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GreenFan2で酷暑に備える

  • 2011/04/15 17:06
  • カテゴリー:散財

 関東地方に住む私は,この夏の電力不足に今から恐れおののいています。冬は寒ければ着込めばいいし,部屋に閉じこもっていればなんとかなります。しかし夏の暑さは素っ裸になったらそれ以上脱ぐものはありません。私が夏が嫌いな理由です。

 私は10年ほど前までは,夏でも冷房を入れることはほとんどありませんでした。しかしここ数年はもうどうにもならないくらい暑くて,エアコン無しでは過ごせません。昨年の夏,私が作業をする部屋は42℃を記録し,調子に乗ってエアコンを使わずにいたら2時間ほどで気分が悪くなって,動けなくなりました。まじで死ぬかと思いました。

 加えて,7月末には嫁さんが産休に入るので,これはもう死活問題になりかねません。もし計画停電なんてことになると,本当に年寄りや子供から死者が出るような気がします。快適になるまで冷房を入れず,みんなが死なない程度に冷房を入れるようにして,全員が生き残らないとまずいなと思います。

 救いなのは,まだ3ヶ月ほどの猶予があることでしょうか。3月末から停電がなくなり,電気については平常を取り戻しつつあるのですが,日本人の悪い癖で,喉元過ぎれば・・・と危機感が薄れていくのですね。確実に電気の足りない夏はやってくるというのに。

 そんなわけで,私はいざというときのために,蓄電する仕組みを用意することにしました。キャンプ用に売られているもので,鉛蓄電池とインバータを備えた電源装置です。

 品薄で私もまだ手配をしたに過ぎませんが,バッテリーの容量は約20Ahと言いますから,インバータの効率を85%とすると,ざっと245W/hです。インバータの定格が100W程度ですから,仮に100Wの電化製品をこの電源で使い続けると,ざっと2時間半ほど動かせる計算です。

 これを長いと見るか短いと見るか,非常に微妙な所です。

 今時100W程度の電化製品っていうのは結構ないんですね。電子レンジも冷蔵庫もテレビもだめだし,エアコンなど論外。ドライヤーも掃除機もダメですし,洗濯機もダメ。もしかしたら給湯器の電源くらいはまかなえるかも知れません。

 ああ,ネットワーク機器は大丈夫ですね。ADSLモデムとか無線LANは大丈夫でしょうが,まあそこまでして使いたいかどうか・・・

 停電すれば貴重な電源になるこれを,どうやったら有効に利用出来るか,とりわけエアコンを動かせない状況で,どうやって涼むのかが一番の課題です。

 そう考えると,今年は私も扇風機の導入が避けられないと腹を決めました。扇風機は私は大嫌いでして,夏しか使わず邪魔で,鬱陶しい割には効果も少なく,所詮気休めという感じがしていました。それに扇風機の風は強すぎて,どうにも疲れてしまうし,本や新聞などの紙類を吹き飛ばしてしまうので,気に入りません。

 しかし,死ぬよりましかと,今年は15000円の予算を組んで,扇風機を買うつもりをしていたのです。

 と,そこに飛び込んできたニュースが,GreenFan2という扇風機が登場したというものでした。

 昨年,実は扇風機には文字通り新風が吹き込んだ年でした。ダイソンの羽根のない扇風機は見た目の斬新さで話題になりました。これに加えて密かに話題になっていたのが,GreenFanという扇風機でした。

 ぱっと見るととてもちゃちな扇風機で,聞いたことのないような小さいメーカーが作った,眉唾扇風機だと思って私は相手にもしなかった(そりゃそうです,何度も言うように扇風機の効能に疑問を持つ扇風機嫌いな人なのですから,私は)のですが,消費電力がわずか3Wと非常に低いという,他にはない特徴があるのです。

 これの2011年モデルがこの4月に発売になりました。お値段は34800円と扇風機にしては非常に高価で,その金額に見合うメリットが本当にあるのかどうか,よく分かりません。それにこの会社の社長は私なんかと同世代で,どうも信用ならんのです・・・

 しかし評判はよいようです。

 このGreenFanなるもの,回転する羽根が内側と外側に分かれており,外側の羽根で作られた風量が内側の羽根で作られた風量の2倍あるように作ってあります。

 扇風機の風も,直接あたれば疲れますが,一度壁に当ててからだとそよそよと過ごしやすい風になるのですが,GreenFanはこれを参考にしたものらしく,内側の羽根で作った風を外側の羽根で作った風にぶつけることで,自然に吹いてくる風に似たようなものに変えるんだそうです。

 まあ,言ってることはわかるのですが,そんなうまい話があるだろうか,それに流体力学がこれだけ進歩して,今時スーパーコンピュータで擬似的な風洞実験もやれるのに,今さらこんな話が信じられるのか,

 ただ,この話がウソであっても,消費電力が小さい事は事実でしょう。私自身は,なぜ扇風機に隈取り式の交流モーターがしぶとく使われ続けているのかが全然理解出来ず,速度制御も簡単で,消費電力も小さくできるDCモーターをどうして使わないのか,疑問でした。

 このGreenFanは,私が長年感じていた疑問をあっさり打破し,実際にDCモーターを使っ手消費電力を下げた例として存在しています。仮に3Wの消費電力であるなら,この夏私が用意する240Wの電源なら,なんと80時間も駆動できるではありませんか。しかもその制御特性から,超低速回転を実現し,柔らかい風も期待できそうです。

 実際に3Wで済むことはなくとも,それでも消費電力を気にしなくてはいけないほど大きな電力になることはないでしょう。

 確かに高価ですが,この超低消費電力と弱い風を作ることが出来る基本性能については,他に変わるものはありません。

 ただ,現物を見ないとちょっと買えないなあというのも本音のところで,先日アキバのヨドバシにいって,現物を見てきました。

 デザインはそんなによいとは思えず,どちらかというと格好悪くて嫌いなデザインです。なにが嫌いといって,このパクリ感がたまりません。そして35000円もするのにこの剛性感のなさたるや。質感の高さが所有欲を満たすものなのに,このプラスチッキーでたわみの多いひょろっとした扇風機は,見た目にも情けないです。

 しかし,やっぱり消費電力の低さと微風を作る性能はすばらしい。この点に私はかけてみることにし,購入しました。在庫がなかったので,先にお金を払って入荷次第送ってもらうことにしました。

 先日,予想外に早く届きましたので,早速使ってみました。

(1)デザイン

 評判の良いデザインですが,組み立てて対峙すると,やはり嫌な印象しか沸きません。不格好で安定感がなく,剛性感も希薄でソリッドな感じがまるでありません。まるでAppleの製品のようだと賛辞を送る人もいますが,おそらくこの人はAppleの製品を長く使ったことがないのでしょうね。


(2)組み立て

 組み立ては扇風機にしては難しい方でしょう。それほど分解されているわけではないのですが,なにせ箱から出して部品を取り出して並べてみると,バラバラになっているという印象が強くあります。


(3)構造

 うーん,これは,大手メーカーからは絶対に出ない構造ですね。あまりに華奢で,確実にここが壊れるだろうという予感のする構造です。モーターと台座を接続する部分は,重たいモータを支える部分ですし,ユーザーの操作や転倒などによって大きな負荷のかかる部分です。曲げやねじれなどで応力が集中し,まずここから壊れることは避けられません。

 実際,この接続部分が壊れてしまった例がWEBで見られますが,さもありなん。私ならこういう設計は絶対にしないなと思うくらい,頼りない部分です。


(4)風の質

 これは,感動しました。いい意味で完全に期待を裏切られたと思うくらい,良い風です。

 まるで木ねじのようにねじられ,回転した強い風がやってくるこれまでの扇風機とは完全に違い,まるで風全体が1つの大きな塊になってやってきます。風に動きがなく,そのまま吹き抜ける感覚は,まさに自然の風という印象です。

 しかも弱い風が作り出せるDCモーターのおかげで,とても優しい微風が届きます。風の質が高いからでしょうか,微風でもしっかり届くし,十分さわやかで快適なのです。これはよいです。

(5)音

 昨年のGreenFanは,低速時にモーターがジジジと音を出したそうですが,GreenFan2ではそんな音はほとんどしません。弱い風なら風切り音も回っているのか回っていないのか分からないくらいの程度ですし,ホントに窓を開けているかのような錯覚に陥ります。

(6)首振り

 昔の扇風機は,羽根を回すモーターで首振りもやっていたので,風の強さで首振り速度が変わったものでしたが,GreenFan2はそんなことありません。独立したDCモーターで首振りをしますので,なめらかで静かです。ただ,ジジジという音は少ししますね。こういう風の質ですので,無理に首振りをする必要はないように思います。

(7)リモコン

 リモコンは便利です。母の実家に,有線のリモコンが付いた扇風機があったのを私は知っていますが,有線でも結構便利でした。21世紀ですのでそこはもちろん赤外線ですが,やはりリモコンは便利です。ただ,受光部が下の方にあるらしく,そこに向けないと反応しないので,これはモーターのある部分に受光部を付けるべきです。

(8)ACアダプタ

 このGreenFan2は,12V-2AのACアダプタによって動きます。別にそれは構わないのですが,ちょっとACアダプタが邪魔になります。黒の無骨な不細工なデザインは見た目にも見苦しく,デザインにこだわったというのであれば,ACアダプタにこそこだわって欲しいなと思いますし,専用品を起こすことは出来なくても,12Vで2Aクラスならもう少しスマートなものもあったでしょう。私がAppleの製品のパクリだというのはまさにこの辺の話で,Appleの細部にわたるこだわりに対する理解の不足が,こうした見た目をまねればいいやという安易な発想を生んでいるのだと思えて,残念でなりません。

(9)箱

 箱と言えば,箱が2重になっていて,外側の箱は運送用の箱,内側の箱は収納用の箱となっていました。「箱も商品」というのは小売店の常識で,段ボール箱に直接宅急便の送り状貼り付けるなど言語道断なわけですが,作り手が箱を商品として扱うために,わざわざもう1つ外側に箱を用意するというのは,なかなか珍しいのではないかと思います。まあ,果たしてここまでやってGreenと宣うのも,ちょっと無理があるかなと思ったりします。


(9)総合的に

 まず,未体験のさわやかな風は素晴らしいです。お店で体験して欲しいし,体験しなくてもこれを嫌がる人はいないと思います。DCモーターによる低消費電力にウソはありませんし,超低速で制御されることも本当で,この扇風機なら疲れません。これは断言出来ます。

 ただ,つくりはあまりに華奢で,おそらくですがすぐにこわれると思います。所有欲を満たす質感もなければ,使っていて安心感を感じる剛性感もなく,この辺はダイソンの扇風機や大手メーカーの高級品にはかなわないでしょう。

 それと,収納が問題です。箱を捨てないようにしろと書かれていて,収納時にはこの箱を使えとあるのですが,箱が大きいのです。それもそのはずで,箱を眺めてみれば,梱包材がしっかり入っており,かなり隙間があります。

 いわば,本体の収納に貢献しない空気を箱に閉じ込めているようなもので,これは狭い部屋に住んでいる我々には厳しいです。箱を捨ててしまいたいのですが,それではどうやって収納するかについて,私はまだ最適解を見いだせていません。

 結局,製品そのものはそれほど大した作りではありませんが,これが作り出す風は確かに素晴らしく,消費電力が極めて低いという特徴とあわせて,ここに35000円を気前よく出せるかどうかが鍵になると思います。

 他にない特徴ですので,35000円が高いか安いかは,もう本人次第です。

 最後に私の感想を。買って良かったと思います。35000円の価値は微妙ですが,まあ3万円までなら納得の商品だったんじゃないかなと思います。


 
 

Nintendo3DSを買いました

  • 2011/03/24 15:49
  • カテゴリー:散財

 連日の報道の通り,地震と津波によって大きな被害が出た東北と関東地方は,被害の軽かったところから少しずつ普段の生活を取り戻しつつあります。

 阪神大震災の時もそうでしたが,最初の2週間程度まで,最初の半年まで,そしてその先しばらくと,大体3つか4つくらいのフェイズで,復興の流れが変わっていくのではないかと思っています。

 最初の2週間はとにかく生き延びること,次の半年は暫定的にでも普段の生活を取り戻し,安定させていくこと,そしてそれが終わったら狂ってしまった人生設計を立て直したり,次の世代を視野に入れた恒久的な復興を防災を含め進めていく,という風に,これはまあ一例ですが,必要な時間も,費用も変化していくものです。

 そして,この種の話は,時間の経過と共にどんどん重くなっていくものでもあります。最初の2週間では仕事を失ったことを憂うより生きてて良かったと思うことが当たり前ですが,そうはいっても仕事無しでは食べていけませんし,自衛隊も仕事の世話まではしてくれません。最終的には自分で何とかしろ,と厳しい事を言う人がいるかも知れません。

 そしてここがとても大事なことだと思うのですが,天災による助け合いというのは,それぞれのフェイズでその質が変化せねばなりません。生きるために必要な支援物資は,恒久的な復興の役にはそれほど立ちません。逆もまたしかりです。

 被害の少なかった人から出来るだけ早く普段の生活に戻ることの大切さは,被害が深刻でなかなか普段の生活に戻ることの出来ない人々を,経済面でも精神面でも,直接間接を問わず支援ができ,日本全体が少しでも早く立ち上がることにあるのだと,私は思っています。

 前置きはこれくらいにして,先日の土曜日,近所の家電量販店に,ゴパンの小麦グルテンとコードレス電話の子機の充電池を買いに行きました。いいお天気で,いつもなら混雑する店内もこういうご時世ですからお客さんも少なく,手持ちぶさたな店員さんがウロウロしていました。

 グルテンも電池も幸い欲しいものがちゃんと見つかったのですが,Nintendo3DSもなんとなく在庫がありそうな雰囲気だったので,暇そうにしてあれこれくっついてくる店員に在庫を聞いてみました。

 結果,どの色も在庫ありとのこと。

 私の場合,NintendoDSは初代の,しかも発売1週間くらいの初期ロットを買いました。かつてラブ○ラスの激務もこなした,苦楽を共にしたよき相棒なわけですが,さすがに電池が弱ってきているのと,画面の小ささにやや物足りなさを感じていたところでした。

 そこへ,ここ数日の停電騒ぎです。原子力発電所が刻々と状況を変化させている現状を考えると,やはり停電していてもテレビからの情報を受け取る必要はあります。

 こういう場合,携帯のワンセグというのが普通の発想でしょうが,携帯の電池を使う事に対しては,いざというとき携帯が使えなくなることを考えると慎重にならざるを得ません。

 ・・・よく考えてみると,私はNintendoDS用のワンセグチューナーを持っています。これを積極的に使っていくのが現時点ではベストでしょう。しかしやっぱり電池寿命が心許ないです。

 それに,外部バッテリを使うにも,電源の端子が昔のものなので,使えません。ということでNntendoDSiあたりに買い換えようかと思っていたのですが,この時期に買い換えるのなら,せっかくだし3DSにしようと思っていたのです。。

 ただ,25000円もしますからね,ワンセグ見たいだけでそれはちょっとどうなのよと思うところもありましたが,それはまあそれで,在庫があるというのも何かの縁ですし,裸眼3Dならではの面白さがあることを期待して,買うことにしました。

 それで,まず第一印象です。

 シンプルなゲーム機であったゲームボーイ,そしてゲームボーイアドバンス,その後継として生まれたNintendoDSにあった好ましい単純さが消え失せ,ややこしいガジェットになりつつあるんだなと感じました。

 まず,カートリッジを差し込んでもすぐにゲームに画面にいけません。トップの階層にあるいくつもの項目を見ながら選択をしないといけないのは,複雑化したなによりの証だと感じます。

 また,ゲームを終わっても「中断」されるだけで,終了にはもう1つアクションが必要です。中断についても,他のアプリを立ち上げるときに終了を求められるので,あまり中断の意味はないです。いちいち終了してくれる方が楽だしすっきりすると思うのですが・・・

 ま,私はNintendoDSiもDSiLLも買っていませんので,これは正常進化なのかも知れないですね。

 肝心の裸眼3Dは,なかなか驚きです。面白いとは思いますが,かなり疲れます。画面右側のレバーで効果を調整出来るのですが,私はMAXは耐えられません。真ん中辺で十分です。

 個人的に,3Dというのは裸眼でなければならず,従って個人で遊ぶゲーム機,つまり携帯ゲーム機への応用が最適だと考えてきました。一家団欒で家族全員が不細工なメガネをかけるなどと言うのは,互いに目を見て話をすることも出来ず,一箇所に集ってはいても結局一人でテレビを見ていることと何も変わりません。

 せっかく大画面テレビが一般に普及してこの有様です。3Dメガネが足りない場合,その人はテレビを一緒に見ることも出来ません。こんなテレビがリビングに置かれて重宝されるわけがありません。

 そこで裸眼3Dですが,これは見る人の位置や距離によって見え方が随分違います。見え方の個人差もありますので,やっぱり大人数で見るというのは非現実です。

 そこで携帯用ゲーム機です。使う人は基本的に一人で,画面と人との位置はほとんど固定されています。幸いなことに画面に出るのは演算で生成されるゲームの画面ですので,演算結果として奥行き情報を持っています。これを2Dにレンダリングしないで,3Dの情報のまま表示すればめでたく3D対応のゲームとして遊べます。

 まあ,そんなに簡単な話ではないのですが,現在の3Dテレビが抱える3つの問題である,メガネをかけること,大勢で一緒に見ること,3Dのコンテンツがない,は,Nintendo3DSが全て解決していることに気が付きます。

 ですが,これでようやくスタートラインに着いたところであり,3Dに対する制限が取り除かれて,実際に3Dを「おもしろい」と思ってもらえるかどうかが,本当の勝負です。これはもう,コンテンツを作る人の技術とアイデアにかける他ありません。(裏を返すと,あれほど騒ぎ立てていた3Dテレビは結局スタートラインにさえも立てていないことがよくわかりますわね)

 話を戻します。結局私は店頭に並んだ3Dゲームのパッケージをみて,どれも買うのをやめました。どれも面白そうではなかったし,3Dでやるようなものにも見えなかったからです。その点で,高価なNintendoDSiを買ったようなものです。

 「本体の更新が必要です」にも散々出くわしました。WEBサイトを見ることも出来ず,オンラインショップでダウンロード販売を使うこともできず,それらはただ「本体の更新が必要です」と出てくるだけで,それがいつになるのか,そもそも本体の更新とはどんなもので,どういう風にすればよいのか,全く分かりません。

 調べてみると,5月の下旬くらいに行われる「本体の更新」でそれらが使えるようになるのだとか。まだまだ先の話です。

 本来,Nintendo3DSは年末商戦向けに投入されるべきものだったはずなのに,3月下旬になってもフル機能が使えず,しかもそれが5月の下旬にならないとダメなんて言うのは,ちょっと粗末だなあと思いました。もしかすると,これはまだ販売できるクオリティに至っていないのではないのか?そんな風に思います。

 NintendoDSと同じ仕組みでWiFiに接続すればもう少しできる事は増えそうですが,よく知られているようにNintendoDSではWPAに対応していません。今時丸裸のWEPなどを使っている人などいないだろうし,むしろ積極的に「使うな」と啓蒙すべき立場にあるメーカーが,新しい商品においても未だにWEPを使えなどというのは,論外だと思いました。これ,本当にあの「ニンテンドー」の製品なわけ?と・・・

 そんなわけで,使い始めて10分で飽きてしまいました。それ以来立ち上げていません。

 これ,NintendoDSiの人は買い換える必要は今のところないですし,私のようにNintendoDSからの買い換えであっても,本当に3Dがいるのか?という点に絞って冷静に考え,場合によってはDSiを買って差額でソフトを買うくらいの方が幸せになれる可能性が高いことを,考慮しておく方がいいかもしれません。

 今回の25000円は,ちょっと外したなあ。

土曜日のアキバ

  • 2011/02/15 13:04
  • カテゴリー:散財

 この三連休は寒く,ここ東京地方でも雪や雨にたたられましたが,私は以前から計画していたとおり,知り合い二人と秋葉原に買い物に行ってきました。

 今回は,昨年の秋頃に一緒にいった方に加えて,もう一人私と同世代の方にも声をかけました。みんなそれぞれ忙しく,いろいろ都合がある中,いい歳のオッサンが連れ立ってアキバ(それも部品屋さんめぐり)に繰り出そうというのですから,なかなかない機会と考えてか,どうにか都合を付けて集まってくれました。

 私は実は雨男,それも出向いた先の天気が悪化するというたちの悪さで,今回も寒く雨がぱらつく空模様でした。おかげで人は比較的少なく,買い物そのものは楽でした。

 今回は主に私の用事でアキバに来ましたので,私がルートをある程度決めました。買ったものを整理しておきたいと思います。


・真空管

 知り合いが「ぜひみたい」と言っていたのが,真空管の専門店であるクラシックコンポーネンツです。小さな店で真空管が売られているのは想像出来るらしいのですが,ビルのワンフロア全部が真空管で埋め尽くされている店というのはなかなかみあたりません。

 自らをアキバ通だという人でも,クラシックコンポーネンツによく通ったものだという人にはあまりお目にかかったことはなく,アキバの面白さを伝えるにはちょうどいい店かなあと思います。

 とはいえ私も最近は行くことなく,移転先の場所を忘れてしまうくらいご無沙汰だったのですが,いけばいったで面白いものがあるものですから,ついつい買ってしまいます。今回は6J7/EF37と同等とされる1851を2つと,WE420Aと同等という5755を4つ買ってきました。

 1851は愛用の300Bシングルアンプの初段用に買いました。この手の五極管は種類も在庫も多いので今ストックを持つ必要はありませんが,300BやEL34,6L6GCや12AX7などと違って用途がオーディオやギターアンプ用とはっきりして現在も生産されているものとは違って,高周波増幅用の五極管など新しく生産されるわけはありませんし,特に6J7は以前あっという間に壊れたという経験もあるので,見かけたらとりあえず買っておくことにしています。安いですし。

 1851は1本1000円と安いのですが,なにせメタル管ですし,形も思わず「うーん」と唸ってしまうほど不細工です。これが音を出していても心理的にいい音に聞こえないんじゃないかと,1851には悪いですが思ってしまいます。

 5755は双三極管で,店頭にWE420A同等品とあります。私はWEの真空管には疎いのですが,素人お断りなレイセオン製で,電極構造を見ると随分と精密かつ堅牢に作られているのがわかります。これが1本600円。

 μが70ということも書かれていましたが,スペックが頭に入っていない私が思ったことは,まあ12AX7,12AU7,12AT7のどれかと似たような特性で,コンピュータとか差動増幅とか,そういう用途向けの高信頼管だろうから,とりあえず買っておくか,ということでした。

 家に帰って検品しますと,1851は1本だけ,かちゃかちゃと音がします。嫌な音です。6J7が壊れた時も同じような音がしました。怖くて通電できないので,これは交換してもらうことになりました。

 5755はさすがに高信頼管で頼もしい印象です。調べてみると12AX7に近い真空管ですが,ピン配置が違っていますのでそのままの差し替えは無理。μも少し低く,相互コンダクタンスも小さめですので,そのままの差し替えで本当に済むかどうかはわかりません。回路によるでしょう。

 でも,600円ですからね,これはこれで使いこなせると,いい買い物だったと思えることでしょう。


・半導体など

 HC-20の修理をしていてつくづく感じたのは,古いマシンはカスタムICが使われていないからいつまでの修理が可能だ,と言う話がウソであるということです。カスタムICは壊れたらおしまいですが,実はほとんど壊れません。

 一方の汎用品ですが,古いこともあって案外壊れるものです。壊れた場合は交換出来るからいつまでの修理が出来る,と言うのは事実ではありますが,その汎用品でさえも生産中止になって在庫のみという状況が見られるようになってきました。

 とりわけCPUのような汎用品でも汎用性の低い部品(なんかおかしな言い方ですね)は今後の修理のネックになる可能性があります。HC-20では,HD6301Vが使われていますが,そもそもこのCPUは6800の改良版である6801のCMOS版であり,かつ内蔵のマスクROMに小さなプログラムを書き込んで使われるものですので,あまりメジャーなものではありません。

 若松には1つ1300円近い値段で在庫があることはわかっていましたが,今回鈴商に言ってみると高速版のHD63B01Vが400円で見つかりました。2つ買ってきました。そういえばTCA955を買い忘れた・・・

 秋月では,半導体と言うよりコンデンサ類を買ってきました。100uFの大容量チップセラミックコンデンサや,1Fの電気二重層コンデンサ(これは安いものを探して買ったら中国製であることが家で分かってがっかりでした)を買ったり,あと以前から欲しかったSMDテスタを買ったりしました。

 SMDテスタは2000円くらいの安物ではありますが,ピンセットのお尻の部分に小型のテスタがついている感じのもので,先端を閉じてチップ部品を挟んで使います。

 ところがピンセットを閉じても,先端がぴったりあわないのです。これを中国の人はイライラしないのでしょうか・・・

 先端は交換可能なので,ビスを緩めて固定位置を微調整しました。これでなんとか先端が閉じます。ところが,この状態で抵抗値を見ると,本来なら0Ωであって欲しいところ,0.3Ωとわずかにずれています。

 10kΩで0.3Ωずれても大したことはないのですが,33Ωで0.3Ωはちょっと悲しいですね。といいますか,ゼロがゼロにならないって,中国の人はイライラしないのでしょうか・・・

 そういえば,CdSとLEDを使ったフォトカプラをいくつか買いました。LEDとCdSのフォトカプラは速度は遅いですが,アナログ信号を伝送できるもので,他に代わりが見つけにくいものです。とりわけ1970年代から1980年代にエフェクタや電子楽器に多用されたケースでは,代わりのものがありません。フォトカプラそのものをされる方もいる程です。

 千石では水を使わないハンダゴテのコテ先クリーナを買いました。水がなくても使える利便性と,コテ先を急激に冷やさないことで長寿命を期待できます。

・ハードディスクとケース

 家で自炊したPDFデータの置き場所が手狭になってきたので,2TBのHDDも買うことにします。今使っている1TBのHDD向けにケースも買うことにしますが,10ヶ月ほど前に来たときにはUSBとeSATAのケースが安く売られていたのに,今はほとんどないのですね。仕方がないのでUSBオンリーのものを買ってきました。HDDが7000円,ケースが2000円で合計約9000円ですが,これだともう少し出せば日立GSTのケース付きが買えたのではないのか,と家に帰ってきてから気が付きました。

 ここでは,16GBのclass10のmicroSDカードが2880円で売られていました。class10ですからかなり高速です。

・バッテリ関係

 それと,IDEOSの予備の電池と補助電池を買いました。予備の電池はあきばおーで買いましたが,2500円とそれなりの値段がする上,ホログラムまでついている正規品のはずなのに,なぜかIDEOSに付属する電池より容量が2割も小さいです。

 しかも本体にはめ込もうとすれば,きつくてかなり苦労します。やや大きいようです。中国製の電池に純正も偽物もあんのか,と笑ってしまいそうになりますが,電池の消費が激しいIDEOSですから,やむを得ません。

 それと補助バッテリーです。型名は忘れましたが大容量5000mAh,USBの端子が2つ付いており,ここから同時に2台の充電が可能です。ケーブルは様々な機種に対応し,これでお値段は4000円です。問題は本体よりも随分大きく重いことでしょうか。なんとなく本末転倒というか,木を見て森を見ず,というか・・・

・模型

 模型関係では,ヘッドライト用のDCCデコーダをTamTamで買う予定だったのですが,あいにく品切れ。ポポンデッタでは1つあたり200円も高いので,これを4つも6つも買うと昼ご飯代が簡単に出てくるほどの差額になります。結局入手はあきらめました。残念。

 ところで,今回初めてポポンデッタに連れて行ってもらいました。思った以上に大きく,また本当に好きな人が集まる店なんだなあと思ったのですが,それは例えば非常に豊富でかつ高価な古本や,大きなレイアウトを完備していること,海外モデルや昔の真鍮製のHOなど,数を売るようなものではない模型が,ちゃんと揃っているところに好感を持ちました。

・夕食

 タバコは吸うけど酒は飲まない人がいたり,お酒よりも甘いものが好きな人がいたりと,案外秋葉原が好きな人の集まりというのは食事に困るものなのですが,今回はせっかく秋葉原に来たのだから,どこでもいけるチェーン店の居酒屋とかはやめようという話が最初に出ていたので,肉の万世にしました。

 ここは秋葉原名物ですし,誰にでもどんなものが食べられるかわかり,なおかつおいしいので,概ね上手い具合に事が運びます。

 ただ,肉の万世は,価格の幅がとかく大きいものですから,何を食べるか,どのくらいを目指すかをある程度共有しておかないと,テーブルに着いてから皆が黙り込んで様子見を決め込んでしまいます。

 我々は無難にハンバーグでした。私自身はステーキが今ひとつ好きではなく,お子様だなあと笑われながらも,ほくほくのハンバーグが何よりのご馳走ですので,率先してハンバーグを選びましたが,このことで緊張がふと解け,和やかさが戻ってきたことを付け加えておきます。

 夕食の後喫茶店でお話をしましたが,700円払うとケーキとコーヒーのセット,コーヒー単品では500円というどう考えてもケーキセットに誘導したいというお店の気迫に負け,滅多にケーキなど食べない私も思わずチーズケーキを食べてしまいました。嫁さんに曰く「おっさん3人でケーキセットってきもい」らしいです。

・総括

 今回は,13時30分に集合,18時に買い物終了,という前回以上のハードさでした。さすがにTamTamから肉の万世へ歩くときには皆無口になっていましたが,ある人は「気が付いたら万世だった」というほど,はっきりいって疲れていました。

 買い物をした私でも疲れていたのですから,引っ張り回された人はもっと疲れたことでしょう。反省ですね。

androidに明るい未来を見た

  • 2011/01/28 15:20
  • カテゴリー:散財

 そして最後,私にとって初めてのandroid,久々に買った手のひらサイズのガジェット,IDEOSです。

 先日,WILLCOMのデータ通信カードを落としてしまったことから,解約を行ったことと,その後継として日本通信のb-mobileSIM U300を検討している途中に,IDEOSの存在を知って購入,というところまで書いたと思います。

 なかなかよく売れているらしく,その上ぽつりぽつりとレビュー記事が上がり,概ね好意的な内容であることから,慢性的な品薄状態が続いているようです。

 IDEOSは中国のファーウェィから出ているグローバルモデルということで,日本を除く多くの地域で安価に売られているのですが,これを並行輸入したものは技適が通っていないので,使用できません。

 日本通信は,このモデルを独自に輸入し,技適を通して国内で使用できるようにした上で,10日間のお試し可能なb-mobileSIMを同梱して,26800円で売っています。ファーウェィの日本法人は「自分らは日本で売る気はないし,日本通信が勝手にやってることなので,問い合わせなどしないよーに」と商売っ気のないことを言っていますが,キャリアと端末メーカーの力関係には,いろいろなものがあるようです。

 IDEOSは私が今持っている携帯電話より小さく軽い,android2.2をOSに搭載したスマートフォンです。日本通信の思想に準じてか,海外モデルに対して可能な限り制約がないようにしてあり,とても好感触です。

 CPUは500MHz程度,メモリも少なく(どうもユーザーが使えるのは128MByteくらいのようです),画面もQVGAでタッチパネルはマルチタッチに対応しません。確かに非力ですし,今の水準で考えると不安に駆られるスペックですが,思い出してみるとiPhoneだって昔はQVGAで500MHzのクロックだったことを考えると,まあいいんじゃないかと思います。

 同梱されるb-mobileSIM U300は,IDEOS専用ということになっています。10日間のお試しが終わったらチャージを行えば継続使用できます。通常のb-mobileSIMと違って,29800円で利用出来る期間は,初回のチャージのみ14ヶ月です。最初の1年だけは,月額2128円ということになりますが,2年目以降は12ヶ月に戻るようです。

 端末の動作が遅いこと,実力で300bps程度の通信速度とあいまって,サクサクとした軽快感はありません。使う人にそれなりの我慢を求めるものですが,私がやりたかったメールとWEBブラウズくらいなら,別になんてことはありません。

 androidについては,とにかく全く初めて触りますから,なにも分かっていません。それまでほとんど興味もなかったのですから,全くの白紙です。

 いろいろ触っていて思うのは,androidはWindowsMobileとiOSの間に位置するOSだなあということです。

 iOSは標準で十分快適に使えるように作られいます。アプリを追加して機能を増やすことは可能ですが,それはAppleが認めたものに限られます。だから日本語入力を賢くしたいなと思っても,ATOKは手に入らないわけです。

 一方のWindowsMobileはアドエスで散々触りましたが,これはもう標準ではどうにも使い物にならず,とにかくカスタマイズを行わなければまともに運用できません。その代わり,アプリの入手には制約も制限もなく,みんな勝手気ままに作っています。

 androidはまさにその中間です。標準のままでもそれなりに使えますが,アプリを使えばもっと便利になります。そのアプリの入手はWindowsMobileのようにユーザーが自分で探すわけではなく,androidマーケットにまとまっています。しかしandroidマーケットは制約も少なく,開発者登録費用の25ドルを支払えば,あとは登録も無料です。

 もちろん,androidの自由度はiOSよりも高く,様々なソフトを作る事も可能で,これを自由に公開できるわけですから,大変上手くまとまっていると思います。私はカスタマイズをしたいわけではなく,使いにくさを解決したいだけですので,出来るだけ標準のアプリで過ごし,どうしてもダメなものをアプリを探して解決するので,この程度のスタンスがちょうど良いと思っています。

 ところで,私個人はPDAを長く使っており,今はPalmTXを使っています。これでなにか特別なことを仕様というのではなく,使い慣れたPalmでスケジュールとアドレスの管理をしたいだけですから,ここにコンピュータの姿を見ることは(今は)ありません。

 先日,タブレットやスマートフォンとPCの根本的な違いについて考えたところ,後者はコンテンツを作成するもの,前者はそのコンテンツを消費するもの,という位置付けだと気が付きました。

 私は自炊にしても写真のレタッチにしても,PCを使わなければならない事が多いので,基本的にコンテンツを消費するマシンにはそれほど興味はありません。だからiPadも欲しいとは全然思わないわけですが,メールとWEBについては,もう文房具のようなものですから,肩肘張って使うものでもありません。

 もし,スマートフォンが便利だとすれば,文房具としてどれだけ便利かに尽きると思うのですが,その第一条件は,やはり持ち運びの負担の軽さです。小さく軽い,これが第一の条件であり,これを満たさないものはどれだけすごいマシンであっても,私は欲しいと思いません。

 だから,kindleは大好きですし,iPadは嫌いなわけです。そしてIDEOSは,私の所有欲を満たし,かつ私の生活を変えようとしています。

バランスドアーマチュア初体験

  • 2011/01/27 13:20
  • カテゴリー:散財

 3回目は,久々に買ったインナーイヤーのヘッドフォンです。

 先日,あるパーツ店のblogを見ていると,ZERO AUDIOというブランドで,新しいヘッドフォンが発売になったと紹介がありました。ケーブルで知られた協和ハーモネットのオーディオブランドがZERO AUDIOで,ここが昨年末に発売したのがZH-BX500とZH-BX300という,ヘッドフォンです。

 価格は前者が8000円ほど,後者が5000円ほどですが,この価格にしてバランスドアーマチュア型だというから驚きです。バランスドアーマチュア型が高級なヘッドフォンに使われるようになり,今や高級品の代名詞となった観すらありますが,それがこの価格で味わえる,しかもそれなりに評判も良いという事で,これは一発衝動買いです。中野のフジヤエービックで7100円でした。

 そもそもバランスドアーマチュアってなんだ,という恥ずかしいレベルの私は,まず勉強することにしました。

 電気を音にするのですから,電気の強弱で振動板を振動させて,それが空気を振動させて音になるという原理はとても単純ですが,現在主流のダイナミック型は永久磁石が作り出す磁束の中に電磁石を置いて,この電磁石発生した磁力の強弱によって電磁石の位置が変化し,これにくっついた振動板が振動するという仕組みです。

 大事な事は,電磁石が動くという事です。

 一方,マグネチック型と呼ばれるものもあります。オーディオ用ではなく,ラジオ用に売られている片耳だけのイヤホンは,このマグネチック型だったりするのですが,永久磁石の周りに電磁石を巻き付けておき,その上に振動板となる鉄の薄い板を置いたものです。

 磁石によって振動板は一定の力で吸い寄せられていますが,電磁石に信号が流れ,磁力が発生すると,磁石からの磁束に変化が生じ,振動板を吸い寄せる力も変化します。これが空気の振動を生むわけです。

 ここで大事な事は,電磁石は動かないという事です。

 マグネチック型は,ダイナミック型が登場するまで,主流だった方式でした。大きなスピーカーだってマグネチック型で作られていましたが,さすがに鉄の薄い板を大きくするわけにも行かないので,紙で出来たコーンにロッドと呼ばれる針金をくっつけ,この針金を振動板の代わりに置いた鉄片に繋ぎました。

 鉄片は動くため可動鉄片とよばれますが,これをアーマチュアといいます。

 ダイナミック型はいわばリニアモータで,振動板を軽く作ったり,大きなストロークを得られたりと,周波数特性が非常に広いことが特徴です。一方のマグネチック型は動く範囲が小さく,ストロークを大きくできないことや,振動板を軽く出来ずに高域が出にくいということで,帯域が狭く,なんとか音声帯域をカバーするのがやっとだったといわれています。

 ラジオのスピーカーはマグネチック型だったのですが,オーディオが音声から音楽を扱うようになり,Hi-Fiになるに従い,広帯域を再生できないマグネチック型が消えて,ダイナミック型に切り替わっていきました。

 なら,イヤホンだってダイナミック型にすればよかったのに,と思うかも知れませんが,ダイナミック型は原理的に強い磁石が必要になるため,小型化が難しかったのです。近年の強力な磁石が誕生して,ようやく小型化が可能になったと言う方が正しいです。

 マグネチック型は磁束の変化で振動板を動かすのですから,原理的にそんなに強い磁石を必要としません。それで小型ならマグネチック型が使われ続けていたのです。

 マグネチック型にはもう1つ欠点があります。それはひずみです。ダイナミック型は,フレミング左手の法則に従って,流れる電流に比例して動きます。ゆえにひずみは出にくいです。

 マグネチック型は,磁束の変化で吸引力が変化し,それが振動板を振動させるわけですが,厄介なことに吸引力の変化は,磁束の変化の二乗に比例するのです。つまり,原理的に比例関係にないことから,二次高調波というひずみを発生させてしまいます。

 この欠点を解決するための仕組みが,バランスドアーマチュアと呼ばれるものです。

 可動鉄片を磁石で挟み込み,それぞれに電磁石を配置します。2つの磁石の磁力がバランスしてゼロになる所に可動鉄片を置けば,この部分にかかる磁力はゼロになります。従来のマグネチック型では,常に磁力がかかっていたのに比べると,大きな違いです。
 
 電磁石に信号が流れると,表側の磁力が強くなる時,裏側の磁石には磁力が弱くなるようにすれば,片側の磁石が引っ張り,もう片側が押すようになります。これにより,二乗に比例する二次高調波成分は打ち消され,純粋に信号の変化に比例して振動板が動くようになるのです。

 うーん,なんだか狐につままれているような気がしてきました・・・

 ですが,いわばプッシュプルということですので駆動力は倍になり,感度はダイナミック型に比べて大きくできます。もともとマグネチック型の発展型だったわけで,超小型に出来るという素性の良さに加えて,ひずみを押さえ,また小さい電力で大きな音を出せるというこの方式は,補聴器用のイヤホンとして決定版となりました。

 声を明瞭に再生することをテーマに改良が重ねられたわけですが,強力な磁石が利用出来るようになるなど,Hi-Fi用として利用出来るだけの周波数帯域を持つことも可能になりました。

 そこで近年,小型であること,軽量であること,感度が高く小さな音を再現できること,そして(おそらく歪みを打ち消している事が理由なのでしょうが)解像度が高い事を積極的に利用して,高級なヘッドフォンとして理世売れるようになってきたのです。

 構造が複雑で小さいため,精度が要求され量産に向かず,高価になりがちという事もありますし,超小型であることを生かし,2Wayや3Wayのスピーカーのように帯域ごとに2つ,3つを搭載するものまであったりして,ますます高額になる傾向があります。

 基本的な性能から言えば,ダイナミック型の方が安く,しかも低域から高域までバランスを持つように作る事ができるのでしょうが,ダイナミック型にある大味な感じとは対照的に,繊細で解像度の高い音を得る方法として,好まれているのだと思います。

 私個人は,ダイナミック型の躍動感,低域から高域までカバーする広帯域が好きで,もともと小さいものに豊かな低音は望めないということから,大きなヘッドフォンに抵抗もなく,バランスドアーマチュアにはあまり興味を持っていませんでした。

 しかし,インナーイヤーのヘッドフォンが,かつては1万円でも高級だったのに,最近は3万円で中級,5万でようやく高級という状況を知り,やはりその原動力となったバランスドアーマチュア方式というものを体験してみたいと思っていたところでした。

 そこに登場したのが,実売8000円のバランスドアーマチュア型,ZH-BX500だったというわけです。

 さて,届いたZH-BX500を,早速試して見ます。小さく,軽いのはさすがです。金属製の筐体も高い質感を持っていて,装着感も良好です。耳の中に吸い付くような感じがあって,密閉感も非常に高いものがあります。

 なんといっても小さいために,耳への負担が小さい事はうれしいです。

 音を出してみますが・・・あまり良くないです。

 全体に奥行き感が小さく,平面的に聞こえます。ボーカルも奥行きがなく,随分手前にいるように聞こえます。

 低域の細さと,高域のだら下がりが,帯域の狭さを印象づけます。私が長く愛用しているATH-CK7と,最近のリファレンスであるQC15と比べると,パワー感やタイトなベースが聞こえてきません。元気がないです。

 そしてスタックスを使って見ると,ぱーっと頭の中に空間が広がり,その中でびしっと楽器が定位しています。この表現力はやはりすごい。

 ZH-BX500も,2時間ほどならしている内に随分馴染んできたようですが,それでも前後の奥行きが乏しく,平面的な音になっている傾向は変わりません。

 高域が強いとは言え帯域は狭いので,サシスセソが濁ることはありません。中域に大きなピークがあるようなおかしな癖もないので,音そのものは大変素直です。

 また,よく言われる解像度は確かに高いと思います。感度の高さもあってのことでしょうが,ノイズがよく聞こえるになったことと,音が消える瞬間の歪みが良く聞こえるようになりました。

 また,楽器の個性を良く表現していて,情報量の多さには多少の疲れを感じるほどです。

 位相特性も良好のようで,楽器の位置が動きませんし,周波数によって位置が変わることもありません。

 総じて,まるで測定器のようなヘッドフォンだと思います。音を楽しむ,声の豊かさを味わう,そうした用途にはちょっと厳しいですが,解像度の高さと情報量の多さは,他にないものを持っていると思います。

 惜しいのは,明らかに高域の帯域が不足していていることでしょうか。低域のエネルギーは原理的に望めないとしても,この高域の伸び不足にはフラストレーションを感じます。

 ZH-BX500の良いところは,

・小さく軽く,装着感の良さからくる,体への負担の小ささ
・感度の高さと歪みの小ささからくる,小音量時の再現性の高さ
・感度の高さからくる,アンプの消費電力削減
・解像度と低位の良さ
・色づけのない,素直な音
・価格以上の音

 悪いところは

・低域の貧弱さ
・高域のだらしない落ち方
・一聴して感じる帯域の狭さ
・奥行きがない,平面的で,ヘッドフォンの欠点がそのまま出ている空間再現能力

 というところでしょうか。

 他のヘッドフォンと性格がかぶらないので,これはこれで私の常用モデルとなりそうですが,それにしてもこんな味付けのないヘッドフォンがこれだけ話題になるというのは,なんだか日本のオーディオファンもよく分からないものです。

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