐体の都合もあり2.5TBのHDDを500GBと2TBで区切って,前半にWIndowsをインストール,後半にデータを入れるようにしてあります。

 ところがこの2.5TB,かなり昔から動いているもので毎日長時間動き続けているものでもあり,そろそろ故障が心配になってきました。壊れてからでは遅すぎるので早めに手を打ちたいのですが,なにせコピーだけではHDDを置き換えられないのがWIndowsの世界で,そうして何ヶ月も気になったままになっていたのでした。

 そんなおり,SSDの価格が急激に下がっていることを知ります。私はSSDはサンディスクを好んで使うのですが,普及グレードであれば6500円ほどで240GBが買えてしまいます。安くなったものです。

 私のシステムでは起動をSSDから行ってもそれほどメリットはなく,むしろ信頼性でデメリットになるような気がしていたのですが,価格がここまで下がったら導入しない手はありません。

 SSDにすると,筐体のスペースの関係でこれまで出来なかった,起動用とデータ用を物理的に別のドライブ分けることが可能になります。また,万が一スワップが発生したときにもSSDなら有利でしょう。

 ということで,いずれやってくるHDDの故障に対する備えと,堆積の小さなSSDにすることでドライブを物理的に分けることが出来るというメリットを動機にし,SSD導入を断行しました。

 まずSSDの入手です。サンディスク製で最も安価なSSD PLUSの240GB(SDSSDA-240G-J26)にしました。ヨドバシで7130円,ポイントを差し引くと6400円ほどです。

 データ用のドライブはQNAPのNASに入れて使っていた3TBのWD REDです。これも2年以上24時間動作していたので,もういくらももたないだろうと思いますが,SMARTを見てもまだまだいけそうですし,もったいないのでこれを使い潰します。なにかあっても,データ用だけなら新しいものを買って交換するだけですから,そんなに心配はありません。

 本当はマウンタとかケーブルとか買わないといけないのですが,面倒なので手持ちを活用します。ただ電源の分岐だけは必要になることがわかっていたので,同時にかいました。

 作業ですが,本来ならWindowsをクリーンインストール,ドライバやアプリを入れ直してさっさと環境を再構築するべきなのですが,作業時間はともかく,(つきっ切りで作業をしないといけないので)放置しておけない今の私の状況から,クローニングソフトを使うことにしました。

 その昔,NortonGhostの世話になったのですが,今はEFIやらGPTやらで古いものを使うのも怖いですから,ここは皆さんがどうやっているかをgoogle先生に聞いてみます。

 なになに,EaseUS Todo Backupがいいという話です。無償でクローンが作れます。たくさんの方が利用されているようです。私もこれにしましょう。

 作業を始めると,クローン出来ないというエラーが出ました。これはディスクを修復して解決したのですが,クローンした物からブートしないというトラブルが発生。後でわかったのは,私の環境が64bitのWindows10でGPTであったことと,EFIの設定がブートデバイスとしてレガシーなものを排除したことが理由ではないかということです。

 このソフトでクローンを作ると,EFI用のパーティションなどが作成されないのです。MBRならそれでもいいんですが,GPTではそうもいきません。Windows7の32bitでMBRだと問題なく起動したかもしれません。(間違っているかも知れません)


 もうあれこれ考えている時間もありません。セクタ単位のコピーも試しましたが,EFIパーティションが作られない状況に変化はなく,従って起動しない状態も変わりません。

 BIOSから起動ドライブを変えようにも,SSDが選択出来ません。万事休す。

 そこでツールを変えてみます。AOMEI Backupperです。

 これもよく見るソフトで,起動してみるとちゃんとEFIパーティションを含めてクローニングしてくれそうな画面がでています。期待したのですが,無償版クローンの作成は出来ない事がわかり,ここでまたくじけそうになりました。

 ならばと,ここでHDDをバックアップ,SSDに復元という方法でクローンを作ります。無事作成が出来てからSSDだけを繋いで起動すると,見事にSSDからWindowsが起動しました。特に起動が高速という事もないのですが,起動してからの動作が機敏になったように思います。

 ここまできたら,後はデータを3TBのHDDにコピーして作業は終了です。6時間ほどもかかったでしょうか,最後はSSDを筐体に押し込み,フタを閉じて完成です。

 このあと,BIOSを最新のものにアップデートしたら,ブートデバイスにSSDを選ぶ事が出来るようになったのですが,その代わりレガシーなブートオプションを無効に出来なくなってしまいました。よくわかりませんが,もう深追いはしません。

 その後1週間ほど経過していますが,全く問題なく動作しています。速度という面でのメリットは予想通りあまりないのですが,ドライブを完全に分けられることの安心感は大きいです。

 価格的には1万円までで片付いたのですが,トラブルの未然防止が目的でもあったので,手に入れたものは安心感でした。今ひとつ費用対効果が目に見えないので,ちょっとさみしいなというのが,本音の所です。


(2)携帯電話

 私は未だにガラケーの愛用者です。とはいってもアンチスマホではないので,スマホは持っています。ただ,通話とデータ通信を分けているだけです。もちろんスマホは格安SIMで使っています。

 格安SIMで運用するスマホの泣き所は通話とキャリアメールにあるわけで,バリュープランのタイプSSでファミ割りMAXを使うと1000円未満で通話回線が維持できます。しかも無料通話分が1000円付いてくる上,家族間なら通話もiモードメールも無料です。

 これは当時も今も最安値でドコモの回線を維持する方法なのですが,端末を一括購入する代わりに安い料金プランを選択出来るというサービスだっただけに,対象機種がほとんど存在しない現在はなかなか加入できないプランらしいです。

 ということで,私は月々2000円ほどでドコモの通話とスマホを維持できているわけですが,これで全く不足はなく,ここでやみくもにスマホに完全移行すると倍の料金に跳ね上がるのに出来る事はなにも変わらないということが起きてしまうので,とてもバカらしいのです。

 ガラケーはその意味ではなかなか貴重な存在で,特にFOMA端末(3G専用端末)は新規に作られていないだけに,壊さないように大切に使う必要があります。

 しかし,傷だらけのFOMAに愛着などあろうはずものなく,実は長年使っていたSH-03Bを充電スタンドに置くとき,乱暴に押し込んだためにたわんでしまい,なんとLCDが割れてしまったのです。

 さすがに私はうろたえました。修理も出来ず,現在の契約を維持できる端末に買い換えることが出来るのかどうかもはっきりせず,とにかくどうしていいやらという状態でした。

 音声付きの格安SIMに切り替えて,全面的にスマホに移行する事も考えたのですが,それだと家族間の通話とメールの無料が外れてしまうので大変なことになります。やはり,なにか環境が変わらない間は,今の状況を維持した方がよさそうです。

 となると,方法は2つ。SH-03Bに代わる新しい端末を中古で買うこと,もう1つはSH-03Bを修理すること,です。

 前者は3GのFOMAに限られます。形はガラケーだけど中身はスマホ,と言う奴はだめなので,FOMAの最終機種を探してみます。するとSH-07Fが該当しそうです。これを中古で6000円ほどで調達しました。傷なしの備品という触れ込みでしたが,届いて見ると大きなキズがあり,がっかりです。
 
 後者は,汚く程度の悪い白のSH-03Bを3000円ほどdえ買いました。LCDだけ交換すればと思っていましたが,LCDだけの交換はかなり難しい事がわかり(両面テープをあっちこっち剥がさないといけない),スライドするLCD部を丸ごと交換することにしました。私のSH-03Bは黒だったので,上半分が白,下半分が黒のパンダSH-03Bが出来上がりました。

 もともと,データの移行用に修理したのでまともに動く事すら期待しなかった修理でしたが,6歳の娘の目の前で交換作業をした思い出も手伝って,まだまだちゃんと使える状態で復活してくれました。

 その翌日,SH-07Fが届き,キズにがっかりしたわけですが,これはこれでサクサクと動いて,なかなか快適なのです。SH-03Bを買った頃は,なんでもこれでやらねばならず,フルキーボードは非常にありがたかったのですが,通話とメールだけの端末ですから,別にテンキーでも文句はありません。

 なら,私が過去に使っていて,今でもお気に入りのD704iを通話とメール用に復活させてもよかったのですが,そこはほら,できるだけ壊れない新しいものが欲しいじゃあないですか,だから最終機種であるSH-07Fを買ってみたわけです。

 ということで,SIMを差し替えてSH-07Fを使おうとすると問題発生。SIMのサイズが合いません。手持ちのSIMパンチでmicroSIMにしてもいいんですが,壊れてしまうと面倒なのでここは素直にドコモショップに出向きます。

 特に面倒な話もなく,手数料2000円でSIMを交換してもらいました。念のためドコモのインフォメーションセンターに電話して,料金プランなどがSIMに紐付いていることと,違う端末に差し替えても契約内容はそのまま継承されることを確認しました。

 これでおしまい,といいたい所ですが,実は電池がへたっていたので新規に買おうとドコモショップでお願いしたのです。ところが買うことが出来ませんでした。

 SH-03B用の電池も頼んだのですが,こちらはすでに製造中止。まあこれはわかります。

 でも,SH-07Fものもドコモとしては販売していないというじゃありませんか。2014年の端末ですからね,2年に一度の交換として,まだ2回目くらいですよ。

 いくらなんでもそれはないと言いましたが,ダメなものはダメと言われて帰ってきました。インフォメーションセンターでも聞いて見ましたが,結論はメーカーは製造を中止していないしドコモとしても販売を終了していないが,在庫がないので販売出来ないということでした。

 そう言ってくれればいいだけの話なんですが,実はドコモオンラインショップでは在庫ありで,私も2個買うことが出来ました。あー,バカバカしい。

 スタンドも裏蓋も在庫ありで,問題なく届きました。6000円の端末に2500円ほどかけてしまい,まるで新品を買ったくらいの値段になってしまったのが残念ですが,まあ仕方がありません。

 買ってみた感想ですが,やっぱりただのガラケーです。ただ,1.2GHzのSH-mobileを搭載した機種だけに動作は機敏で,SH-03Bのもっさりとした感じはありません。画面が小さい,解像度が低く文字が大きい,そして動作がもっさりがガラケーの特徴なわけで,SH-07Fくらいになると,この3つについてはかなり解消されていますから,今どきのスマホになれた私でも,特に違和感を感じません。

 折りたたみのガラケーは,なかなか使いやすくていいんですよ。小さいし軽いし薄いし,機能も必要十分だし,電池は良く持つし,3Gですからね,通話の廻船はパケットではなく1対1ですから信頼性も抜群です。この非効率なネットワークの維持に,ドコモはかなりのお金をかけて品質を担保しているはずです。うしし。

 ということで,2025年だか2030年だか,ドコモは3Gサービスを停止するらしいですが,それまではこのまま使おうと思います。

 あ,ところでSH-03Bの修理ですが,これは詳しく書くほどもないくらい,簡単でした。下段の裏蓋をあけて,フレキを外してメイン基板を外してしまえば,スライド機構が出てきます。

 これを固定する金具を,左右4本ずつのビスをゆるめて外せば,上段のLCDブロックが外れます。この部分を丸ごと交換するだけです。10分もかからないでしょう。

 で,microSIMを通常のSIMにするアダプタを,SIMなしで差し込んでしまい,内部の端子が引っかかって抜けなくなってしまい,もう一度ばらしてなんとかアダプタを引き抜く羽目になったことは,ここだけの秘密です。


(3)時計

 1985年頃だったと思いますが,システム手帳なるものがブームになり,なんでもかんでもカードサイズにすることが流行した時代があります。電卓はおろか,ボールペンやシャーペンまでカードサイズになったおかしな時代でしたが,中学生だった当時,カシオのカードサイズのカレンダークロックを父親にもらいました。

 当時は珍しい大きさと薄さに万年カレンダーにアラームクロックを合体させたもので,CR-2016で数年間動作するのもなかなか優れものでした。

 喜んで使い始めた私は,これは時計として基本機能を満たしていないことに気が付きます。そう,精度が無茶苦茶なのです。

 すぐに使わなくなったこの時計が,再び私の目の前に姿を現したのは,今から5年ほど前です。実家を整理していた見つけた時計ですが,当時新築したての我が家には時計の需要が旺盛で,その小型薄型を見込まれて,トイレに設置されることになりました。

 しかし,これがまた大きくズレるのです。3年ほどで実に20分ほど進んでいます。いや,1年で6分とすれば1ヶ月では30秒ですので,これは一応クオーツ時計の標準的な仕様の範囲にギリギリ収まっています。

 でも,実力としてこの精度の時計はほとんど見られませんし,なにより私が許せません。

 単に時計を合わせ直せばいいかといえばそういうことでもなく,2ヶ月で1分もズレてしまえば,1分単位で生きている早朝には対応出来ません。

 やるしかないか・・・

 30年も前の時計ですので,そんなに難しい仕組みもないでしょう。調整が出来るかどうか,とりあえず分解です。

 缶に入った水晶発振子が時代を感じさせるのですが,その脇にあるチップコンデンサのサイズも大きく,懐かしいです。

 最初,この水晶発振子を新しいものに交換すれば,もう少し精度のいいものになるだろうと思っていたのです。

 と,その前にいくつかチェックランドがありますので,これをオシロスコープであたっていきます。1つ,きっちり32kHzが出ているランドを見つけました。水晶発振子は32.768kHzなのに,どうやって32kHzを作るのか,その必要性はなんなんだと首をかしげましたが,とにかくここの周波数が32kHzからどれだけズレているかで精度を見極めることができると考えました。

 周波数カウンタを起動し,早速周波数を測ります。

 現状では,32000.4Hzでした。これは日差1.08秒進むズレです。1ヶ月だと約30秒ですので,現実とほぼ一致します。うむうむ。

 新しい水晶発振子に交換すると,あろうことか32000.6Hzに悪化しました。話になりません。

 なら,元に戻して,近くのコンデンサを調整しましょう。20pFほどパラ付けすると,随分周波数が下がります。カットアンドトライをして,手持ちの2pFをパラ付けすると,32000.04Hzとなりました。これだと日差0.108秒進む計算ですから,1ヶ月で3秒,1年では40秒ほどのズレとなります。

 それでもまだまだ,と言いたいところですが,トリマコンデンサは場所がないので取り付けられませんし,そもそもここを32kHzぴったりにすればいいのかどうかも推測に過ぎません。とりあえずこれで様子を見ます。

 両面テープを貼り直してフロントのフィルムを張り直しますが,ここで失敗があったらしく,聞かないキーがあったりしました。もう一度やり直しますが,今度は粘着力が弱く,剥がれてきます。

 しかも,手持ちの関係でCR2016の代わりにCR2025を無理矢理押し込んだので,余計に剥がれてしまいます。1時間ほどすると,電池端子が外れたらしく,表示も消えてしまう有様です。

 真面目に組み直し,電池もCR2016を用意してなんとか復活させましたが,裏の板はパラ付けしたコンデンサが盛り上がってしまい,閉じません。これはもう仕方がないので,そのまま取り付けずにいきます。

 ということで,30年前にはあきらめて時計が,今こうして精度の調整を受け,最前線に投入されることになりました。


 時計があるとき突然修正されていると,ズレていることを前提に動いていた人が修正されたことを知らず,時刻を勘違いしてしまうということが起きるので,嫁さんにこの話をしたところ,この時計のずれがひどい事はわかっていたが,これはきっと「ほらほら急げよ」という神様の叱責だと,真摯なことをつぶやいていました。

 今後は神の叱責も応援もなく,そこにある真実だけを見て生活が出来るようになりました。時計がズレないことはとても大事な事だと,つくづく思った次第です。


 というわけで,3つほど気になっていた事が片付きました。今年の夏は,こんな夏でした。

 

シュアのフォノカートリッジ生産終了を受けてアナログ祭り~その5

 カートリッジ祭りの最後は,どうしても試してみたくなった新しいカートリッジの話です。

 前回も書きましたが,私はシュアとオルトフォン,オーディオテクニカとデノンという当たり前のメーカーのカートリッジしか使っていませんでした。MCは言うに及ばず,MMのような量産品でも数多くのメーカーがその個性を競うカートリッジの世界は広く,楽しいものであるはずなのに,なんと私はもったいないことをしていることか。

 ただ,一方でOEMが多い世界でもあるので,メーカーは違うが中身は同じ,と言うものが多いのもまた事実です。あれこれと手を出すことの意味のなさも分かっているつもりです。

 そんな中で,カートリッジの老舗であるグラドが目に入ってきました。好むと好まざるに関わらず,売り上げを立てるのにDJ用は外せないカートリッジの世界において,グラドはDJ用途のものを作っていないんですね。

 かといって保守的な高価なものばかりかと言えばそんなことなく,1万円くらいから多くのラインアップを持ち,またモデルチェンジも頻繁にあって,都度新しい技術と音に挑戦しています。

 私などは「大丈夫かいな」と心配になってしまうほど,私のような庶民にはありがたい存在なグラドですが,つい先日まで「聞いたことはあるけど」という程度の認知度でした。

 しかし,1万円程度の安いMMカートリッジでも,周波数特性は50kHzまで伸びるというウソのようなスペックを謳っていますし,チャンネルセパレーションも他のカートリッジの頭一つ飛び抜けている値が書かれています。

 グラドはMMというよりMI型ばかりをラインナップしていますが,セパレーションが良好なのもMI型の個性の1つです。

 つい,この3月にエントリーレベルが新製品で一新された事も知り,ならば試してみる事にしました。改良を重ね最新の設計で楽しむアナログレコードというのも楽しいもので,現代のスピード感のある音がアナログで楽しめるかも知れません。

 たくさんあるラインナップのうち,私が選んだのはPrestige Blue2というものです。

 Prestigeシリーズはグラドのエントリーレベルのラインナップですが,数と言い価格レンジと言い,まさにグラドのメインストリームではないかと思います。

 最廉価のBlackは3ピースのカンチレバーで,GreenはBlackの選別品です。Blueは4ピースのカンチレバーで,選別品はRedになるそうなのですが,私はその価格差から選別までは必要なく,そのかわり4ピースという高級機と同じ構造の音を聞いてみようと思いました。

 聞けば,グラドは現代のMCカートリッジを発明した人なんだそうです。しかし今のグラドにMCのラインナップはなく,これはMCに限界があり,これを越えるのが彼の考案したMI型(FB型というそうです)だという結論に至ったから,らしいです。

 まあ,この手の話にはウソも混じるので真に受けるわけにはいかないのですが,ウソでもそこまでいうならぜひ聞いて見たいものです。

 ということで,それでも1万円ちょっとで手に入ったBlue2を早速試してみます。

 MIらしい芯のあるしっかりした骨組みに,ワイドレンジで密度の高い音がを均一に纏っている印象です。高解像度,高コントラストで鮮やかな音は現代的で,伝統的なカートリッジとはちょっと風味が違いますが,似た傾向のオーディオテクニカほど尖っておらず,多量の情報がすっすと頭に入ってきます。

 派手な音にありがちな歪みっぽさはなく,きめの細かい音がしており,それは大音量でも破綻せずしっかり粘ってくれます。目の前の霞やもやが一気に晴れたような感じがあり,からっとした湿気の少ない風のような心地よさです。

 ちょっとサ行がきついかなあと思いますが,欠点はそのくらいです。

 聴き疲れることもなく,かといってメリハリの強い音で常に興奮状態にあるわけでもなく,とても自然に鮮度の高いが耳に入ってくることは音楽を愉しむには理想的とも言え,個人的にはジャンルと問わないオールラウンダーだと思いました。

 あまりに楽しいので,一気に2枚ほどアルバムを楽しみました。この音がこの価格で買えてしまうのに,もっと話題になってもいいと思うのですが,そこはやっぱり保守的なアナログオーディオの世界だけに,シュアとオルトフォンとデノンでいいや,ということになっているのかも知れません。

 確かにこのあとM44Gと比べてみたのですが,M44Gの肉太な押し出し感の強い音は,それはそれでとてもエキサイティングで楽しいです。不思議なことに,PrestigeBlue2を聞いた後では,いつも感じるようなM44Gに対する物足りなさや一種の妥協のような感情が全く顔を出さず,心底「いい音だなあ」と聞き惚れてしまったのです。

 方や最新の設計による現代の音,方や半世紀を経た古典的設計の伝統的な音,しかしどちらもいい音だと,そんな風に思えることがとても面白く感じました。

 このあたり,レンズと似たようなものがあるかも知れません。古いレンズは解像度も低く,その時の製造技術で量産可能なもので妥協した設計をしていますが,それはそれで個性的で味わい深いものである一方で,最新の設計と高度な量産技術で磨かれた最新のレンズは,今のトレンドをきちんと掴んだ高解像度,高コントラストです。

 思うに,50年前の設計者も,きっと高解像度を目指していたんだろうけども,諸処の事情でそれが許されずに妥協を重ねたんだろうと思うのです。だからもし,その50年前の設計者に今の最新の設備と技術を提示したら,きっと現代的なレンズを作ると思うんですね。

 カートリッジも同じで,違うのは相手がLPレコードという古い伝統的なものであるということです。レンズが相手にする被写体はまさに目の前にある「最新」のものですから,このあたりはちょっと考え方が違うかも知れません。

 ちなみに,あまり聞いていなかったオルトフォンの2M REDも真面目に聞いてみました。なぜかうちではこのカートリッジは針圧を3g以上かけないと歪みが消えず,あまり長時間使えないなあと思ったわけですが,腰がしっかりと座った,いかにもMMという太い音を持ちながら,現代的な解像度の高い音がしていて,アンバランスさを感じるほどです。

 アンバランスさと書きましたが,このあたりPrestigeBlue2は見事で,MMの個性と現代的な音が一体感を持っており,不自然さが全くありません。素晴らしくまとまっています。良し悪しではありませんが,この点で2M Redはちょっと息苦しさがあります。(この重さは針圧が大きいことから来ている可能性もあり,針圧を軽くするともっと軽やかな一体感のある音になるのかも知れません)

 ということで,常用していたV15typeVxよりも澄んだ音が欲しい,DL-103よりも伸びのある音が欲しいと,常々思っていた所にPrestigeBlue2がこのすべてを満たして現れました。

 なんやかんやで最後にはV15TypeVxやDL-103に付け替えて終わるのに,PrestigeBlue2だけは2枚のアルバムを聴き通したわけで,これでもう常用決定という感じです。

 いつでも同じ音が出る信頼性や,セッティングによって音がどれくらい変化するかというセッティングの難しさなど,まだ分からない事も多いのですが,大変魅力的なカートリッジに出会いました。

 必ずしも高価である必要はなく,定評あるロングセラーでなくても,とてもいいものがあるということを,今回のPrestigeBlue2は私に教えてくれました。

 使いこなしの難しさがあるかも知れないのでまだ断言出来ませんが,この価格でこの音は大変素晴らしく,もしおすすめを聞かれたなら,このPrestigeBlue2を真っ先にあげることにします。

 

シュアのフォノカートリッジ生産終了を受けてアナログ祭り~その4

 V15typeVxMRの修理に際して久々に「カートリッジ大全」を開いて見ました。これがめっぽう面白いので,ついつい関係ないところも読んでしまいます。

 ここに,モノラルカートリッジの話が出ていました。そういえば,オーディオテクニカのAT-MONO3だけは値上がりせずに昔の値段のままだなあと思って読んでいると,そのメリットや存在理由が書かれています。

 これまでモノラルカートリッジなどに興味もなく,欲しいなどと思った事はなかったのですが,それはメリットを理解していなかったからで,縦方向の動きに対して電圧を発生しないというのは非常に大きなメリットを生むと分かりました。

 現在のLPレコードのステレオ方式である45-45方式は,モノラルとの互換性を高く持つ事で知られていますが,モノラルのレコードをステレオで再生してもちゃんと音が出ることがその特徴です。

 私もそう考えて,モノラルカートリッジなど欲しいと思わなかったのですが,冷静に思い出してみると,本来モノラルのはずなのに,妙にステレオっぽく聞こえたものです。これは,アンプのモノラル/ステレオスイッチを切り替えてみればはっきりわかるもので,この2つはモノラルレコードでも明らかな違いを持っていました。

 何でかなと考えてみると,音は確かに左右で同じであっても,ノイズは左右別々に出るので,これが左右を完全に一致させない理由になっているのですね。それゆえに我々の頭は,これを左右が異なる音としてステレオと認識するのでしょう。

 そうなると,せっかくのモノラルが不完全なステレオになってしまうわけで,これはとても残念です。やはりモノラルなら,ノイズもモノラルでないと。

 それを実現するのが,モノラルカートリッジです。

 調べてみると,デノンのDL102,オーディオテクニカのAT-MONO3,AT33MONOが手に入りやすいようです。価格はAT-MONO3だけ1万円ちょっと,それ以外は3万円くらいです。

 はっきりいって,どんなMCカートリッジでも実売1万円はこのご時世赤字なはずで,いつ値上がりするか分かりません。ということであわててAT-MONO3/LPを買いました。

 音を出してみたいのですが,そもそもうちにモノラルのLPなんぞあるんかいなと探してみると,1993年に復刻したビートルズ・フォー・セールのモノ版が出てきました。なんかいろいろ持ってるんですねえ,私は。

 これを早速聞いて見たところ,新たな感動がありました。ノイズもモノラルというのは,なんと聞きやすいものか。音に集中出来るというか,自然に耳に入ってくるというか,いかに左右でノイズが違うという状況が不自然であるかがよくわかります。

 でないとモノラルカートリッジなどとっくの昔に廃番になっているはずで,それが複数の選択肢から選べるというのですから,やっぱりマニアに支持されてるんですね。

 世の中には,オーディオマニアの行き着く先の1つに,モノラルというのがあるそうで,でっかいタンノイをわざわざ1本だけ買ってドンと真ん中に置いて音を浴びたりするんだそうです。まあ,考えてみるとSP盤マニアも蓄音機マニアも,自動的にモノラルマニアですわね。

 極端なマニアは別にしても,制作者が想定した再生装置で音を出すのが一番制作者が聞いて欲しい音なわけで,制作者の意図を理解するには,それが一番の近道でしょう。

 時代的な話が理由だとしても,モノラルを想定しているならモノラルで聞くのがよいだろうと思います。その点で,モノラルカートリッジを手に入れたことはささやかながら,その第一歩であったと思います。

 実のところ,我が家にはビートルズのLPのセットがありまして,ちゃんとモノラルなんですね。もったいなくてほとんど聞いていませんが,やはり今度聞くときはAT-MONO3で聞こうと思います。

 さて,これでアナログ祭りも最終回,と思ったのですが,ふとしたことからあるカートリッジに興味を持ち,そんなに高いものでもないのでこれも何かの縁と購入しました。

 そういえば私はカートリッジとオーディオに目覚めるきっかけをくれたシュア,自分で初めて1万円を越えるカートリッジを購入したオルトフォン,低価格カートリッジを大事にする姿勢に共感した現代的な優等生オーディオテクニカ,そしてNHK-FMを聞いて育った人には必ず必要なデノンのDL-103以外を買おうと思ったことが一度もありません。

 手作りの高級MCカートリッジは置いておくとして,ないないといわれつつMMカートリッジのメーカーはそれなりに存在しており,なのに私はそれらをほとんど知りません。でも,今生き残っているMMカートリッジですから,なにかしら個性があるに違いありません。

 そんな中,どうしても試したいものが出てきました。次回はそのお話です。


シュアのフォノカートリッジ生産終了を受けてアナログ祭り~その3

 2mの高さから箱ごと落下させ,その内壁に接していたスタイラスガードが持ち上がるほどの衝撃を受けて左chのレベルが2割も下がった,私の大事なV15typeVxMR。

 なんとか修理しようと試みるも原因にさえたどり着けず,結局あきらめる羽目になりました。

 中古ショップもオークションにも同じ物は見当たらず,万策尽きたと思っていた所で,私はV15typeVxMRの出自についての,重大な秘密を知ることになります。


 google先生にV15typeVxMRのことをいろいろ聞いていたところ,ふとある記事を目にしました。

 V15typeVxMRは,V15シリーズにあらず。

 うーん,以前からそういうことを言われていたので,今さらという気もするのですが,ちょっとよく読んできます。

 V15シリーズはシュアが送り出した高級MMカートリッジのシリーズで,その音質はもとより,LPレコードの再生技術の発展に技術的解決策を与えて大きく貢献してきた,ファンの多い名機の血統です。

 特にV15typeIIIはモダンジャズのピークに登場し,ジャズファンの心を掴んで離しませんし,V15typeVはその集大成として,とても素晴らしい完成度を誇りました。

 時は既にCDの時代。typeVは比較的短命に終わり,V15シリーズ不在の時代が長く続いた2000年台,復活を望む声に応える形で登場したのが,復刻版と銘打ったV15typeVxMRです。

 私はようやく社会人になって自分のお金が使えるようになっていたこの時期,長年の夢であったV15シリーズの購入を決断し,この復刻版を買ったのです。

 その音は確かにV15であり,私はとても満足していました。V15の血統であることに疑問を持ちませんでした。

 しかし,記事には耳を覆いたくなるような事実が書かれています。

 V15typeVxは,V15にあらず。

 外見的な特徴から,V15typeIからV15typeVまで続くいわゆるV15シリーズには,V15typeVxを含めることは出来ないのだそうです。それは電気的特性においても同じで,シュアは公式に語ってはいないが,どうもV15typeVxは「別の血統」になるということです。

 これ,なるほど説得力があるので私も信じるのですが,ならV15typeVxは誰の子供なんだよ,となるわけです。V15を名乗る以上は,それ相応の血筋でないと困るのです。

 記事では,衝撃的な事実が書かれていました。

 まず,シュアはアメリカの量販店であるRadioShack向けにOEMをやっていました。Realistic V15 RSというOEMカートリッジがそれですが,もともとRadioShackは世界中の工場で作った良品を自社ブランドで安価に売るということをやっていたので,このカートリッジも悪いものではないと思います。

 そういえば,PC-8201で知られるポータブルコンピュータは京セラのOEMですが,これもRadioShackに供給され,TRS-80model100として人気があったという話です。似たような話でしょうね。

 で,OEM用に作られたRealistic V15 RSを自社ブランドで売る際に,シュアはVST IIIという名称を与えます。VSTとはV15 Series Technologyの略らしく,1980年代後半にVST Vと共に,ほんの一瞬だけ市場に出た幻のような製品です。

 公式には,VST IIIはV15typeIIIを,VST VはV15typeVをベースとしたもので,当時の私もこの説明を真に受けて,V15typeIIIとV15typeVは音が違い,TypeIIIの音が忘れられない人向けに出たものなんだろうくらいにしか思っていませんでした。

 超楕円針を持っていたVST IIIは短命に終わり,相変わらずV15typeVがフラッグシップとしてその完成度と音質を誇っていました。

 しかしそのV15typeVも生産中止。おそらく金型が壊れたか,ベリリウムの毒性の問題で生産できなくなったんだろうと思いますが,それでもV15復活を望む声は強く,白羽の矢が立ったのが,あのVST IIIでした。

 想像ですが,この段階でもまだRealistic V15 RSは販売されていたか,販売はされていなくても金型が使える状態にあったかで,すぐに生産できるそれなりのグレードのカートリッジとしてVST IIIを使い,V15を復活させようとしたのでしょう。

 かくして,VST IIIはV15typeVの最終形態であるマイクロリッジ針を奢られ,V15typeVxMRとして,V15シリーズに並んだのでした。

 確かにVSTはV15の血統だといっていますし,これを使ってV15を復刻するのはウソではありません。しかしもともとRadioShack向けの傍流であり,本家の筆頭V15を名乗っていいのかというなにかモヤモヤしたものは当然あると思います。

 V15typeVとV15typeVxに,交換針の互換性は全くありません。それどころか,V15ypeVxとM97系列との間には,交換針の互換性があったりします。これがV15typeVxはV15にあらず,という話につながるのでしょう。

 なるほど,M97xEにV15typeVxMRの交換針を取り付けるとV15typeVxMRの音になりますし,先日書いたM97xEの針圧を増やしてトレース能力を上げるとV15typeVxMRの音に近づくという話も,なんだか辻褄の合う話です。

 日本はもとより,アメリカでもこの議論は盛り上がったらしく,騙されたとかRealistic V15 RSの値段を考えるとV15typeVxMRは高すぎるとか,いろいろな声があったと聞いています。

 ですが,私の耳にはあのV15typeIIIの音が聞こえていました。だからこそ,私はV15typeVxMRの音が気に入っていました。なるほど,VST IIIと同じ物で,針だけ良いものになっているなら,そりゃいい音するわなと妙に納得したのです。

 オルトフォンのように,本体は共通で針のグレードの違いで品種が別れているものを見ればわかりますが,実はMMカートリッジの価格にしめる針の割合は非常に大きくて,特に日本のメーカーでしか加工できないとされたマイクロリッジ針が,ベリリウムのカンチレバーとあいまって高価になるのは当然といえて,またその音質への貢献も針の性能に寄るところが大きいものです。

 だから,基本構造がV15に近似していて,音の傾向もV15typeIIIなら,その針を当時の最高級品にすれば,それは確かにフラッグシップモデルの復刻です。だから私はV15typeVxMRを,V15ファミリと思うのでしょう。


 閑話休題。

 ということではですね,本体を壊した私は,Realistic V15 RSかVST IIIの本体を手に入れればV15typeVxMRを復活出来るということになります。問題はVST IIIなどという超マイナーなカートリッジが手に入るのか,しかも安価なのかどうかです。

 ・・・ありました。某オークションにでていました。お望み通り針はありません。しかしそれなりの高価でした。

 いやー,VST IIIですよ。こんなものが手に入るなんて・

 届いたVST IIIですが,軽くチェックをしたところ問題なし,左右のバランスも正しく,音質もやっぱりV15typeVxMRのそれでした。

 ついでに,LCRメーターでコイルのインダクタンスを測定すると,どちらのカートリッジも460mH@1kHz近辺でした。まあ,インダクタンスまで同じならもう同一のものだと考えて良いですね。

 左側のレベルが小さいV15typeVxMRのインダクタンス2割ほど小さかったのですが,これが故障の原因だったのかも知れません。

 そのまま針だけ交換して使うことも考えましたが,そこはやっぱり見た目にV15typeVそっくりでないと悔しいので,中身を入れ替えてしまいました。

 V15typeVxと書かれたケースに,VST IIIの中身が収まっています。しかしVST IIIとV15typeVxの中身は同じ物なわけで,結局入れ替えていません,というオチになりますね。ああややこしい。

 中身を二つ並べて外見を見比べて見ましたが,製造時期の違いもあってか全く同じとはいえませんでした。大きさや端子などは同じでしたが,内部に隠れてしまうような部分で,リブが追加されていたりして細かい改良は行われていたようです。

 事前に塗装が剥げてしまってところを補修し,クリアラッカーで仕上げたV15typeVxMRのケースに,うまくVST IIIの中身が収まり,元のシェルに取り付けられました。これで完成。音出しも問題ありません。

 結局,落下によって壊したV15typeVxMRは,数千円の費用をかけて修理され,原状を回復しました。今私の手元には,VST IIIと書かれたケースと,V15typeVxの中身が,転がっています。

 出来上がったV15typeVxMRを改めて聞いて見ると,やっぱりこの音だなあとつくづく思いました。私もいろいろ聞き比べを楽しむ人間ですのでわかるのですが,違いが分かったうえでいい音悪い音を区別出来ることと,好きか嫌いかは全く別の話であり,特にいいなあ,これだなあと思うものというのはそのジャンルで1つだけになってしまうものです。

 V15typeVxMRに否定的な意見はまさにその通りで,私も同じ意見です。また,傾向としてシュアのものに共通するものがあって,そこが嫌ならもう全部アウトというのも頷けます。

 ただ私の耳には,同じ傾向とは言えV15typeVxMRとM97xEは同じくくりにはなく,その違いは歴然です。不思議なことに口では説明出来ず,また他の人に分かってもらうことは無理なんじゃないかと思ってきました。

 落下させ壊したV15typeVxMRが,こういう特殊な方法で原状を回復してくれて,本当に良かったと思います。針がすり減るなどセコいことを考えないで,どんどん使っていこうと決めました。

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