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2009年03月02日の記事は以下のとおりです。

蔵書を棚卸し

 Macで動くフリーウェアに,Booksというものがあります。

 名前の通り,蔵書管理ソフトです。

 図書館や本屋さんなら管理する必要性もあると思いますが,私も個人で「蔵書」などという仰々しい言葉で指し示すようなものを持っているという自覚はありません。

 このソフト,存在は昔から知っていたのですが,打ち込むのに手間がかかる上,その結果出来上がったデータベースは結局「自己満足と達成感」を得る事にしか使い道がなく,データの二次使用が思いつかないため,いまいち使ってみようという気が起きませんでした。

 しかし最新版は面白いですね。内蔵のカメラでバーコードを読み取る機能があり,読み取ったISBNコードからamazonなどのサイトを探して,その本の書名などのデータと表紙のイメージを取得してくれます。これならあっという間にデータが入力できそうです。

 ファイルへのリンクが可能になっているので,私のように蔵書の半分をPDF化した人にとっては便利でしょうし,しかもその蔵書のリストをhtmlで書き出してwebで公開する機能も持っています。

 ここまで敷居が下がって,かつお遊び機能が付いてきているなら,せっかくだし試して見ようと思ったのが先週のことです。

 しかして元来凝り性の私は,先週1週間,地獄のような日々を送りました。とにかく片っ端から入力していき,持っている本の棚卸しをしようと,そんな風に考えが変わったからです。

 実はこのBooksというソフト,なかなかクセのあるソフトで,決して使いやすいものではありません。例えば新規登録を行う場合,新規登録ボタンを押すとデータの入力フィールドが出てきますが,実はすでにこの段階で新規作成という名称の本が登録されています。だから,入力を何度も途中でやめると,やめた回数だけ「新規作成」という書名の本が登録されてしまいます。この理屈を理解するまで,なぜか知らないうちに冊数が増えて困っていました。

 同じような理由で,データの修正を行おうと入力フィールドに文字を書くと,その段階でデータが上書きされています。保存とか上書きとかそういうボタンも操作もなく,修正を途中でやめるとやめたところでデータが出来上がっています。これも最初は分からなくて困りました。

 例えば続けて登録を行う場合,新規作成ボタンを毎度毎度押さないといけないわけですが,うっかり押し忘れてバーコードをスキャンし,amazonからデータを取り込むと,前のデータが失われます。なんのデータを上書きしたかさっぱりわからないので,何が足りないのか手作業で確認しないといけません。

 まだあります。検索はこの手のソフトでは一番重要な機能ですが,どういう規則で検索が行われるのかさっぱりわかりません。私としては,そのデータに少しでも含まれている語句を入れればとりあえず表示してくれると思っている(spotlightが割とそういう感じになっていますからね)のに,そうならないで見つからないとか,検索した結果の一覧からあるデータを1つ選び,これを複製するとなぜか検索フィールドが空白になり,今作ったデータがどこかにいってしまって探し回る羽目になるとか,とかく信頼を置けないのです。

 こうやって,手間がかかってしまう操作も多くて,申し訳ないですがこのソフト,随所にこうした「無駄な操作」が多く,非常に効率が悪いです。Macらしくない部分も散見されて,ちょっと使いにくいかなあと・・・

 さて,そんなこんなで手元に実体のある蔵書が約500冊,スキャンして実体がないものが300冊,実家に置いてあるもので記憶に残っているものが100冊と,約900冊がデータベース化されました。この数には,いわゆる月刊誌は含まれていませんし,実家にはもう数百ほどの本があると思われるので,合計で1500冊くらい,雑誌まで入れれば2500冊程度に膨れあがるものと思われます。

 今回のデータベース化で何が素晴らしいというと,その本が手元にあるのか実家に送ったのか,それとも友人に貸しているのか,その在処が分かるようになったことです。もちろん,動かすときにデータも更新するというのが大前提ですが,逆にそれさえ守ればどこにあるのか,あるいはスキャンをして捨てたのかどうかも,一目瞭然です。

 htmlに書き出して自宅サーバに置いておくと,世界中どこででも自分の本の状況を把握できます。そんな必要性がどこにあるのかといわれればそれまでなのですが・・・

 それで,改めて今回の件で自分の持っている本を棚卸ししたわけですが,ほとんどが技術書でした。私が毎日のように本屋さんに足を運び,そこで見つけた本を躊躇せず手にとって買うようになった結果なのですが,これも言い訳すると技術書特有の事情があります。

 とにかく,本が買いにくくなりました。特に技術書などの専門書は重傷です。見つけたときに買っておかないと,次はもう手に入らないかもしれません。いや,むしろその時偶然見つかったことが,すでに奇跡的だといってもいいでしょう。

 初版3000部(よくは知りませんがもはやこの部数では採算ラインギリギリなんじゃないでしょうか)で増刷なしとして,全国の本屋さんに何冊ずつ配本されるか,考えてみましょう。そう,amazonなんかの通販は何冊も在庫を持つので,まずすべての本屋に行き渡りません。大都市の大きなお店でも,数冊あれば御の字ですね。

 となると,そういうお店に欲しい人はみんな集まってきますから,発売日から数日間が勝負だったりする本も結構あります。

 うっかり買い逃すとそれっきりになることも多いので,油断できません。講談社のブルーバックスなんて,専門書でもなんでもなくて,どの本屋に結構な在庫があったものですが,今そこそこ大きいお店でも以前の半分程度の在庫しかない,というのは普通のことです。これではここ半年くらいに発売された新しいものしか手に入りません。ブルーバックスは雑誌じゃありません。

 そんなわけで,簡単に品切れになってしまう専門書は,後で惜しいことをしたと思うくらいなら,買っておいた方がよいという判断になってしまいます。専門書は単価も高いので,3000円とか4000円もする本を,あまり考えもせず買うことを続けてしまった結果がこれだった,というわけです。ついでにいうと,そこに「買い支え」というマイナーゲーム機,マイナーパソコンをこよなく愛した私の過去の行動原理が反映されていることを,あえて否定しません。

 再販制度の見直しが議論されると,その度に専門書の存続が危ぶまれると反論が出ますが,すでに専門書は崩壊の直前にあるのではないかと,そんな風に感じることがあります。果たして,再販制度が最後の砦なのか,それとももはや再販制度は関係ないのか,私にはわかりません。わかりませんが,印刷技術によってかつては宝物であった書物が広く安価に庶民に行き渡るようになり,それが民主主義の定着や階級社会の消滅の理由になっていると考えると,本が売れない,あるいは出版の世界の荒廃がもたらす我々庶民の未来が,私は恐ろしくて仕方がありません。庶民は再び,知識から隔絶された世界の住人に,しかも今度は自らの選択によって成り下がる事になるのでしょうか。

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