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カテゴリー「散財」の検索結果は以下のとおりです。

FA43mmF1.9が使いこなせません

  • 2006/12/04 15:09
  • カテゴリー:散財

 Kマウントのボディを手に入れたら,必ず買おうと思っていたレンズが,FA43mm/F1.9Limitedです。

 1997年の発売と言いますから,もうすぐ10年ですか。ちょうどこのころって,パンケーキレンズとかマニュアルフォーカスのレンズとか高級コンパクトカメラなんかが流行った時期だと思うのですが,そんな時期のレンズにふさわしく,金属の鏡筒を持つ,大変に質感の高いレンズです。

 個人的には,ミノルタとペンタックスのオートフォーカスレンズのデザインの悪さと質感の低さには言葉もないと思っていまして,せっかく良く写るレンズなのに見た目で損をしているよなあと残念でなりませんでした。

 ところがペンタックスはミノルタと違い,ボディは相変わらずペナペナでも,レンズだけは他のマウントのユーザーをうならせる素晴らしいものを時折ラインナップすることがあります。FA☆85mmなんか,見かけはプラスチックに銀色の塗装でがっかりですが,その写りにはプロも絶賛,という具合です。

 で,このFA43mmですが,ペンタックスが言うには,フィルムの対角が43mmということで,中判の定義を借りればこの焦点距離こそ真の標準レンズであると。ただ,35mmでもなく50mmでもないこのレンズを,中途半端という人もいないわけではないようです。

 当時,フードをかぶせたその格好の良さにぴぴっときました。そして43mmという中途半端な焦点距離に,F1.9という出たとこ勝負っぽい明るさにもかなりくらくらしていました。

 聞けば実際の写りを重視したとか,色ごとに球面収差を揃えたとか,暗部の階調が粘るようにわざわざフレアを少し残したとか,ただただ良く写るというレンズではないことが歌われています。

 その割にはそんなに高価なレンズではないところがペンタックスのよいところで,これがFマウントで出てくれればどんなに良いことか,と当時思ったものです。

 このレンズを現実的に考えたのは,*istDが出たときです。ニコンからAi対応したデジタル一眼がなかなか私の手の届く価格で出てこないため,いっそのことマニュアルレンズの面倒が非常によい*istDを買って,Kマウントに乗り換えようかと思った時でした。

 結果,D2Hを買うに至ってこの話はなしになったのですが,当時は中古カメラ屋にもFA43mmがいくつも出ていて,いついっても安価に買うことが出来ました。

 そして,今回,MZ-10を修理して手に入れたことで,念願のFA43mmをようやく手に入れる理由が出来たのです。

 これが,例えばNikkor45mm/F2.8Pのようなテッサー型だったらきっと買わなかったと思うのですが,きちんとガウス型になっているのですね。個性という意味でもパンケーキレンズであるという取り回しの良さでも,私の手持ちでこれとかぶるレンズはありません。欲しい。

 躊躇していたのは,MZ-10の修理の状態が原因でした。

 これまでに書いたように,割れたり折れたりしたプラスチックを接着剤で付けたり別のプラスチックを盛り上げたりして修復しただけであり,本質的に一度折れたプラスチックの部品は同じものと交換するしか,完全な方法で修理できません。

 それに,ギアが割れたりストロボが上がらないMZシリーズがどれほど多いことか。カメラはもはや一生ものではなく,3年持てばそれでよい,という設計思想は,コストダウンには貢献しますし,現状においては必要十分であることは理解できますが,同じ時期のニコンのカメラがまだまだしっかりしていることを考えると,使い捨てられることが設計時に決まっているなんて,このカメラの設計者は無念であるに違いないと思います。

 ですから,いくら修理を行ってもどうせまたすぐに壊れてしまうでしょうし,買い直すといっても,現在も製造されている新品を買うわけではありませんから,壊れやすさという点では何も解決になりません。

 FA43mmを手に入れても,ボディが壊れてしまえば他に使い道はありません。そして,確実に,そう遠くない時期に,ボディは壊れてしまうでしょう。

 迷いました。安い中古があれば買ってみようと思ったのですが,あいにくここ最近のペンタックスの躍進は凄まじく,K100DやK10Dのユーザー達が新品中古を問わず,片っ端からKマウントのレンズを買いあさっているようなのです。

 FA43mmも,中古はどこにもありません。新品も限られたところしかありません。Limitedというくらいですから,次の入荷が必ずあるという保証もありません。

 それに,FA43mmを生かし切るには,やっぱりフィルムで使わなければならないでしょう。そのフィルムが楽しめなく日は,やぱり確実に,しかもそう遠くない時期に,やってきます。

 そんなことを考えていると,偶然新品が1つだけあるという店を見つけました。価格も大手カメラ量販店よりも安いです。これも何かの縁だと,買うことにしました。

 手にしてみると,その質感には大変素晴らしいものがあります。私はTakumarレンズが好きなのですが,文字の彫り込みなどを見ていると,まるでTakumarレンズのような感じです。

 AFレンズなのにフォーカスリングにも粘りがあり,マニュアルフォーカスでもがっかりしないものになっています。これは他社も見習ってもらいたいです。

 フードはぜひ使いたいところですが,これは薄さを取るかどうかにかかってくるでしょう。私の場合,小型のMZ-10にフードなしのFA43mmを持ち出すのが気軽でいいのですが,それがどのくらい撮影条件を狭めるものになるかhば,これから考えないといけません。

 で,いくつか早速撮影してみました。

ファイル 63-1.jpg

 えーと,恥ずかしながらこの写真でFA43mmを絶賛するにはむりがありますね。構図もおかしく,やはり43mmという焦点距離に振り回されたという感じでしょうか。少しボヤーとしていて,シャープさがないのですが,背景の夕暮れ時の微妙な空の色の変化は,きちんと捉えていると思います。要するに撮影者の修行が足らんと言うことです。

 もう1枚。

ファイル 63-2.jpg

 これはまずまずです。やっぱり色ですね,このレンズは。

 ついで,といってはなんですが,FA35-80mmという廉価版標準ズームを500円で買って来ました。後玉の裏側がかびていたのですが,樹脂で封止されていたレンズを強引にひっぺがし,カビを取り除いた後に接着剤で貼り付けたという,とんでもない修理を施されたレンズです。

ファイル 63-3.jpg

 ・・・良く写っていると思いませんか。色も十分だし,シャープネスもいい。確かにコンパクトカメラからのステップアップや一眼レフ初心者にとって,このレンズを1つ買えば,すぐに一眼レフの楽しさを味わえるでしょう。いやはや,見くびっていました。単焦点レンズ並みに小さい実用ズームレンズは,持ち歩くのにも苦になりません。こういう世界もあったのだなあと,つくづく思いました。

 そんなわけで,まだまだFA43mmを楽しく使うには練習が必要です。今のMZ-10が壊れてしまった時のために,予備機(といってもジャンクです)を確保しました。それでも信頼できないボディなのですが,そのころにはフィルムも底をついているでしょう。せっかく意を決して新品のレンズを買ったわけですから,今だからこそ楽しめるフィルムを,どんどん楽しもうと思います。

一線を越えてしまいました

  • 2006/11/23 20:37
  • カテゴリー:散財

 カメラに本格的に入れ込む人が,必ず踏む地雷,それがカビです。

 私も,これまでに何度かカビをレンズに生やしたことがあります。住んでいる場所や家の構造,1階か2階かによってもカビの生えやすさは違うのですが,私が今住んでいるところは元々湿地だったようで,しかも木造アパートの1階ですから,条件としては最悪。実際,住み始めた年の梅雨時には,本当に大変なことになりました。

 その後,除湿機を買ったりして対策を進めた結果,住むには問題のないレベルになったとは思うのですが,相変わらずレンズのカビには冷や冷やしています。

 で,やってしまったわけですよ,また。今度はPlanar50mm/F1.4ZF。

 そのころ,NikonFEの修理の真っ最中で,50mm/F1.4のレンズを調整によく使っていたのです。それで他のニッコールレンズと一緒に,防湿ケースからしばらく出してあったのです。2週間ほど出してあったのですが,ニッコールにはカビなど生えていません。

 しかし,哀れツァイスの名玉には,1mm程度の円形の模様が・・・認めたくはないですが,やはりカビ。

 防湿パッキンでも十分と思っていた私ですが,やはり乾燥剤を定期的に交換しないといけなかったりして面倒な上に,傷が付かないようにしまい込むのも難しく,限界を感じていたところでした。

 こんな時いつも頭をよぎるのは,ちゃんとした防湿庫を買うことです。

 しかし,多くの先人達が述懐するように,あれはある意味で一線を越えたもの,なのです。

 防湿庫を買う->空いたスペースを埋めたくなる->またレンズを買う->防湿庫が一杯になる->防湿庫を買い足す->空いたスペースを埋めたくなる->(以下繰り返し)

 という恐ろしいループに陥る危険性が極めて高いのです。

 この誘惑に打ち勝てても,そもそもカメラをかびさせない為に防湿庫を買うなんていうのは,普通の人にとっては考えられない事でもあるし,買った人はそれなりのマニアだということになります。つまり,防湿庫を買った人は,もう他人に「私はマニアじゃありませんよ」という顔が出来なくなってしまうのです。

 私はこの一線を越えないように,今まで踏ん張ってきました。しかし,たかだか2万円そこそこの防湿庫で,5万円も10万円もするレンズを守ることが出来るなら,実はとてもいいお金の使い方なのかも知れません。

 私の場合,お金と言うより,時間と手間をかけて修理したカメラとレンズが多数あります。これを守りたいという気持ちもあり,思い切って購入検討をしてみることにしました。

 結果,毎度おなじみの阿部先生で有名な東洋リビングの「ED-50SS」というのを買いました。お値段は24000円弱だったと思います。

 届いてから空の状態で通電して1日ほどたつと,湿度は40%位になって,それをずっと保っています。なかなか頼もしいです。今日になってようやく置き場所を決定し,中にカメラとレンズを入れてみました。

 残念ながらオリンパスのE-20と専用コンバージョンレンズを収めることが出来ませんでしたが,後はなんとか入りました。

 これからの季節は湿気に悩まされることはありませんが,それでも鍋料理などをすれば湿度は上がります。そうした環境の変化に左右されず,一定の湿度を維持できるというのは,気分的にも随分と楽です。

 これを買ってカビを完全に防げるわけではありませんので,この商品の善し悪しを云々するのは難しいですが,そもそもこうした光学製品をきちんと収納できる場所を確保できたことは,よかったのではないかと思います。

フィルムスキャナを買いました

  • 2006/10/15 23:01
  • カテゴリー:散財

 散財しました。

 今度の散財は,フィルムスキャナです。

 ニコンのCOOL SCAN V EDというモデルです。

 ご存じのように,私は今銀塩カメラが楽しくて仕方がありません。機材を修理することも,その違いを比べるのも面白いわけですが,私のような多くのアマチュア写真家にとって,現像とプリントのコストは頭の痛い問題です。

 私の場合,カラーネガも自家現像しますので現像までのコストはそんなに大きくないのですが,プリントは大変です。紙が増えて収納に困る,全部を紙に焼くと膨大な数になるという問題点があってプリントは基本的にしないのですが,とはいえ引き延ばしが前提の35mmフィルムでは,撮った写真を見ることが出来ません。

 そこでフィルムスキャナでコンピュータに取り込むことにしたのですが,押し入れから引っ張り出してきた私のスキャナは10年ほど前に購入したScanMaker35tというものです。当時,本物のPhotoshop3.0が同梱されて39800円だったと記憶しています。今でもそのPhotoshopからのアップグレードでCS2にしていますので,十分元は取ったかなと。

 Scanmaker35tは35mmフィルムを2800dpiで取り込めるものではありますが,光学系がプアで色ずれがひどいし,周辺光量の低下もひどいです。そしてボケボケでシャープさがなく,コントラストも低いです。ちょうどピンホールカメラで撮った感じといえばわかりやすいでしょうか。取り込み時間も随分長くかかります。

 ただ,買い直すとなると大変ですし,我慢して使っていたのですが,これだけカラーフィルムを買いだめしてあって,今後も写真を続けていこうと思っているのなら,今のうちにきちんとしたものを買っておくべきなのではないかと考えて,買うことにしました。まあ,中判に手を出すことはおそらくないでしょう,おそらく・・・

 で,現実的まところで,現在フィルムを取り込むには,ニコンとエプソンから出ているフィルムスキャナを使うか,フラットベッドスキャナのうちフィルムのスキャンに対応するものを使うほかないわけですが,ニコンのフィルムスキャナ以外はフラットベッドスキャナに毛の生えた程度らしく,画質の差は一目瞭然です。

 もともとカメラメーカーのパソコン周辺機器など信用しない私ですが,フィルムスキャナは光学系が命。わざわざニッコールを名乗るレンズ(しかもED)を内蔵するというニコンのCOOLSCANは,評判を聞いても入手性を考えても,もはやこれ以外の選択肢はありません。

 数ヶ月前に調べたときには軒並み在庫切れということ諦めたのですが,その時聞いたある程度の注文がたまったら一気に作るという話を信じて今回調べたところ,今ならどこでも在庫があります。

 結構信憑性の高い話では,もうニコンはフィルムスキャナの新規開発を行っておらず,現行のものもいつまで作るか分からないとのこと。そもそも世界的にフィルムカメラやフィルムの生産規模が縮小しているのに,フィルムスキャナがいつまでも手に入るなんてのは確かにおかしいです。

 価格や性能から,上位機種は必要なし。でも最も安い「COOLSCAN V ED」でも,上位機種との差は小さく,コストパフォーマンスは最高だと思います。実売6万円弱でここまでの性能というのは,ニコンもかなり思い切ったことをしてるなあと感心しました。

 昨日届いたのですが,さくっとつかってみたところの感想です。

・画像
 取り込んだ画像については,とりあえず期待通り。文句はありません。最高画質では銀の粒子が目立ち,かえってがっかりするほどです。設定についてはそんなに細かくないので,ほとんど自動でよいと思ったのですが,暗部を勝手に引き上げたりするのが気に入らず,結局あまり自動補正に頼らなくなりました。

・自動給装
 これは便利ですね。ScanMaker35tはスリーブでもホルダーにいれて手動で一コマ一コマ動かしていましたから,ずっとそばについていないといけなかったのですが,COOLSCAN V EDでは6コマを自動でスキャンしてくれます。

 縦位置が混在する場合はどうなるのかと思いましたが,最初にどのコマが縦かを指定しておけば,勝手に縦で取り込んでくれますので,これが一番助かっています。

 ただ,問題がないわけではなく,この自動給装が使えるのは2コマ以上のスリーブのみ。1コマの場合はスライドマウントが必要になるので,24枚撮りで25枚撮れた場合などに出てくる1コマだけのスリーブの場合,買った状態では全く手がありません。オプションを買えと書いてあるのですが,こういう事態って普通の人でも簡単に起こりうることで,困るんじゃないかと思います。

 精度ですが,結構いいみたいです。パーフォレーションの数を数えてコマ送りを仕組みのようなので,古いカメラのようにコマ位置のばらつきが多い場合にはどうなるのだろうと思っていましたが,あまり気にすることはないようです。

・速度
 遅いです。ScanMaker35tよりは速いだろうと思っていましたが,あんまり変わりません。処理によっても変わりますが,私の場合は1コマのスキャンに4分ほどかかっています。読み取り解像度を落としても,4000dpiでスキャンしてから縮小をかけるようで,時間が短くはなりません。

 ただ,私のマシンはPowerPCG4-1GHzと低いスペックなので,今時のマシンならこの半分ほどの時間で処理できるのではないかと思います。

 ところでインターフェースはUSB2.0になってます。ただ,スキャナという製品の性格上,あまり恩恵を受けているようには思いません。

・大きさ
 大きいです。5インチハーフハイトのHDDが入ったケースのような感じです。また結構重いです。

・音
 結構うるさいです。スキャン中のゴゴゴゴという音が結構するので,深夜など気になるかも知れません。ScanMaker35tと比べて同じ程度ですから,私はそれほど気になりませんが・・・

 そうそう,ファンレスなので,風切り音は全くありません。これは非常に助かります。

・ウォームアップと経年変化
 光源がLEDですので,蛍光灯のようなウォームアップ時間もありませんし,経年変化も小さいでしょう。

 蛍光灯は,結構短い時間で色が変化します。RGBそれぞれの蛍光体のウォームアップ時間や寿命の違いによるのですが,LEDが光源だとそこを考えずに済むのが素晴らしいですね。熱も出ませんし,紫外線によるフィルムの劣化を気にすることもありません。(スキャン中だけの露光なので紫外線は気にしすぎかなと思うのですが,自動給装でないScanMaker35tの場合,1コマだけずっと蛍光灯が当たりっぱなしになりますので,出かける前に仕掛けていく,ということが出来ません。数時間も熱と紫外線にさらされると,さすがに多少は影響が出そうですから)

・ソフトウェア
 私はMacOSXで使っていますので,そのお話しか出来ませんが,今時Carbonってのはないよなーと思います。ぜひ作り直して欲しいです。(ニコンは保証していませんが,Rosetta環境でも動作したそうです。)

 登場してから数年たっているソフトなので安定しているかとおもいきや,結構落ちます。あまり軽快に動くというものでもないので,満足とは言えません。

 しかし,わかりやすいとは思います。VueScanに比べても使いやすく,設定もうまくまとめられているので,なにをどうすればいいのか,どこをいじればいいのかは直感的にわかります。

・まとめ
 たくさんのネガがある人,過去の資産をデジカメで撮影した画像と同じ流れで管理したい人,これからも銀塩と共に過ごそうと思っている人は,今のうちに買っておいてください。この先,この値段でこの性能の製品が出てくる可能性は低いと思います。

 確かに,WindowsVistaへの対応や,新しいMacOSXにどこまで対応できるか疑問ですが,ソフトウェアは古いOSと併用するなりVueScanを使うなり,Photoshopのプラグインで逃げるなりしてどうにか出来ても,ハードウェアだけはどうにもなりません。

 フラットベッドスキャナなら今後もフィルムスキャン機能はつくだろうと思っている人も,その性能差は雲泥の差ですからおまけぐらいに考えておくべきです。写真屋さんに頼むわ,と言う人も,それがいつまで出来るのか,覚悟しておく方がいいと思います。

 銀塩フィルムに関するあらゆる製品開発速度は非常にゆっくりになっています。ですから,フィルムスキャナについても,これから先,劇的な進化は期待できません。今買ったからといって,あとで後悔するようなことはないと思います。そんなことより,買えなくて後悔したということの方がむしろ心配です。

 てなわけで,先日購入した105mm/F2.5で撮影したネガをスキャンしてみました。上は105mmそのまま,下はTC-16A(1.6倍のテレコン)付きです。上は1段絞ってF4,下はテレコン付きなので開放でF4です。

ファイル 47-1.jpg
ファイル 47-2.jpg

 なかなかいい感じですよね。

 テレコンバータという光学系がどういう影響を与えているかはっきりしないのでこんなことをいうのも何ですが,どうもこの105mmというレンズは絞り開放の方がいい感じのようです。1段絞れば被写体はしゃきっと,背景は適度にぼけるかと思ったのですが,結局どっちつかずになった感がありますね。

 それと,この写真はF3で撮ったのですが,F3のテンポのいいことこの上なし。ファインダーの明るさ,広さはシャッターを切るまでの作業がとても楽で素早く出来ますし,巻き上げのなめらかさは次のシャッターを切る意欲を削ぎません。

 いいカメラだなあとつくづく感じました。

 もしフィルムスキャナのことが気になっているのであれば,急いだ方がよろしいと思います,ほんとに。

レンズ沼に自らはまれ,と神の啓示

  • 2006/10/12 16:58
  • カテゴリー:散財

 えと,先日いつもの中古カメラやさんで,またレンズに手を出してしまいました。でもでも,今回は割とまともですよ。(相変わらずワゴンに入っていたものですが)

・Ai Nikkor 105mm F2.5

 ホコリ,と書かれたシールが貼られていて,お値段は5500円。前玉を見ても後玉を見ても,一目で大口径レンズとわかるレンズです。

 昔から中望遠の大口径レンズを一度手に入れてみたくて,でもそういうレンズって使い方が限られている上に結構高いので,ずっと手に入れることなしに来たのですが,今回5500円(しかもカビはなさそう)というのは,きっと神が与えたチャンスに違いありません。

 ちょっと悩んだのですが「買わずに後悔するより買って後悔しろ」という指令が私の脳に直接ズビビと届くや否や,体が制御不能に陥ってしまい,気が付いたら店の外でした。

 まずこのレンズ,非常に有名なんです。「ニッコール千夜一夜」という,ニコンのファンなら死ぬまでに100回は読むと言われる,とても楽しい本がありますが,ここに登場するレンズの1つなのです。(ちなみにニコンのホームページでも無料で読めますのでまだの方はぜひどうぞ)

 これによると,過去30年以上基本設計が変わっていない息の長いレンズであるということ,変形ガウス型(クセノター型)であるということ,ポートレート向けに収差をあわせ込んだレンズであることが書かれています。なんとMFレンズが絶滅危惧種になっている中,このレンズは現行らしいです。

 調べてみると私が購入したレンズは現行のAi-Sレンズではなく,1つ前のAiレンズのようです。おそらく70年代ですね。年代相応の汚れや傷みがあります。ワゴンに入れられていたので後玉にも指紋がベタベタ。

 あー,許せん,レンズやCDやフロッピーの表面を素手で触る輩を見てると,真空跳び蹴りをお見舞いしたくなります。

 ただ,それ以外の光学系の傷は,見た目に大きなものはなさそうです。なんで安いのかなあと思うのですが,もともとそんなに高いレンズでもないので,こんなものなのかも知れないですね。

 私の場合,プログラムモードやシャッター優先モードが使えるマニュアルフォーカスのボディをそもそも持っていない(FAやFG20なんかも面白そうですが・・・)ですし,仮に使えたとしてもどうせ使いこなせないので,Ai-Sである必要はそもそもありませんし,光学系の改良もないような息の長いレンズなら,古くても全然構いません。コーティングの違いはあるかもしれませんが,70年代以降のいわゆるマルチコートレンズならそんな差はないんじゃないかと思っています。

 それにしても,52mmのフィルター径に目一杯大きい前玉,ずっしり重いガラスの塊を印象づける重量感,このころのレンズにはストイックさがありますね。
 
 持ち帰ってから,詳しく点検です。

 まず外側を拭き掃除します。フォーカス環のゴムリングは外して中性洗剤で丸洗いです。これだけでも随分違います。

 かなり汚い汚れがどんどん取れていくのは気分の良いもので,それまで他人の所有物だったものが自分のものに名実ともになる,いわば儀式です。

 次にレンズを磨きます。まずホコリを飛ばし,油汚れはアルコールで拭き取ります。その後アルコールの乾いた跡を取る目的で,はぁーと息を吹きかけ適度な湿り気を与えてから,シルボン紙でゴシゴシ拭きあげます。

 この,息を吹きかける,というのは御法度とされていて,最初は私も恐る恐るやっていたのですが,ホコリを飛ばして油さえ取れば,ゴシゴシ力を入れて拭いても傷は付きません。心臓の弱い人が見たら卒倒しそうなほど強烈に拭き上げます。そうすると,ふっと摩擦が激減する瞬間が出てきます。完全に汚れが取れた合図です。

 拭き終わって見てみると,前玉の中央部に0.5mm程のコーティングの剥がれが2カ所ありました。結構目立ちますが,まあこの程度なら写りに関係ないだろうと,あまり気にしません。5500円ですしね。

 次は文字にスミ入れします。つや消しのエナメル塗料を流し込み,乾いてからうすめ液をつけた綿棒で余計な部分を拭き取ります。

 前面の記銘板も取り外してスミ入れを行おうとしたとき,妙に前玉がガタガタいうので確かめてみると,前群がゆるんでいました。前群を外して見たところ,厚さ2cmもあろうかという貼り合わせレンズを固定する枠もゆるんでいます。

 まるで,素人が分解をした跡のようです・・・でも,分解痕は全く見あたりません。

 とりあえず全部締め直して,組み立てます。終わったらボディに取り付けてみましょう。

 まずニコマートEL。ガチャガチャをやってからファインダーをのぞくと,ちょっとした感動があります。中望遠の距離感にずっしりとした重たさ,そしてフォーカスを合わせるしっとりとした感覚。改めて外観を見渡してみると,ニコマートによく似合っています。

 次にF3。ちょっと鏡筒が長いのですが,やっぱマニュアルフォーカスのボディは,52mmのフィルター径が似合いますね。空シャッターを何度か切りました。比べてはいけないのですが,F3のファインダーの見やすさは病みつきになります。(そういえばうちのF3はF4用のスクリーンを入れてありました)

 そして最後にD2H。おお,これは一番格好いいかも。ボディが大柄なので,このくらいのレンズだとバランスとしてちょうどいい塩梅です。

 何枚か撮影してみます。さすがに開放でF2.5ですから,室内でも1/30秒程度は確保出来ます。ステージの撮影などには重宝しそうです。そして点光源の柔らかなボケ具合。真円のままぼけていきます。これってなかなか重要なことなのではないかと思います。

 私の印象では,特にカリカリということもなく,でもきちんとピントはきていて,ボケは無理がなくとても自然です。D2Hでは160mm相当になってしまうので中望遠とは言えない微妙な所にきますが,この個性はやっぱり人物を撮影するのに使うべきレンズだと思います。

 お遊びで,先日のTC-16も試してみました。言うまでもなくAFレンズとして動作しました。だけど250mmのF4相当って,別に普通の望遠レンズです・・・
 そんなわけで,このレンズは私にとっては大当たりです。タムロンの90mmF2.8マクロと競合するかと思いましたが,これはもう全く違いますね。よかったよかった。


・AiAF Nikkor 28mm F2.8

 AFレンズで,定番の28mmです。Dレンズではありません。鏡筒の前,フィルタがねじ込まれる部分が2cm程欠けてしまっています。それ以外にカビや傷など光学的な問題はみあたりません。ニコン純正のスカイライト付きで6500円。

 たぶん落っことしたかぶつけたんでしょうね,この欠け方は。フィルターをしていればこんな風になることもなかったのでしょうが,前のオーナーはフィルターを使わない男らしい方だったようです。

 レンズでぶつける,落とすはもう御法度で,私個人もそういうレンズは信用したくないところではありますが,6500円ですからね,やはり迷いました。買うにしても105mmと28mmのどちらか一方にせねば・・・

 そんな風にちょっと悩んだのですが「買わずに後悔するより買って後悔しろ」という指令が再び私の脳に直接ズビビと届くや否や,体が制御不能に陥ってしまい,気が付いたら両方抱えて店の外でした。

 28mmのニッコールレンズは実はマニュアルフォーカスでは持っていたりします。これはF3を買ったとき,3本目のレンズとして10年前に中古を購入したもので,後玉にコーティングの剥がれが少しある難あり品でした。15000円しましたが,それでも当時としては破格のお値段だったのではないかと思います。

 なにしろ,当時の私は,一眼レフは50mm以下は未体験,コンパクトカメラを入れても35mm以下には踏み入れたことがないという状況でしたから,この28mmが与えてくれた新しい視点には,とにかく感謝するしかありません。

 絞り込んでパンフォーカス,ノーファインダーでスナップ,PLフィルターで真っ青な空,斜めに道路を入れて広さを強調,などなど,学んだことは数知れずです。今になってCLEを手にし,広角レンズと相性がいいレンジファインダー機の良さを知ることが出来たのも,この28mmがあってこそ,でしょう。

 ですから,D2Hになっても28mm相当の画角は外せないと思っていました。ただ,ズームレンズでカバーできることと,単焦点レンズで28mmを狙うこととは気分的に全然違うことにも気が付きました。ブームレンズを絞り込んで,パンフォーカスで撮影するなんてこと,あんまり考えつかないんじゃないですか,みなさんも。

 今回,6500円のAFニッコールで28mmを手に入れたのは,28mmという定番レンズをAFで持っておいても罰は当たらんだろうと思ったこと,現在持っているレンズには後玉に傷があって,ひょっとしたらこれが大きな影響を(特にデジタルで)与えている可能性もあるかもしれないと思ったことです。

 ただ,ちょっと書いたように鏡筒が割れていて,欠けています。AFレンズはプラスチックが多用されていて,質感も強度もいまいちなわけですが,実は自分でそこそこの修理が出来てしまうことをメリットと考えても良いのかもしれないですね。

 というわけで,記銘板を外し,割れている部分だけ取り外します。記銘板にひびが入っているのが分かったので,この部分を瞬間接着剤でくっつけ,はみ出た部分を2000番のペーパーで削ります。あとで半光沢のクリア吹き付けておけばばれないでしょう。

 レンズそのものは特に問題はなし。汚れているので先程と同じ手順でゴシゴシ掃除します。今回は分解せずとも十分綺麗ですし,ネジ類にもゆるみはありません。フォーカス環のゴムリングも外して中性洗剤で洗います。

 さて,割れている部分の修理ですが,現在行っているところです。いろいろ考えたのですが,この部分はフィルターの取り付けのために内側にネジが切ってありますから,それも復活させないといけません。

 そこで,割れていない部分で型を取り,欠けた部分に方をあてがってプラリペアを充填し,再生することにします。現在,型を取ってプラリペアを盛り上げたところまでは済ませて,荒削りをやっている途中です。

 削りすぎて失敗した部分もあったり,内側のネジがうまく合わなかったりと,なかなかうまくいかず,ひょっとしたらやり直しになるかも知れません。

 別に,割れた部分に黒いテープでも貼り付けてフィルターをはめ込んでおけば実用上何も問題はないと思われるのですが,そこは模型で鍛えた腕前もあります。やるだけやってみようと,取り組んでいるところです。

 ともかく,28mmはF70D(D70じゃないよ)の定番レンズとして使ってもいいし,D2Hの42mm相当の標準レンズとして使ってもよいでしょう。はたまたF3につけて28mmレンズとして活用してもいいだろうし,とにかく28mmのような使い道の広いレンズは,カメラの台数だけあっても困りません。(そんなことはないか)


 今回は合計で12000円と,ジャンクやカビ玉を狙う私としては思わぬ出費だったのですが,その分の見返りはあった買い物だったと思います。特に105mmは新しい世界への挑戦が可能になるレンズで,その個性を生かせる機会はそう多くはないかも知れませんが,しっかり使っていこうと思います。

おかしなテレコンと古いストロボ

  • 2006/09/29 15:43
  • カテゴリー:散財

 先日,行きつけの中古カメラ屋を定期巡回した際,いつものようにジャックを見つけて買って帰りました。今回の戦利品は2つ。

・ニコン AFテレコンバータTC-16A

 どうやらテレコンバータがまとまって入荷したようで,いろんな種類のものが純正・非純正を問わず転がっていました。どれも安価です。

 私が目についたのは,ニコンの純正で,AFレンズと同じデザインの,比較的新しそうに見えたTC-16Aという品種です。価格は3500円。

 AFテレコンバータと書かれているところから,AF対応であることが推測できるので,ますます好都合です。しかし不思議なことに,マスターレンズ側のマウントに,電気接点が全く見あたりません。ボディ側にはあるんですけどね。後で気が付いたのですが,AF駆動用のカップラーも出てません。

 それでもニコン純正です。というのも,テレコンバータは安いものと高いもので,全然画質が違うという事を体感したからです。テレコンバータはマスターレンズの欠点も拡大しますが,それを出来るだけ押さえるために複雑なレンズ構成を取ったり,特殊なガラスを使う事があります。

 その分高価になるため,数千円で手に入るケンコーのテレコンバータと,数万円の純正品とでは,全然画質が異なるわけです。

 だけど,必ず画質の劣化が起こるテレコンバータに,数万円も出せません。それで純正品を買うことはしませんでした。所詮私にとっては面白いおもちゃに過ぎない存在でした。

 それが3500円ですからね。1.6倍という倍率も適度です。そこで買うことにしました。

 TC-16Aを調べてみたのですが,googleで調べてみてもなかなか引っかかりません。もちろん現行ではないのでニコンのHPにも全く見あたりません。

 わずかにヒットした情報を総合すると,どうもマニュアルのニッコールレンズを,AFレンズとして使用するアダプタらしいのです。

 発売時期はF-501と同じといいますから,もう20年くらい前ですか。当時,全くAFレンズのラインナップがなく,大量に出回っていたMFレンズをこのテレコンバータで一気にAF化するというのが狙いだったようです。

 AF化するために,テレコンバータのレンズ群をモーターで駆動するようになっています。当然焦点距離も変わってしまうので,AFアダプタとは言わず,テレコンバータと呼んだのでしょう。

 これで辻褄が合います。電気接点がレンズ側にないのは,そこにつくのがマニュアルフォーカスのレンズだから。AFカップラーがないのも,同じ理由。テレコンバータの下部が膨らんでいるのは,そこに駆動用モーターが仕掛けてあるから。

 ほほー,なかなか面白いなと思った瞬間,現行のボディにはほとんど使えないという情報も引っかかりました。AFにならないだけではなく,シャッターが切れないらしいのです。全く使えないというわけです。

 F4というカメラは,市場に出ているニッコールレンズを,最も多く許容するボディとしてここ数年マニアから再評価されていますが,こうしたマニアの遊び道具としてTC-16Aも利用されているようで,それ以外の使われ方を見ることはほとんどありませんでした。

 そんな中,D200では動かなくても,D2Hでは動いたという報告が見つかりました。これは幸い。D2HはデジタルワールドのF4になれるでしょうか。

 試してみます。CarlZeissのPlanar50mm/F1.4ZFがAFになったら面白そうでしょ。早速やってみましょう。

 予想通り,D2Hはこのレンズをきちんと認識しました。1.6倍した焦点距離に絞り値を設定して,Ai連動も済ませます。

 シャッターボタンを半押しすると,ものすごい速度でAFが合焦します。言うなればインナーフォーカス方式ですし,レンズの移動量も小さいので,高速なのは理屈通りではありますが,超音波モーターを内蔵するDX Nikkor18-200mmに比べてもかなり高速という結果には驚きました。

 ところが,ちょっとアンダーです。そういえば集めた情報の中に,「F1.8より明るいレンズはテレコンバータ自身が絞りになってしまうので,F1.8より絞って使え」とありました。なるほど,前玉をのぞき込むと,テレコンバータが光路をふさいでいるのがわかります。

 そこで露出補正をするとよいとのこと。私の場合+0.3位で,適正な露出になってくれました。

 いろいろ試して見ます。Ai-Nikkor45mm/F2.8PなんかもAFで使えると面白いですね。誰もが試してみたくなる超望遠の世界だと,私の持ってるレンズで最も焦点距離の長いものは300mm/F4ですので,テレコンバータで480mm相当,これをD2Hに使うとさらに1.5倍で720mm!

 試してみましたが,室内ではどこにも合焦させることが出来ませんでした・・・

 画質の劣化も思ったほどなく,おもちゃとしては最高でしょう。なにしろたくさんあるマニュアルレンズが1.6倍の頂点距離になったあげくAF化されるわけですから,D2Hと一緒に持ち歩くとなにかと便利に使えそうです。 
 

・ペンタックス オートストロボAF160

 中古カメラの世界においてストロボは,純正の多機能ストロボ以外,ゴミ扱いされる傾向にあります。ところがそのカメラとストロボの多機能化が進む昨今,現行の一眼レフの機能を生かし切るストロボは現行のストロボだけに限られるのが現状で,一世代前のストロボでさえ,現行機種に取り付けると,ただの外光式オートストロボとしてしか動いてくれません。

 中には外光式オートに対応しないストロボもあったりして,もうこうなるとほとんど専用品です。

 となると,中古のストロボというのは,外光式オートストロボとして使うことが前提となってしまいますし,そうなるとメーカーや新旧に関係がなくなり,最大光量を表すガイドナンバーくらいしか選ぶところがありません。

 そんなですから,ストロボの中古はゴミ扱いで,どれも安価です。もっとも,新品でも外光式オートの汎用ストロボは,メーカーを問わず安いのですが・・・

 電池が単三2本くらいで,小さく,ガイドナンバーも内蔵より少し大きいくらいの小型ストロボが欲しいなあと思っていたのですが,今回見つけたのがペンタックスのAF160というものです。ガイドナンバーは16,価格は300円。動かなくても文句の言えない価格です。

 接点を見るとシンクロ接点とチャージ完了の接点くらいしか見あたらず,TTL調光やら通信用やらという最近のにぎやかさはありません。プラスチックの変色具合やフィルム感度の表記がASAであるところ,PENTAXのロゴや会社名が「ASAHI OPT.」と書かれているところを見ると,25年くらいは経過しているのではないかと思います。

 PENTAXのHPに奇跡的に存在したこのストロボも取説を見てみると,やはりMEsuperやMXなどが対応機種として書かれています。MEsuperが1979年の発売ですから,今からざっと27年も前のストロボですか・・・

 それはともかく300円です。滅多に壊れるものでもないし,安いのはちょうどいいと思ってお金を払います。

 特にコメントの書かれたシールも貼られてない割に,300円というのは気になったのでしょうか,店員さんが電池を入れて動作チェックをしています。とりあえず発光することは確かめられたのですが,オートモードがおかしいとのこと。理由は周囲の明るさによって変わるはずのチャージ時間に全く変化がないことでした。

 外光式オートは,周囲が明るければ発光時間が短く制御されるので,次の発光に必要なチャージにかかる時間が短くなるというのが常識です。ところがこのストロボはそうはならないので,オートはダメだというのです。

 これは使い物になりません。やめようかとも思ったのですが,光るという事だけでも十分300円の価値があるだろうということで,そのまま買うことにしました。まあ大阪だったらまけてくれたか,ただにしてくれたかも知れません。

 家に帰って確認をしてみます。満充電のNi-HM電池で8秒ほどかかるチャージ時間は,周囲の明るさによって全く変化しません。マニュアルモードのフル発光でも,蛍光灯の下でも同じです。発光時間は,なんとなく変わっているように思うのですが,おそらく気のせいでしょう。

 D2Hに取り付けてテスト撮影です。むむ,やはり白飛びしてます。明るいところでも暗いところでも白飛びしているということは,やはりフル発光しているというだろうと推測し,故障と断定。

 そうと決まれば分解です。

 なかなか分解しにくい構造だったのですが,コンデンサに気をつけて(先日サムライの分解で感電しましたしね),ばらしてみました。

 オートが動作しないのですから,調光回路周辺の故障でしょう。半導体は壊れにくいですが,フォトトランジスタはまだ新しい部品でもあり,ちょっと外してテストします。すると一応明るさによって反応している様子です。ここは壊れてないと判断。

 次にコンデンサですが,電解コンデンサは目視で液漏れや破裂,膨張などもありません。フィルム系のコンデンサはシーメンスのポリカーボネートコンデンサが使われていましたが,これも調べてみると問題なし。

 すると抵抗ですね。このストロボの抵抗にはソリッド抵抗が使われています。誤差は10%品というあたり,時代を感じさせます。ソリッド抵抗は私の印象では信頼性が低く,故障の原因となっていますので,調べてみます。

 おおむね大丈夫だったのですが,10MΩという高抵抗については1MΩほどの抵抗しか示しません。しかも安定しないので,これが壊れていると判断して交換です。

 あいにく手持ちには10MΩなどありません。そこで4.7MΩを2つ直列にして代用します。テスターでは9.7MΩを示していますので,まあよいでしょう。

 バラックのまま発光テストを行います。すごいですね,ストロボって最大で3A以上の電流が流れるんですね。チャージが進むと徐々に減っていきますが,最初電源器の保護回路が働いてしまって,どこかショートさせたんじゃないかと焦りました。

 テスト発光させると爆音と共に発光します。センサを覆って暗くすると,明らかに爆音が大きくなり,発光量も増加しているように感じます。ただ,チャージ時間にはあまり変化がないような印象です。よく分かりませんが,抵抗がおかしかったのは事実ですし,直っているんじゃないかと期待して組み立てることにします。

 その前に,センサを覆う透明プラスチックの板が曇っていたので磨いて(それでもあまり綺麗にならなかった),組み立てます。コンデンサを抵抗で放電させて安全に注意しながら作業を進めます。

 組み上がってからテスト発光。問題はないようです。しかし,やっぱりチャージ時間は相変わらず8秒で一定です。

 やっぱりダメだったんだなあと,D2Hでテスト撮影をします。

 心なしか白飛びの程度が改善されているようですが,比べてみて分かる程度の差です。ただ,明るいところでも暗いところでも,同じ程度の白飛び具合であることに,実は調光されているのではないのか,と考え始めました。

 適正露出にするために,カメラ側のISO感度を下げて試そうとしたその時,私は自らの過ちに気が付きました。ISO感度の設定が,400になっています。

 D2Hは標準が200です。そのつもりで絞りを合わせていたのですが,感度が400になっていたのであれば,オーバーになり白飛びが起こるのは無理もありません。ISO200に設定し直し,再度撮影すると,なんと適正露出になりました。

 明るいところでも,暗いところでも,ほとんど同じ明るさです。試しにマニュアルモードでフル発光してみると,ほとんど画面が真っ白になってしまいました。

 ははは,オートモードは最初から動いていたようです。

 まあ,おかしかった抵抗を交換したことで分解した価値はあるのですが,もっと気をつけて確かめるべきでした。

 しかしそうなると,チャージ時間の疑問が残ります。

 調べてみると,ストロボの調光方式には,バイパス方式(もしくは並列方式)と直列方式の2つがあるそうです。

 バイパス方式は,キセノン管と並列に別の放電管(これをクエンチ管というそうです)を用意してやり,積分された光量に応じた発光停止のタイミングで,クエンチ管をトリガして放電させる方式です。

 一方の直列方式はキセノン管に直列にサイリスタを入れ,積分された光量に応じた発光停止のタイミングで回路を切断する方式です。(サイリスタってよく分からないのですが,トリガをかけると導通し,回路を遮断するまで導通状態を保つ素子じゃなかったでしたっけ?なんでトリガ回路で回路が切断できるのかわかりません・・・)

 前者は安く簡単なのですが,発光量に関係なくコンデンサは空っぽになるので,チャージはいつも長時間かかります。

 後者は複雑でコストがかかるのですが,発光量によって消費されるエネルギーが変わりますから,発光量が少なければチャージは使った分だけで済み,短時間で完了します。発光量によってチャージ時間も変化します。

 ここが重要なのですが,最近はチャージ時間が短くて済み,電池も長持ちする直列方式が主流で,バイパス方式はほとんど見あたらないようなのです。

 今回のストロボもサイリスタが2つほど使われていましたので,私はてっきり直列方式だと思っていたのですが,確かに放電管も存在しました。オートモードではこれも青白く光っています。

 ということは,間違いなくバイパス方式ですね。これで全部辻褄が合います。

 恐るべしはこのカメラ屋の値付けです。他のストロボが1000円程度だったにもかかわらず,このストロボだけ300円だったのです。きちんとバイパス方式であることを見抜いて根付けしていたに違いありません。むむむ,恐るべし。

 まあ,店員さん自らもだまされてしまうほど高度なテクだったわけですが,さすがは生き馬の目を抜く中古カメラ業界。うかうかしてるとお陀仏です。

 それはともかく,一応小型ストロボが手に入ったので,使い道を考えたいところです。ES2にも似合いますが,出来ればCLEに使えるといいですね。CLEはストロボを動作させることは出来ないのですが,ちょっと手を加えて駆動できないかと思案中です。


 とまあ,こんなわけで,またくだらないものが増えてしまったのでした・・・

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