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2007年03月21日の記事は以下のとおりです。

300Bシングルに負帰還をかけて決着

  • 2007/03/21 18:03
  • カテゴリー:make:

 300Bシングルのパワーアンプですが,いろいろ考えた結果,やはり浅い負帰還をかけることにしました。

(1)出力トランスの一次側の配線を変更
 今回のアンプは,出力トランスの一次側を3.5kΩで設計してあります。300Bのシングルとしては,最近は5kΩあたりで使うのが流行しているのだそうですが,私はあえて低めの負荷で使うことにしていました。

 ただ,RW-20というトランスは,二次側が6Ωしかありません。8Ωのスピーカなら一次側のインピーダンスも高い方に向かうだけですから,それほど問題にならないでしょう。

 ところが,うっかりしていたのですが,私の使っているスピーカは4Ω。6Ωだったとばかり思っていたのですが違ってました。4Ωを6Ωの端子につないで使うと,一次側は2.7kΩとかなり低めになってしまいます。

 これはさすがに問題だろうと,一次側を5kΩにつなぎ変えました。これで4Ωのスピーカをつなぐと3.3kΩと,まあ許せる範囲でしょう。

 ここで4Ωのダミーロードをつないで高域の周波数特性とダンピングファクタを測定してみると,1Wの時に高域は20kHz弱で-3dB,ダンピングファクタは2.2となりました。4Ωという負荷はやはり重いんでしょうね。

 しかしこれが私のもっているスピーカでの実態でもあるわけですから,ほっとくわけにもいきません。低域がポンポンいうことと,狭帯域な感じがあったのは,このあたりの数字でもはっきりします。


(2)負帰還をかける

 そこで,浅めに負帰還をかける決意をしました。

 負帰還をかけるといっても局部帰還をかける方法もあれば,全体でかける方法もあるわけですが,今回は簡単で私自身も経験がある,出力トランスの二次側から初段のカソードに負帰還をかける方法を使うことにしました。,

 ここから恥ずかしい話をしますが,初段のカソードに抵抗を介して帰還をさせてやっても,全然出力の大きさが変化しません。無理矢理小さくなるような低い抵抗をつないでやると,波形が目で見て分かるくらいひずみます。

 どうしてかなあとしばらく悩んで,いろいろ調べてみたのですが,ここにカソードバイパスコンデンサが入っていることに気がつきました。

 考えてみると,カソードに帰還させるケースでは,バイパスコンデンサがないか,あってもグランドとの間に低い抵抗が挟まっているべきです。

 バイパスコンデンサによって交流的にはGNDに落ちている箇所に,出力を戻しているんですから,そりゃおかしいですわね。初段のバイアスがかわって,それでひずんでしまっていたわけです。

 そこで,カソード抵抗1kΩと直列に82Ωをいれて,バイパスコンデンサは1kΩと並列に,帰還は82Ωと1kΩの接続点に入れてやると,きちんと出力が下がり,高域の周波数特性も伸びます。やれやれ。

 続けて帰還量の検討です。無帰還時の中域の自然さが300Bの味だとすれば,それを薄める方向になる帰還は,出来るだけ浅めにしたいところではあります。

 ヒアリングの結果,帰還抵抗を2.2kΩとしました。この時の帰還量は2.86dB。3dBまでにしておこうと思っていましたので,ちょうどいいところでしょう。

 周波数特性は4Ω,1W時で12.3Hz?27kHz(-3dB)と目標の値を超えてくれました。ダンピングファクタはON/OFF法,1W,1kHzで3.6。これもまずまずの数値です。オーバーオールのゲインは18.6dBとなりました。

 負帰還をかけたときには気をつけないといけない容量性負荷に対する耐性は,1uFまでつないでみましたが,全く大丈夫でした。元々の帯域が狭いせいで,発振する気配も見えません。

 負帰還をかけたことでハムもぐっと下がりました。音を聞いてみると,低音のポンポンいう感じは消えて,しっかりどーんと出てくるようになりました。高音もハイハットやシンバルが出てくるようになり,従来の帯域の狭さはかなり感じられなくなっています。

 しかし,中域のしなやかさは薄まったように思います。こういうのは気のせいであることがほとんどなのですが,そこらへんの普通のアンプに一歩近づいたという印象はぬぐえません。

 無帰還時の素直さと部品の個性は,負帰還によって確実に薄まります。その代わりに特性の改善という大きなメリットがあるわけで,どのくらいの塩梅にするかがとても大事になるわけですが,悪く言えばどっちつかず,よく言えば最低限の負帰還で両立をねらったという感じにまとまったと思います。

 さて,ひずみ率を計ってみます。あまりあてにならないのですが,前回と同じ測定方法を使ってみます。

ファイル 114-1.jpg

 いやー,信じていいんでしょうかね,この結果。まったくでたらめっぽいのですが,一応測定した結果ですから,参考程度に見ておくことにします。

 1Wの出力時で,1kHzが0.37%,10kHzで1.55%,100Hzでは0.51%と,前回の測定と比べてほんの少しだけ良くなっています。このくらいの帰還量ではこの程度の改善だろうという予測にそうもので,まあこんなものでしょう。

 ちなみに3%になる出力は9Wとなり,前回よりも少しだけよい数値になっています。


 しかし,今回はいろいろ学びました。

 まず,アンプとスピーカのマッチング。その結果大きく変わる音質。さらにジャンルによって許せる音質と許せない音質があること。

 私が好んで聞いているトリオくらいのジャスは,音量の変化も小さく,楽器も少ないため,広帯域であることより素直な特性である事の方が聴きやすいのです。

 しかし,これでロックなどを聴くと,全然元気がなくつまらない。アンプとして機能していないようにも感じられます。

 クラシックなども同様で,スケール感が出てこないとさっぱりだめです。

 私はジャズばかり聴いていましたから,無帰還でもよいと思っていたのでしょう。たまたまロックを聴いて,何かおかしいと気がつくまでは,随分と気に入っていましたから,人間というのは面白いものです。

 ジャンルによってアンプを変えるという意見に懐疑的だった私も,なんとなく意味が理解できたように思います。

 同時に,ジャズはお金のかからない音楽だということ。ロックはもっとかからないですね。でもクラシックは底なしだと思いました。恐ろしいことです。

 ということで,2ヶ月近い時間かけて300Bアンプを改修してきましたが,これで本当に一段落です。配線ミスも見つけましたし,音質のチューニングも行いました。これでしばらく使って,また問題点を見つけたら考えることにしましょう。

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