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2009年11月27日の記事は以下のとおりです。

ALESIS micronを買いました

  • 2009/11/27 16:03
  • カテゴリー:散財

ファイル 338-1.jpg

 先日,「そういえばALESISってまだドラム音源つくってんのかな」と急に思いついて,google先生に聞いてみました。

 するとgoogle先生は,あろうことか,micronなるシンセサイザーを「こんなんどうや?」と見せてくれたのです。

 アナログモデリング?ボコーダ?37鍵?あーいらんいらん,どうせDJ向きのシンセやろ,むにょむにょーんってそんな音いらんて。

 そうやって検索結果を流し読みした後,私は表示されたmicronの画像をみて,フラグがスパッと立ったことを感じました。色も形も,なんとまあ,かわいらしい。

 気になって価格をみると,大幅値下げの39800円。

 2つ目のフラグが立ったことを感じた私は,そういえば少し前にMicroKORG XLのデモ演奏の動画を見て,これはかなり使えるんじゃないかと思ったことを思い出しました。

 ローランドやヤマハが相次いで発表し,NordLeadに蹴散らされて,ひと山越えたアナログモデリングシンセサイザーは,不意に襲う故障や,修理不能の恐怖におびえて使うヴィンテージシンセサイザーに対する,理想的な解ではないかと私も随分興味がありました。

 しかし,どうも目的を極端に絞り込んでいたり,それほど音が太いわけでも,柔軟性があるわけでも,また操作性がよいわけでもなくて,実際に買うほど欲しいと思うことはとうとうないままでした。

 また,多重録音やDTMをすることのなくなった私は,今はステージピアノのRD-700とギターを気が向いたときに1時間ほど演奏しては楽しんでいる程度ですから,今さら機材を増やすなど無意味です。

 そんなおり,KORGのMicroKORG XLは評判も良く,かなり気になる存在で,オモチャとして買ってみるかと思ったこともありましたが,音源そのものもそうだし,プリセットのラインナップやデザインなどが,KORGは全般にどうもDJ向きになっていて,レガシーなシンセブラスやPAD系の音を好む私には違和感があります。

 KAOSSILATORも面白い楽器で,私も買いましたが,コンセプトはともかく,出てくる音にまず違和感を強く感じてしまい,今はほとんど使っていません。やっぱKORGは肌に合わないんだろうなと思います。

 MicroKORG XLに対する不安は,まさにここにありました。これまでKORGでよかったと思ったことが一度もないし,KORGが欲しいと思ったこともほとんどないのです。それで考えた末,結局MicroKORG XLは買うのをやめました。

 でも,D-70がすでに実用レベルで使える機材ではなくなっています(そもそも家にはもうない)し,さりとてRD-700では大きすぎて外に持ち出せず,また入力用キーボードとしても厳しいものがあるので,小型の鍵盤が1つあると,ささっと演奏できて,外にも持ち出せて,もしかするとDTMも復活できたりして,結構面白いだろうなあとは,常々思っていたのです。

 そこにmicronです。

 同時発音数は8音と少なめですが,一応4パートのマルチティンバーだそうですし,エフェクトもとりあえず内蔵,3VCO+2VCFという結構贅沢な構成,モジュレーションマトリクス(オーバーハイムでいうところのマトリックスモジュレーション)も出来ますし,小型で軽く,それにちゃんと標準鍵盤です。

 ピアノを補助する目的でライブパフォーマンスにもいざというとき使えるだろうし,音を作り込む楽しさもありつつ,ちょっと空き時間に演奏したいなと言うときにさっと音を出せる手軽さもありそうです。

 肝心の音源部は,2003年というかなり前のIONというシンセサイザと同じらしいので過度な期待は禁物ですが,デモを聞いた限りではアナログのニュアンスをよく再現しているように思います。何種類か特性の違ったフィルタが用意されていて,それぞれにかつてのアナログの名器を思い出させる名前が付いているあたり,にやっとさせられました。Moog,ARP,Oberheim,Jupiter・・・

 アフタータッチこそありませんが,今やなかなかお目にかかれないキーオフベロシティに対応した鍵盤もなかなか面白そうです。弾き心地が気になりますが,それがダメでも買わない理由にはならんでしょう。

 まあ,これ1つでなんでも出来るわけではありませんが,これだけのポテンシャルに悪い評価を目にしない太い音,それにキュートなデザインが揃って,たった4万円。

 10分後には購入が決定していました。

 いやー,電子楽器でこれだけワクワクしたのは久々です。

 2004年に登場した時も6万円前後なのでそんなに高い楽器ではないのですが,音源として使い道が限定されるアナログモデリングに6万円も7万円も出せないというのが本音でしたから,4万円というお値段は,予算という障害を一気に取り払うだけ十分なものがありました。

 買う気満々であちこち値段を調べて回ると,純正キャリングケースに送料込み,クレジットカードokで税込み38800円というところを見つけました。キャリングケースは小型のシンセなら欲しくなるでしょうから,どうせ買うことになるでしょう。とすればこれは安い。しかも私がかつてギターを買った楽器屋さん。てことでここで買うことにしました。

 注文してから翌日には手元に届きました。早速箱をあけてみます。


(1)デザイン

 随分かわいらしく見えた筐体ですが,目の前にするとなかなかごっつい感じです。私の個体は台湾製だったのですが,良くも悪くも雑な作りで,このあたりは日本製にはかなわない感じです。

 案外シルバーの筐体というのは電子楽器には似合わないと私は考えていて,もう少し落ち着いた色なら良かったのにと思ったりします。

 作りはしっかりしているので,多少のラフプレイには全然へこたれないでしょう。

 個人的に好感触なのは,青色や青緑色のLEDを全然使っていないことです。これらのLEDが安価に使えるようになったことや,案外ウケがいいことで,最近あちこちでこの色の光を見るようになりましたが,私はあまり好きではありません。青のLEDはなんであんなに眩しいのでしょうか。


(2)操作感

 悪くないです。論理的に操作体系が構築されていて,少しの訓練で結構自由に動き回ることが出来ます。

 ディスプレイの狭さは問題かなと思っていましたが,実際はそんなことありません。遷移図のどこが表示されているのか,わかりやすく良くまとまっています。

 ただ,緑色のバックライトが明るすぎ,音作りについ没頭すると,トイレに行った時など網膜に細長い長方形が焼き付いてしまっています。色は案外アンバーでもよかったかも知れません。

 スライダやつまみ類の反応速度も良くて,不自然さはありません。スライダは主にLFOのDepthとフィルタのCutoffにアサインされている例が多いようですが,それも慣れれば案外使いやすく出来ています。

 xとyとzの3つのノブについては,一時的な音色調整に使うというより,音色パラメータを1つきちんとアサインするという感じになっていますので,ノブを回せば設定値もきっちり変化します。モジュレーションマトリクスでスライダをアサインするのがいいか,それとも直接パラメータをノブにアサインするのがいいかは,上手に使い分ける必要があるでしょう。

 鍵盤はクリック感のない鍵盤で,伝統的な電子楽器にある押し心地です。ストロークも深く,重さもそこそこあり,私は心地よく触っています。グリッサンドが面白いように決まることもありがたいです。ただ,やっぱりもう1オクターブくらいあった方が演奏が楽だと思いました。49鍵のモデルがあったなら,そちらにしたことでしょう。

 ピッチベンダーは横方向に動かすタイプの大きなホイールで,ローランドに慣れ親しんだ私にはそんなに違和感のないものですが,滑り止めのゴムがひいてあり,案外使いやすい感じです。ただ,動かすとLEDが光るという演出は別に必要ないかなあと。


(3)音
 
 一言で言えば太い音,存在感のある音です。密度感も高く,スカスカなチープな感じは全くありません。粒子の細かい音を期待していたのですが,必ずしもそうではなく,やや荒いサンドペーパーのような印象を持ちました。

 低音など,ヘッドフォンで演奏すると頭と共振しているかのように,大きく揺さぶられた感覚を覚えるときがあります。単純に音が大きいだけでは味わえない感覚ですが,これがクラブシーンなどで重宝されるのは言うまでもないでしょうね。

 3VCOの音の太さも素晴らしいですが,このシンセサイザーの醍醐味は,性能の良いフィルタではないかと思ったりします。切れ味もいいし,レゾナンスも深くかかります。2poleと4poleの違いも楽しめますし,ARPのフィルタなどは大レベルで歪みます。フィルタの良し悪しはやっぱり重要で,先日も,とある自作のVCFを触ってみたのですが,効き具合がいまいちで表現力に限界があるような印象を持ちました。


(4)音作りの思想

 まず,日本のシンセサイザーのように,実用的な音をプリセットで並べておき,即戦力として使えるようになってはいないと思います。どれもこれも「micronではこんなことができるよ」というデモをやっているような感じがあり,それらは確かに面白いのですが,ではライブで使えるか,レコーディングで使えるかというと,それはまた別の話です。

 ですから,こんな事が出来るのか,とイメージが膨らんだところで,実際に使う音は自分で作るのが原則になるように思いますが,まあこれは海外製のシンセサイザーには良くあることです。

 もう1つ,音色のパラメータについても,至れり尽くせりではありません。例えばLFO DELAYというパラメータ,これはLFOのデプスを時間と共に深くしていくものなのですが,日本製のシンセサイザーならまず間違いなく存在するこのパラメータが,micronにはありません。

 ないから出来ない,という訳ではなく,これはモジュレーションマトリクスで自分でパッチングする必要があるのです。具体的には,モジュレーションソースをエンベロープジェネレータに,デスティネーションをLFOのデプスにします。

 ENV1はアンプ,つまり音量に対して,ENV2はフィルタに対して,ENV3はピッチに対してもしくはモジュレーションのソースとして有効なものなのですが,LFOのデプスをどのソースから制御するか,選択することになります。

 ENV1からENV3まで任意にモジュレーションソースとして使用できるのですが,仮にENV3が未使用なら,ENV3をそのままLFOのDelayにあてがって,アタックをディレイにすればとりあえずうまくいきそうです。とはいえ,私としてはLFOには別のディレイ値が設定できた方がやっぱり楽だなと思います。よく使うパラメータですしね。
 
 こういう話も海外製には良くある話で,自由度はあるのだが面倒臭い,あるいはあれこれお膳立てされていない,という事で,使いやすさと相反する要素だけに好みが分かれるように思います。

 一方で,3つのエンベロープジェネレータの使い道が一応固定されているあたり,制約と見るか,これくらいは固定化されていて助かったと見るか,micronというシンセサイザーの立ち位置を垣間見ることが出来るように思います。個人的には,エンベロープジェネレータまでパッチングしないといけないようだと,もうあの小さなディスプレイでは作業出来ません。

 そうなると,一体どこまでが自分でパッチングしないといけないものなのか,どれはすでに固定されて接続されているのかを正確に知らなければなりません。マニュアルを熟読して,覚えていくしかなさそうです。


(5)おもしろさ

 実はまだPatternやSetupについては,ほとんど触っていません。あまりアルペジエータやシーケンサに期待していませんし,そういう使い方も私はしないので二の次にしていますが,ちょっとさわって遊んだ限り,なかなか面白いです。

 音楽の専門知識がなくとも,フレーズを並べて音楽を作る事が普通に行われていますが,micronでもそうした音楽を,その場で即興で演奏する事が出来るという事でしょう。

 例えばIntroというSetupですが,鍵盤を1つ押さえると,4小節にわたって4つのコードが勝手に進行します。マイナーかメジャーかを指定することさえしません。そして左端のCやDの鍵盤を押さえると,ドラムが鳴り始め,C#やD#を押さえると派手なフィルインが決まります。これだけで16小節くらいのちょっとしたデモをその場で行うことができるのではないでしょうか。良くできていますが,これでレコーディングをするわけにはいかないでしょうから,やっぱ面白いで済んでしまう機能かも知れません。

 音作りは問答無用で面白いですね。最初は小さい画面に多くのパラメータ,しかも自分でモジュレーションマトリクスを設定して骨組みから作らねばならず,クラクラとめまいがしたのですが,慣れてしまえばなんてことはなく,わかりやすく出来ていると思います。

 パラメータを変えていけば予想通りに音が変化するという,アナログシンセサイザーの良さを当然そのまま引き継いでいますし,WaveのShapeを変えたり,フィルターのタイプを変えたりして音色の変化を楽しむことも楽しいです。


(6)残念な事

 残念なのはエフェクトがほとんど使い物にならないことでしょうか。コーラスも今ひとつですし,リバーブなどの空間系もさっぱりです。確かに残響音は出ていますが,空間を感じさせるようなエフェクトはかかりません。

 micronはIONと同じ構成の音源だということですので,約50MIPSのDSPを9つ使っていることになります。1つをボコーダなどのSFX用に使い,残りの8つを1ボイスあたり1つで音を作っているのではないかと思うのですが,エフェクトも一緒に作っているのでしょう。

 だから,は同時発音数が足りなくなってDSPが別のボイスに割り当てられてしまうと,残響音も消えてしまうことになります。ですのでリリースの長いストリングスなどで深めのリバーブをかけても,残響音がさっぱり残らず,全然深くならないということが起きてしまうようです。

 ALESISって,確かD4の時もエフェクトをかけた状態でサンプリングしてあるせいで,ノートオフで残響音も消えてしまうという不自然さがあったのですが,ドラム音源のみならず,シンセサイザーでもこれをやっちゃうのかと,ちょっとびっくりしました。

 結論としては,特に空間系のエフェクトは外部でかけましょう。

 あとあれですね,パラメータの変化に対する実際の音の変化が結構大きいですね。悪く言うと大味です。LFOのモジュレーションのデプスにしても,アナログドリフトにしても,1だけ設定値を変えたときに変化する量の半分くらいだとちょうどいいなぁ,と思うことがありました。

 結局,LFOのデプスはトラッキングを使って微調整をしましたが,アナログドリフトは無理そうです。


 という感じですが,シンセサイザーというのは楽器であると同時に,システマティックに音を合成できる装置でもあるわけですから,演奏する楽しみに加えて,音を作り込む楽しみも本来はあるわけです。

 その音を作るという作業も,演奏のために作るというケースもあれば,演奏しないけど面白いから作る,と言うマニアックなケースもあるのですが,プレイバックサンプラーが主体の電子楽器界にあって,音を作る事そのものが目的になるようなシンセサイザーというのは,なかなか存在が難しい位置にいます。

 私は今回,動作が限りなく安定し,再現性も抜群で,使いやすくまとめられた小型のアナログモデリングシンセサイザーによって,シンセサイザー本来の楽しみを久々に味わったのですが,病みつきになる面白さです。音が良くなければ面白くないだろうし,操作や設定が音に素直に反映しないとこれもまた面白くないわけで,その点でmicronは抜群のものがあると思います。


 これ単体で出来る事はそんなになく,ぜひシーケンサーを使ってDTMに使いたいと思うのですが,あいにく私のシーケンサーはMacOS9時代のPerformer6.03のままです。DigitalPerformerにアップデートするには,当時の使用頻度からちょっともったいなくて,ほったらかしにしていました。

 Performerからの乗り換えの簡単なソフトがなかなかなかったりして,結局DTMから遠のいてしまったことは悔やまされるのですが,どうも現行のDigitalPerformerは安定性が低く,決して満足に使っている人が多いわけではないようです。

 結局みんな,安定しないし高いし重いしで不満はあるけど,あの操作性が最高!という「辛抱」を強いられているような感じですが,辛抱しない人たちはどうしているかというと,どうやらAppleのLogicに流れているようです。

 LogicはAppleに買収される前から,私には一番馴染まないソフトだと思っていたのですが,先日発売になったLogicExpress9に至っては,Proと機能差がほとんどないのに21800円と格安です。

 Apple純正だし,SnowLeopardにきちんと対応しているし。Appleの洗練された操作体系やUIにも信頼感があって,この際だから乗り換えるか,と購入を検討しています。MacBookProにしておいて良かったなあと思う瞬間です。

 オーディオ信号とMIDIを統合的に扱った経験がない私にとっては,まさにゼロからのスタートなのですが,Performerの頃のように,時間をかけて作り込むのではなく,短い時間でさっと楽しく音楽が作れるようになると,いいですね。

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