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2006年09月26日の記事は以下のとおりです。

ES2不定期報告

 実家に持って帰ったES2は,あえなくトラブルが出たために使用を断念せざるを得ず,戻ってからも実は毎日メンテを続けています。

 これまでにも書いていますが,問題になっているトラブルで深刻なのはシャッターの幕速の問題で,後幕が先幕に追いついてしまって,1/1000秒で重なってしまうというものです。

 いやらしいのは,きちんと調整をしたつもりでいても,一晩経つとまた重なってしまっていることと,シャッターを何度か切るうちに重なりがなくなってしまうことです。

 シャッター幕のテンションが低すぎるために,時間の経過で下がったテンションが限界値を超えて重なってしまったのではないかと考えて,問題が出る度にテンションを上げている(つまり幕速を上げている)わけですが,3日ほど前に行った調整以後,重なってしまうという問題は出ていません。

 これで解決すればと思っていたのですが,巻き上げのトルクが妙に重たいのです。実家から持って帰ったSPにしても,最近2台手に入れたジャンクのES2にしても,もっと軽くてスムーズなんですよね。

 幕速が速いと,幕が停止するときにぴたっと止まらず,跳ね返ってしまいます。これが起こると露光ムラを引き起こしてしまいますが,一方で幕速が遅い場合のフラッシュ撮影時に全開にならない問題よりは,ずっとましと言えるかも知れません。

 幕速の測定は,スタート点からストップ点までの時間を測定すれば良いことになっていて,ES2の場合フィルムの両端から2mm内側の34mmの間を,12.5msで走り抜けば良いことになっています。

 幕速を測定する測定器を作っても良いなあと思って,回路も考えたのですが,なんか面倒になってしまって,今すぐ実行しようという気にはなっていません。気持ち悪いのでなんとかしたい気持ちもあり,でも果たしてその測定器を信用して良いのかどうか,そこもあやしいと思うようになったらもう底なしです。

 少々話が逸れますが,現在シャッター速度の測定をどうやっているかといえば,以前作ったシャッター速度測定器の使用を諦め,オシロスコープを使うようになっています。

 シャッター速度測定器の問題はいくつかあって,1つは光源の明るさで測定値が大きく変わるという問題があります。おそらく明るさによってフォトトランジスタが反応を始めるタイミングが変わってしまうことが原因だと思いますが,1/1000秒で2割も測定値が変化すると,どの明るさを信用すればいいのか,わからなくなります。

 また,この測定器では自動露出のシャッター速度を測定するのが難しいです。フォトトランジスタが反応する明るさまで光源を明るくしなければなりませんが,そうすると低速側の速度が全然測れません。

 配線が面倒臭い,操作性が悪いなどの問題もあって,さっぱり使わなくなったのは,オシロスコープを使った方法が思った以上に楽ちんだったからです。

 私の手持ちのオシロスコープはテクトロニクスの2465Aというアナログタイプのもので,今から20年ほど前のものです。

 ブラウン管のテレビを使ってシャッター速度を確認することはよく知られた簡易チェック法なのですが,悪いことに私はすでにブラウン管のテレビを一掃して久しく,その代わりにならないかと思いついたのが目の前にあったオシロスコープです。

 トリガモードをAUTOにして掃引をフリーランさせておき,入力はGNDに落として水平線を表示させておきます。そして掃引時間を1ms/divと設定して,1/1000秒でシャッターを切ります。

 レンズを付けず,裏蓋を開けてシャッター越しに表示を見てみると,本当に1/1000秒でシャッターが切られているなら,1divだけ輝線が見えるはずです。ただし,掃引方向とシャッターの走行方向は直交している必要があります。

 同様に,2ms/divで1/500秒のシャッターを切ると1divの輝線が見えますし,16ms/divで1/60秒でもやはり1divの輝線が見えます。1ms/divで1/500秒のシャッターを切れば2divの,1/250秒のシャッターを切れば4divの輝線が見えるはずですから,いろいろな組み合わせで確かめる事も出来ます。

 2465Aはリードアウトがありますので,掃引時間の細かい設定も可能ですし,測定器でですからそこそこ信用できる精度を持っているでしょう。さすがにオーバーホールを済ませたF3で試すと,どの速度もきちんと1divの輝線が見えます。

 この方法だと,操作するのはカメラ本体だけなので,作業がテンポ良く進みます。目視による確認ですので精度は出ませんが,極端に狂っていれば意外によく分かるので,全面的にこの方法に切り替えました。

 幕の重なりがあった場合,先幕と後幕のテンションをそれぞれ上げて,重ならないところまで持っていきます。そしてオシロスコープを使って速度を確認し,後幕のテンションで調整を行います。このまま一晩放置して,また重なりがないかどうかを確認するのです。

 この方法では,幕速そのものを測定できませんし,シンクロ速度でシャッターが全開になっているかどうかも,シャッター幕の跳ね返りが起こっているかどうかも分かりません。

 1/1000秒というシャッター速度を装備することが1つの技術的な壁になっていたという当時の事情を,なんとなく追体験した感じです。

 そんなわけで,ES2は現在調整を終えて現在確認の最中です。今のところ幕の重なりもなく,速度もメカ/電子制御を問わずきちんと出ているようですので,かなり期待をしていますが,やはり巻き上げトルクの大きさが気になります。かなりテンションが上がっていると思われますので,あちこちに無理をさせているようで気がかりです。

 ところで,ここ1週間ほどの間に,2台ほどジャンクのES2を確保することが出来ました。外側の程度は非常に悪く,2台ともへこみがかなりあり,1台は裏蓋が開かないほど変形しています。ただ,中身の程度はなかなか良いようで,プリズムの腐食は皆無,ミラーもとても綺麗ですし,基板にも錆一つありません。1台はスローシャッターがそのまま切れてしまうほどの程度の良さでした。

 しかし,あまりに外側が汚いので当初の予定通り部品取りにすることに決めました。

 私のES2は,残念ながらプリズムの腐食があります。早速腐食のないプリズムに交換することにしました。

 軍幹部を開けて,プリズムを押さえているバネを外します。プリズム前方の左右にあるネジをゆるめると,簡単にプリズムが外れてくれます。

 この時期のペンタックスはモルトやスポンジが加水分解を起こしてボロボロになっていて,しかも水分を多量に含んで湿っています。最悪の場合には周辺の真鍮をサビさせてしまいますし,プリズムの腐食もこれが原因で起こります。

 交換用のプリズムもスポンジを丁寧に取り除きます。注意しないとこの時銀のメッキを傷つけてしまいますので,慎重に作業をします。

 本体も綺麗に掃除を行い,プリズムが収まる部分にモルトを貼り付けます。ゴミが入るのを防止して,ショックを和らげる目的で元々ついていたスポンジの代わりなのですが,プリズム側に貼り付けると糊がメッキを痛める可能性があると考え,本体側に貼り付けました。

 逆の手順で組み上げて完成。作業そのものは1時間もかかりません。のぞき込んでみるとすっきり,いい感じです。

 次に気になっていたのが,バッテリチェック機能の調整です。今回,基板が2つも手に入りましたから,それぞれのバッテリチェック電圧がどうなっているかを見てみることにしました。

 サービスマニュアルには,4.4Vで60付近を示すように調整せよとあるわけですが,私のES2は調整範囲内にありません。現在,ギリギリのところで調整を行ってあって,5.2Vで8付近を示すようになっています。

 結論から言うと,基板の2つとも,私のES2と似たような状態でした。4.4Vでは全然60には届かず,5.2V付近で8を示しますので,私のES2が特別おかしいということではないようです。

 ところが,突然私のES2のスローシャッターが切れなくなりました。原因は電池が減っていたようなのですが,電池単体の電圧は1.357V程度。4つで5.428Vですから,バッテリチェックボタンでは指針は中央付近を示します。

 電池がLR44だったせいで,大電流を引っ張るときに電圧が急降下したためでしょう。このカメラは潔く,高価な酸化銀電池で運用するのが確実なようです。

 ここまで分かったところで,あまりバッテリチェック機能にこだわるのはやめにしました。他の基板でも似たような状態ですし,そもそもあまりあてにならないなら,気休めと割り切るべきところだと思います。

 今後の予定ですが,今基板に直接ハンダ付けをしてある部分をコネクタに戻そうかと思っています。基板の差し替えが簡単にできるのは便利ですし,オリジナルに近づけることが出来るというのもよいことです。

 ただ,コネクタは今回のジャンク品でもひびが入っており,修理や補強で使用することが出来るかどうか,判断の難しいところです。やっぱりコネクタより,ハンダ付けの方が信頼性は高いですから。

 あと,露出計用のγカーブを持つCdSを手に入れたわけですから,ニコマートELに組み込んでみようかなと思ったりしています。調整からすべてやり直しになりますが,これでニコマートELが完璧になるのであれば,試してみる価値はあるでしょう。

 そうそう,CLEのブライトフレームの問題ですが,これはさっさと修理しました。ブライトフレームがちょっと変形していて,レバーから外れていました。変形を戻し,レバーに正しく引っかけて元通りなのですが,心配なのはブライトフレームが金属疲労で破断してしまうのではないか,ということです。スプリングで斜め方向に力がかかっているブライトフレームですので,今回の変形が今度起こってしまうと,そこにクセがついてしまって,修理不能になる可能性もあります。

 スプリングを少しのばして,力を弱めておけば良かったなあと今更反省です。

SPの電池アダプタを作ってしまおう

 実家からペンタックスSPを持って帰ってきました。目的は,電池アダプタを作ることと動作の確認,必要に応じて調整や修理を行おうと思ったことです。

 実はこのSP,私が子供の頃から慣れ親しんでいたものとは違います。もとは父親がSuperTakumar50mm/F1.4付きで中古品を買ったものだったのですが,私が高校生の時にはすでにプリズムの腐食が現れ,コマも揃わなくなっていました。

 それでも露出計を含め,基本機能には問題はないようで,TRI-Xを詰め込んでとにかく数を撮りました。

 社会人になってからですが,シャッターが時々切れなくなるようになってしまったので,どうせ壊れているのだしと修理を試み,あえなく壊してしまいました。あまりにも無謀だったなと思います。

 ただ,思い入れのあるカメラだったので,もっと程度のいいものを見つけて,いずれは買おうと思っていたところ,偶然デパートの中古市で見つけて購入しました。今,SPの程度よいものはなかなかいいお値段がするようですが,10年ほど前だったのでそれほどでもありませんでした。確か55mm付きで15000円ほどだったように思います。

 これ,今の目で見ても,結構程度がいいんですね。プリズムの腐食はありませんし,巻き上げもスムーズ,シャッターも気持ちよく切れますし,露出計も完動です。外側も割と綺麗で,素人さんが分解を試みて途中でやめた「躊躇した分解痕」が少しあるのが玉にきず,です。

 先日実家に戻ったとき,これで写真を撮ってみようと思ったのですが,よく考えると露出計の電池がありません。SPの電池は水銀電池でH-Bという型番のものですが,水銀電池は1995年に製造が全面的に中止されて,現在は入手困難とされています。

ファイル 35-1.jpg

 これは製造中止になる直前に大阪で買ったH-Bですが,これまで大事に使わずにとってありました。

 同じ時期に,ペンタックスがSR41という酸化銀電池をH-Bの代わりに使うアダプタをSPユーザーの為に安価で販売していたことがあり,これも私は入手していたはずなのですが,実家の取り壊しと新築のどさくさの中で,どうもなくしてしまったらしいのです。このアダプタが現在入手不可能なのは皆さんもご存じかも知れません。

 とりあえず実家で撮影するのに,この新品のH-Bを使うときが来たかと,封を開けて見たのですが,露出計は全く動作しません。電池が切れてしまったか,それとも露出計が壊れてしまったか,どちらかだなと思ったのですが,10年以上ですからね,こちらに戻ってきてから確かめてみると,やはり電池が切れてしまっていたようです。

 とりあえず手持ちのLR41を無理矢理入れてみたところ,露出計は問題なく動きました。ここまで来ると,やはりアダプタをどうにかしたくなりますよね。

 こんな時は作る,これしかありません。

 純正のアダプタは,実は電圧の調整機能は持っていません。水銀電池は1.35V,アルカリ電池は1.5Vで,酸化銀電池は1.55Vですから,本当なら電圧の調整が必要です。

 しかし,SPの露出計は電池電圧の変動に強くする目的で,ブリッジ回路になっているので,この程度の電圧差は無視できるのだそうです。H-Bを使っているすべてのカメラがそういうわけにはいかず,なかには数千円もする高価なアダプタが売られているようですが,SP専用と割り切れば,外形を合わせるだけで済むわけです。

ファイル 35-2.jpg

 H-Bの外形はこんな感じになっています。純正でも,SR41やLR41にはめ込むようなアダプタでしたから,これと同じようなものを記憶を頼りに作ってみましょう。

 まず,H-Bの型を取ります。「型想い」という名前の型どり材を使えば楽勝です。

 取った型の中央に,LR41を置きます。そしてその周りにポリパテを詰め込んでいきます。1時間ほどして固まってから型から取りだし,削るなど修正を少し行って完成です。

ファイル 35-3.jpg

 左側の黄色いリングがアダプタ,右側の電池がLR41です。

ファイル 35-4.jpg

 実際にはめ込んで見たところがこの写真。なかなかうまくいっています。

ファイル 35-5.jpg

 裏側の写真です。H-Bはツバのある方がマイナスですが,LR41では底面がマイナスになるため,絶縁も気をつける必要があります。外側のケースが底面に露出しないよう,調整しながら削ります。

 実際にSPに入れてみますと,なかなかうまい具合に収まります。露出計もきちんと動作しているようです。グレイカードで確認してみましたが,それほど大きなずれもないため,調整せずにこのまま使うことにしました。

 本体自身は1/1000秒がやや遅いようなので,後幕のテンションを上げて少しだけ速度を上げました。

 ダイアルなどの文字に,改めてエナメル塗料でスミ入れを行い,これで一応完成です。

 撮影は週末にでもやるとして,ぱっと手に取った感覚がやはり当時のままで,手が覚えているんですね。面倒な絞り込み測光も,重たい巻き上げレバーも,すっぽり手に収まるサイズも,なにもかも「いいなあ」と思わせるものがあります。

 思い起こせば,あの頃は1枚1枚をとても大切に撮っていました。無駄に出来ないから,自分の意図が確実に残せるよう,考えて使っていました。SPには自動露出はありませんから,露出計の指示をカメラの設定にどう反映するかは撮影者の考え次第なところがあり,露出補正などというむしろ面倒な操作などせずとも,思い通りに撮影できたものです。

 今でこそ露出補正を面倒とは思わなくなりましたが,はじめてSPからF3に乗り換えたとき,自動露出なんて全然便利じゃないなあと感じたものです。

 原点に返るカメラとして,このSPは手元に置いておきたい気がするのですが,それはやめときましょう。実家にあるから値打ちがあって,たまに帰省して手にとってこそ,原点回帰の意味があるように思います。

 今やるべき事をきちんとやって,実家に返しておきましょう。

 ちなみに,このSPが実は2代目であることを,当の父親は全然知りません・・・

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