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2008年11月28日の記事は以下のとおりです。

D2Hこれすなわち試練の道

 先日の連休,私は高校時代から長きにわたって続く親しい友人の結婚式(正確には披露宴ですね)に出席をするため,実家のある大阪に戻っていました。

 誰が言ったか知りませんが,高校時代の友人は一生の友人になるという話を耳にしたのが中学生の頃,当時は半信半疑だった私も,実際に多感な10代の頃に出会って以来,ずっと親しくできていることに,やっぱりその話は本当だったのかもなあと感慨深いものを感じています。

 式が近づいたある日,新郎から突然電話をもらいました。いわく,写真係を頼めないか,と。

 プロがいるんじゃないのか,と話をしましたが,身内の親しい間で写真を撮るというアットホームな感じにしたいということで,私がぱっと思い浮かんだらしいのです。

 もとよりD2Hを動員し,新郎と新婦の何気ない仲むつまじさを切り取れたら,写真立てに入れてプレゼントしようと思っていたところだったので,もちろんokしたわけですが,プレッシャーになったのは5,6人ずつのグループで新郎新婦を囲んで記念写真を撮り,みんなに配る予定だという話です。

 つまり,失敗が許されません。写真そのものの出来は言うまでもなく,写っている人すべて(ということは参加者全員)がある程度の納得をしてもらわないといけないわけで,多少の失敗はいいか,というような気楽な気持ちでは取りかかれません。

 しかし,私の機材はD2Hです。400万画素というケータイ以下の画素数に盛大なカラーノイズ,狭いラチチュード(そういえばラチチュードという言葉を最近見なくなりました)にボロボロのJPEG出力と,まさにじゃじゃ馬。成功には努力と運が必要です。

 ですが,うまく決まったときのD2Hの吐き出す画像の素晴らしさは筆舌に尽くしがたく,RAWからCaptureNX2で丁寧に現像すると,眠っていた豊富な情報が掘り起こされ,画素数以上の解像感が浮かび上がってきます。

 それは切れ味の鋭い刃物のようなシャッター音と,相手を威嚇するかのような攻撃的な大きさと形から,写真を撮る側と撮られる側との間に,決定的な緊張感が生まれる結果であるからかも,知れません。

 ・・・てな話を別の友人にすると,「まあとりあえず,空気読めといわれるな」と,速攻で冷や水を浴びせてくれました。実にありがたい。

 不安は山ほどあります。レンズは無難に18-200VRでいきましょう。暗いレンズですし室内ですからストロボは必須なのですが,あいにくSB-400というしょぼいものしか持っていません。

 SB-800の中古はなかなか見つからず,オークションでも競り負けた私は新品を買うほどの余裕もない現実に絶望しつつ,SB-400でもどうにかなるだろうと根拠のない自信を連れて,当日を迎えることになりました。

 特に打ち合わせもリハーサルもなかったのですが,披露宴が始まって周りを見てみると,一眼レフのデジカメは私以外にもう一人くらい。彼もニコンでした。多くはコンパクトデジカメでしたが,いわゆるNEO一眼という富士フイルムが勝手に呼んでいる高級デジカメもあったりして,さすが晴れ舞台だと思いました。

 それと,やっぱり携帯で撮影する人は皆無でした。あれですかね,携帯で撮るのはもしかして失礼にあたったりするんでしょうかね。

 そんなことはさておき,会場をざっと見てみました。

 会場は,大阪でもよく知られた「太閤園」というところで,なかでも築95年という大変に歴史のある「羽衣の間」というところでした。非常に立派で,和風な結婚式には最高の舞台と言えるのですが・・・私は冷や汗が背中を流れていきました。

 古い建物にありがちですが,天井が非常に高いのです。ストロボのバウンズを行うには,より大きなパワーが必要になりますが,SB-400のような小さなストロボはますます不利になります。

 しかもその天井が木でできていて,反射光が赤くなるのです。試し撮りをすると,盛大に赤かぶりがでています。念のためグレイカードを持ってきておいてよかったです。

 そして致命的だったのは,欄間で一定区画ごとに天井が仕切られており,バウンズさせた光がその区画内でしか広がってくれないのです。つまり被写体と私とが同じ区画にいる必要があり,これは強烈な足かせとなります。

 この段階で逃げ出したくなっていたのですが,加えて全体的に暗く,外光を取り入れる窓もほとんどありません。さらに照明は高い天井から丸い電灯がいくつかぶら下がったもので,もしその電灯が画角に入ると,露出がその「点光源」に引っ張られてどアンダーになるというやっかいな状態です。もちろん白熱光ですので,赤みがかった色になっています。

 他の式で活躍するプロの方を見かけましたが,やはりSB-800クラスの大きなストロボを使っていますね。本格的にやばいです。

 こうなったらバウンズを使わず,直接光で勝負するか,と,ガーゼのディフューザーを輪ゴムで取り付け,ばしっと試し撮り・・・だめです。強烈な影が出てくるのと,色のかぶり具合が複雑になり,後の補正が難しそうです。それに,被写体がまぶしそうな顔をしています。

 ええい,もうストロボなんかやめじゃ,200mmで1/4秒を手ぶれしない(もちろんVR併用です)私の実力で,スローシャッターで撮るぞ,と意気込んだものの,相手は動く人間です。被写体ぶれがひどくて話になりません。

 ISO感度を400に上げるという禁じ手を使い,天井の区画に気を遣いながら,私は公式カメラマンとしての役割を果たすべく,ケーキカットはもちろん,挨拶の皆さんの撮影もなんとか済ませていきました。1段程度アンダーになりますが,これはもう現像の時点でノイズを消しながら増感するという手作業でしのぐしかありません。

 しかも,集合写真では司会の方が仕切ってくれました。私が写真を撮影したという事実は,私の名前と共に記憶されることになりました。もう逃げられません。

 こういう危機的な状況で3時間あまりの披露宴が終わり,私はどっと疲れて帰ってきました。

 まあ,プロじゃありませんし,難しい条件だったんだから仕方がないよ,と自らを慰めつつ,240枚ほどの写真をMacで見て,私は事態の深刻さに恐怖しました。

 やっぱり暗いです。1段持ち上げただけではちょっと足りませんが,すでに1段持ち上げただけで暗部のカラーノイズがワシワシでています。男性の礼服は黒ですので,なおさら目立ちます。

 それにストロボの光がちゃんと回っていません。バウンズを使ったので白飛びはないのですが,シャドウが絶望的です。

 天井の区画に制約を受け,やむなくズームレンズの画角で構図を調整した結果,集合写真でも広角側を多用することになってしまっていて,結構派手な樽型の歪曲収差が出てしまい,端っこの人の顔が真円になっています。これは本当にまずい。

 絞りは開放ですので,シャープさももう一声欲しいところですし,被写界深度も浅めになったせいで,集合写真で後ろの列の人の顔は,本当に眠い感じなっています。

 ストロボの充電時間が間に合わず,D2Hの真骨頂である連写は全く役に立たず,単に相手を威圧しただけに終わりましたし,あくまでストロボを補助光として使うように,高感度設定が実用になるD3か欲しいと,この時ほど思ったことはありません。

 そんなこんなですっかり構図に気を回すゆとりがなく,新郎新婦を囲んだ集合写真では,最前列の大きな花束が半分くらいしか入っておらず,あまりにぞんざいな印象です。他にも頭から角が生えたり,首を横切る線があったり,意味不明な反射光がおでこに入っていたり・・・

 とにかくこれは「素材」なのだと自分に言い聞かせ,CaptureNX2で現像して仕上げていくしかありません。

 しかし,プロは現像なんかやってる時間はありませんし,枚数が膨大ですから,やっぱりJPEGで撮って出しができないと,商売にならないんだなとつくづく感じました。D2Hのように,JPEGが実用にならないカメラは,あくまで趣味のカメラなんだということです。JPEG出しの重要性が身にしみました。

 そうこうしているうちに,別の友人がカシオのコンパクトデジカメで撮った写真をレタッチもせずに送ってくれました。

 ・・・良く撮れてる。

 あかん,これは完全にやばい。というか,最近のコンパクトデジカメは,本当に失敗しないんだなあと,その出来の良さに感心しました。少なくとも,結婚式にD2Hは絶対にやったらダメですね。

 240枚のうち,救いようのないカットが半分,残りの半分はなんとか救出可能ですが,そのうちのほとんどは写真として面白くありません。結局1枚だけ,60点くらいの写真が出てきましたが,実に成功率は0.5%以下という有様です。
 
 済んだことですから仕方がありません。コツコツと現像して,なんとか印刷可能な写真に仕上げて,次に繋がる失敗としたいと思います。新郎新婦ご親族の皆様すみませんでした。

 ということで,末永くお幸せに。

 

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