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2009年06月02日の記事は以下のとおりです。

アマデウスとブレードランナーを見る

 Blu-rayで映画を見ることがこれほど価値のあることなのか,と思いを改めた私ですが,まだまだソフトは割高というのが印象でした。しかし,かのamazonが特定のタイトルに限って半額というのをやっており,せっかくなので2タイトルほど買ってみることにしました。

 「アマデウス」と「ブレードランナー」です。

 どちらも映画史に残る金字塔です。

 詳しい物語の内容は割愛しますが,どちらもBlu-rayでなければ味わえないものがあります。とうとうパッケージメディアが映画の持つ表現力に追いついたのか,と思いました。

 アマデウスは,Blu-rayによって当時のヨーロッパの空気感を表現出来るようになったと感じましたし,優れた音楽も大変に臨場感豊かに再現されます。Blu-rayの良さは映像だけではなく,音声の品質も格段に上がっているのだと思い知ります。

 音と映像でぐいぐい引き込まれて,クライマックス,サリエリがベッドのモーツアルトと共同作業を進めるシーンは,まさに才能を持つ者同士が共に跳躍した瞬間。見ている者にぴりぴりとした緊張感と高揚感が伝わってきます。すばらしい。

 そしてモーツアルトは絶命します。漂う空気が一変します。彼を理解できる高い能力を持ち,彼を心から尊敬していながら,自らの唯一の支えを砕いた彼を許せず,破滅に追い込んだサリエリの末路もまた,破滅に近いものでした。退廃した空気が支配し,3時間という長編はようやく幕を下ろします。

 DVDでは物語をなぞるのが関の山だったアマデウスも,Blu-rayでは物語を味わうことが出来ます。今さらといわず,おすすめの一本です。


 次にブレードランナーですが,これは理系の教養として見ておかねばなりません。リドリー・スコットにシド・ミード,もうこれだけでおなかいっぱいです。

 陰鬱な未来のロサンゼルス。猥雑な街はいつも雨が降っています。雨が降ったシーンはDVDでは雨が降っているという事実を捉えるのが精一杯ですが,Blu-rayだと体が湿ってきそうな程の一体感を持つ事が出来ます。

 わずか4年で寿命を迎える人工物としてのレプリカント。感情を持つに至った「進化した」レプリカントは,苦悩します。生みの親であるタイレル博士を激烈な感情の中で手にかけ,やがてデッカードとの死闘の末,寿命により「機能停止」します。

 生きたいという感情の芽生えは,すでにそれが生命体であることを物語っています。これを単純な「物」として処理できるかどうか,なにより尊重される命と,動いているという事実だけを示す機能との間に,一体どこで線を引くべきなのかを否応なく問いかけると共に,私には単純なヒューマニズムを嘲笑しているかのように思われました。

 Wikipediaを見ると,デッカードがレプリカントだ,という話もあったりしますが,私はそんな謎解きはにはあまり関心がありません。デッカードが持つ記憶は他の誰かの記憶かも知れませんが,レプリカントと共存する未来においては,誰もが同じ疑いを自らに問いかけながら,生きているに違いないからです。

 様々なバージョンがあるブレードランナーですが,個人的にはこのBlu-ray版が決定版であり,これを見る事がすなわちブレードランナーを見る事になると思います。妥協のない緻密な映像,寒々とした空間を作る音楽,そして見終わった後の「うむー」と腕を組んで考えさせられる後味の悪さ。

 これぞ,パッケージメディアが映画本来の表現力に肉薄したことを証明する作品だと思います。この作品を見ると,以後の映画やマンガ,アニメにどれほどの影響を与えたかを思い知ることになるでしょう。

 PS3を持っている人は,安いうちに是非一本。

 私は,この2本,都合約5時間を立て続けに見ました。さすがに疲れてしまいましたが,DVDはテレビを見る感覚なのにBlu-rayはやっぱり映画を見る感覚です。疲れる種類の違いがあります。満足感を伴う心地よい疲れを味わうには,やはり時間あたりに浴びせられる情報量が重要だと感じました。

 映画は映画館でみるのがいい,昔の人はそう言いました。彼らはその理由を説明出来ずに,感情論でそういって引き下がりませんでした。実際の所,Blu-rayのフルHDでも,フィルムの情報量をすべて取り込めているわけではありません。映画館で大画面で見ることの価値は,Blu-rayがある今だからこそ,問われるようになるかも知れません。

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