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2009年04月10日の記事は以下のとおりです。

販売店の責任とは

 さて,先日VintageComputerさんから購入した「VCオリジナル 2ポート eSATA ExpressCard」の件ですが,先日送り返しました。SmallPacketによる航空便で送り返しましたが,わずか150円。軽い梱包を心がけた結果です。

 まだ不良だったのかどうかはわかりませんが,いずれにせよ手元に使えないもの(そればかりかカーネルパニックを引き起こす危険なもの)があっても仕方がありませんので,送り返す以外の選択肢はありません。

 VintageComputerさんのレスポンスは速く,私からのメールに翌日返事が届きました。不良の可能性が高いので送り返せ,とのことで,その際の注意は「保証規定」を読むように,とありました。

 その保証規定によると,初期不良は返送料を一時立て替えてくれ,後で「ポイント」で返すから,とあります。

 ポイント?

 まず最初に,なぜ初期不良の返送料が販売店持ちなのかですが,これは購入者に落ち度がないから,です。もちろん販売店としても,メーカーの落ち度で発生した初期不良の責任を取るのはおかしいかも知れませんが,販売店はメーカーや卸業者の,購入者に対する一次窓口の機能も担っています。

 実際,多くの日本のお店は購入者に対し着払いで返送するよう指示を出すわけですが,この時の返送料はお店が負担することもあるし,メーカーに請求する場合もあるので,なんとも言えません。

 この段階で,販売店であるVingtageComputerさんが返送料を負担する必要性が明らかになったところで,それがなぜポイントなんだという疑問です。

 ポイントは,その店でしか使えないものですし,期限があるのが普通ですから,どんなものも買えて,しかも期限がない現金とは全く違うものという考え方が普通です。会計上の判断としても,購入者からの借入金という理屈と,あくまで販促費という理屈で意見が分かれています。

 立て替えたものが返送に必要となった現金であったわけですから,その立て替えたものを返してもらう際には,同じ現金で返してもらうべきでしょう。つまり私は,ポイントを購入したわけではありません。

 また,誤配の場合は振り込みやクレジットカードで返金するとありますから,返金することそものが制度上不可能ということではなさそうです。

 ということで,こちらの落ち度がない初期不良でポイントでの返却はおかしい,立て替えた現金で返してくれ,とお願いし,同時にポイントで返す理由の説明を求めました。

 数時間して返事が来たのですが,全文の掲載は許可を取っていないので抜粋すると,

・今回に限ってクレジットカードで返却する。
・初期不良は最終的にはメーカーの責任で,販売店に直接の落ち度はない。
・米国では初期不良品の返送料も購入者負担が普通。
・しかし日本では馴染みがないので,ポイントで返すことにしている。
・保証規定に明文化しており,納得した上で購入してもらっている。

 とぃうことでした。

 どう思われますか?

 一応クレジットカードで返金されるということですので,おかしな議論をふっかけるのは得策ではありませんが,初期不良については自分達は悪くない,というスタンスを崩していません。実際,謝罪の言葉は全くありませんでしたし。

 私も一時期販売店にいましたので,販売店の理屈も,メーカーの理屈も少しは分かっているつもりですが,単純な商習慣の違いを超えた疑問が消えません。

 まず,初期不良の責任は,彼らの主張通りメーカーに全責任があります。販売店もそのメーカーを信用して仕入れているわけで,それが不良品だったという,品質と信用の問題を出したのですから,メーカーが全面的に悪いことに疑いはありません。最終的に全責任を持つのは,VintageComputerさんの言うとおり,メーカーです。(しかし,それを客に言えば客が納得するという発想が,ちょっと思慮が足りないなあと思いますが)

 ただ,販売店の大切な機能には,購入者の窓口というのがあり,いざというときメーカーの代行を行う事もあります。これは,商習慣として慣例化しているケースもあるでしょうし,契約などで明文化されているケースもあると思います。

 いずれにせよ,メーカーのサポートに電話して「販売店にご相談下さい」と案内されるのは,こういう理由があるからです。

 とはいえ,販売店にもいろいろな業態があり,こうした販売以外の業務を一切行わないお店もあります。あえて行わずコストを削減し安売りの減資とするお店もあるし,正規品を扱っていないのでメーカーと話が出来ないと言うお店もあります。要するにお店の機能はお店自身が定義して運営していくものだ,ということです。

 その点で,VintageComputerさんが「自分達に落ち度はない」というのは,気分的にいささか抵抗がありますが,それでも納得出来ない話ではありません。ゆえに販売店にも購入者に落ち度がないから,双方痛み分けで返送料はポイントで返す,という理屈は一応筋が通っているように見えます。

 さて,今回の商品は「VCオリジナル」と銘打っています。ノーブランドではなく,またApple製でもsonnet製でもありません。VintageComputerさんのオリジナルの商品ですから,いわばプライベートブランドのマヨネーズなんかと同じで,VintageComputerさんは販売店としての責任は百歩譲ってゼロだとしても,製品そのものに対する責任は回避できないのではないかと,思うのです。

 もし,VintageCompterさんがそれでも責任はない,といいだしたら,この商品はもはやノーブランド,もしくはジャンク品でノーサポートの商品になります。そういう前提ならやむを得ませんが,この商品は違います。

 OEMを受ける側は,商品を他の会社に作ってもらっていますが,製品の品質に対しては一定の責任を持っています。実際に作っているOEM元の会社に一番責任があるのは事実ですが,それはあくまでOEMを受ける側に対しての責任です。

 今回の商品が本当に不良だったとして,その責任は製造メーカーにあるのは確かですが,それはVintageComputerさんとの話し合いの中だけの話で,購入者に見えないところにあるから,「VCオリジナル」なわけです。

 この段階で,私の主張は,少なくとも商品に対する責任をVintageComputerさんが持っているという結論に達します。よって双方痛み分け,という理屈は成り立ちません。


 次に,米国で返品にかかる費用の負担が購入者にあるかどうかですが,これは事実のようです。その代わり米国はもっと広範囲の消費者保護の制度が整っています。私は米国の消費者行政の専門家ではありませんからこれ以上の言及はしませんが,VintageCompuerさんの主張に,自分達に都合のいい所だけ「米国流」を適用しているのではないか,と思う人もいるかも知れません。


 最後に,どちらも悪くないからポイントで返す,と言う理屈ですが,先程から述べているように,この商品に限って言えば,販売の責任をゼロとしても,製品に対する責任は回避できません。よって双方痛み分けにはなりません。

 さらに,双方痛み分けがどうして「ポイント」なのか,だれがポイントをもらって痛み分けと納得したのか,が冷静に考えると不明です。良く買い物をする人は結構でしょうが,滅多に使わない人にとっては価値が薄く,期限が切れてしまって失効してしまえば,全く価値はゼロです。お店にとって,ポイントは借金ではなく販促費用として会計上扱われているケースが大半であることが,ポイントという「独自貨幣」の性質を如実に語っています。


 保証規定に納得してもらった上で,という話については,残念ながら最近はあまり効力を持ちません。基本的に双方の話し合いで決着した内容が優先されるのは今も昔も変わりませんし,司法上の判断でその保証規定に問題があれば,保証規定への応諾が無効になるケースは珍しくありません。ここらへんを杓子定規に考えるのは中学生までだと個人的には考えています。水掛け論をするのは不毛です。


 ということで,いろいろ迷ったあげくに,こんな感じで返事をしました。

>  私もかつてはMacや中古パソコンの販売店におりましたし,
> 今はメーカー勤めをしておりますので,頂いたご説明は確かに
> 販売店の本音として理解できます。
>
>  しかし,やはり販売店には何かあったときのメーカーの
> 代役として購入者の窓口を担うことも期待されていますし
> (そして実際に御社はきちんとその機能を果たされています),
> おっしゃるとおり最終的な責任はメーカーにあり,いわば販売店も
> 被害者であることは間違いなくとも,それはやはり販売店とメー
> カーとの間で決着すべきお話で,優先されるべきは購入者に全く
> 責任がないという事実であると思います。
>
>  加えて,こと今回の件については,商品が「VCオリジナル」と
> 銘打ってあることから,御社は単純な販売店としての責任に加え,
> 製品そのものについても責任があるというのが私の考えです。
>
>  御社のように,厳密にメーカー,販売店,購入者それぞれの
> 責任と負担をはっきりさせて対応を区別してらっしゃるなら,
> 今回の商品についても同様にそれぞれの責任の所在と負担費用を,
> 他のAppleやSonnetの製品とは区別しておくべきではな
> いでしょうか。


 これを「意見として」と前置きして返事としました。
 
 このメールに対して,返金についての簡単な案内と,意見として参考にする,という簡単な返事が届きました。

 わずか150円ですが金額の問題ではなく,私は彼らの販売店としての責任,あるいは今回の商品そのものに対する責任についてどう考えているのかをただしたかったのです。

 残念ながら,販売店には最終責任はない,という考えを結局最後まで曲げることはされませんでしたし,ここ数回のやりとりでただの一度も謝罪や感謝といった意味の言葉が使われることはなかったところに,自分達は悪くないという考えが徹底していることを強く感じました。顧客からの意見に対する感謝がないところにも,そもそも意見など求めてなどいないという気持ちがあるのでしょう。
 
 10年もややこしい商品の販売で生き残ってきたお店ですから,このくらいのことでいちいち頭を下げていたり,感謝をしたりしていたらやっていけないのでしょうね。面白い商品を扱っているお店ですから残念ですが,私の印象としてはそれを武器に結構彼らが有利になるような形で商売が出来ているケースだと思います。お客から見ると,ハイリスク・ハイリターンということになるでしょうか。

 今回の返送料は,小さなものだったから150円で済みましたが,これが大きいものだと何千円にもなるケースもあります。VintageComputerさんの売価が国内の店より2000円安いと言う理由で購入を決めても,その商品がたまたま運悪く初期不良だったりしたら,他の店で買った方が安かったと言う可能性が十分にあるということです。

 金銭面もそうですし,こういうやりとり一つとっても,不良品が出たら,なかなか気持ちよく終わらせてくれるお店ではないので,そのあたりも加味して,本当に特かどうかをよく考えてから,利用されることをおすすめしておきます。

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