エントリー

2007年02月09日の記事は以下のとおりです。

PM-G850を使ってみて

  • 2007/02/09 19:17
  • カテゴリー:散財

 先日購入した新しいプリンタPM-G850ですが,購入までの経緯はそろそろおいておいて,プリンタそのものの評価をしたいと思います。

 まず,13000円という入手価格についてです。エプソンのプリンタに限らず,インクジェットプリンタはインクの価格を高く設定してある(といわれている)ので,本体の価格がこれで妥当かどうかは難しい問題があります。

 しかし,冷静に考えてみると,インクの価格に関して高価であるという第一印象があるのはその通りだとしても,実際こんなものかも知れないなあと思うだけの要因があります。

 確かに6本セットで6000円は高いなあと言う印象がありますが,1本あたり1000円というのは,流通や管理費用などを考えると,下げられても800円くらいまでなのではないでしょうか。切れたインクから交換できるメリットを考えると,そんなに法外な値段とは言えない気がします。

 インクが高いという人の主張の1つに,プリンタを安く売り,インクで回収するというビジネスモデルがあるということがありますが,これも単純にそうだね,というのが難しいです。

 というのも,インクカートリッジの値段は,今も昔もそれ程変わっていないからです。

 例えば,キヤノンのベストセラープリンタにモノクロ専用のBJ-10vというモデルがありました。このインクは2800円だったと思います。モノクロ1つで約3000円ですが,このプリンタの価格は確か4万円ほどだったと記憶しています。

 HPのDeskWriterCでは,本体の価格は7万円近く,黒インクが3000円近くで3色のカラーインクは5000円ほどしました。DeskWriter550Cでは10万円の本体にモノクロとカラーのインクの両方を必要としていたので,インクの合計は8000円近くにもなり,当時のユーザーも悲鳴を上げていました。

 単純な比較は構造の違いがあるので出来ませんが,ドットインパクトプリンタのインクリボンでも軒並み2000円程度でしたし,カラーのインクリボンの場合5000円ほどしたものも多かったはずです。

 比較的消耗品の価格が安いと言われた熱転写プリンタでも,インクリボン1巻が800円ほどでしたから,今のエプソンのインクカートリッジの値段がべらぼうに高いかと言えば,そんな風にもいえないのです。

 一方で本体の価格は劇的に下がりました。20年前,カラーのインクジェットプリンタは25万円でも安いと言われた(この時のインクは1本1000円以上)のに,今はその1/100です。

 こうかくと,1本のインクで印刷できる枚数が今と昔では全然違う,頻繁にインクを買い換えないといけないから,結局インクの値上げと同じだ,と言う人がいるかもしれません。

 私はどれくらいの枚数を印刷できるかを同じ条件で比較していないのでこのことに確信があるわけではありませんが,仮に昔に比べて印刷できる枚数が少なくなっていたとしても,10枚や20枚でインクが切れてしまうようなものではない,ということを考えると,ホームユースに最適化された結果だと考えても良いのではないかと感じています。

 エプソンのインクジェットプリンタの名機HGシリーズは,インクカートリッジが小型の弁当箱ほどの大きさがあり,普通の人は一生かかっても使い切れないほどのインクが入っていました。それでも価格は3000円か4000円ほどだったので,コストパフォーマンスは非常に高かったと言えるでしょう。

 インクそのものがしめる原材料費など安いものですから,インクの量を増やしても減らしても,それほど最終価格には影響を与えません。その点で本来エプソンは,今のプリンタのカートリッジの寿命を2倍にしてもよかったとは思います。

 ただし,インクの量が多ければよいか,といえば単純にそういうわけでもなくて,月に数回程度の使うだけの人にとって,そんなに大きなインクカートリッジを用意しても,使い切る前にインクが劣化し,印刷品質や本体の性能を維持できなかったりする方が深刻です。個人的には,インクカートリッジと印字ヘッドが一体になっていて,インクと同時にヘッドも新品に交換される方が,安心感があったりするくらいです。

 家でたまに使う素人さんに適当な寿命であるのが,素人さん向けのプリンタにふさわしい事であると考えると,エプソンが長い時間をかけてカートリッジの寿命を今の値に収れんさせてきたと,言えなくはありません。

 残念ながら,ヘビーユーザーにはインクが高くついてしまいます。メーカーの肩を持つわけではありませんが,その代わり本体は素人さん向けの価格で買っている訳ですから,両方安くというのはちょっと虫が良すぎるかもなあと感じます。

 ランニングコストの安い,その代わり本体の価格が高いプリンタは,それはそれで存在しています。初期導入費用と維持費用がトレードオフにあって,その使い方で最終的な損得が決まる世界は,別にプリンタの世界に限ったことではありません。

 残念なことは,先程のヘビーユーザーに最もお得なプリンタが,実は世の中にほとんど存在しないということでしょう。ここは各メーカーの開発努力が足りないように思いますが,彼らはそれほど大きな数ではないため。なかなか用意しにくいのが実情ではないかと思います。

 私個人は,大した枚数を印刷することはありませんので,これで十分です。本体を1万円ちょっとで買い,2,3回カートリッジの入れ替えをやったあたりで,本体が壊れるか,新しいPCやOSに対応できなくなって,買い換えることになると思います。

 次に大きさとデザイン。これはもうおかしな期待をしない方がいいと思います。古今東西,カッコイイプリンタなど存在しません。大きさや重さ,デザインに最も制約のきついメカトロニクス製品として,よくやってるよなと思うくらいです。

 大きさはもう少し小さくして欲しい,薄くしてもらいたいという気持ちもあります。たまにしか使わないものが,これほどかさばるのははっきりって邪魔です。理想的にはBV-10vなんかだと思いますが,モバイルプリンタとして売り出さずとも,あの大きさで今のプリンタの性能を保てたら,またこの世界がわっと盛り上がるのではないかと思います。

 そして画質です。どこまで期待するかによるとは思いますが,13000円のプリンタであればもう十分ではないかと思います。ドットごとに階調を持たないインクジェットプリンタとしては,もう粒状感もほとんどありませんし,メカ精度に起因する縞模様の発生も皆無です。

 AdobeRGBの色域を実現していることだって,少し前には考えにくかったことです。こんなに簡単にAdobeRGBを扱えるようになるとは,まさに隔世の感があります。ただ,やはり白から黒へのグラデーションには厳しいものがあり,コンパクトデジカメのようなピントがびしっと来ている写真では目立たなくても,一眼レフでレンズのぼけを積極的に活用した写真では,どうしても限界を感じてしまいます。

 染料系のインクジェットプリンタでは,特に黒がねずみ色になる傾向があり,その結果全体のコントラストが低下するものでしたが,ここまで改善されたか,と思うほど,黒色もくっきりしまって出てきます。赤色も鮮やかで,先程のグラデーションの問題がなければ,私の目には完璧なプリンタと映ったことでしょう。

 紙によって結果が大きく違うのにも驚きました。高価な紙は,確かにそれだけの価値があるようです。昔はあまり気にしなかったのですが,量販店にあれだけの種類の紙が用意されているのを見せつけられると,みんな目が肥えてきたんだなあとつくづく感じます。

 耐水性,耐候性についてですが,最近の染料系のインクって,水でも流れないんですね。これならあまり水に濡れることを気にしないで済みそうです。耐候性については買ったばかりなので分かりませんけども,一応きちんと管理すれば本物の写真程度には持つのではないでしょうか。日光に当てると1週間ほどで色があせる写真は論外ですが,染料インクでもかなり改良されたこのプリンタのインクがどれほどの実力を持っているか,注意してみていこうと思います。

 カラーマッチングについてですが,私の場合,少なくともD2Hとモニタとプリンタできちんとマッチングが取れました。プリンタで印刷紙か結果が青っぽいと思われたのは,きちんとした光源の下で評価をすると解消し,赤みを帯びたモニタに近い色になってくれることがわかりました。

 演色性が99以上で,色温度が5000Kの蛍光灯は,カラーマッチングを意識する人にとって,まず手に入れなければならないものであると確認しました。(私の場合蛍光灯スタンドが15Wでちょうど適合するものがなかったことから,ビューワー用と称する5200Kのものを買うしかありませんでした・・・)

 付加機能についてですが,CD-RやDVD-Rのレーベル印刷が大変面白いです。今更何を,と思われるでしょうが,私にとってこういうおまけ機能が搭載されたプリンタは初めてで,今回もこれを期待したことは一度もありません。

 ただ,せっかくだからと試してみると,なかなかいいんですよね。手書きだったタイトルを印字するだけでも全然立派に見えます。大した手間もかからないので,積極的に使ってみようと思わせる楽しい機能です。

 動作音は大きめだと思いますが,かつてのPX-V700よりは静か。むしろかつてのドットインパクトプリンタが大変耳障りだったことを我々は思い出すべきなのかも知れません。

 動作中の音もそうですが,びっくりするのは給紙の時に発生する「バコン」という大きな衝撃音です。これが和らいでくれればいうことありません。

 精神衛生的な面で,ヘッドのクリーニングや目詰まり防止の仕組みには,ちょっと疑問を感じます。インクを無駄に吸い出すプロセスがこれらの対策に有効なのはわかりますが,この方法を考えてついて採用した当時,これが未来永劫ずっと使われ続けることになると思わなかっただろうと思います。

 ここがインクカートリッジの寿命を短くしている最大の理由であるとすれば,メーカーがすることは真っ先にこれを改良するべきでしょう。このままでは,事実はどうあれ,消費者の悪い印象を払拭できないように思います。

 そんなわけで,購入時点でいろいろあったのですが,結果として満足しているという感じです。上を目指せばきりがありませんが,自分の必要とするものがこのくらいの価格で買えれば,文句の言いようもありません。この倍くらいの値段がしても,疑問を持たないと思います。

 ただ,今のプリンタが写真の印刷に最適化されていることは少々残念で,かつてプリンタは文字や図形を印刷できることに価値がありました。それぞれの仕組みに得手不得手があるのは当然として,なぜここまで写真画質のプリンタが家庭に入り込み,素人さん向けのプリンタとして君臨することになったのは,ちょっと不思議な気もします。

 

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2007年02月

- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed