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2007年05月07日の記事は以下のとおりです。

オーディオテクニカのカートリッジを買っておく

 6月からオーディオテクニカのカートリッジが値上げされる話はすでにここにも書きました。上げ幅だけ見るとかなり大きな物になっているのですが,反対意見などは見る事もなく,むしろ「これまでよく頑張った」「それでも十分安い」などという好意的な意見が多数のようです。

 私個人も同様ですが,それでもあと1ヶ月は(さらに)安い価格で買えてしまうと言うのですから,やっぱり駆け込みで買っておこうと思うのが,これ人情というもの。

 特にコストパフォーマンスの秀でたモデルが値上がりするので,値上げ告知前に購入したAT-F3/2,告知後に購入したAT7V,そしてシェルは外せないところでしたが,定価に対して実売価格が非常に安いAT15Ea/Gというカートリッジについても,かなり気になっていました。

 確か26000円ほどの定価に対し,実売は1万円を切っています。シェル(MG-10だと思われます)付きでこの価格ですから,さらにお買い得感があります。

 調べてみるとこのAT15Ea/G,VM型カートリッジのリファレンスとして随分昔からあるもののようです。特性としては特にワイドレンジであることもなく,非常に凡庸な性能のカートリッジのようです。

 オーディオテクニカのVM型カートリッジは,シュアーの持つMM型の特許を回避する独自の技術で作られており,その結果多くのメーカーにOEM供給を行っていたことでも知られています。

 ですからVM型の音は,私も意識しないうちにどこかで耳にしていた可能性があるのですが,このAT15Ea/Gというのは,それらのカートリッジの基準となるものであって,むしろ凡庸であることを求められていると言えるわけです。

 さて,購入してみて思ったのですが,どうもオーディオテクニカのVM型は,大きくて不細工な形をしているものです。AT-V7もごっつくで,見た目で随分損をしているなあと思ったものですが,AT15Ea/G(余談ですがどうもATの後に続くのが数字の時はハイフンがなく,アルファベットの場合にはハイフンがつくというのが,オーディオテクニカのカートリッジの命名ルールのようです)はさらにごっつくて不細工です。

 オーディオテクニカのマークはなかなか格好いいのですが,これがシールで前頭部に貼り付けられており,このあたりが非常に安物っぽく感じられます。同じオーディオテクニカでも,MC型には格好いいものが多く,AT-F3/2もAT33シリーズも,それぞれのコンセプトをよく体現しているよいデザインだと思うのですが,VM型で「おっ」と思ったのは,20年ほど前にペンギンの形をしたものを見たときだけです。

#今時の若者はそんなもん知らんでしょうな

 音を出してみましょう。AT15Ea/Gは出力が他に比べて大きいようで,その結果S/Nも有利です。音は可もなく不可もなく,ナローレンジなわけではないがワイドレンジでもない,元気がないわけではないが快活でもない,解像度はないわけではないが繊細さはない,といった感じで,よく言えば非常にバランスの取れた,悪く言えばすべてが中途半端な印象です。

 なるほど,これが基準になっているというのは,よく分かるお話です。

 この中途半端なカートリッジの,私にとっての意味というは,やはりこれを基準に出来るということに尽きます。

 AT15Ea/Gを基準とすれば,同じVM型のAT7Vはさすがにワイドレンジでパワーもあります。ただ,全体的に重たさがあり,突き抜けるような伸びやかさはなく,このあたりがVM型(MM型)の個性でもあるのでしょう。

 V15typeVxMRにについては,やはりこれが私にとっては一番だなあとつくづく思った次第です。AT7Vは明らかにこのカートリッジとは方向性が違い,AT15Ea/Gには方向性の一致を若干期待したのですが,やはり明らかに違っていました。腐ってもV15の名を持つカートリッジです。その中域の圧倒的な存在感は,AT15Ea/Gを聴いた後だと非常に誇張された嘘くさい音であることに気が付くのですが,私がこの音を好きなのだからもう仕方がありません。

 せっかく面倒臭いLPレコードを聴くのですから,CDや他のカートリッジでは代わりにならない,そんな価値を見いだしたカートリッジは,結局好きになると言うことでしょう。

 AT15Ea/Gにせよ,AT7Vにせよ,その方向を突き詰めればCDになるように思います。これがAT-F3/2ではCDにはならず,V15typeVxMRに至っては全く正反対と言えるかも知れません。

 ここまで来ると,あとはDENONのDL-103が欲しいですね。VM型のリファレンスではなく,日本のカートリッジのリファレンスであるDL-103は,誰もが「凡庸」と言います。しかし,一方で抜群に音のいいカートリッジとも言われているわけですが,果たしてこの2つが両立するのかどうか,非常に興味があります。

 DL-103が26000円ほど,これに対しAT15Ea/Gは10000円弱。

 オーディオテクニカは,いわゆる大量生産でカートリッジを作るメーカーとしては,おそらく世界でも珍しい存在になってしまいました。このAT15Ea/Gに限らず非常に良心的な価格と水準以上の性能,そしていつまでもぶれることのないコンセプトと,本当にいい仕事をしているなあと感心します。

 そして,そろそろDJ達がアナログレコードを見放しつつあるようです。絶滅すると言われたレコードがそれでもしぶとく生き残り21世紀を迎えましたが,それももう数年でダメになってしまうという意見もあります。

 いや,マニア向けに少量生産が可能で,価格も自由度のあるMC型については,今度も細々と作り続けられることでしょう。しかし,VM型(MM型)については,今のうちに買っておかないとまずいことになるかも知れません。

 すでにV15シリーズは生産を終了しています。そのDNAを受け継いでいると言われているM97やM95も,やはりV15とは比べものにならないと個人的には思います。確実にアナログレコードとカートリッジの時代は,終わりを迎えつつあるように感じました。

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