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2009年05月08日の記事は以下のとおりです。

珍しいフロッピーディスク

 先日実家に戻った際,ちょっと変わったフロッピーディスクを見つけました。

 35歳くらいの人にとっては,5.25inchと3.5inchのフロッピーはおなじみですね。40代になると8inchを使っていた人もいるでしょうが,これらメジャー選手を知っているのは,まあ珍しいことではありません。

 今回ご紹介する2つは,完全に傍流のフロッピーディスクです。

(1)3inchコンパクトフロッピーディスク

 日立がドライブを,メディアをマクセルが規格化したとされ,松下なども加わった小型フロッピーで,ソニーが立ち上げた3.5inchフロッピーディスクの対抗規格です。

 3.5inchが「マイクロフロッピーディスク」だったのに対し,3inchの相性は「コンパクトフロッピーディスク」です。まあ,5,25inchが「ミニフロッピーディスク」ですから,順当に考えるとマイクロが正しい様に思えます。

ファイル 292-1.jpg

 すみません,手ぶれしてますね。

 大きさは横幅が3.5inchフロッピーディスクよりもやや小さく,その代わり縦長です。3.5inchと同じようにハードケースに入れられていますが,厚みは3.5inchの倍近くある感じでしょうか。

 3.5inchと仕組みは違いますが,一応金属製のシャッターが付いていて,要するに8inchや5.25inchの問題点とその克服は,日本のメーカーが主導すると同じような方向に向くということでしょう。

 3.5inchと決定的に違うのは,裏返して使えることです。これは8inchでも5.25inchでもなかったことです。片面しか使わない場合でも,裏返すことが出来なかったこれらのフロッピーディスクに対し,3inchについては裏返して使う事が出来るのです。もちろん,両面ドライブの場合には裏返す必要などありませんから,この特徴はあまり大したものではないかも知れません。

 あと非常に重要なことですが,この3inchフロッピーディスクは,電気的にも論理構造的にも,5.25inchの同一になっていて,物理的に違うだけなのです。OSやファイルシステムなどは5.25inchと全く同じものが使え,本体からはあくまで5.25inchのフロッピーディスクとして見えるようになっています。

 3.5inchもそうじゃないか,と言う人はいると思いますが,最初は違っていたんです。ソニーが立ち上げた時のフロッピーディスクは毎分600回転で5.25inchの倍の速度でした。論理構造も違っていて,5.25inchとは別の仕組みが必要でした。

 3inchフロッピーディスクの影響かどうかわかりませんが,その後3.5inchも回転数を5.25inchと同じにし,論理構造も5.25inchと同一になりました。ただ,当時主流になっていた5.25inch両面倍密度(いわゆる2D)とまったく同じに扱うことが出来たのは3inchフロッピーディスクだけの特権で,これを武器に5.25inchからの置き換えを狙ったんだと思います。

 なぜ衰退したのか分かりませんが,3inchに2DDや2HDが出なかったように記憶して(間違っているかも知れません),高容量化に乗り遅れたことと,低価格化が進まずユーザーが増えなかったこと,なんだかんだでアメリカ企業の参入がなく,そしてIBMが3.5inchを採用したことがとどめとなり,決着したんじゃないかと思います。

 3inchは胸ポケットに入ることを狙ったそうで,もしも当時マイナーだった3.5inchがマイナーなままだったら,扱いは楽になっていたかも知れません。ほら,3.5inchって案外取り回しが良くないでしょ?

 ちなみに写真のディスクですが,X1のHuBASIC1.0(CZ-8FB01)のシステムディスクです。幻のX1Dに付属していたと思われます。X1のフロッピーディスクは5.25inchの2Dから始まり,3.5inchへは移行しませんでしたから,5.25inchの置き換えとして3inchの採用はごく自然な流れだったと思います。


(2)5.25inch謎の高密度フロッピーディスク

 これは全くの謎なのですが,偶然手に入れた5.25inchのフロッピーディスクです。

ファイル 292-2.jpg

 プラスチックのケースに入り,しかも金属シャッターが備わっています。ラベルには「MD/HD」やら「12MB」やら「ServoWritten」やら,賑やかな文言が踊っています。しかもバーベイタムがコダックの子会社だった時代(1985年から1990年)のものです。

 裏面はこんな感じです。

ファイル 292-3.jpg

 MDはミニフロッピーディスクのことで,5.25inchです。柔らかいジャケットをそのままケースに入れたもので,シャッターを指で開くと,そのまま5.25inchの見慣れたジャケットが出てきます。ただし,チャッキングについては,両面から挟み込む構造が取れませんから,チャッキングプレートがディスクに取り付けられており,そのままケースに入れてあります。

ファイル 292-4.jpg

 後の5.25inchも8inch互換の2HDタイプが登場し,この時HDという言葉が使われるようになりましたから,このフロッピーディスクの「HD」はそれ以前のもの,と言えるでしょう。容量はなんと驚きの12MBです。本当なのか?

 ラベルには78セクター,333TPIと書かれていました。5.25inchの2Dでは,48TPIで40トラックですから,記録半径は0.833インチ,同じ記録半径に333TPIで書き込むとトラック数は277.5トラック,ざっと278トラックですか,すごい。

 5.25inchの2Dでは,フォーマット時に1セクタあたり256バイト,これが1トラックあたり16セクタあり,さらに40トラックで片面160kバイト(両面で320kバイト)ですから,同じフォーマットをかけたとして,このフロッピーディスクでは1セクタ256バイトで78セクタですから,1トラックあたり19.5kバイト,これが278トラックで片面5421Kバイト,両面では10842kバイトで大体10.6Mバイトという感じですね。

 大体公称値に近いところが出てきました。

 ちなみに,PC-88VA(1988年発売)でのみみられた,3.5inchの2TDという規格は,2HDに対して3倍密度3倍トラックで9.3Mバイトというとんでもない容量を実現していました。一説によると2TDはハードディスクコントローラICでアクセスするとか。そりゃそうですね。

 で,ざっと計算をしてみますと,1セクタ256バイトのIBMフォーマットの3倍密度ですから1トラック当たり78セクタ。お,一致しますね。

 そして3倍トラックですから,77トラックの3倍で231トラック。これで片面4504.5Kバイトです。両面だと約9000Kバイトです。なるほどなるほど。

 3.5inchの2HDのトラック密度は135TPIですので,この3倍ですからなんと405TPIですか。これはなかなかすごいことをやっていたんですね。

 さらに気になって調べて見ると,2SDなる規格まであったそうです。知りませんでした。容量は21Mバイトで2TDの倍のようですが,すでに数年前にJISからも抹消されています。ググってもほとんど引っかかりません。

 ということで,ハードケースに収まった5.25inchも聞いたことがありませんし,ドライブもみたことはありません。よってこのディスクの中身に何が入っているのか,知る手立てはありません。ググっても出てこない,Wikipediaにも触れられていないということは,余程の黒歴史なのでしょう。恐ろしいことです。

 バーベイタムがコダックの子会社だった5年間の間に,PC-88VA3で2TDがデビューしていますから,時期的にはこんなところでしょうし,技術的にも特に強烈というわけではなさそうな感じがします。しかし,当時のハードディスクもこんなくらいの容量だったんじゃなかったでしたっけ。

 ちなみに,シャッターを開けて笑ってしまったのですが,盛大にディスク表面にカビが発生しています。これ,バーベイタムのフロッピーディスクの伝統です。かつての実家は結露がひどい家で,カビも発生しやすい環境だったのですが,各社のフロッピーディスクを使っていた我々兄弟は,ことごとくバーベイタム(当時は化成バーベイタム)のフロッピーディスクが盛大なカビで全滅するという現実に恐怖しました。我々兄弟の間でバーベイタムのディスクが購入禁止になったのはこの時以来です。

 記憶では,TDKやマクセルはカビの発生は少なく,しかしカビの発生が全くなかったのはIBMブランドのディスクでした。なぜか安かったですし,見つけ次第買っていたことを思い出します。

 今思うと,バインダと呼ばれる,磁性体をポリエステルのディスクの表面に塗布する時に使う「糊」が,カビにとって「おいしい」ものだったからでしょう。


 てなわけで,2つのちょっと珍しいフロッピーディスクをご紹介しました。実家には5.25inchの2Dノーブランド10枚未開封とか,3.5inch2DD未開封とか,いろいろ出てきたんですが,これらはなんだかんだで古いパソコンを使うときには必要になったりしますから,まあ保存しておくのがよいでしょうね。

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