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2007年02月15日の記事は以下のとおりです。

CaptureNXは使えるツールなのか

 昨年の秋だったのですが,Nikon純正のRAW現像ソフト「NikonCapture」の正規ユーザー向けに,次世代の現像ソフト「CaptureNX」への優待販売がありました。

 私もせっかくだからと申し込んだものの,銀塩カメラの修理やらフィルムのスキャンやらで全然触っている時間もなく,今になってようやくじっくり使うようになりました。

 登場から時間を経て,それなりに評価も出そろってきているCaptureNXですが,全体的にネガティブな意見が多いように思います。使い込んだ道具ほど,手放すのが惜しいものです。そんな職人達の感情を逆撫でするような,新しいデジタル一眼への対応が古いNikonCaptureで見送られるという事に対する反発も大なり小なり影響しているように思います。

 ただ,NikonCaptureに比べて重いとか,ツール類のレイアウトが大きく変わったとか,保存時のデフォルトフォルダが毎回リセットされるとか,そういうまっとうな意見もあるので,一概に好みの問題と言えない部分もあるでしょう。

 私は逆に旧世代のNikonCaptureをほとんど触っていません。ですからCaptureNXには自然に入っていけたのですが,その印象はかなりよいです。

(1)コントロールポイント

 Photoshop(自慢じゃないですが私はVer.3.0以来CS2まで毎回アドビ税を払い続けている優良顧客です)にしてもなんにしても,フォトレタッチという作業は結局の所,範囲選択に始まり範囲選択に終わります。

 ところが,この範囲選択という作業にはそれなりのスキルも必要ですし,手間も時間もかかる場合があって,結構緻密で面倒な作業なわけです。

 「魔法の杖」ツールのようにこの作業を半自動化するものもありましたが,それではどうしても狙ったとおりにならないため,投げ縄ツールでコツコツと選択範囲を指定する人も多いと思いますが,現実の暗室作業で行われる範囲選択はもっと簡単で,もっと直感的です。(あたりまえですね)

 CaptureNXのコントロールポイントが素晴らしいのは,デジタル暗室に不可欠だった範囲選択という作業が必要ない,ということです。範囲の選択は自動で行われ,それをユーザーが意識することはほとんどありません。この「自動で行われる」というところに気持ち悪さを覚えるかも知れないと思いましたが,実に良くできています。

 空の色をもう少し青くしたい,顔にもう少し光を当てたい,といった修正は日常的に行われますが,コントロールポイントのうちの1つであるカラーコントロールポイントを使えば,空に,あるいは顔にポイントを置き,明度やコントラスト,彩度をスライダでちょちょっと変更すれば,自分の狙った範囲にだけその効果が現れます。これは実に見事です。

 不自然な結果になるかもしれないとか,意図しない部分にまで効果が及ぶとか,そういう心配もありましたが,やってみるとおおむね自分の思ったとおりになるのは大変助かります。

 少なくとも,空の色を変えたいのに山の色が勝手に変わるというわかりやすいケースではほぼ確実に動作してくれますので,「これくらいわかりきった範囲指定は自動化して欲しいよなあ」と思いながら空をぐるぐると範囲指定していたような人には,作業を簡略化してくれる強力な武器になると思います。

 ブラック/ホワイト/ニュートラルコントロールポイントも,単に明度の最小と最大を指定したり,ホワイトバランスの規準となるグレーを指定するだけのスポイトツールではなく,その点をどの明るさにするのか,という操作が可能なので,思い通りのダイナミックレンジをヒストグラムを見ながら調整することができます。

 赤目の修正も同じようにコントロールポイントで一発。不自然にならないように修正するには範囲選択をうまくしないといけなかったですし,それに集合写真のように数をこなさないといけないケース(一人あたり2つありますからね目玉は)では,非常に楽ちんです。

 CaptureNXの最大の特徴はこのコントロールポイントにあると言えると思います。CaptureNXはRAWだけではなく,JPEGやTIFFも扱えますので,怠け癖のある私などはついつい,JPEGのレタッチにもCaptureNXを使うようになってしまいました。

 単なるRAW現像ソフトから汎用レタッチソフトとして私にとっての位置付けが変わってしまったと言っても良いのですが,考えてみるとこれをニコンが15000円ほどで販売してくれているというのは,とてもありがたいことと言えるかも知れません。


(2)角度の修正

 ついつい画面が傾いた写真を撮ってしまった経験は誰にでもあると思いますが,これを修正する作業はPhotoshopでも簡単に行うことができます。

 同じようなもんだろうと思っていたらCaptureNXはちょっと違っていました。CaptureNXでは,2点を指定し,この点を結ぶ直線が垂直になるように傾きを自動で調整してくれます。

 例えば,電信柱が傾いてしまってみっともない場合,電信柱の上から下にすーっと直線を引くだけで,電信柱がまっすぐに修正されます。目測で「こんなもんかなー」とマウスをぐるぐる回すことはしなくてよいのです。

 ただ,目測が便利な場合もありますね。自動で修正してくれた後の微調整は,角度を打ち込む方法しかないので,修正の結果自分の狙ったとおりにならない場合は,2点を指定し直すか角度を打ち込むしかありません。これはちょっと面倒です。


(3)ノイズ除去

 私のD2Hがノイズまみれの画像を吐き出す(w)とかそういう話は少し置いておいて,フィルムのスキャン画像や携帯電話のカメラで撮影した画像のように,カラーノイズが目立つ場合,これを軽減することがかなり良い感じに出来ます。

 原理的にシャープネスが失われ,階調もつぶれてしまうので塗り絵のような画になりがちですが,CaptureNXではエッジノイズリダクションのようにエッジを潰さないようにノイズを軽減することも可能になっていて,丁寧に調整すればかなり悪い画像でも復活させることができます。


(4)アンシャープマスク

 アンシャープマスクはシャープネスを高めるための古典的な手法ですが,効果が絶大である一方で画質の劣化も大きい,まるで副作用の強い薬のような存在です。

 どのくらいアンシャープマスクをかけるかはなかなか判断が難しく,ここでもセンスが問われるわけですが,CaptureNXでは色を選択してかけるという技が使えます。

 アンシャープをかけたい対象物の色だけにかければ,他の色にはかかりにくくなりますし,対象物への効果も穏やかで,自然にシャープネスが改善されます。

 人の顔の場合は赤だけにアンシャープをかけると,画質の劣化を抑えて,きりっとした顔になってくれます。


(5)白黒変換

 白黒変換って,単純に彩度をゼロにすればよいと思っているとそれは大間違いです。人間の目は緑色の感度が高いので,RGBそれぞれのレベルに重み付けをきちんと行って最終的な明度を決定しないといけません。

 モノクロのフィルムや印画紙でも,どの波長に反応するかで個性があるのは事実ですし,もっと積極的に赤や黄色のフィルターを取り付けてコントラストを調整したりしますので,白黒への変換というのは実に奥が深いのです。

 Photoshopでもこのあたりは結構弱く,さすがにカメラメーカーのソフトだなと感じるのですが,モノクロの写真を表現の1つとして積極的に使っていこうと思う場合,CaptureNXの自由度の高さは非常に魅力的でしょう。


(6)範囲選択

 それでも範囲選択は不可欠な作業ですが,Photoshopなどの場合,投げ縄ツールで範囲選択を行うと,次の作業がその範囲で実行されます。しかしCaptureNXではそうはなりません。

 投げ縄ツールで範囲を選択しても,実際には選択されたことにはなっていません。そのあと「塗りつぶしツール」を使って囲った範囲を塗りつぶすときに,選んだ機能で塗りつぶされるのです。

 その機能がカラー化なら選んだ色で塗りつぶされます。つまり,

  範囲選択->機能選択->塗りつぶし

 という操作によってようやく機能が有効になるのです。

 Photoshopだと,塗りつぶしというのは「色で塗りつぶす」機能のことを言いますが,CaptureNXでは独立した機能ではなく実行コマンドのような扱いになっています。ですから,Photoshopでは範囲選択->機能選択で済んだ処理がもう1ステップ増えるわけです。

 このことに,私は今でもしっくりきませんし,慣れてもいません。範囲選択->明るさの変更という流れで操作しても,全く明るさは変化せず,ここからさらに塗りつぶしを行って初めて,変化が反映されるのです。

 なぜこういう仕組みになったのは,私にはわかりませんが,よくこれでみんな混乱しないものだと思います。

 ただ,この方法にはメリットもあって,塗りつぶしの代わりにグラデーションツールを選ぶと,選択された機能の効き具合がグラデーションにあわせて強弱がついてくれます。

 一方で選択ブラシを使うと選択と機能実行が同時に行われるという自然な流れになっているので,選択ツールとして分類されているものでも,その挙動に違いがあることは非常に不自然だと思います。

 よって塗りつぶしとグラデーションについては,選択ツールに分類するのではなく,機能実行という別の機能として独立させるべきだったのではないかと思います。

 

(7)スタンプツールがない

 CCDについたゴミとかネガの傷やホコリとか,ちょっと修正をしたいと思うことは普通にあることで,そういう場合に使うのがスタンプツールです。

 しかし,信じられないことに,この機能がありません。CaptureNXはそもそも何のためのソフトなのかをよく考えて欲しいなと思います。

 よく知られているように,スポイトツールで色を合わせて,ブラシで塗りつぶせば一応似たようなことは出来ます。しかし色が少しずつ変化する部分に線状に入った傷を消す場合,極端に言えば1ピクセルごとに色を合わせないといけないわけです。

 スタンプツールがあれば,この問題は解決します。やっぱり必要な機能でしょう。

 CaptureNXはPhotoshopと併用しないといけないと言われるのはこのあたりのこともあるのだろうと思います。価格が10倍近くも違うツールですから,出来ることに差があっても当然だとは思いますが,CaptureNXがもう少し高い目標を持ってくれていればなあと,残念です。


 ざっと思いついたところを書いてみると,こんな感じです。私の場合バッチ処理を行うことはほとんどなく,たくさん撮った写真から,良さそうなものを選んで現像していますので,プロのように大量の写真を現像するようなことはしません。バッチ処理に有利なのがNikonCaptureの強みだったというのですが,CaptureNXがどうなったのか,私は試せてはいません。

 15000円という価格でここまで出来るというのはかなりお得だと思います。このソフトを理由に一眼レフをニコンにするというは十分価値があると思いますし,デジカメがニコンでなくても,使ってみる価値はあるのではないでしょうか。

 Photoshopはプロ用のツールで,印刷原稿を仕上げるために不可欠な機能も多く含まれています。そんなものは普通の人には全く必要ありません。多くの方はPhotoshopElementsの方が関係が深いと思いますが,CaptureNXももう少し頑張れば,十分対抗馬になると思うのですが・・・惜しいなあと思います。

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