エントリー

2007年03月13日の記事は以下のとおりです。

レコードプレイヤーの修繕に取り組む

  • 2007/03/13 16:46
  • カテゴリー:make:

 MCカートリッジを手に入れてから,新しいLPレコードの世界を垣間見たことで,ずっとやらなければ,と思っていたレコードプレイヤーのメンテナンスをやることにしました。

 私のプレイヤーは発売から30年も経過している年代物で,デンオンのDP-2500といいます。ダイレクトドライブのターンテーブルDP-2000にキャビネットのDP-77K,専用のトーンアームの組み合わせでDP-2500を名乗る製品ですが,当時の価格でたぶん9万円ほどのものだったことから,中級機種という感じの位置付けだったのではないかと思います。

 手に入れた経緯は,今から15年ほど前に,中古オーディオ機器の取り扱いを始めたものの,思うようにいかず撤退を決めた中古パソコン大手の店頭で,無保証のジャンク品として500円だか1000円だかで保護した,というものでした。

 かなり扱われ方もいい加減で,なんといってもトーンアームの精度が心配だったのですが,当時使っていた超安物のベルトドライブのプレイヤー(しかもセミオートというとんでもなく中途半端なやつ)よりはずっとましだろうと,持ち帰ったのを覚えています。

 シェルやカートリッジは当然付属していませんでしたが,当時使っていたオルトフォンのVMS30mk2(これも20年ほど前に確か1万円程の特価品を買った)にオーディオテクニカのシェルを組み合わせたものを,そのまま使うことにしました。

 幸い,トーンアームには致命的な問題はなく,非常になめらかに動いています。ガタもありません。ターンテーブルは時々PLLのロックが外れますが,これはヘッドの位置を調整して,確実な動作になりました。

 それまでのFGサーボモーターに比べて,さすがにクオーツロックのダイレクトドライブです。ワウフラッタもなければ回転数のドリフトもありません。実に気分のいいものです。

 ただ,キャビネットが合板で,叩くと「ボンボン」と響くような状態ですから,レコードプレイヤーとしては最低限の機能であるに過ぎないものだと,以後割り切って使っています。

 このプレイヤー,一度ターンテーブルのロックが全くかからないという問題を引き起こしたことがありました。最初は時間が経つとロックが外れたのですが,次第に全くロックがかからなくなってしまいました。

 当時の日本コロムビアにサービスマニュアルの提供をお願いしたところ快諾いただいてめでたく回路図を入手した私は,無事に修理を終える事が出来ました。おかげさまで以後このトラブルは出ていません。原因は,デンオンのターンテーブルの持病とも言える,トランジスタの足の酸化によって接触不良が起きてしまうというものでした。

 今回のメンテナンスは,イコライザアンプとMC昇圧トランスのハムを退治すると考えた時に,その原因がプレイヤーによる可能性を考えて,まずこれを万全にする必要があったというのがきっかけですが,それには少々特殊な部材が不可欠です。

 ハムや音質劣化の原因は,導線の劣化や接触不良にあると言われます。製造から30年も経過して,決して万全の環境で維持されてきたものではない私のプレイヤーも,やはり電気の通り道はすべて交換しておくべきだと考えていました。

 ところが,トーンアームのパイプの中を通す細くて柔軟性に富み,そして低容量の導線が不可欠です。そこら辺の導線で代用すると,トーンアームにおかしな力がかかったり,音質の劣化がひどくなったりします。(経験済み・・・)

 でもそんな特殊な導線,売ってるかなあと心配になりつつ,秋葉原に出向いたついでに,有名な電線屋さんで「トーンアームの中を通す線が欲しい」と切り出すと,「それなら1mに切りそろえて,4本パックで袋詰めして店頭に出してありますよ」と,案内されました。

 秋葉原恐るべし。レコードプレイヤーがマイナーな存在なのに,そのトーンアームの中の配線材料を,1mにカットして店頭に出してあるとは・・・そんなに売れるもんなんですかね,それって。

 というわけで,400円で買ってきた新しい導線をつかって,早速メンテナンスを開始です。

(1)まず分解です。キャビネットからトーンアームを外します。

(2)トーンアームを慎重に分解します。精密機器なので無理な力をかけたり,順番を考えないで適当に分解したり,不用意になんでも外す事はせず,あくまで慎重にです。

(3)シェルとのコネクタを固定するビスを外し,コネクタをパイプから外します。この部分が非常に固かったので,5-56でゆるめてから外しました。

(4)導線を交換します。柔らかく細い線をトーンアームの肩の部分やS字のパイプを通すのは至難の業なので,今通してある導線の端っこに新しい導線をくっつけて,古い導線を引き抜くことにします。(交換したばかりの導線を古い導線と間違えて引き抜いてしまったことは永遠の秘密です)

(5)交換が終わったら,今度はアースの線です。トーンアームのアースの線はハンダ付けされていましたが,ここが一番心配なところです。アースの線も新しくして,ハンダ付けもしっかり行います。

(6)トーンアームの可動部分の調整を試みます。ところが,調整用のネジがあまりに固く固着していて,マイナスネジの頭が欠けてしまいました。これ以上の続行は不可能と判断し,特にガタもなかったことから,そのままにしておきます。

(7)リフターのグリスを新しいものに入れ替えます。オイルダンプ式と書かれていたので油断したのですが,グリスを変えると柔らかすぎてストンと落ちるようになってしまいました。オイルダンプって,グリスの粘度に頼る方式という意味だったのか・・・

(8)トーンアームを磨きます。パイプのメッキは綺麗ですが,ベースの塗装が悪くなっていたりするのでアルコールで磨いたところ,シルク印刷の文字が消えてしまいました。まあいいか。

(9)トーンアームをキャビネットに取り付けます。ゴムを挟んでキャビネットの振動が直接トーンアームに伝わらないようになっているのですが,幸いそのゴムも全然劣化していないので,そのまま使います。

(10)トーンアームにケーブルを取り付けます。ここはトーンアーム接続用の5ピンコネクタになっているので,もっと高級なケーブルに交換することも可能なわけですが,もったいないので今回は余っている新品のAVケーブルを改造して使うことにします。元々のコネクタを分解し,ケーブルをハンダ付けし直すだけです。

(11)ターンテーブルの確認
 ターンテーブル(フォノモーター)は手を入れない予定でしたが,汚れていたのでアルコールで軽く拭き掃除をします。終わって持ち上げてみるとカラカラと内部から音がするのであわてて分解すると,電源トランスを固定するビスが外れていました。不覚です。ゴム製のインシュレータを挟み込んでフレームにぶら下げる構造なのですが,ビスが1つ外れているせいで,フレームに直接ぶつかっていました。締め直して完了。そういえば,ストロボの調子が少し悪かったことを思い出しましたが,面倒なのでパス。

(12)トーンアームの高さ調整
 カートリッジを取り付け,バランスが取れることとアンチスケーティングが正しく動作することを簡単に確認してから,レコードを置いて規定の針圧をかけた時にトーンアームが水平になるよう,アームの高さを調整します。厳密に言うとカートリッジごとに再調整が必要なのかもしれませんが,水平を出すために水準器などを使うわけでもなく,結構適当です。


 こうして完成したレコードプレイヤーですが,早速試してみましょう。まず,ハムは減りません。ケーブルが悪かったのではなかったようです。原因の切り分けはとても大事なことなので,有意義だったと思います。

 正しく右と左の音が出ていることも確認できたので,トーンアームの内部配線に間違いはないようです。音に関しては・・・私には客観的な判断によって出てきた以外を語る資格はないと思っているのでここでは云々しないつもりなのですが,劇的な変化があったというより,ざわざわした感じが消えて,随分落ち着いたという印象を持ちました。多分に「気のせい」だと思いますが,オーディオというのは本人が満足すればそれでいいという宗教のような性格の物ですし,そもそも「気のせい」で成り立っているマーケットでもあるので,これでいいのです。

 さて,DP-2500の初期状態に徐々に戻りつつあることを素直に喜びつつ,次なる問題はハムの撲滅です。

 まずイコライザアンプ。どういうつもりか,イコライザアンプの出力のアースが1点アースに繋がってなかったので,繋げた場合と繋げなかった場合で比べてみました。結果,つなぐ方がハムが減ったので,つなぐことにします。

 次にAC100Vのラインを捩っていなかったので,捩りました。そして,出力側のシールド線がLとRで距離が離れてループを作ってしまっていたのでこれを束ねました。

 試してみますが,やっぱまだまだ。MC昇圧トランスをbypassするときにハムが激増していることに気が付いて,イコライザに直結してみると,ほとんどハムが聞こえなくなりました。つまり,MC昇圧トランスのワイアリングに問題があることがわかります。特にbypassで派手に出ているのですから,トランスそのものに問題はありません。

 内部の配線をもう一度確認してみると・・・なんと出力側のアースが浮いていました。情けないミスです。

 入力側のシールド線,トランスのケースやトランス内部のシールド,それに1次側はアースされているので,トランスを通す場合はハムが減るのですが,bypassの場合出力側のシールド線がアースに落ちることはないため,ハムが出まくっていたんですね。ああ情けない。慌てて取り組みものではありませんねぇ。

 とはいえ,MC昇圧トランスの配線の仕方など,これまで考えたこともありません。まあ初めてだったこともあるので,よしとしましょう・・・

 とりあえず出力側シールド線も1点アースに落としました。このことで,昇圧トランスの1次側と2次側のそれぞれで,片側がアースに落ちてしまいます。ということは,トランスの1次側と2次側が完全に電気的に絶縁されていたこれまでの状態から,それぞれ共通のアースを持つようになってしまいました。これでよいのかどうか・・・

 一番確実なのは,ロータリースイッチの回路数を今の倍にして,アースも切り替えてしまうことなんでしょうが,そこまでするのはちょっとばかげているように思います。

 試してみたところ,これで問題はなさそうです。当然ながらハムも激減しました。別にバランス伝送を行っている訳ではないですし,どうせトーンアームとイコライザアンプとMC昇圧トランスのケースは共通のアースで繋がっているわけですから,トランスの出力だけ浮かせる必要もありません。

 もう1つ,トランスから出ているリード線は当然シールド線ではないわけですが,やはり手をかざしたりするとブーンとハムが乗ってくるのが分かります。最終的にアルミケースで全体をシールドするとはいえ,やはりこの部分でもきちんとシールドをした方がいいに決まってます。

 そこで,真空管アンプで大活躍した銅箔テープを使って細いトランスのリード線をシールドします。

 手をかざすとハムが増えるという現象はほとんどなくなりましたが,以前よりもハムが減ったかどうかはちょっと微妙な変化にとどまりました。

 まだまだ追い込めそうです。今度はトーンアームとターンテーブルのアース線と,イコライザアンプ,MC昇圧トランスのそれぞれのアースの処理です。

 これまでは,よくわからずに,イコライザアンプとMC昇圧トランスのアースをまずつなぎ,イコライザアンプにトーンアームとターンテーブルのアース線をつないでいました。

 試しに,イコライザアンプとMC昇圧トランスの間のアース線を外してみると,ハムがぴたっとおさまりました。

 ・・・シールド線のアースと,今回外したアース線とでループを作ったか,電位差が生まれてハムが出てきたんでしょうね。少し考えれば分かりそうなものです。

 トーンアームのアース線をイコライザアンプに落とすか,MC昇圧トランスに落とすか,ターンテーブルのアース線はどうか,などいろいろ試してみましたが,どれも大した差はありません。気分的に最も小さく感じた組み合わせとして,ターンテーブルのアース線はイコライザアンプに,トーンアームのアース線はMC昇圧トランスにつないで,とりあえずハム退治は区切りを付けます。

 ここまでの作業で,ようやく人並みになったなあと思います。これまではそもそもレコードを楽しむという最低水準すら満たしておらず,どうあがいてもレコードの良さを感じたり,それを他人に伝えるのに自信がなかったのですが,今回でどうにかレコードを楽しんでいますと言えるようになったのではないかと思います。

 さすがに微少信号を扱うアナログ世界。ケーブル1つで音が変わる世界は,私には楽しみというより扱いにくさを感じるものでした。CDは楽ですよ。2Vという大きな出力で,ケーブルや機器のインピーダンスなどほとんど影響を受けないのですから。

 だから,0.3mVの微少電圧を扱い,インピーダンスが変わると周波数特性もぐいぐい変化するこのレコードプレイヤーの世界というのは,ケーブルの取り回し1つで音が変わって当たり前です。奥が深いと言うより,煩わしいというのが普通の感覚でしょう。

 私には,ここを「楽しみ」として味わうほど達観していませんので,あまり追求するのはどうかと思うのですが,音の変化があることを積極的に利用して,より自分の好みに近づけていく努力を面白い,と感じる人の気持ちは,理解できます。

 さて,今度はフォノケーブルを交換して,一発いいのを奮発するかなあと調べてみましたが,これは本当に恐ろしい世界であることがわかりました。

 まず,最低ランクのケーブルで6000円から8000円。3000円くらいからあるだろうと思っていた私が甘かったです。

 そして上は10万円を越えるものまで。たかだか1m程のケーブルですよ,ケーブル。

 そして選択肢は3つか4つ。昔はオーディオテクニカあたりからも出ていたように記憶していたのですが,もうないようです。

 それなら自作,と考えたところ,なにやらトーンアームにつなぐ5Pコネクタが特殊らしく,輸入品しかないようです。以前は秋葉原でも特殊なお店しかなかった(それでも手に入るというのがすごい)らしいですが,今はオヤイデでも買えるらしいです。

 価格は4200円から5800円というあたりらしいです・・・。スリーブなしのコネクタだけなら2200円ほどで買えるらしいですが,それにしても高すぎる。

 これなら確かに市販のフォノケーブルが数千円で最低ランクというのも理解できます。

 フォノケーブルは確かにカートリッジの出力に対する影響が大きいでしょうから,あまりいい加減なことはすべきではないと感じているので,現状の安物のケーブルを使っているのは改めないといけないなあと思います。特に浮遊容量が気になるところです。

 とりあえず次のテーマが見つかったので,ぼちぼち考えていこうと思います。少なくとも長さを1m未満に短くして,OFCを使ったちょっと高級なケーブルを使うことを考えたいところです。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2007年03月

- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed