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QuietComfort15を買う

  • 2010/01/18 15:47
  • カテゴリー:散財

 BOSEのノイズキャンセリングヘッドフォン,QuietComfort15(以下QC15)を買いました。アップルストアからWEBで購入,価格は値引き無しの39900円でした。即納だったので注文の翌日には届きました。

 なぜ,こんな高価なヘッドフォンを買う羽目になったのか,ですが,私の上に年末に引っ越してきた人の物音に,弱り果てているからです。

 今の部屋に入って8年にもなるのですが,これだけ物音の大きさにビクビクして過ごすのは初めてのことで,追い詰められるような恐ろしさにおびえているという感じです。

 もともと木造のアパートで,足音や扉の開け閉めが響くのは織り込み済みなのですが,かかとでドスンドスン歩く音がまず強烈で,天井の蛍光灯がビリビリと音を立てるほどです。最初は地震かと思いました。

 扉を閉めるときも,勢いよくパーンと閉めるので,それはもうすごい音がします。そしてじっとしていないらしく,ウロウロ歩き回るのですが,どこにいるのか手に取るように分かってしまいます。

 その割には夜は早く,11時に寝てしまうこともしばしばです。当然朝は早く,6時に起床,6時40分には出勤という感じです。私は8時まで寝ていられる恵まれた環境にあるのですが,仕方なく耳栓をして寝ていても,6時には必ず起こされてしまいます。

 どういうわけだか土日も出勤のようですし,出勤時間も帰宅時間もバラツキがあり,まだ規則性が飲み込めていません。二人いるときもあるようですが,平日は一人だけでいるようです。(ということも丸わかりなんです)

 自炊する人ではないようで,家にいるときでもお昼時と夕食の時間には1時間ほど外出してきます。

 てなわけで,まるでストーカーみたいな気分ですが,なにせ家にいても落ち着かず,一時食事も出来ないほどでした。12月の中頃から少しずつ荷物を運び始めたらしいのですが,その時から年末年始の間,毎日毎日不意にゴトゴトと音をさせ,その神出鬼没な攻撃に,さながらベトコンにおびえ心を病んでいくアメリカの新兵の気分でした。

 相手も悪気があってやってるわけではありませんし,朝6時の起床だって別に普通です。夜は早く寝てしまって夜中も静か,土日も不在が多いので,非常識と呼べるものは何一つなく,ただ,普通の足音が強烈だ,ということだけなのです。

 だから,苦情をいうのも難しく,ある程度の我慢は必要だろうと思う訳ですが,この部屋に来て8年,一人暮らしをはじめて15年になる私にとって,怖いと思うほど大きな歩く音は,未経験です。

 そういう歩き方をする人って,世の中にはいるでしょうし,今までそれで困ってこなかったのだろうから仕方がない気もしますが,誰かが下にいるかどうかを意識するまでもなく,いい大人が,大きな音を出して騒々しくドカドカ歩くということが,私にはみっともない事と思えてなりません。そういうことを気にしない親御さんだったんでしょうね。

 まあそれはそれとして,引っ越しをするにしてもすぐには無理,すでに会社から家に帰ることが嫌で,家にいてもずっと鼓動が早く,落ち着かない状況でいるのは体に悪いだろうと危機感が募っていました。

 寝るときは耳栓をして,かつ音が最も大きい扉の音から遠くなるように布団の向きを変えていますが,それでも目が覚めるくらいの音ですから,耳栓無しで過ごさねばならない起きている時間帯をどうにかしないと,もう参ってしまいます。

 そこで思いついたのが,ノイズキャンセリングヘッドフォンです。

 電子耳栓ともいうべき,最近流行っているこの電子機器ですが,私はかなり否定的な人でした。これは,電気の力を使って聴力を落とす機械です。不自然という直感的な気分が1つと,周囲からの情報を遮断するという事は,社会との関わりをカットするという意思の象徴的行為であり,それは自ら「孤独」を肯定し作り出しているという,究極の個人主義の形であると思ったからです。

 しかし,もともとノイズキャンセリングヘッドフォンは航空機の騒音をキャンセルして快適に過ごすことを目的に生まれましたし,戦闘機など軍事用途への応用では,パイロットの耳の保護が目的で採用されたりという,非常にまっとうな目的がその源流にあります。

 今回は,もう防ぎようのない「嫌な音」を防いで,心身ともに疲労するのを防ごうということですので,娯楽製品と言うよりも医療機器に近いという位置付けで,私は導入を真剣に考えることにしました。

 ノイズキャンセルヘッドフォンは今ブームですので,あちこちのメーカーから,高価なものから安価なものまで,それはもうたくさんの種類から選ぶことが出来ます。ただ,動作の確実な高価なものは実質2社で,BOSEとソニーです。

 ソニーは信号処理をDSPで行うディジタル方式で,実売が3万円ちょっとという感じです。性能の高さも定評があります。一方のBOSEはアナログ方式ですが,さすがに老舗ですし,30年もこの分野のリーダーだった会社ですから,作るものは確実でしょう。事実,BOSEのノイズキャンセリングヘッドフォンで,その消音効果に不満は一切耳にしません。

 BOSEではQC2,QC3,そしてQC15の3つが現在買うことの出来るものですが,QC3は耳の上から押しつけるタイプなので耳が痛くなり,長時間の使用には耐えられないと思われますので最初から除外。QC2とその後継のQC15になりますが,QC15は価格も下がり,電池も単4が1本であること,そして連続35時間動作するということで,申し分のない仕様です。

 私は,サーっというバックグランドのホワイトノイズがものすごく気になる人で,ノイズキャンセリングヘッドフォンがノイズを発生させてどうする,という笑い話に使うほどです。このノイズの大きさに関して言えば,ソニーの評判は今ひとつのようですが,対するBOSEは,最新のQC15についてはほとんど聞こえないとい話です。

 もう1つ,QC15は直販モデルなので,量販店では買えません。直営店では試すことも買うことも可能ですが,そんなにあちこちにあるわけではありませんし,もちろん値引きもポイントもありません。一方のソニーのものはどこでも手に入ります。この安心感というのは,心理的に結構大きなものがあります。

 散々悩んだのですが,QC15については悪い評判を本当に聞かないということで,もうこちらに決めました。あまり長い時間悩むことは,購入理由から考えて得策ではありません。とにかく急いで最高のものを手に入れることが,今回は重要なのです。

 BOSEの直販サイトへ行くと,納期が数日かかるという事で,次に探すのはアップルストアです。アップルストアではリアル店舗でも在庫があったりするそうなので,渋谷あたりに出向いてもよかったのでしょうが,24時間以内に発送可能ということで通販を使う事にしました。どのみち値引きもないのですから,もうどこで買っても一緒です。こういうのも気が楽なものです。

 さて,翌日届いたQC15,早速使ってみました。


(1)消音効果

 最初,すーっと周囲の騒音が消えたことに感心しましたが,私は耳栓をして眠る人なので,音がきこえないことを珍しがったり,とりたてて感動したりはしません。それで,実際に自分で扉の開け閉めをしたり,壁をコンコン叩いたりしてみましたが,どうもそうした音は良くきこえるんです。

 期待はずれかなと思ったのですが,そうした音を出していても,全然不愉快にならないことに気が付きました。

 つまり,私が嫌だと思っている低い音,特にドスンドスンという音については,確実に消えているんですが,扉が閉まるときのカーンという音や,人の話し声などはそれほど消えず,耳に入ってくるのです。

 また,近くで行われているマンションの工事の音も,ほとんどきこえなくなりました。特に重機のエンジン音は全くと言っていいほど聞こえず,金属があたるカーンという音くらいがきこえてくるので,工事をやっていることは分かりますが,不愉快な音は消えています。

 もともと飛行機のエンジンの音を消すために生まれたヘッドフォンで,特に不愉快な周波数の音を小さくすることが目的ですから,私が怖いとか不愉快と思う周波数成分を,きちんとカットしてくれているのでしょう。

 すべての音をカットしてしまうと,本当に周囲から切断されて社会性を失いますが,これは音として出ている情報のうち,人間が苦手な周波数成分をカットして,それ以外は聞こえるようにすることで,外部の状況を見失わず,また自我をきちんと保てるように絶妙な調整がなされているようです。

 技術的に全帯域を消すことも可能かも知れませんが,それこそ聴覚を失うに等しいわけで,外からの適当な情報の流入を防いでしまうと,その弊害の方が大きいはずです。QC15が見事だなと思うのは,ちゃんと外からの情報を通して使用者の実生活に支障のないようにした上で,不愉快だったり有害だったりする部分をきちんと消すことにあります。どこをどれくらい消せばよいのか,そこが各社のノウハウになるのでしょうが,QC15のそれはかなりのものがあるように思います。

 ここで,私はノイズキャンセリングヘッドフォンを,周囲の音を逆相で打ち消すという「音を消す装置」と思っていたことが間違いで,特定の周波数成分を取り除くものという認識に改めました。

 そもそも密閉型のヘッドフォンですので,スイッチをオフにしてあっても,かなりの音が遮断されます。だから,この段階でかなり情報量が落ちているとは思いますが,そこもまあ絶妙で,人の話し声や物音は消えません。

 不愉快な音の成分についてつらつら考えたのですが,危険な事,命にかかるような事が起きている,もしくは起きそうな時に出ている音に,どうも落ち着かないのではないかと思います。

 それはもう反射的な連想ともいえるのですが,例えば電話の呼び出し音や玄関の呼び鈴にどきっとしたり,扉をドンドンと叩く音に怯えたりという話は,実体験を持つ方もいらっしゃるでしょうし,そうでなくとも話くらいは耳にされたこともあるでしょう。

 そういう成分をカットすれば,安心して生活が出来ます。完全に音を消すとかえって危ないのは自明ですが,外で何が起きているかを知るくらいの情報はきちんと入ってきます。それがさらに安心と落ち着きに繋がります。


(2)バックグランドのノイズ

 ノイズキャンセリングヘッドフォンに付きものだったバックグランドのノイズですが,評判通りほとんど聞こえません。かなり優秀だと思います。


(3)装着感

 装着感も抜群です。パッドが柔らかすぎず硬すぎずで快適なこと,左右からの締め付けも適度で圧迫感は少なく,ヘッドバンドの位置もちょうど良いので,少々首を動かしたくらいでは外れたりずれたりしません。軽いこともあって,しっかり装着出来ている上に,付け心地もとても快適です。私はこれを4時間ほどしていましたが,付けていることを忘れるほどでした。


(4)音質

 音質については,私はそれほど求めていませんでしたから,まあどうでもよかったのですが,実際の所音を消してしまうと,テレビやオーディオの音はこのヘッドフォンを経由して聞くことになってしまいますから,実は音質は結構重要なポイントと言えます。

 QC15の音は,低音がやや強い傾向にあり,高域の伸びがないことと,解像度が低いことがまず最初に気になりました。ロックやポップスだと元気が良くてばっちりでしょうが,クラシックやジャズを聞き込むには,ちょっともの足りません。

 スタックスのヘッドフォンと比べるのも間違いですが,切れ味やスピード感は今ひとつな印象です。ですが,聴き疲れすることのない音で,中域の豊かさからくるボーカルの自然さには,とても心地よいものを感じました。

 加えて,ノイズキャンセルの効果も絶大で,静かな環境だけに良く音がきこえます。長時間の利用に対して,音で疲れるということが全くない味付けに,BOSEという会社のノウハウの高さを感じました。


(5)電池

 電池は前述の通り単4を1本です。QC2やQC3が専用の充電池だったことを考えると,非常に望ましい進化です。1本で35時間ということですから,1週間くらいはつかえるでしょう。私は付属のアルカリ電池がなくなったら使おうと,エネループを用意しました。


(6)外観,デザイン,質感

 外観は見たままですが,シルバーが目立つデザインはちょっとぎょっとするので,もう少し落ち着いたデザインにして欲しいと思いました。質感はもともと軽いこともあり,値段よりもちゃちに感じます。ソリッド感がないというか,しっかり感がないというか。決して悪いレベルではないのですが,中国製だといわれれば,その通りかなと思う感じでしょう。


(7)ケーブル

 ケーブルは160cmほどもあり,結構長めです。細いので取り回しは楽な方ですが,それでもテレビやPCに繋ぐと視野にケーブルが入ってきます。手に引っかかりそうで面倒臭いです。また,席を離れるとき,トイレに行くときなど,足先まで届くほど長いケーブルですから,はっきりいって邪魔です。

 大事な事なのですが,ケーブルを本体から外して使えます。本当に電子耳栓として使う事ができるのです。ケーブルが長いのは,ケーブルを外せるようになっているからだと思います。

 なお,ケーブルが外せるようになっているとはいえ,本体との接続は特殊な4極のプラグで,接続機器のインピーダンスに応じてゲインをHとLで切り替えるスイッチもついています。

 私がヘッドフォンを消耗品と考えるのは,ヘッドフォン本体は壊れてなくとも,ケーブルが壊れてしまって使えなくなってしまうからです。せっかく耳に馴染んだヘッドフォンですので手放すのは惜しく,その点プロ用のモニタヘッドフォンには,ケーブルを交換可能にしてあるものもあります。

 QC15もケーブルだけ別売りで購入可能ですので,長く使えそうです。


(8)付属品

 キャリングケース,飛行機の座席にあるジャックを変換するアダプタくらいのものです。キャリングケースは収まりも良く,使いたいと思ったのですが,ヘッドバンドの長さを最も短い状態にしないと収納できず,いちいち調整をしないといけないのは面倒なので,普段使いでは使わないことになりそうです。


(9)まとめ

 実は友人がWalkmanのXシリーズを持っており,週末これに搭載されているディジタルノイズキャンセリングを試してみる機会がありました。

 比べてみると,QC15よりも消えた音の成分が多いという印象です。嫌な低音もしっかり消えていますし,それ以外のものがぶつかる甲高い音も,室内モードに設定するとQC15より良く消えている感じがします。ノイズはやや多いのですが,気になるほどのレベルではなく,かなりよいと感じました。

 しかし,ノイズキャンセリングを行ったときの違和感というか,位相のズレのような感覚というのは,QC15以上のものがあります。QC15はすごく自然なのですが,ソニーのものはちょっとねじれたような感覚がありました。打ち消し用に作った波形の位相の違いでもあるんでしょうか。

 慣れの問題もあるとは思いますが,とにかく私はソニーのものは長時間はきついと思いました。QC15の情報の整理の仕方や装着時の違和感のなさ,快適さは,まさに特筆すべきものがあると思います。

 果たして4万円の価値があるか,といわれれば,これは難しいです。耳を大きな音から守る必要があるとか,工事現場が近く半年ほど毎日騒音に悩まされるとか,物音がうるさくて集中できないとか,そういう状況では確実に意味があると思います。

 特に,ノイズキャンセリングという機能に必要性がある人というのは,長時間の装着が避けられない人も多いことでしょう。装着感が優れていることは必須ですし,音も聴き疲れしないようになっていることは,長時間使用にとって最低限欲しい性能です。

 私自身は,これまで自分の部屋の真そばの3方向がマンションの工事だったことがあり,特に重機のディーゼルエンジンの音に随分と悩まされてきました。それがこれでスカッと消えたわけですから,どうしてもっと早くにこれを買って幸せにならなかったのだろうかと,後悔をしています。

 相手が原因で発生した不愉快に4万円かけて対策するという事に抵抗のある人もあるかと思いますが,相手に落ち度がなく,また社会というのは持ちつ持たれつな所がありますので,むしろ4万円くらいで問題が解決するなら安いものといえるかも知れません。

 最後になりますが,例えば子供の騒ぎ声が不愉快だからとこれを買っても,おそらくそれほど消えません。きっとがっかりすると思いますが,それを消さないこともBOSEのノウハウだと思うしかありません。また,これを装着して外出すると,音はそこそこ聞こえるので油断しますが,危険を察知するのに必要な成分の音が消えていて,エンジンの音とか電車の音などは消えて危険ですから,基本的に装着して出かけないことをおすすめしておきたいと思います。

 ところで,ケーブルの長さに面倒臭さを感じたときは,Bluetoothでワイヤレスにするとばっちりです。私も地デジマシンのUSB端子にドングルを取り付け,手元のステレオヘッドセットを使ってワイヤレス環境にしてみました。

 結果は上々で,もうあのケーブルをだらだら引っ張ろうとは思いません。ヘッドフォンを自由に選んで使えるステレオヘッドセットはまだ少々高価ですが,QC15との組み合わせは本当に快適です。

買ったぞラムダッシュ

  • 2010/01/08 15:19
  • カテゴリー:散財

 正月に実家に戻った際,しばらくぶりに顔を合わせる弟と少し話をしました。実家までの途中で梅田のヨドバシに寄り道し,そこで髭剃り(とガンプラ)を買ってきたといいます。

 見るとそれは,昨今あちらこちらで目にするパナソニックのラムダッシュ。自動洗浄ではないタイプですが,基本仕様は最上位機のものと同等で,そのそり味は最高のはずと息巻いています。価格は2万円ちょっとという話です。

 なぜそれを?と尋ねると,彼はアトピーがひどくなり,医者から化粧品などの刺激物は厳禁,ヒゲも剃るな,と無理難題を突きつけられて困っていたそうです。しかしヒゲを剃らないわけにはいかず,肌に優しい髭剃りを探したところ,このラムダッシュに行き着いたというのです。

 私も彼もそうですが,ヒゲが濃いほうなので,深ぞりを求めてずっとブラウンのユーザーでした。しかしブラウンは肌への負担もそれなりにあり,私などは下手をすると血が出ることもあるほどです。切れ味と肌への負担は両立せず,どちらを重視するかで振動式と回転式を選ぶというのが,私の固定観念でした。

 ところがここ数年でパナソニックのラムダッシュが,その両立を果たしているという噂がチラホラと聞こえるようになります。髭剃りの世界はブラウンかフィリップスというヨーロッパ信仰が根強く,国産は電池で動く安物か,中途半端で無個性で,つまるところこだわりのない人が買う無難なもの,というイメージも私にはあります。

 そういえば昨年のタモリ倶楽部でも,フットボールアワーの岩尾さんがラムダッシュを絶賛していました(過去の最上位機種が木目調でセルシオみたいだったというのが笑えました)し,さすがに私もちょっと気になっていました。

 それにしても,あの醜悪なデザインはどうか。

 まるで蟻の頭のような大きなヘッドに,不気味な曲線で作られた細身のボディ,自動洗浄機の「いかにもパナソニック」といった何の変哲もないデザインとの不釣り合い加減。タモリ倶楽部での実演でも改めて分かったのですが,使っている様子があんなに滑稽に見えるとは。ついでにいうと,意味不明な「ラムダッシュ」というネーミングがこっぱずかしくて背中がむずむずします。

 一方で,私のブラウンの中級機種(BS7630)は購入から7年が経過し,電池も弱ってきていてそろそろ買い換えないといけないという切迫感がありました。それを見越して刃も2年近く交換していていないので,切れ味も最悪になっています。ここで機種選定に迷うくらいなら,もう1回だけ刃を交換しようと電気店に向かったのですが,弟のしたり顔と「いやー最高やな」という感想が,妙に気なり出しました。

 この際だし,買うか,ラムダッシュ。

 帰り道の家電量販店でふらふらと髭剃り器のコーナーを見ていると,弟が買った値段と同じくらいで売られています。私は以前のブラウンで憧れだった自動洗浄を買い,そこで期待以上の満足感を得た人なので,今回も自動洗浄モデルしか対象に入っていません。

 弟が言ったように,自動洗浄は通常モデルよりも6000円ほど高いのですが,毎日,しかも長く使うものだからこそ,自動洗浄は必須だと思っています。後で6000円足して自動洗浄に出来るわけでもないので,ここで迷う奴はチキンだと言い切ってしまいましょう。

 ということで,結局自動洗浄付きのES-LA72を購入。26800円でした。実はamazonで買うともう3000円も安いです。ヤ○ダ電機が安いなんてのは絶対ウソだと思います。

 まだ使い始めて数日ですが,こういうのは初期の印象がすべて。ファーストインプレッションを書いてみたいと思います。なお,そもそもオッサンの髭剃りの話ですので,綺麗なものではありません。ご了承ください。


・使い方

 これまで使っていたブラウンのものは3枚刃で前後対称でしたが,ラムダッシュは4枚刃で,前後は非対称です。ということは常に向きを意識して動かさないといけないので,これまでの調子で髭剃りを動かすわけにはいきません。これがなかなか難しく,これまでのようにスムーズに動かせません。

 この辺は慣れだと思うのですが,同じ振動式だと思って買い換えると,この違和感の大きさに驚かれると思います。

 印象としてはブラウンは線接触,ラムダッシュは面接触,これくらいの違いがあるように感じました。


・そり心地

 これはもう抜群です。噂に違わずと言いますか,2万円そこそこでここまで見事にそれるとは,日本人がこだわる民族だという事を再認識させてくれます。このそり味のためにヘッド部分に毎分14000回振動する小型リニアモーターとヒゲをつまみ出す振動モーターを2つも入れたわけですが,結果としてあの不細工なデザインです。設計者がそり味だけを追い求め,それ以外の要素に目もくれなくなっていく姿が目に浮かびます。この熱いこだわりっぷりこそ,日本人の仕事です。

 切れ味も爽快ですし,ヒゲの濃い部分にさしかかってもモーターの回転数が落ちない蹂躙っぷりも見事です。ヒゲの悲鳴が聞こえてきます。

 深ぞり性能も従来のブラウンのものとは比べものになりません。たぶんヒゲの伸び方からいって,2,3時間分は深く剃れているのではないでしょうか。


・肌への負担

 これこそ声を大にして言いたいところで,本当に肌への負担がありません。肌が全然痛くありませんし,ささくれだったりザラザラになったりもせず,本当にヒゲだけが切り取られたような感じになっています。

 これは2つの理由があるように思います。1つは切れ味がそもそもよいこと。もう1つはヘッドが大きく肌に触れる面積が大きいため,圧力が分散するということです。

 持ち方もあるのですが,気が付くとこれまでのように,ぐっと力を入れて押し当てていません。力を抜き,まるでなぞるように顔の表面を滑らせていくことが,とても自然に出来るようになっています。

 良く剃れるから余計な力を入れないし,しかも面で受けるから本当に肌に負担が小さくて済みます。また,深ぞりが出来るということから何度も何度も同じ場所を剃ることもなく,そういう点でも肌が傷まないようです。

 あと,内刃の往復速度が圧倒的に速く,ヘッドを動かす速度が高速でも十分深ぞりが出来ます。ブラウンの場合,あまり早いとそり残すのでゆっくり動かすのですが,結果として強く押しつけることにもなり,肌への負担が大きいのでしょう。

 それと,これまでずっと電気カミソリ用のプレシェーブローションを使ってきたのですが,これはやっぱりそり残しが減るからで,ラムダッシュに切り替える際,後述する洗浄液が汚染されることを避けるため,使わないようにしました。しかしそれでも全然剃れるのです。ローションを使わないで済むため,ますます肌が荒れなくなったということもあると思うのですが,こういう効果も期待できることを付け加えておきます。


・自動洗浄

 ラムダッシュというとその髭剃り性能に注目が集まりますが,私はあえて自動洗浄について考察したいと思います。

 結論から言うと,これはブラウンの方がよいです。ブラウンでは潤滑剤入りのアルコールで洗浄しますから,脂質も汚れも綺麗に落ち,殺菌能力も高く,嫌な匂いとは全く無縁です。また,洗浄後に乾くまでの時間も短く,洗浄中はアルコールのほのかな匂いが心地よいです。

 それに,カートリッジの交換ですべての液体とこれを蓄える機構が新品に交換され,しかも液体が通る途中の経路もアルコールという揮発性の液体が通るため乾きが早く,非常に清潔です。

 この点はなかなか重要だと思っていて,そもそもアルコールですから腐敗することもカビが発生することもないでしょうが,定期的にタンクも交換される仕組みというのは,タンク内部の衛生状態を気にしなくても良いという大きなメリットがあります。

 一方のラムダッシュですが,本来をウォッシャブルにした上で,水道水に専用の洗浄剤を溶かす形で洗浄液を作り,これを循環させてカートリッジ内部にあるフィルターでヒゲくずを集める仕組みです。いうなれば,洗浄能力は本体の「水洗いOK」によって成し遂げられており,自動洗浄機は洗剤を溶かして循環させ,ゴミを集める仕組みに過ぎないといっていいでしょう。ブラウンでは本体は水洗いできませんから,自動洗浄機によって文字通り洗浄されるという点で,設計思想からして異なります。

 メーカーの話では,アルコールでなくても同等の洗浄能力,殺菌能力があるということで,引火やこぼした場合の始末の悪さというデメリットの大きなアルコールを使わず,あえて安全な水を使う方式を選んだというのです。

 ただし,ブラウンがユーザーにほとんど気を遣わせずとも高い洗浄能力を実現しているのに対し,ラムダッシュは他の液体や薬剤,例えばシェービングローションとか他の洗浄剤,水気などが洗浄液に混ざると洗浄力が落ちたり雑菌が繁殖するため,それらをよく落としてから自動洗浄しなければなりません。

 さらに,そういう面倒な洗浄液を使っているにもかかわらず,タンクは洗浄機に存在していて,交換するわけではありません。カートリッジのフィルタが限界までヒゲくずをため込んだら,カートリッジの交換と一緒に,タンクから洗浄液を捨てる必要があります。そして,そのタンクは言うまでもなく再利用され,綺麗な水道水に入れ替えて洗浄機にセットされることになります。

 タンクは小さな口が開いているだけで,内部を洗浄できません。水に洗剤が溶けた洗浄液が1ヶ月もそこにとどまり,しかも不潔なゴミが溶け込んでいるわけですから,いずれ汚れて不衛生になることは避けられないでしょう。

 水がベースですので,乾くのにも3時間近くかかりますし,洗浄液が通る経路については,例えば冬場などはずっと濡れたままになることでしょう。私は,これはどう考えても気持ち悪いと思います。

 現時点では別に問題はありませんが,それでもブラウンの場合はさわやかな香りがしており,鼻の下を剃るときなど心地よいものですが,ラムダッシュはさわやかな香りもしません。大したことではないように思えるのですが,こうしたちょっとした心遣いというのが,ラムダッシュにはないように思います。

 まあそこは,自動洗浄を最初に実用化し,それをセールスポイントとして君臨するブラウンと,あくまでそり味に力点が置かれ,自動洗浄はどちらかというと営業面からの機能というラムダッシュとの,決定的な差だと思います。

 なお,私は実家にブラウンの水洗いOKの下位機種を常備しており,帰省の度にそれを使うのですが,ハンドソープでいくらしっかり洗っても,どうしても出てしまう洗い残しが原因で,あのいやな匂いを消すことが出来ません。

 これが自動洗浄になると全く臭わないのですから,やはり効果は絶大です。ラムダッシュでは水洗いOKの本体を自動洗浄するのですから,洗い残しなど出ないくらいしっかり洗浄してくれるのだろうし,殺菌も行うので匂いは出ないでしょうが,果たしてその洗浄液とタンクなどの機構がどれくらい衛生的に保たれるのか,ちょっと心配です。

 これはもうしばらく使ってみないとわかりませんね。

 ただ,いい面もあります。カートリッジが液体を含まないので,小さく軽いです。ブラウンのカートリッジは大きく重いので,買うのがはっきり言って面倒です。タンクごと廃棄しないので発生するゴミも(体積は)少ないです。


・充電

 ブラウンのものがニッケル水素電池であるのに対し,ラムダッシュはリチウムイオン電池です。電池の性能が圧倒的に良いことが,あのそり味に少なからぬ役割を果たしていると思いますが,充電も1時間で完了という素早さに加え,自己放電が少なく,メモリ効果もない上,小さく軽いというメリットの多い電池が採用されたことは大変意味があります。


・消耗品とコスト

 これまで使っていたブラウンの交換刃は内刃と外刃のセットで定価5775円です。1年半ごとの交換が推奨されています。一方のラムダッシュは4枚刃であることもあってか,内刃と外刃のセットで定価で7665円と高価です。しかも外刃は1年,内刃は2年が寿命です。

 もっとも,ブラウンだって最新機種のものはもっと高価ですから単純比較は出来ませんが,外刃は1年ごとの交換,内刃は2年ごとの交換が必要とあり,どちらの場合でも内刃と外刃の寿命を完全に使い切ることになる6年間でかかった交換費用は,ブラウンが5575円を3回で16725円,一方のラムダッシュでは内刃と外刃を2回,外刃だけを3回買うことになるので31395円と,倍近くかかります。いやー,これはかなりでかい差です。

 もし,ラムダッシュも18ヶ月ごとに内刃と外刃の両方を交換するとすれば,22995円となり,1.4倍程度まで小さくできます。外刃を毎年交換するというのは,なかなか負担が大きいことがわかります。

 参考までにamazonの実売価格で,どちらも18ヶ月ごとの交換を行った場合,6年後にかかった交換費用を計算すると,ブラウンが4158円の3回で12474円,ラムダッシュが5742円の3回で17226円で,1.38倍となります。

 また,ブラウンの現行機種で考えると,内刃と外刃のセットのamazonにおける実売価格が5663円ですから16989円となり,ほとんどかわりません。

 他方,自動洗浄用のカートリッジですが,どちらも約30日ごとに交換が必要ということで,3個入りの価格がブラウンの場合で実売価格は約2000円,ラムダッシュでは1800円程度ですので,これはそんなに変わりません。

 といいつつ,年間で7200円,6年では43000円もかかりますから,ばかにならないものですね。


・まとめ

 なによりそり味は最高,肌への負担は極めて小さく,いいことずくめのラムダッシュですが,ランニングコストは改めて計算すると結構大きいことに気が付かされます。それが抜群のそり味と引き替えになっているということでしょうが,購入前には本体丸ごとの買い換え周期も考える必要があったかも知れません。

 髭剃り器は本体を新しくすると,消耗品も高価になります。古い機種で満足であるなら,古い機種でも刃の入手は難しくありませんので,その時の価格で販売が続いている刃を交換して使い続けるのも,お得だったりします。

 そういう点で言うと,新しい髭剃り器への買い換えを安易におすすめできませんが,より深く剃る,より肌に優しい,という基本性能の向上の大部分を刃が担っていることを考えた上で,今より良いものを求めるならコスト負担を覚悟して買い換えると,納得のいく結果が得られるように思います。

不況箱2010

  • 2010/01/06 11:08
  • カテゴリー:散財

 毎年毎年被害者を出している秋葉原のPCパーツ店,クレバリーの不幸袋。福袋ではありません,不幸袋です。

 販売開始から毎年すぐに完売してしまうという,その筋ではよく知られた人気商品ですが,あくまでネタとして人気なだけで,入っているものは本当にゴミです。クレバリーにしてみれば,毎度ゴミだと言っているのになぜか完売するので調子に乗ってしまったのでしょうが,今年はわざわざの話題づくりに躍起でした。

 いわく,稟議書を書いて予算を取っただの,数を増やしただの,ネットブックやCPU,DVD-Rのメディアなどそれとを分かるようにモザイクをかけてホームページに掲載してみたりだのと,今年は違いますぜ,と必死にアピールしていました。

 その甲斐あってか,各種ネットニュースでも紹介されました。

 かくいう私も,不幸袋にはなんどか手を出しそうになり,売り切れという結果にいつも命拾いをしてきた幸運な男なのですが,今年はちょっと違う,にすっかりだまされてしまいました。

 12月22日の夜9時から販売開始だったのですが,当日の私の帰宅は10時ごろ。もう完売しているだろうと思ってホームページを見てみると,まだ販売しているようです。もしやと思いカートに入れようとするとサーバーエラーが返ってきます。

 どうも,アクセス集中で,先に進めないようです。

 友人にもお願いし,二人でカートにいれようとしましたが全然ダメ,友人にはもう結構だとお断りをいれ,私は私で風呂にいってビールをのんでいました。

 12時過ぎにちょっと気になって覗くと,まだ販売中です。公式のtwitterによると,まだ20個ほどしか売れていないとのこと。アクセスが集中してやはり先に進めないようです。完売したというデマはこれで沈静化しました。

 こうなってくると,買えなかったら不幸になるような気がして,とにかくカートにいれてみます。何度か粘ってようやく入ったのですが,購入手続きでまたエラー。カートに入れるところまで戻され,再び苦労してカートにいれるとカートには2つ入っている有様です。

 それで1つ減らそうとするとまたエラー。こんなことを延々繰り返して,時刻は夜中の3時です。

 狭い関門を何度も突破し,激しい競争を勝ち抜き,希有な確立でようやくたどり着く,まるで卵子に群がる精子の気分で,リロードを繰り返します。

 blogやtwitterを見ていると,次々と「もう限界だ寝る」と同志達が脱落していきます。彼らの死を無駄にすまいと私はさらに頑張ります。しかして決済完了が3時半。やりました。敵の本拠地は陥落しました。

 送り先を1月1日にいるはずの実家にしようと思っていましたが,サーバがこんな状態ですので登録済みの自宅の住所に送ってもらうのがやっとでした。弟も実家に戻っているはずなので,年明けのネタとしてぴったりだとおもったのですが,やむを得ません。

 結果的に不況箱2010は,実家に届いたとしても,全く笑えるものではなかったことを,その数日後に思い知る事になります。

 さて,勝利の美酒に酔い,心地よい朝を迎えた私は,決済完了のメールを確認し,激しい闘いの繰り広げられたホームページをなにげなく見に行きました。


  國破れて 山河在り
  城春にして 草木深し
  時に感じて 花にも涙を濺ぎ
  別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
  峰火 三月に連なり
  家書 萬金に抵る
  白頭掻いて 更に短かし
  渾べて簪に 勝えざらんと欲す

 無茶しやがって・・・顔を見たこともない同志達の顔が次々に現れては消えていきます。

 そんなこんなで12月25日には発送連絡があり,1月1日に代引きで届く佐川急便の荷物に,2997円を払うよう案内がありました。そう,この不況箱は2000円という安価な箱なのです。この段階で気が付くべきでした。

 そして実家で年末年始を過ごし,1月2日に自宅に戻った私は,1日遅れで不幸箱2010を受け取りました。

 ネットブックなど金目のものは入っていない(ということはこれから出るだろう),DVD-RやSDカードなどはポロポロと報告がある(ということはこのくらいの商品は普通に入っているはずだ)という程度の話は事前に気になって調べていたので,ワクワクして箱をあけます。箱が心なしか軽すぎることは,この時の私にはなんの警戒心も与えませんでした。

 あけて目に付いたのは,梱包材の紙。大量の紙です。ここでさすがの私も,不幸な未来がチラチラ見えるようになります。

 数十秒後,おそらく最低ランクの内容に,私は意識を失っていました。

 ・WEB2.0を極める(クソソフト,ベ○ト電器の値札付き)
 ・ナンバープレイスxペン(クソソフト,ビ○クカメラの値札付き)
 ・子供用サンダル(きもい虫のイラストつき)
 ・第2世代iPod nano専用アルミケース(今さら第2世代専用って)
 ・iWalk(第2世代iPod nano専用ヘッドフォン,どうしようもない)
 ・スキミングブロック(おサイフケータイに貼り付けるらしい)
 ・うちのこ登場!アンパンマン(絶句)

 「うちのこ登場!アンパンマン」は,ほぼ全員の箱に入っていたもののようで,一通り内容を紹介した後,最後に「そしてアンパンマン」と書くのが決まり事になっていました。今回の不況箱2010においては,この「アンパンマン」を全部の箱に入れたと言うことが,クレバリーの唯一の成果だったと言えるかも知れません。

 私としては,別にネットブックが欲しかったわけではありません。でも,PCパーツショップが用意した話題の商品で,PCパーツがゼロというのは,これはさすがにいかがなものかと。

 そもそも2000円ですから,笑って済ませることにしたわけですが,他の人の報告を細かく見ていくと,おでん缶やDVD-Rのメディア,SDカードなど,それでも1つくらいは使い物になるものが入っていたようです。

 メイド服や訳のわからんキーホルダーなど,本当にどうしようもないものも報告されているようですが,クレバリーの客層から言ってソフトの不良在庫以上のゴミはなく,それらが大きな顔をして箱の中に納まっているのを見ると,ふつふつと怒りがこみ上げてきます。

 かといって,あたりとされているフロッピードライブやらサウンドカード,マザーボードなどが入っていても使い道はないし,サーバー用やモバイル用のCPUなどでも困ったでしょうが,それでもPCパーツですからうれしかったでしょうね。

 数年前のとある地方都市のホームセンターが用意した福袋には,割り箸と爪楊枝が箱いっぱいに入っていたそうですし,それに比べればまだましなのかも知れませんが,そもそも福袋というのはそのお店に対する忠誠心から購入に至る商品だったりするので,福袋を作る側の面白さだけで安易にやっちゃうと,取り返しが付かなくなるように思う訳です。(AppleStoreのLuckyBagもしかり,です)

 手伝ってくれた友人はこの無残な結果をみて,「少しとはいえ協力して損した」と死者にむち打つ暴言を吐き捨てました。返す刀で「メイド服なら着てあげたのにねえニヤニヤ」と,そんな気などさらさらないのに,なお私にたたみかけます。「妹さんに着てもらった方がいい」と言い返すのが精一杯でした。

 ずばり,ゴミが大きな箱で送られて来ただけの話でした。友人の「反省した?」に,私はただ黙って頷くしかありませんでした。

 中にはお金を佐川さんに払う前に外で待たせ,開封して中身を確認してから「受け取り拒否」した強者(というかこれはさすがに人としてどうかと)もいたそうですし,これだけ焚き付けておきながらまともなものが入っていない上,某掲示板には明らかにウソと思われる大当たり報告が書き込まれていたりで,店員さんが抜き取ったんじゃないかとか,そもそもあたりなどなかったんじゃないかなどと,その界隈ではちょっとした騒ぎになっているようです。

 店員さんのtwitterでの書き込みが「客をバカにしてる」と怒りを買っていたりするようですし,こういう後味の悪い祭りは,どちらにとっても損だと思うのです。

 例年のように冗談と分かって買う人だけなら「またやられたぜセニョリータ」で済んだだろうと思うのですが,今年は話が一般人にも広まったことで,普通に怒る人が出てきてしまったことは,クレバリーとしても誤算だったんじゃないでしょうか。決してクレバリーにもいい話ではなかったはずですよ。事実,kakaku.comはひどい有様です。

 サーバの不調で一晩中リロード続け,あげく結局買えなくて悔しい思いをした人が一番得をしたというオチは,ちょっと悪ふざけが過ぎたんじゃないかなと,苦言を呈しておきます。こういうのは,ほら,泥を塗りつけるお祭りがあるでしょう,あのくらいにしておかないと。

 それで,ゴミはゴミらしく,さっさと捨ててきれいさっぱり忘れよう,と思ったのですが,その友人の妹さんのiPod nanoが第2世代であることが判明,ケースを差し上げる事になったのですが,ネタとしてiWalkとアンパンマンもご所望とのことで,躊躇なく差し上げました。Web2.0は断られたことを付け加えておきます。

 それにしても,限定200個といいつつ追加したそうですし,トータル300個として2つ2000円だと一晩でざっと60万円の売り上げですか。それも代引きだから現金みたいなもんですし。原価なんてただ同然でしょうから,確かにこれはやめられませんよね。でもね,一応,他店の値札は同業者への気遣いの1つとして,面倒でもはがしておきましょうよ。

アメリカンなハンディクリーナを買う

  • 2009/12/09 16:20
  • カテゴリー:散財

 工作をするとゴミが出ます。切りくずや削りカスなどは掃除機がないと片付かないわけですが,私の掃除機は15年ほど前に買った何の機能もない無骨な掃除機でして,これを引っ張り出すのがいつも億劫でした。

 そもそもゴミを出さないように工作すればいいのですが,ゴミごときに気を遣って集中できないのも男としてどうかと思いますし,それが作品のクオリティを左右するなら本末転倒です。汚れないように泥遊びをしろと子供に言ってもかわいそうでしょう。

 泥遊びをする子供と同じレベルを脱せず,自分が大人であることをすっかり忘れていていた私は,大人の責任を果たすべく,手軽にゴミを片付けられる方法を模索していましたが,1つの解決策がハンディクリーナの導入です。

 ・・・またおかしな理由を付けて散財か,とか思わないでやってください。

 いや,数年前からハンディクリーナを探していたのです。しかし,まだ実家にいたころの経験で,コードレスタイプは吸引力が弱く結局使い物にならない,ACタイプは吸引力は十分だが機動性に欠け,しかもケーブルが邪魔で片付けるのも面倒,ということで,どっちも次第に使わなくなってしまいました。だから非常にネガティブな印象しかないのです。

 そんなおり,なかなか良さそうなハンディクリーナを見つけたので買うことにしました。ブラック&デッカーというメーカーの,Z-PV1000という機種です。

 PV-1000といってもカシオが1980年代初頭に出していたゲーム機ではないですよ。2006年に登場したサイクロン式のハンディクリーナです。

 ブラック&デッカーという会社は日本では馴染みもないですが,本国アメリカでは有名なDIY関連の道具のメーカーで,日本で言うならリョービとかマキタとか,そのあたりの感じでしょうか。

 Z-PV1000は,吸込仕事率26Wとそれなりに強力であること,電動工具ではごく普通に行われている12Vという電源電圧を誇らしげに謳っていること,4時間充電で10分使用可能というスペックはハンディクリーナとして実用上なんとかOKであること,吸い込み口が回転して使いやすそう,そういえばサイクロン式って私は使ったことが一度もなかった,ということで,この機種を選びました。

 そうそう,価格もなかなか手頃で,安いお店では5000円ちょっとです。私の場合,ALESIS micronを買ったときに約1800円分のポイントがもらえたので,このポイントが使えるお店を探した結果,6300円で見つかりました。最終的にポイントを充当して4500円ほどを支払い,数日後に届きました。

 届いたZ-PV1000の印象です。

・結構大きい
 丸みを帯びたデザインなので小さく見えるかも知れませんが,床に置いて遠目に見ると結構存在感のある大きさをしています。ちょうど香箱を組んだネコくらいの大きさでしょうか。
 充電はスタンドに立てて行うのですが,立てるとこれまた結構な存在感があります。スタンド置き場所は慎重に考えた方がよいでしょう。

・結構重い
 見た目以上に結構重いです。絶対的な質量よりも,ノズルを伸ばした時の全長が長いため,手首だけで上下左右に動かすと結構力がいります。それもあってか無意識のうちに強く握りしめているようで,使用後に手に力が入らなくなるほどでした。
 ただ,重量バランスはよく考えられていますし,モータが横置きされており,回転によるモーメントの発生方向が左右ではなく前後なので,持ちにくいという印象はありませんでした。

・結構難しい
 別に操作が難しい,というわけではないのですが,先程の若干重いこと,大柄なので狭いところで苦労することもあって,ノズルが狙った所にさっといかないのがもどかしいです。
 前述のように,全長が長いことで振り回すのが大変な上,ジャイロ効果もあって,手首にぐぐっと力が入ってしまうのだと思います。

・結構うるさい
 26Wの吸込仕事率だけに,音はかなりうるさいと思います。騒音に対する配慮が全くないのではないかと思われる,遠慮のない出方です。
 が,無骨な掃除機を長年使っている私にすればこんなもんだと思います。ちなみにZ-PV1000はハンディクリーナとしては珍しく,強弱の切り替えがあります。弱ならそれほど目くじら立てるほどのものはないと思うのですが,常識として深夜には使うべきではないでしょう。

・結構電池が持たない
 約10分の使用時間ですから,それを前提にした使い方をするべきなのでしょうが,良く吸い込むハンディクリーナなので,ついつい目に付いたところをついでに掃除してしまいます。そうするとあっという間に吸引力が落ち,充電が必要になってきます。
 充電すればいいだけのこととはいえ,なにせ4時間かかりますからね,本当に必要なときに電池切れになっていないように,多少考えながら使う必要があるかも知れません。

・結構雑な作り
 今時中国製は珍しくもなんともないのですが,日本のメーカーだと中国製でも国産と同じクオリティを目指して頑張るので,最近はぱっと見ただけだと中国製かどうかわからないものですが,アメリカのメーカーはそういうわけではないようで,一瞬で中国製とわかる作りの雑さがあります。
 無用な隙間がある,成型条件が悪いのかムラがある,全体的に厚ぼったい,ビスを隠そうとしない上,そのビスがまたとても格好の悪い色や形をしていて,安っぽいのです。
 ACアダプタもトランス式で,非常に大きいです。はっきりいって邪魔な大きさです。

・結構吸い込む
 ハンディクリーナとしては十分な仕事をします。ハンディクリーナといえば,先端のゴムへらやブラシで舞い上げたホコリを吸い込むもの,という印象が私にはありましたが,Z-PV1000について言えば,ちゃんとホコリを浮かせて吸い込む力があります。
 私にとって重要な,ハンダくずの吸い込みも問題なしです。ただし,吸い込み口が小さいので,大面積のゴミを吸い込むのは,取り回しの大変さと相まって苦手です。
 強弱の切り替えがありますが,普段は弱で十分,ここ一番で強にするという使い方が私の場合はよいと思いました。

・結構ゴミが早くたまる
 ダストボックスの中心部には大きなフィルタが取り付けられていますが,このためゴミが実際にたまる空間は結構小さいです。だからちょっとゴミを吸い込むとすぐにいっぱいになります。
 ゴミがたまってくると吸い込んだゴミがノズルから出てきてしまいますので,こまめにゴミを捨てる必要がありそうです。
 
・結構ゴミ捨てが大変
 そのゴミ捨てですが,これだけが気に入りませんでした。ダストボックスの横にあるフタを開けて捨てるのですが,ふたの開く角度がちょうど90度しかなく,ゴミがフタにかかってしまいます。
 また,ゴミ箱にフタにぶつからないように注意していると,思わぬ所からゴミがこぼれてしまいます。細かいホコリもダストボックスの縁に付着しますし,ゴミ捨てがとにかく嫌になる機種だと思います。


 とまあ,GMやクライスラーが丸っこい小さい車を作ったような,そんな無理矢理な感じがなきにしもあらずなZ-PV1000ではありますが,そこはアメリカンV8の国,
ストイックな電動工具のDNAを受け継ぐだけに,実用性という点における欠点は見あたりません。

 国産品の細やかな配慮を期待するのはそもそも難しいと理解しながら,このかわいらしいデザインに惑わされないように実直に使いこなすことを前提におけば,これは優れたハンディクリーナと言えるでしょう。少なくとも私にとって,使っていて楽しい製品であることは確かです。

 普通の家電メーカーが掃除機の小型版としてハンディクリーナを作るのと,ドリルなどの充電式電動工具の派生としてハンディクリーナを作るのとでは,こんなに違うものなのかと感じた次第です。

ALESIS micronを買いました

  • 2009/11/27 16:03
  • カテゴリー:散財

ファイル 338-1.jpg

 先日,「そういえばALESISってまだドラム音源つくってんのかな」と急に思いついて,google先生に聞いてみました。

 するとgoogle先生は,あろうことか,micronなるシンセサイザーを「こんなんどうや?」と見せてくれたのです。

 アナログモデリング?ボコーダ?37鍵?あーいらんいらん,どうせDJ向きのシンセやろ,むにょむにょーんってそんな音いらんて。

 そうやって検索結果を流し読みした後,私は表示されたmicronの画像をみて,フラグがスパッと立ったことを感じました。色も形も,なんとまあ,かわいらしい。

 気になって価格をみると,大幅値下げの39800円。

 2つ目のフラグが立ったことを感じた私は,そういえば少し前にMicroKORG XLのデモ演奏の動画を見て,これはかなり使えるんじゃないかと思ったことを思い出しました。

 ローランドやヤマハが相次いで発表し,NordLeadに蹴散らされて,ひと山越えたアナログモデリングシンセサイザーは,不意に襲う故障や,修理不能の恐怖におびえて使うヴィンテージシンセサイザーに対する,理想的な解ではないかと私も随分興味がありました。

 しかし,どうも目的を極端に絞り込んでいたり,それほど音が太いわけでも,柔軟性があるわけでも,また操作性がよいわけでもなくて,実際に買うほど欲しいと思うことはとうとうないままでした。

 また,多重録音やDTMをすることのなくなった私は,今はステージピアノのRD-700とギターを気が向いたときに1時間ほど演奏しては楽しんでいる程度ですから,今さら機材を増やすなど無意味です。

 そんなおり,KORGのMicroKORG XLは評判も良く,かなり気になる存在で,オモチャとして買ってみるかと思ったこともありましたが,音源そのものもそうだし,プリセットのラインナップやデザインなどが,KORGは全般にどうもDJ向きになっていて,レガシーなシンセブラスやPAD系の音を好む私には違和感があります。

 KAOSSILATORも面白い楽器で,私も買いましたが,コンセプトはともかく,出てくる音にまず違和感を強く感じてしまい,今はほとんど使っていません。やっぱKORGは肌に合わないんだろうなと思います。

 MicroKORG XLに対する不安は,まさにここにありました。これまでKORGでよかったと思ったことが一度もないし,KORGが欲しいと思ったこともほとんどないのです。それで考えた末,結局MicroKORG XLは買うのをやめました。

 でも,D-70がすでに実用レベルで使える機材ではなくなっています(そもそも家にはもうない)し,さりとてRD-700では大きすぎて外に持ち出せず,また入力用キーボードとしても厳しいものがあるので,小型の鍵盤が1つあると,ささっと演奏できて,外にも持ち出せて,もしかするとDTMも復活できたりして,結構面白いだろうなあとは,常々思っていたのです。

 そこにmicronです。

 同時発音数は8音と少なめですが,一応4パートのマルチティンバーだそうですし,エフェクトもとりあえず内蔵,3VCO+2VCFという結構贅沢な構成,モジュレーションマトリクス(オーバーハイムでいうところのマトリックスモジュレーション)も出来ますし,小型で軽く,それにちゃんと標準鍵盤です。

 ピアノを補助する目的でライブパフォーマンスにもいざというとき使えるだろうし,音を作り込む楽しさもありつつ,ちょっと空き時間に演奏したいなと言うときにさっと音を出せる手軽さもありそうです。

 肝心の音源部は,2003年というかなり前のIONというシンセサイザと同じらしいので過度な期待は禁物ですが,デモを聞いた限りではアナログのニュアンスをよく再現しているように思います。何種類か特性の違ったフィルタが用意されていて,それぞれにかつてのアナログの名器を思い出させる名前が付いているあたり,にやっとさせられました。Moog,ARP,Oberheim,Jupiter・・・

 アフタータッチこそありませんが,今やなかなかお目にかかれないキーオフベロシティに対応した鍵盤もなかなか面白そうです。弾き心地が気になりますが,それがダメでも買わない理由にはならんでしょう。

 まあ,これ1つでなんでも出来るわけではありませんが,これだけのポテンシャルに悪い評価を目にしない太い音,それにキュートなデザインが揃って,たった4万円。

 10分後には購入が決定していました。

 いやー,電子楽器でこれだけワクワクしたのは久々です。

 2004年に登場した時も6万円前後なのでそんなに高い楽器ではないのですが,音源として使い道が限定されるアナログモデリングに6万円も7万円も出せないというのが本音でしたから,4万円というお値段は,予算という障害を一気に取り払うだけ十分なものがありました。

 買う気満々であちこち値段を調べて回ると,純正キャリングケースに送料込み,クレジットカードokで税込み38800円というところを見つけました。キャリングケースは小型のシンセなら欲しくなるでしょうから,どうせ買うことになるでしょう。とすればこれは安い。しかも私がかつてギターを買った楽器屋さん。てことでここで買うことにしました。

 注文してから翌日には手元に届きました。早速箱をあけてみます。


(1)デザイン

 随分かわいらしく見えた筐体ですが,目の前にするとなかなかごっつい感じです。私の個体は台湾製だったのですが,良くも悪くも雑な作りで,このあたりは日本製にはかなわない感じです。

 案外シルバーの筐体というのは電子楽器には似合わないと私は考えていて,もう少し落ち着いた色なら良かったのにと思ったりします。

 作りはしっかりしているので,多少のラフプレイには全然へこたれないでしょう。

 個人的に好感触なのは,青色や青緑色のLEDを全然使っていないことです。これらのLEDが安価に使えるようになったことや,案外ウケがいいことで,最近あちこちでこの色の光を見るようになりましたが,私はあまり好きではありません。青のLEDはなんであんなに眩しいのでしょうか。


(2)操作感

 悪くないです。論理的に操作体系が構築されていて,少しの訓練で結構自由に動き回ることが出来ます。

 ディスプレイの狭さは問題かなと思っていましたが,実際はそんなことありません。遷移図のどこが表示されているのか,わかりやすく良くまとまっています。

 ただ,緑色のバックライトが明るすぎ,音作りについ没頭すると,トイレに行った時など網膜に細長い長方形が焼き付いてしまっています。色は案外アンバーでもよかったかも知れません。

 スライダやつまみ類の反応速度も良くて,不自然さはありません。スライダは主にLFOのDepthとフィルタのCutoffにアサインされている例が多いようですが,それも慣れれば案外使いやすく出来ています。

 xとyとzの3つのノブについては,一時的な音色調整に使うというより,音色パラメータを1つきちんとアサインするという感じになっていますので,ノブを回せば設定値もきっちり変化します。モジュレーションマトリクスでスライダをアサインするのがいいか,それとも直接パラメータをノブにアサインするのがいいかは,上手に使い分ける必要があるでしょう。

 鍵盤はクリック感のない鍵盤で,伝統的な電子楽器にある押し心地です。ストロークも深く,重さもそこそこあり,私は心地よく触っています。グリッサンドが面白いように決まることもありがたいです。ただ,やっぱりもう1オクターブくらいあった方が演奏が楽だと思いました。49鍵のモデルがあったなら,そちらにしたことでしょう。

 ピッチベンダーは横方向に動かすタイプの大きなホイールで,ローランドに慣れ親しんだ私にはそんなに違和感のないものですが,滑り止めのゴムがひいてあり,案外使いやすい感じです。ただ,動かすとLEDが光るという演出は別に必要ないかなあと。


(3)音
 
 一言で言えば太い音,存在感のある音です。密度感も高く,スカスカなチープな感じは全くありません。粒子の細かい音を期待していたのですが,必ずしもそうではなく,やや荒いサンドペーパーのような印象を持ちました。

 低音など,ヘッドフォンで演奏すると頭と共振しているかのように,大きく揺さぶられた感覚を覚えるときがあります。単純に音が大きいだけでは味わえない感覚ですが,これがクラブシーンなどで重宝されるのは言うまでもないでしょうね。

 3VCOの音の太さも素晴らしいですが,このシンセサイザーの醍醐味は,性能の良いフィルタではないかと思ったりします。切れ味もいいし,レゾナンスも深くかかります。2poleと4poleの違いも楽しめますし,ARPのフィルタなどは大レベルで歪みます。フィルタの良し悪しはやっぱり重要で,先日も,とある自作のVCFを触ってみたのですが,効き具合がいまいちで表現力に限界があるような印象を持ちました。


(4)音作りの思想

 まず,日本のシンセサイザーのように,実用的な音をプリセットで並べておき,即戦力として使えるようになってはいないと思います。どれもこれも「micronではこんなことができるよ」というデモをやっているような感じがあり,それらは確かに面白いのですが,ではライブで使えるか,レコーディングで使えるかというと,それはまた別の話です。

 ですから,こんな事が出来るのか,とイメージが膨らんだところで,実際に使う音は自分で作るのが原則になるように思いますが,まあこれは海外製のシンセサイザーには良くあることです。

 もう1つ,音色のパラメータについても,至れり尽くせりではありません。例えばLFO DELAYというパラメータ,これはLFOのデプスを時間と共に深くしていくものなのですが,日本製のシンセサイザーならまず間違いなく存在するこのパラメータが,micronにはありません。

 ないから出来ない,という訳ではなく,これはモジュレーションマトリクスで自分でパッチングする必要があるのです。具体的には,モジュレーションソースをエンベロープジェネレータに,デスティネーションをLFOのデプスにします。

 ENV1はアンプ,つまり音量に対して,ENV2はフィルタに対して,ENV3はピッチに対してもしくはモジュレーションのソースとして有効なものなのですが,LFOのデプスをどのソースから制御するか,選択することになります。

 ENV1からENV3まで任意にモジュレーションソースとして使用できるのですが,仮にENV3が未使用なら,ENV3をそのままLFOのDelayにあてがって,アタックをディレイにすればとりあえずうまくいきそうです。とはいえ,私としてはLFOには別のディレイ値が設定できた方がやっぱり楽だなと思います。よく使うパラメータですしね。
 
 こういう話も海外製には良くある話で,自由度はあるのだが面倒臭い,あるいはあれこれお膳立てされていない,という事で,使いやすさと相反する要素だけに好みが分かれるように思います。

 一方で,3つのエンベロープジェネレータの使い道が一応固定されているあたり,制約と見るか,これくらいは固定化されていて助かったと見るか,micronというシンセサイザーの立ち位置を垣間見ることが出来るように思います。個人的には,エンベロープジェネレータまでパッチングしないといけないようだと,もうあの小さなディスプレイでは作業出来ません。

 そうなると,一体どこまでが自分でパッチングしないといけないものなのか,どれはすでに固定されて接続されているのかを正確に知らなければなりません。マニュアルを熟読して,覚えていくしかなさそうです。


(5)おもしろさ

 実はまだPatternやSetupについては,ほとんど触っていません。あまりアルペジエータやシーケンサに期待していませんし,そういう使い方も私はしないので二の次にしていますが,ちょっとさわって遊んだ限り,なかなか面白いです。

 音楽の専門知識がなくとも,フレーズを並べて音楽を作る事が普通に行われていますが,micronでもそうした音楽を,その場で即興で演奏する事が出来るという事でしょう。

 例えばIntroというSetupですが,鍵盤を1つ押さえると,4小節にわたって4つのコードが勝手に進行します。マイナーかメジャーかを指定することさえしません。そして左端のCやDの鍵盤を押さえると,ドラムが鳴り始め,C#やD#を押さえると派手なフィルインが決まります。これだけで16小節くらいのちょっとしたデモをその場で行うことができるのではないでしょうか。良くできていますが,これでレコーディングをするわけにはいかないでしょうから,やっぱ面白いで済んでしまう機能かも知れません。

 音作りは問答無用で面白いですね。最初は小さい画面に多くのパラメータ,しかも自分でモジュレーションマトリクスを設定して骨組みから作らねばならず,クラクラとめまいがしたのですが,慣れてしまえばなんてことはなく,わかりやすく出来ていると思います。

 パラメータを変えていけば予想通りに音が変化するという,アナログシンセサイザーの良さを当然そのまま引き継いでいますし,WaveのShapeを変えたり,フィルターのタイプを変えたりして音色の変化を楽しむことも楽しいです。


(6)残念な事

 残念なのはエフェクトがほとんど使い物にならないことでしょうか。コーラスも今ひとつですし,リバーブなどの空間系もさっぱりです。確かに残響音は出ていますが,空間を感じさせるようなエフェクトはかかりません。

 micronはIONと同じ構成の音源だということですので,約50MIPSのDSPを9つ使っていることになります。1つをボコーダなどのSFX用に使い,残りの8つを1ボイスあたり1つで音を作っているのではないかと思うのですが,エフェクトも一緒に作っているのでしょう。

 だから,は同時発音数が足りなくなってDSPが別のボイスに割り当てられてしまうと,残響音も消えてしまうことになります。ですのでリリースの長いストリングスなどで深めのリバーブをかけても,残響音がさっぱり残らず,全然深くならないということが起きてしまうようです。

 ALESISって,確かD4の時もエフェクトをかけた状態でサンプリングしてあるせいで,ノートオフで残響音も消えてしまうという不自然さがあったのですが,ドラム音源のみならず,シンセサイザーでもこれをやっちゃうのかと,ちょっとびっくりしました。

 結論としては,特に空間系のエフェクトは外部でかけましょう。

 あとあれですね,パラメータの変化に対する実際の音の変化が結構大きいですね。悪く言うと大味です。LFOのモジュレーションのデプスにしても,アナログドリフトにしても,1だけ設定値を変えたときに変化する量の半分くらいだとちょうどいいなぁ,と思うことがありました。

 結局,LFOのデプスはトラッキングを使って微調整をしましたが,アナログドリフトは無理そうです。


 という感じですが,シンセサイザーというのは楽器であると同時に,システマティックに音を合成できる装置でもあるわけですから,演奏する楽しみに加えて,音を作り込む楽しみも本来はあるわけです。

 その音を作るという作業も,演奏のために作るというケースもあれば,演奏しないけど面白いから作る,と言うマニアックなケースもあるのですが,プレイバックサンプラーが主体の電子楽器界にあって,音を作る事そのものが目的になるようなシンセサイザーというのは,なかなか存在が難しい位置にいます。

 私は今回,動作が限りなく安定し,再現性も抜群で,使いやすくまとめられた小型のアナログモデリングシンセサイザーによって,シンセサイザー本来の楽しみを久々に味わったのですが,病みつきになる面白さです。音が良くなければ面白くないだろうし,操作や設定が音に素直に反映しないとこれもまた面白くないわけで,その点でmicronは抜群のものがあると思います。


 これ単体で出来る事はそんなになく,ぜひシーケンサーを使ってDTMに使いたいと思うのですが,あいにく私のシーケンサーはMacOS9時代のPerformer6.03のままです。DigitalPerformerにアップデートするには,当時の使用頻度からちょっともったいなくて,ほったらかしにしていました。

 Performerからの乗り換えの簡単なソフトがなかなかなかったりして,結局DTMから遠のいてしまったことは悔やまされるのですが,どうも現行のDigitalPerformerは安定性が低く,決して満足に使っている人が多いわけではないようです。

 結局みんな,安定しないし高いし重いしで不満はあるけど,あの操作性が最高!という「辛抱」を強いられているような感じですが,辛抱しない人たちはどうしているかというと,どうやらAppleのLogicに流れているようです。

 LogicはAppleに買収される前から,私には一番馴染まないソフトだと思っていたのですが,先日発売になったLogicExpress9に至っては,Proと機能差がほとんどないのに21800円と格安です。

 Apple純正だし,SnowLeopardにきちんと対応しているし。Appleの洗練された操作体系やUIにも信頼感があって,この際だから乗り換えるか,と購入を検討しています。MacBookProにしておいて良かったなあと思う瞬間です。

 オーディオ信号とMIDIを統合的に扱った経験がない私にとっては,まさにゼロからのスタートなのですが,Performerの頃のように,時間をかけて作り込むのではなく,短い時間でさっと楽しく音楽が作れるようになると,いいですね。

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