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2006年10月24日の記事は以下のとおりです。

ガチャガチャアダプタ2落成

 ニコマートEL復活記念に,懸案だった「ガチャガチャアダプタ」を作りなおすことにしました。

 「ガチャガチャアダプタ」とは,ニッコールレンズの象徴たるカニ爪を省略された悲運のレンズたちに取り付け,あの「ガチャガチャ」が出来るようにするオプションです。いわば翼を与えられなかった人類が,その代わりに獲得した航空機のようなものだといえるでしょう。まさに科学の勝利です。(大げさです)

 「ガチャガチャ」についていちいち説明など致しませんが,AI連動方式が登場するまでの間,ニコンのユーザー達が撮影に入る為に執り行っていた神聖なる儀式である,とだけ申しておきましょう。

 ニコンを抱えた人間は,それがプロであれアマチュアであれ,仕事であれ趣味であれ,とにかくマウントにレンズをセットした後,絞りリングを左にガチャガチャ,右にガチャガチャ回転させ,開放F値がボディに伝達された瞬間,カメラマンへと生まれ変わります。

 そこが戦場なら恐怖を全く感じなくなり,競技会場ならさながら野獣のそれと化した目が選手を一瞬たりとも見逃さず,そしてスタジオならはぜるような女の肉体を陵辱するに躊躇しない,いわば麻薬です。ニコンが残した写真には,このガチャガチャによる心理的影響が,少なからず含まれていると私は信じて疑いません。

 まあそんな話はどうでもいいのですが,今やその神聖なる「ガチャガチャ」は,オールドファンの趣味として,無形重要文化財のような扱いになっているのが現状で,それでもやっぱりニッコールにはあのカニ爪がないと,私は様にならないと思います。

 私がかつてペンタックスのユーザーだったころ,ニコンのレンズには不格好なカニ爪が例外なくついていて,一体これは何のためについているのか,さっぱり分からずにいました。ニコンのユーザーには,そういう「不思議なものを見る目」に晒されていることを,心地よく思う向きもあったのではないでしょうか。

 マニュアルフォーカスのレンズについては今でもカニ爪はついており,意外にごろごろと長玉が転がっていくのを防いでくれる便利な存在であることを,若い人にも知ってもらえるのはうれしい限りです。

 しかし,あろうことか最近のレンズにニコンはカニ爪をつけていません。それどころか,邪魔になるユーザーのために,わざわざ取り外すサービスを未だに続けている有様です。原理主義者から見ると,まことに許し難い愚行ではないでしょうか。(さらに恐ろしいことに絞りリングまで持たないレンズが登場するに至り,私はサイボーグ化された未来の人類の姿を見る思いがして,寒気がします。)

 ニコマートELもガチャガチャが必要なカメラです。F2はAI連動式のファインダーに交換できますが,ニコマートFTnやELはガチャガチャ以外に方法はありません。なのに,マニュアルフォーカスのレンズで,カニ爪がついていないレンズが手元にあります。

 AI-Nikkor45mm/F2.8Pです。

 1990年代後半にパンケーキレンズがちょっとしたブームになり,ニコンも柄にもなくそんなレンズをFM3Aとほぼ同時に登場させたのですが,テッサー型らしい収差を持ち,色も暖かく,私もとても好きなレンズです。一部に「ニッコールらしくない」という声があったほど豊かなその描写を,銀塩では使い慣れた標準レンズとして,デジタルでは70mm相当の中望遠レンズとして,堪能できます。生産がとっくに終わった現在でも,プレミア付きで新品が売られていますね。

 興味深いことに,このレンズはCPUを内蔵した珍しいマニュアルフォーカスのレンズで,最近のD80などでもきちんと露出計が連動しますし,ということはプログラムモードでも撮影が可能なのですが,パンケーキにこだわりすぎたのでしょうか,絞りリングが薄く,カニ爪が取り付けられません。

 AFレンズでさえカニ爪を取り付ける改造サービスを一時期行っていたニコンが,恐れ多くもニッコールを冠するマニュアルフォーカスのレンズにカニ爪をつけないという決心をしたのですから,それこそ断腸の思いであったろうと想像に難くないわけですが,おかげでニコマートELやニコマートFTnなどでは使えなくなってしまいました。これは困った。

 ないものは自分で作るのが私の信条。そこで作ったのが「ガチャガチャアダプタ」なのです。

ファイル 51-1.jpg

 これは初代ガチャガチャアダプタです。某巨大掲示板でもちょっとだけ話題に上ったのですが,大げさな工作をしたくなかったのと,カメラやレンズに傷を付けるのが嫌で,加工のしやすさと適当な弾力を持つ1.2mm厚のポリカーボネートで作りました。

 AI連動の爪に引っかけてセットし,カニ爪の位置に開けた穴に連動ピンを通してガチャガチャします。後日指摘されるのですが,この方法ではニコマート専用となってしまい,F2フォトミックでは使えません。

 ところがこれは先日の撮影で壊れてしまい,割れた部品もなくなってしまいました。よって二階級特進です。

 そして彼の死を無駄にすまいと今回作り直したのが,「ガチャガチャアダプタ2」なのです。

ファイル 51-2.jpg

 厚さ0.6mmのアルミの板を加工して作りました。仕組みは前回のものと同じですが,取り付けや使用の際に本体やレンズと擦れて傷を付けないように,細心の注意をしてあります。また仕上げは1500番のサンドペーパーで磨いて,アルミならではの美しさも引き立たせています。

 うむ,さすがは金属ですね。のびたり縮んだりすることもなく,正確に動作します。

 本体に取り付けたのがこの写真。

ファイル 51-3.jpg

 露出計の指示も問題はなく,これでまた45mmがニコマートで使えるようになりました。私はニコマートELにこの45mmというのはベストマッチと思っていまして,なんで最初からこういうものをニコンが用意してくれなかったのかなあと,疑問に思っています。

 あ,このアルミ製のガチャガチャアダプタ2を原型にして型を取り,プラリペアで量産したらどうだろう・・・全世界のニコマートユーザーが救われるのではないだろうか・・・


 

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