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パンダGOPANだゴパンだ

  • 2010/11/15 18:58
  • カテゴリー:散財

 三洋電機という会社,私は大好きです。ここは一言で言うなら鈍くさい会社で,決して要領のいい会社ではありませんけども,実力は非常に高く,みんな真面目で純粋で,安いものから高級品まで揃え,その上でどれも一定水準を満たしてハズレがないという,なんとも「損をしている」メーカーです。

 イメージ先行でいうなら,三洋電機は2番手グループでしょう。しかし,彼らが出している商品はどれも本当に消費者本位であり,押しつけがありません。会社としてみると,数年前の中越沖地震での半導体工場の大被害など,リスク管理が全然甘いと思うところもあるのですが,まあどんな世の中にも完璧なものはありません。

 自社の商品を声高に連呼し,買ってみるとうんざりするような製品が多い中,多くを語らずしっかり作ってある製品が多い三洋電機くらい朴訥とした製造業というのも,好感が持てるというものです。

 三洋電機を買収したパナソニックは,商売も技術もお金も世界随一,そんななか三洋はいつも「弟分」と言われ続けてきましたが,戦前から続く名門・松下電器産業の背中は,やはり大きなものだったということでしょうか。

 しかし,兄弟というのは,共通点がありながらも,不思議と個性がはっきり分かれて,それぞれに強みを持つように育ちます。松下と三洋,まさにこれだと私は思っています。

 個人的経験でいうと,三洋の製品を使っていて,故障や使い勝手の悪さ,価格も含め,とにかく嫌だ,と思った事がただの1つもありません。どれもこれも本当に真面目に作ってあり,こちらが求めるものにストレートに応えてくれますし,お金にならんのじゃないかなと思うことで,ちゃんとやってくれたりするので,かえって心配になるほどです。

 カーナビのゴリラ,布団乾燥機,電気敷き毛布,エネループ,電子工作で使った半導体やコンデンサ,仕事で関わったARM9コアのSoC,どれも真面目で,着眼点に個性があり,すべてがユーザーの満足度を上げていく,そりゃこんなことをやっていたら,どっかに買収されてしまうわなと,ファンとしては寂しい気持ちが先に来ます。

 半導体は元モトローラのオンセミコンダクターに,それ以外は基本的にパナソニックに買収されて,おそらくどちらも三洋のブランドを残すことはしないでしょう。これも寂しいですが,三洋の皆さんの,きまじめなスピリットだけは,消えないで欲しいと心から願っています。

 閑話休題。

 そうなのです,大人気のGOPAN,欲しくて欲しくてたまらんかったこのコメからパンを作る夢のマシン,発売と同時に手に入れました。なにやら年内絶望という声も聞こえてきますが,ここまでヒットする白物家電も最近珍しいんじゃないかと思います。

 コメの粉を砕いて粉にするには,大きな筒の中で空気をグルグル回し,壁にぶつけて砕くという仕組みを使うそうです。この設備に億単位のお金がかかることが,お米の粉が小麦粉よりも高価な理由の1つでだそうですが,パンを焼くだけなら別にペースト状でもいいじゃないかという素晴らしい発想で誕生したのが,GOPANです。

 私が子供だった1980年代,お米はパンにシェアを奪われ,その消費量が減り続けた結果,食糧政策はコメ余りと減反政策に揺れ続け,米でパンを作って消費拡大,などという戯言が,出ては消え出ては消えを繰り返して,いつしか人々の気を引くようなものではなくなりました。

 しかし,ここへ来てお米で出来たパンがとてもおいしく作る事が出来るようになり,高いけどおいしい,どこでも買える訳ではないけど食べたい,と言う評価が定まるようになりました。家で作って焼きたてを食べたいという声が大きくなってきたのは当然と言えるでしょう。

 でも,米の粉は相変わらず手軽なものにならず,三洋も前の機種で市販の米粉を使った製パン機を出しますが売れず,消えていきました。

 GOPANは,そうした前の機種の弱点を,いかに克服するかという正攻法で誕生した,これまた生真面目なマシンなのです。

 それに,さすが三洋ですね。米でパンを作ることだけにあぐらをかかず,餅もつけます。いや,ほんとよくわかってらっしゃる。私たちはご飯が好きで,当然餅も大好きです。私は関西人ですので丸餅ですが,嫁さんは関東人なので切り餅です。この差を埋めるには自分で作るしかありません。

 それに経験した人は分かると思いますが,餅つきというのは実に楽しいのです。わいわいやるにはぴったりです。

 もし,単に米が使える製パン機だというなら,私はきっと買いませんでした。私の基準では,製パン機は餅もつけねばなりません。ですからGOPANの予約が始まった時,5万円という高価格にもひるまず,私はGOPANの購入を即決できたのでした。

 買ったのは手堅くヨドバシ.com。実はクレジットカードの番号が某所から流出したため,予約中にカードの番号を変えるという事故が発生して一悶着あったのですが,ヨドバシ.comのおかげでちゃんと発売日に届きました。

 米のパンを作るのに必要となるグルテンも一緒に買いました。市販の米粉ミックスにはこれが含まれているそうですが,米粒から作るGOPANには,このグルテンの供給が最も心許ないポイントでしょう。スーパーで売られるようになるのはまだ先だとは思いますが,それも米粉を使った製パン機の普及次第です。


 そんなこんなで早速ですが,お米でパンを焼いてみました。インプレッションいってみましょう。


(1)大きさ,質感

 まず,大きいです。普通の製パン機が横に大きくなった感じですので,設置面積はガスストーブや小型の石油ファンヒータくらい見ておく必要があります。そして重いです。私は製パン機を買ったことがありませんので比較は出来ませんが,ずっしりと重い鉄の塊という印象です。そうですね,ブリキのバケツに水をしっかり張ったと気の重さという感じでしょうか。

 そんな重さ,大きさですので,いちいち押し入れや戸棚に片付けるというのはちょっと無理があり,おそらく片付けたら最後,使わなくなると思われます。そこで我々はテレビと食器棚のスペースに置くことにしました。

 そうなると見た目が問題です。今回買ったのはワインレッドですが,表面はとてもプラスチッキーで,高級感はありません。本体はツヤあり,フタの部分がシボのあるつや消しで,どうも不格好なのです。デザインはあまりよいとは言えませんし,これを置いておくと部屋が狭くなった気もするし,生活感も増すので,そういうのがお嫌いな方は面倒でもいちいち片付けることを前提にすべきです。


(2)音

 音はtwitterでもつぶやいている人が多いのでご存じかも知れませんが,とにかく音が大きいです。何事かと思うような爆音です。コメを水に浸し,ミルが動作を始めると,まるで削岩機かと思うような音が30秒続き,5分間止まり,また30秒動作して5分休んで・・・を1時間ほど繰り返します。ミルの動作中はテレビの音もきこえなければ,普通の会話も難しいくらいです。

 音の大きさもそうですが,耳障りな音でもありますので,壁の薄いアパートやマンションなどで,上下左右の方に怒られるかも知れません。夜は絶対出来ません。

 こういっては何ですが,開発された方はこういう音が気にならないような,大きな一戸建てのお家に住んでいるのでしょうね。都会の小さい部屋に住んでいると,この音が出たときに「これじゃダメだ」と思うんじゃないかと思います。


(3)問題点

 昨日2回,お米のパンを作りましたが,2回とも成功とは言いにくいものでした。特に1回目はひどく,私のこのマシンに対する信用度はほぼゼロになったほどです。

 というのは,こねる工程で,羽根が回転しなかったのです。

 WEBの説明によると,米パン用の羽根は,左回転の時は米を砕く歯が6300rpmで回転,こねるときは羽根が右回転で400rpmで回るのだそうです。

 パンケースに材料を入れる前に,ミルの付いた専用の羽根を軸に取り付けるのですが,説明書では軸に差し込んで,左右に何回か回せとありました。私は回す作業を忘れていて,軸に差し込んだだけで,材料を入れたのです。とはいえ,しっかり奥まで差し込んだことは確認しました。

 しばらくしてミルが動作し,米がドンドン砕けていきます。牛乳のように白い液体になってから,グルテンとドライイーストが自動投入され,LCDにはこねる行程に入ったことが表示されています。

 しかし,羽根が全然まわりません。こんなものかと眺めていましたが,一向にこねる気配もなく,音だけブーンといっているので,これはおかしいとフタを開け,止まっている羽根を少しだけ触ってみたところ,突然勢いよく右回転を始め,グルテンとドライイーストをパンケースの外に飛び散らせました。

 あわててフタをしますが,すでにこねる行程は終わりに近づいた頃で,満足にこねられることなく,発酵にすすんでしまいました。

 しばらくして焼きの工程に進んだのですが,パンケースから飛び散った粉が焦げて焦げ臭い匂いが立ちこめました。そして出来上がった米パン第一号はあまり膨らまず,底の部分はお餅のようにドロドロの状態でした。

 羽根を見ると,何かにぶつけてひっかいたような2つのやや深い傷がついています。このパンのどこかに,金属粉が混じっているのでしょうか。

 この段階で,私は怒り心頭でした。1.5合ものお米が,無駄になってしまったかもしれないのです。こんなもったいないことが許されるはずがありません。

 確かに羽根の取り付けで,左右に回さなかったことは私の誤りでしたが,納得いかないのは左右に回したところで,くるくる回るだけの話であり,別にかちっと手応えがあるとか,音がするとか,そんな訳ではありません。つまり,どうなったら確実にセットされたのか,全く分からないのです。

 ということは,上手く羽根が回るかどうかは,その時次第の運。こんな恐ろしい装置,はっきりいって使えません。

 失敗の後,掃除をしてから何度か羽根を観察したり,軸に取り付けたりして見ましたが,右回転の時にラッチがかからず,空回りすることがどうやって防止できるのか,やっぱり分かりません。

 なるほど,パンケースの内壁に出っ張りがあり,この出っ張りと羽根の先端に付いているシリコーンゴムのブレードが接触していれば,左回転のミルの時は羽根は回らず,右回転になった瞬間にラッチがかかり,羽根が回る仕組みになっているようです。

 しかし,今回の失敗時,羽根の先端のブレードは内壁の出っ張りには接触しておらず,ミルの時もこねるときも同じ位置にありました。お米というのは重いですから,少なくともミルで回転しているとき羽根は回転しないでしょうし,こねる場合に右回転を始めたとき,運悪くラッチが外れるような位置にいたら,羽根が回らないことになります。

 取り付け時に左右に何度か回すだけでそれが防げるとはちょっと思えず,どうやったらこの致命的な誤動作を完全に防げるのか,見当も付かないのです。これでは予約で外出中に米パンを作る事などできず,基本的につきっきりで見ていないといけなくなります。
 
 2回目は,一応正しい流れでパンが焼けました。1回目に比べてはるかにパンらしいものではありましたが,だからといって綺麗に膨らんだわけではなく,やや小さい膨らみ方でした。

 ただし,生の部分などはありません。1回目は羽根が突然回転したときに,ドライイーストも飛び出してしまい,少なめになっていました。また,新米は水を少なめにとありましたので,1回目は水を10g少なくしましたが,今回は10g増やして,標準的な量にしました。

 おかげでなんとかギリギリ,パンと呼べるものになったのだと思います。うーん,塩が多いと膨らみが小さくなるのですが,入れたバターが有塩だったことや,グルテンが実は専用計量スプーンだとやや多めに入るという罠があったことも,いまいちだった理由かも知れません。


(4)味

 これが一番言いたかったことなのですが,米パンは,パンではありません。あくまで米であり,その点でご飯そのものです。パンの気分で食べるとすぐに満腹になりますし,腹持ちが良いのでなかなか満腹感がなかなかおさまりません。

 お米独特の香りや食感はありますが,小麦独特の香ばしさや軽い食感がないので,これはもう別の食べ物と考えた方がよいのではないかと思います。パンをお米で作るのではなく,お米使った新しい食べものが出来たということです。

 私は,米で作るパンがおいしいといいなあと思っていたのですが,確かにおいしいとはいえ,やはり小麦で作るパンにはかないません。

 ただ,ちょっと思ったのは,このお米のパンの重さというのは,イングリッシュマフィンに近いかも知れません。イングリッシュマフィンは,ハムやレタス,チーズを挟むととてもおいしく食べる事が出来るのですが,もしかするとこの米パンも,そうした具材を載せたり挟むと,おいしいかもしれないですね。


(5)取説

 最近の家電品には珍しく,取説がわかりにくく,どこに何を書いているのか,さっぱりわかりません。系統立てて書かれていない,大事な事が小さく書かれている,どうなっていれば正常なのかがわかりにくく,今起きていることが正しいのかまずいのか分からないなど,とにかく取説があてになりません。

 先程の羽根を取り付ける話もそうですが,軸に差し込んだ後左右に回すことが必要だとして,もし回さないとどうなってしまうのか,回したあとどうなっていれば正常なのか,そういうことが書かれていないので,これで大丈夫なんだろうかという心配がつきまといます。結果は数時間後までわかりませんし,失敗していた場合も途中でやり直せません。

 また,パンケースを本体にセットした後,取っ手を前側に倒す必要があります。後ろ側にも倒せるのですが,そうするとグルテンとドライイーストの投入を行うとき,フタが取っ手にぶつかってしまい,投入に失敗するのだそうです。後ろに倒れないようにするのがまず先にすべきことでしょうし,それが出来ないなら取説には大きく目立つように書いておかなければならないでしょう。

 失敗すると取り返しがつかないことなのですから,ここはユーザーの心配を払拭できるような情報を,きちんと記載しておいて欲しいと思います。


(6)まとめ

 正直なところ,綺麗に作るのがとても難しい上,それほどおいしいとも思わなかった米パンを家のお米から作ることが出来るという機能に,通常の製パン機よりも数万円高いことを,どれだけ納得出来るかにかかってくると思います。

 通常のパンをおいしく作る事が出来るのはあたりまえとして,もちがつけることまで考えても,3万円くらいまでで買うことが出来ると思います。

 そこから1万円以上も高価であることが理解できる人というのは,米パンというものがどんな味の食べ物かをよく知っていて,その焼きたてを食べたいというとても贅沢な望みのある人なのではないでしょうか。私は,やっぱり小麦のパンがよいです。

 
(7)おすすめできるか

 かつてはかりも使わず,オーブントースターだけでそこそこおいしいパンを焼いた経験のある私から言わせると,迷っている方は様子を見た方がいいと思います。

 お米からのパン作りは画期的ですが,あの爆音は間違いなく近所迷惑ですし,ミルの歯が欠けて金属が混じる事故とか起きそうです。グルテンは専用品しか使う事が出来ず,入手にも不安があります。

 お米のパンがおいしいかどうかは個人差があるとして,素直に強力粉を使って作ればとてもおいしいパンが出来上がるのですから,別に普通の製パン機でも十分といえるでしょう。なぜ米パンなのか,なぜ家の米から作らねばならないのか,その辺をよく考えて,ブームが落ち着いてから買っても遅くはないと思います。

秋の夜長に逆ポーランド

  • 2010/11/04 19:30
  • カテゴリー:散財

 一部のマニアに圧倒的な支持を受けているHewlett-Packardの電卓ですが,ふとしたことから,HP20bが安く売られていることを知り,ついつい買ってしまいました。

 このHP20b,金融用電卓という,私のようなお金に疎い人間にはなんだかピンと来ない電卓なのですが,HPの電卓は逆ポーランド計算機であること,科学技術用の関数電卓のパイオニアであることに加え,金融用の計算機の代名詞としても,よく知られています。

 とりあえず,ローンの計算やら,複利の金利計算やら,私にとっては人生で2度か3度しかないと思われる計算を,わざわざ専用の計算機でやることはないよなーと無関係を決め込んでいたのですが,約3500円という価格で逆ポーランド計算機が手に入るというのはなかなか面白い話で,いっちょ買ってみるか,という事になったのです。

 もう1つ,実はこの計算機,ARM7を使ったプラットフォームとして,自作をする人に各種の技術情報が公開されているという,珍しい電卓です。回路図,書き込み方法,SDKがHPから無償で配布されているので,その気になればこの電卓で走るプログラムを作ることが出来ます。

 キーボード,電源回路,ドットマトリクス表示を含むLCDを装備し,小綺麗なプラスチックの筐体まで用意されたプラットフォームが3500円ですので,これはmake:な人にとってはたまらんものがあるでしょう。

 発売から数年経過した現在,さぞやたくさんのプログラムが作られたんだろうなと期待して探してみましたが,残念な事に皆目見つかりません。HP42sのエミュレーションを行うプログラムは見つけましたが,パワーマネージメントが実装されていないなど,ちょっと実用にならない感じです。

 SDKがあるとはいえ,開発環境は自分で揃えなければならないので,誰でも簡単に取り組めますよというものでもなく,それなりの気合いと根性がなければいけない世界ですから,私のような甘い人間は最初から他力本願で,もしダメでもHP20bという電卓として,普段の生活に便利に使おうと考えていました。

 ということで,先日の土曜日に手元に届いたHP20bですが,私がぱっと触った第一印象は,なかなかええやないかこれしかし,というものでした。

 この電卓,登場時は1万円近くしたものなんだそうですが,特に評判が悪いのがキーです。HPの電卓に特徴的なクリック感がないこと,そしてキーの上側を支点に下側だけが沈む,あの独特な機構が採用されておらず,普通の電卓のようにキー全部が沈み込む,というもので,熱心なマニアはこれがとにかく許せないのだそうです。

 私はそんなに熱心ではありませんので,純粋に使いやすいかどうかだけで判断しましたが,使いやすいとは思えないが,まあそんなにヤイヤイうるさくいうほどでもないなあと思います。

 確かに誤入力もおきやすいし,クリック感がないので本当に入力されたか不安になることもありますが,少なくとも触っていて「嫌だな」と思うような感じはなく,使っていて楽しい電卓ではないかと思いました。

 ふと,評判の良いHP35sのキーが,私にはそんなによいとは思えなかったこと思い出しました。あのクリック感と深いストロークが,肩に力が入ってしまうのですね。HP20bはその辺がとてもライトな感じです。

 持った感じも悪くありません。左手で持ち,右手でキーを押すようにすると,案外サクサク入力出来ます。なにかと出番の多い[INPUT]キーがちょうど左手の親指で押せる位置にあるので,スタックに積むという操作がとても楽です。

 パッケージには英語と日本語それぞれのクイックスタートガイドが同梱されています。全部を網羅したマニュアルではありませんので,ここに書かれていないこともたくさんありますので,本家HP.comから英文のマニュアルをダウンロードしておく事をおすすめします。

 さて,ここまで印象がよいと,技術用の計算に使えるのかどうかが俄然気になってきます。理系には理系の数字に対するこだわりもありますので,ここが気に入らないと,即ジャンク箱行きです。

 まず逆ポーランド記法による入力です。初期設定では連鎖(Chain)モードという,普通の電卓のような入力方法になっているので,せっかくHPなんですから,これは即座に逆ポーランド記法にしなければなりません。

 [SHIFT]と[Mode]で設定メニューに入り,上下キーを何度かおして,Chainが出てきたら[INPUT]キーでRPNにします。これで切り替わりました。

 なお,ALGモードという,ちょっと気になるモードも用意されています。これは,乗除算や括弧の中身を先に計算するとか,演算の規則に従って計算をするモードです。+なり-という演算子を打ち込んだだけでは計算が行われませんので,ポケコンに近いと言えば近いですね。

 一応式の通りに打ち込めば答えは出ますし,馴染みやすいと言う点ではこれを目当てにこの電卓を買ってみるのも悪くはないかも知れません。でもシャープやカシオの関数電卓がもっと安く売っているのですから,わざわざこれを買う理由にはならないですね。ついでにいうと,式の評価の結果保留される計算の数は7つまでとのことです。

 さてさて,ここまでは楽勝です。次は表示の桁数。なんとこの電卓,初期設定では小数点以下が2桁に丸められて表示されます。なんと3.141592が3.14としか出てきません。内部では15桁精度が保持されており,表示される段階で丸められるのですが,これはちょっと論外ですよね。ゆとり教育にもほどがあります。(あ,ゆとり教育では3でしたね)

 で,さすがにこれは設定を変更できます。[SHIFT]と[Mode]で設定に入ることが出来ますが,最初に出てくるFIXという設定を,現在の値の2から変更すればよいのです。

 しかし,ここを9なんかに設定すると,クリアしたときの表示が0.000000000と小数点以下ずらーっとゼロが列んで,見にくいことこの上無しです。なんでわざわざこんなことをするのかなあと思いつつ,これは金融向けの電卓なんだと,無理に納得するしかありません。

 ここでTipsです。英文マニュアルによると,このFIXの値を-1に設定すると,通常の電卓と同じ表示になるそうです。小数点以下ゼロになっている桁は表示がされず,3.1415926は3.14でも,3.141592000でもなく,ちゃんと3.141592と表示されます。

 ただ,普通の電卓と違うところもあって,1/3は,普通の電卓なら0.33333となるところを,この設定では3.333333(-1)と出てきます。(-1)というのは左端の指数表示の小さい数字表示領域の表示です。

 これは指数を使った表示ですが,私たちにとってはこの表示は大変身近で,見やすいものです。0.0000043などと言われてもややこしいだけですが,4.3(-6)と出てくれればすっきりですね。10倍単位で大まかに大きいか小さいかをさっと判断するというのは,慣れればとても便利な考え方です。

 もう一つTipsです。このFIXの設定はショートカットが用意されています。[SHIFT]を一度押し,[SHIFT]を押しながら数字のキーを押すと,その数字がFIXに設定されます。1を押した後[+/-]を押せばちゃんと-1に設定もされますので,使ってみて下さい。

 ところで,このFIXの設定は,[SHIFT] [RND]による丸めにも有効なのですが,-1が設定されていると0が設定されていると解釈されるようで,小数点以下がばっさりと落とされます。本当なら設定が別に出来て,FIXが-1でも[SHIFT] [RND]で少数以下2桁に丸めるなどと出来れば便利かなと思うのですが,残念です。

 この段階で,普通の電卓を越えました。さて,次は常用対数の扱いです。もともと金融向けですので,複雑な関数は期待できないのですが,この電卓はちょっとした関数なら扱えるようになっています。

 しかし,キーボードには「log」の文字がありません。LNやらeやら,自然対数に関係する関数はありそうなのですが,肝心の底を10に持つ対数が扱えないのは辛いところです。

 これをgoogle先生に尋ねてみたところ,底の変換公式を使ってしのげ,と恐ろしいことを書いてありました。ただでさえ逆ポーランド記法という慣れない方法でスタックを意識しながら操作するのに,底の変換公式まで持ち出すとなると,もうポケコンでいいよ,とあきらめてしまいそうです。

 ここで再びTips。常用対数を扱う方法です。HP20bにはMathメニューという,普段余り使わないと思われる関数群をメニューから選択する方法があります。クイックスタートガイドも,説明書もさっと流してあるだけなのでスルーしそうですが,このMathメニューに,常用対数が用意されていました。

 例題)電圧増幅率2倍は,何dBか?
 操作)2 [SHIFT] [Math] [↑] [↑] [INPUT] 20 [*]
 答え)6.02

 Mathメニューの一番最後にLOGという項目があります。ここに素早く到達するには↑を2度押すのが良いようです。

 さて,これで電気屋さん必須のdBの計算が出来るようになりました。どうにか技術向けにギリギリ使える電卓と言えそうです。

 もう1つおまけのTipsです。[SHIFT] [Math]のあともう一度[Math]を押すと,円周率πの値が表示されます。スタックして使うと,いちいち打ち込まなくていいので楽です。

 続いてRPNならではの使い方です。電気屋さんはよく,抵抗を2本使って電圧を分圧して欲しい電圧を作ります。これをさくっと計算して見ます。

 例題)12kΩと24kΩを直列につなぎ,12kΩに3.3V,24kΩに0Vを加えた。中点の電圧はいくらか?
 操作)24 [INPUT] [INPUT] 12 [+] [/] 3.3 [*]
 答え)2.2

 これは単純な計算だけですので,普通の電卓でも問題ないように思いますね。でも,実はこの計算,同じ値が分母と分子に二度出てきます。これを2度打ち込むことが苦痛でない場合は別に構わないのですが,RPNですと[INPUT]を2度押して,スタックに2つ積むことで入力回数を減らせるのです。

 今回は24くらいだからいいですが,これが23.946826だったりすると,面倒なばかりか入力ミスも心配になります。これは便利な仕組みです。(とはいうものの,電気屋としては23.946826はもはや24としても問題ない数なので,あんまり説得力はありませんね。)

 では続いて,抵抗の並列接続の合成抵抗を求めましょう。

 例題)47kΩと27kΩを並列に繋いだ時の合成抵抗はいくらか?
 操作)47 [INPUT] 27 [*] [SHIFT] [ANS] 47 [+] [/]
 答え)17.1486kΩ

 いろいろな入力方法があると思うのですが,私がまず考えついたのはこれです。本当は47も27も入力済みなので,両方とも再利用できるとよかったのですが,スタックの状態を考えるのはこのくらいが限界ですね,今の私には。

 悔しいので意地になって47も27を再利用する方法を考えてみました。

 操作)47 [INPUT] [INPUT] 27 [INPUT] [INPUT] [↓] [*] [↓] [+] [↑] [∝] [/]

 まず4つのスタックに数字を詰め込み,上下キーとスワップを使って計算します。確かに数字の入力は一度きりですが,スタックの操作がややこしくて,ちょっと私にはしんどいです。

 こんな感じで,本来電卓は暗算にはちょっとつらい計算を手伝ってくれることがありがたいわけです。私などはゆるい技術者ですので,複素数計算や行列計算が,電卓でやらねばならないほど身近な存在ではありませんので,このくらいで十分です。

 ついでですので,発光ダイオードの電流制限抵抗の計算もやってみましょう。

 例題)電源電圧5V,VF=1.8VのLEDに8mAを流す抵抗を求めよ。
 操作)5 [INPUT] 1.8 [-] 8 [SHIFT] [EEX] 3 [+/-] [/]
 答え)400Ω

 ここで,[SHIFT][EEX]ですが,これは指数を使って入力するものです。8mAというのは0.008Aのことで,8x10^(-3)Aのことです。8E-3Aと書くこともありますね。ミリとかマイクロとかナノとか,こういう補助単位を我々は頻繁に使います。1つや2つなら頭の中で計算できますが,たくさん出てくると素直に補助単位も入力に反映させた方が楽な場合も多く,私は間違いを防ぐためにも,多用する癖があります。

 まあ,もっというと私の場合いちいち真面目に計算などせず,ざっくり1kΩをいれて3.2mAで動かしてしまうんですが・・・最近のLEDなら1mAも流せば十分明るいですし・・・え,そんな話はどうでもいいですか。そうですね。

 では次にHP20bに備わっている,ちょっと面白い計算機能です。

 例題)3.141,2.718,1.414,1.732,2.236の総和,平均を求めよ。

 まず,[SHIFT] [Data]でデータ入力モードにします。X(1)と出ますので,ここに1[INPUT]とし,Y(1)に3.141[INPUT]と入れます。X(2)となるので2[INPUT],2.718[INPUT]とし,以下同じように入力していきます。

 Y(5)まで入ったら,[SHIFT] [Stats]で統計モードに入ります。2Varsと表示されていると思いますが,無視して[↓]を3回押します。Sumsと出るのでここで[INPUT]を押し,[↓]を押してΣYにすると,11.241という総和が出てきます。

 次に平均です。[SHIFT] [Stats]で[↓]を押すとDescriptiveと表示されます。ここで[INPUT]を押すとアイテム数が5と出ていますので,[↓]をy Meanと出てくるまで押します。すると2.2482と出ています。

 これ,案外便利に使えるかも知れません。なお,このデータのクリアは[SHIFT] [Reset]でStatsを表示させ,[INPUT]を2度押します。

 もう1つお遊びをご紹介。日数計算です。

 例題)1972年10月3日生まれの人は,2010年11月4日まで何日生きたことになるか?

 まず,[SHIFT] [Date]で日付入力モードに行きます。Date1の入力画面になりますので,10.031971[INPUT]と押します。ややこしいのですが,最初に月,ピリオドを入れて日,続けて年を入れます。

 [↓]キーを押すとDate2の入力画面になりますので,同じように11.042010[INPUT]と入力します。

 ここで,入力した画面で,画面右の指数表示の部分に数字が出ていますが,これ実は曜日です。2010年11月4日は木曜日ですので,月曜日から数えて4番目,すなわち4という数字が出ています。

 そしていよいよ日数の表示です。[↓]を押して,Between Daysが出てきたら[=]を押す(押さないとダメです)と,13911と表示されます。この2つの日付の間は,13911日あるということになります。

 これはなんの役に立つのか,私にはちょっとわからないのですが,おそらく私の知らない金融の世界では重要な計算なのでしょうし,ネタとしてワイワイおもしろがる計算としては,なかなかのものではないでしょうか。

 最後にお約束の,HPの電卓に古来から伝わる,伝説の計算をやっておしまいにしましょう。

√( (8.33*(4-5.2)÷((8.33-7.46)*0.32))) / (4.3*(3.15-2.75)-(1.71*2.01)) )

 答えは,もちろん,4.57278428023です。普通の電卓,あるいはポケコンでこの計算を頑張って解いてみて下さい。ふふ。

MacBookAir 11.6inch 4GB 64GB USkeyboard,届く

  • 2010/10/28 16:11
  • カテゴリー:散財

 新しいMacBoookAirがなかなか好評のようです。

 聞けば,銀座のAppleStoreなどでは,人だかりができて満足に試すこともできないくらいだそうで,変な話,Windowsマシンでこれだけ話題になるマシンというのは,まずないのではないかと思います。(Macでもそうそうあるわけではないですが)

 Jobsは7インチサイズのタブレットを否定しましたし,Netbookも否定しました。ただ,Netbookには価格と大きさという2つの要素があり,今回のMacBookAirの11インチについては,大きさについては否定しなかったことがはっきりします。

 私は,iPadは大きすぎるし,3Gによる常時接続がなければ意味がなく,しかしそれは得られるもの以上に維持費がかかるという点で,見送っていました。ただ,大昔の噂の通りiPadがタブレット型のMacであったなら,小型のMacOSXマシンとして物欲ゲージMAX,意識が戻った時にはカードでの決済が済んでいたことと思います。

 その後も相変わらず,MacOSXの走るマシンがNetbookくらいの大きさで出るのだとしたら,それは購入に値するものになると考えていましたし,今住んでいるところはMacのある2階まで行かないとメールも見れないという状況でしたので,先日のMacBookAir発表の朝,ポチってしまっていました。

 まず,キーボードはUSにしたいところなので,量販店で買うという選択肢は最初から落ちます。問題はメモリをどうするかですが,4GBにするには10800円の追加料金が必要です。

 2GBはオンボードと書かれていますが,増設が可能なのか,それとも4GBオンボードになるのか,そこが不明です。増設可能ということならとりあえず2GBを買っておき,必要に応じてもう2GBを増設すればよいのですが,4GBもオンボードならそういうことはできません。

 悩んだのですが,増設できるとしてもSO-DIMMでできるとは限らないし,SO-DIMMでできるとしても今の2GBを捨てないといけなくなるかも知れないし,結局そんなに安くならない割には手間も増えて,しかも信頼性に不安を抱えることになるなら,10800円払ってお願いしておこうと考えました。どのみち最後には4GBにするわけですし。

 この判断は正解で,後にMacBookAirは増設ができず,4GBにするならBTOで選ぶ必要がありました。

 ストレージはサブマシンですので64GBもあれば十分,よってクロックも1.4GHzと低スペックです。結局メモリだけ4GBにするという慎ましい構成とし,よって価格は10万円以内に収まってくれました。

 10月21日の朝に注文,商品の出荷が10月23日,上海を経由し日本に入ってきたのが25日です。受け取りは27日となりました。

 以下,インプレッションです。


(1)大きさ,重さ

 画面が11.6インチということなので,いわゆるNetbookくらいかと思っていたのですが,16:9のワイド画面で11.6インチ,しかもキーボードはフルサイズということで,想像以上に大きいという印象をもちました。

 これはまあ,私が勝手に「Netbookくらいだろう」と思っていたからであって,そういう思い込みがなければもっと感動出来たに違いありません。

 重さについては約1kgとなっていて,これは合格です。パタンと閉じて小脇に抱えると,それがコンピュータであるという感覚が薄れ,まるでファイルや大判の本を持っているような気分になります。

 気になる薄さですが,確かに薄く,床に置いておくと踏んづけてしまいそうです。ただ,実際以上に薄く見せるデザイン上の工夫も多く,手に取ってみると感じた薄さよりも分厚いかも知れないと思うこともありました。

 感心したのは,薄いことが使い勝手を全く邪魔せず,むしろ使いやすい方向に貢献していることです。テーブルにおいてパームレストに手を置くと,手前側がより薄く低くなっていることで,手首への負担が小さい事に驚きます。これはMacBookProでは味わえない好感触ですね。


(2)動作の軽快さ

 1.4GHzのCore2Duoはすでに「遅い」CPUですが,メール,WEBブラウズ,日本語の入力を含めた日常的な作業に,全くストレスはありません。そもそも,2GHzを越えたクロックのCPUは,日常的な作業でその速度を体感することは,人間が遅すぎて難しいというのが私の持論です。むしろ,数秒単位で待たされる外部記憶装置のアクセスこそ,改善されるべきところです。

 その外部記憶装置はHDDではなくSSDになっています。このSSDはなかなか高速ですよ。ベンチマークはとっていませんが,起動も「えっ」と思うほど速いですし,ファイルを探したり開いたりという作業は,ほとんど待たされません。


(3)キーボードとトラックパッド

 キーボードは最近流行のキートップが分離しているタイプです。なぜこれが人気なのか私にはよく分かりません(これってPHC-25そっくりじゃありません?)が,使い心地は良いです。

 ストロークはやや浅めですが,とても軽快な感触で,特にキーが底を打ったときの打ち消しが良くできているなと感じました。

 それはともかく,USキーボードにして良かったです。私はショートカットを多用するので,左右の親指の位置にコマンドキーがないとつらいのです。

 トラックパッドは,ボタンのない今時のタイプが初体験な私でも,慣れれば問題なく使えるようになりました。移動速度はMAXでも遅いくらいなので,もう少しどうにかならんかと思うのですが,慣れればこれも気にならなくなります。

 トラックパッド本体を押し込むことでボタンを押すことになるという仕組みは,ちょっと慣れないかもしれないと最初は感じていました。というのは,左ボタンの操作は問題なくできても,右ボタンの操作である二本の指で触りながらボタンを押すという操作は,直感的に繋がりにくく,新しい操作系のように感じたからです。

 結論から言うとこれも慣れました。まだちょっとぎこちないですが,コンテクストメニューは案外使うものなので,慣れるしかありません。

 しかし,どうも腑に落ちないのです。なぜボタンを廃止しないといけなかったのか。別にボタンがあってもよかったと思うのですが,もしこれがデザイン重視ということなら本末転倒のように思いますし,操作性を重視したというなら,もう少し工夫が必要なのではないかと,そんな風に思いました。

 昔からそうですが,MacはGUIを実装したOSの先駆です。それゆえポインティングデバイスがなくては成立しないマシンですから,ノートPCになってもそこは妥協が許されません。

 思い出して欲しいのですが,キーボードの手前にポインティングデバイスがあるというノートPCの「型」は,PowerBook100/140/170が元祖です。そういう切っても切れないポインティングデバイスとの縁を持つメーカーだからこそ,大胆さと慎重さを持っていて欲しいなあと思います。


(4)ACアダプタ

 45Wのアダプタは,数年前のMacBookのものに比べて一回り小型化されているようです。基本的な形状は変わりませんが,MagSafeは新しいものに代わっています。


(5)スタンバイ/ハイバネーションからの復帰

 「インスタントオン」という言葉で,IPhoneやiPadから取り入れた技術だといっていますが,正直なところそんなに大げさな話ではないと思っていました。

 私はMacBookProでも,電源を切ることはせずに,ほとんどの場合LCDを閉じてスタンバイにいれて使っています。

 これでも実用上問題のない素早い復帰が行われていて不満は全くありませんでしたが,MacBookAirの復帰の速さは,もう瞬時と言ってよいでしょう。

 電源ボタンでスタンバイに移行する手段については,電源ボタンを長押しをしないといけなくなった関係で軽快さは失われていますが,その分LCDをパタンと閉じる心地よさが癖になりそうなくらいです。これはきっと,日常的にスタンバイに誘導するというユーザー体験を目指しているんでしょうね。


(6)LCD

 グレアのLCDですが,良くも悪くもないという,普通のLCDです。ややピッチが小さく,文字は小さめに見えますので,慣れるまではしんどいかも知れません。

 それより,気になったのはLCDの周囲にある額縁の太さです。何が一番気に入らないって,この額縁は新しいMacBookAirの中で,最も不細工なものでしょう。銀色の縁が視野にぱっと入ってくる度に,志向は途切れ,がっかり感が覆い尽くしてしまいます。細かいことかも知れませんが,これは良くないです。

 スタンバイの所でも書きましたが,LCDの開け閉めは,もうため息が出るほど良くできています。軽いマシンですし,ラッチ機構もないLCDですから,パタンと閉じている力に逆らって開けるには,本体をもう一方の手で押さえておかねばならないだろうと思っていると,ちゃんと手前の切り欠きに指を添えて,上に引っ張り上げると,すすーっと心地よく開いてくれます。

 閉じるときはハードカバーの本を閉じるときのような「パタン」という音と共に,丸で吸い込まれるようにしまってくれます。LCDの周りに,ゴムのような突起物がぐるっと1周してあり,これが本体と接触することで,あの独特の感触が得られているのだと思います。

 閉じたときに片側だけ浮いているとか,閉じた後に少し開くなどの問題も全くありませんし,LCDを開いている途中の,トルクの変化も実になめらかで,本当にこの開け閉めだけは,心地よいです。


(7)熱

 いわゆるCULVノートに入るマシンですから,そんなに熱で大変とは思っていませんでしたが,ちょっと使った限り「あついな」と思った事はありませんでした。この薄さですから,熱源があればすぐに表面に出てくるはずですが,ほんのり暖かいとはおもったものの,熱いという感じはありません。重い処理をさせれば熱くもなるでしょうが,このマシンでそんなことをするのは,誤りでしょう。


(8)その他

 他に気付いたところですが,どうも無線LANの感度がちょっと弱いようです。切れるとか遅いとかそういう問題はないので気にする必要もないのでしょうが,両隣に並べたMacBookProと見比べて,レベルが1つ低いというのは,あまり気分のいいものではありません。

 あと,音についてです。決していい音だとは言えませんが,MacBookProやMacBookに比べて,「お,いいな」と思うような音になっていると思います。Macは起動音を1991年10月のQuadra700/900から現在のものを使うようになりましたから,20年近くこの音なんですね。

 耳慣れた起動音だからこそ,そのちょっとした違いには気が付くもので,正直なところこれだけ薄いMacBookAirから,これだけしっかりした起動音が出てくるとは思ってもみませんでした。


(9)まとめ

 上品さ,質感の高さ,ちょっとした触った感じ,剛性感という「モノ」としての上質さに,必要十分な演算能力を備えた,完璧な生活マシンです。

 生活マシンとしての完成度の高さを象徴するものに,SSDの全面採用があります。耐衝撃性,低消費電力というメリットは当然として,1.8インチのHDDの速度の遅さはあまりにひどく,これがマシン全体のスループットを下げている問題を,SSDによって綺麗に解決したという自信は,HDDを選べなくなったことでもわかります。

 それで,これが他のメーカーに出来たのかというとそこはやや微妙なところで,アップルがiPodやiPhone,iPadでどれだけ多量のNANDフラッシュを買っているか考えると,彼らと同じだけの価格で入手でき,かつ彼らと同じだけ調達出来るのかどうか,甚だ疑問です。

 アップルはSSDを全面採用出来ましたから,HDDのスペースを確保する必要ななく,SSDの専用設計ができました。美しく,高速で,低消費電力のモバイルマシンが高次元で実現しています。

 でも他社は,いろいろな事情からHDDを候補から完全に外しきれず,設計段階ではHDDもあり得るとして話を進めていることでしょう。これが割り切った,美しい設計の足かせになっていることは想像に難くありません。

 CPUのクロックを上げることも大事です。SDRAMの速度を上げることも大事でしょうが,なんといってもストレージの速度が「イライラ」を支配しています。ここを根本的に改善する方法が現実的になった今日,私は小型モデルこそSSDへの全面移行があるべきと思っています。


 さてさて,新しいマシンが届いたのはいいのですが,動いてしまえば長年親しんだMacOSXです。ゼロから環境設定を行うか,環境移行マネージャを使うか迷いましたが,64GBしかないSSDを上手に使うには,最初から環境設定を行うのがよいと考えて,現在設定中です。

 10年くらい前までは,こういう環境構築も楽しくて仕方がなかったものですが,今はもう面倒で面倒で。要するに結果だけ欲しいのよ,あるいは結果に至る操作感の良さに浸りたいのよ,という欲求はあっても,使えるようになるまでの下準備が,かつてあれほど面白いと感じた理由はなんだったのでしょうね。


 

本気のBluetooth,MW600

  • 2010/09/09 14:25
  • カテゴリー:散財

 散財が止まりません。

 今回は,まさに衝動買いをしてしまったBluetoothヘッドセット「MW600」です。

 ソニーエリクソンから今年5月末に発売され,神機としてカテゴリトップの売り上げを誇る人気機種です。お値段は少々お高く実売で11000円ほどです。

 ソニーエリクソンとしては実質この機種くらいしかお店にありませんので,メーカー別シェアを週単位で見てみると,この機種の在庫がなくなるとシェアは最低に落ち,入荷するとダントツのトップに躍り出るという,非常に売れている機種です。

 ヨーロッパで設計され,昔から海外では売られていましたが,Bluetoothヘッドセットがそんなに売れていない日本への導入はないものと思われていたなか,ちゃんとローカライズして発売されたわけで,発売前から随分と注目されていた商品でした。ですが私自身はそれほど興味を持っていませんでした。

 携帯電話をわざわざヘッドセットまで買って使いたいとは思わないこと,ワイアレスヘッドフォンとして使うにしても音質が悪く,遅延も発生するのに1万円の価値はない,すでにiPodもヘッドセットくらいの大きさになっているのにバカじゃないか,など,この商品と言うより,このカテゴリの商品について完全否定の立場でした。

 仕事柄無関係というわけにも行かず,しかしながら大した興味もないまま今までいましたが,ちょっとしたきっかけからMW600に触れる機会があり,その10分後には購入を決定,昨日の帰宅途中に寄り道して,たまったポイントで帰って帰りました。10800円でした。

 なにが突然琴線に触れたかというと,

・小さい・・・私の小指くらいの大きさです
・高音質・・・ノイズも小さく,音質も高いです
・ディスプレイ付き・・・有機ELのディスプレイに日本語表示!
・複数機器の接続・・・通話は携帯で,音楽はiPodでと複数機器に同時接続可能
・複数機器の登録・・・3台の機器までペアリング可能,簡単に切り替えて使える
・FMラジオ搭載・・・音質も良く,感度もよい
・長い電池寿命・・・音楽再生8.5時間,FMラジオなら11時間

 という点で,要するにこれまで私がBluetoothヘッドセットに対して抱いていたネガティブなイメージをすべて払拭したものになっていたからです。

 実際買って帰って使って見ても,この印象は全然変わらず,大変に満足な逸品となっています。

 とりわけ小型でも見やすいディスプレイの搭載は歓迎すべき点で,どんな状態にあるのかがわかりにくい機器のくせにディスプレイを持たず,LEDの点滅速度や回数で無理矢理表現しようとする従来のヘッドセットには反吐が出そうです。なにが悲しくて歩きながらマニュアル片手にじーっとLEDの点滅回数を数えないといかんのかと,私は以前から憤りを感じていました。

 小型機器だからこそディスプレイがいるのですよ,本来は。それをどうしてLEDで済ませるのか,そこまでユーザーの歩み寄りを期待するのは間違いじゃないのかと,そんな風に思うわけです。

 国内メーカーの国内設計品でもディスプレイを持つものはありますし,それはそれでそこそこ良くできているのですが,残念な事に曲名の表示がありません。それがMW600では曲名表示が日本語で可能というのですから恐れ入ります。

 実際に丸ゴシックで曲名が表示されると実に面白いのですが,本当にありがたいのは接続機器の切り替えがディスプレイでわかりやすく出来る事だったりします。いずれにしても,こういうややこしい,かつ他と繋がるもの商品だからこそ,ディスプレイは必須であると思います。

 しかし,ディスプレイがあるがゆえに甘えている部分もあるといえます。少ないキーに多くの機能を割り当てることが出来るようになったことは,説明書がなくては何をすることもできないという難しさをはらんでいます。MW600を手にした人は,単純にFMラジオを聴きたいなと思っても,説明書無しではまずもって不可能でしょう。

 ユーザーの努力と歩み寄りをここまで求めるヘッドセットですので,この難しさを乗り越えてまで「こいつでなきゃ」と思う人がターゲットユーザーになるということですから,なんでそんなに売れているのかと疑問も感じますが,やっぱり今のところ完全無欠であることは,少々の操作の難しさを覆い隠してしまうものであり,これは裏を返すと,それほどまでに未成熟な商品カテゴリだということなんでしょうね。

 欠点もあります。まず,多くの方が指摘していますが,ボリュームの調整を行うタッチセンサによるスライダの操作感は大変に悪いですし,不意に触ってしまうことも多くあります。普通にボタンにしてくれればそれで済んだことなのにという意見は,まさにその通りだと思います。

 慣れれば一応思い通りの操作もできますし,何ということもないのですが,iPodやiPhoneがあれだけ直感的に操作できるタッチパネルを持つだけに,問題があるなあと感じました。

 操作が難しく,説明書がないとなにも出来ない事も問題でしょうし,相手次第とはいえ,買って試してみないと日本語の曲名表示が出来る可動か不明というのも,消費者としては厳しいものがあります。

 ところで,私がこれを買った理由には,これが魅力的な商品であるということに加えてもう1つ,これくらい尖ったBluetoothヘッドセットはもう市場には出てこないんじゃないかと言う予想がありました。

 少なくとも,ソニーエリクソンからは,こういう個性的なヘッドセットは出てこないと思われます。噂では設計をしていた部隊がいなくなったそうで,この機種の後継も余程のことがないと絶望的でしょうし,この機種だっていつまで販売されるのか分からないように思います。

 この機種が尖っている理由は,そのシステム構成にもあり,多くのヘッドセットが採用しているヘッドセット用ワンチップICをわざわざ使わず,独自の構成で作り上げているのです。この世界標準のワンチップICを使うと,必要十分な性能のヘッドセットがささっと作れる一方で,どれも似たようなものになってしまいます。

 独自の構成で,と簡単にいうものの,Bluetoothは特に自力で作るのが難しいものですから,技術力がなければ本当にどうにもなりません。ソニーエリクソンには,そういう本物の技術力があったから,こうした他にはない面白い商品が作れたんでしょうね。

 まあ,他の会社から独自の構成により,個性的なヘッドセットが登場する可能性は大いにあると思いますので悲観的になることはないのですが,単純な通話だけのモノラルヘッドセットと違って,音楽を楽しむことを可能にするステレオヘッドセットについては,もっといろいろ面白いものが出てきても良いんじゃないかと,そんな風に思います。

 私が現在使っているSH-03Bでは,先程書いたように日本語タイトルが表示されます。通話も本体のみではなかなか面倒なところもあるので,ヘッドセットの導入は案外私の携帯電話との付き合い方を変えてくれるかも,知れません。

ZOOM H1を買いました

  • 2010/08/31 12:52
  • カテゴリー:散財

ファイル 400-1.jpg

 ZOOMのPCMレコーダ,H1を買いました。

 24bit/96KHzでの録音が可能なICレコーダとしては1万円を切る値段で話題になっていたもので,予約してあったものが先週末に届きました。

 なんといっても1万円ですからね,ちょっと本屋にいって気になる本を選ぶと合計で1万円近くになるのがざらだと考えると,この価格設定はかなり興味深いです。

 会議録音やお稽古事に使うICレコーダならもっと安いものもあるでしょうが,そこはエフェクタで定評あるZOOMの製品ですから,バンドの練習に使えたり,生録に耐える,素直な音での高音質録音が出来るようになっていることでしょう。そういうジャンルで1万円というのは,結構大したものだと思います。

 同軸上にマイクエレメントが置かれたX-Yマイクは70Hzあたりから可聴帯域をほぼフラットにカバーし,最大で24bit/96KHzのWAVフォーマットと,320kbpsまでのMP3での録音に対応,メモリカードはmicroSDで32GBまでサポートしていて,単三電池1本で10時間動作,USBバスパワーによる電源供給とマスストレージで直接PCにマウントと,およそ思いつく機能は盛り込まれています。

 これに加えて60gの軽量,小型,バックライト付きのLCD,小型モノラルスピーカを内蔵,三脚用のねじ穴を持っています。入出力は電源供給付きのマイクとライン入力兼用端子と,ヘッドフォンとライン出力の兼用端子があるだけです。デジタル入出力などはありません。

 特筆すべきは,その操作系です。設定をメニューから潜っていってLCDを見ながら操作するなどという面倒なことはなく,ほとんどがハードウェアによるスライドスイッチに割り当てられています。WAVとMP3ですら,スライドスイッチですからね。

 これはとても気に入りました。バタバタする録音の現場で,前回の設定から今回の設定に切り替えるのに,いちいち設定を潜って小さなLCDを見ながら操作するなど,とても面倒ですし間違いも起こります。

 数個のスイッチで全部設定できるなら,裏側にひっくりかえしてスイッチの位置を見ればいいだけですので,子供にだって操作できます。そうそう,これこれ,これがいいんですよ。

 確かに,脇腹の部分に押し心地の良くない押しボタンがいっぱい列んでいて,いちいち見ないと操作できないことには面倒な感じがあります。しかし,最重要機能である録音のボタンは中央に大きく配置され,その押し心地は抜群です。こだわったんだろうなあと思います。

 電源を入れると,microSDカードの認識が行われ,数秒間操作できません。感心したのは,その間がLCDのバックライトが点灯せず,録音可能な状態になってからバックライトが点灯するようになっていることです。

 操作できない間LCDの表示が全くないというならバックライトを点灯させる必要など全くないでしょうが,アクセス中を示す表示が行われているというのは,LCDを通じてユーザーに動作しない理由を説明したいわけであって,バックライトが点灯しないこととは矛盾するように感じます。

 しかし,バックライトが必要なる暗いところでは特に,アンバーのバックライトが点灯すると録音できるという印にすることで,ユーザーの操作はさらに直感的なものになるでしょう。一貫性も大事ですが,こういう機器からの意思表示も悪くありません。

 簡単に録音をしてみますと,なるほど,奥行き感は強く印象に残ります。こんなに手軽に空間的な音が録音できてしまったいいのかと思うほど,本当になにもしないで
高音質録音ができます。いろいろなことに使えそうです。

 気になったのは,ちょっとヒスノイズが多いことでしょうか。これは,録音側の問題なのか,ヘッドフォン出力の問題なのかわからず,録音データに入っているのかどうかも確かめていません。しかし,24bit/96kHzという従来フォーマットをはるかにしのぐ録音性能を持つ機器として,このノイズはどうなんだろうなと,ちょっと思いました。

 ・・・そういえば,どうしてこれを買ったのか,書いていませんでした。

 9月には毎年,東京Jazzというイベントが開かれます。有楽町の東京国際フォーラムで行われるJazzのライブイベントなのですが,今年も9月3,4,5日に行われます。

 世界のスーパースターが揃う大きなイベントがこんな近くで行われるのですから一度くらい行けばいいと思うのですが,人混みが苦手な引きこもりの私にはなかなかの苦行で,結局一度も足を運んだことがありません。

 そのかわり,NHK-FMが毎年中継してくれることを,楽しみにしています。

 ありがたいことに今年も生中継が予定されています。日曜日の朝11時から夜の11時まで,途中ニュースを挟んで12時間。金曜日や土曜日の様子も一部放送されるのだと思いますが,電波がオークションでやりとりされるこのご時世に,非圧縮アナログ放送のFM放送で12時間中継してくれるなんて,うるさい人が事実関係を知らないから可能になっているとしか思えない,とてもありがたいことだと思います。

 FM放送はそれなりに高音質なので,古くはDATで,ここ数回はMacで録音していましたが,どちらも連続録音時間に制約があるので,何回かにわけて録音をしないといけません。結局そばにいないとダメなわけで,楽しい反面,食事や風呂はどうするという問題に直面します。

 それでPCM録音可能なICレコーダを昨年あたりから物色していたのですが,デジタル入出力があるものを探すと高価になり,二の足を踏んでいました。

 うちにはちょっと高価なFMチューナがあって,これをDATのA-Dコンバータに繋いで,そのデータを録音するという仕組みを作りたかったからなのですが,1万円で24bit/96kHzが録再できるレコーダが1万円を切ると知り,もうそういうこだわりはやめたという次第です。

 FMチューナをライン入力でつないで,普通に録音しようとおもうわけですが,DATのA-Dコンバータは16bit/48kHzです。いかにSBMに対応しているとはいえ,24bit/96KHzのICレコーダのA-D変換能力がそんなに見劣りするようなものとは思えません。

 ファイルサイズの関係もあるので,無難にMP3で録音しようかと思っていますが,あと数日,いろいろ調べて本番に臨もうと思います。

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