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2007年08月28日の記事は以下のとおりです。

5998プッシュプルの復活

  • 2007/08/28 00:30
  • カテゴリー:make:

ファイル 151-1.jpg

 残暑が厳しい毎日にすっかりまいりつつある私ですが,B&WのCM1は夏の間,MOS-FETの半導体アンプにつながれています。さすがに強烈な熱源である真空管アンプを常用する気にはなれず,だからといってエアコンをいれて真空管アンプを使うというのも,さすがに気が引けます。もし見つかったらゴア元副大統領にフルボッコされかねません。

 ところが,やっぱしなんかパンチ不足なんですね。あまり楽しくない。で,ふと思ったわけです。CM1はドライブ能力の高いアンプが必要,半導体アンプのような優等生的なアンプでこんな風に面白くない音を出しているなら,いっそのことうちで一番強力な,5998プッシュプルを動員してみてはどうなのか,と。

 しかし,5998のプッシュプルは,2000年の秋頃に作ったアンプで,しばらくメンテもされていません。主役の座を300Bシングルに譲ってからは,まともに電源も入れられていない状態です。

 確か,プレートの赤熱が気になって,カソード抵抗を設計値から大きくして,アイドル電流を小さくしたんだよなあとかいろいろ思い出したのですが,まずはこれをオリジナルに戻してみようと考えました。

 806Ωという中途半端な値のメタルクラッド抵抗がオリジナルには使われているのですが,これを入手するのがちょっと面倒だなあと思っていたところ,名古屋の小坂井電子に在庫があるとのこと。

 ただし,よく聞いてみると,必要な本数である4本に対し,2本ずつしかメーカーを揃えることができないそうです。メーカー違いはちょっと気になるところではありますが,このメタルクラッド抵抗,異なるメーカーでも同じ番号が記載されています。

 気になって調べると,この番号はMILのナンバーとのことで,私は勝手に軍の調達基準を満たしたものであると考えました。つまり,同じ番号なら互換性が十分にあるというわけです。

ファイル 151-2.jpg

 左下は通販サイトの写真に出ていたもので,注文もこの商品の型番で行っています。右下はよく知られたDALEのもので,これは2本確保できるということでした。

 あまり知らなかったのですが,DALEはVishayの子会社になっているんですね。どちらのブランドでもメタルクラッドは生産されているようですが,少なくとも現在のDALEのものはメキシコ製だそうで,くだらないオーディオマニアは例によってアメリカ製のヴィンテージものをありがたがっているようです。(どうも806Ωというのは現在のカタログからは落ちてしまっています。)

 この写真にあるように,見た目も異なる4つに共通して書き込まれている「RE70G8060」というのがMILの番号らしく,この番号でググってみると,メタルクラッド,20W,806Ω,誤差1%という条件を満たした様々なメーカーの製品がひっかかります。(写真の黒いタイプは20Wではなく15Wなのですが・・・)

 ちょっとしたことですが,少し調べてみるだけで勉強になります。メタルクラッドなんて,普通使うことはありませんから。

 結局,少々高価だったのですが購入。806Ωはすでに生産されていないようですし,誤差が1%という点も,巻線抵抗らしい温度特性の良さも,その変動が直ちに真空管の暴走に繋がる重要部品だけに,安心を買うと思えば多少の出費はやむを得ません。

 数日後に届いたので組み込みを行おうと中を確認したのですが,さすがに初期の作品だけあって,信じられないような配線の引き回しが行われています。よくもまあ,これでノイズやハムを拾わないもんです。

 まず,メタルクラッドの取り付け場所を決めてビスの穴を開けます。次にオリジナルから変更された配線や部品を元に戻します。一通り元に戻したところで,各部の電圧測定です。

 だんだん思い出すのですが,回路図にある電圧と手元の実機で,特に初段が大きくずれるのです。このずれは1.5倍くらい違っているので,誤差とかそういうレベルではありません。

 回路を何度も確認しましたが間違いはありません。理論値を計算すると,実機の測定値とほぼ一致します。これはどうも回路図の間違いか,記載の電圧値の誤記のようです。

 とりあえず記載の電圧が正しいと考えて,電源回路の抵抗の値を調整してみます。少しいじるといい感じの電圧に調整が出来たので,これで確定とします。

 そうそう,ヒーター電圧が少々高いようなので,適正な値になるように巻線を選びなおし,配線もやり直しておきます。

 そして測定。

 出力は約14W。もう少し欲しいところですが,まあこんなものでしょう。ダンピングファクターは約7.4。これも真空管アンプとしてはなかなかの数字です。

 周波数特性は1W時に,上が140kHz(-3dB),下は10Hz以下です。下は10Hzでも-3dBにはなりませんでした。おかしなうねりもゲインのバラツキもなさそうなので,なかなか広帯域なアンプになっているようです。やっぱ出力トランスである旧タンゴのFX40-5の素性の良さでしょうか。

 簡易測定なので,この程度のデータしか取っていません。

 相変わらずものすごい発熱と,目覚めの悪さには閉口するのですが,低rp,そして6.3V-2.4Aという強烈なヒーターがたたき出す熱電子によって生まれる図太い音は,このアンプの最大の特徴ではないかと思います。

 幸いハムもノイズもほとんど聞こえず,いい感じに仕上がりました。早速CM1につないで音を出してみます。

 うーん,確かに太い。ベースがぼわんぼわんいわず,かちっとなります。おかしなクセもなく,結構ストレートに音が前に出てきます。大変よい感じなのですが,R-chのプレートがやはり少し赤くなっています。5998はこんなものだ,という先人達の意見を信じ,少々赤くなってもこのまま使うことにします。というのもカソード抵抗を大きくしてしまうと,その結果音がやせるんですね。

 そんなわけで,5998プッシュプル,復活です。ただ,さすがに熱が強烈。ヒーター電力だけでも59982本と6SN74本で合計45W以上,5998へのアイドル電流でカソード抵抗が消費する電力が12.5W,5998自信が消費する電力が約50W。電源を入れてあるだけで合計100W以上の電力が消費され,その大半(というかすべて)が熱になっているのですから,なんと恐ろしいことでしょう・・・

 汗をだらだら流しながら,いろんなCDを聴いてみました。30分もするとかなり伸びやかになってきて,とても聴きやすくなります。しかし,さすがに暑さの限界。2時間ほどでもうやめました。

 寒くなって,暖房器具の代わりに活躍してもらえる時が来るのを,今から楽しみにしたいと思います。

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