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散々な出来の池上線1000系

  • 2008/03/05 17:40
  • カテゴリー:散財

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 久々にグリーンマックスの模型を買ってみました。

 一時,エコノミーキットを寝ても覚めても作っていたことをがあったりしましたが,近鉄の16400系の完成品を買ってから,あまり気になる物もなくて遠ざかっていました。

 完成品はそもそも高いし,実はKATOやTOMIXよりも出来は今ひとつですし,積極的に買おうという理由は見つからずにいたわけです。

 ところが,年明けにふと模型屋さんの案内などを見てみると,東急1000系の池上線仕様が出るといいます。完成品に準ずる組み立てフルキットということですし,それに池上線ですから3両編成でフルセットです。お金もかかりません。

 池上線というと,私がかつて世話になった社員寮の最寄り駅がある線区です。

 いよいよ生活の場を移すその日,つい3時間前には片道の新幹線の切符を自分の覚悟と共にポケットに詰め,やがて山手線で五反田までやってきた私は,そこから初めて乗り込む「東京の私鉄」に,目を丸くしました。

 およそ近代的とは言えないような古びた駅は,ホームが1つだけで両側に線路がある,折り返し運転前提の始発駅です。そこにいた3両編成の小さく短い電車は,私をどんな田舎に連れて行ってくれるのかと,相当の不安に陥れるに十分でした。

 ゴトゴトと小さな振動に揺られながら,昔ながらの町並みを抜けていきます。地下の駅は別ですが,地上の駅は柱も木のまま,まるでローカル線のようです。

 自分の降りるべき駅はそう遠くはなく,10分ほどで到着したのですが,そこで案の定道に迷った私は,散歩中の叔父さんに場所を尋ねることにしました。

 春から社会人だ,この木近くの寮に入る,という話をしながら道を尋ねた私は,「東京の人は冷たい」という固定観念を打ち崩すような,とても優しい口調で丁寧に場所を教えてくれた上,この街がどんなところなのかを教えてくれたりしました。

 そこが東京でも屈指の高級住宅街であることを,私はその時知ることになります。

 そして以後数年間,最も変化の激しかった新人時代に,私は毎日池上線を利用するようになります。時には反対側の蒲田に出かけ,あの独特な猥雑な雰囲気を楽しむこともありました。道中の小さな古びた駅を池上線の味として楽しむことも忘れませんでした。

 ある夜,酔っぱらいに絡まれ,成り行きから電車を一緒に降りることになったのですが,姿の見えないその酔っぱらいをきょろきょろ捜すと,駅の前の果物屋でミカンを買っていて,私が近づくと「食べるか?」と,おいしそうなミカンを手渡されたことを思い出します。

 今にして思えば,池上線ではいろいろな思いをしましたが,結局どれもほのぼのだったなあと,そんな風に思います。

 1000系は,ちょうどそんな私が乗っていた電車です。

 1000系に搭載されているVVVFインバータは1980年代後半のもので,その発振音が可聴帯域にあるため,加速時には独特の「音」がします。これが敬遠されて1990年代のVVVFインバータは可聴帯域よりも上の周波数を使うようになりました。

 1980年代後半という時期にVVVFをいち早く導入したのは,東急もそうですが関西の近鉄もそうでして,ちょうど私が高校生の頃,ピカピカの最新型の電車の証として,その「音」を鳴り響かせていましたから,普通は敬遠されるあの音は,私にとってはある種の郷愁と青春のほろ苦さを思い起こさせる物になっていたりします。

 前置きが長くなりましたが,発売日の前日にいつもの模型屋に予約を依頼,翌日無事に手に入れることが出来ました。

 エコノミーキットと違い,黙って説明書に従って組み立てれば完成品と同じ物が出来上がるというキットですので,あまり手を汚すことはないだろうなあと思っていたのですが,塗装を全くしなくて良いわけではなさそうですし,保護用のクリアは吹いておこうと考えたので,結構大事になってしまいました。

 冬場は塗料の乾きが遅い上,どうしても衣類からのホコリが多く出てしまいます。そのせいでホコリの付着が夏場よりも深刻なのですが,今回もかなりホコリに苦労しました。クーラーの塗装も何度もやり直す羽目に陥りましたし,それでも多少のホコリは割り切る必要がありました。

 そんなわけで,出来は今ひとつです。

 しかも,組み立てで普段ならやらないようなミスを連発。

 窓硝子のパーツをランナーから切り取るときに,うっかり割ってしまいました。ちょうどドアの窓です。割れた物をプラモデル用接着剤でくっつけようとしたのが初心者並のミスで,つなぎ目が目立って仕方がありません。

 クリア塗料を使ってごまかそうと思ったのですが,これがますます見た目を悪くする結果となりました。

 型を取ってプラリペアで複製も試みましたが,すでに溶剤が茶色く変色しており,まともな複製は作れませんでした。結局,0.4mmのプラ板を貼り付けるのが一番いいという結論に至ってショボーンです。

 また,ボディマウントTNカプラーを無理に付けようと改造したおり,動力台車のカプラー部分を削って加工した時の削りカスがギアに噛み込んでしまいました。

 スムーズに回らないことを発見して台車を分解したら,うっかりギアを紛失。動輪のうち片側は回転しません。

 こういう場合,すっかりモチベーションが下がって適当に作ってしまう物なのですが,意外にプロポーションもよく,DCCデコーダの組み込みもうまくいったので,ヤケにならず落ち着いて仕上げてました。

 たかが3両ですので,1軸くらい動軸が死んでいても,ちょっとした坂道くらいなら上ってくれます。

 そんなわけで,あの見た目につまらない東急の車両も,うちには8000系,8500系,8090系,そして1000系と揃いました。毎日見ていると,案外愛着がわくものです。

2007年の「こんなもの」

  • 2008/01/16 16:20
  • カテゴリー:散財

 毎年恒例となった,「昨年を振り返る」という企画ですが,今年はちょっと趣向を変えて,これは買って大失敗,というのを書いてみようかと思います。


AVRライタキット

 AVRマイコンの1つ,ATmega8515を焼きたいと思って,私も使っている秋月のPICライタのオプションとして用意された,AVRライタキットを買ってみました。
 買ってはみましたが,結論からいうとATmega8515は,このライタでは焼けません。ということで,もともとAVR使いでもない私は,このキットはどこに行ったか分からないくらいのお蔵入りです。
 で,大阪に年末帰省した折,デジットで良さそうなライタキットを買ってきました。まだ開封もしていないのですが,こっちの方がずっと良心的な気がします。

電波男

 PLANEXが出している,WiFiの探知機です。小さな(しかしドットマトリクス表示)のLCDを搭載し,内蔵電池を持っているためスタンドアロンで動作し,暗号化の有無,SSIDやCHの表示が可能です。しかもUSBに繋げば無線LANインターフェースとしても利用できるという優れもの。
 ・・・というふれこみでしたが,iPodTouchを手に入れた今となっては,完全に無用の長物です。ただ電波を探すだけなのに,あんなに簡単に電池が切れてしまっては,本当にゴミになりますよ。
 それでも作りや質感が良ければ使うのですが,汚い成型に厚ぼったい塗装,見える部分を露骨に削って現物あわせをしてある有様と来れば,私にとっては「こんなものUSBハブ」に匹敵するほど「こんなもの」です。
 しかも,特価だったので買ってみたら,他のお店ではもっともっと安くて,買い方も大失敗。もはや記憶からも消し去りたいアイテムです。

ハードディスクケース

 MacOSX10.5の目玉機能の1つであるTimeMachineという自動バックアップ機能を使いこなすには,大容量の外付けHDDが必須です。私の場合,HDDは320GBを昨年夏頃に買ってあったので,必要だったのはケースでした。
 そこでMacOSX10.5と同じ時に,Macminiと同じ形のケースを買ってきたのですが,これがまた大失敗。3000円もしたのに全部プラスチックで,塗装もいい加減。LEDはアクセスランプではなく電源ランプで,しかもまぶしい青色。
 唯一の救いはUSB-IDE変換基板に使われている変換ICが割とまともだったことくらいで,ケースはまるで中国製の洗面器のようです。
 せめてHDDのマウンタくらいは金属製であって欲しかったのですが,頼りないプラスチックが熱のせいで「ぽりっ」と折れてしまうことは,いずれやってくることだと覚悟をしておかねばならんでしょう。
 悔しいので,ランプを改造しました。電源は緑,アクセス中はこれがオレンジ色になります。ゲートICを1つ追加して光らせるだけなので簡単です。
 ただ,直径1.5mmのケースの穴から光っていることを見せるために,光学繊維(三菱のエスカ)を使って仕上げています。本来ならここはアクリルか何かを使ってやるべきなんでしょうが,このケースのように透明なパーツを省略し,LEDを強烈な輝度で光らせて逃げてしまうこともあったりするので,困ったものです。
 繰り返しますが,HDDのケースもバカにせず,真面目に選びましょう。カメラ量販店で買うのは御法度。面倒でも秋葉のPCパーツ店で買うのがよいです。やっぱ,店員さんの目利きはバカには出来ません。

MC-2200

 昨年の末頃,思い立ってポケコンをオークションで何機種か手に入れたのですが,PC-1245のOEMであるセイコーのMC-2200を落札しました。
 数が出ていないレアアイテムで,実用機というよりコレクションの対象という感じだったのですが,本家PC-1245よりも色遣いが秀逸。赤と黒,白をふんだんに使って緊張感のあるデザインになっているのが特徴です。
 私も写真で見たときに気に入ったのでいつかは欲しいと思っていましたが,液晶が真っ黒になってしまった故障品が出ていたのでついつい落札。
 届いてみると,本当に真っ黒でしてね,動作そのものはしているようなのですが,画面がこれではどうにもこうにも。
 入札の時は持っているだけで十分だと思っていましたが,手に入れてみると邪魔なだけだなあと,反省してる次第です。
 液晶が交換できればと思うのですが・・・余談ですが,シャープのポケコンはとにかく液晶がにじみます。にじんでしまうと使い物にならないですし,修理する方法もないので,こうなってしまうと本当にゴミになってしまいます。どうにかならんもんでしょうか。

技術士一次試験

 昨年の秋,技術士の一次試験を受けてみました。エンジニアとして10年以上やってきたわけですし,まあ一次試験くらいはさくっと通るだろうと思って直前になってから問題集を開いてみると,うむー・・・仕事で使ってないような事柄がいっぱいです。
 受験料も1万円を越えていて,しかも大学の卒業証書を実家から取り寄せたりと大騒ぎをしたこともあって,あわてて10日ほど勉強をして本番に臨みましたが,自己採点の結果,結構いい点数で合格。
 技術士?という方のために少しだけ説明を。医者,弁護士などと同じ国家資格です。医者が医学の,弁護士が法律の資格なら,技術士は技術者の資格です。なかなか権威ある難しい資格でして,若い奴がちょろっと勉強してもまず通ることのない資格です。
 幅広く,かつ深い知識と技術が求められ,この資格を取れば晴れて「技術士」を名乗ることが許されます。合格率も低く,エンジニアが取得できる資格としては最高位に位置づけられるといって過言ではありません。
 ただ,医者や弁護士と違って技術士でなければ出来ない仕事はないですし,技術士になったからといってなにか仕事が舞い込むわけでもないので,これで食べようという人は技術コンサルタントを開業するのが関の山です。
 多くは,メーカーを定年退職したエンジニアが,自分の人生の総仕上げに取得するというのが多いとか。
 このあたりですでにがっかりなのですが,実はこの資格は土木・建築関係がメインです。というのは,唯一といっていい仕事の技術コンサルティングがなんとか成立している業界が土木・建築で,いわゆる公共事業とそれなりに密接な関係があるとかないとかうわなにをするやめqあwせdrftgyふじこlp
 ・・・この技術士という資格,近年技術士を国際的な基準で位置づけようという動きに加え,人数を増やそうという話もあったりなかったりで,敷居が随分下がりました。重力に魂を引かれた旧世代の連中は「権威の失墜だ」とお怒りのご様子ですが,そもそも定義が国際ルールに改められるのですから,権威もくそもありません。そんなに権威が大事なら,鎖国でもしてください。
 とはいえ,このことで最も影響があったのは今回私が合格した技術士一次試験でしょう。それまでは技術士になるための最難関,といわれるほど難しかったようなのですが,人数を増やすという施策の一環として,指定大学を卒業すると一次試験が免除されるという制度を導入したことにより,相対的にレベルが低下,実質的に二次試験を受けるための「受験資格取得試験」に成り下がったのです。
 しかも分野によって難易度が大きく異なる上,二次試験と違い一次試験はどの分野を受けても良いので,みんな簡単とされる情報工学分野に流れ込んできてしまいます。
 私も情報分野で受験しましたが,なんとまあ今回の受験者に対する合格率は46.1%。例年はもっと低いので,今年は大失敗ですね,ふふ。
 落ちた人はもう少し真面目に勉強してから受けて下さい。
 そんなわけで,二次試験を受けるつもりも失せましたし,一次試験は履歴書にも書けないようなクソ試験だったというオチで,本当に無駄だったなあと思います。

カーナビのアップグレードキット

 三洋のカーナビを買ったのが一昨年,国土交通省が道をボンボンつくるせいで,カーナビの本当のおいしさを味わえる期間が短くなっているように思います。そのために地図データのアップデートが行われるのですが,これが決して安くないのです。私の機種で25000円ほどかかるのですが,DVD-ROMが2枚と,違法コピー防止のメモリカードが付属しています。
 地図データの作成にはお金も時間もかかるので,この価格はやむを得ないのですが,HDDモデルの場合HDDに入っているものを消してしまうわけで,このアップグレードキットをあとで誰かに売ろうと思っても出来ないんですね。
 こういう仕組みってどうなのかなあと思いつつ,アップグレード。
 当然,普通に使えるわけですが,25000円も投資したのに,その恩恵を実感できないというのは,なんとも寂しい限り。相変わらず自動車に乗る機会はほとんどなく,そもそもこのアップグレードを行うべきではなかったのではないかと,そんな風に思ったりします。


技術書のたぐい

 昨年も出版界は厳しかったようで,いくつもの出版社がつぶれていきました。技術書もますます入手が難しくなったという印象がありましたが,個人的に憂いているのは,その内容のレベル低下です。
 趣味でやってる人をそそのかして詰めの甘い回路で本や記事を書かせる,基礎的な知識もないまま専門書を書く,など,まるでWEBで公開しているような無責任な内容の本が目に付きました。
 深刻なのは,技術書の専門出版社でもこうした傾向が見られたことで,これは出版社そのもののレベルが低下していることを示す,極めて憂慮すべき事態でしょう。
 この出版社は,それでも志は高くて,トップがその分野の第一人者を口説き落として,しっかりした本を作ることを続けているので好感を持てるのですが,特に出版社名にもなっている月刊誌とその関連の書籍の体たらくが痛々しいです。

・「ソフトウェア・ラジオの実験」
 電波を受ける所まではハードウェアで行い,復調はパソコンで行うという「ソフトウェア・ラジオ」がアメリカのホビーストの間で火が付いて,日本でもそれなりに知られるようになりました。
 なにせソフトウェアで受信機の主たる構成部分を実装するわけですから,いろいろな実験も簡単にできて,まさにアマチュア向けだなあと思うのですが,CQという雑誌が特集を組んだところこれが結構売れたらしく,調子に乗って基板まで付けて別冊に作り直したのがこの本です。
 付録の基板に部品を買ってきて組み立てれば完成するのは大変に結構なのですが,致命的なのはこうした新しい技術に関する理論的なアプローチがなく,作って「はい終わり」になってしまっていることです。
 これって,そこらかしこでやっている「電子工作キットを作る会」で子供らを公民館に集めて,2時間ほどでキットが動いたらメデタシメデタシ,というのと何も変わりません。
 こんな事では,技術的にもう一歩先に進んで,自ら探求するという本来の楽しみに到達できません。こういう新しいテーマだからこそ,理論的な体系をふまえつつ「作って学ぼう」というスタンスが必要なんではないかと思います。その内容の薄さに,私は軽いめまいを覚えたほどです。

・「エレキジャック」
 志は買いますが,中身はなんとも・・・作ってみよう,面白そうと思う物がないですし,どれもこれも作って終わり,そこから先の話がほとんどありません。それに,作っている方々のレベルも低く,基礎的理解が欠如していると思われる回路も散見されます。本来なら編集がストップをかけるんでしょうが,もうそんな力も残ってないのでしょう。
 あと,賛否両論あったのですが,この雑誌をバックアップしているマルツ電波が独占的にパーツを供給することで成り立っている記事もあり,作ったり実験したりしようとしても,自分たちの努力ではどうにもならない記事が出ている(しかも基板が付録についている)んですね。
 その独占パーツというのが,プログラム書き込み済みのマイコンだったりするから余計に始末が悪い。プログラムはソースはもちろんバイナリも公開されていないので,マルツ電波からマイコンが含まれるパーツセットを購入する以外,入手は不可能です。
 記事は,そのマイコンが含まれるパーツセットを買ってきて,付録の基板にハンダ付けするまでの話を書いてあるだけです。
 そんなもんね,わざわざ記事にするようなもんと違います。
 ただ,こういう事があると,元気のある業界ならGPLに準拠したオープンソースの互換品が発表されたりするんですが,私も含めみんな文句を言うだけで終わりです。もう電子工作の世界も死んだも同然です。
 今月末には第5号が出るそうです。乗りかかった船なのでとりあえず買いますが,鉄道データファイルと共に早く休刊になって欲しい雑誌です。

・「赤羽がんこモータース」
 これは技術書ではなくコミックですが,「ボルト&ナット」の田中むねよしの単行本です。メジャー誌への連載という事で期待したのですが,いやはやつらい内容でした。
 一番残念だったのは,すでに彼は自動車に対する夢と情熱を失っており,食べるための手段としてこのジャンルのマンガを書き続けているということが見て取れたことです。
 初期のボルナツは,押さえようのない情熱が吹き出していましたが,その点で言えば,エンスーマンガというジャンルの先兵だった彼の旬は,もう過ぎてしまったと見るべきでしょう。第2巻が出ても出なくても関係ないというコミックになりました。
 ちなみに,早く第2巻が読みたいのに当分でないだろうと思われる「WAVE」というコミックに先日出会いました。1980年代,8ビットのコンピュータでなんでも出来ると信じたあのころ,舞台は新世界,日本橋。台詞は全部大阪弁。まさに私の20年前の姿です・・・いやー,こんなマンガおもろいと思う人,私以外におらんでしょ。(実際連載誌のアンケートでは最下位を取って他の雑誌に飛ばされたそうですし)

・「プレミアムオーディオマガジン」
 上質の紙を使い,近頃盛り上がっている「高級オーディオ」を取り上げる雑誌として誠文堂新光社から登場したのですが,価格もプレミアム。「無線と実験」の2倍の価格です。強気ですねえ。
 これが超高級輸入オーディオ機器の紹介や視聴記事だけならウンコ扱いなわけですが,さすがに「無線と実験」を擁する誠文堂新光社らしく,自作派のテイストを残しつつ真空管アンプを大々的に取り上げています。
 ただ,真空管が生まれて間もない頃に作られた,戦前のドイツの真空管を実際に動かすという無茶をしたあげく,その音に主観たっぷりの評価をくっつけているあたり,もう頭がおかしくなったとしか言いようがありません。
 こういう古典球が実動作可能な状態で残っていることも驚嘆すべき事ですし,それを実際に動かすということをやってしまうこともすごいことではありますが,そのことがどれほどオーディオファイルの好奇心を満たすか,さらに貴重な歴史的遺産を壊してしまうリスクを冒すに見合うだけの物だったのかどうかを考えると,こういってはなんですが,とても手間のかかった「居酒屋での与太話」レベルであったと言わざるを得ません。
 ただ,厚生労働省で本業がお忙しいはずの,とある先生がお書きになった現代真空管の紹介とコメントは秀逸でして,私はこれが読みたいがために,この高価な本を勇気を出して買うことにしたのです。
 余談ですが,誠文堂新光社からは,実在しているんだかしてないんだかよく分からない「初歩のラジオ編集部」のクレジットで,真空管のラジオとアンプの本をいくつか出していますが,その内容はあまりにプアで,「初歩のラジオ」というブランドに盲目的な忠誠を誓ったはずの私でさえ,買うことをしませんでした。
 過去の初歩のラジオから抜粋した別冊が2つほど出たときには,内容を見ずに買ったのですが,写真にモアレが出ているありさま。これは編集という寄り,社内資料をコピー機で作ったようなもんですよ。
 こういう過去の資産を食いつぶすような小遣い稼ぎは,そろそろ立ちゆかなくなるんじゃないですかね。細く長く生きて欲しい出版社なので,気をつけて欲しいと思います。
 

 そんなわけで,昨年は,大きな買い物を余りしなかった割に,そこそこの値段の買い物を何度もしたということで,かえって無駄遣いをしてしまったように思います。全体的にものの値段が安くなり,少し前の基準なら驚いてしまうようなものも多くある一方,ガソリンの価格は高騰していますし,長く据え置かれた食料品の値上げも次々に行われています。(ビールは頻繁に値上げしてるし,私も最近あまり欲しいと思わなくなったので,今後おそらく自分で買って飲むことはしないと思います。第三のビールとか,おかしなまがい物を数字をでっち上げるために見境なく売りまくって,ビールのおいしさを若い人に知ってもらう機会を奪ってきたことの代償は大きいと思い知って下さい。)

ビル・ヒューレットの夢

  • 2007/12/14 17:06
  • カテゴリー:散財

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 ヒューレットパッカードの創始者,ビル・ヒューレットは,手のひらサイズでポケットに入る関数電卓を作ることを思い立ちました。

 ヒューレットパッカードは,当時既に計測器や計算機で知られた企業でしたが,ビル・ヒューレットの考えは,HP-9100という科学技術計算のこなせる卓上計算機を小さく軽く安くし,エンジニアを計算尺から開放することでした。

 これこそまさに彼自身の夢であったわけですが,そうして1972年に登場した電卓が,世界初のハンドヘルド型関数電卓「HP-35」です。

 そのサイズは,ビル・ヒューレットのシャツの胸ポケットで決められたといいますし,本当かどうかはわかりませんが,この電卓のために発明されたのが7セグメントLEDだったともいいます。

 また,Apple][の設計者であり,アップルコンピュータの創始者である,スティーブ・ウォズニアクがアップルコンピュータを創業するときに,ヒューレットパッカードの関数電卓を売ってお金を作った話は有名ですが,後に彼が語ったところによると,その電卓こそHP-35だったそうです。

 というわけで,コンピュータに関わる世界中のエンジニアの憧れであったヒューレットパッカードの関数電卓ですが,80年代中頃から始まった関数電卓の価格破壊と価値の低下のせいもあってでしょうか,特に国内では一部のマニアが喜んで使っているだけの状況だったように思います。

 もう1つ,一見さんお断りの要素がヒューレットパッカードの電卓にはあります。それが「逆ポーランド記法」を採用しているということです。

 RPNと略されるこの数式の表記方法は,非常に合理的でメリットも多いのですが,いかんせん小学校から習う普通の書き方(中置記法)に慣れた我々には,まるで外国語を見るような気分にさせられてしまいます。

 しかし,プログラミング言語「FORTH」に採用されていたRPNは,先進的なファンが雑誌などでそのメリットと気高さ(そう,当時のコンピュータには精神的気高さが重要な要素だったのです)をしばしば初心者に啓蒙していて,私もそうだったのですが,その敷居の高さに「やっぱ本物のコンピュータの世界は一味違う,うむむ」と腕を組んで渋い顔をしていたものです。

 RPN,実はそんなに難しいものではありません。

 逆ポーランド記法の前に,ポーランド記法から見ていきましょう。LISPなんかが使っていますね。

 1 + 2

 は,ポーランド記法では,

 + 1 2

 と書きます。

 個人的には中置記法の方が論理的だと思うんですが(数学的にはそうでないかも知れませんが,演算子の左右で意味が違うことをはっきり表現出来てると思いませんか?),違いが出てくるのは計算の順番を意識しないといけないような場合です。

 (1 + 2) x (3 + 4)

 は,ポーランド記法では,

 x + 1 2 + 3 4

 と書きます。お,括弧が取れましたね。
 
 これ,要するに演算子を関数のように扱う書き方です。つまり,+は2つの数値を足すという関数であるとみなすわけで,この統一性はなるほど美しいです。LISPは関数の呼び出しと演算を区別しませんが,それはここから来ています。

 で,話を逆ポーランド記法に戻します。ポーランド記法の演算子の位置を逆にした物を逆ポーランド記法といいます。

 1 + 2

 と書かずに,

 1 2 +

 と書くのです。

 なんで逆に書くのか,という疑問は,コンピュータがスタックを駆使して計算を行っているから,が答えです。1をスタックに積み,2をスタックに積み,+が出てきたら2をスタックから降ろし,降ろした数値2をスタックの一番上の1と加算します。するとスタックには結果の3が入っています。

 大事なことは,左から順番に処理していけば,自然とスタックのてっぺんに結果が入っているということです。例えば,

 (1 + 2) x (3 + 4)

 これをRPNで書くと,

 1 2 + 3 4 + x

 です。1をスタックに積み,2をスタックに積み,2を降ろしてスタックのてっぺんと加算し,3を新たにスタックに積み,4をスタックに積み,そして4を降ろしてその時のスタックのてっぺんと加算して,そして最後のxで3+4の結果である7を降ろして,その時のスタックのてっぺんにある1+2の結果である3とかけ算するのです。こうして,スタックには計算の結果が常に残ります。

 やってることは,スタックに積む,降ろす,降ろした値をその時のスタックのてっぺんと演算する,という単純作業だけです。

 ね,括弧の中を先に計算してかけ算するより,とりあえず左から順番にスタックに積みつつ計算をしていく方が,条件分岐がいらないでしょう。

 コンピュータでの処理が単純化できるということは,実は人間にとっても計算が楽に出来るということです。

 だから,RPNを採用したヒューレットパッカードの電卓を使いこなす人は,普通の電卓を触ることが出来なくなってしまいますし,逆に普通の電卓しか知らない人にとっては「どうして=キーがないんだ???」といきなり大混乱に陥ります。

 ちなみに,

 (1 + 2) x (3 + 4) x (5 + 6)

 を,普通の電卓でやらせようとすると,

 1 + 2 M+ 3 + 4 = x MR = x->M 5 + 6 = x MR =

 と,メモリ機能を使わないといけません。しかも普通の電卓にはない x->Mキーを使わないとダメです。

 でも,RPNの使えるヒューレットパッカードの電卓なら,

 1 ENTER 2 + 3 ENTER 4 + x 5 ENTER 6 + x

 と,左から順に操作するだけでokです。

 1 + (( 2 + 3) x 4) + 5) x 6 + (7 + 8) x 9

 これだと,もう普通の電卓だと,どうやっていいのか考えるのも面倒です。でもヒューレットパッカードの電卓なら,

1 ENTER 2 ENTER 3 + 4 x 5 + 6 x + 7 ENTER 8 + 9 x +

 と,あくまで基本に忠実に入力すれば,結果はきちんと出てきます。
 
 この単純さと,知ってる人だけ得をするというわずかな優越感が,RPNの魔力なんだと思います。

 偉そうにかいてますが,私がHP-35の復刻版である「HP-35s」を購入したのは,別にRPNを使いたかったからではありません。

 告白しますが,私は,その「わずかな優越感」をうらやましく思い,HP-35sを買ったのです。

 復刻される話は今年の夏頃知っていました。かなり欲しいと思ったのですが,いくらガジェット好きだからといって,1万円近いお金をただの関数電卓に出すには抵抗がありました。それに,私はこうした面倒な計算をすべてポケコンに任せて20年の人です。今さら新しいことを覚えることもありません。

 HP-35sが発売になり,次第に国内でも購入者が増えるにつれ,ますますそのうらやましさは募る一方です。一応コンピュータに関係する仕事をしているのですから,ヒューレットパッカードの電卓くらい使えないでどうするよ,という気持ちにあらがうことも,とても不健康に思えてきました。

 そこで,意を決して購入。さすがに欲しい人には行き渡った後だけに,即納でした。

 パッケージを開き,電源を入れます。「=キーはどこなんだ!」とまず最初に混乱するという儀式を軽く済ませ,英語のマニュアルをパラパラとめくります。

 私はこの電卓を,単純に所有欲を満たすために購入したわけですので,RPNを使うかどうかはそれ程重要ではありません。こういうぬるい人がいることをヒューレットパッカードも分かっているんですね,通常の電卓として動作するモードに切り替えることで,RPNが使えない人でも,普通の電卓として使うことが出来るようになっています。

 大きさも形もちょうどいい頃合いです。日本の電卓は実は結構使いにくい形をしているものなのですが,キーの大きさや押しやすさも手伝って,その快適さは今時の電卓としては非常に贅沢。

 しかし,遊んでいくうちに,この電卓はRPMを使わないと,使いこなせないという気がしてきました。

 そこで,先の書いたようなRPNの入門をやってみたのです。

 いやはや,未だに使いこなせているとは言えないのですが,とにかくセオリー通りに左から素直に打ち込んでいけば,勝手に答えが出ているこの感動は,なんだか初めて電卓を使ったときを思い起こさせるものでした。

 下の計算は,ヒューレットパッカードの電卓の説明書に,例題として長くと取り上げられているものらしいのですが,

√( (8.33*(4-5.2)÷((8.33-7.46)*0.32))) / (4.3*(3.15-2.75)-(1.71*2.01)) )

 答えは,4.5728です。

 これがスパッと一発で出てきたとき,私はRPNとの出会いに感謝したのでした。

 今のところ,ポケコンを使う方がなにかと便利な場合も多いので,会社にHP-35sを持ってくることはしていません。随分と遅れてしまいましたが,憧れのヒューレットパッカードの関数電卓を手に入れられたこと,そしてRPNの意味を理解したことと,たかが電卓で感激したことは,私にとっては有意義でした。

 最近はこのHP-35s,店頭でも買えるところがあるようです。値段は8000円から9000円というところですが,過不足なく機能が盛り込まれた本格的なヒューレットパッカードの電卓を使ってみようと思う方は,簡単に入手できる間に奮発して買っておいた方がよいと思います。

80年代との対話

  • 2007/12/13 16:51
  • カテゴリー:散財

 私は,電池で動いてボタンがいっぱい付いていて小さい液晶画面があるものが大好きでして,電卓でもリモコンでも喜んで飽きずに触っている人ですが,考えてみるとそれは子供の頃にポケコンと出会ったことが大きかったと思います。

 ポケコンはその当時から,すでに厚さ10mmを切っていて,大きさも重さも電源も電卓並みの手軽さを持つ,ある程度完成された形で世に出ていましたから,その高密度感にメカ好きな子供がころっといってしまうことは,想像に難くはありません。

 残念なことに,その後ポケコンというカテゴリは消えてしまい,すでに昔話となっているのが寂しい限りですが,ポケコンが存在したある特定の時期を生きた我々のような人々にとっては,やはり特別な存在であり続けています。

 10年ほど前ですが,ポケコンをちょっと集めたことがありました。PC-E500の中古品を改造して遊んでいたのですが,先日久々にそのPC-E500に電池を入れてみると,全く動かないではありませんか。

 ポケコンの中でも最も人気の高いPC-E500が死んでいるという事実に私は軽いめまいを覚え,あわてて修理を始めますが,結果はX-07を復活させ自信を付けた私をまた奈落の底に沈めるものでした。

 私は何かに取り憑かれたように,某オークションにログインしていました。

 結果,かなり無駄遣いをしました。これはその闘いの記録です。

・PC-E500
・PC-E200

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 PC-E500は今もって「最強」とされるポケコンで,8bitCPUでありながら大容量のメモリを搭載可能,強力なBASICに当時としては大きなLCDを搭載したモデルです。よく知られたことですが,1MByteのRAMにスマートメディアを搭載し,日本語の読み書きが最終的に可能になっています。当時まだPDAの機能が低く,PC-E500がそれらに比肩するスペックをパワーユーザーの工夫によって実現していたことは,なかなか面白い事実でしょう。

 私も入手してすぐにRAMを512kByteにし,クロックを上げる改造を済ませてあります。

 PC-E200はPC-E500と同時に広告に出ていたから覚えているんですが,Z80を搭載していたことが売りだったように思います。

 というのも,当時のポケコンは電池駆動をする関係上,CPUは低消費電力に特化したオリジナルのものしかなく,Z80などというメジャーなCPUを使うことは考えにくかったのです。

 PC-E200はPC-G801という学校用のポケコンの一般販売モデルですが,PC-E500などと比べるとなにかと見劣りするところがあり,私もあまり欲しいと持ったことはありませんでした。

 実際に使ってみると,16進数の扱いが弱かったりして実用的にも苦しいものがありました。サイズも大きく,厚みもあるため私の金銭にはいまいち触れず,単純にコレクションになってしまいそうです。
 

・PC-1245
・MC-2200

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 PC-1245は今から20年以上前に親に買ってもらった,私にとっての初めてのポケコンですが,中学,高校,大学と学生時代の面倒な計算を一手に引き受け,社会人になってからも私を面倒な計算から開放してくれています。

 心配なのは壊れてしまうことで,予備機を手に入れようと考えました。

 毎日学校に持ち歩いていた私のPC-1245はもうボロボロですが,今回手に入れたものはなかなか程度もよいです。ほっとしていると,液晶の隅っこが黒ずんでいるではありませんか。

 シャープのポケコンは,経年変化で液晶が黒ずんでしまうことがよく知られています。動作するのに液晶が死んでいる個体は数多いのですが,残念なことに液晶パネルそのものを修理する方法はないので,諦めるしかありません。

 気温が上がると黒ずみが消えるので,まだ程度は軽いと言えるのですが,予備機としての役割は苦しいなあというのが実際です。

 MC-2200は,PC-1245のOEM版。セイコーから発売されていました。液晶の位置が真ん中に来ていることと,キーの色が大きく違うので,同じポケコンでも随分印象が違います。

 見ての通り液晶はもう真っ黒になっていて,さすがに使い物になりません,動作は正常なようですからすごく残念なのですが,まあこれもコレクションということで諦めます。

 液晶を復活させる方法があるといいなあ。

 ところで10年ほど前に手に入れたPC-1251,いつの間にか液晶が黒ずんでしまっているのを見つけて,ショックでしばらく無口になってしまいました。また,専用のプリンタとカセットレコーダであるCE-125も,カセットが死んでいました。ベルトが伸びてしまっていたので,これは交換が必要です。

・PC-1401
・PC-1445

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 私が今回初めて手に入れたPC-1400シリーズです。PC-1400シリーズはPC-1200シリーズとほとんど同じハードウェアを持ちながら,関数電卓としての方向性を強く打ち出したラインナップで,その結果として後年まで学校用モデルとして長く続いたシリーズでした。

 PC-1401はその初代モデルで,RAMは4kByte,16桁のLCDを持っています。非常に程度が悪かったこともあり,説明書付きでも安く手に入れることが出来ました。

 PC-1401は10kByte搭載のモデルにPC-1402というのがあるため,簡単にメモリ増設の改造が出来ると思っていたのですが,どうもうまくいきません。

 PC-1402の発売当時,64kbitのSRAMは入手できず,8kbyteのメモリは16kbitのSRAMを4つ使って実現していました。PC-1401にもRAMカードを入れるスペースとコネクタが用意されていて,ここがユーザーに開放されていなかったことを考えると,PC-1402がこのスペースを使っていたことは間違いなさそうです。

 そのコネクタのピンを調べてみると,やはり予想通り。そこでこの信号を増設したメモリに繋いでみたのですが,取り付けた新しいメモリのうち2kbyteと一部しか認識していません。動作はするので配線そのものは間違ってないと思うのですが,どうしてもトータル4kByteまでしか認識しないのです。

 原因は未だに不明ですが,どうもPC-1401には前期型と後期型があり,前期型のCPUはSC61860A07,後期型はSC61860A08のようなのです。

 そして,メモリ増大版のPC-1402は,PC-1401の前期型よりも後に発売になっているらしいのです。つまり増設したメモリを認識できるのは,もしかすると後期型だけではないだろうかと思っています。

 実家にはもう少し詳しい資料があるので調べてみようと思います。

 一方のPC-1445ですが,こちらはそこそこに程度のいい状態でした。しかし故障しているとのこと。電池を入れると,電源スイッチをOFFにしても電源が切れません。リセットボタンも無視されてしまいます。

 一応一通りの動作はしているので,CPUやROMといった部品が壊れていないことははっきりし,まずは一安心です。

 PC-1445の回路図は持っていないので,PC-1401の回路図を参考にします。PC-1445でも,電源を切るのは,CPUのあるポートをGND(シャープのポケコンはGNDが電池のプラス側なのでややこしい)につなぐ必要があるのですが,調べてみるとどうもこの端子とスイッチが繋がっていないようです。

 さらに調べると,スルーホールで反対面にパターンが移るところで切れています。スルーホールでパターンが途切れているようです。

 怪しいと思っていたのですが,どうもこの個体は電池の液漏れをやっているようで,白い粉やサビが結構残っています。そもそも電池のサイズも小さいので電解液の量も少なく,一見すると被害は小さいように見えたのですが,スルーホールに入り込んだ電解液がパターンを切ってしまうほど深刻な被害を出していたのでした。

 電池の液漏れに驚いたのは,X-07の修理でのことでした。マンガン電池の液漏れはそんなに大したことはないのですが,アルカリ電池やリチウム電池といった高性能電池の電解液はなかなか厄介で,銅箔を溶かしてしまいます。X-07でもアルカリ電池の電解液があちこちのパターンを切断しており,修理に手間取ったのでした。

 このPC-1445も,スルーホールが切れてしまっているという点で深刻さは同じようなものです。とりあえず電源スイッチとリセットスイッチのパターンを修復し,それぞれのスイッチがちゃんと有効になっていることを確認しました。

 そしてお約束のRAMの増設。PC-1445は海外にはないモデルなので情報が少ないのですが,基板上には実装済みの64kbitのSRAMに加えて,もう1つ28ピンのRAMのランドが用意されています。さらに回路を追っかけていくと,ここにもう1つRAMがのり,チップセレクトが別に出てきていることも分かりました。

 64kbitのメモリの手持ちが少ないので,手持ちの関係から256kbitのSRAM64kbit分だけ使うようにのせて試したところ,あっけなく16kByteを認識しました。SC61860で16kByteのメモリというのはなかなか素晴らしいです。

 ところが,組み立てを終えると電源が入りません。リセットもかかりません。もう一度ばらすと電源が入ります。しかし組み立てるとまた電源が入りません。

 半日悩んで分かったのは,もう1つスルーホールが導通していない箇所があったということです。そのせいで起動に失敗してしまっていました。基板がたわむと導通が切れたりするので,再現性がなくてなかなか調べるのに時間がかかってしまいました。

 ここを繋いで,今のところ問題なく動いています。液漏れの影響でベークの両面基板が反ってしまっているのも気になりますが,変にいじると壊れるのでやめおきます。

 大きさも重さも機能も十分で,メモリも一番多い機種ということで,期待してなかったのですがうちで一番使い道のあるモデルとなりました。

・PC-1211 + CE-122

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 PC-1210は以前に手に入れたのですが,メモリ増設モデルであるPC-1211は,専用のプリンタが欲しくて手に入れたら,おまけに付いてきたという感じでした。

 見ての通り,液晶はひどい物です。処理速度も遅く,使う気にならないのですが,さすがにBASICが動作するポケコンの始祖ですので,歴史的な意味は高いです。

 そのプリンタも,届いたときの状態は非常に深刻でした。このプリンタはNiCd電池を内蔵しているのですが,この電池が液漏れしていたのです。

 NiCd電池の電解液も強烈で,今回はパターンが消えてなくなっていた部分もありました。

 それらを丹念に繋いで,なんとかプリンタが動くようになりましたが,残念な事に本体がこんな状態ですのであまり利用価値はありません。まあコレクションとしてメカ物が動くというのは気分のいいものです。

・PC-2001

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 80年代初頭,月刊マイコンの表紙の裏側の見開きにはきまってNECの広告が出ていました。私が初めて買ったマイコン1983年2月号には,当時のPCシリーズのフルラインナップが紹介されていました。

 PC-6001しか知らなかった私は,PCシリーズにPC-2001,PC-6001,PC-8001mk2,PC-8801,PC-9801,N5200モデル05があることを知り,とりわけPC-2001という変なモデルが常に心に残っていました。

 15年ほど前にPC-8201とHC-20を手に入れましたが,PC-2001というハンドヘルドマシンは現物を見ることもないままだったのです。しかし今回,付属品一切無しのものを手に入れることが出来ました。

 この頃のポケコンやハンドヘルドマシンは搭載メモリが少なく,また消費電力の関係からSRAMを搭載していることが多いので,私はまず実用的に使えるだけのメモリを増やすことを最初に行います。

 PC-2001の場合,海外に出ていなかったらしく,海外のマニアが立ち上げたWEBサイトがほとんどない中で情報を集めねばならなかった(X-07の場合海外のマニアのおかげで随分助かりました)ので,ちょっとだけ大変でした。

 RAMを増やすには,メモリマップを探さねばなりません。結局見つからなかったのですが,複数の情報を総合し,その通りに改造することにしました。

 写真は「PRINT FRE(0)」でフリーエリアの大きさを表示させた直後の写真です。見ての通り18kByteもあります。RAMカートリッジをいれて最大16kByteだったんじゃないかと思う方がいれば,その方は正しいです。ただ,PC-2001のエミュレータでは最大で18kByteまで認識する事が知られているので,私にもそれにならってRAMを取り付けてみました。

 結果はこの通り。当たり前ですがエミュレータと同じです。

 ただ,液晶の表示が薄く,エネループではほとんど見えません。新品のアルカリ電池でもギリギリですので,さすがにちょっと厳しいです。

 使ってみた感じですが,持ち運びの出来るフルスペックのBASICマシンとして,非常に面白いものであることは事実です。しかし,40桁x2行の画面も中途半端ですし,いろいろ使いにくいところもあるので,実用マシンとしては使えそうにありません。X-07といい勝負です。


 先日はPC-1600Kも起動しなくなって修理しましたし,実家のHC-20やPC-8201も長い間様子を見ていないので壊れているかも知れません。年末年始に確認してこようと思います。

 80年代のコンピュータにはなかなか味があるのですが,ポケコンやハンドヘルドは小さくて場所も取らず,表示装置も内蔵されているので単体での動作が可能というのも,コレクションに最適です。

 そんなわけで,オークションも盛況なようですが,私もとりあえず休憩です。オークションだからというわけではないのでしょうが,やはり30年近く経過したものは程度が悪く,修理も難しくなっています。お金はともかく,時間の確保が難しいこともあり,理由です。

 ただ,BASICインタプリタが電源ONで起動するポケコンは,まさにユーザーとポケコンが対話をする感覚です。のんびりとした動作速度に身をゆだねていると,ポケコンがまるで小動物のような錯覚に陥ります。

 興味のない人にとってはタダのゴミですが,もし不要になったポケコンがあったら譲ってやって下さい。捨てるとかわいそうです。

ClassicEPsはディジタル・アーカイブかもしれない

  • 2007/12/11 19:41
  • カテゴリー:散財

 随分昔から気になっていた,SRX-12「Classic EPs」をようやく買いました。

 いきなりで申し訳ないのですが,私が使っているローランドのRD-700に追加する拡張音源カードです。

 70年代の音楽には必ずと言っていいほど使われているエレクトリックピアノですが,アコースティックピアノのお手軽版という生まれを思い出させないほど,重用される楽器です。

 ハモンドオルガンが教会のパイプオルガンの代用品として誕生し,後にその個性から「ハモンドオルガン」という独立した楽器として定着したのと同じようだなあと思います。

 そのエレクトリックピアノですが,とても好きな割には,実物はFenderRhodes Suitcaseをちょっと触ったことがあるくらいです。(CP-70はよく演奏しましたが,これはいわゆるエレピの範疇とは違うので含めません・・・)

 そんな状態ですから,あの独特の音をどうやって出しているのか,全く分からないままです。フェイズシフタを使うとか,コーラスを使うとか,いろいろ話は聞いていますが,シンセサイザーでそれらしい音を作ってみても,アンサンブルでは全然使い物にならないことが,当時は悩みの種でした。

 開き直ってエレクトロニックピアノ(電子ピアノ)ということにして,Rhodesなんかとは全然別の音を作って使うようになりましたが,アコースティックピアノが年々いいサンプリングで音が良くなって,簡単に素晴らしい音が手に入るのに,なぜかエレクトリックピアノについては全然だったんですね。

 悔しいなあと思っていたら,数年前にとうとうローランドから出ました。それがこのSRX-12,ClassicEPsです。

 価格は2万円ちょっとなかなか高価で,今時のソフトシンセならこの値段でものすごくいいものが買えたりするのですが,音源も「音」に対する対価としてお金を払うわけですので,要するにこのClassicEPがどれくらい私の期待に応えるかがすべてです。

 しかしその結論は,早くに出ていました。

 このカード,発売以来何度も買うつもりで楽器屋に出向いて試奏し,「まあ今回はいいか」と帰ってきていたのです。試奏すると,その音が私のイメージに合致していたので,これを演奏すると楽しいだろうということは,容易に想像が付きました。

 とりわけ私の物欲を刺激したのが,コンディション別にサンプリングされているということです。エレクトリックピアノも経年変化で音が変わります。私は体験したわけではないので人づてではありますが,経年変化により発音機構(金属棒と音叉のようなものの組み合わせらしいです)のサビが音色を随分変えるんだそうです。

 これを使い分けることが出来るとなると,もうエレクトリックピアノに望む物はない!と言わせたい,そんなこだわりを感じます。

 RD-700ではだめなのですが,Fantomなどの大画面液晶のモデルに搭載すれば,独自のUIが起動して,それらをリアルタイムに設定できるようなります。こだわってるなあと思うのは,その画面がコンディションの設定によってピカピカの新品から使い込んだようなやれた感じに変化することです,見た目にも変化するというのは,ちょっとした事ではありますが,心理的にとても重要なことでしょう。

 サンプリングされている音はtype1,type2とtype3の3つです。RD-700ではtype3ではなくWurlitzerとわかる名前になっていたので,これで3つのエレクトリックピアノが利用できることになります。

 情報を整理するとtype1はスピーカー付きということですのでSuitcase,type2はスピーカーなしのモデルということですのでMarkIでしょう。

 カタログには,これらのコンディションの良い物を探し出し,4段ベロシティ全鍵マルチサンプリングをしたということで,実物を使うのが年々難しくなることを見越し,この名機を完全にディジタル化しようと意気込んだのかも知れません。

うーん,SuitcaseとMarkIとWuritzerですよ。それも驚くほど新品に近い状態の抜群のコンディションのものを世界中で探し回って,ですって。たまりませんね。

 で,私のようなぬるい人にとってもありがたいのは,エフェクトの設定がすでに「使い物」になる状態で用意されていることです。トレモロ,フェイズシフタ,コーラスなど,必携のエフェクトでありながら,私のようにいくら頑張っても「あの音」に鳴ってくれない経験値の低い人にとって,使えるプリセットが一発で呼び出せることは本当にありがたいことです。

 そんなわけで,10月末に酔った勢いでぽちってしまった私は,その数日後に名曲の数々を,「あの音」でしばらく夢中で弾きまくることになるわけです。

 それにしてもエレクトリックピアノというのは難しい楽器です。もちろんアコースティックピアノも難しいのですが,打鍵の強弱によって変化する音色の変化が大きい楽器ですので,その音色変化を積極的に使いこなせないといけません。でも,どのくらいの打鍵で音色が変化するかをつかみ切れておらず,ここ一番の「かつーん」という打鍵音を出し損ねてがっかりすることもしばしばです。

 言うまでもなく,和音を演奏するとき,目立たせたい音のキーだけ強く叩きますが,エレクトリックピアノは音色の変化がかなりあるので,目立ちすぎます。というか,別の楽器が突然「ばーん」と鳴ったように聞こえます。だから,同じ音で和音を演奏するには,逆に強さもある範囲で揃えつつ,音色の変化がないところで強弱を調整しないといけないんだなあと気が付きました。いやー,難しい。

 エレクトリックピアノはもともと正弦波に近い音色なので,和音の響きが美しく,とても強い印象を残すだけに,気を抜いて演奏するとそれがすぐにばれてしまう,怖い楽器です。よくもこんな難しい楽器を昔の人は弾いてたもんですよ。

 そんな中で,一緒に入っているクラビとWurlitzer は,全然使いこなせません。クラビはリズム楽器と呼んでも差し支えがないほど,リズム感がなければ恥ずかしいだけの楽器ですし,Wurlitzerは音が好みでないことに加えて,これを使わなければならないような曲を演奏したこともないので,音を聞いてもイメージがわいてこないんですね。

 実は購入して2ヶ月ほどたちますが,最近ようやく鍵盤の重さと音の変化がリンクするようになってきたので,随分と楽しくなってきました。個人的に思うのは,レコーディングにはいい音が必要ですが,楽しく演奏するにはいい音以上に変化のある音が大事なんだということです。

 以前使っていたピアノ音源であるSG-Rackもいい音でしたが,変化の少ない音だったので楽しめず,弟にタダであげてしまいました。RD-700も内蔵の音色にはいまいちの物もありますが,2つのスロットをCompletePianoとClassicEPsで埋めてしまえば,もう怖い物はないでしょう。

 個人的には,RD-700は,内蔵の音色ではエレクトリックグランドの音(実はこれは未だにEmuのVintageKeysの音が一番いいと思ってます)と,80年代の名機RD-1000で知られたSA音源のエレクトロニックピアノが気に入っているので,先の2つの拡張音源とあわせて,かなり楽しいピアノになってくれたなあと思います。

 ただ,これまでに買った他のカードが使えなくなってしまい,結果として弟に無期限貸与(要するにオークションなんかで勝手に売り払い生活費にするなという意味)しているのがもったいなく,XV-2020でも買うか,と思っているのですが,XV-2020って結構中古でも人気の機種のようです。やっぱみんな同じことを考えるのでしょうか・・・


 昨今話題の初音ミクなんかと,アンサンブルを真面目にやらせると面白いかも知れないなあなどと思うのですが,その前に昔の仲間とアンサンブルをしないと思ったりする,今日この頃です。

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