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2010年09月07日の記事は以下のとおりです。

東京Jazz2010の生放送

 まだ昼の暑さが去りきらぬ9月は,東京Jazzの季節です。今年は9回目,世界でも珍しいJazzへの理解のある国・日本で,一番大きなJazzイベントとして,東京・有楽町で行われました。

 せっかく東京に住んでいるのに足を運ばない私は実にもったいない人だと思う訳ですが,休日は家でゆっくりしたい(引き籠もりたい),わざわざ人混みに出かけたくはない(人嫌い),という根源的な理由をさらに肯定するのが,毎年のFM放送による生中継です。

 生中継というのは本当に独特の魅力があります。同じ時間を過ごしているという奇妙な一体感もそうですし,プレイヤーの音だけではなくオーディエンスの出す音までも一緒に届く臨場感も素晴らしいと思います。今時珍しくなったアナログ放送であるFM放送は,高音質であること以上にレイテンシが短く,本当の意味で「リアルタイム」に一番近いメディアではないかと思います。ん,まあ気分的なもんですけど。

 アナログ放送であるFMは受信が極めて難しい放送でもあります。なんとなくでよければ,首都圏なら間違いなく受信可能ですし,Walkmanなどの携帯プレイヤーに内蔵されたFMラジオを使えば,外でも歩きながらでもFMを楽しむ事が出来ます。

 しかし,録音してオーディオソースとして使おうと考えると,途端に難しくなります。元来,ターンテーブル,テープデッキと列ぶ三大ソースであったFMチューナーは,その潜在的な音質の良さで知られていますが,その音の良さを満喫するには,かなり真剣に電波の受信状態を良くしなければなりません。

 FM放送が始まったのは今から50年ほども前の話ですが,その頃と違い,高いビルがあちこちに建ち,至る所に電磁波を出す機器が存在する現在,綺麗な電波を簡単に受ける方法など,もはや絶望的といえる状況でしょう。

 引っ越してきてから,FMのアンテナについていろいろ試行錯誤をしていたのですが,どうしてもマルチパスを回避できません。マルチパスはステレオ放送の時にギュルギュルという音の原因になると考えていましたが,むしろ音が歪むことが深刻になっています。

 最初チューナーが悪いのかと思いましたが,他のラジオでも同じような歪み方をするので,これは受信状態が悪いとあきらめました。

 結局,T型の安いアンテナを買ってきて,これで受信するのがもっとも良い結果になったのですが,それでもノイズは多いですし,大阪の実家にいたときに使っていた5エレ八木には全然かないません。

 さて,気を取り直して,録音の用意です。当日の9月5日は,朝11時から放送開始で,夜の11時まで12時間ぶっ通しのマラソン放送です。現代音楽ファンたちの怒りを買うのではないかとビクビクつつ,変に注目されていないメディア故に出来ることなのかなあと思ったりします。

 レコーダはこの日のために購入した,ZoomのH1です。12時間のあいだ切れ目無しに録音するために,ファイルサイズを2GB以下にせねばなりません。悩みましたが,録音フォーマットは連続録音を重視し,320kbpsのMP3を選びました。これなら13時間近く切れ目なく録音が可能なはずです。

 11時の時報と共に録音開始。以後,めくるめくJazzの世界が私の家まで届きます。毎年毎年思うのですが,世界屈指のJazzが,自宅まで届くこの幸せ。

 特に今年は内容が濃かったと思います。オマー・ハキムは朝から晩までドラムを叩きまくっていましたし,マーカス・ミラーのベースも歌いっぱなしでした。私はJazzヴォーカルにはあまり興味がありませんが,綾戸智恵もよかったと思うし,誰とはいわず,やっぱりピアノという楽器の奥深さを改めて感じました。

 特に夜の部,渡辺香津美の演奏には気分が高揚しましたし,なんといっても30年ぶりのメンバーがそれぞれ超一流になって集い,再開を楽しんでいるようなゆとりのあるなめらかな音に,圧倒されました。

 Jazz Crusadersも強烈でしたね。一緒に聞いていた嫁さんとも話をしていたのですが,やはり管楽器というのは,年齢がそのまま出る楽器だなあと思う訳です。身体能力が表現力に直結する原始的な楽器といえばその通りなのですが,本来なら狭まるはずの年齢であっても,今度は音に深みやツヤが増すというのは,ますますもって「原始的」と言わざるを得ません。そんな管楽器の素晴らしさを味わいながら,今年も無事,TokyoJazzが幕を下ろします。

 ところで気になったのは,今年,かのラリー・カールトンとB'zの松本孝弘が一緒に出したアルバムが契機になったか,この二人がTokyoJazzに出演していました。放送では,生放送の合間に前日と前々日の一部を放送していて,特にこの二人は注目株であったことで,まず間違いなく放送されるだろうと思っていました。

 ところが全然なし。出演していたと言う事実さえ語られませんでした。

 もしや出演しなかったのではと思いましたが,いい演奏だったという感想もチラホラ見かけ,どうやら意図して放送されなかった様子です。

 邪推すると,やっぱり権利関係なんではないかなあと,大人の事情ってやつじゃないかなあと思います。

 以前,ラリー・カールトンが出演したときには放送されましたから,例えば日本サイドがごちゃごちゃ言い出したとか,彼らの演奏だけDVDになるとかCDになるとか,そういう事情でFM放送が出来なくなったとか,なんとなくそんな気もするわけです。

 ひょっとしたら,演奏の内容や観客の対応にご立腹のラリー・カールトンが放送を許可しなかったとか,そういう可能性もあるかも知れませんが,彼がそんなつまらんことで冷や水を浴びせるとは考えにくいものがありますので,少しでも聴ければいいなと思っていた私にとっては,少々残念な結果になりました。

 いや,それでも,今年のTokyoJazzは,歴代で最も素晴らしいものになったと,これは間違いなくいえると思います。来年は10回目。来年くらいは足を運ばねばならないかも知れません。

 ところで録音の結果ですが,ACアダプタを使っていたこともあり,事故もなく完璧に12時間の録音に成功しました。19時にニュースのために放送が中断したら,ここで一度録音を停止してファイルを分けようと思ったのですが,なんと今年はニュースもなく,本当にぶっ通しでした。それでも12時間完璧でした。

 320kbpsならMP3でもかなり音質の劣化は少なく,FM放送ならもうこれで十分でしょう。ノイズレベルが受信状態の悪さ故に大きく,音がやんだときには耳障りですし,歪みも多く,大きな音が出ると「ボン」と音が割れてしまうこともあって,到底良い録音が出来たとは思えません。確かに名演だけに惜しいことをしたと思うのですが,十分に会場の雰囲気は録音できていると思います。

 さすがに12時間は長いので,いくつかに分割して残しておこうと思います。

 しかしH1は,手軽なくせに,なかなか音もいいです。例えばレコードの録音などにも十分使えそうな気がします。

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