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4000円のモニタヘッドホンはいけそうか

  • 2019/12/12 15:19
  • カテゴリー:散財

 私はサウンドハウスという販売店が好きなのですが,楽器関係の買い物をそうそうすることもなく,顧客としては一見さんのレベルです。

 そんなサウンドハウスの取り扱い製品のうち,以前からとても気になっていたものがあります。モニタヘッドホンのCPH7000というモデルです。

 これ,サウンドハウスのオリジナル商品で,元々安かったものが更に値下げされ,現在3980円でいつも買えてしまう,アラウンドイヤーと呼ばれている耳をすっぽり覆う形の密閉型ヘッドホンです。

 4000円とはおよそ思えない作りの良さとモニタらしいストイックなデザインがとても気になっていて,評判も良いので何かのついでに買おうと思っていました。

 今のようにヘッドホンがブームになる前の随分昔からヘッドホンは好きでいろいろ試してきましたが,結局のところリスニング用にSTAX,モニタ用にはT50RPmk3で現在落ち着いています。

 ここでもソニーのMDR-M1STを買ったことを書きましたが,解像度の高さや定位の良さ,音の近さと装着感に優れていることは理解しつつ,STAXとT50RPmk3のタッグに今一歩及ばずという事で,控え選手に甘んじています。

 ただ,ヘッドホンというのは身につけるものという性格上傷みも思った以上に進みますから,消耗品という割り切りも必要な場合があったりしますので,ラフな使い方をするとするとき(それは大音量を突っ込む時もそうです)にはできるだけ安いものを使って,どんどん使い潰すという工夫も必要だったりします。

 そういう観点で,このCPH7000が4000円というのは実に気になる存在だったのです。

 4000円ですから,多少の問題は目を瞑ることができるでしょう。問題は4000円だからとあきらめることの出来るレベルかどうかなわけで,こればかりは主観で評価せざるを得ません。

 ということで,他の買い物のついでに,念願?のCPH7000を買いました。

(1)作りと質感

 これはもう4000円とは思えないですよ。さすがに1万円と言われれば抵抗がありますが,6980円や7980円と言われても納得します。

 装着位置調整用のスライダは作りが雑で,動きにスムーズさもなければクリック感も乏しいのでここだけは3000円だなあと思いますが,全体に華奢な感じはしませんし,イヤーパッドやヘッドバンドもしっかり作られていて感触もよいです。このあたりは少ない予算内でもこだわって作られた部分なんじゃないでしょうか。

 装着感も良くて,違和感もなく,長時間の装着でも痛くなったり疲れたりはしません。その点で言えばT50RPmk3の方が痛くなるし疲れます。

 ケーブルもやや長めに作られていて,取り回しと動き回れる範囲のバランスのギリギリの所をねらっている気がします。これもこだわっているんだと思います。

 確かに可動部分がギシギシいったりしますが,私個人はあまり気になりません。この程度ならいくらでも工夫ができます。


(2)音質

 で,肝心の音質なのですが,これはこの値段ならよく頑張っているんだけど,モニタには使えないなあ残念だなあ,と言うレベルでした。

 というか,値段相応という言い方は適当ではなく,こういう音に調整をしたんだろうなと思いますが,私がモニタに望む音とは違っているのでがっかりだという感じです。

 CPH7000ほど,レビューがばらつくヘッドホンもないと思う訳ですが,私の感じたことはとにかく高音がキンキンザラザラしていることです。高音に軸足をおいた調整がされているのだと思いますが,STAXやT50RPmk3に比べてかなり高音が出すぎています。

 耳障りでうるさいという話ではなく,明らかに音色に変化が出てしまうほど,高域の特定の周波数にピークがある感じです。

 相対的に低音は出ていないように聞こえます(でもちゃんと出ているようです)し,中域の太さや艶やかさもないので,表現力はかなり乏しいと思います。

 例えば,1万円を越える標準的なモニタヘッドホンがパチンコ玉の表面のツルツルときちんと表現出来るとすれば,STAXは表面に映り込んだものが見えます。一方CPH7000は表面がツルツルかどうかわからない,という感じです。

 それでも,それがパチンコ玉とわかるくらいの表現力はあり,その色や大きさは概ねつかめます。これって結構大変なことで,4000円で実現している事には素直に感心します。

 周波数特性としては高域の不自然な強調が厳しい,という結果ですが,位相特性は良好です。音が散らず,比較的定位にも安定感があります。これはよいです。

 左右のバランスも良くて,これは大したものだと思いました。
 
 価格相応だと思ったのはリニアリティで,特に小音量時の再現性が急激に悪くなることがあります。残響音の消え方が不自然です。

 モニタ用ヘッドホンの評価基準には,音の近さというのもありますが,CPH7000はやや遠い感じがします。先程定位は安定していると書きましたが,実はもともと音がやや遠く,コントラストが良くなくて,音の輪郭がボヤーとしています。この点でもSTAXほどの切れ味はありません。


(3)結局

 見た目は○,作りも良く,装着感も十分高いのですが,音が理由でモニタ用途には使えません。また高域の不自然さはしばらく使っていれば慣れるから,と言うレベルではなく,使っている間ずっと耳に刺さってきます。これも厳しいです。

 それから小音量時の表現力の乏しさです。これだとモニタ用も厳しいですし,リスニング用としても楽しくないでしょう。エージングをすれば軽減されるかも知れませんが,消耗品であるヘッドホンでエージングとはすなわち消耗そのものなので,私はエージングを前提にして欲しくないなあと本音では思っています。

 他の特性は悪くないので残念ではありますし,特に高域の強調についてはお金がかけられないからこれで我慢したという感じではなさそうなので,音決めを行った人の好みというか,明確な意思ではないかと思います。だから,彼の好みに私が会わなかったというだけの話ですから,良い悪いではないということなのでしょう。

 ということで,もうちょっと使ってみようと思いますが,STAXを手に取ったときに感じるあの高揚感や,T50RPmk3を手に取ったときに安堵感のようなものを自然に求めてしまうことは避けられず,CPH7000には手が伸びません。

 特性を理由に使わなくなっているわけですから,他の人にプレゼントするわけにもいかず,どうしたものかと思っています。

 これで4000円は確かに安いと思います。使い道を考えれば十分使えると思います。しかし,私には4000円でも使い道がないものになってしまいました。

Jupiter-Xmはシンセオタクの夢

  • 2019/11/26 14:53
  • カテゴリー:散財

 私の目の前に,先日発売になったばかりのJupiter-Xmがあります。

 小振りなモノシンセか,あるいはかなり大きめのポータブルキーボードか,という外観は,その実1980年代前半のローランドを文字通り代表するJupiter-8へのオマージュにあふれています。

 ローランドは,アナログシンセサイザーを育ててきた自負からか,パラメータに直結したツマミとLEDを簡単には捨てずにいました。

 DX7の登場でシンセサイザーはパラメータを内側に隠し,我々はそこへのアクセスに深い洞窟に潜り込むことを余儀なくされました。

 洞窟ですから,もちろん周到な準備が必要ですし,手探りで進まねばならないときも,そして引き換えさねばならないときもあります。

 ローランドもその時流に抗うことはできず,アナログシンセサイザーであるJX3PやJX8Pからツマミを取り上げてしまいました。それでもシンセサイザーメーカーとしての矜恃からか,あるいはある種の罪悪感からか,パラメータをダイレクトに操作できる専用のプログラマーをオプションとして提供するあたり,それが本意ではなかったことを我々に想像させます。

 デジタル化してもアナログを意識した音源であったローランドは,D-50でもその後のシンセサイザーでも,パラメータをダイレクトに動かす事で得られる音作りの快感を忘れることが出来ず,JD-800を世に問います。

 その音の良さと存在感,シンセサイザーの原点に立ち返ったことの格好良さが受け入れられてヒットすることで,ローランドは自らの進む道の1つに確信を持ちました。シンセサイザーは音を創造する楽器である,私個人もそのメッセージに共感した一人です。

 ただ,そうした音作りがお金を稼ぐ手段にならないのも現実で,ライバルメーカーのシンセサイザーは言うまでもなく,自社の別機種もプレイバックサンプラーとしての使い勝手を追求するものがヒットし,ローランドはシンセサイザーを一体どうしたいのか,そのメッセージが焦点を結ばなくなってきました。

 昔のものをただ復刻することはしない,という方針だったローランドが方針を転換したのは,皮肉にも創業者が表舞台から姿を消し,外資が入る様になってからのことです。

 私は,ようやくローランドが過去の自分の仕事に向き合って,冷静に自分の姿を振り返る事ができたのだろうと,そんな風に思いました。

 確かに,過去の遺産を食い潰すだけでは先細りです。Jupiter-8も,D-50も,XVもそれまでにないものを作り出せたから,当時も今も圧倒的な名声を勝ち得ています。過去と断絶したオリジナリティは最も歓迎されるべきものでしょうが,過去の実績を冷静に見つめることも,また許される事だと思います。

 妥協なきフラッグシップにJupiter,安価でカジュアルなJunoというブランドを復活させ,それまで頑なに拒んできたTR-808やビンテージ機の復刻を行うようになってきましたが,そうした流れの中でローランド自らが純粋に「欲しいな」と思ったシンセサイザーを形にしたのが,Jupiter-Xmです。

 ローランドは個々の設計者があまり外には出てこない会社でしたが,Jupiter-Xmを見ていると,本当にシンセサイザーとシンセサイザーを演奏することが大好きな人達なんだなあと思えてきます。

 単純にJupiter-8を真似るだけで満足してはいけません。Jupiterを最新のPCMシンセと重ねることで,互いを活かすことが出来ます。しかし,複数のシンセサイザーを上下左右に積み重ねて演奏出来る人は限られていて,ましてそれらを一式持ち運んで演奏するなどあり得ません。

 Jupiter-Xmは,それが出来るシンセサイザーです。Jupiter-8の美味しい使い方ができる環境そのものを,この小さな筐体に押し込んだものといってよいでしょう。

 スピーカーが内蔵されていることも,電池駆動出来る事も,Bluetoothを内蔵していることも,XV-5080やRDの音源まで搭載していることも,ミニ鍵盤を採用したことも,すべてそのためです。

 なるほど,Jupiter-Xmでやりたいことはわかった,しかしそのために,具体的にどんな機能を搭載し,どういう操作をさせるのか,それはとても難しい問題です。

 私は,Jupiter-Xmが持つ機能から,これが今自分にもっともフィットしたシンセサイザーであることを確信しました。そして,事前に予約し,発売日に楽器店で購入しました。高校生の時に初めて買ったD-20以来,本当に久々に楽器店の店頭でシンセサイザーを買いました。

 楽器店に向かう高揚感,支払いの時の背徳感,ちょっとした待ち時間に感じたムズムズした感覚,そして電車で持ち帰る間の自意識過剰な優越感と,まさに当時の私が味わった時間を,今こうしてまた過ごしています。

 欲しくてまたらなく,でも分不相応なことも痛いほどわかっていた,憧れに過ぎなかったJupiter,その末裔がここにあります。マーケティングの結果ではなく,シンセサイザーが大好きな人達が作った理想が,形になっています。私がその理想に一票入れて,今手元にあります。シンセサイザーという楽器には,こんな力もあるのです。

 早速Jupiterの音を出します。

 正直に言って,ピンと来ません。そのはずです。私はJupiterを弾いたことが数えるほどしかありません。Jupiterでギターとやり合ったこともなければ,他のシンセサイザーと重ねたこともないのです。

 シンセブラスを出してみます。ストリングスを出してみます。あれ,こんなにヘロヘロな音だっけ?

 しかし,重ねてみると,別の表情を見せます。そう,欲しくて欲しくてたまらなかった,あの音がでています。

 Junoにします。これは何度も演奏していますが,その頼りなさに不安を感じた,あまり思い出したくないモヤモヤがまた甦ります。コーラスを切った時のがっかりも,完全再現です。

 JX-8Pは,廃棄したことを特に後悔しているシンセサイザーです。もう二度とその音を聞くこともないと諦めていましたが,出てきた音はまさに私が演奏したJX-8Pの音です。まさかこんな形でJX-8Pの音に再会することになるとは,夢にも思いませんでした。

 SH-101は,ポリフォニックシンセサイザーしか興味がなかった私には,安物モノシンセというイメージしかなく,しかも当時なにげに流行していたシンセサイザーの通信講座の教材に使われていたりしていて,嘲笑の対象でした。(DX100,CZ-101,SH-101が通信講座の定番でした)

 SH-09を今でも持っていますが,これは純粋なアナログのくせに,音が細くてちっとも使い物になりません。安いものはそれなりだという法則に則り,SH-101にも過度な期待はしていませんでしたが,その音を聞いて驚きました。この伸びやかなシンセリードなら,きっとギターと互角に戦えます。

 XV-5080はどうとらえていいのかわかりません。「これ一台で何でもOK」の多用途音源として使いこなせばいいのか,JupiterやJXを重ねるための引き立て役として扱えばいいのか,それとも1990年代や2000年代を再現する過去の音源として向き合えばいいのか。

 ただ,使える音がたくさんあります。逆に使えない音も満載です。

 RDはRD-700GXだそうです。うちは初代RD-700をまだ現役でつかっています。壊れやすいと評判の鍵盤も元気で,娘のピアノ練習もRD-700です。これも比較的初期に買ったのですが,最初のうちはとにかく音が遅れて全然ダメで,何度目かのアップデートでようやく改善されたことを懐かしく思い出します。

 しかし,RDはちょっと厳しいです。入っている音色がアコースティックピアノだけで,しかもバリエーションがほとんどありません。RDに恥じないエレクトリックピアノが何種類か入っていることを期待しましたが,それはXVでカバーせよという事でしょう。しかし,RDとXVでは,エレクトリックピアノの音も違うのです。

 リズム音源も悪くないです。スネアは良く通りますし,シンバルも良く出ています。バリエーションも多くて,使えるキットがたくさん見つかります。

 これらトーンを最小単位とし,これをリズム用1パートと4つのパートにアサインして,マルチ音源として使うも良し,レイヤーで重ねるも良しで,ローカルのキーボードからもMIDIからも鳴らしていくのが,パートです。

 パートごとにエフェクトを調整出来ますが,パートに共通する設定まで含むのが,シーンです。シーンを切り替えれば,手元の4台+1リズムのセットが一気にごっそり切り替わります。肉体労働はありません。すばらしいです。

 気温を測定し,その結果でモデリングされたVCOやVCFの特性を変化させることも可能というこだわりが実用的かどうかは不明ですが,エージングというパラメータを目一杯まで大きくすると,まさに壊れたポリシンセが再現できます。調子の外れたVCOが1つあると,ここにアサインされた時にその音が狂ってしまうのですが,その時のあのがっかり感というか,悲壮感というか,そういうものまで再現するというのは,もはや実用的かどうかではなく,アナログシンセサイザーへの興味と関心,そして尊敬によって実装されたような気がします。

 しかし,この調子外れの音は,何度聴いても悲しくなります。ビンテージアナログシンセサイザーが,入手の難しさだけではなく,維持の難しさからも,限られた人しか持つことを許されないことを訴えて来るからでしょう。

 エフェクトもよくかかりますね。今どきのシンセサイザーは当たり前なのでしょうが,リバーブも透明感があり,良く抜けていきます。コーラスは往年のBBDをよく再現していて,ウォームで心地よいです。そして高品位だからなのでしょう,ディレイが上品で良く馴染み,邪魔になったり浮いたりしません。

 Bluetoothで音楽を飛ばし,これにあわせて一緒に演奏することは,とても良い練習になりますし,音の評価にも有用です。こうしてあっという間の数時間を過ごして,Jupiter-Xmの全貌がようやく見えてくると共に,残念と思う部分に押さえつけられるような,ストレスを感じてもいました。

 まず,パートが少ないです。

 複数のシンセサイザーを上下左右に並べる環境を再現するのがJupiter-Xmのコンセプトなら,台数分だけのパートがないと説得力がありません。いいですか,リード,ピアノ,ベース,PAD,ドラムで既に5パートです。ここにブラス,ベルやチャイム,オルガンを加えるとき,使っていないパートをあてがっていちいちプログラムチェンジで音を切り替えて,PANやエフェクトまで変更しないといけないのでしょうか?

 確かに,Jupiter-Xmを複数台接続することでこの問題は解決しそうです。でも,それはJupiter-Xmのコンセプトを自ら否定していることになりませんか?

 ただ,この4パートまでという制限は,BMCという音源チップの能力限界からくるものだそうで,確かにどうにもならない問題のように思います。これを解決するにはBMCチップを強化するか,BMCを2つ搭載するしかありません。

 些細なことですが,MIDIチャンネルが固定される事も気分的によくないです。特にリズムパートは,伝統的にCh10であって欲しかったです。

 パネルに並んだツマミは,分解能も素晴らしく,ひょっとすると本物以上に滑らかに音が変化します。しかし,今変化しているパラメータはどのパラメータなのかが今ひとつピンと来ていないので,結果オーライになっていることも否めません。これでは再現性が低くて,レコーディングには使えないように思います。

 ディスプレイにも限界があります。小さい画面に情報を詰め込みすぎていて,意味がわからなくなっています。大画面である必要はなく,その時欲しい情報だけをシンプルに表示してくれればそれでいいのにと思います。

 スピーカーは頑張っていると思いますが,残念な事にせっかくのJupiterの音が再生出来ていません。Jupiterの音を出しても,それがJupiterらしく聞こえないくらい,情報が落ちています。もう少し頑張って欲しいです。

 リズムパターンを入れておいて欲しかったです。なにも入っていないと,練習すら出来ません。

 LEDが白色だけというのも,ちょっとさみしいものがあります。せっかくカラフルなJupiterなのですから,もう少しいろいろな色を使って操作性向上に役立てて欲しいなあと思いました。

 そうそう,ミニ鍵盤は,私にはやっぱりしんどいです。慣れていないだけかも知れないのですが,鍵盤の間隔と言うよりも,奥行きが短すぎて辛いです。それに,もう少し重みのある鍵盤であって欲しかったなと思います。今のままだと本当にカシオトーンの高級版って感じです。

 アフタータッチは是非欲しかったです。JX-8Pはアフタータッチがあって,とても楽しく演奏していました。私はまだ捨ててしまったことを後悔しなければならないようです。

 ピッチベンダーとモジュレーションホイールも,ローランド独自のレバータイプも選べるようにして欲しかったです。世界的にはホイールが主流なのでしょうが,長年レバーになれてしまった私には辛いものがあります。また。ベンドしながらビブラートとか,そういうことが出来ないのにもフラストレーションがありますし,ビブラートを戻すのに,いちいちホイールを回さないといけないというのも面倒です。

 最後,今後への期待です。

 近日中にVer1.02から1.03にアップデートされることは,マニュアルにも記載されています。僅かとは言え新しい機能やパラメータが追加される可能性があるので,どう変わるかが楽しみです。

 それと,新しいモデルの追加もワクワクします。今のところJupiter,Juno,JX,XV,RDですが,ここにさらに追加されることもさりげなくアナウンスされています。

 Jupiter-Xmの音源というのは,BMCと呼ばれる音源チップがまず存在します。これは高い処理能力を持つDSPで,このDSPに実装されるソフトウェアフレームワークとして,汎用音源のZEN-Coreがあります。

 ZEN-CoreはバーチャルアナログとPCMをカバーする守備範囲の広い音源で,ここがXVやRDを作っていたり,あるいはJupiter-X独自の音を作り出すと言って良いでしょう。

 BMCにはこれだけではなく,JupiterやJunoを再現する音源も別に入っています。これがABMです。ローランドのビンテージ音源と言えば高い再現性を持つACBが有名ですが,ACBが1つ1つの部品レベルでのモデリングからボトムアップして積み上げて行くのに対し,ABMはツマミや音などの振る舞いを上流から再現していく点で大きく異なり,再現性は完全ではない一方で,飛躍的に演算量を減らすことが出来ます。

 いってみればACBが仮想的に電子回路を動作させて結果としてもその音を再現しているのに対し,ABMは回路や仕組みは違っているが最終的な音を似せている,ということになります。

 どちらも理屈の上では,JupiterやJunoの音を再現出来ることには違いはありません。もちろんABMには微妙な再現性まで期待出来ないのですが,その代わりたった1台でJupiter-8を4台レイヤーすることも可能になったりします。

 このZEN-Coreを使うのがよいのか,ABMを使うのが良いのかはわかりませんが,今度追加して欲しいシンセサイザーとして,やはりD-50,D-70,JD-800,RD-1000,VK-8,VP-330はぜひ欲しいなと思います。現実的にD-50あたりは実現するんじゃないかと思っていますが,仮想的にトーンホイールがずっと回り続けているというVK-8も,ぜひ再現して欲しいなあと思います。

 さて,まさに古今東西のローランドの音がぎっしり詰まったJupiter-Xmですが,今後はこれを基本形として,様々なシンセサイザーが登場するのだろうと思います。BMCチップとZEN-Coreが熟成され,さらに可能性が広がる間に,私もJupiter-Xmを使いこなせるように,身近において楽しんでいこうと思います。

 

Rollei35LEDに手を出す

 先日修理が終わって手に馴染んできたRollei35。とてもいいカメラで,なんとなく手元に置いておきたくなり,ついつい手に取ってしまうという,持っていることが重要という私にとって初めての種類のカメラです。

 もっとも,実用機としても申し分ない性能を持っているカメラではありますが,唯一の難点が重いことです。(私の個体は私の修理が下手くそだったせいで,使うのに気を遣ってしまうのも難点ではあります)

 カメラとしての質感を高め,持っていること,手に取っていることの意味を深めているのが,この大きさと重さから来る密度感だと思うのですが,これを鞄に入れて持ち歩いてみると,肩にずっしりくること,鞄の底が下がる事で,このカメラの重さを実感します。

 小さな高級機としてはこれがむしろ好ましいのでしょうが,持ち歩くにはやっぱり厳しいなあと思います。(それに両手操作が必要というのもやや面倒ですわな)

 で,このRollei35を買うときに,別のお店で手に取ったRollei35LEDの軽さを思い出したわけです。この時,Rollei35LEDの驚くような軽さとスローシャッターがないこと,そしてTriotar(なんのことはないトリプレットです)という単純なレンズが,すべてコストダウンや低級化のためだと思った私は,馬鹿にしてお店を後にしたのでした。

 浅はかな考えである事を知ったのは,Rollei35をじっくり触ってからです。

 軽いことは持ち運びにとても便利で,モバイル機器において絶対的な正義です。Rollei35の場合,主さの原因が特にボディがダイキャストで作られているので,耐久性や精度に優れているというメリットはありますが,登場から40年を経たRollei35LEDがプラスチックで出来ていることがデメリットになっているという話は耳にしません。

 スローシャッターも実際には使うことはありません。1/15秒では手ぶれが大きいので手持ちでは使えません。セルフタイマーがないので机において撮影という手法は使えませんし,カメラが小さいのに三脚を持ち歩くなんて考えられないでしょう。

 結局,1/2秒や1/4秒なんて使えないです。なら,1/30秒までのRollei35LEDは十分なスペックを持っていると言えるでしょう。

 レンズについても勉強不足でした。世界初の実用的な写真用レンズとして歴史に名を残すトリプレットを,私はよく知りもしないで性能に妥協をした安物と考えていたところがあったのですが,特にRollei35シリーズのTriotarにはファンが多く,とてもシャープで抜けのいい描写をすると定評があります。それでいて40mm/F3.5と,上位機種のTessarと同じスペックなんですから,なにも文句はありません。ああ,むしろ使ってみたい・・・

 Rollei35LEDは,さらに露出をファインダーで確認出来るという実用上大変うれしい仕組みがあります。同じ外光式ではありますが,Rollei35の露出計は上面にメーターがあります。これ,なにが面倒といって縦位置で撮るときにすごく面倒です。

 ですがRollei35LEDはLEDでファインダーの中に表示されます。適正値からどれくらい外れているかわかりにくいという欠点はあるものの,そもそも1段くらいのズレがある外光式なら問題はないですし,縦位置だろうが横位置だろうがファインダーに表示があれば全く問題になりません。

 受光素子もSPDです。Rollei35がCdSなので,その性能差は歴然です。SPDを壊れやすいと避ける向きもありますが,交換部品がないから修理を断る業者が多いだけの話であって,個人的にはCdSよりもずっと寿命が長い部品だと思っています。

 また,ICを使っているから修理不能というのもおかしな理屈で,このICは汎用OP-AMPで,定番のLM324です。どんな部品屋さんにも在庫があるし,もちろん今でも生産されている現役のICです。カスタム品じゃありません。

 抵抗もコンデンサもダイオードもトランジスタもディスクリートで,小さい基板には大きな部品がひしめき合っていて,とても複雑に見えます。確かにこの基板で故障箇所を探し出すのは骨が折れますが,それでもすべてが汎用品を使っているこの回路は,必ず修理が可能です。

 シャッターボタンの半押しで電源がONになるのもRollei35にはない望ましい仕組みですし,そこはやっぱり1970年代後半のカメラなんだなあと思います。

 絞りやシャッタースピードのダイアルがレンズ鏡筒にあることも使い勝手としては良いでしょうし,おかげで前板もすっきりです。

 ・・・とまあ,いうわけで,Rollei35LEDが欲しくなりました。実用機として普段使いとして,持ち歩きが楽で速写に適しているRollei35が欲しいのです。

 しかし,もともと廉価版ですし,プラスチックが多用されたカメラは折れたり割れてしまえばもうおしまいです。あまりお金はかけられません。幸い,Rollei35のレストアである程度経験値を稼いだ私は,Rollei35LEDの修理も楽しんでみたいとも思っています。

 で,棒オークションで落札。完全な不動品です。3200円。不動品にしては高いなあと思いますが,まあRollei35シリーズは部品取りとしても人気ですので,仕方がありません・

 台風の中2日遅れで届いたRollei35LEDは,想像以上に程度が悪く,私は落胆しました。修理を始めるにあたり,現状を詳しく見ていきます。

(1)シャッター
 シャッターは閉じなくなっているという説明がありました。確かにその通りですが,厳密には一度閉じたシャッターが勝手に半開きになっていたりするという感じです。これはシャッターを閉じるためのスプリングの破断が疑われます。

(2)レンズ
 レンズは前玉が激しく傷だらけでした。商品説明の写真では写ってなかったので,うまくごまかされたということでしょう。レンズの傷は自分ではどうにも修理出来ないですから,これはもうこのままいくしかないのですが,それだけに悔しいです。

(3)ヘリコイド
 いうまでもなく,グリスが抜けてスカスカです。

(4)絞り
 絞りはこのカメラでは最も調子のよいものと言えて,スムーズで綺麗に開閉します。ただし絞りリングは引っかかりがあります。

(5)シャッタースピード
 シャッタースピードダイアルはとにかく固くて回りにくいのですが,シャッタースピードはそれなりに出ているような音がしています。

(6)露出計
 電池を入れればLEDは点灯します。しかし明るさにも絞りやシャッタースピード,ISO感度にも返納せず反応せず,どうやら壊れているようです。

(7)ファインダー

 ファインダーは確かにクモリ気味ですっきり見える,と言うものでもないのですが,もっと傷やクモリ,カビがあると思っていたので,これはいい意味で期待以上でした。それでも見やすいわけではありません。つくづく思うのは,ファインダーの見栄えというのは,写真を撮るモチベーションを大きく左右するものだなあということです。

(7)全体に

 張り皮は剥がれ一部破れています。ぶつけたような傷はありませんし,ビスが抜けてなくなっている箇所もありません。巻き上げも出来ますし,沈胴も引っかかりが大きいですが,一応可能です。

 ただ,とても汚いのと,分解痕があちこちにあります。潰れたネジや失敗した時の傷など,見るに堪えないものがあります。

(8)付属品

 純正のキャップと純正のストラップが付属していました。個人的にはこれだけで3200円のうち半分くらいは取り戻した気分です。


 ということで,少し前ならジャンクワゴンに投げ込まれていそうな,完全なゴミなのですが,腐ってもRolleiです。この3200円がそのままゴミになるのか,それとも大きな価値を生むのかは,私の頑張り次第です。

 

電動歯ブラシの買い換えと修理

  • 2019/10/09 14:31
  • カテゴリー:散財

 まだ朝のぼやーっとしたままの頭を使わず,もはや脊髄反射でいつものように掴んだ電動歯ブラシがいつものように動かないことを,脳に経路を切り替える時間だけかかって理解したあと,その動かない伝導歯ブラシを手で左右にゴシゴシ動かす行動が思った異常に難しく,まるで子供が初めてエスカレータに乗るような不自然さ強く感じて,その理由が歯ブラシを手で動かすことが私にとってもう20年ぶりのことであることに見いだした時には,私の頭はすっかり覚めてしまっていました。

 わざわざ重く太い電動歯ブラシを手でゴシゴシ動かすというのは,これまたどういう状況なのだ!

 なんだか急にがっかりした私は,後先考えずに新しい電動歯ブラシを買うことに決めたのでした。

 私がこれまで使っていた電動歯ブラシはパナソニックのEW-DL11です。2011年6月に約1万円で購入しているのですが,あれから8年,毎日使うこの家電製品が,いつか動かなくなる「工業製品」であることにはっとさせられたのでした。

 きっとこのシリーズも進化しているんだろうと探してみますが,当時あれほど宣伝していたイオンで云々はすっかり影を潜め,歯医者さんのお墨付きがあることを全面に出しています。新技術よりも権威に頼るという姿勢は,もうこの製品が成熟したジャンルである事を示しています。

 ただ,当然EW-DL11の世代からは大幅に進化していて,歯を叩いて磨くことが出来るようになっちたり,ストロークの回数が2万回から3万回に増えていたりします。いつこういう進化があったかは知りませんし調べることもしませんが,DL11からの差分があるから,買い換えようという気持ちになってきます。

 結局,1万円程度の同じシリーズから,EW-DL35を買いました。

 なにせ壊れた機械からの買い換えで,ろくに機種選定もやってませんが,基本機能を重視し,余計なオプション類は同梱されていないという質実剛健な機種です。

 振動回数は31000回とさらに増えつつ,でも上下左右それぞれ30秒ずつの合計2分という設定は変わらず。これって,歯を擦る回数が1.5倍に増えていますが,大丈夫なんですかね。

 このモデルのさらに下位にもう1つ安いものがあったのですが,これはストローク回数が同じなのに,歯医者さんの推薦がつきません。まあ,なにかストロークの幅が違うとか,ちょっとした違いがあるんだろうと思いますが,歯医者さんが推薦するかしないかという大きな差がどこにあるのかこそ,私は知りたいです。

 結局私も医師免許を持つ人達の権威に負けて,推薦のある物名かで最も安いEW-DL35を買ってしまったわけですが・・・

 で,新しいEW-DL35ですが,歯ブラシそのものが随分昔のモデルと互換性が維持されていて,維持費の安いパナソニックという特徴は未だ健在です。

 これまでのEW-DL11は,細身で格好はいいのですが,表面がツルツルしていて,度々滑って落としていました。おそらくそういう問題を指摘されたのでしょうね,DL-35では表面がザラザラになって少し太くなり,中央のくびれが大きくなりました。持ちやすさと滑りやすさは大幅に改善していると思います。

 EW-DL11ではボタンが2つあり,ON/OFFと動作モードの切り替えだったのですが,EW-DL35ではボタンは1つです。ONにしてすぐに押せばモードが切り替わるようになっているので,とても合理的だと思います。そう,EW-DL11でもモード切替のボタンなど数回しか押したことがありません。

 動かして見ると,想像以上に音が大きく,派手に動いているのがわかります。ストローク回数が1.5倍にするためには,これくらいのエネルギーを扱わないといけないのでしょう。

 使ってみましたが,以前よりも「磨いている」という実感が強く,本当に歯の表面に当てているだけで満足します。EW-DL11ではちょっと磨き足りない感じがして手でゴシゴシ動かしてみたり,2分を超えてもう一度磨いたりという事をついやってしまっていましたが,EW-DL35ではそういう気分がなくなりました。

 磨き残しも減ったように思いますし,さすがに歯医者さんの推薦は違います。

 とまあ,新機種のインプレッションはこのくらいにして,古いEW-DL11をどうするかです。

 詳しく書いていませんでしたが,EW-DL11がどういう症状だったかといえば,LEDは点灯するしボタンも効くのですが,肝心の振動が全く発生しません。アクチュエータの故障でしょう。

 こうなるともう修理もクソもない,という判断があって,そのまま捨ててしまおうかと思ったのですが,一応電池だけ外しておこうと分解して見ました。

 すると,アクチュエータから伸びている2本の細い線のうち,1本が基板から外れているのがわかりました。どうも振動によって線が切断してしまっているようです。

 とりあえずハンダ付けをしてみると,あっさり動いてしまいました。

 うーん,もし,故障したのが土曜日だったら,新しい機種を買う前に修理を試みたでしょう。平日なので修理もせずに新しい機種を買いましたが,特にDL11い不満があったわけでもないので,ちょっともったいない気がします。

 幸いなことに,ゴムやパッキンの劣化もなく,水の浸入もありません。まだまだ元気に使えそうです。

 そこで,ちょっと嫁さんに「お古でよければ使わないかい」と声をかけました。

 すると,古い機種でもいいから使ってみたいという返事です。私としては修理をしたことも新しい機種を買ったことも無駄にならず,まさにありがたい返事です。

 いつまで使えるか分かりませんが,無駄にならずに済んだ事で,この件は決着。

 正直な話,電動歯ブラシで手で磨く以上の効果を期待するのは難しいと思います。しかし,逆の言い方をすると,電動歯ブラシと同じ程度のことを手だけでやるのは,結構手間も時間も労力もかかるので,楽が出来るマシンとして考えると,そんなに悪いものではありません。

 さすがに20年,電機の力でブラシを動かしてもらってきましたから,今さら自分の手で動かすなど面倒で出来ません。こういう小さな所でも,人間は機械化によって「面倒くさがり」になっていくんだなあと,つくづく思いました。

 

 

Rollei35を買ってしまった

 先日渋谷で行われた,世界の中古カメラフェアをのぞいてきました。

 実はこの日,F2の動作確認のためを含む,合計7本のネガフィルムを現像に出すために,当日で仕上げてくれるキタムラに行くことにしていました。

 混雑具合にもよるけど,と前置きをした上で,1時間ほどで出来るということだったのでお願いすることにしたのですが,問題は待ち時間に何をしていようかという事でした。

 するとまあうまい具合に,東急百貨店で「世界の中古カメラフェア」の初日でした。渋谷の街中をウロウロをするのも気が重い人嫌いの私ではありますが,こういう場合は背に腹は代えられません。

 特に,東急百貨店が閉店する関係で,この場所で毎年行われて来たこの催し物も,今回で最後になります。8階の催し物スペースは,まだ小学校に上がる前の娘と一緒に古本を見に来たことでも思い出深いところで,今回で見納めになるということも背中を押してくれました。

 先に現像のことを書いておくと,何ら問題なく1時間ちょっとで仕上げてくれました。助かりますね。

 F2の撮影結果は,インデックスプリントとネガの状態を見る限り,良好でした。露出計(特にフォトミックA)はよく出来ていて,ほとんど外していないようです。

 切れが悪くて不安だった1/2000秒も実用上問題はなさそうで,特にAi45mmF2.8Pの写りの良さが印象的でした。ただ,コマ間隔にちょっとバラツキが出ているようで,これが私の個体の問題点という事になるでしょうか。重なったり大きくあいたりということはないので,気にしなければよいのですが,そこはFヒトケタですので,綺麗に揃っていてほしいのです。

 さて本題。

 世界の中古カメラフェアをただブラブラするのものバカらしい(そりゃそうです,十分に年寄りになった私より,さらに一回りお歳を召した方々と,主に中国あたりから来られた大きな荷物を引き摺ったバイヤーの方々のるつぼに,一見さんが目的もなくフラフラするなんて馬鹿らしいにも程があります)ので,ちょっと無理にでも目的をでっち上げます。

(1)M-Rokkor
(2)MD-Rokkor およびMC-ROkkor
(3)Rollei35

 (1)はCLE用のレンズで,私の中では別格のCLEについているレンズがコシナのものばかりというのは,いささか不憫に思われたからです。今の金銭感覚ならM-Rokkorもいける!とふんで探してみたのですが,今ってもう数が減っていしまっているんですね。

 特に28mmについては写りがいいこと,Mマウントレンズとしてはそれでも安価なことで根強い人気がある上に,最近は数がめっきり減ってしまっているようです。残念な事に修理出来ないクモリが持病としてあり,良品はもうほとんどお目にかかれません。

 しかしそこは稀少品も出てくるこのフェアです。とても程度のいい28mmが出ていました。とても高価だったので完全にスルーしましたが・・・

 90mmは数もあるし人気もいまいちなので安価なのですが,いくら安くても90mmを使う事を想像出来ず,これもパス。

 (2)はミノルタの旧レンズなのですが,とても青が綺麗に出るレンズです。私は28mm,50mm,135mmと定番のラインナップを持っているので困っているわけではないのですが,28mmはF3.5ですからF2.8が欲しいなあと思っていました。

 ですが,ミノルタの旧レンズと言っても,すでにアルファ用のレンズが旧レンズ扱いで,MD-Rokkorなんて珍品扱いです。ミノルタの旧ロゴなんど,数えるほどしかお目にかかれませんでした。

 で最後の(3)です。

 昔から気になっていたのが,この名機Rollei35シリーズです。後に日本のお家芸となる世界最小を1960年代後半に成し遂げたのが西ドイツの名門Rolleiです。

 あちこちでうんちくを目にしますので説明は省略しますが,このカメラの登場でハーフサイズカメラのブームにピリオドが打たれたと言われるくらい,衝撃的なカメラだったようです。

 とはいえ,レンズもシャッターも露出計もドイツの一級品の供給をうけた高級コンパクトカメラですので,大変高価でした。その分その精密感は圧倒的で,50年の月日が流れた今も高い人気を誇っています。

 長期間にわたってシリーズ化されて販売された物としても知られていて,その分多くのバリエーションがあります。

 私はやっぱりあのシルエットにクラクラしていて,古くさいんだかそうでないんだかわからない年齢不詳のデザインに,テッサーとスローシャッターを装備した機械式カメラというという立ち位置が独特すぎて,欲しいけど縁遠い存在として認知していました。

 生産時期が長いという事は,コレクターズアイテムのビンテージものから,実用バリバリの安価な最近のものまで,よりどりみどりだと思っていたのですが,案外そうでもないらしく,調べてみると精密感があるのは初期のものくらいで,年を経るごとに低コスト化が図られて,どんどん軽く安っぽくなっていました。

 でもまあ,私はこのシルエットが欲しいわけで,変なこだわりがないのがいいんだと思って,会場をぐるっと回ってみます。

 目に付いたのは,無印の35です。相場は4万円前後。35Sだと程度の良いものは6万円から7万円という所でしょうか。

 現実にはこのくらいから選ぶ事になりそうだなあ,でも4万円ならここで買う必要はないよなあと思って歩いていると,後期の廉価版シリーズが目に入ってきます。そう,ダイアルがレンズの横に並んでいないやつです。

 35LEDという機種が21000円ほどでしたので,思い切って声をかけます。

 一通り機能が生きていることを確認しながら,お店の人と話をします。なにせ付け焼き刃で少しだけ勉強してきたRollei35の知識ですから,素直にわからないと言って教えを請います。

 普通に使うならこの35LEDで問題ないというのは事実だと思いますが,スローシャッターがないこと,レンズがトリプレットになっていることで,かなり購入意欲が落ちています。

 そしてついでに出してくれた無印35を手に取ったのが決定的でした。重さが全然違います。巻き上げの感触が全然違います。

 これはもう完全に別物です。2万円の価格差は,むしろ小さすぎると思わせるほどの違いでした。

 謝った上で35LEDを買うことは取りやめ,やはり無印35にしないとだめだと会場をもう一回りします。うーん,4万円がギリギリとして,でも4万円だとぶつけた跡があったりストラップがなかったり,なにかと妥協を強いられます。妥協するならもうちょっと安くないとなあ。

 お,35000円で無印35があります。特にぶつけた跡もなく,動作していればお買い得かも知れません。(中古カメラにおいては損をすることはしょっちゅうあっても,お買い得ってのはありません)

 思い切って声をかけ,見せてもらいます。大阪から来ているお店だそうで,心地よい大阪弁が私の心を開いていきます。

 正直によくわからないと話をすると,使い方や個体の問題点を教えてくれます。一番の問題は,ファインダーのクモリだそうです。

 確かに曇っています。でも,距離計連動でもなんでもないファインダーですので,別に私は気にしません。

 スローシャッターも狂ってはいますが動作しているし,露出計の針も動いています。かなり使い込んだ感じがありますが,レンズも綺麗ですし,すぐに撮影に使えるかも知れません。

 レンズキャップがなかったので尋ねると,向かいの別のお店から分けてもらってきてくれて,オマケしてくれました。私の相手をしてくれたのはこのお店の社長さんなのだそうですが,現金での値引きかキャップのオマケかという話になり,手に入るかどうかわからないキャップをお願いしたのでした。

 さらに電池のアダプタもオマケしてくれるということで,すでに買う気になっていた私は,結構気をよくして支払いを済ませ,会場を後にしたのです。

 自宅に帰ってから確認したのですが,やっぱ価格相応,あるいは価格以下かもなあと思って,舞い上がった自分にしょんぼりしました。

 ファインダーのクモリは,かなり気になるレベルです。明るいところではそうでもないでしょうが,暗い所ではもやーっとしていて,すっきりしません。

 それ以上に問題なのは,露出計です。なるほど針は動きます。しかし,指針が全く動かないのです。そういうものなのかなあと思っていたのですが,本来シャッタースピードや絞り,感度に連動しないと露出計は意味がないので,そういう仕組みがないというのはおかしいです。

 調べてみると,やはりツマミが機械連動で指針を動かす仕組みになっているそうで,私の個体はこの段階で故障していたことになります。

 お店の人は,責任持って修理するので任せて欲しい,と言い切っていましたが,それにしてはそんなに高いものではないし,なんやかんやで渋られるだろうとも思いましたので,とりあえず自分でなんとかすることを考えます。

 スローシャッターについても問題がありました。1/2秒は1秒くらいの長さですし,1/4秒や1/8秒は区別が付かないくらいです。これも残念でした。

 あと,ARレバー(撮影終了後にパトローネに巻き戻すときに,スプロケットが逆回転しないようにしてあるロックを外すレバーです)がききません。Rの位置にしてもスプロケットは逆回転しないです。これもいきなりフィルムを入れたら大失敗しただろう故障です。

 あちこちに分解痕もありますし,素人の手が入っているような気もしますが,中途半端な良品を4万円で買うのが良いか,どうせ手を入れるんだから多少の問題は安くなる分かえってラッキーと思うか,微妙な所です。

 前者なら問題があったらがっかりするだろうし,後者にしては35000円ですから,あまり安くなっていません。やっぱり,あまりよい買い物とは言えなかったような気がしてきました。

 せっかく涼しくなってきましたし,世界中にファンがいるRollei35ですから,じっくりオーバーホールを行って,楽しく撮影をしたいと思います。

 

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