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K10Dも買いました

  • 2008/12/05 18:16
  • カテゴリー:散財

ファイル 240-1.jpg

 K10Dを買いました。

 あちこちで処分価格が出ていますね。PENTAXのデジカメは,発売当時どれだけ評判が良くても最終的には投げ売りが起こる事が多くて,悩ましいです。K10Dも46000円程度が出ています。

 私は昨年の5月に,同じように特価が出ていた*istDLを3万円で購入した,PENTAXにしてみると誠にありがたくないユーザーなわけですが,今回のK10Dも46780円で買いました。送料も代引き手数料も含まれているので,実質45000円台だったことになるかも知れません。

 K10Dはご存じのように,PENTAXがその迷走に終止符を打った渾身のモデルで,高い完成度とてんこ盛りの機能,カメラ・オブ・ザ・イヤーなどの価値ある賞を受賞するなど,「PENTAXはやればできる子」であることをファン以外にも広く知らしめた一台です。

 1000万画素,手ぶれ補正,ゴミ除去,ガラス製ペンタプリズム,多点測距AFと,ハイアマチュア向けに意欲的な仕様を盛り込み,しかし一方でM42レンズまで面倒を見る,ユーザー思いの真面目な作り込みも忘れていません。

 そのK10Dがこの値段なら,買いだと考えてポチりました。そもそも,今使っている*istDLは,不満だらけなのです。(気に入った点が不満を越えているので問題はないんですけど)

 *istDSや*istDLなども,確かに基本的な能力は十分ですし,機能的にも行き届いたものがあって,PENTAXのユーザー視点にはつくづく頭が下がりましたが,いかんせんボディがあらゆる面でちゃちで,*istDLを箱から出したとき,まず最初に「おもちゃみたいだなあ」と余り良くない印象を持ったものです。

 それに,MZ-10を修理した時に感じた,内部機構のコスト最優先,耐久性に対する割り切りが後押しし,基本的に末永く使う事を考えていませんでしたから,自然と愛着もわいてこない状態でした。シャッターは緩慢でだるく,タイムラグの大きさには閉口しましたし,その音は脳内のドーパミンが一斉に引いていくのが分かるほどです。

 ホールド感もいまいちで,手ぶれを連発して落ち込むこともしばしばです。

 K10Dもそうかなあ,と届いた箱を開けてみましたが,質感はなるほど中期機種のそれです。私は質感とは密度感とほぼ同義かなあと思っていまして,K10Dは見た目と重さのイメージがほぼ一致,手にとって「よしよし」と思えるカメラになっています。

 そもそも,*istDLを買ったのも,FA43mmF1.9という本当に素晴らしいレンズをデジタルで常用するという目的のためでした。だから多少の欠点や問題は目をつぶることもできたのですが,これがK10Dになると不満の大半が解消する,と期待して,今回購入したわけです。

 この機種から採用になったリチウムイオン電池を付属の充電器で充電し,FA43mmF1.9を取り付けて電源を入れてみます。「お,おおお」という,いい印象と,「こんなものかな」というそこそこの印象が交錯する,そんな感じでした。まとめてみます。


・AF
 AFは力強く,合焦までの速度も向上しています。電池をリチウムイオンにしたことでAFモータの駆動電圧も上がって,それでキビキビ動くようになったのでしょう。幸い私のK10Dについては精度も良く,測距点がスーパーインポーズされることも手伝って,格段に使い心地が向上しました。

・多点測距
 多点測距が可能になりましたが,AFのモードを切り替えられないので,あんまりうれしくありません。AUTOはどういうアルゴリズムで測距点が選択されるのか不明ですから任せられないですし,SELでは矢印キーで測距点を動かすことが可能でも,不意に動かないようにロックできないのでこれまた信用できません。結局私は中央1点のみでの測距がデフォルトになりました。
 つくづく思うのですが,AFの測距点が増えることが高級機の証のような印象があるなかで,結局それら測距点は同時刻に1つしか動けないわけですから,いかにしてその多数の測距点を切り替えるか,が勝負なわけです。
 複数の自動選択アルゴリズムを搭載するのも手ですし,ユーザーにダイアルやカーソルキーで選択させるのも手ではありますが,個人的には自動選択が撮影者をアシストできるなら,それこそが多点測距の本当の価値であると思います。

・ファインダー
 倍率0.95,視野率95%のガラス製ペンタプリズムは評判通り明るく見やすく,情報表示も良く整理されており本当に良くできていると思います。前述の通り測距点がスーパーインポーズすることもありがたく,これは測距点の位置を知ること以上に,撮影のテンポを作り出すカメラの「相づち」として,大きな意味があると思います。
 AFが優秀になれば,ファインダーなどは構図を確認する役割くらいしか持たないわけで,その見やすさにコストをかけることが難しくなります。しかし,PENTAXはM42レンズを使ったときの見やすさやフォーカスの合わせやすさを犠牲にしないという理由で,伝統的にファインダーの明るさや見やすさにはこだわっています。M42レンズが使えます,ではなく,M42レンズを使って遊んで下さい,というメッセージでもあるわけで,こういうところがPENTAXの良さだと思います。

・シャッター
 シャッターの基本構造は,おそらくですが*istDLなどと同じだと思います。電池が変わったことでモータやソレノイドの駆動電圧が上がり,動きが素早く,力強くなったことと,バネにチャージするエネルギーを増やせたことで,動作がキビキビして好印象です。エネルギー密度が高まったという感じでしょうか。こういうところも質感を向上させるものなんだなあと知りました。また,タイムラグもだいぶ改善されたようです。
 ただし,音は相変わらずで,改善されたとはいえ切れ味は良くないです。ブラックアウトの時間も長いという印象で,こういうところの積み重ねが最終的な写真の良し悪しを決めるのかも知れませんね。

・設定
 設定項目は相変わらず多いです。基本的な機能の選択,ユーザーの好みに合わせる操作性の選択,利便性か趣味性かの選択など,いくつかの種類があるように思うのですが,それぞれがそこそこ上手に整理されていることと,階層が深くないので設定を探すのは比較的楽です。
 また,その設定で何が変わるのかがちゃんとガイドされるので,いちいち説明書を開く必要もありません。これは見習うべきカメラが多いでしょう。
 それにしても,なんとまあ行き届いた設定項目でしょうか。デバッグ担当者は死ぬ思いをしたんではないかと思います。

・画質
 今時1000万画素は珍しくもありませんが,私にとっては初めての10Mピクセル体験です。撮影して分かったのは,レンズの性能がもろに出るなということ,ぶれが目立つなということ,そしてやはり高精細な画質にはその情報量に圧倒的なものがあるなということです。
 D2Hを使っていると,最終的な情報量は画素数によらない,ということを確信出来るのですが,良くできた1000万画素には圧倒的な情報がすり込まれているという当たり前の事を思い出させてくれます。
 それにしても,D2Hに比べて2.5倍もの情報を,これだけの時間で処理してメモリカードに書き込むんですから,大したものです。

・手ぶれ補正
 個人的には,これが一番納得がいきません。PENTAXの手ぶれ補正はボディ内部でイメージセンサを動かす補正方法ですから,どんなレンズにも有効になることが利点ですし,最大で4段もの補正能力があるという強力なものですが,私はあまり実感できずにいます。
 FA43mmで,様々なシャッター速度で撮影をしてみましたが,1/2秒くらいまでだと手ぶれ補正をONにしてもOFFにしても,どちらもほとんど手ぶれがなく,差があまりないのです。
 1秒にすると,どちらも同じくらいにぶれています。故障かもしれないなあといろいろ試してみましたが,K10Dを左右にぶんぶんわざと振って撮影すると,OFFでは派手に流れた画がONではぴたっと止まっています。うーん・・・
 効果は絶大とは言えるかも知れませんが,こんな激しいぶれを,人間が起こすなど普通は考えられませんから,シャッターボタンを押すときの小さなぶれをびしっと押さえてくれるようでなければ,実用的な意味はありません。
 ボディ側での手ぶれ補正の性能を「こんなもんだ」とする意見もあるようですが,もう少し試して,PENTAXの手ぶれ補正のクセを見極める必要があると思います。
 ちなみに,ニコンのVRレンズは,非常に劇的でした。手ぶれをびしっと押さえてくれますし,レンズ内で補正するのでファインダーでその効果が確認出来ます。ファインダーで像が止まって見えることのメリットを強く感じた瞬間でした。
 どっちにしても,PENTAXの手ぶれ補正に過信は禁物です。

・ほこり除去機能
 手ぶれ補正機能を利用して,イメージセンサを意図的にぶつけて付着したほこりをふるい落とすという乱暴な方式のほこり除去機能が搭載されています。
 どういうわけだか,これだけレンズを交換して使っているにもかかわらず,私はイメージセンサにほこりが付着して困ったという経験がほとんどありません。ゆえにあまり必要性を感じてはいないのですが,せっかくですから使ってみようと,電源ONで必ず動作するように設定をしてみました。
 しかし,電源を入れる度に「コトン」と結構な衝撃があり,不安になったので機能をOFFにしました。こういうのは,必要になったときだけやればいいわけで,常用するのはやめた方がいいというのが藁死の結論です。

・操作感
 操作感も悪くはありませんが,やはりボタンの質感などは今一歩なところがあります。ただ,シャッターボタンは良くなりました。軽いタッチでレリーズできると,それだけぶれが軽減されます。動作も軽く,もう*istDLには戻れません。
 ところで,サブLCDのバックライトの点灯ボタンが独立していないのは納得がいきません。露出補正ボタンでバックライトがONするのですが,ユーザーは露出補正がしたいのであり,バックライトが点灯することは予期していません。露出補正をしようとしてサブLCDがいきなり緑色に光ると一瞬思考が飛んでいき,撮影の邪魔になりました。
 また,周囲の邪魔にならないよう,バックライトを直ちに消す必要があるケースも多いにもかかわらず,消灯は時間が経過して勝手に消えるのを待つしかありません。誤ってもう一度露出補正ボタンを押すと,そこからさらに点灯時間が延長されて,なかなか消えてくれないのです。
 それで,設定からバックライトをOFFにするようにしたのですが,これだとバックライトを点灯させる方法が奪われてしまいます。暗いところで確認するのにバックライトがあると助かる場合もあるのですが,こういう形で封印されてしまうのは甚だ疑問です。
 バックライトですからね,暗いところで使うものなわけですよ。暗い場所でもさっと操作できることが大事なのですから,実は露出補正ボタンへのアサイン自体が問題なんじゃないかと思います。ニコンと比較するのは問題ですが,電源ボタンをON位置よりさらにひねる(PENTAXでいうプレビューです)と点灯という操作は,暗闇での操作も確実で,ここまでしてようやくバックライトは,ありがたい機能になってくれるのです。

・大きさなど
 *istDLは左右の幅が小さく,きゅっと圧縮されたような張り出し感もあって,個人的には好印象だったのですが,K10Dは左右が妙に間延びした感じがして,見た目はあまり良くないなあと思いました。
 しかし手に取ってみると,やはりK10Dはしっくりきます。*istDLは小さすぎて手ぶれを連発しましたが,K10Dは手にスポッとおさまり,自然にシャッターが切れ,おかげで手ぶれ補正OFFでも手ぶれ限界が相当上がりました。
 防塵防滴というのもとてもいいです。防塵防滴が実際に役に立つことはもちろんですが,密閉構造にした事による剛性感や密度感,音の出方が中級機にふさわしいものになっていると思います。

・雑感
 さすが中級機,ハイアマチュア向け,と思わせるものは当然ながらあり,PENTAXはいい仕事をしたなあとうれしくなりました。しかし,一方で今のPENTAXにとっては,これが限界なのかも知れないなとも思いました。
 以前はP30のようなカメラがある一方で,LXや645,67などの高級機がその質感や音で多くのプロやマニアを夢中にさせたわけですけども,今のPENTAXにそこまで望むことはできません。
 むしろ,そうした身の丈を越えた商品展開が昨今のPENTAXの状況を生んでいるといえなくはありませんが,LXはそれまで手がけてこなかった「究極の一眼レフ」を60周年記念で作ろうと奮起した結果ですし,中判の一眼レフも創始者が熱望して商品化されたという経緯もある,良き伝統でもあるのです。
 HOYAというシビアな会社の一部になったことがマイナス要因だとすれば,断片的に漏れ伝わってくる「MF時代のプロ用一眼レフで当たり前に出来た事を実現する」というプロ用デジタル一眼や,来年夏までに登場するK20Dの後継,そして中判の開発凍結の解除などの噂は,あくまで噂ではありますがプラス要因です。
 ただ,すべて膨大な予算と,高い技術力が必要な商品ばかりです。個人的にはこのすべてが実現するのは,かなり難しいだろうなあと思います。(プロ用一眼レフや中判が売れまくって儲かる,なんていう話はあまりないと思います。)

 ところで,「MF時代のプロ用一眼レフで当たり前に出来た事」って,なんでしょうね。

交換式ファインダー(これかなあ)
ミラーアップで撮影(これもあると便利)
機械式のバルブ(撮影に電池がいるんだから意味なし)
戦場でおそわれたとき武器になる(これは欲しい人がいるかも)
電池がなくなっても動く(これは無理)
多重露光(これは実現してます)
交換式フォーカシングスクリーン(これも実現してます)
交換式撮像素子(MF時代にあったかそんな機能)
南極,宇宙でも確実に撮影可能(MF時代でも当たり前じゃない)
フィルム巻き上げ,巻戻し(単なる儀式じゃないか!)
モータードライブ(いらん!)
交換式データバック(いらんっ!)
ねじ込み式レリーズが使える(いらんだろ・・・)
FP接点(FPが必要なフラッシュの入手が不可能だろう)
横走りシャッター装備,しかもゴム引き絹製(個人的にはうれしいが意味あんのか)


 ・・・というわけで,これから寒くなり,外に出るのがますますもって億劫になるわけですが,冬は空気の澄んだ季節でもあります。寒さという緊張感の中でシャッターを切るのもまた楽しいことなので,せっかくですから年末年始をK10Dで切り取ってみようと思います。

MacBookProにメモリをおごる

  • 2008/12/04 14:33
  • カテゴリー:散財

 MacBookProのメモリを増やしました。4GBです。

 しかし,安くなりましたね,メモリ。これで儲かるのかと思うほど(実際儲かってないのですが)安くなっています。

 ちょうど昨年の今頃,512Mbit品が1ドルを割り込み,年末から年始にかけてパソコン用のメモリも急激に値下がりしました。こんなことを放置していてはDRAMメーカーはつぶれますので,次の世代にさっさと移行してそこできちんと儲けるように動いたわけですが,果たして1年たった現在,次世代品である1Gbit品がまた同じように1ドルを割り込んでしまっています。

 供給過剰が理由の1つと言われていますが,結果として世代交代が1年周期という速度で進んで,旧世代のメモリの値段が下げ止まってしまうだけではなく,旧世代のパソコンに合致するメモリの入手が難しくなる時期が早まることが,ますますパソコンの消耗品化を加速するのではないかと,ある種の焦りを感じています。

 最近はCPUも高速化し,一般的な作業にはストレスのない処理速度を今戸金おパソコンは持つようになっており,「遅い」を買い換えの理由に聞く機会は減っているわけですが,一方でメモリの最大搭載可能容量がすぐに不足気味になり,それで買い換えをすることになるケースは増えていると思います。メモリの世代交代の速度が上がると,ますますその傾向は強くなるでしょう。

 前置きが長くなりましたが,MacBookProのメモリはDDR2-667のSO-DIMMです。同じ種類のDIMMを2枚搭載するとデュアルチャネルになり,アクセスが高速化されるそうなのでできれば同時に交換です。(MacBookProの場合,フレームバッファがメインメモリと独立しているため,デュアルチャネルにしても数パーセントしか高速にならないので,無理をすることはないという意見もあります。)

 本体の工場出荷時に1GByteが2枚入っており,2つあるメモリスロットがすべて埋まっていますので,2GByteを2枚購入して全部入れ替えるというのが現状では最もよい選択肢です。ここ最近の値下がりで,2GByteのSO-DIMMを2枚買っても4千円台です。

 私が買ったのはKingstonのものです。メモリモジュールは,以前はチップメーカーによって性能が決まったものですが,最近はチップが優秀でも基板の設計の良し悪しが性能を左右するので,メモリモジュールのメーカーもそこそこ名前の通ったものを選ばないといけません。そもそもこれだけ安いと,ノーブランドとかバルクのメモリを積極的に選ぶ理由はないと思います。

 有名メーカーのメモリモジュールでも,MacBookProでは相性の問題があるという話を少し聞いていたので,正直ドキドキして,到着を待ちました。

 昨日無事に届いたので,早速交換です。

 あっさり起動。確認するとちゃんと4GByteになっています。あっけないものです。アクティビティモニタで確認すると,2GByte以上の広大なメモリが空いた空間となっているのがわかります。素晴らしいです。

 先日の友人の結婚式の写真のRAWデータを,CaptureNX2のバッチ処理で一括処理を行ってみましたが,ただの一度もスワップは発生せず,すべてオンメモリで処理が終わりました。

 今のところ問題は出ていませんが,今日の夜にでもメモリテスト用のツールで試験を行います。ちゃんとメモリが認識されていても,1ビット化けるだけで誤動作するのがコンピュータの世界。大容量のメモリを搭載したという事は,それだけビット化けの起こる可能性が上がるという意味ですので,安心のために確認をしておきましょう。

 あまった1GByteのSO-DIMM2枚は,友人のMacBookに提供することにします。標準の1GByteではスワップが起こっているそうですし,2GByteもあれば当分大丈夫でしょう。

 それにしても,1GbitのDRAMの大口向け価格が1ドルとして,2GByteのメモリモジュールを作るとチップだけで16ドル。この時点ですでにDRAMメーカーは大赤字です。

 モジュールにするために基板やらEEPROMを入れて18ドルとすると,日本円で約1800円。工賃やらなんやらで2000円近い値段になるわけですが,これを最終的な小売価格で2300円程度にするというのですから,流通のそれぞれのステージで100円くらいの儲けでしょう。利益率5%ですか・・・利益の少ない事で知られる書籍でも,もう少し儲かりますねえ。

 心配なのは,こういう無理な価格低下の圧力のせいで,品質が落ちてしまうことです。メモリモジュールのような汎用品は,多くのパソコンに使えるよう,ある程度の性能のマージンを見込んでいるはずです。これが動作の安定性につながるわけですが,そのためのコストも当然かかります。

 これを過剰とみる空気が,こうした価格下落の際には起こりがちで,結果マージンが減ることで動かないパソコンが出てきたり,最悪の条件が重なると動かなくなったりということも起き始めます。

 工業製品の場合,良品と不良品の間には当然境目があるわけで,ここを引き上げると多くが不良品として売ることができなくなりますし,逆に引き下げれば多くが良品として出荷できます。価格下落に対応するには,これが一番手っ取り早い方法です。

 メモリが安いのはいいことですが,度を超した価格低下にはエンドユーザーが失うものも出てきてしまうわけで,やはりそこは「うまい話などない」と考えておく方が良いように思います。
 
 個人的には,誰かがどこかで大損しない限り,今の価格が底値のように思います。下がっても100円程度でしょうし,そんなものは変動幅に含まれるくらいでしょうから,ここまでくると待っていても仕方がありません。とっとと増設し,ストレスフリーな環境を手に入れるのが得策です。

PS3がやってきた

  • 2008/11/17 18:39
  • カテゴリー:散財

 うちには,アイ・オー・データ機器のプロジェクタ「PJ-112XGA」があります。いわゆる処分価格で,10万円以下で新品を数年前に購入したのですが,当時DLPプロジェクタで1024x768まで対応した小型プロジェクタが10万円を切るというのは破格値で,それで飛びついたということなのですが,今ではスペック的に割り切れば買えるようになってきたようです。

 さすがに4年ほど前に購入したものだけにスペックとしてはさすがに見劣りしていて,輝度が1100ANSIルーメンと今時の半分程度,単板式DLPプロジェクタでは必須となるカラーサークルも中間色を持たない古いもので,カラーブレーキングもバンバンでます。

 とはいえ腐ってもDLPです。高いコントラスト,狭い画素間隔は,今でも立派なものだと思います。

 残念な事は,入力ソースが非常に限定的であることです。PJ-112XGAでは,PC用のアナログRGB入力とコンポジットビデオ,Sビデオの3つしか扱えません。私は裏技でコンポーネント入力を突っ込むケーブルを自作して,一応D4まで対応できることになっていますが,それでもそこまでです。

 世の中はすでにHDMIによる接続が当たり前。ところがHDCPへの対応が可能なHDMIを,コンポーネント信号やD端子に変換する方法というのは,本来はないことになっています。そりゃそうです,せっかく暗号化してある信号を,暗号解除した状態で取り出せてしまうんですから。

 ところが,海外にはこうした怪しいものが売られていて,一部のマニアの間では知られていました。悪いことを企んでいる人もいるでしょうが,多くは三管式のプロジェクタやブラウン管のモニターなどを所有する,LCDやプラズマでは我慢できないハイエンドマニアが,まさに福音として飛びついているようです。

 HDfuryという製品ですが,先月から新製品のHDfury2が登場し,とりあえず旧製品の弱点をことごとく克服した意欲的な製品として販売されています。私も気になっていたのですが,わずか16000円ほどでHDMI対応に生まれ変わるというのは非常にありがたく,今のうちに買っておこうと注文しました。

 そうすると,当然HDMIが出てくる機器も欲しくなるわけで,つい勢いでPS3も買ってしまいました。ええ,グランツーリスモ5プロローグ同梱版の80GBモデルです。

 こないだの休日に揃ったのでいろいろ遊んでみました。HDfury2に手間取るかなと思っていたのですが,あっさりケーブルで繋ぐだけで動いてしまいました。

 コンポーネント入力で動かすにはケーブルの自作がまた必要になってしまったので,今回はRGB入力にしています。16:9の設定をプロジェクタで行わなかったせいで最初縦長になってしまったのですが,正しい設定をするときちんと表示されます。

 しかし,ゲーム機を買うのはPSP以来。据え置き型のコンソールを買うのはPS2以来です。その進歩には目を見張るものがあります。

 まずでかい。ゲーム機のくせになまいきだ,とつぶやいてしまいましたが,この大きさだと置く場所をかなり考えてしまいます。熱も結構すごいと思うのですが,昔のPS3はこんなもんではなかったはずで,このくらいで文句を言っていてはいけません。

 LANが使えること,HDDが内蔵されていることも新鮮な気分になりましたが,HDDがあるせいでなにかと「待たされる」ことが増えたように思いました。操作そのものは軽快なのですが,なにかというと待たされてしまいます。こと「待たずに済む」ということに関して言えば,初代のファミコンが理想であると言っておきましょう。

 HDfury2による720pの表示の実力を試そうと,DVDのアップコンバートをやってみましたが,これは噂通りの素晴らしさです。眉唾物だなあと思っていたのですが,失われた情報をどうやってここまで生成するのか,不思議な気がするほど良くできています。

 かつて「モザイク消しマシン」が本当に効果があるのかと友人に尋ねられ,失われた情報が復活するわけがない,とたしなめたことがありましたが,PS3でここまでやってしまう現実は,素人に「モザイク消し」を信じ込ませるだけの説得力を持つかもしれません。

 コントローラのワイアレス化がここまで便利と思わなかったというのも,大きな感想です。Bluetoothで繋がった機器に心底実用性を感じたのはこれが最初なのですが,電池が切れたら意味がないとか,なくしてしまうんじゃないかという懸念は,この利便性と引き替えにしてもよいと思いました。

 とても残念な事が1つあり,それはやはりPS2との互換性がないことです。もしPS2の互換性があれば,今うちにあるPS2は捨てることが出来るし,PS3で可能になった美しい画面やワイアレスコントローラの恩恵を受けることも出来るので万々歳なのですが,PS2互換機能のあるPS3が今手に入りにくくなっているので,やむを得ません。

 私としては,この強大な演算パワーでPS2のエミュレーションは可能だと思っているのですが,一般論として非常に否定的です。

 PS2のGSは,4MBのDRAMがエンベデッドされ,2560bitで繋げるという,非常に下品な力業で当時としては強烈なグラフィックパワーをひねり出していました。この2560bitのバスの帯域は48GB/secです。すごいですね。

 一方PS3は,CELLとメインメモリ間が25.6GB/sec,RSXとVRAM間が22.4GB/secですので,PS2の半分程度の転送速度しかありません。これが「エミュレーションは不可能だろう」という人の根拠です。ハードの限界をソフトは越えられない,ということですね。

 うーん,確かにこれを見るとそんな風に思うのですが,だとするとPS3の性能はPS2以下なのか,という話になるのでしょうか。いやいや,それはないです。では,そもそもなぜ2560bitなどという強烈なバス幅を持たせたのか?

 古い話を思い出しながら,少し調べ直しをして見たのですが,とにかく2560bitの内訳を考えてみます。

 PS2は,RGBとαチャンネルが各8bitですので色情報は1ピクセルあたり32bitです。そしてZバッファが32bitですから,結局1ピクセルが持つ情報は64bitです。

 テクスチャは奥行き情報がありませんから色情報だけ,従って32bitですね。

 さて,PS2のGSは16ピクセル同時に処理する構成ですので,64bit*16で1024bit,一方のテクスチャは32*16で512bitです。

 テクスチャはレンダリングを行う際にメモリから転送するだけの一方通行でいいですから,レンダリングを一発で行うことの出来るメモリの幅は,16ピクセル同時のリードとライトに1024bit*2で2048bit,これにテクスチャの転送幅である512bitを加えて,きちんと2560bitとなりました。

 バスの周波数はGSは150MHzですので,リードとライトのバンド幅はそれぞれ19.2GB/sec,テクスチャのバンド幅は9.6GB/secということになります。ミソはこれが同時に動くことです。

 改めてPSの化け物っぷりに感じ入った次第ですが,ジオメトリ演算はCPUであるEEが担当していますし,GSがやっていることは,演算結果からポリゴンを書き,テクスチャを貼って結果をフレームバッファにレンダリングするということだけです。そしてEEとGS間は1.2GB/secのバンド幅しかありません。

 つまり,150MHzという低いクロックで動作するから,16ピクセル同時に演算する必要があり,それゆえ1ピクセルごとにバスを独立させる必要があったから2560bitなわけです。もし300MHzで動作出来るなら8ピクセル同時でよかったでしょうし,600MHzなら4ピクセル同時でよいでしょう。

 もう1つ,PS3はFlexIOでCellとRSXが繋がっていますが,CellからRSXが20GB/sec,RSXからCellが15GB/secです。

 ここで,EEがジオメトリ演算を行い,その結果をGSに転送するのがわずか1.2GB/secであるわけですから,EEのエミュレーションと,GSの一部の機能をCellが担当し,直接VRAMにCellがFlexIOを使って書き込む事も十分出来そうだ,と考えつきます。

 RSXとVRAMが22.4GB/sec,RSXとCellが20GB/sec,CellとRSXが15GB/secですから,GSの半分の仕事をCellが担当すれば,なんかいけそうな気がしますよね。

 では,なぜ初期のPS3がEEとGS,後にGSを搭載しないとPS2の互換性が取れなかったのか,になりますが,これはもう,クリティカルなバスアクセスを行う極度に難しいソフトを作ることが出来なかったこと,仮にできたとしても検証に時間がかかり,互換性も低いものであっただろう,ということです。

 数字上は可能のように思われますが,16ピクセル同時演算を前提に,それこそ1クロック単位で作り込まれた,GSやEEを骨までしゃぶったソフトなどは,おそらく完全な動作をしないでしょう。

 いわば,バス幅やクロックまで正確にエミュレーションしているのではなく,結果として同じ表示が行われるようにしているだけですので,仮想的に実装されたハードウェアには実機との差があまりに大きく,この差が表面化するようなチューニングを施した最近のPS2のソフトなどは,ことごとく破綻するような気がします。

 そもそもエミュレーションですから,PS2のコードをPS3で動くようにリアルタイムで読み替えないといけません。

 私としては,SEGA AGESのスペースハリアーとギャラクシーフォースさえちゃんと動いてくれればそれでよいので,中途半端なエミュレーションでも全然構いません。動けばラッキーくらいの気軽さで,さくっとPS2の暫定エミュレーション機能をアップデートで用意してくれればそれで納得しちゃうんですけども・・・

LE-101Aも届きました

  • 2008/10/03 14:56
  • カテゴリー:散財

 PE-101Aを手に入れて裸でならし,その素性の良さに驚いてしまい,これはいい加減なエンクロージャを自作したのではもったいないと,専用のエンクロージャLE-101Aを買うことにしたのですが,意外にも数日前に届いてしまいました。

 もう少し大きさがあると思っていたのですが,届いたLE-101Aは想像以上に小さく,10cmのフルレンジのエンクロージャとしては少々物足りないのではないかと不安になります。しかしさすがにメーカーの完成品だけあり,木材加工は素晴らしく,たしかにこれが1つ1万円ちょっとというのは素人には真似が出来ないなあと思います。

 ただ,サランネットは非常にチャチで,接着剤のはみ出しや糸引きがそのままになっていたりします。こういうところに中国製のいい加減さが出てますね。見えないところだからよい,というのは正しくもあり,誤りでもあります。

 ユニットの取り付けはとても簡単で,エンクロージャから出てくる配線を取り付け,ユニットに付属するパッキンを挟み込んで木ねじで締め付けるだけです。

 早速ならしてみましょう。場所も仮置きで,アンプもすぐに試せる状態にあった自作のMOS-FETアンプ(考えて見るとこれを作ってからもう20年経過してるんですね・・・)です。

 ・・・これが良くできたフルレンジの音,なのでしょうね。全体として低域が完全に不足し,高域もややもの足りません。普段CM1を使っているだけに,余計に「足りないな」という印象が強くなります。CM1は高域も低域もなんとなく不自然ですから。

 ただし,アルミコーンようなトゲもありませんし,もう一歩欲しいなと思う一方で自然さには疲れが出ません。

 低域はバスレフポートからもあまり低音が出てきてないのですが,これは妙な味付けを廃し,低域と中域のバランスを考えた結果であると解釈しています。そもそも低域はかなり不足しているのですが,そこはサイズの小ささゆえ最初から期待してはいけないところだと思います。

 素晴らしいのはやはり中域,特に「人の声」です。目の前に「ぽっ」と立体的に現れる人の声は,作り込んだ美しい声ではなくあくまで普通の自然な声です。この中域を楽しむのがPE-101Aの真骨頂なんではないでしょうか。

 フルレンジゆえに,すべての音域が同じスピーカーから出てきますので,音が散らばらず,楽器の場所がチョロチョロ変化しません。抜群の定位感は聞く人に安心感を与えてくれます。位相特性も良いので,楽器の位置を非常に細かい分解能で特定することも出来ます。CM1でも感じた印象ですが,フルレンジなら安くても可能になるという例でしょう。

 面白いと思ったことが1つあります。大音量時には物足りなさを感じたPE-101Aも,小音量時には非常に心地よいのです。理由を考えてみたのですが,人間の耳は小音量時には元々低域と高域の感度が下がります。だから,小音量時には聞こえなくても当たり前と思うのではないでしょうか。人間の耳(といいますか脳ですが)は,本当なら出ていない音を出ているように錯覚することがあります。

 音響心理学という領域の話で,本当は出ていない低音を出ているように錯覚させるようなエフェクトが,すでにJ-POPSを中心とした制作現場で当たり前のように使われています。

 今回の件が音響心理学で扱われているようなものかどうかは分かりませんが,1つには絶対的な音量と低域あるいは高域の聞こえ方の関係から,小音量時には低域と高域が不足しても違和感を感じないというのがあると思いますし,さらにそこから,低域と高域を脳内補完していたのではないかとも思います。

 大音量時には脳が期待している低域と高域のレベルが大きくなりますから,期待に届かない現実との間に違和感を感じるのでしょう。

 ということで,静かな部屋で,人がひそひそと話すくらいの音量で,楽器の数の少ない,出来れば声の入っている音楽を「馴染ませる」ようにならすのが,一番ぴったりだと思いました。

 CM1はある程度のパワーで駆動してやらないとダメなスピーカーですから,あまり小さい音ではつまりません。それに小音量という事は自動的に近くで聞くことになりますから,設置も小さい範囲になります。そう考えると,もう全然違う使い方のスピーカーだということになってきます。

 小音量なら,と自分で設計した6V6シングルを引っ張り出して来ました。3.5W+3.5Wという非常に小さなアンプで,これまで出番はほとんどありません。音も窮屈でスケール感がなく,これといって特徴もありませんが,ひょっとするとPE-101Aにはマッチするかもしれません。

 試してみましたが,結果は×。せっかくの中域も耳障りになっています。歪みの出方が良くないのでしょう。音量を大きくしていけばますます歪みっぽくなり,かなりしんどいところです。アンプの自作というのは難しいものだと,つくづく思いました。

 中域を大事にするなら,やはり三極管でしょう。6V6を三極管接続で使い,負帰還を減らすという「今時の真空管アンプ」っぽく手直しすると,いくらかましになるのかも知れませんが,6V6はビーム管接続でもそんなに音は悪くない球です。もしかすると初段の動作点が悪く,ここが不快な歪みを作っているのかも知れません。

 PE-101Aはとにかくフラットで,LE-101Aとの組み合わせにおいては,物足りない低域と高域を無理に出そうとせず,あくまで自然な心地よい音を出すスピーカーです。数時間ならしてみて,少しだけ低域が出てくるようになりましたし,歪み感も減ってきて,より自然な音になってきたように感じます。

 きちんとしたリスニングルームでなくとも,ちょっとしたスペースで良質なBGM(そう,あくまでBGMです)を満喫できると考えると,良い使い方が出来るなと思います。

 しかし,これだけ素性がよいと,もう少し大きなエンクロージャにいれて低域を伸ばしてみたいなあと欲が出ますね。もし今からPE-101Aを手に入れてみようと思われた方は,少々面倒でもエンクロージャは自作されることをおすすめします。


 

PE-101Aを買いました

  • 2008/09/30 13:56
  • カテゴリー:散財

 最近のパイオニアはどうしたものかと,外側にいる私は非常に好印象を持っています。

 私にとってのパイオニアはスピーカーでも単品コンポでもなく,レーザーディスクとカーナビ,そしてミニコンポのメーカーで,いわゆるピュアオーディオからは遠い存在でした。

 いろいろ良くない噂も耳にしますが,それでもそれなりの価格のアンプやSACDプレイヤーを本腰を入れて作ったこと,割とまともなカセットデッキが最近まで売られていたこと,FMチューナ-がちゃんとラインナップされていることなど,かつてオーディオマニアだった人たちとこれからオーディオに入る人たちに,良質かつ広い入り口を用意してくれる,そんなありがたいメーカーになっています。

 SACDプレイヤーだって,100万円以上の超高級機以外はカス,という空気が強い中で,ヤマハとパイオニアの20万円弱の製品が一定の評価を受けている事実を考えると,やはり量産が得意な日本のオーディオメーカーが本気を出せば,この価格でこの内容のものが買えるのだと,我々が忘れていた80年代までの「常識」をふと思い出させてくれたりします。夢があっていいですね。

 パイオニアは元々,HI-Fiスピーカーでスタートしたメーカーですが,自作派のマニアにもスピーカーユニットを提供し続けた良心が基本的に生き続けているようで,彼ら自身もそうした歴史を「良い歴史」と捉えている節があるようです。

 今年の70周年を記念して,かつての名機「PE-101」が復刻,「PE-101A」として販売されることが決まったというニュースを聞いたのは8月の中頃でした。

 価格は1つ11800円と,10cmフルレンジとしてはなかなか高級です。自作派がガンガン作るためのユニットという感じではなさそうで,その辺はやはりアニバーサリーモデルなんだなあと思ったのですが,実は30年前のPE-101の価格もそれなりに高くて(5500円だったそうです),物価上昇を考慮すると今回の価格がべらぼうに高価であるとは言えないようです。

 それだけに変に妥協したりグレードアップして欲しくないところですが,当時の素材を使うなど,可能な限りの復刻を目指してくれているようで,そういう方針はありがたい話です。

 聞くところによると,パイオニアとしても普通の人には絶対に売れないこの手の商品を発売するのが久々で,全く数が読めないんで困っているんだということでしたが,やはり初回出荷分は完売の様子で,次は10月中旬になってしまうらしいです。

 ところが30年前とは違います。きちんとしたエンクロージャを作ることの出来る人は限られていますし,もっと手軽にPE-101Aの音を楽しみたいと考える人も多いでしょう。そこでパイオニアは,PE-101Aにあわせたエンクロージャの完成品を別売しました。

 1つ14000円ですが,これがなかなか高級感があり,「これを14000円で売ってしまえるというのはやはりメーカーはすごい」とため息をついた自作マニアがいるとかいないとか。

 さて,以前からスピーカの自作を考えていた私としては,PE-101Aという素晴らしい素材が手に入るこの機会を逃すのも惜しいと考えて,すぐに予約をしました。9月24日は手に入れていたのですが,肝心なエンクロージャをどうするか,現物を手に入れた時でも考えあぐねていたのです。

 パイオニアのホームページには,推奨エンクロージャの図面がいくつか出ています。バスレフやバックローデッドホーンという定番の中に,フロントローデッドホーンというちょっと見慣れないものが含まれています。

 見た目はあのアルテックのA7を小さくしたような感じのものですが,バスレフとの併用で低域を出そうとしているようです。高さも30cmほどとかわいらしい容姿で,置いておくだけでもさまになりそうな感じです。

 今や市販品でもほとんど目にすることがないフロントローデッドホーン,しかも30cm程のミニサイズで,ユニットはPE-101Aと来れば,もう自作以外に存在しません。これはやるしかない,と思って計画を練っていました。

 ただ,私は木材の加工が下手くそで,どうも精度を出すことが出来ません。工具類も木工用のものはほとんどありませんし,材料の入手も近所にホームセンターがないこともあって,手軽というわけにはいきません。

 また,確かにフロントローデッドホーンは効率を向上させ,低域を豊かにする力がありますが,高さ30cm程度の小型のものでどれほど効果があるのか,ちょっと疑問もわいてきます。結局ホーンは飾りでバスレフが支配的になるのであれば,良い素材と良い作りの完成品のエンクロージャが最適ということになるでしょう。

 それに自作だってそんなに安くはありません。板だけで2本分で15000円ほどもかかるでしょうか。工具や接着剤,塗料や端子などを買えば,2万円を越えるのは確かでしょう。

 見た目が悪い,精度が出ていないなどというのは,自作ならではの個性でもあるし,良いことであるとも思うのですが,加工精度の悪さがPE-101Aのポテンシャルを引き出せないのだとしたら,これはもったいない話です。自作をしたという満足感と,実際よりもいい音に聞こえるという心理的な効果を割り引くと,実は実用品としての自作には,それほど魅力がないのではないかと,そんな風に思ってきました。

 決め手になったのは,届いたPE-101Aが壊れていないか確認するのに,裸でならして見たときの音の良さです。箱に入れていませんから低音も全く出てこず,中音域にもおかしなクセがあるのですが,それでもボーカルがしっかり真ん中に浮かび上がってきます。このスピーカーの目指すところが分かった気がしたのですが,そのためにはおかしな自作のエンクロージャではなく,まずはメーカーが用意したものをきちんと使ってみようと,そう決心しました。

 どうせこういう事になるなら一緒に注文しておけばよかったのですが,すでに本日の時点で発送されたとの連絡を受けています。早いですね。

 最近のスピーカーはエッジを柔らかくし,ストロークを大きくした,いわゆるハイコンプライアンス型が主流です。口径が小さくともストロークが大きければ,多くの空気を動かすことが出来るという点でどちらも同じと見る事が出来るのだそうですが,小さい口径のスピーカーがしっかり低音を再生できているというのは,部屋の大きさに限りがある我々庶民にはありがたいことです。

 ところが,その結果として効率が下がってしまいます。効率が低いと,同じ電力を入れても音圧が上がりません。最近のスピーカーが真空管アンプで駆動しにくいのは,こういう事情もあるからですが,なるほど今から40年も50年も前の名機と呼ばれるスピーカーには,音圧レベルが100dBに達するものがあるのも納得です。

 また,ストロークの深さは,必ずしも入力電力に比例してくれません。だから大音量時に歪みが増え,破綻してしまう傾向があると言われます。大口径のスピーカーならこういうことは起こらないのですが,口径が大きい分だけ2次振動や3次振動が発生しやすくなりますし,高音が出にくくなるので2wayや3wayにしないと成立しません。

 PE-101Aというのは,基本設計が30年前のものだけに,この辺の無理をしていないようです。これが素直で整った音を出している理由だという人もいます。その代わり低域と高域の物足りなさ,レンジの狭さを嫌う人もいたりします。

 オーケストラのような壮大な音楽は,どうせ10cmのフルレンジではどうにもならないでしょうから,このスピーカーではボーカル,小さな編成のジャズを楽しむのが正しい使い方ではないかと思いますし,逆にそうした音楽が堪能できれば,私としては全く問題はありません。

 ということで,とにかく完成品のエンクロージャーが届くのを楽しみにしています。
 

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