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2010年06月10日の記事は以下のとおりです。

DP1sを買いました

  • 2010/06/10 20:18
  • カテゴリー:散財

 シグマのDP1sというデジカメが,今処分価格になっています。底値は過ぎたかなという印象もありますが,新品同様の中古品が実は新品の可能性がある,という買い方であれば3万円を割り込んだ値段で買うことが出来ます。

 私は32800円で先週買うに至りました。

 買った理由の1つに,現在私は,まともな画を出すデジカメを一眼レフしか持っていないことで,なにかと不便な想いをしている事がありました。

 GRD3にしてもGXRにしても物欲をそそるデジカメではありますが,出来ればセンサのサイズは一眼に近いものがいいという気持ちが私には強くて,前者はどうも買う気になれず,後者はレンズユニット取り外しというギミックが今ひとつ気に入りません。

 マイクロフォーサーズもかなりいいと思いましたが,やっぱセンサのサイズが気になりましたし,かといってソニーのNEXを買う気もなく,困った状況が続いていたところに,3万円程度でAPS-Cサイズに近いセンサを持つ高画質デジカメが手に入ると聞いて,買う決心をしたわけです。

 500万画素もあれば画素数はもう十分で,そこから先はセンサのサイズとレンズ性能が効いてくるというのが以前からの私の考えですが,どっちもコストがかかり,かつコストの下がり方が緩やかだったりしますから,このこだわりを貫こうとすると,自ずと尖った(そしてそれは得てして不便な)デジタルカメラから選ぶしかありません。


 遅い?そんなに連写をする必要性がそもそも普段にありますか?

 AFがおばかさん?28mmはパンフォーカスで撮るのが楽しいですよ。

 大きい?そりゃセンサが大きいんですから。

 JPEGが使い物にならない?RAWから現像できないデジカメよりずっとましです。

 シグマなんてきいたことない?そいつは気の毒に。

 電池がもたない?どんだけ無駄ショットを撮ってるんですか。

 動画がまともに撮れない?ビデオカメラを使ってください。

 ズームじゃない?28mm単焦点で十分。面倒くさがらず自分が動け。 

 F4は暗い?28mmで絞りをあけるんですか?
 
 操作系がダメ?3日で慣れますよ,どんなUIでも愛があれば。

 アフターサービスとかサポートは?偏屈ユーザーの多いレンズ業界をなめてはいけません。

 高い?うーん,それはその通りかも・・・


 こんなくだらないこと(そうでもないか)より,ガラスモールド非球面レンズを贅沢に奢り,無理に明るさを欲張らないゆとりのある設計のレンズを通って曲がる光に想いをはせ,その大きな受光面に投影された画が,色ごとに異なる深さで「染みこんで」いく様を想像すると,もう脳のシワからドーパミンが染み出して止まりません。

 ポテンシャルはとても高く,しかしそのポテンシャルを引き出す条件は狭く厳しい,そういうカメラは実用面はともかく,使って楽しいものであることは確かです。K10Dの便利さや手堅さ,失敗しない安心感もいいですが,D2Hで作り込む面白さもまた捨てがたい。

 そんなこんなで届いたDP1Sは,予想通りのひねくれ者でした。

 デザインは良くも悪くもシグマのデザインで,私はあまり好きにはなれません。実用面でも今ひとつで,持ちにくく,滑りやすく,鞄から取り出しにくいです。

 レンズキャップは被せ式ですが,ロックを外す機構がない上,はめ込むときのキャップの位置が決まっているせいで,非常に使いにくいです。少なくとも,手探りで取り外しや取り付けが出来るようなものではなく,そこが撮影という作業に対する壁になっているように思います。

 そして電源スイッチの位置が微妙に遠くて,一度握ったカメラをもう一度握り直さないと電源スイッチを押せません。申し訳ないけど,おもむろに右手でつかんで「よし撮るぞ」と気合いを入れた後に,左手で支えて電源をぽちっと入れて,また握り直さないといけないような無粋なカメラを,私は初めて見ました。

 しかしシャッターボタンに指をかけると,その感触はなかなかのもので,シャッターを切りたいという欲求は高まります。モード設定ダイアルのクリック感もなかなかよくて,指のかかりもガタのなさも,良くできています。

 電源を入れると,早速訳の分からないユーザーインターフェースに混乱しつつ,それでも精一杯高級コンパクトデジカメにふさわしい「設定の自由度」を割り当てるのに苦労したんだろうなあと思わせます。

 私がDP1シリーズに感じた強烈なアイデンティティの1つに,フォーカスリングがあります。右の親指がかかる一等地に,非常になめらかなダイアルがありますが,これがマニュアルフォーカスの時にしか使わない,フォーカスリングです。

 例えばこれを,コマンドダイアルに割り当ててマニュアルフォーカスの時だけフォーカスリングとして機能するのが普通かなと思うのですが,そういった気の効き方は一切無しです。

 しかも,このフォーカスリングはロックが出来ません。なにかの拍子に簡単に動いてしまいます。電源がOFFの時に動いてしまった場合でも,次の電源ONの時に動いた後の値でフォーカスが調整されるというこだわりようです。(ダイアルが動いたことをまずトリガにして,値をサンプリングするべきです。)

 LCDの画面上に距離目盛りも出るのですが,被写界深度の指標が出てこないばかりか,説明書のどこにも絞り値と被写界深度の一覧表がありません。何のための絞り優先AEとマニュアルフォーカスやら・・・中途半端やなー。

 まあそれは運用でカバーするとして,どうやらF5.6で2mに固定すると,無限遠から1mくらいまでフォーカスが合うように出来るそうです。実際にはちょっと無限遠が出ませんので,F8まで絞るか,3mあたりでフォーカスを固定すると安心でしょう。

 レンズの性能としてはF5.6あたりがピークになるという話ですので,変にプログラムモードで使うより,絞り優先AEで行くのがよいでしょう。

 また,ホワイトバランスはさっぱりあてにならないそうですし,ISO400位から結構ノイズが出てくるということですから,結局のところ以下の設定に収れんしました。

  絞り優先AE(F5.6固定)
  マニュアルフォーカス(2m固定)
  ホワイトバランスは晴れ固定
  ISOは100か200で固定
  RAWで記録

 いやはや,なんとストイックな。でも,撮影直前の余計な操作や動作がなくなりますので,気楽です。

 起動に3秒,書き込みに5秒以上の時間がかかるのですが,まあGR1でもフィルムの巻き上げを考えるとこのくらいの待ち時間はありました。そんなに苦になるものでもありません。

 しかし,前述の通りキャップの付け外しがちょっと気を使うので,撮影機会を何度か逃してしまいました。それでキャップをせずにいたのですが,いつの間にやらレンズがなにかに触れたらしく,油やわずかなコーティングの傷をつけてしまいました。

 買った翌日に,30分ほど散歩して撮影した写真を2つほど掲載します。せっかくですから。

 両方とも上記のモードでスナップしたもので,SigmaPhotoPro4という純正現像ソフトで現像しました。モードはオートで,2枚目だけ露出補正を+0.7してあります。保存サイズはオリジナルの1/2で,JPEGです。トリミング,色の補正などの加工は一切行っていません。

ファイル 377-1.jpg

ファイル 377-2.jpg

 いや,これは一眼レフをある意味凌駕していますね。

 単純比較は難しいですが,画像の出力画素数としては400万画素のセンサのカメラと同等に過ぎません。

 しかし,RGB各色ごとに400万画素を備えるFoveonX3というセンサを使ったDP1sは,他のほとんどのデジカメが採用するベイヤー配列のセンサと違って,そもそもの情報量が全然違います。

 ベイヤー配列だと,同じ400万画素でもRGBそれぞれに400万個の情報が揃っているわけではありませんから,いわば妄想で足りないデータを作っているわけですね。その妄想はかなりの精度で的中することが知られていますが,でも妄想は現実を越えられません。

 だから画素数が少ないことによる解像度の低さは別にして,そこに潜む情報量には息を呑みます。特に色情報の豊かさは他にないものがあって,とりわけ現像時の色や明るさの補正のゆとりの深さは,特筆すべきものがあります。

 実はPhotoshopCS5でRAW現像する方が私の好みなのですが,補正したときになかなか破綻せず粘るんです。これはそこらへんの優等生デジカメとは一線を画すものです。

 そして,原理的に不必要なローパスフィルタが存在せず,レンズ性能にのみ制約を受けた豊かな高域情報を含んだ画像は,中低域との自然な繋がりを持つことで独特の空間表現をしています。

 D2Hに比べればまだまだ条件は広い方という印象で,まあ当たり前のことですが,さすがに2年前のデジタルカメラだなと思います。本来のゆとりはもっとあって,これがコンパクトデジカメという細かい制御が不得意なハードウェアを補完することになっているはずで,その点で言うと同じセンサを使う一眼レフのSD14など,どんな画を吐き出すのか興味がわいてきます。

 何を今さら,と言う気もしますが,これは本当に面白いカメラです。

 さて,せっかくの面白いカメラですから,もっと使いやすくしていこうと思います。グリップ,レンズキャップ・・・いろいろあります。随時ご紹介する予定です。

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