エントリー

2006年10月12日の記事は以下のとおりです。

レンズ沼に自らはまれ,と神の啓示

  • 2006/10/12 16:58
  • カテゴリー:散財

 えと,先日いつもの中古カメラやさんで,またレンズに手を出してしまいました。でもでも,今回は割とまともですよ。(相変わらずワゴンに入っていたものですが)

・Ai Nikkor 105mm F2.5

 ホコリ,と書かれたシールが貼られていて,お値段は5500円。前玉を見ても後玉を見ても,一目で大口径レンズとわかるレンズです。

 昔から中望遠の大口径レンズを一度手に入れてみたくて,でもそういうレンズって使い方が限られている上に結構高いので,ずっと手に入れることなしに来たのですが,今回5500円(しかもカビはなさそう)というのは,きっと神が与えたチャンスに違いありません。

 ちょっと悩んだのですが「買わずに後悔するより買って後悔しろ」という指令が私の脳に直接ズビビと届くや否や,体が制御不能に陥ってしまい,気が付いたら店の外でした。

 まずこのレンズ,非常に有名なんです。「ニッコール千夜一夜」という,ニコンのファンなら死ぬまでに100回は読むと言われる,とても楽しい本がありますが,ここに登場するレンズの1つなのです。(ちなみにニコンのホームページでも無料で読めますのでまだの方はぜひどうぞ)

 これによると,過去30年以上基本設計が変わっていない息の長いレンズであるということ,変形ガウス型(クセノター型)であるということ,ポートレート向けに収差をあわせ込んだレンズであることが書かれています。なんとMFレンズが絶滅危惧種になっている中,このレンズは現行らしいです。

 調べてみると私が購入したレンズは現行のAi-Sレンズではなく,1つ前のAiレンズのようです。おそらく70年代ですね。年代相応の汚れや傷みがあります。ワゴンに入れられていたので後玉にも指紋がベタベタ。

 あー,許せん,レンズやCDやフロッピーの表面を素手で触る輩を見てると,真空跳び蹴りをお見舞いしたくなります。

 ただ,それ以外の光学系の傷は,見た目に大きなものはなさそうです。なんで安いのかなあと思うのですが,もともとそんなに高いレンズでもないので,こんなものなのかも知れないですね。

 私の場合,プログラムモードやシャッター優先モードが使えるマニュアルフォーカスのボディをそもそも持っていない(FAやFG20なんかも面白そうですが・・・)ですし,仮に使えたとしてもどうせ使いこなせないので,Ai-Sである必要はそもそもありませんし,光学系の改良もないような息の長いレンズなら,古くても全然構いません。コーティングの違いはあるかもしれませんが,70年代以降のいわゆるマルチコートレンズならそんな差はないんじゃないかと思っています。

 それにしても,52mmのフィルター径に目一杯大きい前玉,ずっしり重いガラスの塊を印象づける重量感,このころのレンズにはストイックさがありますね。
 
 持ち帰ってから,詳しく点検です。

 まず外側を拭き掃除します。フォーカス環のゴムリングは外して中性洗剤で丸洗いです。これだけでも随分違います。

 かなり汚い汚れがどんどん取れていくのは気分の良いもので,それまで他人の所有物だったものが自分のものに名実ともになる,いわば儀式です。

 次にレンズを磨きます。まずホコリを飛ばし,油汚れはアルコールで拭き取ります。その後アルコールの乾いた跡を取る目的で,はぁーと息を吹きかけ適度な湿り気を与えてから,シルボン紙でゴシゴシ拭きあげます。

 この,息を吹きかける,というのは御法度とされていて,最初は私も恐る恐るやっていたのですが,ホコリを飛ばして油さえ取れば,ゴシゴシ力を入れて拭いても傷は付きません。心臓の弱い人が見たら卒倒しそうなほど強烈に拭き上げます。そうすると,ふっと摩擦が激減する瞬間が出てきます。完全に汚れが取れた合図です。

 拭き終わって見てみると,前玉の中央部に0.5mm程のコーティングの剥がれが2カ所ありました。結構目立ちますが,まあこの程度なら写りに関係ないだろうと,あまり気にしません。5500円ですしね。

 次は文字にスミ入れします。つや消しのエナメル塗料を流し込み,乾いてからうすめ液をつけた綿棒で余計な部分を拭き取ります。

 前面の記銘板も取り外してスミ入れを行おうとしたとき,妙に前玉がガタガタいうので確かめてみると,前群がゆるんでいました。前群を外して見たところ,厚さ2cmもあろうかという貼り合わせレンズを固定する枠もゆるんでいます。

 まるで,素人が分解をした跡のようです・・・でも,分解痕は全く見あたりません。

 とりあえず全部締め直して,組み立てます。終わったらボディに取り付けてみましょう。

 まずニコマートEL。ガチャガチャをやってからファインダーをのぞくと,ちょっとした感動があります。中望遠の距離感にずっしりとした重たさ,そしてフォーカスを合わせるしっとりとした感覚。改めて外観を見渡してみると,ニコマートによく似合っています。

 次にF3。ちょっと鏡筒が長いのですが,やっぱマニュアルフォーカスのボディは,52mmのフィルター径が似合いますね。空シャッターを何度か切りました。比べてはいけないのですが,F3のファインダーの見やすさは病みつきになります。(そういえばうちのF3はF4用のスクリーンを入れてありました)

 そして最後にD2H。おお,これは一番格好いいかも。ボディが大柄なので,このくらいのレンズだとバランスとしてちょうどいい塩梅です。

 何枚か撮影してみます。さすがに開放でF2.5ですから,室内でも1/30秒程度は確保出来ます。ステージの撮影などには重宝しそうです。そして点光源の柔らかなボケ具合。真円のままぼけていきます。これってなかなか重要なことなのではないかと思います。

 私の印象では,特にカリカリということもなく,でもきちんとピントはきていて,ボケは無理がなくとても自然です。D2Hでは160mm相当になってしまうので中望遠とは言えない微妙な所にきますが,この個性はやっぱり人物を撮影するのに使うべきレンズだと思います。

 お遊びで,先日のTC-16も試してみました。言うまでもなくAFレンズとして動作しました。だけど250mmのF4相当って,別に普通の望遠レンズです・・・
 そんなわけで,このレンズは私にとっては大当たりです。タムロンの90mmF2.8マクロと競合するかと思いましたが,これはもう全く違いますね。よかったよかった。


・AiAF Nikkor 28mm F2.8

 AFレンズで,定番の28mmです。Dレンズではありません。鏡筒の前,フィルタがねじ込まれる部分が2cm程欠けてしまっています。それ以外にカビや傷など光学的な問題はみあたりません。ニコン純正のスカイライト付きで6500円。

 たぶん落っことしたかぶつけたんでしょうね,この欠け方は。フィルターをしていればこんな風になることもなかったのでしょうが,前のオーナーはフィルターを使わない男らしい方だったようです。

 レンズでぶつける,落とすはもう御法度で,私個人もそういうレンズは信用したくないところではありますが,6500円ですからね,やはり迷いました。買うにしても105mmと28mmのどちらか一方にせねば・・・

 そんな風にちょっと悩んだのですが「買わずに後悔するより買って後悔しろ」という指令が再び私の脳に直接ズビビと届くや否や,体が制御不能に陥ってしまい,気が付いたら両方抱えて店の外でした。

 28mmのニッコールレンズは実はマニュアルフォーカスでは持っていたりします。これはF3を買ったとき,3本目のレンズとして10年前に中古を購入したもので,後玉にコーティングの剥がれが少しある難あり品でした。15000円しましたが,それでも当時としては破格のお値段だったのではないかと思います。

 なにしろ,当時の私は,一眼レフは50mm以下は未体験,コンパクトカメラを入れても35mm以下には踏み入れたことがないという状況でしたから,この28mmが与えてくれた新しい視点には,とにかく感謝するしかありません。

 絞り込んでパンフォーカス,ノーファインダーでスナップ,PLフィルターで真っ青な空,斜めに道路を入れて広さを強調,などなど,学んだことは数知れずです。今になってCLEを手にし,広角レンズと相性がいいレンジファインダー機の良さを知ることが出来たのも,この28mmがあってこそ,でしょう。

 ですから,D2Hになっても28mm相当の画角は外せないと思っていました。ただ,ズームレンズでカバーできることと,単焦点レンズで28mmを狙うこととは気分的に全然違うことにも気が付きました。ブームレンズを絞り込んで,パンフォーカスで撮影するなんてこと,あんまり考えつかないんじゃないですか,みなさんも。

 今回,6500円のAFニッコールで28mmを手に入れたのは,28mmという定番レンズをAFで持っておいても罰は当たらんだろうと思ったこと,現在持っているレンズには後玉に傷があって,ひょっとしたらこれが大きな影響を(特にデジタルで)与えている可能性もあるかもしれないと思ったことです。

 ただ,ちょっと書いたように鏡筒が割れていて,欠けています。AFレンズはプラスチックが多用されていて,質感も強度もいまいちなわけですが,実は自分でそこそこの修理が出来てしまうことをメリットと考えても良いのかもしれないですね。

 というわけで,記銘板を外し,割れている部分だけ取り外します。記銘板にひびが入っているのが分かったので,この部分を瞬間接着剤でくっつけ,はみ出た部分を2000番のペーパーで削ります。あとで半光沢のクリア吹き付けておけばばれないでしょう。

 レンズそのものは特に問題はなし。汚れているので先程と同じ手順でゴシゴシ掃除します。今回は分解せずとも十分綺麗ですし,ネジ類にもゆるみはありません。フォーカス環のゴムリングも外して中性洗剤で洗います。

 さて,割れている部分の修理ですが,現在行っているところです。いろいろ考えたのですが,この部分はフィルターの取り付けのために内側にネジが切ってありますから,それも復活させないといけません。

 そこで,割れていない部分で型を取り,欠けた部分に方をあてがってプラリペアを充填し,再生することにします。現在,型を取ってプラリペアを盛り上げたところまでは済ませて,荒削りをやっている途中です。

 削りすぎて失敗した部分もあったり,内側のネジがうまく合わなかったりと,なかなかうまくいかず,ひょっとしたらやり直しになるかも知れません。

 別に,割れた部分に黒いテープでも貼り付けてフィルターをはめ込んでおけば実用上何も問題はないと思われるのですが,そこは模型で鍛えた腕前もあります。やるだけやってみようと,取り組んでいるところです。

 ともかく,28mmはF70D(D70じゃないよ)の定番レンズとして使ってもいいし,D2Hの42mm相当の標準レンズとして使ってもよいでしょう。はたまたF3につけて28mmレンズとして活用してもいいだろうし,とにかく28mmのような使い道の広いレンズは,カメラの台数だけあっても困りません。(そんなことはないか)


 今回は合計で12000円と,ジャンクやカビ玉を狙う私としては思わぬ出費だったのですが,その分の見返りはあった買い物だったと思います。特に105mmは新しい世界への挑戦が可能になるレンズで,その個性を生かせる機会はそう多くはないかも知れませんが,しっかり使っていこうと思います。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2006年10月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed